JP3804528B2 - 多層発泡シートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多層発泡シートのTダイ共押出法による製造方法に関する。プロピレン系樹脂製発泡シートはその機械物性、軽量性、耐熱性、断熱性、耐油性等を活かして、包装、食品容器、文具、建材、自動車内装材等に使用される。特に層構成を適宜選択することで、機械物性・機能性の向上、他物品との貼合性向上等の高付加価値化が期待される。
【0002】
【従来の技術】
複数の層構成からなるプロピレン系樹脂製発泡シートの製造方法としては、各層に対応する樹脂原料を複数の押出機を用いて可塑化溶融させ、各押出機から供給される溶融樹脂をダイ内で積層一体化させてダイ外へ押し出す共押出法が経済的に有利である。
また、ダイ内における各溶融樹脂の積層方法については、マルチマニホールド方式とフィードブロック方式の2つに大別される。
【0003】
マルチマニホールド方式はその名称の通り、各溶融樹脂についてマニホールドが設けられており、ダイ中心の入口に導入された溶融樹脂はマニホールドを流れてダイ幅方向に広げられる。各マニホールドを通過した後には、チョークバーが設けられており、各溶融樹脂について個別に幅方向の流量、厚みが調整できる。その後、ダイ先端に近い位置において各溶融樹脂が合流積層され、ダイ外へ押し出される。なお、合流後にもチョークバーが設けられ、積層された状態でさらに幅方向の流量調整がなされる場合もある。この方式のメリットは各溶融樹脂について個別に幅方向の流量調整が可能であり、流動性の異なる溶融樹脂を積層するのに適している。デメリットとしては流路形状が複雑でダイ寸法が大きくなりやすく、重量やコストの増加などが挙げられる。また、層数にも限界があり4層以下が一般的である。
【0004】
一方、フィードブロック方式の場合、ダイにはマニホールドが1つしかなく、ダイ中心の入口にフィードブロックと呼ばれるものが設けられている。このフィードブロックの幅はダイの幅に比べてかなり狭く、このブロック内で各溶融樹脂が積層合流され、この積層物がダイに導入されて唯一のマニホールドを流れてダイ幅方向に広げられる。マニホールドの下流には、チョークバーが設けられており、積層物全体について幅方向の流量、厚みが調整され、ダイ外へ押し出される。この方式のメリットはダイの構造が簡単で単層のダイに近く、重量やコストを抑えられる。また、層数は5層以上も可能である。デメリットとしては、各溶融樹脂について個別には幅方向の流量調整ができず、全体としてしか調整ができないことである。また、流動性の異なる溶融樹脂を用いた場合、各層の幅方向の厚み分布が悪くなりやすく、使用原料の流動性が制限されることである。さらには、各層の流量の比にも制限があり、マルチマニホールド方式に比べて比を大きくできない、すなわち、各層の流量、厚みが同等かまたは近い積層物しか得られにくいというデメリットもあり、総じてこの方式には自由度が少ない。
【0005】
これらマルチマニホールド方式やフィードブロック方式はそれぞれ単独で用いられることが多く、併用することも知られているがその例は少ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは発泡層および非発泡層を有する多層発泡シートにおいて、特に両面表層に位置する非発泡層に高価な機能性材料を使用し、かつ、薄く均一に積層することに取り組んできた結果、該非発泡層と発泡層を含む中心部の層との界面におけるせん断応力に着目し、このせん断応力が低いほど薄く均一に積層できることを見出した。しかし、せん断応力を低下すべく、該非発泡層の流動性を向上させたところ、シート両端部に波状のカーテン不良が発生しやすいという事態に立ち入った。
【0007】
本発明は、機能材料を表層に薄く均一に積層するとともに、特にカーテン不良発生量を低減した多層発泡シートの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多層Tダイ共押出法により両表面に非発泡層を有する多層発泡シートを製造するに際し、該非発泡層と発泡層を含む中心部の層とをマルチマニホールド方式で積層し、該非発泡層用樹脂の流路にあるチョークバー両端部に設けた段差形状により該非発泡層の両端部の流量を中央部に比べて少なく制限して積層する多層発泡シートの製造方法にかかるものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
発泡層および非発泡層を有する多層発泡シートにおいて、両表面層に非発泡層を薄く均一に積層することに取り組んできた結果、該非発泡層と発泡層を含む中心部の層界面におけるせん断応力に着目し、このせん断応力が低いほど薄く均一に積層できることを見出した。せん断応力の低下、制御方法は後述するが、特に該非発泡層の流動性を向上させることが効果的であり、発泡層の流動性を向上させると破泡しやすくなる。したがって、発泡層の流動性に比べて高流動性の非発泡層を積層することになり、積層方式としては自由度の高いマルチマニホールド方式が適している。図1に本方式における多層Tダイの断面形状を示す。
【0010】
該非発泡層用のマニホールドの下流には幅方向の流量、厚みの分布を均一にするためのチョークバーを設けるが、従来のチョークバーの形状は図4に示すようなストレートの棒状であった。本発明で用いるチョークバーには図2に例示するように両端部に段差形状が設けられており、図3に示すように該非発泡層の両端部の流量を中央部に比べて少なく制限して積層する。両端部の流量を制限することにより、多層発泡シートの両端部に発生するカーテン不良を低減し、より広い製品幅を取ることができ、収率を向上できる。
【0011】
段差の形状は両端部の流量を中央部に比べて制限できればよく、特に限定されるものではないが、図2における段差の幅(図中の番号13)は20mmから200mmであり、好ましくは50mmから150mmである。また、段差の高さ(図中の番号12)は0.5mmから2mmであり、好ましくは0.5mmから1.5mmである。段差における傾斜の幅(図中の番号14)は段差の高さと同等程度でよい。
【0012】
段差の幅が狭すぎると、カーテン不良低減の効果が少なく、また、幅が広すぎるとカーテン不良が発生している両端部をトリミングした製品における非発泡層の厚みに幅方向の分布が発生してしまう。
【0013】
段差の高さが低すぎるとやはりカーテン不良低減の効果が少なく、また、高すぎるとチョークバーにおける圧力損失が小さくなり、チョークバーを押し引きボルトを用いて幅方向で撓ませても幅方向の流量、厚み調整が効きにくくなる。なお、チョークバーには一般にフレキシブル性向上のためのスリット(図中の番号15)が設けられている。
【0014】
本発明はチョークバーによる該非発泡層の両端部の流量制限を行うものであるが、両端部を完全に締め切り、中央部しか流れないようにすることもできる。しかし、この場合、該非発泡層の両端を起点にシート内側に向かってカーテンが発生してしまうため、完全には締め切らず、ある程度の流量を保つことが好ましい。
すなわち、両端部における樹脂流路の隙間(図中の番号17)は0.1〜1.5mmが好ましく、中央部における樹脂流路の隙間(図中の番号16)との比は、両端部:中央部=1:1.5〜10が好ましい。
【0015】
本発明の多層発泡シートの層構成は両表面層に非発泡層が設けられたものである他は特に限定されるものではないが、非発泡層/発泡層/非発泡層の2種3層や非発泡層/リサイクル層/発泡層/リサイクル層/非発泡層の3種5層が好ましい。該リサイクル層は本発明の多層発泡シートの粉砕品または該粉砕品を押出機にて脱気造粒した再生ペレットからなる非発泡のリサイクル層であり、該リサイクル層と発泡層はフィードブロック方式で積層することが好ましい。
【0016】
両面表層の非発泡層は発泡層に比べて薄いため、非発泡層/発泡層/非発泡層の2種3層発泡シートの粉砕品または該粉砕品を押出機にて脱気造粒した再生ペレットの流動性は発泡層のものに近い。したがって、流動性の近い発泡層とリサイクル層はフィードブロック方式で積層合流させることが容易である。マルチマニホールド方式でも可能ではあるが、3種5層をすべてマルチマニホールド方式で行うとすると、ダイスの流路形状は複雑で寸法が大きくなり、重量やコストの増加のため現実的ではない。
【0017】
本発明者らは両表面層の非発泡層を薄く均一に積層する方法として、該非発泡層と発泡層を含む中心部の層との界面のせん断応力をある範囲で低く制御することが重要であることを見出している。層界面のせん断応力が高いと、層構成の乱れによるうろこ状の外観不良が発生しやすい。これは各層の幅方向の厚み分布のようなマクロなムラではなく、ミクロなムラであり、機能性の発現を損ねることにつながる。
【0018】
層界面のせん断応力を低下、制御するための方法としては、次の4つの方法の何れか、または各方法の組合せを用いることができる。
方法▲1▼全体の押出量を下げ、ダイリップにおける圧力を低下させる。
方法▲2▼リップ開度を広くし、ダイリップにおける圧力を低下させる(ダイ幅は固定であるとした場合)。
方法▲3▼各層の押出量の比率を変更し、リップ壁面に接する最外層の厚みを増すなど、層界面の位置をせん断応力の低い厚み中心部に近づける。
方法▲4▼各樹脂の流動性を増す(特に表面層)。
【0019】
ただし、層界面のせん断応力を低下させるための方法▲1▼は生産性を損ないやすく、ダイ内発泡が進み破泡による不良も発生しやすいという欠点も有する。方法▲2▼もダイ内発泡が進み破泡による不良が発生しやすく、また厚物に限定されやすい。方法▲3▼は、例えば、中間層の発泡体に非発泡の最外層が厚く積層された多層発泡体であり、機械物性、特に曲げ剛性が高く望まれる用途では有効な手段である。しかし、例えば、発泡体に高価な機能性材料を積層し、高付加価値を与える場合、機能性材料は極力最小厚みに抑えたい。
【0020】
本発明者らは層界面のせん断応力を低下させるための方法▲1▼〜▲4▼について鋭意検討を行った結果、生産性・発泡性・製品範囲の自由度を考慮し、また、様々な用途・目的に対応できる方法として、方法▲4▼、または、方法▲4▼と他の方法との組合せが最も好ましいと考えている。
方法▲4▼において、流動性を増す樹脂層としては、せん断応力の高いダイリップ壁面に接する表面層が最も効果的で適している。厚み中心部ではせん断応力は低いため樹脂層の流動性を増しても効果は少ないと考えられる。
【0021】
各層の界面におけるせん断応力は層構成の乱れ、うろこ状の外観不良を低減するため25000Pa以下が好ましいが、20000Pa以下がより好ましく、さらには18000Pa以下が好ましい。層界面のせん断応力が低いほど、うろこ状の外観不良は低減する傾向である。
なお、層界面のせん断応力の下限値は5000Paであるが、この下限値を下回ると、生産性を損ねたり、気泡が粗大化するなど、うろこ状の外観不良以外の悪影響が懸念される。
層界面のせん断応力は上記範囲にて低い方が好ましいが、用途にも影響される。例えば、乱れが発生しやすい界面に接する両層に顔料等を添加した用途等であれば、層構成の乱れは隠蔽されやすく、多少の乱れは実用上問題ないこともある。
一方、高価な機能性材料を含有する層を薄く均一に表層に積層したい場合には、より低いせん断応力にすることが好ましい。
【0022】
層界面のせん断応力の求め方について以下説明する。
溶融樹脂のレオロジー特性を表現する構成方程式としては下記数式1に示す指数則流体モデルを採用する。
Figure 0003804528
ここで、各層の溶融樹脂に特有の定数Kおよびnは、加工温度におけるキャピラリーレオメーター測定を行い、実施例で示している数式6および7を用いて決定する。
つぎに、各層に用いられる溶融樹脂の定数Kおよびn、ダイ形状、各層の押出量等の加工条件を用いて、多層流動解析を文献 J.Appl.Polym.Sci.,17,1203(1973) に基づいて行い、層界面のせん断応力を計算する。
【0023】
層界面のせん断応力は各層の定数Kおよびn、ダイ形状、各層の押出量等の加工条件によって決定されるが、せん断応力の低下方法▲4▼の樹脂の流動性を増すということは、定数K値を低くすることであり、このK値の選択・制御が生産性・発泡性・製品範囲の自由度等を考慮した場合、もっとも有効な方法であると考えている。また、この方法と組み合わせて、各層の押出量の制御(方法▲1▼、方法▲3▼)、ダイ形状の制御(方法▲2▼及びダイ幅)を併用することも有効である。
K値の制御方法としては、樹脂の重合条件の調整、または、重合パウダーをペレットに造粒する際に有機過酸化物を少量添加し、その添加量を調整するなど、一般にMFRの調整に用いられる公知技術を用いることができる。なお、加工時の樹脂温度で調整する方法も発泡性に悪影響をもたらさないかぎり有効である。
【0024】
本発明において発泡層や非発泡層に用いる樹脂原料は特に限定されるものではないが、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂などに代表されるオレフィン系樹脂がリサイクル面で好ましい。特に主層である発泡層にはプロピレン系樹脂を用いることが好ましく、剛性、耐熱性、耐油性などの向上が期待できる。
【0025】
プロピレン系樹脂は、分岐のない無架橋の通常の直鎖状プロピレン系樹脂を主成分とすることが好ましく、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンなどのエチレン系樹脂等の他のオレフィン系樹脂を少量、例えば40重量%までブレンドして使用してもよい。
【0026】
非発泡層に用いる樹脂としては、MFRが20g/10分以上400g/10分以下の直鎖状プロピレン系樹脂が好ましい。該MFRとしてより好ましくは、40g/10分以上、400g/10分以下であり、さらに好ましくは100g/10分以上、400g/10分以下である。MFRが低いと、層界面のせん断応力が高くなりやすく、うろこ状の外観不良が発生しやすい。また、MFRが高すぎると、発泡層から非発泡層にダイ内で拡散された発泡剤ガスが非発泡層中に保持できなくなり、ガス抜けしやすくなる、または、ダイ圧を十分に保持できずに気泡が粗大化する、他に衝撃強度等の機能性とのバランスを確保しにくくなるなど、うろこ状の外観不良以外の悪影響が懸念される。
【0027】
本発明において、発泡層に用いられる樹脂は、発泡伸長変形時に破泡しにくくするため溶融強度の高い樹脂が好ましい。その観点で、190℃におけるメルトテンション(MT(190))と230℃におけるメルトフローレート(MFR(230))とが下式Aを満足するプロピレン重合体が好ましい。
MT(190)≧7.52×MFR(230)(-0.576) [式A]
【0028】
具体的には、超高分子量成分を導入した下記に示すプロピレン重合体(T)がより好ましい。
すなわち、極限粘度が5dl/g以上の結晶性プロピレン重合体部分(A)を製造する工程および極限粘度が3dl/g未満の結晶性プロピレン重合体部分(B)を製造する工程を含む重合方法により得られ、極限粘度が3dl/g未満であり、結晶性プロピレン重合体部分(A)の割合が0.05重量%以上35重量%未満であるプロピレン重合体(T)である。
【0029】
前記のプロピレン重合体(T)は(A)を製造する工程および(B)を製造する工程を含む重合方法により得られる重合体である。例えば第一段階で(A)を重合した後、引き続いて第二段階で(A)を重合したと同一の重合槽で(B)を重合する回分式重合法や、2槽以上の重合槽を直列に配置し、第一段階として(A)を重合後生成物を次の重合槽へ移送し、その重合槽で第二段階として(B)を重合する連続式重合法等の方法で得られる重合体である。なお、連続式重合法の場合は、第一段階および第二段階それぞれの重合槽は1槽でも2槽以上でもよい。
【0030】
該プロピレン重合体(T)の溶融強度は高い方が発泡体を得る上で好ましく、かかる観点から(A)の極限粘度は5dl/g以上が好ましく、6dl/g以上がさらに好ましく、7dl/g以上が特に好ましい。(A)の極限粘度は高いほど好ましく特に上限は制限はないが、通常は15dl/g未満である。(A)の極限粘度としてより好ましくは6〜13dl/gであり、特に好ましくは7〜11dl/gである。
【0031】
結晶性プロピレン重合体部分(A)のプロピレン重合体(T)中の含有量は溶融強度の観点から0.05重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましい。また伸び特性の観点から結晶性プロピレン重合体部分(A)の量は発泡体を得るに十分な溶融強度を有している限り、少ない方が好ましく、通常は35重量%未満が好ましく、20重量%以下がより好ましい。即ち、該プロピレン重合体(T)中の結晶性プロピレン重合体(A)の含有量は0.05重量%以上35重量%以下が好ましく、より好ましくは0.3〜20重量%である。(A)の割合は重合時に重合条件等で所定の量に調節してもよく、溶融工程または混練工程において(B)に相当する成分を追加して(A)の量を調節してもよい。
【0032】
流動性と加工性の観点から、(B)の極限粘度は3dl/g未満が好ましく、さらに流動性と加工性の観点から、プロピレン重合体(T)全体の極限粘度も3dl/g未満であることが好ましい。MFRでは、プロピレン重合体(T)として5g/10分以上30g/10分以下の範囲が好ましい。プロピレン重合体(T)のMFRが高すぎると、発泡に必要な溶融張力を保持できず、低すぎると加工性への影響、具体的にはせん断による発熱、樹脂温上昇の影響が大きい。より好ましくは、8g/10分以上25g/10分以下の範囲が好ましい。さらに好ましくは、10g/10分以上20g/10分以下の範囲が好ましい。
また、発泡体の外観の観点から、プロピレン重合体(T)全体の分子量分布は10未満が好ましい。なお本発明でいう分子量分布は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で評価する。
【0033】
なお連続的に重合する場合、(B)の極限粘度は(B)の製造条件を適宜設定することにより上記範囲内とすることができる。通常は極限粘度の加成性が成り立つとして、(A)と(B)とからなるプロピレン重合体(T)の場合、最終的に得られたプロピレン重合体(T)の極限粘度[η]T と(A)の極限粘度[η]A および(A)、(B)それぞれの(T)中の含有量(重量%)から下記数式2により(B)の極限粘度を求める。
[η]B =([η]T ×100−[η]A ×WA )÷WB [数式2]
[η]T :プロピレン重合体(T)の極限粘度(dl/g)
[η]A :結晶性プロピレン重合体部分(A)の極限粘度(dl/g)
A :結晶性プロピレン重合体部分(A)の含有量(重量%)
B :結晶性プロピレン重合体部分(B)の含有量(重量%)
【0034】
さらに、プロピレン重合体(T)の溶融強度の観点から、(A)の極限粘度[η]A (dl/g)および含有量WA (重量%)が、下記数式3を満たすことがさらに好ましい。
A ≧400×EXP(−0.6×[η]A ) [数式3]
A が上記式の範囲内であると、溶融強度の改善効果が十分であり好ましい。
【0035】
(A)および(B)は、それぞれポリプロピレン結晶構造を有する結晶性プロピレン重合体部分であり、プロピレンの単独重合体、またはプロピレンと、結晶性を失わない程度の量のエチレンおよび/またはα−オレフィン等のコモノマーとの共重合体が好ましい。α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ヘキセン等が挙げられる。結晶性を失わない程度の量とはコモノマーの種類により異なるが、例えばエチレンの場合、共重合体中のエチレン単位の量は通常10重量%以下、1−ブテン等の他のα−オレフィンの場合、共重合体中のα−オレフィン単位の量は通常30重量%以下である。(A)と(B)とは同一組成であっても異なっていてもよい。また(A)と(B)とはブロック的に結合しているものがあってもよい。さらには(A)と(B)がブロック的に結合したものとそれ以外の(A)および(B)とが共存していてもよい。
【0036】
また(B)は上記以外に結晶性のプロピレン重合体(T)中に非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体が分散している重合体も例示することができる。
【0037】
上記プロピレン重合体(T)は、例えば、Ti原子、Mg原子、ハロゲン原子を含有する固体触媒を使用して製造することができ、例えば、特開平11−228629号公報に記載の方法が挙げられる。
【0038】
本発明で用いられる発泡剤は特に限定されるものではなく、物理発泡剤として、炭酸ガス、窒素ガス、空気、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロルエタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタンなどが単体または併用して使用できるが、好ましくは、窒素ガス、炭酸ガス、空気等の安全で環境にやさしい無機ガスであり、最も好ましくは炭酸ガスである。炭酸ガスはポリプロピレン系樹脂への溶解性が無機ガスの中では比較的高いため好ましい。炭酸ガスは7.4MPa以上、31℃以上で超臨界状態となり、樹脂への拡散、溶解性に優れた状態になる。
【0039】
化学発泡剤としては、重曹、重曹とクエン酸、クエン酸ナトリウム、ステアリン酸などの有機酸との混合物、アゾジカルボン酸アミド、トリレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物、アゾビスブチロニトリル、バリウム・アゾジカルボキシレート、ジアゾアミノベンゼン、トリヒドラジノトリアジンなどのアゾ、ジアゾ化合物、ベンゼン・スルホニル・ヒドラジド、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニル・ヒドラジド)、トルエン・スルホニル・ヒドラジドなどのヒドラジン誘導体、N,N’−ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソ・テレフタルアミドなどのニトロソ化合物、P−トルエン・スルホニル・セミカルバジド、4,4’オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジドなどのセミカルバジド化合物の他アジ化合物やトリアゾール化合物などが単体または併用して使用できるが、特に、重曹、クエン酸、アゾジカルボン酸アミドが好ましい。
【0040】
これら物理発泡剤や化学発泡剤は単体で使用してもよいが、これらの併用も可能である。また、これら化学発泡剤の使用において、その分解温度・速度を調整するために発泡助剤を併用してもよい。例えば、アゾジカルボン酸アミド単体では分解温度が約200℃と高く、低温で加工したい場合には発泡助剤として酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素などを少量添加してもよい。
なお、物理発泡の場合、特に気泡核剤を添加することが多いが、核剤としては、タルク、シリカ、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、マイカ、クレー、ワラストナイト、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、PMMA等のポリマービーズ、合成アルミノシリケートや上記の化学発泡剤を少量添加してもよい。
【0041】
本発明においては、樹脂原料と発泡剤を複数の押出機を用いて溶融混練を行い、該押出機に接続した多層Tダイ内で積層一体化し、大気中に共押出する。この平板状の溶融シートを、ダイ直後に設置され冷却温調された多数のロールに接触させる、または、冷却温調された2枚のプレート状の平板の間を接触させながら通過させる等の公知の冷却成形方法でシートを冷却成形した後、ニップロールを設けた引取機で引き取って、切断機で所定寸法に切断して多層発泡シートを製造する。
【0042】
かかる押出機としては、単軸や多軸押出機が挙げられ、また、それら複数の押出機を組み合わせたタンデム押出機も使用可能である。発泡層に用いる押出機としては、特に2軸押出機が好ましく、さらに、スクリュー1回転あたりの押出量が多くて所定の押出量を低回転で得ることができ、スクリュー回転によるせん断発熱の少ない構造が好ましい。また、スクリュー本体に冷却媒体を循環させ、温調してもよい。
また、各押出機とフィードブロック、または、マルチマニホールド方式ダイの間にギヤポンプを、原料供給用に定量フィーダーを設けて、ギアポンプ入口圧力を一定に制御するため、スクリュー回転数や原料供給量へフィードバックする制御システムも有効である。
さらに、各押出機とフィードブロック、または、マルチマニホールド方式ダイをつなぐアダプタには、スタティックミキサーなどを挿入して樹脂温度均一化をはかるのも有効である。
物理発泡の場合、発泡用押出機は発泡剤を途中で圧入できる構造であるが、圧入位置以前には樹脂原料を十分に溶融可塑化させ、圧入以降は樹脂と発泡剤を十分に混合均一化させ、発泡に適切な樹脂温に制御できることが必要である。
【0043】
さらに、通常、プロピレン系樹脂製発泡シートの表面に施される、コロナ処理、オゾン処理や帯電防止剤塗布などの表面処理を行うこともできる。
【0044】
本発明における発泡倍率や発泡シート形状は使用するダイ幅、リップ開度、樹脂、発泡剤、引取成形条件等の諸条件によって異なるが特に限定されることはなく、高倍率で層構成良好な多層発泡シートを得ることができる。
例えば、炭酸ガスを発泡剤として用いた2種3層シートの場合、発泡倍率が1.1〜10倍、厚みが1〜10mmの層構成良好な多層発泡シートを得ることができる。
ここで、発泡倍率とは多層発泡シート全体の見かけの発泡倍率を指し、発泡層のみにおける発泡倍率ではなく、厚みもシート全体の厚みを指す。
【0045】
本発明で得られる多層発泡シートの片面もしくは両面に、用途に応じてシートやフィルム等の表皮材を積層貼合したり、これら多層発泡シート、または、シートやフィルム等の表皮材積層発泡シートに真空成形等の熱成形を施すことも可能である。
積層用のシートやフィルム等の表皮材としては用途に応じて公知のものを使用することができ、例えば、アルミニウムや鉄等の金属薄板、熱可塑性樹脂シート、熱可塑性樹脂フィルム、熱可塑性樹脂加飾シート、熱可塑性樹脂加飾フィルム、熱可塑性樹脂発泡シート、紙、合成紙、不織布、織布、麻、ガラスウール、カーペット等が挙げられる。
【0046】
例えば、食品用途であれば、10〜100μm厚みのプロピレン系樹脂フィルムや気体バリア樹脂フィルムを貼合することが多い。バリア樹脂としては、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PVA(ポリビニルアルコール)、PA(ポリアミド)などを使用することができる。なお、これら気体バリア樹脂は単体または混合して使用してもよいし、単体のフィルムを2種類以上、積層して使用してもよい。
【0047】
また、自動車内装材用途であれば、不織布、織布、麻、ガラスウール、カーペット等を貼合することが多い。他に包装用途、例えば、箱の仕切り板として使用する場合には、内容物保護のため、高倍率発泡シートのような緩衝シートを貼合してもよい。
【0048】
表皮材の貼合方法は特に限定されることはなく、例えば、▲1▼接着剤を発泡シート表面に塗布して貼合する方法、▲2▼接着樹脂フィルムがラミネートされたシートやフィルムを用い、その接着樹脂フィルム面を加熱溶融させて発泡体と貼合する方法、▲3▼接着剤や接着樹脂フィルムを使用せず、ヒーターや熱風などを用いて直接互いの表面を溶融させて貼合する方法、▲4▼溶融樹脂を表皮材と発泡シートの間に押出しラミネートして貼合する方法等が挙げられる。
【0049】
熱成形としては、真空成形や熱罫線加工が挙げられるが、特に限定されることはない。本発明の発泡シートは層構成や厚み分布良好で、気泡微細であるため、熱成形性に優れている。
【0050】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその主旨を損なわない限り、これらの例に何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いた評価方法について以下に示す。
【0051】
(1)重合体の極限粘度
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。なお、結晶性プロピレン重合体部分(B)の極限粘度は結晶性プロピレン重合体部分(A)および全体のプロピレン重合体(T)の極限粘度より明細書中に記載の計算式より求めた。
【0052】
(2)分子量分布
G.P.C.(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により、下記条件で測定した。なお分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で評価した。
機種:150CV型(ミリポアウォーターズ社製)
カラム:Shodex M/S 80
測定温度:145℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン
サンプル濃度:5mg/8mL
検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。この条件で測定された標準ポリスチレン(NBS706:Mw/Mn=2.0)のMw/Mnは1.9〜2.0であった。
【0053】
(3)MFR
JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。単位はg/10分。
【0054】
(4)メルトテンション(MT)
東洋精機社製メルトテンションテスターMT−501D3型を用いて、サンプル量5g、余熱温度190℃、余熱時間5分間、押出速度5.7mm/分で、長さ8mm、直径2mmのオリフィスからストランドを押し出し、該ストランドを直径50mmのローラーを用いて巻取速度100rpmで巻き取ったときの張力を、メルトテンション(MT)として測定した(単位=g)。
【0055】
(5)定数K、n、および層界面のせん断応力の算出方法
各層に用いられる樹脂について、東洋精機社製キャピラリーレオメーターCAPIROGRAPH 1Bを用いて定数K、nを求めた。内径0.955cmのバレルおよび、長さ4cm、内径0.1cmのオリフィスを用いて、加工温度と同一の温度で0.2、0.5、1、2、5、10、20、または50cm/分の各ピストン速度にて樹脂を押出し、樹脂圧力P(Pa)を測定した。その樹脂圧力P(Pa)および吐出量Q(cc/s)を両対数プロットし、直線回帰を行い、下記数式4を用いてNおよびηを算出し、数式6、7にてK、nを求めた。
log(P)=log(2L/r(N+3)/N)+(1/N)log((N+3)η/π)+(1/N)log(Q) [数式4]
なお、上記数式4において、Lはオリフィスの長さ(4cm)であり、rはオリフィス内径の半径(0.05cm)であり、Qは下記数式5で求められる。
Q=πR2V [数式5]
上記数式5において、Rはバレル内径の半径(0.4775cm)であり、Vはピストン速度を単位cm/sに換算した値である。
K=η1/N [数式6]
n=1/N [数式7]
つぎに、これら各層の定数K、n、ダイ形状、各層の押出量等の加工条件を用いて、多層流動解析を文献 J.Appl.Polym.Sci.,17,1203(1973) に基づいて行い、層界面のせん断応力を計算した。
【0056】
(6)発泡倍率
JIS K7112に準拠し、水中置換法による測定方法を使用し発泡体の密度ρfを求めた。発泡倍率は未発泡の熱可塑性樹脂の密度ρsをρfで割ったものである。実施例ではポリプロピレン系樹脂を使用しているが、ρs=0.9g/ccとして発泡倍率を算出した。
【0057】
[参考例1](プロピレン系樹脂PP1の製造)
[1](固体触媒成分の合成)
攪拌機付きの200リットルSUS製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80リットル、テトラブトキシチタン6.55モル、フタル酸ジイソブチル2.8モル、およびテトラエトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次に濃度2.1モル/リットルのブチルマグネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液51リットルを、反応容器内の温度を5℃に保ちながら5時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後室温でさらに1時間攪拌した後室温で固液分離体ルエン70リットルでの洗浄を3回繰り返した。
次いで、スラリー濃度が0.6Kg/リットルになるようにトルエンを加えた後、n−ブチルエーテル8.9モルと四塩化チタン274モルの混合液を加え、さらにフタル酸クロライドを20.8モル加えて110℃で3時間反応を行った。反応終了後、95℃でトルエンでの洗浄を2回行った。
次いで、スラリー濃度を0.6Kg/リットルに調整した後、フタル酸ジイソブチル3.13モル、n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、105℃で1時間反応を行った。反応終了後同温度で固液分離した後、95℃でトルエン90リットルでの洗浄を2回行った。
次いで、スラリー濃度を0.6Kg/リットルに調整した後、n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90リットルでの洗浄を3回行った。
次いで、スラリー濃度を0.6Kg/リットルに調整した後、n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90リットルでの洗浄を3回行った後、さらにヘキサン90リットルでの洗浄を3回した後減圧乾燥して固体触媒成分11.0Kgを得た。
固体触媒成分はチタン原子1.9重量%、マグネシウム原子20重量%、フタル酸エステル8.6重量%、エトキシ基0.05重量%、ブトキシ基0.21重量%を含有し、微粉のない良好な粒子性状を有していた。
【0058】
[2](固体触媒成分の予備活性化)
内容積3リットルのSUS製、攪拌機付きオートクレーブに十分に脱水、脱気処理したn−ヘキサン1.5リットル、トリエチルアルミニウム37.5ミリモル、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン3.75ミリモル、上記[1]で得られた固体触媒成分15gを添加し、槽内温度を5〜15℃に保ちながらプロピレン15gを30分かけて連続的に供給して予備活性化を行った。
【0059】
[3](結晶性プロピレン重合体部分(A)の重合)
SUS製の内容積300リットルの重合槽において、重合温度60℃、重合圧力27kg/cm2 Gを保持するように液状プロピレンを57kg/hで供給しながら、トリエチルアルミニウム1.3ミリモル/h、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン0.13ミリモル/hおよび予備活性化された固体触媒成分0.51g/hを連続的に供給し、水素の実質的非存在下でプロピレン重合を行い、2.0kg/hの重合体が得られた。この時の重合体生成量は触媒1g当たり3920gであり、その一部をサンプリングして分析した結果、極限粘度は7.7dl/gであった。得られた重合体はそのまま第二槽目に連続的に移送した。
【0060】
[4](結晶性プロピレン重合体部分(B)の重合)
内容積1m3 の攪拌機付き流動床反応器において、重合温度80℃、重合圧力18Kg/cm2 G、気相部の水素濃度8vol%を保持するようにプロピレンおよび水素を供給しながら、第一槽目より移送された触媒含有重合体およびトリエチルアルミニウム60ミリモル/h、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン6ミリモル/hを供給しながらプロピレン重合を連続的に継続することにより18.2kg/hの重合体が得られた。この重合体の極限粘度は1.9dl/gであった。
以上の結果から(B)の重合時の重合体生成量は触媒1gあたり31760gであり、第一槽目と第二槽目の重合重量比は11:89であり、(B)の極限粘度は1.2dl/gと求められた。
【0061】
[5](重合体のペレット化)
この重合体粉末100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、商品名イルガノックス1010(チバガイギー社製)0.05重量部、商品名スミライザーBHT(住友化学工業社製)0.2重量部を加えて混合し、230℃で溶融混練し、メルトフローレートMFRが12g/10分、分子量分布が8.0のペレット(プロピレン系樹脂PP1)を得た。このペレットのメルトテンションMTを測定したところ、4.7gであり、[式A]の右辺7.52×MFR(230)(-0.576)は1.80となり、[式A]を満足していた。
【0062】
[実施例1](押出発泡試験)
下記に示す方法にて芯層に発泡層を、その両面に非発泡層を設けた2種3層のプロピレン系樹脂製多層発泡シートを作成した。
発泡層用押出機として先端にギアポンプを設けた58mmΦ同方向回転2軸押出機(L/D=32、Lはスクリュー有効長さ、Dはスクリュー径)を、非発泡層用押出機として50mmφ単軸押出機(L/D=32)を使用し、これら押出機に1000mm幅の多層Tダイ(リップ開度1.3mm、マルチマニホールド方式)を接続した装置を使用した。非発泡層用のチョークバー両端部には段差が設けられており、段差の幅は100mm、高さは1mmであった。また、非発泡層用チョークバー両端部の樹脂流路の隙間は0.5mm、中央部の樹脂流路の隙間は1.5mmであり、両端部:中央部=1:3.0であった。
【0063】
上記参考例1[5]で得られたプロピレン系樹脂PP1(MFR=12g/10分)を50重量部、プロピレン系樹脂PP2(住友化学工業(株)製、ノーブレンAW191A(MFR=11g/10分))を40重量部、直鎖状低密度ポリエチレンPE1(住友化学工業(株)製、スミカセンE、FV401(MFR=4g/10分))を10重量部の配合物に対して、気泡核剤(日本ベーリンガーインゲルハイム(株)製、ハイドロセロールCF40E)を0.5PHRブレンドした原料樹脂を定量フィーダーを経て発泡層用押出機ホッパーに投入して溶融混錬を行い、溶融が進んだ位置(L/D=20)で液化炭酸ガス0.5PHRをダイヤフラム式定量ポンプを用いて高圧で注入した。原料樹脂と炭酸ガスを十分溶融混練したのち、180℃に冷却・調整し、吐出量100Kg/h(37.0cc/s、但し溶融樹脂の密度を0.75g/ccとした)でギアポンプを用いて安定して多層ダイに導入した。
一方、プロピレン系樹脂PP3(住友化学工業(株)製、ノーブレンU501E1(MFR=112g/10分))を定量フィーダーを経て非発泡層用押出機ホッパーに投入して溶融混錬を行い、200℃に冷却・調整し、吐出量7Kg/h(2.6cc/s、但し溶融体の密度を0.75g/ccとした)で多層ダイに導入した。多層ダイから押出した平板状発泡シートを直後に設置され、約50℃に冷却温調された多数の300φロールにより冷却成形し、ニップロールを備えた引取機で引取ったのち、切断機にて所定寸法に切断した。
得られた発泡シートは発泡倍率3.0倍で厚み4.0mmであり、非発泡層は厚み50μmと薄く均一であり、うろこ状外観不良は問題なく良好であった。また、カーテン不良は片側140mmと少なかった。
【0064】
次に、加工温度におけるキャピラリーレオメーター測定を行い、定数K、nを求めたところ、 発泡層(180℃)の配合物のKは4310(Pa・sn)、nは0.506(−)であり、 非発泡層(200℃)のKは1265(Pa・sn)、nは0.473(−)であった。また、層界面のせん断応力を計算したところ18930(Pa)であった。
【0065】
[比較例1]
両端部に段差形状が設けられていない非発泡層用チョークバー(樹脂流路の隙間は1.5mm)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
結果、カーテン不良は片側250mmであり、ダイス幅1000mmに対して半分と多かった。
【0066】
【発明の効果】
本発明における両面表層に薄い非発泡層を有する多層発泡シートの多層Tダイ共押出法による製造方法は、ダイ内における層界面のせん断応力を制御し、層構成良好な多層発泡シートを得ることができるとともに、特に発泡特有のカーテン不良を低減することができる。多層発泡シートはその軽量性、断熱性等を活かして、包装、食品容器、文具、建材、自動車内装材等に使用され、層構成を適宜選択することで、機械物性・機能性の向上、他物品との貼合性向上等の高付加価値化が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明における多層Tダイの流路断面形状の1例を示す図面である。
【図2】図2は、本発明における非発泡層用チョークバー形状の1例を示す図面である。
【図3】図3は、本発明における非発泡層用チョークバーの形状および樹脂流路隙間の1例を示す図面である。
【図4】図4は、公知技術における非発泡層用チョークバーの形状および樹脂流路隙間を示す図面である。
【符号の説明】
1:リップ(上)
2:リップ(下)
3:非発泡層用樹脂流路(上)
4:非発泡層用樹脂流路(下)
5:発泡層を含む中心部用樹脂流路
6:非発泡層用チョークバー(上)
7:非発泡層用チョークバー(下)
8:発泡層を含む中心部用チョークバー
9:非発泡層用マニホールド(上)
10:非発泡層用マニホールド(下)
11:発泡層を含む中心部用マニホールド
12:段差の高さ
13:段差の幅
14:段差の傾斜
15:フレキシブル性向上のためのスリット
16:非発泡層中央部における樹脂流路の隙間
17:非発泡層両端部における樹脂流路の隙間
18:公知技術における非発泡層用チョークバー
19:公知技術における非発泡層の樹脂流路

Claims (4)

  1. 多層Tダイ共押出法により両表面に非発泡層を有する多層発泡シートを製造するに際し、該非発泡層と発泡層を含む中心部の層とをマルチマニホールド方式で積層し、該非発泡層用樹脂の流路にあるチョークバー両端部に設けた段差形状により該非発泡層の両端部の流量を中央部に比べて少なく制限して積層する多層発泡シートの製造方法。
  2. 層構成が非発泡層/発泡層/非発泡層の2種3層であることを特徴とする請求項1記載の多層発泡シートの製造方法。
  3. 層構成が非発泡層/リサイクル層/発泡層/リサイクル層/非発泡層の3種5層であり、前記リサイクル層が請求項1または2記載の多層発泡シートの粉砕品または該粉砕品を押出機にて脱気造粒した再生ペレットからなる非発泡のリサイクル層であり、該リサイクル層と発泡層はフィードブロック方式で積層されることを特徴とする請求項1記載の多層発泡シートの製造方法。
  4. 非発泡層用樹脂の流路にあるチョークバー両端部に設けた段差形状の幅が20〜200mmであって、かつ該チョークバーの両端部における樹脂流路の隙間と中央部における樹脂流路の隙間との比が、両端部:中央部=1:1.5〜10であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の多層発泡シートの製造方法。
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