JP2010269970A - 窒化物半導体基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板28表面側に凹の反りを負、基板28表面側に凸の反りを正とし、基板裏面28aの一端から基板中心線L上を通り前記基板裏面28aの他端に至る線分を引き、該線分で基板28を基板厚さ方向に切断したとき、引いた前記線分上の任意の点から切断面の裏面側輪郭線までの距離の最短値のうち、最大のものを直径方向の反りHと定義した場合に、前記直径方向の反りHを基板周方向にわたって求め、その最大のものをHmaxとし、最小のものをHminとしたとき、前記直径方向の反りHが、Hmax−Hmin≦30μmとなるように規定された窒化物半導体基板28。
【選択図】図1
Description
バンド間遷移も直接遷移型であるため、短波長発光素子への適用が盛んに検討されている。また、電子の飽和ドリフト速度が大きいこと、ヘテロ接合による2次元キャリアガスの利用が可能なこと等から、電子素子への応用も期待されている。
種基板を用い、この上に素子部を構成する半導体多層膜を形成する方法がある。例えば、サファイア等の異種基板上に低温堆積緩衝層(バッファ層)を形成し、その上にエピタキシャル成長層を形成する方法が知られている。この低温堆積緩衝層を用いた結晶成長法では、まずサファイア等の基板上にAlNまたはGaNを500℃付近で堆積し、アモルファス状の膜ないし一部多結晶を含む連続膜を形成する。これを1,000℃付近に昇温するこ
とにより一部を蒸発させ、又は結晶化させて、密度の高い結晶核を形成する。これを成長の核として成長させると比較的結晶性のよいGaN膜が得られる。この場合、サファイア等の異種基板はそのまま残っている。しかしながら、この低温堆積緩衝層を形成する方法を用いても、得られるGaN膜には貫通転位や空孔等の結晶欠陥が相当程度存在し、現在望まれている高性能の素子を得るには不十分であった。
リコンマスクを用いて選択成長を行う点でELO法と共通するが、選択成長の際にマスク開口部にファセットを形成することにより、転位の伝播方向を変え、エピタキシャル成長層の上面に至る貫通転位を低減する方法である。このFIELO法を用いて、例えばサファイア等の下地基板上に厚膜のGaN層を成長させ、その後下地基板を除去すれば、結晶欠陥の少ない良質なGaN自立基板を得ることができる。
by the Epi-growth with Inverted-Pyramidal Pits:例えば、特許文献2参照)法が開発された。DEEP法は、サファイア基板ではなく、GaAs基板上にパターニングした窒化珪素等のマスクを用いてGaNを成長させることにより、結晶表面に意図的にファセット面で囲まれたピットを複数形成し、前記ピットの底部に転位を集積させることにより、その他の領域を低転位化するものである。
は、基板ホルダと基板裏面とがあまり密着せず、不均一な温度分布が生じて均一な膜厚分布などが得られない。また、基板裏面と同等な不均一な反り形状の基板ホルダを高精度に作製できたとしても、作製するのに非常にコストがかかり、さらに基板ホルダは成長ごとに劣化するため規定回数で交換しなければならないので、非常にコストがかかるという問題がある。
なお、この問題は、GaN自立基板のみならず他の窒化物半導体基板にも共通する。
本発明の一態様によれば、基板表面側に凹の反りを負、基板表面側に凸の反りを正とし、基板裏面の一端から基板中心線上を通り前記基板裏面の他端に至る線分を引き、該線分で基板を基板厚さ方向に切断したとき、引いた前記線分上の任意の点から切断面の裏面側輪郭線までの距離の最短値のうち、最大のものを直径方向の反りHと定義した場合に、前記直径方向の反りHを基板周方向にわたって求め、その最大のものをHmaxとし、最小のものをHminとしたとき、前記直径方向の反りHが、Hmax−Hmin≦30μmとなるように規定されている窒化物半導体基板が提供される。
既に述べたとおり、不均一な反り形状をもつ従来の窒化物半導体基板の基板表面に、MOVPE装置等の成長装置を用いて結晶膜を成長させると、基板の反りにより、基板裏面が基板ホルダに密着しなくなる結果、基板面内が均一に加熱されず、膜厚が均一にならない。
前記窒化物半導体基板は自立基板である。窒化物半導体基板は、III族原子と窒素との
化合物からなる半導体が好ましく、InxGayAl1-x+yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)で表される半導体がより好ましい。強度、製造安定性を満足するという観点から、GaN及びAlGaNが特に好ましい。
(1)反りの定義
MOVPE法では、窒化物半導体基板の結晶成長面(以下、表面という)が上向きになるように基板ホルダに固定するフェイスアップ方式と、基板の表面が下向きになるように固定するフェイスダウン方式とがある。ここでは、フェイスダウン方式を想定して説明する。図3に、窒化物半導体基板の反りの定義を示す。
る。また、基板の反りが一様でない場合にも、本定義は適用できる。
直径方向の反りHを基板周方向にわたって求める。基板周方向にわたって直径方向の反りを求めるには、基板裏面28aの一端aの位置を基板周方向に半周するまで所定間隔で移動させ、各点での各直径方向の反りHを求めることになる。求めた各直径方向の反りを比較して、基板裏面面内で最大のものをHmaxとし、最小のものをHminとする。このことを、図1を用いて具体的に説明する。
異種基板上に窒化物半導体薄膜を形成し、この窒化物半導体薄膜を下地膜としてさらに
窒化物半導体厚膜を形成し、形成した窒化物半導体厚膜を異種基板から剥離して、窒化物半導体基板とする。以下、実施の形態では窒化物半導体がGaNである場合について説明する。
実施の形態に使用し得る異種基板は、サファイア,SiC,ZrB2,ZnO,LiAlO2,NdGaO3,GaAs等のいずれでも良い。初期核密度を制御するために、これらの基板の上にAlN,GaN等の窒化物半導体薄膜をエピタキシャル成長させたものを用いる。
GaN薄膜をエピタキシャル成長させるためには、基板表面をフォトリソグラフィ法やVAS法(Y.Oshima et.al., Jpn.J.Appl.Phys., Vol.42(2003), pp.L1-L3)により部分
的にマスクするのが好ましい。VAS法は、上記基板上にGaN下地層を設けた後で金属Ti薄膜を形成し、アンモニアと水素ガスの混合気流中で熱処理をすることにより金属Ti薄膜を窒化して網目構造のTiN薄膜とすると共に、GaN下地層をエッチングして空隙を作り、網目構造のTiN薄膜を介してGaN層を成長させる方法である。VAS法により得られた基板は「ボイド形成基板」と呼ばれる。以下、このボイド形成基板を前提に説明する。
実施の形態のGaN基板の結晶成長方法としては、GaCl及びNH3を原料として用いるハイドライド気相成長法(HVPE法)が好適である。HVPE法は結晶成長速度が100μm/時以上と大きく、厚いGaN結晶膜を容易に成長させることができる。初期核を形成させた後、平坦な結晶表面を得るためには結晶膜を厚く成長させる必要があることが多い。そのため、成長速度が大きいことは特に重要である。このような要請に応えるためにHVPE成長装置が用いられる。
図4はGaN基板のHVPE成長装置の好ましい一例を示す。この装置は、反応管12と、その周囲に設けられたヒータ11とを有し、反応管12は、ボイド形成基板18を設置する基板ホルダ17と、ボイド形成基板18付近に開口する反応ガス導入管13,15と、ボイド形成基板18付近に開口するエッチングガス導入管14と、排気口21とを有する。反応ガス導入管15にはGa金属16を有する原料載置室20が設けられている。
反応ガス導入管13にNH3を送給し、反応ガス導入管15にHClガスを送給する。これらの反応ガスは、H2,N2等のキャリアガスとともに送給するのが好ましい。反応ガス導入管15では、原料載置室20内に載置されたGa金属16とHClとが反応し、GaClが生成される。従って、反応ガス導入管13,15からは、ボイド形成基板18にGaCl及びNH3が供給されることになる。GaClとNH3とは反応して、ボイド形成基板18上にGaN結晶が気相成長する。エッチングガス導入管14によりエッチング用のHClガスをボイド形成基板18に供給する。HClエッチングガスの供給は、個々の初期核を大きくするために、結晶成長工程中連続的に行うか、結晶成長工程と交互に行う。
成長終了後の降温過程において、ボイドを境に、GaN厚膜とサファイア基板とが自然に剥離することでGaN自立基板が得られる。
GaN基板は、裏面(N面)から表面(Ga面)に向かって厚さ方向で転位密度の差が発生する。格子定数が厚さ方向で変化し、GaN基板に反りが発生する。反りの発生を防止するには、裏面と表面の転位密度の差を基板面内で均一にすれば良い。裏面から表面に向かって転位密度を変化させる制御項目として、初期核密度がある。初期核密度を基板面内で均一にすることで、裏面と表面の転位密度の差を基板面内で均一にすることができる
。初期核密度を制御するためには、塩化ガリウム(GaCl)ガス流量があり、基板面内均一にGaClが行き渡れば、初期核密度を均一にすることができる。基板面内均一にGaClガスを行き渡らせる方法としては、例えば、GaClガスのキャリアガスである水素ガス(H2)と窒素ガス(N2)の混合比を最適化させる方法がある。この方法が有効なのは、H2ガスとN2ガスでは分子量が異なるため、H2とN2ガスの混合比を変化させることで、基板へのGaClガスの当たり方が変化するからである。
上述した反り制御により、剥離後に得られるGaN自立基板は、反りの少ない基板となる。
本実施の形態のGaN自立基板によれば、基板裏面の一端から基板中心線上を通り基板裏面の他端に至る線分を引き、この線分で基板を基板厚さ方向に切断したとき、引いた線分上の任意の点から切断面の裏面側輪郭線までの距離の最短値のうち、最大のものを直径方向の反りHと定義した場合に、直径方向の反りHを基板周方向にわたって求め、その最大のものをHmaxとし、最小のものをHminとしたとき、前記直径方向の反りHが、Hmax−Hmin≦30μmとなるように規定されている。また、前記直径方向の反りHが、Hmax−Hmin≦20μmとなるように規定されていることが好ましい。
図5は自公転型フェイスダウン式のMOVPE成長装置の好ましい一例を示す。この装置は反応管22を有する。この反応管22には、複数枚のGaN基板28を装着する円板状の基板ホルダ27と、基板ホルダ27を回転させる回転軸24と、基板ホルダ27を介して基板28を加熱するヒータ21と、反応管22内に原料ガスを導入する原料導入口25と、ガスを排出するガス排出口31とが設けられている。基板ホルダ27は回転軸24の回転により自公転するようになっている。GaN基板28は、基板ホルダ27内に基板表面を下向きにして支持される。GaN基板28は、基板ホルダ27内に載置された状態で、基板裏面が均熱板23と接触するようになっている。基板ホルダ27にはカーボンが、均熱板23にはSiCがそれぞれ用いられる。以下、基板ホルダ27は均熱板23を含む広い概念とする。
原料導入口25から反応管22内に、有機金属原料としてTMGを、ガス原料としてNH3を送給する。キャリアガスとしてH2ガス及びN2ガスを送給する。反応管22内でTMGとNH3とが反応して、GaN基板28上にGaN結晶が気相成長する。
図6に示すように、均熱板を含む基板ホルダ27は、水平な面にGaN基板28を収容する窪み27aが設けられている。この窪み27aにGaN基板28が、基板裏面28aを密着させ、基板表面28bを露出して装着される。この基板ホルダ27に装着されるGaN基板28は、直径方向の反りHが、Hmax−Hmin≦30μmとなるように規定されていることが好ましい。また、直径方向の反りHが、Hmax−Hmin≦20μmとなるように規定されていることがより好ましい。そのときの基板ホルダ27の窪み底部27bの反りは、中心を対称とした均一な反り形状としてあり、基板裏面面内の反りの平均値に設定される。
本実施の形態によれば、GaN基板の裏面面内の直径方向の反りHにおいて、最大の直径方向の反りHmaxと最小の直径方向の反りHminとの差を30μm以下、好ましくは20μm以下にすることで、MOVPE装置などでエピタキシャル成長する場合に、中心を対称とした均一な反り形状の基板ホルダ(この時の基板ホルダの反り量は、基板裏面面内の反りの平均値に設定される。)を用いると、基板の密着性を向上させ、基板面内の温度分布を均一にできる。したがって、膜厚分布、成長膜の組成などの特性を均一に出来、デバイス歩留まりを向上させることが出来る。
図5に示すMOVPE装置を用いてMOVPE法により直径2.5インチのサファイア基板上に厚さ300nmのGaN下地層を形成した。成長条件は、有機金属原料としてトリメチルガリウム(TMG)を、ガス原料としてNH3ガスを、キャリアガスとしてH2ガス及びN2ガスを用いた。
流量 TMG:100sccm、NH3:30l/min、H2:75l/min、N2:50l/min
温度 1100℃
圧力 300Torr
成長時間 3分間
であった。なお、反りのないサファイア基板上にGan層を形成するので、基板ホルダとしては反りのないものを用いた。
このGaN下地層の表面に厚さ20nmのTiを蒸着し、H2とNH3の混合気流中で1,000℃で30分間熱処理を加えて、網目状TiN膜を有するボイド形成基板を作製した
。
期核の形成条件は、反応ガス導入管13から5×10−2atmのNH3ガスを、キャリアガスである6×10−1atmのN2ガスとともに導入し、反応ガス導入管15から5×10−3atmのGaClガスを、キャリアガスであるN2ガスとH2ガスとともに導入する。初期核成長時間は20分間である。GaClガスのキャリアガスであるN2ガスとH2ガスの分圧はサンプル毎にそれぞれ表1の通りに変化させた。
結果Hmax,Hmin,Haveを表1に示す。Haveは、基板全面での基板の反りHの平均値である。
実施例1で得たGaN基板を用いて単層膜をエピタキシャル成長させ、その膜厚分布を調べた。
サンプルNo.1〜13のGaN基板を用いて、図5に示すMOVPE装置を用いてMO
VPE法により、AlGaNの単層を成長させた。成長条件は、有機金属原料としてトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)を、ガス原料としてNH3ガスを、キャリアガスとしてH2ガス及びN2ガスを用いた。
流量 TMG:100sccm、TMA:100sccm、NH3:30l/min、H2:75l/min、N2:50l/min
温度 1,000℃
圧力 300Torr
成長時間 120分間
である。
また、基板ホルダは、各サンプルNo.1〜13のHaveの値に対応した反り量に設定
し、基板ホルダの中心を対称とした均一な反り形状のものを用いた。
AlGaNの単層は、Al0.05Ga0.95Nの組成を成長させた。成長後の膜厚を分光エリプソメトリー(JOBIN YVON社製 型式:UVISEL)により図2に示す位置の29点を測定した。AlGaNの単層を測定した膜厚の位置を符号30で示す。測定結果が下記の表である。
12 反応管
13 反応ガス(NH3)導入管
14 エッチングガス(HCl)導入管
15 反応ガス(HCl)導入管
16 金属Ga
17 基板ホルダ
18 基板
20 原料載置室
21 排気口
28 窒化物半導体基板
28a 基板裏面
28c 基板端部
30 AlGaN単層を測定した膜厚の位置
33 平坦面
L 基板中心線
RHmax 線分
RHmin 線分
Claims (2)
- 基板表面側に凹の反りを負、基板表面側に凸の反りを正とし、基板裏面の一端から基板中心線上を通り前記基板裏面の他端に至る線分を引き、該線分で基板を基板厚さ方向に切断したとき、引いた前記線分上の任意の点から切断面の裏面側輪郭線までの距離の最短値のうち、最大のものを直径方向の反りHと定義した場合に、
前記直径方向の反りHを基板周方向にわたって求め、その最大のものをHmaxとし、最小のものをHminとしたとき、前記直径方向の反りHが、Hmax−Hmin≦30μmとなるように規定されている窒化物半導体基板。 - 前記直径方向の反りHが、
Hmax−Hmin≦20μm
となるように規定されている請求項1に記載の窒化物半導体基板。
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