JP2013212946A - Iii族窒化物半導体結晶 - Google Patents

Iii族窒化物半導体結晶 Download PDF

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泰宏 内山
Takeshi Fujito
健史 藤戸
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哲 長尾
Kazumasa Kiyomi
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Abstract

【課題】窒化ガリウム等のIII族窒化物半導体結晶を基板に用いて長波長領域の発光素子を製造する場合、格子定数との不一致が生じて、所望の発光波長が得られないという問題がある。さらにIII族窒化物半導体結晶は、内部応力によって結晶面が大きく反ってしまい、品質・歩留りの低下要因となる
【解決手段】主面の結晶面が成長方向に凸状に湾曲した領域及び成長方向とは逆方向に凸状に湾曲した領域を有するIII族窒化物半導体結晶が、長波長領域の発光素子の基板に好適であり、さらに結晶面の反りを改善した高品質なIII族窒化物半導体結晶となり得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、特定の物性を有するIII族窒化物半導体結晶に関する。
窒化ガリウムに代表されるIII族窒化物半導体は、大きなバンドギャップを有し、またバンド間遷移が直接遷移型であることから、紫外、青色等の発光ダイオード、半導体レーザ等の比較的短波長側の発光素子として実用化されている。また、活性層のインジウム組成を制御することにより、より長波長側の発光も可能となるため、青色〜赤色に亘る可視波長領域での発光が可能となる。
これらの素子の製造に用いられる基板の品質は、素子の特性に大きく影響するため、品質の高い結晶を作製することができる製造方法が求められている。特に窒化ガリウム基板は転位密度の低減が課題になっており、例えば、下地基板上にストライプ状のマスク層を形成してファセット成長させることにより、転位密度の低い領域を形成することができることが報告されている(特許文献1及び2参照)。
特開2003−183100号公報 特開2007−131527号公報
従来のIII族窒化物半導体結晶を用いて長波長領域の発光素子を製造する場合、インジウム組成の増加に伴って活性層の格子定数が大きくなるため、基板等の格子定数との不一致が生じて、所望の発光波長が得られないという問題があった。
また、従来のIII族窒化物半導体結晶は、内部応力によって結晶面が大きく反ってしまうため、下地基板として用いる場合に特性が均一なデバイスを大量に製造することが困難であった。
本発明は、長波長領域の発光素子の基板に好適であり、さらに結晶面の反りを改善した高品質なIII族窒化物半導体結晶を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、主面の結晶面が成長方向に凸状に湾曲した領域及び成長方向とは逆方向に凸状に湾曲した領域を有するIII族窒化物半導体結晶が、長波長領域の発光素子の基板に好適であり、さらに主面の結晶面の反りを改善できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は以下の通りである。
<1>主面の結晶面が成長方向に凸状に湾曲した領域(領域A)及び成長方向とは逆方向に凸状に湾曲した領域(領域B)を有することを特徴とするIII族窒化物半導体結晶。<2> 前記領域A及び前記領域Bが結晶内でランダムに配置されている、<1>に記載のIII族窒化物半導体結晶。
<3> 前記領域A及び前記領域Bが主面と平行な一方向に長い直方体状領域であり、さらに前記領域A及び前記領域Bが交互かつ規則的に配列されている、<1>又は<2>に記載のIII族窒化物半導体結晶。
<4> 前記主面と平行な一方向がm軸方向である、<3>に記載のIII族窒化物半導
体結晶。
<5> 下地基板上に成長阻害層を形成し、ファセット成長させることによって製造される、<1>〜<4>の何れかに記載のIII族窒化物半導体結晶。
<6> 前記成長阻害層の形状が、ドット状又はライン状である、<5>に記載のIII族窒化物半導体結晶。
<7> 酸素がドーピングされている、<1>〜<6>の何れかに記載のIII族窒化物半導体結晶。
本発明によれば、長波長領域の発光素子の基板に好適であり、さらに結晶面の反りを改善した高品質なIII族窒化物半導体結晶を提供することができる。
結晶面の湾曲を表した断面模式図である。 領域A及び領域Bが主面と平行な方向に長く、さらに領域Aと領域Bが交互かつ規則的に配列した結晶体の模式図である。 下地基板上に成長阻害層(マスク層)を形成したファセット成長法によって形成した結晶の断面模式図である。 HVPE法に用いられる製造装置の模式図である。 X線回折装置の構成図とサンプルの測定位置を表す模式図である。 領域A及び領域Bを有するIII族窒化物半導体結晶のロッキングカーブ測定結果である。 領域A及び領域Bを有するIII族窒化物半導体結晶の格子定数測定結果である。
本発明のIII族窒化物半導体結晶について以下詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り、これらの内容に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本願明細書においてIII族窒化物半導体結晶の「主面」とは、当該III族窒化物半導体結晶における最も広い面であって、結晶成長を行うべき面を指す。本願明細書において、「C面」とは、六方晶構造(ウルツ鋼型結晶構造)における{0001}面であり、c軸に直交する面である。かかる面は極性面であり、III族窒化物半導体結晶では「+C面」はIII族面(窒化ガリウムの場合はガリウム面)であり、「−C面」は窒素面である。
また、本願明細書において、「M面」とは{1−100}面と等価な面であり、具体的には(1−100)面、(01−10)面、(−1010)面、(−1100)面、(0−110)面、或いは(10−10)面であり、m軸に直交する面である。かかる面は、通常は劈開面である。
また、本願明細書において、「A面」とは{2−1−10}面と等価な面であり、具体的には(2−1−10)面、(−12−10)面、(−1−120)面、(−2110)面、(1−210)面、或いは(11−20)面であり、a軸に直交する面である。本明細書において「c軸」「m軸」「a軸」とは、それぞれC面、M面、A面に垂直な軸を意味する。
なお、本明細書においてC面、M面、A面や特定の指数面を称する場合には、±0.01°以内の精度で計測される各結晶軸から10°以内のオフ角を有する範囲内の面を含む。好ましくはオフ角が5°以内であり、より好ましくは3°以内である。
<本発明のIII族窒化物半導体結晶>
本発明のIII族窒化物半導体結晶は、主面の結晶面が成長方向に凸状に湾曲した領域(以下、「領域A」ともいう。)、及び成長方向とは逆方向に凸状に湾曲した領域(以下「領域B」ともいう。)を有することを特徴とする。ここで、「主面の結晶面」とは、得られるIII族窒化物半導体結晶の主面に相当する結晶面を意味し、通常は下地基板の主面の結晶面と一致する。また、「結晶面」とは、結晶格子内の原子を任意に含む平面を意味するものであるが、本発明において「主面の結晶面」とは結晶の主面となる結晶面を意味するものとし、図1の断面模式図中では5に示される線がこれに該当する。また、「成長方向」とは、結晶全体の成長において主として成長する方向であり、結晶の厚み方向に相当する。また、通常下地基板の主面と垂直な結晶軸上の方向であり、結晶が成長する側の方向を意味する(図1中の3)。具体的に例示すると、+C面を主面とする下地基板上にファセット成長にてIII族窒化物半導体結晶層を成長させてIII族窒化物半導体結晶を得る場合では、得られたIII族窒化物半導体結晶の成長面が主面に相当するが、該主面がファセット成長により凹凸を有していたとしても+C面が主面の結晶面であるとする。また、この場合の成長方向は+c軸方向である。「主面の結晶面が成長方向に凸状に湾曲した領域(領域A)」とは、主面内における少なくとも一方向から観察した場合において、主面の結晶面が成長方向に凸状に湾曲している領域を意味するものとするが、結晶面の反りを改善したい方向に沿って湾曲している領域であることが好ましく、何れの方向から観察して場合であっても凸状に湾曲している領域であることがより好ましい。同様に「成長方向とは逆方向に凸状に湾曲した領域(領域B)」とは、主面内における少なくとも一方向から観察した場合において、主面の結晶面が成長方向とは逆方向に凸状に湾曲している領域を意味するものとするが、結晶面の反りを改善したい方向に沿って凸状に湾曲した領域であることが好ましく、何れの方向から観察した場合であっても凸状に湾曲した領域であることがより好ましい。図1に示される結晶の断面模式図を参照して説明すると、7に示される部分が領域Aに該当し、8に示される部分が領域Bに該当する。
従って、「主面の結晶面が成長方向に凸状に湾曲した」状態とは、例えば、C面を主面とする結晶の場合、結晶中のC面が[0001]の方向に突き出た状態が該当する。
主面の結晶面が成長方向に凸状に湾曲すると、かかる領域では主面の結晶面の結晶軸(主面と平行な結晶軸)が伸長されて、平坦な主面の結晶面に比べて格子定数が大きくなる。例えば、C面を主面とする結晶の場合、a軸及び/又はm軸方向に伸長されて、a軸及び/又はm軸の格子定数が大きくなる傾向にある。従って、かかる主面の結晶面は、格子定数の大きい結晶、例えばインジウム組成の高い結晶を形成させるための基板として適している。また、従来法で製造されるIII族窒化物半導体結晶は、結晶全体に亘り主面の結晶面が成長方向とは逆方向に反る、つまり成長方向とは逆方向に凸状に湾曲する傾向にあり、基板として用いる場合の品質・歩留りの低下要因となっていた。本発明のように成長方向に凸状に湾曲した領域(領域A)と成長方向とは逆方向に凸状に湾曲した領域(領域B)の両方を有することによって、結晶全体としての主面の結晶面の反りを改善することができる。
本発明における領域Aの凸状の湾曲は、主面の結晶面が成長方向に凸状に突き出していれば、その形態は特に限定されないが、例えば、X線回折装置を用いた微少領域ロッキングカーブ連続測定の値によっても把握することができる。この場合、結晶全体での反り(湾曲)を測定する場合よりもビーム径を絞って、幅が1mm以下のような狭い範囲において多数の点での測定を行い、ミクロな範囲での反り(湾曲)を測定することとなる。図5に示すとおり、結晶の成長主面上において測定位置の基準点206をX=0とした場合、左方向をXのマイナス方向として基準点206からマイナス方向に向かって特定の間隔で連続してロッキングカーブ測定を実施する。そこで得られたωのピーク値に関し、基準点206におけるピーク値(ω)と左方向へ移動したときのピーク値(ω)との差(ω−ω)をΔωとした場合、Δωが0.00超過である領域が本発明における領域Aと判断することができる。逆に、測定位置の基準点をX=0とした場合、右方向をXのプラス方向として基準点206からプラス方向に向かって特定の間隔で連続してロッキングカーブを測定し、基準点206におけるピーク値(ω)と右方向へ移動したときのピーク値(ω)との差(ω−ω)をΔωとした場合、Δωが0.00より小さい領域が本発明における領域Aと判断することができる。このときのωは例えば、図5の205における測定値である。本発明における領域Aの凸状の湾曲は、ピークのΔωが40mmの範囲において、通常−2.0〜+2.0、好ましくは−1.0〜+1.0、より好ましくは−0.2〜+0.2である。
また、本発明における領域Bの湾曲についても、領域Aと同様にしてX線回折装置を用いた微少領域ロッキングカーブ連続測定の値によって把握することができる。具体的には、図5に示すとおり、結晶の成長主面上において測定位置の基準点206をX=0とした場合、左方向をXのマイナス方向として基準点206からマイナス方向に向かって特定の間隔で連続してロッキングカーブ測定を実施する。そこで得られたωのピーク値に関し、基準点206におけるピーク値(ω)と左方向へ移動したときのピーク値(ω)との差(ω−ω)をΔωとした場合、Δωが0.00より小さい領域が本発明における領域Bと判断することができる。このときのωは例えば、図5の207における測定値であり、Δωが0.00超過である領域を含まない。
逆に、測定位置の基準点をX=0とした場合、右方向をXのプラス方向として基準点206からプラス方向に向かって特定の間隔で連続してロッキングカーブを測定し、基準点206におけるピーク値(ω)と右方向へ移動したときのピーク値(ω)との差(ω−ω)をΔωとした場合、Δωが0.00超過である領域が本発明における領域Bと判断することができる。このとき、Δωが0.00より小さい領域を含まない。本発明における領域Bの湾曲は、ピークのΔωが40mmの範囲において、通常−2.0〜+2.0、好ましくは−1.0〜+1.0、より好ましくは−0.2〜+0.2である。
また、本発明における領域A及び領域Bの凸状の湾曲の形態については、湾曲部分の格子定数によっても把握することができる。例えば、X線回折測定等によって結晶の成長主面上の格子定数、特に主面と平行な結晶軸(例えば、C面を主面とする結晶の場合のa軸やm軸)の格子定数の分布を測定し、その結果に基づいて領域A及び領域Bを判断する上での基準値を設定することにより、領域A又は領域Bの凸状の湾曲の形態についても把握することができる。領域A及び領域Bを判断する上での基準値として、例えば、領域Aが形成するように条件設定を行った領域における主面と平行な結晶軸の格子定数の平均値と、領域Bが形成するように条件設定を行った領域における主面と平行な結晶軸の格子定数の平均値の中間値が好適なものとして挙げられる。かかる基準値よりも主面と平行な結晶軸の格子定数が大きな領域が本発明における領域Aと、かかる中間値よりも小さな領域が本発明における領域Bと判断することができる。ここで、測定した格子定数の値が、領域Aが形成するように条件設定を行った領域に属する値であるか、或いは領域Bが形成するように条件設定を行った領域に属する値であるかの判別は、設定したパターンによって判断することが可能である。例えば、主面と平行な結晶軸の格子定数が最も小さくなった測定位置を領域Bが形成するように条件設定を行った領域の中心位置と仮定すると、あとは設定したパターンによって、領域Aが形成するように条件設定を行った領域に属する格子定数と領域Bが形成するように条件設定を行った領域に属する格子定数を判別することができる。
本発明における領域Aの凸状の湾曲は、主面と平行な結晶軸の格子定数が前述の中間値より大きなものであれば特に限定されないが、主面と平行な結晶軸の格子定数が前述の中間値よりも25%大きなものであることが好ましく、前述の中間値よりも50%以上大きなものであることがより好ましい。
本発明のIII族窒化物半導体結晶は、結晶全体に亘る主面の結晶面の反りを改善することを課題としており、かかる反りの曲率半径は限りなく大きい方が好ましいが、通常0
.6m以上、好ましくは1.2m以上、より好ましくは5.8m以上である。上記範囲であると、基板として用いる場合に良好な品質を確保することができる。主面の結晶面の曲率半径としては、主面の結晶面と略平行ないずれかの結晶軸(例えば、c軸方向に成長させて得られたIII族窒化物半導体結晶においては、a軸及び/又はm軸)方向の曲率半径が上記範囲内であることが好ましい。ここで、曲率半径はX線回折測定などにより測定される結晶軸の傾きから、結晶面の反りを示すものとして公知の方法により算出することができる。
本発明のIII族窒化物半導体結晶は、領域Aにおける主面の結晶面の曲率半径が上凸0.5〜上凸1.0mであり、領域Bにおける前記結晶面の曲率半径が下凸0.05〜下凸0.5mであることが好ましい。このような本発明のIII族窒化物半導体結晶は、領域Aおよび領域Bというミクロな範囲での曲率半径は比較的小さく、結晶面の反りが顕著であるが、領域Aと領域Bの各々の反りの方向が相反するために、結晶全体としての反りが抑制され、結晶全体としてマクロな範囲での曲率半径は大きくなる。
本発明のIII族窒化物半導体結晶は、上述のように、領域Aにおける主面の結晶面の曲率半径が上凸0.5〜上凸1.0mであり、領域Bにおける主面の結晶面の曲率半径が下凸0.05〜下凸0.5mであることが好ましいが、領域Aにおける結晶面の曲率半径は上凸0.60m以上であることがより好ましく、上凸0.65m以上であることがさらに好ましく、上凸0.70m以上であることが特に好ましい。また、領域Aにおける結晶面の曲率半径は上凸0.90m以下であることがより好ましく、上凸0.85m以下であることがさらに好ましく、上凸0.80m以下であることが特に好ましい。
一方、領域Bにおける結晶面の曲率半径は下凸0.06m以上であることがより好ましく、下凸0.07m以上であることがさらに好ましく、下凸0.08m以上であることが特に好ましい。また、領域Bにおける結晶面の曲率半径は下凸0.40m以下であることがより好ましく、下凸0.30m以下であることがさらに好ましく、下凸0.20m以下であることが特に好ましい。
本発明における領域Aの結晶全体に占める割合及び分布は、特に限定されないが、結晶全体に占める領域Aの割合は、通常85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上である。上記範囲であると、主面の結晶面全体としての反りを適度に改善することができる。また、領域Aの数は多いほど好ましい。領域Aの数が多くなると格子定数が大きくなるため、より長波長領域の発光素子の基板に好適に用いることができる可能性がある。また、領域Bの結晶全体に占める割合は、通常15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下である。よって、領域Aと領域Bの割合(領域A/領域B)は、通常0.176以下、好ましくは0.111以下、より好ましくは0.075以下である。領域Aに対する領域Bの割合が上記範囲を満たす場合には、領域Aと領域Bとで反りのバランスがとれ、結晶全体に亘る主面の結晶面の反りを改善しやすい傾向となる。また、領域Aは、通常350μm角以上の大きさ、好ましくは750μm角以上の大きさ、さらには1mm角以上の大きさを有することが好ましい。上記範囲であると、デバイス等を作製するための大きさを充分に確保することができる。また、領域A及び領域Bの分布は規則的に配列されていても、ランダムに分散していてもよい。ただし、領域Aの存在によっての反りを改善されるため、領域Aは結晶全体に広く分布している方が好ましい。
領域A及び領域Bの分布に係る好ましい具体例としては、図2に示される結晶のように、領域A及び領域Bが主面と平行な何れか一方向に長い直方体状であり、さらに領域Aと領域Bが交互かつ規則的に配列した状態にあるもの、即ち主面を表側とした場合に、領域Aと領域Bがストライプ状に配列されているものが挙げられる。領域Aの好ましい幅は、凸状の湾曲の形態によっても異なるが、通常100〜3000μm、好ましくは200〜2000μm、より好ましくは400〜1500μmである。また、領域Bの幅も特に限
定されず、通常5〜500μm、10〜250μm、が好ましく、20〜150μm、がより好ましい。
本発明のIII族窒化物半導体結晶は、III族金属を含む窒化物半導体結晶であればその種類は特に限定されないが、GaN、AlN、InN等の1種類のIII族金属からなる窒化物のほかに、GaInN、AlGaN等の2種類以上のIII族金属からなる混晶も挙げられる。
また、本発明のIII族窒化物半導体結晶は、結晶内キャリア濃度が1×1018cm-3以上であることが好ましく、1×1019cm-3であることがより好ましい。結晶内のキャリア濃度が高いと、結晶内の抵抗率が低く、導電性に優れた半導体結晶となる。上記結晶内のキャリア濃度は、van der Pauw法によるホール測定を用いて測定することができる。
本発明のIII族窒化物半導体結晶は、領域A及び領域Bを有するものであれば、その他については特に限定されず、結晶成長後の未加工の状態の結晶でも、或いはスライス工程や表面研磨工程等を経た後の結晶であってもよい。スライス工程としては、例えばワイヤーで切断する操作が挙げられ、表面研磨工程としては、例えばダイヤモンド砥粒等の砥粒を用いて表面を研磨する操作、CMP(chemical mechanical polishing)、機械研磨後RIEでダメージ層エッチングする操作が挙げられる。
本発明のIII族窒化物半導体結晶は、領域A及び領域Bを有するものであれば、その製造方法は特に限定されないが、例えば、下地基板上に成長阻害層(マスク層)を形成し、ファセット面を維持しながら成長(以下、ファセット成長ともいう)させる方法が挙げられる。かかる方法について図3の断面模式図を参照して説明すると、16が下地基板、17が下地基板露出部、18が成長阻害層(マスク層)を表している。下地基板の露出部17から結晶成長が進むと、ファセット面からなる斜面を持った結晶層19が、各下地基板露出部から形成される。結晶層19の斜面、及び隣接した結晶層19の斜面からさらに成長が進み、成長阻害層(マスク層)18上にも結晶が形成される。ファセット面を維持したまま成長を続けることで全体の厚さが増加し、結晶層20が形成される。かかる方法において、成長阻害層(マスク層)のパターンや形態、基板の選択、又は成長条件等を調節することにより、成長阻害層(マスク層)上で主面の結晶面を成長方向と逆方向に凸状に湾曲させ、下地基板の露出部では主面の結晶面を成長方向に凸状に湾曲させることができる。以下、かかる方法の条件について詳細に説明する。
成長阻害層(マスク層)のパターンは、目的とする領域Aの分布形態によっても異なるが、ドット状又はライン状等の何れも採用することができる。例えば、図2のように、領域Aと領域Bが主面と平行な何れか一方向に長い直方体状であり、さらに領域Aと領域Bが交互かつ規則的に配列したIII族窒化物半導体結晶を製造する場合、ラインマスクを規則的に配列したストライプマスクを利用することが好ましい。ストライプマスクの幅は、通常5μm〜500μm、好ましくは10μm〜250μm、さらに好ましくは20μm〜150μmである。また、下地基板の露出部(ストライプウィンドウ)の幅は、通常100μm〜3000μm、好ましくは200μm〜2000μm、さらに好ましくは400μm〜1500μmである。さらに、成長阻害層(マスク層)の厚さは、通常100Å〜10000Å、好ましくは200Å〜5000Å、さらに好ましくは300Å〜1000Åである。
主面がC面である下地基板を用いた場合には、ストライプマスクのライン方向はa軸方向またはm軸方向であることが好ましく、m軸方向であることが好ましい。ライン方向がa軸方向である場合には、ファセット面は通常(10−11)面となり、m軸方向である場合には、ファセット面は通常(11−22)面となる。
成長阻害層(マスク層)の形成方法も特に限定されず、スパッタリング法、CVD法(好ましくはプラズマCVD法)、真空蒸着法等の公知の方法を適宜採用してマスク層を形成した後、公知のフォトリソグラフィ法によって、パターニング、及びエッチングし、所望の形状のマスクを形成することができる。マスク材料も特に限定されず、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム等を利用することができる。
結晶成長に用いる下地基板の種類は特に限定されず、GaN、InGaN、AlGaN等の目的とするIII族窒化物半導体結晶と同種のものを用いるほか、サファイア、ZnO、BeO等の金属酸化物、SiC、Si等の珪素含有物、又はGaAs等を用いることができる。特にGaN、InGaN、AlGaN等の目的とするIII族窒化物半導体結晶と同種のものを用いることが好ましい。
本発明のIII族窒化物半導体結晶を製造するための結晶成長方法は特に限定されず、1.ハライド気相成長法(HVPE法)、
2.有機金属化学蒸着法(MOCVD法)
3.有機金属塩化物気相成長法(MOC法)
4.昇華法
等の公知の気相成長方法を適宜採用することができる。この内、HVPE法またはMOCVD法が好ましく、HVPE法が特に好ましい。以下、結晶成長装置及び結晶成長条件について詳細を説明するに当たり、HVPE法によってGaN結晶を製造する場合の具体例を挙げて説明するが、以下の態様に限定されるものではない。
HVPE法に用いる製造装置として、図4の概念図に示さるような構成を有するものが挙げられる。かかる製造装置はリアクター(反応容器)100、下地基板を載置するためのサセプター108、III族金属源等を入れるリザーバー106、リアクター内にガスを導入するための導入管101〜105、排気するための排気管109、リアクターを加熱するためのヒーター107を備えている。なお、導入管の数は、使用するガスの種類に応じて適宜変更してもよい。
リアクターの材質は、石英、焼結体窒化ホウ素、ステンレス等が用いられるが、特に石英であることが好ましい。サセプターの材質はカーボンであることが好ましく、特にSiCで表面をコーティングしているものが好ましい。サセプターの形状は、下地基板を設置することができる形状であれば特に限定されないが、結晶成長する際に結晶成長面付近に構造物が存在しないものであることが好ましい。結晶成長面付近に成長する可能性のある構造物が存在すると、そこに多結晶体が付着し、その生成物としてHClガスが発生して結晶成長させようとしている結晶に悪影響が及ぶ可能性がある。下地基板とサセプターの接触面は、下地基板の主面(結晶成長面)から1mm以上離れていることが好ましく、3mm以上離れていることがより好ましく、5mm以上離れていることがさらに好ましい。
結晶成長に使用するガス種としては、ガリウム源(III族金属源)となる塩化ガリウム(GaCl)、窒素源となるアンモニア(NH3)、キャリアガス、セパレートガス、ドーパント等が挙げられる。ガリウム源となる塩化ガリウム(GaCl)は、例えばリザーバー106内にガリウム(Ga)を入れ、導入管103から塩化水素(HCl)等のガリウム(Ga)と反応するガスを供給することにより発生させ、供給することができる。リザーバー106内にはガリウム(Ga)のほか、目的に応じてアルミニウム(Al)、インジウム(In)等を入れることもできる。また、導入管103からは塩化水素(HCl)とともにキャリアガスを供給してもよく、キャリアガスとしては水素ガス(H2)、窒素ガス(N2)、ヘリウムガス(He)、ネオンガス(Ne)、アルゴンガス(Ar)又はこれらの混合ガス等を挙げることができる。窒素源となるアンモニアガス(NH3)、キャリアガス、セパレートガス、ドーパント等は導入管101、102、104、105から供給することが挙げられ、セパレートガスとしては水素ガス(H2)、窒素ガス(N2)、ヘリウムガス(He)、ネオンガス(Ne)、アルゴンガス(Ar)又はこれらの混合ガス等が、ドーパントガスとしては酸素(O2)、水(H2O)、シランガス(SiH4)、硫化水素(H2S)等が挙げられる。
排気管109は、リアクター100内壁の上面、底面、側面の何れの位置に存在してもよいが、ゴミ落ちの観点から結晶成長端よりも下部にあることが好ましく、図2のようにリアクター底面に設置されていることがより好ましい。
結晶成長における温度条件は特に限定されないが、成長初期の段階(0〜15分)において、通常800℃〜1200℃、好ましく900℃〜1000℃である。その後の温度条件(本成長)は、通常800℃〜1200℃、好ましくは900℃〜1000℃、さらに好ましくは950℃〜1050℃である。ストライプマスクを用いた場合において、成長初期の段階で上記範囲の比較的低い温度で成長させると、マスク直上に高密度の基底面転位を集約して発生させることができるため、その後の本成長時に形成されるマスク上の結晶にはマスクの長さ方向に広がる力が働き、その主面の結晶面が成長方向とは逆方向に凸状に湾曲する傾向がある。一方で、マスク直上に基底面転位が集約されることで、下地基板の露出部直上には基底面転位が抑制された結晶が成長されるため、その主面の結晶面が成長方向に凸状に湾曲する傾向がある。
また、本成長の成長時間は、特に限定されないが、通常10時間〜100時間であるが、成長膜厚によって成長時間は適宜変更可能である。
さらに、圧力条件も特に限定されないが、大気圧であることが好ましい。
結晶成長の成長速度は、通常80μm/h〜300μm/hの範囲であり、100μm/h以上が好ましく、120μm/h以上がより好ましく、150μm/h以上であることがさらに好ましく、150μm/h以上が特に好ましい。成長速度は、ガスの種類、流量、供給口−結晶成長端距離等によって適宜設定することが可能であるが、例えば、III族源である塩化ガリウム(GaCl)及び/又は窒素源であるアンモニア(NH3)の流量を大きくし、これらのガスの分圧を大きくすることによって成長速度を高めることができる。塩化ガリウム(GaCl)の分圧は、通常3×101〜3×104Pa、好ましくは4×101〜2×103Pa、より好ましくは2×102〜2×103Paである。アンモニア(NH3)の分圧は、通常1×103〜3×105Pa、好ましくは2×103〜2×104Pa、より好ましくは4×103〜1×104Paである。
結晶成長の過程において、酸素(O)、ケイ素(Si)等をドーピングしてもよく、その方法も特に限定されない。例えば酸素をドーピングする方法は、原料ガスの中に酸素源として水を含ませる方法が挙げられる。結晶成長方法がハライド気相成長法(HVPE法)である場合には、原料であるアンモニアガス(NH3)などに水を含ませればよく、アンモニアガス(NH3)には不純物として水が含まれていることが多いため、水を追加しなくても酸素ドープが行われる場合がある。ケイ素をドーピングする場合、シランガス(SiH4)、モノクロロシランガス(SiH3Cl)、ジクロロシランガス(SiH2Cl2)、トリクロロシランガス(SiHCl3)、テトラクロロシランガス(SiCl4)、四フッ化ケイ素ガス(SiF4)等を原料ガスに混合する方法が挙げられる。
結晶成長は下地基板を回転させながら行うことが好ましい。下地基板の回転速度は、特に限定されないが、1〜50rpmであることが好ましく、5〜20rpmであることがより好ましい。
本発明のIII族窒化物半導体結晶は、さまざまな用途に用いることができる。特に紫外〜青色の発光ダイオード又は半導体レーザ等の比較的短波長側の発光素子、及び緑色〜赤色の比較的長波長側の発光素子を製造するための基板として、さらに電子デバイス等の半導体デバイスの基板としても有用である。
以下、実施例と比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例に示す具体的な形態にのみ限定的に解釈されることはない。
<実施例>
(1)下地として、研磨仕上げを行った窒化ガリウム基板(C面が主面)を準備した。
(2)上記窒化物半導体基板上(C面上)に、プラズマCVD法によって、厚さ800ÅのSiNx膜を形成した。
(3)フォトリソグラフィによってストライプパターンを露光し、現像を行って、ドライエッチングによりSiNxのストライプパターンを形成した。ストライプパターンは、成長すべき窒化ガリウムのm軸に平行になるように配置している。SiNxのライン幅は50μmとし、窒化ガリウム露出部の幅は400μmとした。450μmピッチのストライプパターンである。
(4)HVPE装置サセプター上の基板ホルダーに、+Cが上向きで上記基板をセットした。この時−C面は基板ホルダーに接しており、直接原料ガスと触れることはない。
(5)反応室の濃度を970℃に上げ、原料を+C面方向から供給することにより、初期成長を15分間成長した。
(6)反応室の温度を1005℃まで上げ、原料を+C面方向から供給することにより、Oドープ窒化ガリウムを成長させた。ここで、Oドープはファセット成長によって実現している。この成長工程においては成長圧力を1.01×105Paとし、NH3ガスの分圧を8.13×103Pa、N2ガスの分圧を1.17×104Pa、GaClガスの分圧を7.00×102Pa、H2ガスの分圧を8.04×104Paとし、原料を導入管より導入した。
(7)30時間成長した後、室温まで降温した。
(8)得られた窒化ガリウム単結晶の形状は表面がラインのファセット成長が維持された凹凸を有する円状であり、c軸方向の膜厚が約3.3mmであった。主面(C面)の面積は、60mmの下地基板を使用した結果、有効径が57mmになり、10207mm2であった。また、得られた窒化ガリウム単結晶の主面の結晶面の反りを観測するためC面の曲率半径をX線回折測定装置にて測定したところ、a軸方向(ストライプパターンのライン方向に垂直な方向)では1.39m、m軸方向(ストライプパターンのライン方向)では11.6mとなった。実施例の成長条件を表1に、得られた窒化ガリウム単結晶の状態を表2に示す。
<比較例>
(1)下地として、研磨仕上げを行った窒化ガリウム基板を準備した。
(2)HVPE装置サセプター上の基板ホルダーに、+Cが上向きで上記基板をセットした。この時−C面は基板ホルダーに接しており、直接原料ガスと触れることはない。
(3)反応室の温度を1040℃に上げ、原料を+C面方向から供給することにより、窒化ガリウムを成長させた。この成長工程においては成長圧力を101.3×103Paとし、NH3ガスの分圧を7.02×103Pa、N2ガスの分圧を1.79×104Pa、GaClガスの分圧を7.36×102Pa、H2ガスの分圧を7.35×104Paとし、原料を導入管より導入した。
(7)24時間成長した後、室温まで降温した。
(8)得られた窒化ガリウム単結晶は鏡面を有する円状であり、c軸方向の膜厚が約2.4mmであった。主面(C面)の面積は、55mmの下地基板を使用した結果、有効径が50mmになり、1963mm2であった。表1に実施例1の成長条件および成長結果を示す。また、得られた窒化ガリウム単結晶のC面の曲率半径は、a軸方向では2.00m、m軸方向では2.46mとなった。比較例の成長条件を表1に、得られた窒化ガリウム単結晶の状態を表2に示す。
<微小領域ロッキングカーブ連続測定>
実施例で得られた結晶の表面を平坦に加工し、C面のサンプルを作製して、(006)面のX線回折測定を行った。X線回折測定にはパナリティカル製X'Pert Pro MRDを用い、X線管球をラインフォーカスとし、発散スリットをGe(220)非対称2回反射モノクロメーターの手前に挿入し、モノクロメーターの先にピンホールコリメーターを装着し下記ビームを得た。ディテクターは比例計数型検出器を用いた。ビーム径はガウシアン関数による近似でのFWHMで、水平方向:100μm、鉛直方向:100μmであった。当該X線ビームを用い、図5に示すようにビームの鉛直方向とストライプマスクのライン方向が平行になるようにサンプルを配置し、C面内の微小領域のロッキングカーブ(ωスキャン)を測定した。ロッキングカーブの測定は、ストライプマスクのライン方向と直交する方向にスキャンして行った。図5にサンプルのビーム照射位置とスキャン方向を示す。図5の左右の方向を微小間隔で測定することにより、隣接するラインファセットを跨るときのロッキングカーブの変化を捉えることができる。ロッキングカーブの測定間隔は50μmとした。図5中の基準点をX=0とし、左方向をXのマイナス方向としてロッキングカーブを測定し、中心におけるピーク値と左方向へ移動したときのそれぞれのピーク値の差をΔωとした。
ロッキングカーブ測定の結果を図6に示す。X軸はロッキングカーブのピーク値の中心位置からの変位量であり、主面の結晶面(C面)の湾曲を表す。Y軸はスキャン方向であり、ストライプマスク上の主面の結晶面と下地露出部の主面の結晶面の状態を交互に観測している。結果、ロッキングカーブのピーク値が周期的に変化しており、主面の結晶面(C面)がc軸成長方向に凸状に湾曲する領域(領域A)とc軸成長方向とは逆方向に凸状に湾曲した領域(領域B)が周期的に存在することが判明した。この領域Aの曲率半径は上凸0.5m〜上凸1.0mであり、領域Bの曲率半径は下凸0.05〜下凸0.5mであった。さらに、領域Aは下地露出部であることが、領域Bは成長阻害層(マスク層)上であることが判明した。また、比較例はC面成長しているため、実施例のような周期的な主面の結晶面の形状変化はなく、主面の結晶面全体として成長方向とは逆方向に反っていることが確認された。さらに、表2の曲率半径の測定結果から、C面の曲率(m軸方向)が改善されていることが明らかである。
<同一箇所の格子定数と微小領域ロッキングカーブの連続測定>
実施例で得られた結晶の格子定数を算出するため、X線回折による格子面間隔測定を行った。X線回折測定にはパナリティカル製X'Pert Pro MRDを用い、X線管球をラインフォーカスとし、発散スリットをGe(220)非対称2回反射モノクロメーターの手前に挿入し、モノクロメータの先にピンホールコリメーターを装着し下記ビームを得た。ディテクターは比例計数型検出器を用いた。ビーム径はガウシアン関数による近似でのFWHMで、水平方向:50μm、鉛直方向:200μmであった。サンプルはa軸方向(ストライプに垂直な方向)が水平方向に、m軸方向(ストライプに平行な方向)が鉛直方向になるようにサンプルステージに固定した。ビーム径50×200μmのX線照射によって、C面内の格子定数を30μm間隔で測定した。a軸方向(ストライプに垂直な方向)に沿って(006)面および(−1−14)面の2θ‐ωスキャンを30μm間隔で連続的に行い、格子面間隔の変化を調べた。このとき同一箇所で(006)回折のロッキングカーブ(ωスキャン)測定も行い、ロッキングカーブのピーク値の変化と格子定数の関係を調べた。各々の格子面間隔は2θ‐ωスキャンのスペクトルをガウシアン関数によりフィッティングしピークを求め、それより動力学的理論に基づく計算により求めた。2θ‐ωスキャンの際受光側にはGe(220)3回反射型モノクロメーター(所謂アナライザー)と比例計数型検出器を用いた。X線装置筐体内の温度は24.5±1℃以内に制御し、温度変動の測定への影響の抑制に努めた。2θの原点は測定開始時に較正し、測定終了後ずれがないことを確認した。
a軸長およびc軸長と格子面間隔の関係を与える以下の式を用い、実測した(006)面および(−1−14)面の格子面間隔から、c軸長およびa軸長を求めた。
d=((1/((h2+k2+hk)4/3a2+l2/C2))1/2
ここでdは格子面間隔、aおよびcはそれぞれa軸長およびc軸長である。(hkl)は当該格子面のミラー指数である。結果を図7に示す。
主面の結晶面(C面)がc軸成長方向に凸状に湾曲する領域(領域A)では、a軸の格子定数に大きくなり、c軸成長方向とは逆方向に凸状に湾曲した領域(領域B)では、a軸の格子定数が小さくなっていることが確認された。これは領域Aでは主面の結晶面が広げられるような力がかかり、a軸長が長くなったためであると考えられる。また、領域Bでは主面の結晶面が縮められる力がかかり、a軸長が短くなったためであると考えられる。即ち、主面の結晶面を成長方向に凸状に湾曲させることによって、主面の結晶面に平行な結晶軸の格子定数を大きくすることができることが明らかである。
1 下地基板
2 結晶の格子
3 成長方向
4 成長方向の逆方向
5 主面の結晶面
6 主面の結晶面が平坦な領域
7 主面の結晶面が成長方向に凸状に湾曲した領域(領域A)
8 主面の結晶面が成長方向とは逆方向に湾曲した領域(領域B)
9 下地基板
10 結晶
11 湾曲した主面の結晶面
12 主面の結晶面が成長方向に凸状に湾曲した領域(領域A)
13 主面の結晶面が成長方向とは逆方向に湾曲した領域(領域B)
14 成長方向
15 成長方向の逆方向
16 下地基板
17 下地露出部
18 成長阻害層(マスク層)
19 下地露出部から最初に形成される結晶層
20 結晶層19からファセット成長を維持することにより形成される結晶層
100 リアクター
101 キャリアガス用配管
102 ドーパントガス用配管
103 III族原料用配管
104 V族原料用配管
105 HClガス用配管
106 III族原料用リザーバー
107 ヒーター
108 サセプター
109 排気管
110 基板ホルダー
G1 キャリアガス
G2 ドーパントガス
G3 III族原料ガス
G4 V族原料ガス
G5 HClガス
200 測定サンプル
201 X線光源
202 検出器
203 下地露出部上に形成された結晶層
204 マスク(SiNx)上に形成された結晶層
205 X線ビームスポット
206 基準点(X=0)
207 X線ビームスポット

Claims (7)

  1. 主面の結晶面が成長方向に凸状に湾曲した領域(領域A)及び成長方向とは逆方向に凸状に湾曲した領域(領域B)を有することを特徴とするIII族窒化物半導体結晶。
  2. 前記領域A及び前記領域Bが結晶内でランダムに配置されている、請求項1に記載のIII族窒化物半導体結晶。
  3. 前記領域A及び前記領域Bが主面と平行な一方向に長い直方体状領域であり、さらに前記領域A及び前記領域Bが交互かつ規則的に配列されている、請求項1又は2に記載のIII族窒化物半導体結晶。
  4. 前記主面と平行な一方向がm軸方向である、請求項3に記載のIII族窒化物半導体結晶。
  5. 下地基板上に成長阻害層を形成し、ファセット成長させることによって製造される、請求項1〜4の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体結晶。
  6. 前記成長阻害層の形状が、ドット状又はライン状である、請求項5に記載のIII族窒化物半導体結晶。
  7. 酸素がドーピングされている、請求項1〜6の何れか1項に記載のIII族窒化物半導体結晶。
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