JP2010251303A - 塗布方法および有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

塗布方法および有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大面積を効率的にパターン塗布可能な塗布法を提供する。
【解決手段】本発明の塗布方法は、塗布液を上方に吐出するノズルに対して上方に配置される被塗布体に前記塗布液を塗布する塗布方法であって、ノズルから吐出される塗布液が前記被塗布体に接液した状態で、該ノズルと被塗布体とを所定の塗布方向に相対移動する塗布工程と、前記塗布液を前記被塗布体から離液させた状態で、前記ノズルと被塗布体とを前記塗布方向に相対移動する非塗布工程とを含み、複数のスリット状吐出口を備えるノズルを用いて、前記塗布工程と前記非塗布工程との2つの工程を交互に繰返すことを特徴とする塗布方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、塗布液を被塗布体に塗布する塗布方法、並びに該塗布方法を用いる有機エレクトロルミネッセンス素子および有機光電変換素子の製造方法に関する。
電圧を印加することにより発光する素子の一つとして、発光部が有機物によって構成される有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という場合がある。)がある。有機EL素子は、一対の電極と、該電極間に設けられる1または複数の有機層を含んで構成され、通常、各構成要素を順次積層することにより形成される。有機EL素子は、有機層として少なくとも発光層を備え、電圧を印加することにより注入される正孔と電子とが発光層において結合することで発光する。
有機層の形成方法としては、その工程の簡易さから塗布法を用いることが検討されている。塗布法を用いる場合、有機層となる有機材料を含む塗布液を所定の塗布法を用いて塗布することにより塗布膜を形成し、さらにこれを乾燥させることにより有機層を形成している。このような塗布法としては、インクジェットプリント法、スピンコート法、および毛管現象を利用したキャピラリーコート法などが考えられる。
表示装置の各画素として有機EL素子を使用する場合、微細な有機EL素子を作製する必要があるので、塗布法としては微細なパターン塗布が可能な塗布法が適している。このような塗布法としては、塗布液の微細なパターニングや、塗布液の種類ごとの塗り分けが可能なインクジェットプリント法が適している。
他方、照明装置などに用いられる有機EL素子は、表示装置の画素に用いられる有機EL素子のようには微細なものである必要がなく、画素に用いられる有機EL素子と比較すると通常は非常に大型なものもとなる。従って照明装置などに用いられる有機EL素子を形成する際の塗布法としては、広範囲に均一な膜厚の塗布膜を効率的に塗布することができる塗布法が適している。前述したインクジェットプリント法は、微細なパターン塗布が可能であるが、広範囲に均一な膜厚の塗布膜を効率的に塗布することは困難であり、照明装置などに用いられる有機EL素子を形成する際の塗布法としては不向きである。なお広範囲に簡便に塗布液を塗布する方法としてはスピンコート法が考えられるが、この塗布法は、塗布液を塗布する基板を高速でかつ安定的に回転させる必要があるので、作製する有機EL素子の大型化にともなってその製造装置も大型化する必要があり、有機EL素子のさらなる大型化には最適な塗布法とは必ずしもいえない。またスピンコート法は、塗布液を塗布する基板を高速でかつ安定的に回転させる必要があるので、可撓性を有するフレキシブル基板を用いた有機EL素子の製造には不向きである。さらにスピンコート法は、塗布液をスピンコートする際に、不要な塗布液が排除されるので塗布液の利用効率が低くなる。そこで広範囲に均一な膜厚の塗布膜を効率的に塗布する方法としては、塗布液の利用効率及び素子の大型化の観点から、毛管現象を利用したキャピラリーコート法が適している(例えば特許文献1参照)。
特開2004−164873号公報
従来のキャピラリーコート法を用いることによって、広範囲に均一な膜厚の塗布膜を効率的に塗布することが可能ではあるが、通常用いられているキャピラリーコート法ではパターン塗布が困難である。図7は、被塗布体1を示す平面図である。なお図7では、被塗布体1上において、パターン塗布すべき個所2にハッチングを施している。図7に示す例では、行方向、列方向にそれぞれ所定の間隔をあけて配置される複数の矩形状の領域をパターン塗布する例を示している。これらの領域は表示装置の画素と比べると、非常に大面積である。従来のキャピラリーコート法では塗布液をパターン塗布することができないため、通常は、まず被塗布体1の全面に塗布液を塗布し、その後、不要な個所に塗布された塗布液を除去することにより、被塗布体1上の所定の領域にのみ塗布液をパターン塗布している。塗布液を除去する方法としては、物理的に拭取る(剥ぎ取る)方法、レーザーアブレーションなどが挙げられる。
このように従来の塗布法では、不要な箇所に塗布された塗布液を除去する工程が必要となるので、工程数が増加するとともに、塗布液の利用効率が低下し、結果として製造コストが高くなるという問題がある。さらに、塗布液を除去する工程において不要な異物が塗布膜に混入するおそれがあり、製造された素子の信頼性が低下するという問題もある。以上のことから塗布液を除去する工程が不要で、かつ大面積を効率的に塗布可能な塗布法が求められている。
従って本発明の目的は、大面積をパターン塗布可能な塗布法を提供することである。
本発明は、塗布液を上方に吐出するノズルに対して上方に配置される被塗布体に前記塗布液を塗布する塗布方法であって、
ノズルから吐出される塗布液が前記被塗布体に接液した状態で、該ノズルと被塗布体とを所定の塗布方向に相対移動させる塗布工程と、
前記塗布液を前記被塗布体から離液させた状態で、前記ノズルと被塗布体とを前記塗布方向に相対移動させる非塗布工程とを含み、
複数のスリット状吐出口を備えるノズルを用いて、前記塗布工程と前記非塗布工程との2つの工程を交互に繰り返すことを特徴とする塗布方法である。
また本発明は、ノズルは、スリット状吐出口の短手方向の幅を規定するシムを有し、
該シムは、スリット状吐出口を除く領域に設けられる非通液部を有することを特徴とする塗布方法である。
また本発明は、1または複数の有機層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、
前記塗布方法を用いて有機材料を含む塗布液を被塗布体にパターン塗布し、乾燥させることにより前記有機層を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法である。
また本発明は、前記製造方法によって製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を備える照明装置である。
また本発明は、前記製造方法によって製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面状光源である。
また本発明は、1または複数の有機層を備える有機光電変換素子の製造方法であって、前記塗布方法を用いて有機材料を含む塗布液を被塗布体にパターン塗布し、乾燥させることにより前記有機層を形成する工程を備えることを特徴とする有機光電変換素子の製造方法に関する。
また本発明は前記製造方法によって製造された有機光電変換素子を備える太陽光発電モジュールに関する。
また本発明は前記製造方法によって製造された有機光電変換素子を備えるイメージセンサーに関する。
本発明によれば、塗布液が吐出する複数のスリット状吐出口を備えるノズルを用いて塗布液を塗布するので、塗布方向に垂直な方向に所定の間隔をあけて塗布される複数本の縞状の塗布膜を形成することができる。さらにこのようなノズルを用いて、塗布方向に沿って塗布工程と非塗布工程とを繰返すことにより、塗布方向にもパターン塗布することができる。このように塗布方向に垂直な方向と、塗布方向との両方に対してパターン塗布することにより、結果として二次元的なパターン塗布を行うことができる。これによって、不要な部位に塗布液を塗布することなく、大面積のパターン塗布が可能になるとともに、不要な個所に塗布される塗布液を除去する工程を省略することができる。
発光層を形成するために用いられるキャップコーターシステム11を模式的に示す図である。 ノズル13の側面図である。 ノズル13の上面図である。 図2の切断面線IV−IVから見た断面図である。 図2の切断面線V−Vから見た断面図である。 図3の切断面線VI−VIから見た断面図である。 被塗布体1の平面図である。
本実施の形態の塗布法は、塗布液を上方に吐出するノズルに対して上方に配置される被塗布体に前記塗布液を塗布する塗布方法であって、ノズルから吐出される塗布液が前記被塗布体に接液した状態で、該ノズルと被塗布体とを所定の塗布方向に相対移動させる塗布工程と、前記塗布液を前記被塗布体から離液させた状態で、前記ノズルと被塗布体とを前記塗布方向に相対移動させる非塗布工程とを含み、複数のスリット状吐出口を備えるノズルを用いて、前記塗布工程と前記非塗布工程との2つの工程を交互に繰返す。本明細書において「塗布液が被塗布体に接液した状態」とは、塗布液が被塗布体に付着した状態を意味する。
以下、有機EL素子の発光層を形成する際の説明を通して本実施の形態の塗布方法について説明する。本実施の形態の有機EL素子は、一対の電極と、該電極間に設けられる1または複数の有機層を備え、これらを基板上に積層することにより形成される。有機EL素子は、1または複数の有機層として少なくとも発光層を備える。
ノズルから塗布液を上方に吐出する方法としては、毛管力を利用する方法、毛管力と静圧とを利用する方法、静圧を利用する方法、およびポンプを利用する方法などがあり、以下の説明ではその一例として毛管力と静圧とを利用して塗布液を上方に吐出し、塗布液を塗布するキャピラリーコート法について説明する。
図1は、発光層を形成するために用いられるキャップコーターシステム11を模式的に示す図である。以下では、実施の一例として「陽極/発光層/陰極」から成る有機EL素子の製造方法について説明する(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)。例えば陽極、発光層および陰極が基板上にこの順で積層される素子構造の有機EL素子では、陽極が成膜された基板(以下、被塗布体という場合がある。)に発光層が成膜される。以下、本明細書において「上方」および「下方」は、それぞれ「鉛直方向の上方」および「鉛直方向の下方」を意味する。また以下のキャップコーターシステム11の説明では、ノズル13などの構成については、塗布液を塗布する際の配置における構成を前提としている。
キャップコーターシステム11は、主に定盤12、ノズル13、およびタンク14を含んで構成される。定盤12は、下方の主面に載置される被塗布体19を保持する。被塗布体19の保持方法としては真空吸着を挙げることができる。定盤12は、図示しない電動機および油圧機などの変位駆動手段によって水平方向に往復運動する。以下、定盤12の移動する方向を塗布方向Xという場合がある。
ノズル13は、塗布液が吐出する複数(本実施の形態では4つ)のスリット状吐出口を備える。図2はノズル13の側面図であり、図3はノズル13の上面図であり、図4は図2の切断面線IV−IVから見た断面図であり、図5は図2の切断面線V−Vから見た断面図であり、図6は図3の切断面線VI−VIから見た断面図である。
図2および図3に示すようにノズル13は、略板状であり、主にシム21と、該シム21を挟持する一対の挟持体22とを有する。シム21は、挟持体22に対してスペーサーとして機能する。一対の挟持体22は、挟持するシム21の厚みによりその間隔が規定される。さらにスリット状吐出口23の短手方向(本実施の形態では塗布方向Xに相当する。)の幅は、一対の挟持体22の間隔によって規定されるので、この間隔を規定するシム21の厚みによって規定される。本実施の形態では毛管現象を利用するので、スリット状吐出口23の短手方向の幅は、塗布液の性状および塗布膜の厚みなどに応じて適宜設定され、通常0.01mm〜1mm程度である。この幅は、シム21の厚みを変更することによって調整することができる。
一対の挟持体22にはそれぞれ半円を底面とする柱状の凹部が形成されており、互いに貼り合わされたときに、この2つの凹部によって幅方向Yに延伸する円柱状の空洞が構成される。なお幅方向Yは、塗布方向Xおよび鉛直方向Zに垂直な方向を意味する。空洞はその軸心が貼り合わせ面に一致する。そしてシム21を介在させて一対の挟持体22を貼り合わせた際には、この2つの凹部によって構成される空洞がマニホールド24として機能する。
複数のスリット状吐出口23は、その長手方向を幅方向Y(塗布方向Xおよび鉛直方向Zに垂直な方向)に一致させるとともに、それぞれが幅方向Yに所定の間隔をあけて配置される。また各スリット状吐出口23は、それぞれノズル13の上端からマニホールド24に亘って形成されており、マニホールド24に連通している。マニホールド24には塗布液が充填されるので、各スリット状吐出口23には、マニホールド24から塗布液が供給される。スリット状吐出口23の長手方向(幅方向Y)の幅は、塗布膜の幅方向Yの幅に設定され、例えば10mm〜300mmである。なおスリット状吐出口23の長手方向(幅方向Y)の幅に、塗布膜の幅方向Yの幅が完全には一致しない場合もあるため、スリット状吐出口23の長手方向(幅方向Y)の幅は、塗布膜の幅方向Yの幅と完全には一致しない場合もありうる。
前述したようにスリット状吐出口23の短手方向の幅はシム21の厚みによって規定されるが、本実施の形態では、短手方向(塗布方向X)の幅だけでなく、スリット状吐出口23の長手方向(幅方向Y)の幅もシム21によって規定される。本実施の形態におけるシム21は、マニホールド24の下において幅方向Yに延伸する板体21aと、スリット状吐出口23が設けられる領域(通液部)を除く領域に設けられる非通液部21bとを有する。本実施の形態では板体21aと非通液部21bとは一体に形成される。以下では「スリット状吐出口23が設けられる領域」を通液部という場合がある。非通液部21bは、スリット状吐出口23が設けられる領域を除く領域において、板体21aから上方に延伸する複数本の板状の部材によって構成される。非通液部21bが設けられる領域は、この非通液部21bによってマニホールドからの塗布液の移動が妨げられるので、塗布液が吐出されない。他方、非通液部21bに挟まれた領域にはマニホールド24に連通する空隙(スリット状吐出口23)が形成されるので、マニホールド24に充填された塗布液がスリット状吐出口23を通って上方に吐出する。これによって、ノズル13において幅方向Yに所定の間隔をあけて設けられた各スリット状吐出口23から選択的に塗布液が吐出される。
非通液部21bを有するシム21を用いることにより、通常はスリット状吐出口23の短手方向の幅を規定するために用いられるシム21を、スリット状吐出口23の長手方向の幅をも規定する部材として利用することができるので、スリット状吐出口23の長手方向の幅を規定する部材を別途設ける必要がなくなり、装置構成が簡易になる。なおスリット状吐出口23の長手方向の幅を規定するためには、スリット状吐出口23以外から塗布液が吐出しないように所定の部材を配置すればよく、他の実施の形態として、このような部材にシム以外のものを用いてもよい。またシム21を交換することで、スリット状吐出口23の短手方向の幅を容易に調整することができるので、シム21を用いてノズル13を構成することが好ましいが、シム21を用いずに、一対の挟持体22とシム21とが一体成形されたノズル13を用いてもよい。
ノズル13は、鉛直方向Zに変位可能に支持され、電動機および油圧機などの変位駆動手段によって鉛直方向Zに変位駆動される。
タンク14は塗布液17を収容する。タンク14に収容される塗布液17は被塗布体19に塗布される塗布液17であり、本実施の形態では発光層となる有機材料を含む液体である。具体的には後述する発光材料が溶媒に溶解した溶液である。ノズル13のマニホールド24とタンク14とは塗布液供給管16を介して連通している。すなわちタンク14に収容される塗布液17は、塗布液供給管16を通してマニホールド24に供給され、さらにはスリット状吐出口23を介して被塗布体19に塗布される。タンク14は、鉛直方向Zに変位可能に支持され、電動機および油圧機などの変位駆動手段によって鉛直方向Zに変位駆動される。タンク14は、塗布液17の液面を検出する液面センサー18をさらに備える。この液面センサー18によって、塗布液17の液面の鉛直方向Zの高さが検出される。液面センサー18は、例えば光学式センサーや超音波振動式センサーによって実現される。
塗布液供給管16を介してタンク14からスリット状吐出口23に供給される塗布液17は、タンク14内の液面の高さに応じて生じる圧力(静圧)と、スリット状吐出口23で生じる毛管現象による力とに応じて、スリット状吐出口23から押出される。そのためタンク14の上下の位置を調整することにより生じるタンク14内の液面位置と、ノズル13内の液面位置との相対差を制御することで、スリット状吐出口23から押出される塗布液の量を制御することができる。マニホールド24は、全てのスリット状吐出口23と連通しているので、タンク14内の液面を制御することにより、全てのスリット状吐出口23における塗布液の液面を同時に制御することができる。
キャップコーターシステム11は、マイクロコンピュータなどによって実現される制御部をさらに備え、この制御部が、前述した変位駆動手段などを制御する。制御部が変位駆動手段を制御することで、ノズル13およびタンク14の鉛直方向Zの位置、および定盤12の塗布方向Xの変位が制御される。塗布液17を塗布すると、塗布液17が消費されるので、タンク14内の塗布液17の液面は経時的に低下するが、液面センサー18の検出結果に基づいて制御部が変位駆動手段を制御し、タンク14の鉛直方向Zの位置を調整することで、スリット状吐出口23から押出される塗布液17の高さを制御することができる。
以上説明したキャップコーターシステム11が塗布液を塗布する動作について説明する。なお図2に示す4つのスリット状吐出口23を備えるノズル13を用いることにより、図7に示すようなマトリクス状(5行×4列)に配置される矩形状の領域をパターン塗布することができる。
キャップコーターシステム11は、塗布工程と非塗布工程とを繰返すことにより、塗布液をパターン塗布する。
(塗布工程)
ノズル13から吐出される塗布液が被塗布体19に接液した状態で、ノズル13と被塗布体19とを所定の塗布方向Xに相対移動させる。
具体的には、まずタンク14に収容される塗布液の液面がノズル13の上端よりも高くなるようにタンク14を上昇させることにより、塗布液がスリット状吐出口23から吐出した状態にするとともに、被塗布体19の下方に配置されたノズル13を被塗布体19に近接させることにより、塗布液を被塗布体19に接液する。
塗布液を被塗布体19に接液した後、塗布液が被塗布体19に接液した状態を維持したまま、ノズル13と被塗布体19とに所期の間隔をあけるようにノズル13を下降するとともに、タンク14に収容される塗布液の液面がノズル13の上端よりも低くなるようにタンク14を下降させる。この状態における被塗布体19とノズル13との間隔は例えば0.05mm〜0.3mm程度に設定される。
次に被塗布体19を塗布方向Xの一方(図1では右方)に移動させる。これによって4本のストライプ状の塗布膜が形成される。なお本実施の形態では被塗布体19を移動させるが、ノズル13を塗布方向Xの他方(図1では左方)に移動させてもよく、またノズル13および被塗布体19の両方を移動させてもよい。被塗布体19を所定の距離だけ移動させると、被塗布体19の移動を停止する。
(非塗布工程)
塗布液を被塗布体19から離液させた状態で、ノズル13と被塗布体19とを前記塗布方向に相対移動させる。
具体的には、まずノズル13およびタンク14を、ともに下降させる。これにより塗布液が被塗布体19から離液する。なお塗布液が被塗布体19に接液した状態では、表面張力により塗布液がスリット状吐出口23から吐出しているが、塗布液が被塗布体19から離液した状態では、タンク14に収容される塗布液の液面がノズル13の上端よりも低いため、塗布液はスリット状吐出口23内に退避する。
次に塗布液を被塗布体19から離液させた状態で被塗布体19を塗布方向Xの一方(図1では右方)に所定の距離だけ移動させる。この際、塗布液は被塗布体19から離液しているので、被塗布体19には塗布液が塗布されない。
以上の塗布工程と非塗布工程とを繰返し行うことにより、塗布方向Xと、幅方向Yとの両方に対して塗布液をパターン塗布することができ、結果として二次元的なパターン塗布を行うことができる。これによって、不要な部位に塗布液を塗布することを防ぐことができ、不要な個所に塗布される塗布液を除去する工程を省略することができる。
塗布液は、形成する層となる材料(本実施形態では発光層となる有機材料)と溶媒とを含む。塗布液の溶媒としては所定の沸点を示す溶媒を1種単独で用いても、複数種類の溶媒を併用してもよい。本発明の塗布液を構成する溶媒としては、形成する層となる材料(本実施形態では発光層となる有機材料)を溶解させるものが望ましく、このような溶媒としては以下のものが例示される。すなわち塗布液を構成する溶媒としては、クロロホルム(沸点61℃)、塩化メチレン(沸点40℃)、1,1−ジクロロエタン(沸点57℃)、1,2−ジクロロエタン(沸点83℃)、1,1,1−トリクロロエタン(沸点74℃)、1,1,2−トリクロロエタン(沸点113℃)等の脂肪族塩素系溶媒、クロロベンゼン(沸点132℃)、o−ジクロロベンゼン(沸点180℃)、m−ジクロロベンゼン(沸点173℃)、p−ジクロロベンゼン(沸点174℃)等の芳香族塩素系溶媒、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、1,4−ジオキサン(沸点101℃)等の脂肪族エーテル系溶媒、アニソール(沸点154℃)、エトキシベンゼン(沸点170℃)等の芳香族エーテル系溶媒、トルエン(沸点111℃)、o−キシレン(沸点144℃)、m−キシレン(沸点139℃)、p−キシレン(沸点138℃)、エチルベンゼン(沸点136℃)、p−ジエチルベンゼン(沸点184℃)、メシチレン(沸点211℃)、n−プロピルベンゼン(沸点159℃)、イソプロピルベンゼン(沸点152℃)、n−ブチルベンゼン(沸点183℃)、イソブチルベンゼン(沸点173℃)、s−ブチルベンゼン(沸点173℃)、テトラリン(沸点208℃)、シクロヘキシルベンゼン(沸点235℃:737mmHgで測定)等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン(沸点81℃)、メチルシクロヘキサン(沸点101℃)、n−ペンタン(沸点36℃)、n−ヘキサン(沸点69℃)、n−へプタン(沸点98℃)、n−オクタン(沸点126℃)、n−ノナン(沸点151℃)、n−デカン(沸点174℃)、デカリン(cis体は沸点196℃、trans体は沸点187℃)、ビシクロヘキシル(沸点217〜233℃)等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン(沸点56℃)、メチルエチルケトン(沸点80℃)、メチルイソブチルケトン(沸点117℃)、シクロヘキサノン(沸点156℃)、2−ヘプタノン(沸点150℃)、3−ヘプタノン(沸点147℃:765mmHgで測定)、4−ヘプタノン(沸点144℃)、2−オクタノン(沸点174℃)、2−ノナノン(沸点195℃)、2−デカノン(沸点209℃)等の脂肪族ケトン系溶媒、アセトフェノン(沸点202℃)等の芳香族ケトン系溶媒、酢酸エチル(沸点77℃)、酢酸ブチル(沸点120〜125℃)等の脂肪族エステル系溶媒、安息香酸メチル(沸点200℃)、安息香酸ブチル(沸点213℃)、酢酸フェニル(沸点196℃)等の芳香族エステル系溶媒、エチレングリコール(沸点198℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点171℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点135℃)、エチレングリコールモノメチルエーテル(沸点125℃)、1,2−ジメトキシエタン(沸点85℃)、プロピレングリコール(沸点188℃)、1,2−ジエトキシメタン(沸点124℃)、トリエチレングリコールジエチルエーテル(沸点222℃)、2,5−ヘキサンジオール(沸点218℃)等の脂肪族多価アルコール系溶媒及び脂肪族多価アルコールの誘導体からなる溶媒、メタノール(沸点65℃)、エタノール(沸点78℃)、プロパノール(沸点97℃)、イソプロパノール(沸点82℃)、シクロヘキサノール(沸点161℃)等の脂肪族アルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド(沸点37℃)等の脂肪族スルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(沸点202℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)等の脂肪族アミド系溶媒が例示される。
これらの中でもトルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アニソール、メシチレン、n−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンおよびテトラリンが好ましい。また塗布液としては、沸点が170℃未満の溶媒を、塗布液に対して50重量%以上含むことが好ましい。
さらに塗布された塗布膜を乾燥することにより、発光層をパターン形成することができる。この発光層上に、陰極を形成することにより、有機EL素子を形成することができる。
以上の説明では、「陽極/発光層/陰極」の構成を有する有機EL素子について説明したが、有機EL素子はこの構成に限られない。以下では有機EL素子の層構造、各層の構成、および各層の製法について説明する。
有機EL素子は、一対の電極(陽極および陰極)と、該電極間に配置される1または複数の有機層とを含んで構成され、1または複数の有機層として、少なくとも1層の発光層を備える。陽極と陰極との間には、発光層に限らずに、発光層とは異なる有機層が設けられてもよく、さらに無機層が設けられる場合がある。以下において陽極と陰極との間に設けられる層について説明するが、これらのうちで有機物を含む層は有機層に相当する。塗布法を用いて有機層を形成することができる場合には、発光層を形成する方法として説明した塗布法を用いて形成することが好ましい。なお有機層を構成する有機物としては、低分子化合物でも高分子化合物でもよいが、溶媒への溶解性の観点からは、高分子化合物が好ましく、ポリスチレン換算の数平均分子量が、10〜10である高分子化合物が好ましい。
陰極と発光層との間に設けられる層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。陰極と発光層との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に近い層を電子注入層といい、発光層に近い層を電子輸送層という。
電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子輸送層は、陰極、電子注入層または陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお電子注入層、及び/又は電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。
正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えばホール電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
陽極と発光層との間に設けられる層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。正孔注入層と正孔輸送層との両方の層が設けられる場合、陽極に近い層を正孔注入層といい、発光層に近い層を正孔輸送層という。
正孔注入層は、陽極からの正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔輸送層は、陽極、正孔注入層または陽極により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお正孔注入層、及び/又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。
電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
なお、電子注入層および正孔注入層を総称して電荷注入層と言う場合があり、電子輸送層および正孔輸送層を総称して電荷輸送層と言う場合がある。
本実施の形態の有機EL素子のとりうる素子構成の一例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
g)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
k)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
l)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
m)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
n)陽極/発光層/電子注入層/陰極
o)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
p)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
本実施の形態の有機EL素子は、2層以上の発光層を有していてもよく、またマルチフォトン型の素子を構成してもよい。
有機EL素子は、封止のための封止膜または封止板などの封止部材で覆われていてもよい。有機EL素子を基板に設ける場合は、通常基板側に陽極が配置されるが、基板側に陰極を配置するようにしてもよい。
本実施の形態の有機EL素子は、さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入性の改善のために、電極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよい。また界面での密着性向上や混合の防止などのために、前述した各層間に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層する層の順序、層数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜設定することができる。
次に、有機EL素子を構成する各層の材料および形成方法について、より具体的に説明する。
<基板>
基板は、有機EL素子を製造する工程において化学的に変化しないものが好適に用いられ、例えばガラス、プラスチック、およびシリコン基板、並びにこれらを積層したものなどが用いられる。基板は、市販のものが使用可能であり、また公知の方法により製造することができる。また有機EL素子を搭載する基板として、電気回路が形成されたTFT(Thin Film Transistor)基板を用いてもよい。
<陽極>
陽極を通して発光層からの光を取出す構成の有機EL素子の場合、該陽極には透明又は半透明の電極が用いられる。透明電極または半透明電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
陽極には、光を反射する材料を用いてもよく、該材料としては、仕事関数3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができ、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、および酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系化合物、スターバースト型アミン系化合物、フタロシアニン系化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、およびポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
正孔注入層の成膜方法としては、例えば正孔注入材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔注入材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、例えば発光層を形成する際に用いられる溶媒として例示したものや水を溶媒として使用することができる。
溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法などの塗布法を挙げることができ、発光層を形成する方法として説明した本発明の塗布法を用いて形成することが好ましい。
正孔注入層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなるので好ましくない。従って正孔注入層の膜厚は、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらの中で正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などの高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
正孔輸送層の成膜方法としては、特に制限はないが、低分子の正孔輸送材料では、高分子バインダーと正孔輸送材料とを含む混合液からの成膜を挙げることができ、高分子の正孔輸送材料では、正孔輸送材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。
溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒などを挙げることができる。
溶液からの成膜方法としては、前述した正孔中注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができる。
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収の弱いものが好適に用いられ、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどを挙げることができる。
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚は、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<発光層>
発光層は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、または該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。なお、有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、発光層は、ポリスチレン換算の数平均分子量が、10〜10である高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する発光材料としては、例えば以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
(色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えば中心金属に、Al、Zn、Be、Ptなど、またはTb、Eu、Dyなどの希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを有する金属錯体を挙げることができ、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体などを挙げることができる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、例えばペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。なお、このような発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
<発光層の成膜方法>
発光層の成膜方法としては、前述した方法の他に、真空蒸着法、転写法などを用いることができる。
発光材料を含む溶液を塗布する方法としては、前述した本発明の塗布方法が好ましいが、他の方法として、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、スプレーコート法およびノズルコート法などのコート法、並びにグラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法などの塗布法を挙げることができる。
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
これらのうち、電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子の電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜を挙げることができる。なお溶液または溶融状態からの成膜する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液から電子輸送層を成膜する方法としては、前述の溶液から正孔注入層を成膜する方法と同様の成膜法を挙げることができる。
電子輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、例えばLiF/Caなどを挙げることができる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などにより形成される。
電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数の小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す有機EL素子では、発光層からの光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。
陰極には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属および周期表13族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また、陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお、陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお、電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して適宜設定され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法などを挙げることができる。
<絶縁層>
絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料などを挙げることができる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた有機EL素子としては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けたもの、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けたものを挙げることができる。
以上ではキャピラリーコーターシステム11の説明を通して、毛管力と静圧とを利用した塗布方法について説明したが、本発明はこれに限らずに、毛管力を利用する方法、静圧を利用する方法、およびポンプを利用する方法にも適用可能である。例えば毛管力を利用せずに、静圧のみで塗布液を塗布する場合には、前述のスリット状吐出口の短手方向の幅を広くすればよい。またポンプを利用する場合には、タンクを上下させることなく塗布液の吐出量を制御することができる。またポンプとともに、毛管力を利用する方法により塗布液を塗布してもよい。また前述した非塗布工程では、スリット状吐出口内に塗布液を退避させるとともに、ノズルを下降して、ノズルと被塗布体との間隔をあけたが、スリット状吐出口内に塗布液を退避させていればよく、ノズルを下降することなく、タンクを下降することによって変化する静圧や、ポンプの動力によりスリット状吐出口内に塗布液を退避させ、被塗布体から塗布液を離液させた状態で、ノズルと被塗布体とを塗布方向に相対移動させてもよい。この場合でも、被塗布体から塗布液が離液しているので、塗布液は被塗布体に塗布されない。
以上説明した有機EL素子は、曲面状や平面状の照明装置、またはスキャナの光源や表示装置のバックライトなどとして用いられる面状光源に好適に用いることができる。
(有機光電変換素子)
本発明の塗布方法は、有機EL素子に限らず、有機光電変換素子の製造にも好適に適用することができる。有機光電変換素子は、第1の電極および第2の電極からなる一対の電極と、該電極間に設けられる1または複数の有機層とを備える。第1および第2の電極のうちの少なくとも一方の電極は透明または半透明の電極である。有機光電変換素子は、1または複数の有機層として、少なくとも活性層を備える。この活性層は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能(光電変換機能)を有する。以下に、有機光電変換素子の層構造、各層の構成、および各層の製法について説明する。
(活性層)
本発明の有機光電変換素子の一部を構成する活性層は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光活性層として設けられ、光電変換素子の発電起源となる層として機能する。活性層は光電変換素子1つに対して通常は1層設けられるが、高い発電効率を実現するために、光電変換素子1つに対して2層以上の発光層が設けられることもある(例えばScience、2007年、vol.317、pp.222〜225参照。)。
活性層は、p型半導体特性およびn型半導体特性を示す2種以上の半導体材料から構成される。この2種以上の半導体材料のうちの少なくとも1つは有機物からなる。活性層は、(I)p型半導体材料から構成される層と、n型半導体材料から構成される層とを積層した積層体、または(II)p型半導体材料とn型半導体材料とが混在一体化した混合層によって構成される。活性層は好ましくは混合層によって構成される。混合層はp型半導体材料とn型半導体材料との光電荷分離界面を広く形成することができるためである。
前記半導体特性を示す有機物としては、低分子化合物でも高分子化合物でもよいが、溶媒への溶解性の観点からは、高分子化合物が好ましく、ポリスチレン換算の数平均分子量が、10〜10である高分子化合物が好ましい。
p型半導体特性を示す高分子化合物としては共役高分子化合物が好ましい。共役高分子化合物は正孔電導特性が高いためである。共役高分子化合物とは、(1)二重結合と単結合とが交互に並んだ構造から実質的になる高分子化合物、(2)二重結合と単結合とが窒素原子を介して並んだ構造から実質的になる高分子化合物、(3)二重結合と単結合とが交互に並んだ構造及び二重結合と単結合とが窒素原子を介して並んだ構造から実質的になる高分子化合物等を意味する。具体的には、非置換又は置換のフルオレンジイル基、非置換又は置換のベンゾフルオレンジイル基、非置換又は置換のジベンゾフランジイル基、非置換又は置換のジベンゾチオフェンジイル基、非置換又は置換のカルバゾールジイル基、非置換又は置換のチオフェンジイル基、非置換又は置換のフランジイル基、非置換又は置換のピロールジイル基、非置換又は置換のベンゾチアジアゾールジイル基、非置換又は置換のフェニレンビニレンジイル基、非置換又は置換のチエニレンビニレンジイル基及び非置換又は置換のトリフェニルアミンジイル基からなる群から選ばれる一種以上のジイル基を繰り返し単位とし、この繰り返し単位同士が直接又は連結基を介して結合した高分子化合物等が、共役高分子化合物の例としてあげられる。電荷輸送特性の観点からは、共役高分子化合物は、チオフェン環構造を有することが好ましく、繰り返し単位としてチオフェンジイル基を有することがより好ましい。
n型半導体特性を示す材料には、例えば前記共役高分子化合物、以下に挙げる有機低分子化合物、フラーレン誘導体、および無機物などを用いることができる。
このような有機低分子化合物としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
フラーレン誘導体としては、C60、C70、C84の誘導体等が挙げられる。
C60の誘導体としては、下記誘導体等が挙げられる。
Figure 2010251303
C70の誘導体としては、下記誘導体等が挙げられる。
Figure 2010251303
無機物としては、CdSeなどの化合物半導体、または酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ニオブなどの酸化物半導体が挙げられる。
(第1および第2の電極)
第1および第2の電極のうちの少なくとも一方の電極には、透明又は半透明の電極が用いられる。透明電極または半透明電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、IZO、金、白金、銀、および銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。透明電極または半透明電極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また透明電極または半透明電極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
上述の透明又は半透明の電極に対向して配置される電極には、上述の透明電極若しくは半透明電極、または光を反射する電極が用いられる。このような電極を構成する電極材料としては、仕事関数3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
有機光電変換素子は、電極と前記活性層との間に、必要に応じて所定の中間層が設けられる。中間層はたとえば発電特性やプロセス耐久性などを高めるために設けられる。すなわち電子若しくは正孔を選択的に取り出す特性、電極と前記活性層との間のエネルギー障壁を下げる特性、又は積層体に含まれる膜を製膜する際の製膜性やこの膜の下層へのダメージを低減する特性などを有する中間層が必要に応じて設けられる。このような中間層は、第1の電極と活性層との間、及び/又は活性層と第2電極との間に設けられる。正孔を選択的に取り出す特性を有する中間層としては、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を含む層等が挙げられる。電子を選択的に取り出す特性を有する中間層としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズを含む層等が挙げられる。
有機光電変換素子は、第1の電極、必要に応じて設けられる1または複数の中間層、活性層、必要に応じて設けられる1または複数の中間層、第2の電極を、この順で基板上に順次積層することによって作製される。本発明の有機光電変換素子の製造方法は、上述の本発明の塗布方法を用いて有機材料を含む塗布液を被塗布体にパターン塗布し、乾燥させることにより、有機層を形成する工程を含む。このように上述の塗布法を用いて有機層を形成することにより、複数の有機光電変換素子をパターン形成することができる。
なお第1および第2の電極の間に設けられる有機層のうちで塗布法によって形成することが可能な有機層が複数ある場合には、全ての有機層を本発明の塗布方法を用いて形成することが好ましいが、たとえば塗布法によって形成することが可能な複数の有機層のうちの少なくとも1層を上述の本発明の塗布方法を用いて形成し、他の有機層を本発明の塗布方法とは異なる方法によって形成してもよい。たとえば上述の本発明の塗布方法の他に、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、スプレーコート法およびノズルコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インクジェットプリント法などの塗布法、蒸着法、スパッタリング法、レーザーアブレーション法などの気相法、ゾルゲル法を用いて中間層及び/又は活性層を形成してもよい。
本発明の有機光電変換素子は、透明又は半透明の電極から太陽光等の光を照射することにより、電極間に光起電力が発生するため、これを有機薄膜太陽電池として動作させることができる。上述したように複数の有機薄膜太陽電池を本発明の塗布方法によってパターン形成し、これを集積することにより、太陽光発電モジュールを実現することができる。
また本発明の光電変換素子は、電極間に電圧を印加した状態で、透明又は半透明の電極から光を照射することにより、光電流が流れるため、これを有機光センサーとして動作させることができる。
(実施例1)
塗布方向Xに3行、幅方向Yに2列に並ぶ、3行2列に配列された3×2個(6個)の有機EL素子をガラス基板上に作製した。各有機EL素子の寸法は、30mm×44mmである。すなわち各有機EL素子の行方向(幅方向Y)の幅が30mmであり、列方向(塗布方向X)の幅が44mmである。行方向(幅方向Y)の有機EL素子の間隔は、10mmであり、列方向(塗布方向X)の有機EL素子の間隔は、13mmである。各有機EL素子の構成は、以下の通りである。
「ガラス基板/陽極(ITO)/正孔注入層(PEDOT)/発光層/電子注入層(BaO)/陰極(Al)」
まず膜厚150nmのITO薄膜が予めパターン形成された基板を用意した。この基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytron P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの塗膜を成膜した。次に不要な個所に塗布された塗布液を拭取った。その後、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥することによって正孔注入層を得た。
次にキシレン:CHB(シクロヘキシルベンゼン)=8:2(重量比)の溶媒に発光材料(サメイション製、LumationGP1300)を溶解させて、発光層用の塗布液を調製した。塗布液における発光材料の割合は、1.3重量%であった。
この発光層用の塗布液を図1に示すようなキャピラリーコートシステム((株)ヒラノテクシード社製、機械名CAP CoaterIII)を用いてパターン塗布した。ノズルには、スリット状吐出口を2つ備えるものを用いた。各スリット状吐出口の長手方向(幅方向Y)の幅は30mmであり、短手方向(塗布方向X)の幅は0.3mmである。また2つのスリット状吐出口間の間隔は10mmである。このようなノズルを用いて、塗布工程と非塗布工程とを交互に繰返すことにより、3行2列に所定の間隔をあけて配列された発光層用の塗布膜を形成した。さらに窒素雰囲気下で焼成することにより膜厚が100nmの発光層を形成した。
次にエレクトロンビーム蒸着により、膜厚が1.2nmのBaO層を形成し、さらに膜厚が100nmのAl層を形成し、6個の有機EL素子を作製した。
これら6個の有機EL素子に電圧を印加することにより、全ての有機EL素子が発光することを確認した。
(実施例2)
Figure 2010251303
アルゴン置換した2L四つ口フラスコに、化合物(A)(7.928g、16.72mmol)、化合物(B)(13.00g、17.60mmol)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:aliquat336、Aldrich製、CH3N[(CH2)7CH3]3Cl、density 0.884g/ml,25℃、trademark of Henkel Corporation)(4.979g)、及びトルエン405mlを入れ、撹拌しながら系内を30分間アルゴンバブリングした。ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.02g)を加え、105℃に昇温、撹拌しながら2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液42.2mlを滴下した。滴下終了後5時間反応させ、フェニルボロン酸(2.6g)とトルエン1.8mlを加えて105℃で16時間撹拌した。その後、トルエン700ml及び7.5%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物水溶液200mlを加えて85℃で3時間撹拌した。反応液の水層を除去後、有機層を60℃のイオン交換水300mlで2回、60℃の3%酢酸300mlで1回、さらに60℃のイオン交換水300mlで3回洗浄した。有機層をセライト、アルミナ、シリカを充填したカラムに通し、熱トルエン800mlでカラムを洗浄した。溶液を700mlまで濃縮した後、2Lのメタノールに注加、再沈殿させた。重合体をろ過して回収し、500mlのメタノール、アセトン、メタノールで洗浄した。50℃で一晩真空乾燥することにより、下記式:
Figure 2010251303
で表されるペンタチエニル−フルオレンコポリマー(以下、「ポリマーA」という) 12.21gを得た。ポリマーAのポリスチレン換算の数平均分子量は5.4×104、重量平均分子量は1.1×105であった。
(有機光電変換素子の作製)
塗布方向Xに3行、幅方向Yに2列に並ぶ、3行2列に配列された3×2個(6個)の有機光電変換素子を基板上に作製した。各有機光電変換素子の寸法は、30mm×44mmである。すなわち各有機光電変換素子の行方向(幅方向Y)の幅は30mm、列方向(塗布方向X)の幅は44mmである。行方向(幅方向Y)の有機光電変換素子の間隔は、10mmであり、列方向(塗布方向X)の有機光電変換素子の間隔は、13mmである。各有機光電変換素子の構成は、以下の通りである。
「ガラス基板/ITO/PEDOT層/活性層/BaO/Al」
まず膜厚150nmのITO薄膜が予めパターン形成された基板を用意した。この基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(スタルク製;Baytron P)の懸濁液をスピンコート法により塗布し、厚みが65nmの塗膜を成膜した。次に不要な個所に塗布された塗布液を拭取った。その後、ホットプレート上で200℃、10分間乾燥することによってPEDOT層を得た。
次にp型半導体材料に相当するポリマーAと、n型半導体材料に相当するPCBM(フロンティアカーボン社製、商品名E100、lot.7B0168−A)とをオルトジクロロベンゼン溶媒に添加し(ポリマーA:0.5重量%、PCBM:1.5重量%)、70℃で2時間撹拌を行なった後、孔径0.2μmのフィルタにてろ過を行い、活性層用の塗布液を調製した。
実施例1において発光層用の塗布液を塗布した方法と同様にして、活性層用の塗布液を塗布することにより、3行2列に所定の間隔をあけて配列された活性層用の塗布膜を形成した。得られた活性層の膜厚は100nmであった。
次にエレクトロンビーム蒸着により、膜厚が1.2nmのBaO層を形成し、さらに膜
厚が100nmのAl層を形成し、6個の有機光電変換素子を作製した。
得られた6個の有機光電変換素子の光電変換をソーラシミュレーター(山下電装社製、商品名YSS−80)を用いて測定した。AM1.5Gフィルターを通した放射照度100mW/cmの光を有機光電変換素子に照射することによって得られた電流及び電圧を測定した結果、全ての有機光電変換素子が発電することを確認した。
1 被塗布体
2 パターン塗布すべき個所
11 キャップコーターシステム
12 定盤
13 ノズル
14 タンク
16 塗布液供給管
17 塗布液
18 液面センサー
19 被塗布体
21 シム
21a 板体
21b 塗布液案内部
22 挟持体
23 スリット状吐出口
24 マニホールド
X 塗布方向
Y 幅方向
Z 鉛直方向

Claims (8)

  1. 塗布液を上方に吐出するノズルに対して上方に配置される被塗布体に前記塗布液を塗布する塗布方法であって、
    ノズルから吐出される塗布液が前記被塗布体に接液した状態で、該ノズルと被塗布体とを所定の塗布方向に相対移動させる塗布工程と、
    前記塗布液を前記被塗布体から離液させた状態で、前記ノズルと被塗布体とを前記塗布方向に相対移動させる非塗布工程とを含み、
    複数のスリット状吐出口を備えるノズルを用いて、前記塗布工程と前記非塗布工程との2つの工程を交互に繰り返すことを特徴とする塗布方法。
  2. ノズルは、スリット状吐出口の短手方向の幅を規定するシムを有し、
    該シムは、スリット状吐出口を除く領域に設けられ、非通液部を有することを特徴とする請求項1記載の塗布方法。
  3. 1または複数の有機層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、請求項1または2に記載の塗布方法を用いて有機材料を含む塗布液を被塗布体にパターン塗布し、乾燥させることにより前記有機層を形成する工程を備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 請求項3記載の製造方法によって製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を備える照明装置。
  5. 請求項3記載の製造方法によって製造された有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面状光源。
  6. 1または複数の有機層を備える有機光電変換素子の製造方法であって、請求項1または2に記載の塗布方法を用いて有機材料を含む塗布液を被塗布体にパターン塗布し、乾燥させることにより前記有機層を形成する工程を備えることを特徴とする有機光電変換素子の製造方法。
  7. 請求項6記載の製造方法によって製造された有機光電変換素子を備える太陽光発電モジュール。
  8. 請求項6記載の製造方法によって製造された有機光電変換素子を備える有機光センサー。
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