JP2010251106A - 粒子線治療システム - Google Patents

粒子線治療システム Download PDF

Info

Publication number
JP2010251106A
JP2010251106A JP2009098896A JP2009098896A JP2010251106A JP 2010251106 A JP2010251106 A JP 2010251106A JP 2009098896 A JP2009098896 A JP 2009098896A JP 2009098896 A JP2009098896 A JP 2009098896A JP 2010251106 A JP2010251106 A JP 2010251106A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particle beam
charged particle
amplitude
frequency
gain
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009098896A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5159688B2 (ja
Inventor
Kazuyoshi Saito
一義 齋藤
Hideaki Nishiuchi
秀晶 西内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2009098896A priority Critical patent/JP5159688B2/ja
Publication of JP2010251106A publication Critical patent/JP2010251106A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5159688B2 publication Critical patent/JP5159688B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】シンクロトロン出射時の周回ビーム粒子数やチューンの変化に対し、高精度な照射ビーム電流の制御を安定に維持できる粒子線治療システムを提供する。
【解決手段】粒子線治療システム100は、シンクロトロン200と、ビーム輸送系300と、照射装置500から構成される。制御装置600は、ビーム輸送系300または治療室400内のビームモニタ52(33)で荷電粒子ビームの電流値を検出し、該電流値が予め定めた目標値に近づくように出射装置26に印加する高周波電圧の振幅と周波数を制御するフィードバック系を構成し、かつシンクロトロン200を周回する荷電粒子ビームの粒子数を検出するビームモニタ28の出力信号に基づきフィードバック系の利得を調整する利得演算器70を備えている。
【選択図】図3

Description

本発明は高精度の治療照射が可能な粒子線治療システムに関するものであり、特に、複雑な患部形状に一致した高精細な治療照射が可能なビーム走査法などの先端照射技術を用いた粒子線治療システムに係わる。
近年の高齢化社会を反映し、がん治療法の一つとして、低侵襲で体に負担が少なく、治療後の生活の質が高く維持できる放射線治療が注目されている。その中でも、加速器で加速した陽子や炭素などの荷電粒子ビームを用いた粒子線治療システムが、患部への優れた線量集中性のため特に有望視されている。粒子線治療システムは、イオン源で発生したビームを光速近くまで加速するシンクロトロンなどの加速器と、加速器の出射ビームを輸送するビーム輸送系と、患部の位置や形状に合わせてビームを患者に照射する照射装置から構成される(例えば、特許文献1参照)。
粒子線治療システムの照射装置で患部の形状に合わせてビームを照射する際、散乱体でビーム径を拡大したのちコリメータで周辺部を削ってビームを整形する散乱体法や、加速器からの細径ビームを電磁石で偏向し患部形状に合わせて走査するビーム走査法、或いはその組み合わせの照射方法が用いられる。何れの場合にも、患部の位置や形状に合わせて照射ビームの電流値を高精度で制御する必要があるが、細径ビームを連続的に走査し続ける方式のビーム走査法(ラスター走査法)では、特にその要求精度が高い。
ところで、照射ビームの位置精度の観点から、シンクロトロンのビーム出射法として、出射装置に印加する高周波電圧で周回ビームのエミッタンス(粒子の振動振幅)を増大させて、安定限界を超えた振動振幅の大きい粒子から出射する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、実際の粒子線治療システムの運転では、シンクロトロンの出射装置に印加する高周波電圧の振幅を、治療室内での照射ビーム電流の実測値やビーム輸送系での輸送ビーム電流の測定値に基づきフィードバック制御している(例えば、特許文献3及び非特許文献1)。
特許第2833602号公報 特許第2596292号公報 特開平312599号公報
"Advanced RF-KO slow extraction method for the reduction of spill ripple", Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A492 (2002) 253-263.
特許文献2に記載のビーム出射方法では、シンクロトロンの電磁石励磁量を出射中に一定に設定できるため、安定領域や出射ブランチが不変で出射ビームの軌道安定度が高く、照射ビームの高い位置精度を達成できる特長がある。しかし、その方法を特許文献3や非特許文献1に記載のようなフィードバック制御技術によって実施する場合は、照射ビームの電流制御の精度向上の観点では以下の課題があった。
特許文献3及び非特許文献1に記載の従来のフィードバック制御技術において、フィードバック系は制御装置、高周波電力増幅器、出射装置、シンクロトロン、ビーム輸送系、照射(輸送)ビームモニタのループで構成され、それぞれの構成要素を一巡した信号伝達特性がフィードバック系の性能を決定する。すなわち、ループを一巡したループ利得が低いと制御精度が低下し、一方、高いとフィードバック系の動作が不安定になる。したがって、種々の外乱に対してループ利得を最適値に近く維持することが、照射ビームの電流制御の精度向上の観点で重要である。
ところが、従来、フィードバック系を構成する制御装置ではループ利得を自動調整する機能がなく、シンクロトロンで生じる外乱に対して補償が十分ではなかった。例えば、シンクロトロンでは出射が進むにつれて周回ビームの粒子数が低下し、出射期間の後期では出射装置に印加する高周波電圧の振幅に対する出射ビーム電流の応答感度、すなわち、信号伝達特性の利得が低下する。また、シンクロトロンを構成する各種電磁石、特に四極電磁石の励磁電流にリップル変動があると、周回ビームのチューンが変化し後述の位相空間内の安定領域の大きさや振動振幅増大の共鳴条件が変化する。その結果、やはり高周波電圧の振幅に対する出射ビーム電流の信号伝達特性の利得が変化する。それらの影響でフィードバック系を一巡するループ利得が大きく変化し、所望の制御精度が達成可能な動作範囲(運転範囲)を狭める原因となっていた。
そこで、本発明の目的は、シンクロトロン出射時の周回ビーム粒子数やチューン変化などの外乱に対して照射ビーム電流制御のフィードバック系のループ利得の変化を抑制し、高精度な照射ビーム電流の制御を広い運転範囲にわたり安定に維持できる粒子線治療システムを提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明の粒子線治療システムは、前段加速器から入射した荷電粒子ビームを所定のエネルギーまで加速したのち、出射装置に印加した高周波電圧で安定限界を超えさせて荷電粒子ビームを出射するシンクロトロンと、前記シンクロトロンから出射された荷電粒子ビームを治療室まで導くビーム輸送系と、前記治療室で患者の患部形状に合わせて荷電粒子ビームを照射する照射装置とから構成される粒子線治療システムにおいて、前記ビーム輸送系または前記治療室内に配置され、前記シンクロトロンから出射された荷電粒子ビームの電流値を検出する第1ビームモニタと、前記第1ビームモニタにより検出した荷電粒子ビームの電流値が予め定めた目標値に近づくように前記出射装置に印加する高周波電圧の振幅を制御するフィードバック系を構成する制御装置と、前記シンクロトロンを周回する荷電粒子ビームの電荷量を検出する第2ビームモニタと、前記制御装置に設けられ、前記第2ビームモニタにより検出した荷電粒子ビームの電荷量に基づいて前記フィードバック系の高周波電圧振幅制御の利得を調整する利得調整手段とを備えるものである。
このように第2ビームモニタと利得調整手段を設け、シンクロトロンを周回する荷電粒子ビームの電荷量に基づいて高周波電圧振幅制御の利得を調整することにより、出射後期で周回ビームの粒子数が少ない場合でも、フィードバック系のループ利得の低下を抑制して照射ビーム電流の高い制御精度を維持でき、出射効率を敢えて犠牲にせずに高精度な制御が可能となる。これにより粒子線治療システムで要求される照射ビーム電流の高精度制御を、シンクロトロンに必要な広い運転範囲にわたり安定に維持することができる。
また、本発明の粒子線治療システムは、前段加速器から入射した荷電粒子ビームを所定のエネルギーまで加速したのち、出射装置に印加した高周波電圧で安定限界を超えさせて荷電粒子ビームを出射するシンクロトロンと、前記シンクロトロンから出射された荷電粒子ビームを治療室まで導くビーム輸送系と、前記治療室で患者の患部形状に合わせて荷電粒子ビームを照射する照射装置とから構成される粒子線治療システムにおいて、前記ビーム輸送系または前記治療室内に配置され、前記シンクロトロンから出射された荷電粒子ビームの電流値を検出する第1ビームモニタと、前記第1ビームモニタにより検出した荷電粒子ビームの電流値が予め定めた目標値に近づくように前記出射装置に印加する高周波電圧の振幅と周波数の双方を制御する2つのフィードバック系を構成する制御装置とを備えるものである。
このように制御装置を設け、第1ビームモニタにより検出した荷電粒子ビームの電流値が予め定めた目標値に近づくように出射装置に印加する高周波電圧の振幅と周波数の双方を制御する2つのフィードバック系を構成することにより、四極電磁石の励磁電流のリップル変動で周回ビームのチューンが変動する場合でも、出射装置に印加する高周波電圧の周波数制御で、粒子の振動振幅増大の共鳴状態を維持しながら安定領域の大きさの変化に追従できる。その結果、高周波電圧振幅制御側のフィードバック系のループ利得変動が抑制でき、照射ビーム電流の変動が低減できる。これにより粒子線治療システムで要求される照射ビーム電流の高精度制御を、シンクロトロンに必要な広い運転範囲にわたり安定に維持することができる。
さらに望ましくは、本発明の粒子線治療システムは、前記シンクロトロンを周回する荷電粒子ビームの電荷量を検出する第2ビームモニタと、前記制御装置に設けられ、前記第2ビームモニタにより検出した前記荷電粒子ビームの電荷量に基づいて前記2つのフィードバック系の高周波電圧振幅制御と周波数制御のそれぞれの利得を調整する利得調整手段とを更に備えるものである。
これにより高周波電圧振幅制御のフィードバック系において上述した利得調整の効果が得られるとともに、高周波電圧周波数制御のフィードバック系においても、周回ビームの粒子数が少ない出射後期において、ループ利得の低下を抑制して照射ビーム電流の高い制御精度を維持でき、出射効率を敢えて犠牲にせずに高精度な制御が可能となる。これにより粒子線治療システムで要求される照射ビーム電流の高精度制御を、シンクロトロンに必要な広い運転範囲にわたり安定に維持することができる。
本発明によれば、出射後期で周回ビームの粒子数が少ない場合でも、フィードバック系のループ利得の低下を抑制して照射ビーム電流の高い制御精度を維持でき、出射効率を敢えて犠牲にせずに高精度な制御が可能となる。すなわち、従来は高い制御精度を維持するため、出射終了時でもシンクロトロンに残存させる粒子数が多かったが、本発明では、照射ビーム電流の高い制御精度を維持しながらシンクロトロンに残存させる粒子数が従来より少なくなるまで荷電粒子ビームを出射することができる。
また、四極電磁石の励磁電流のリップル変動で周回ビームのチューンが変動する場合でも、出射装置に印加する高周波電圧の周波数制御で、粒子の振動振幅増大の共鳴状態を維持しながら安定領域の大きさの変化に追従できる。その結果、フィードバック系(高周波電圧制御側のフィードバック系)のループ利得変動が抑制でき、照射ビーム電流の変動が低減でき、高い制御精度を維持できる。
以上により本発明によれば、粒子線治療システムで要求される照射ビーム電流の高精度制御を、シンクロトロンに必要な広い運転範囲にわたり安定に維持できる。
本発明技術の第1の実施形態による粒子線治療システムの構成を示すシステム構成図である。 本発明技術の第1の実施形態による粒子線治療システムに用いる照射装置(ラスター走査法)の構成及び動作原理を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は患部に照射される荷電粒子ビームをその上流側から見た平面図である。 本発明技術の第1の実施形態による粒子線治療システムに用いる制御装置の構成と照射ビーム電流のフィードバック系の全体構成を示す説明図である。 シンクロトロンのビーム出射法の説明図であり、シンクロトロンを周回する荷電粒子ビームの状態を出射に関係する水平方向の位相空間内に示したものである。(A)は出射開始前の位相空間を示し、(B)は出射開始後の位相空間を示している。 従来技術による粒子線治療システムの制御装置の構成と照射ビーム電流のフィードバック系の全体構成を示す説明図である。 本発明技術の第1の実施形態による粒子線治療システムにおいて、出射装置に印加する高周波電圧の周波数制御方法の概念を示す説明図である。 本発明技術の第2の実施形態による粒子線治療システムに用いる照射装置(スポット走査法)の構成及び動作原理を示す図であり、(A)は正面図であり、(B)は患部に照射される荷電粒子ビームをその上流側から見た平面図である。 本発明技術の第2の実施形態による粒子線治療システムに用いる制御装置の構成と照射ビーム電流のフィードバック系の全体構成を示す説明図である。 本発明技術の第3の実施形態による粒子線治療システムに用いる照射装置(2重散乱体法)の構成及び動作原理を示す正面図である。 本発明技術の第3の実施形態による粒子線治療システムに用いる制御装置の構成と照射ビーム電流のフィードバック系の全体構成を示す説明図である。
<第1の実施形態>
以下、図1〜図4を用いて、本発明の第1の実施形態による粒子線治療システムの構成及び動作について説明する。最初に図1を用いて、本実施形態による粒子線治療システムの全体構成について説明する。
粒子線治療システム100は、ライナックのような前段加速器11で予備加速した荷電粒子ビームを所定のエネルギーまで加速したのち出射するシンクロトロン200と、シンクロトロンから出射された荷電粒子ビームを治療室400まで導くビーム輸送系300と、治療室400で患者41の患部形状に合わせて荷電粒子ビームを照射する照射装置500と、制御装置600とから構成される。
シンクロトロン200は、前段加速器11で予備加速した荷電粒子ビームを入射する入射装置24と、荷電粒子ビームを偏向し一定の軌道上を周回させる偏向電磁石21と、荷電粒子ビームが広がらないように水平/垂直方向に収束力を与える収束/発散型の四極電磁石22と、荷電粒子ビームを所定のエネルギーまで加速する加速空胴25と、周回する荷電粒子ビームの振動振幅に対して安定限界を形成する六極電磁石23と、電極間に印加した高周波電圧で荷電粒子ビームの振動振幅を増大し安定限界を超えさせて外部に取り出す出射装置26と、出射装置26に高周波電力を供給する高周波電力増幅器26Aと、荷電粒子ビームを出射するために偏向する出射偏向装置27とから構成される。
ビーム輸送系300は、シンクロトロンの出射ビームを磁場で偏向して所定の設計軌道に沿って治療室400内の照射装置500に導く偏向電磁石31と、輸送中に荷電粒子ビームが広がらないように水平/垂直方向に収束力を与える収束/発散型の四極電磁石32とから構成される。
ここで、図2を用いて本実施形態による粒子線治療システムに用いる照射装置500の構成と動作原理について説明する。(A)は正面図であり、(B)は患部に照射される荷電粒子ビームをその上流側から見た平面図である。照射装置500はラスター走査法を用いており、ビーム輸送系300で導かれた荷電粒子ビームを水平及び垂直方向に偏向し患部42の断面形状に合わせて2次元的に走査する走査電磁石51と、荷電粒子ビームの位置、サイズ(形状)、線量を監視する各種ビームモニタ52a,52bから構成される。
図2(A)に示すように、患者41の患部42に対して、その3次元的な患部形状を深さ方向の複数の層に分割する。そして、シンクロトロンの出射ビームのエネルギー変更などで照射ビームのエネルギーを変更して各層を選択的に照射する。図2(B)に示すように、各層内では走査電磁石51で照射ビームを2次元的に連続走査し各照射領域に所定の一様線量分布を与える。
本実施形態の照射装置500では、細径の荷電粒子ビームを一定速度で連続的に走査しながら、各照射領域として例えば走査ライン毎に所定の一様線量分布を実現する必要があり、照射ビーム電流を走査中に一定に維持する高精度制御が必須となる。
再び図1に戻り、制御装置600について説明する。制御装置600は、前段加速器11、シンクロトロン200、ビーム輸送系300、照射装置500を構成する各機器及びその電源を制御し、シンクロトロンでのビーム入射・加速・出射、及び照射装置でのビーム照射の各過程の制御と監視を司っている。なお、図1には本発明に密接に関係する出射装置26と該装置に高周波電力を供給する高周波電力増幅器26A、及び出射制御に必要なビームモニタとして周回ビームモニタ28、輸送ビームモニタ33、照射ビームモニタ52との関係のみを明示している。
図3に本実施形態による粒子線治療システムに用いる制御装置600の構成と照射ビーム電流のフィードバック系の全体構成を示す。制御装置600では出射装置26の電極間に印加する高周波電圧の中心周波数、周波数帯域幅、振幅を制御する。すなわち、所望の中心周波数に一致した周波数の高周波信号を生成する高周波発振器61、所望の周波数帯域幅に一致した帯域幅(直流〜上限周波数)を有する低周波帯域信号を生成する帯域信号生成器62、高周波発振器61と帯域信号発生器62の出力信号をミキシングして所望の高周波帯域信号を生成する乗算器63、乗算器63の出力信号を振幅変調し所望の振幅値に一致するように調整する振幅変調器64を具備する。なお、振幅変調器64の出力信号は高周波電力増幅器26Aで増幅されて出射装置26に供給される。
引き続き図3を用いて、照射ビーム電流のフィードバック系の構成について説明する。本実施形態では照射ビーム電流や輸送ビーム電流の測定値に基づき、出射装置26に印加する高周波電圧の振幅と中心周波数をフィードバック制御する。フィードバック系は、照射装置500で照射ビーム電流を実測する照射ビームモニタ52(第1ビームモニタ)、或いはビーム輸送系300で輸送ビーム電流を測定する輸送ビームモニタ33(第1ビームモニタ)、該ビームモニタの出力信号を電流設定値と比較して誤差信号を出力する電流比較器65、誤差信号に対して適切な利得で比例・積分・微分演算を実施して振幅補正値を出力する振幅制御器66、振幅補正値を振幅設定値に加算して演算結果を振幅変調器64に出力する振幅加算器67、同様に電流比較器65の誤差信号出力に対して適切な利得で比例・積分・微分演算を実施して周波数補正値を出力する周波数制御器68、周波数補正値を周波数設定値に加算して演算結果を高周波発振器61に出力する周波数加算器69、そして、シンクロトロン200の周回ビーム電荷量を実測する周回ビームモニタ28(第2ビームモニタ)、周回ビームモニタ28の出力信号に基づき振幅制御器66及び周波数制御器68で必要な比例・積分・微分演算の利得を演算して振幅制御器66及び周波数制御器68に出力する利得演算器70で構成される。
なお、周回ビームモニタ28としては周回ビームの電荷量を直接検出する方式以外に、周回ビームの電流値を検出する方式がある。後者の場合には、信号処理回路で電流値を時間積分して電荷量に換算するが、その場合には信号処理回路を含めて周回ビームモニタ28と考える。何れの場合にも利得演算器70では、検出した周回ビーム電荷量をビーム粒子の荷電数で除算して粒子数を求め、その演算結果に基づいて振幅制御器66及び周波数制御器68での信号利得を決定する。
ここで、制御装置600は、照射ビームモニタ52又は輸送ビームモニタ33(第1ビームモニタ)により検出した荷電粒子ビームの電流値が予め定めた目標値に近づくように出射装置26に印加する高周波電圧の振幅と周波数の双方を制御する2つのフィードバック系を構成し、利得演算器70は、周回ビームモニタ28(第2ビームモニタ)により検出した荷電粒子ビームの電荷量に基づいて前記2つのフィードバック系の高周波電圧振幅制御と周波数制御のそれぞれの利得を調整する利得調整手段を構成する。この利得調整手段は、周回ビームモニタ28(第2ビームモニタ)により検出した荷電粒子ビームの電荷量が小さくなるにしたがって高周波電圧振幅制御と周波数制御のそれぞれの利得を増加するよう制御する。また、振幅制御器66の利得(第1利得)は周波数制御器68の利得(第2利得)よりも大きく設定されている。
次に、本実施の形態の作用効果を説明する。
まず、図4を用いて本実施の形態に係わるビーム出射方法について簡単に説明する。
シンクロトロン200において、荷電粒子ビームを構成する各粒子は、設計軌道を中心にして水平/垂直方向に振動しながら周回する。シンクロトロン200を1周する間の振動数をそれぞれ水平/垂直チューンと呼び、四極電磁石22の励磁量で調整される。図4はシンクロトロン200を周回する荷電粒子ビームの状態を、出射に関係する水平方向の位相空間内に示したものである。横軸は設計軌道からのずれ(位置)で、縦軸は設計軌道に対する傾き(角度)である。六極電磁石23を励磁することで位相空間内に三角形状の安定領域が形成される。安定領域内の粒子はシンクロトロン200内を安定に周回し続けるが、安定領域の外に出た粒子は出射ブランチに沿って急激に振動振幅が増大し、最終的に出射偏向装置27の開口部に飛び込んでシンクロトロン200から取り出される。ここで、安定領域の大きさは四極電磁石22や六極電磁石23の励磁量で決まる。図4(A)は出射開始前の、図4(B)は出射開始後の位相空間を示す。安定領域の大きさを出射開始前の荷電粒子ビームのエミッタンス(位相空間で占める面積)より大きめに設定する。出射開始とともに水平チューンと共鳴する周波数の高周波電圧を出射装置26に印加して荷電粒子ビームのエミッタンスを大きくし(粒子の振動振幅を増大させ)、安定限界を超えた粒子から出射する。この状態で出射装置26の高周波電圧の振幅を調整して出射ビーム電流(照射ビーム電流)を制御でき、出射装置26の高周波電圧をON/OFFすることで出射ビーム(照射ビーム)のON/OFFが制御できる。
このビーム出射方法ではシンクロトロン200の電磁石励磁量を出射中に一定に設定できるため、安定領域や出射ブランチが不変で出射ビームの軌道安定度が高く、照射ビームの高い位置精度を達成できる特長がある。しかし、一方、照射ビームの電流制御の精度向上の観点では以下の課題があった。
図5は従来技術による粒子線治療システムの制御装置の構成と照射ビーム電流の制御方法を示す。実際の粒子線治療システムの運転では、図5に示すように、シンクロトロン200の出射装置26に印加する高周波電圧の振幅を、治療室内での照射ビーム電流の実測値やビーム輸送系での輸送ビーム電流の測定値に基づきフィードバック制御する。フィードバック系は制御装置600Z、高周波電力増幅器26A、出射装置26、シンクロトロン200、ビーム輸送系300、照射(輸送)ビームモニタ52(33)のループで構成され、それぞれの構成要素を一巡した信号伝達特性がフィードバック系の性能を決定する。すなわち、ループを一巡したループ利得が低いと制御精度が低下し、一方、高いとフィードバック系の動作が不安定になる。したがって、種々の外乱に対してループ利得を最適値に近く維持することが、照射ビームの電流制御の精度向上の観点で重要である。
ところが、従来、フィードバック系を構成する制御装置600Zでは、ループ利得を自動調整する機能がなく、シンクロトロン200で生じる外乱に対して補償が十分ではなかった。例えば、シンクロトロンでは出射が進むにつれて周回ビームの粒子数が低下し、出射期間の後期では出射装置26に印加する高周波電圧の振幅に対する出射ビーム電流の応答感度、すなわち、信号伝達特性の利得が低下する。また、シンクロトロンを構成する各種電磁石、特に四極電磁石22の励磁電流にリップル変動があると、周回ビームのチューンが変化し前述の位相空間内の安定領域の大きさや振動振幅増大の共鳴条件が変化する。その結果、やはり高周波電圧の振幅に対する出射ビーム電流の信号伝達特性の利得が変化する。それらの影響でフィードバック系を一巡するループ利得が大きく変化し、所望の制御精度が達成可能な動作範囲(運転範囲)を狭める原因となっていた。
本実施の形態は、このような問題点に鑑みて、周回ビームモニタ28を設け、制御装置600において、周波数制御器68、周波数加算器69、利得演算器70を追加設置し、周回ビームモニタ28の出力信号に基づき振幅制御器66及び周波数制御器68で必要な比例・積分・微分演算の利得を演算して振幅制御器66及び周波数制御器68に出力するようにしたものであり、これによりシンクロトロン出射時の周回ビーム粒子数やチューン変化などの外乱に対してフィードバック系(高周波電圧制御側のフィードバック系)のループ利得の変化を抑制し、高精度な照射ビーム電流の制御を広い運転範囲にわたり安定に維持することができる。
すなわち、本実施の形態では、照射ビーム電流や輸送ビーム電流の測定値に基づいて、出射装置26に印加する高周波電圧の振幅は振幅変調器64を通して、中心周波数は高周波発振器61を通して、それぞれフィードバック補正が可能となり高精度な照射ビーム電流の制御が可能となる。また、シンクロトロン200の周回ビーム粒子数(周回ビーム電荷量)に基づいて振幅制御器66と周波数制御器68の利得をそれぞれ自動調整可能であり、出射後期で周回ビームの粒子数が少ない場合でも、フィードバック系(高周波電圧制御側のフィードバック系)のループ利得の低下を抑制して照射ビーム電流の高い制御精度を維持できる。すなわち、利得演算器70の演算では、周回ビーム粒子数が減少する出射後期ほど振幅制御器66と周波数制御器68の利得を増加する処理を実施し、これによりフィードバック系(高周波電圧制御側のフィードバック系)のループ利得の低下が抑制される。
図6を用いて、出射装置26に印加する高周波電圧の中心周波数制御に関し補足説明する。横軸は周波数で縦軸は高周波電圧の振幅を示す。図中には六極電磁石で形成される安定限界の水平チューンに共鳴する周波数をFr、周回ビームの粒子分布中央部の水平チューンに共鳴する周波数をFb、印加する高周波電圧の周波数帯域の中心周波数をFrfで表記している。図6(A)は、高周波発振器61の初期の周波数設定では設定誤差によりFrfとFbが離れており、高周波電圧印加による周回ビームの振動振幅(エミッタンス)の増加率が低くループ利得が低い状態を示す。図中の実線は、周波数フィードバックを実施していない場合の帯域高周波電圧を示す。この状態で周波数フィードバックを実施すると、破線で示すようにFrfがFbに近づくように自動補正されループ利得の低下が抑制される。図6(B)は、四極電磁石22の励磁量リップルによりFbが変化しFrfから離れた状態を示す。図中の実線は、周波数フィードバックを実施していない場合の帯域高周波電圧を示す。この場合も同様に、周波数フィードバックを実施すると破線で示すようにFrfがFbに近づくように自動補正され、周回ビームとの共鳴状態が維持されてループ利得の低下が抑制される。
以上の如く、出射装置に印加する高周波電圧の中心周波数をフィードバック制御することで、中心周波数の設定誤差や四極電磁石の励磁量リップルによるチューン変動などの外乱を補償して、高周波電圧振幅制御のフィードバック系を常に最適なループ利得で動作させることができる。
ここで、周波数制御のフィードバック系は振幅制御のフィードバック系を補助するものであり、振幅制御器66及び周波数制御器68の各利得は前者の利得を大きめに設定すべきである。すなわち、照射ビーム電流の設定値と実測値に誤差がある場合、先ずは振幅制御のフィードバック系が動作して補正し、その補正結果の残差が大きい場合には周波数制御のフィードバック系が動作してループ利得を調整する。
以上のように本実施の形態によれば、出射後期で周回ビームの粒子数が少ない場合であっても、シンクロトロン200、ビーム輸送系300、照射(輸送)ビームモニタ52(33)(第1ビームモニタ)及び制御装置600が構成するフィードバック系のループ利得の低下を抑制して照射ビーム電流の高い制御精度を維持でき、出射効率を敢えて犠牲にせずに高精度な制御が可能である。すなわち、従来は高い制御精度を維持するため、出射終了時でもシンクロトロンに残存させる粒子数が多かったが、本実施の形態では、照射ビーム電流の高い制御精度を維持しながらシンクロトロン200に残存させる粒子数が従来より少なくなるまで荷電粒子ビームを出射することができる。
また、四極電磁石の励磁電流のリップル変動で周回ビームのチューンが変動する場合でも、出射装置に印加する高周波電圧の周波数制御で、粒子の振動振幅増大の共鳴状態を維持しながら安定領域の大きさの変化に追従できる。その結果、高周波電圧振幅制御のフィードバック系のループ利得変動が抑制でき、照射ビーム電流の変動が低減でき、これによっても高い制御精度を維持できる。
以上により本実施の形態によれば、粒子線治療システムで要求される照射ビーム電流の高精度制御を、シンクロトロンに必要な広い運転範囲にわたり安定に維持できる。

<第2の実施形態>
以下、図7と図8を用いて、本発明の第2の実施形態による粒子線治療システムの構成及び動作について説明する。なお、本実施形態による粒子線治療システムの全体構成は前実施形態の図1と同様であり、シンクロトロン200とビーム輸送系300の説明は以下省略する。
ここで、図7を用いて本実施形態による粒子線治療システムに用いる照射装置500Aの構成と動作原理について説明する。(A)は正面図であり、(B)は患部に照射される荷電粒子ビームをその上流側から見た平面図である。照射装置500Aはスポット走査法を用いているが、装置構成は前実施形態(ラスター走査法)の図2と同様であり、ビーム輸送系300で導かれた荷電粒子ビームを水平及び垂直方向に偏向し患部42の断面形状に合わせて2次元的に走査する走査電磁石51と、荷電粒子ビームの位置、サイズ(形状)、線量を監視する各種ビームモニタ52a,52bから構成される。
図7(A)に示すように、患者41の患部42に対して、その3次元的な患部形状を深さ方向の複数の層に分割し、各層を更に2次元的に分割して複数の照射スポットを設定する。深さ方向にはシンクロトロンの出射ビームのエネルギー変更などで照射ビームのエネルギーを変更して各層を選択的に照射する。各層内では図7(B)に示すように、走査電磁石51で照射ビームを2次元的に走査するが、各照射スポットSPでは停止した状態で所定線量を与える。1つの照射スポットSPの線量が満了すると照射ビームを高速で遮断したのち、照射ビームをOFFした状態で次の照射スポットに移動し、同様に照射を進めていく。
本実施形態の照射装置500Aは細径の荷電粒子ビームを走査してそのまま利用する点では前実施形態と同じであるが、各照射スポットSPに停止して所定線量に到達するまで照射ビームモニタ52で線量監視する点が異なる。したがって、照射ビーム電流の制御精度はラスター走査法に比較して厳しくない。すなわち、仮に照射ビーム電流の値に10%の誤差があった場合でも、各照射スポットSPでの照射時間が10%変化するだけで、線量監視機能により各照射スポットSPには所定線量が付与される。しかし、照射ビーム電流のリップル変動は十分抑制する必要がある。なぜならば、線量満了時のビーム遮断時間が実際には有限であるため、照射ビーム電流のリップル変動が大きいと照射スポット毎に線量満了時の電流値が変化して遮断遅延による線量誤差が大きく変動し、その照射スポット毎のランダム線量誤差が線量分布に悪影響を与えるからである。
図8に本実施形態による粒子線治療システムに用いる制御装置600Aの構成と照射ビーム電流のフィードバック系の全体構成を示す。本実施形態でも前実施形態と同様に、制御装置600Aでは出射装置26の電極間に印加する高周波電圧の中心周波数、周波数帯域幅、振幅を制御する。ここでは前実施形態の図3との相違点について説明する。本実施形態でも高周波電圧振幅制御のフィードバック系に中心周波数制御のフィードバック系を追加しているが、シンクロトロン200の周回ビーム粒子数(周回ビーム電荷量)に基づいて振幅制御器66と周波数制御器68の利得を自動調整する機能は設けていない。そのため照射ビーム電流の制御精度は出射後期に低下するが、照射ビーム電流のリップル変動は周波数フィードバックで十分抑制できるためスポット走査法には適用できる。
本実施の形態においても、高周波電圧振幅制御のフィードバック系に中心周波数制御のフィードバック系を追加しているため、四極電磁石の励磁電流のリップル変動で周回ビームのチューンが変動する場合に、高周波電圧振幅制御のフィードバック系のループ利得変動が抑制でき、照射ビーム電流の変動が低減できる。これにより照射ビーム電流の高精度制御を、シンクロトロンに必要な広い運転範囲にわたり安定に維持できる。

<第3の実施形態>
以下、図9と図10を用いて、本発明の第3の実施形態による粒子線治療システムの構成及び動作について説明する。なお、本実施形態による粒子線治療システムの全体構成は第1の実施形態の図1と同様であり、シンクロトロン200とビーム輸送系300の説明は以下省略する。
ここで、図9を用いて本実施形態による粒子線治療システムに用いる照射装置500の構成と動作原理について説明する。照射装置500Bは2重散乱体法を用いており、ビーム輸送系300で導かれた荷電粒子ビームのサイズを横方向に拡大する2個の散乱体53a,53bと、患部42の深さ方向の厚みに応じて荷電粒子ビームのエネルギー幅を拡大するエネルギー幅形成器54と、散乱体53で拡大した荷電粒子ビームの周辺部を患部42の断面形状に合わせて除去するコリメータ55と、患部42の最深部形状に一致するように荷電粒子ビームのエネルギーを補償するボーラス56と、荷電粒子ビームの位置、サイズ(形状)、線量を監視する各種ビームモニタ52a,52b,52cから構成される。
本実施形態の照射装置500Bでは2重散乱体法を用いており、上述の如く、荷電粒子ビームをコリメータ55で整形するためビーム利用効率が悪い。したがって、線量率を向上するためには、シンクロトロンの出射効率を犠牲にすることなく照射ビーム電流の制御精度を高める必要がある。
図10に本実施形態による粒子線治療システムに用いる制御装置600Bの構成と照射ビーム電流のフィードバック系の全体構成を示す。本実施形態でも制御装置600Bでは出射装置26の電極間に印加する高周波電圧の中心周波数、周波数帯域幅、振幅を制御する。本実施形態では高周波電圧の中心周波数のフィードバック系は設けていないが、シンクロトロンの周回ビーム粒子数(周回ビーム電荷量)に基づいて振幅制御器66の利得を自動調整できる。すなわち、制御装置600Bは、照射ビームモニタ52又は輸送ビームモニタ33(第1ビームモニタ)により検出した荷電粒子ビームの電流値が予め定めた目標値に近づくように出射装置26に印加する高周波電圧の振幅を制御するフィードバック系を構成し、利得演算器70は、周回ビームモニタ28(第2ビームモニタ)により検出した荷電粒子ビームの電荷量に基づいて高周波電圧振幅制御の利得を調整する。そのため、照射ビーム電流のリップル変動は抑制できないが、照射ビーム電流はリップル変動を平滑化できる10ms程度の時間平均で評価すると、その制御精度は出射期間中に高く維持できる。すなわち、出射後期で周回ビームの粒子数が少ない場合でも、フィードバック系のループ利得の低下を抑制して照射ビーム電流の高い制御精度を維持でき、出射効率を敢えて犠牲にせずに高精度な制御が可能である。言い換えれば、従来は高い制御精度を維持するため、出射終了時でもシンクロトロンに残存させる粒子数が多かったが、本実施の形態では、照射ビーム電流の高い制御精度を維持しながらシンクロトロン200に残存させる粒子数が従来より少なくなるまで荷電粒子ビームを出射することができる。 以上の特徴から、照射ビーム電流のリップル変動に対して許容度が大きく、一方で出射効率を犠牲にすることなく照射ビーム電流の制御精度を高める必要がある2重散乱体法に最適である。
11…前段加速器
21…偏向電磁石(シンクロトロン)
22…収束/発散型四極電磁石(シンクロトロン)
23…六極電磁石
24…入射装置
25…加速空胴
26…出射装置
26A…高周波電力増幅器
27…出射偏向装置
28…周回ビームモニタ
31…偏向電磁石(ビーム輸送系)
32…収束/発散型四極電磁石(ビーム輸送系)
33…輸送ビームモニタ
41…患者
42…患部
51…走査電磁石
52…照射ビームモニタ
53…散乱体
54…エネルギー幅形成器
55…コリメータ
56…ボーラス
61…高周波発振器
62…帯域信号発生器
63…乗算器
64…振幅変調器
65…電流比較器
66…振幅制御器
67…振幅加算器
68…周波数制御器
69…周波数加算器
70…利得演算器
100…粒子線治療システム
200…シンクロトロン
300…ビーム輸送系
400…治療室
500,500A,500B…照射装置
600,600A,600B,600Z…制御装置

Claims (8)

  1. 前段加速器から入射した荷電粒子ビームを所定のエネルギーまで加速したのち、出射装置に印加した高周波電圧で安定限界を超えさせて荷電粒子ビームを出射するシンクロトロンと、前記シンクロトロンから出射された荷電粒子ビームを治療室まで導くビーム輸送系と、前記治療室で患者の患部形状に合わせて荷電粒子ビームを照射する照射装置とから構成される粒子線治療システムにおいて、
    前記ビーム輸送系または前記治療室内に配置され、前記シンクロトロンから出射された荷電粒子ビームの電流値を検出する第1ビームモニタと、
    前記第1ビームモニタにより検出した荷電粒子ビームの電流値が予め定めた目標値に近づくように前記出射装置に印加する高周波電圧の振幅を制御するフィードバック系を構成する制御装置と、
    前記シンクロトロンを周回する荷電粒子ビームの電荷量を検出する第2ビームモニタと、
    前記制御装置に設けられ、前記第2ビームモニタにより検出した荷電粒子ビームの電荷量に基づいて前記フィードバック系の高周波電圧振幅制御の利得を調整する利得調整手段とを備えることを特徴とする粒子線治療システム。
  2. 前記制御装置は、前記第1ビームモニタにより検出した荷電粒子ビームの電流値を電流設定値と比較して誤差信号を出力する電流比較部、前記誤差信号に対して第1利得を用いて演算を実施し振幅補正値を出力する振幅制御部、前記振幅補正値を振幅設定値に加算して演算結果を出力する振幅加算部、前記演算結果に基づいて前記出射装置に印加する高周波電圧の振幅を調整する振幅調整部を有し、
    前記利得調整手段は、前記第2ビームモニタにより検出した荷電粒子ビームの電荷量に基づいて前記振幅制御部の第1利得を調整することを特徴とする請求項1記載の粒子線治療システム。
  3. 前記利得調整手段は、前記第2ビームモニタにより検出した荷電粒子ビームの電荷量が小さくなるにしたがって前記第1利得を増加するよう制御することを特徴とする請求項2記載の粒子線治療システム。
  4. 前段加速器から入射した荷電粒子ビームを所定のエネルギーまで加速したのち、出射装置に印加した高周波電圧で安定限界を超えさせて荷電粒子ビームを出射するシンクロトロンと、前記シンクロトロンから出射された荷電粒子ビームを治療室まで導くビーム輸送系と、前記治療室で患者の患部形状に合わせて荷電粒子ビームを照射する照射装置とから構成される粒子線治療システムにおいて、
    前記ビーム輸送系または前記治療室内に配置され、前記シンクロトロンから出射された荷電粒子ビームの電流値を検出する第1ビームモニタと、
    前記第1ビームモニタにより検出した荷電粒子ビームの電流値が予め定めた目標値に近づくように前記出射装置に印加する高周波電圧の振幅と周波数の双方を制御する2つのフィードバック系を構成する制御装置とを備えることを特徴とする粒子線治療システム。
  5. 前記シンクロトロンを周回する荷電粒子ビームの電荷量を検出する第2ビームモニタと、
    前記制御装置に設けられ、前記第2ビームモニタにより検出した前記荷電粒子ビームの電荷量に基づいて前記2つのフィードバック系の高周波電圧振幅制御と周波数制御のそれぞれの利得を調整する利得調整手段とを更に備えることを特徴とする請求項2記載の粒子線治療システム。
  6. 前記制御装置は、前記第1ビームモニタにより検出した荷電粒子ビームの電流値を電流設定値と比較して誤差信号を出力する電流比較部、前記誤差信号に対して第1利得を用いて演算を実施し振幅補正値を出力する振幅制御部、前記振幅補正値を振幅設定値に加算して演算結果を出力する振幅加算部、前記電流比較器の誤差信号に対して第2利得を用いて演算を実施し周波数補正値を出力する周波数制御部、前記周波数補正値を周波数設定値に加算して演算結果を出力する周波数加算部、前記振幅加算部の演算結果に基づいて前記出射装置に印加する高周波電圧の振幅を調整する振幅調整部、及び前記周波数加算部の演算結果に基づいて前記出射装置に印加する高周波電圧の周波数を調整する周波数調整部を有し、
    前記利得調整手段は、前記第2ビームモニタにより検出した荷電粒子ビームの電荷量に基づいて前記振幅制御部の第1利得と前記周波数制御部の第2利得とをそれぞれ調整することを特徴とする請求項5記載の粒子線治療システム。
  7. 前記利得調整手段は、前記第2ビームモニタにより検出した荷電粒子ビームの電荷量が小さくなるにしたがって前記第1利得及び第2利得を増加するよう制御することを特徴とする請求項6記載の粒子線治療システム。
  8. 前記振幅制御部の第1利得は前記周波数制御部の第2利得よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項6記載の粒子線治療システム。
JP2009098896A 2009-04-15 2009-04-15 粒子線治療システム Active JP5159688B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009098896A JP5159688B2 (ja) 2009-04-15 2009-04-15 粒子線治療システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009098896A JP5159688B2 (ja) 2009-04-15 2009-04-15 粒子線治療システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010251106A true JP2010251106A (ja) 2010-11-04
JP5159688B2 JP5159688B2 (ja) 2013-03-06

Family

ID=43313217

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009098896A Active JP5159688B2 (ja) 2009-04-15 2009-04-15 粒子線治療システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5159688B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013140547A1 (ja) * 2012-03-21 2013-09-26 三菱電機株式会社 粒子線スキャニング照射システムと粒子線スキャニング照射方法
JP2014170714A (ja) * 2013-03-05 2014-09-18 Hitachi Ltd シンクロトロンおよびそれを用いた粒子線治療システム
WO2014207852A1 (ja) * 2013-06-26 2014-12-31 株式会社日立製作所 荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法
JP2015179585A (ja) * 2014-03-19 2015-10-08 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線治療装置
JP2019092985A (ja) * 2017-11-27 2019-06-20 三菱電機株式会社 ビーム輸送系の電磁石調整方法
US10420202B2 (en) 2017-05-01 2019-09-17 Toshiba Energy Systems & Solutions Corporation Accelerator control device, accelerator control method, and particle beam therapy device
WO2021002354A1 (ja) * 2019-07-04 2021-01-07 東芝エネルギーシステムズ株式会社 荷電粒子の出射制御装置、方法及びプログラム
TWI797566B (zh) * 2020-03-13 2023-04-01 日商東芝能源系統股份有限公司 粒子加速器的診斷裝置,粒子加速器的診斷方法及粒子加速器的診斷程式

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09330800A (ja) * 1996-06-11 1997-12-22 Mitsubishi Electric Corp 荷電粒子加速器のビーム出射装置
JPH11312599A (ja) * 1999-03-19 1999-11-09 Hitachi Ltd 荷電粒子ビ―ム出射方法及びその出射装置
JP2000124000A (ja) * 1998-10-16 2000-04-28 Hitachi Ltd 荷電粒子ビーム出射方法
JP2002043099A (ja) * 2000-07-27 2002-02-08 Hitachi Ltd 加速器及び医療システムとその運転方法
JP2002367800A (ja) * 2001-06-05 2002-12-20 Hitachi Ltd 高周波加速装置及び円形加速器

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09330800A (ja) * 1996-06-11 1997-12-22 Mitsubishi Electric Corp 荷電粒子加速器のビーム出射装置
JP2000124000A (ja) * 1998-10-16 2000-04-28 Hitachi Ltd 荷電粒子ビーム出射方法
JPH11312599A (ja) * 1999-03-19 1999-11-09 Hitachi Ltd 荷電粒子ビ―ム出射方法及びその出射装置
JP2002043099A (ja) * 2000-07-27 2002-02-08 Hitachi Ltd 加速器及び医療システムとその運転方法
JP2002367800A (ja) * 2001-06-05 2002-12-20 Hitachi Ltd 高周波加速装置及び円形加速器

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013140547A1 (ja) * 2012-03-21 2013-09-26 三菱電機株式会社 粒子線スキャニング照射システムと粒子線スキャニング照射方法
US9079026B2 (en) 2012-03-21 2015-07-14 Mitsubishi Electric Corporation Particle beam scanning irradiation system
JPWO2013140547A1 (ja) * 2012-03-21 2015-08-03 三菱電機株式会社 粒子線スキャニング照射システム
JP2014170714A (ja) * 2013-03-05 2014-09-18 Hitachi Ltd シンクロトロンおよびそれを用いた粒子線治療システム
WO2014207852A1 (ja) * 2013-06-26 2014-12-31 株式会社日立製作所 荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法
JP2015179585A (ja) * 2014-03-19 2015-10-08 住友重機械工業株式会社 荷電粒子線治療装置
US10420202B2 (en) 2017-05-01 2019-09-17 Toshiba Energy Systems & Solutions Corporation Accelerator control device, accelerator control method, and particle beam therapy device
JP2019092985A (ja) * 2017-11-27 2019-06-20 三菱電機株式会社 ビーム輸送系の電磁石調整方法
WO2021002354A1 (ja) * 2019-07-04 2021-01-07 東芝エネルギーシステムズ株式会社 荷電粒子の出射制御装置、方法及びプログラム
JP2021012776A (ja) * 2019-07-04 2021-02-04 東芝エネルギーシステムズ株式会社 荷電粒子の出射制御装置、方法及びプログラム
KR20220008352A (ko) * 2019-07-04 2022-01-20 도시바 에너지시스템즈 가부시키가이샤 하전 입자의 출사 제어 장치, 방법 및 프로그램
CN114025839A (zh) * 2019-07-04 2022-02-08 东芝能源系统株式会社 带电粒子的射出控制装置、方法及程序
TWI776179B (zh) * 2019-07-04 2022-09-01 日商東芝能源系統股份有限公司 帶電粒子的射出控制裝置,方法及程式
JP7290274B2 (ja) 2019-07-04 2023-06-13 東芝エネルギーシステムズ株式会社 荷電粒子の出射制御装置、方法及びプログラム
KR102652638B1 (ko) * 2019-07-04 2024-04-01 도시바 에너지시스템즈 가부시키가이샤 하전 입자의 출사 제어 장치, 방법 및 프로그램
US11968773B2 (en) 2019-07-04 2024-04-23 Toshiba Energy Systems & Solutions Corporation Charged particle emission control device, method, and program
TWI797566B (zh) * 2020-03-13 2023-04-01 日商東芝能源系統股份有限公司 粒子加速器的診斷裝置,粒子加速器的診斷方法及粒子加速器的診斷程式

Also Published As

Publication number Publication date
JP5159688B2 (ja) 2013-03-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5159688B2 (ja) 粒子線治療システム
JP4339904B2 (ja) 粒子線治療システム
JP5409521B2 (ja) 粒子線治療装置
JP3912364B2 (ja) 粒子線治療装置
JP5597162B2 (ja) 円形加速器、および円形加速器の運転方法
JP5002612B2 (ja) 荷電粒子ビーム照射装置
JP5816518B2 (ja) 粒子線照射システム及びビーム補正方法
JP5978125B2 (ja) 粒子線治療システム
JP4982535B2 (ja) 粒子線治療システム
JP6200368B2 (ja) 荷電粒子照射システムおよび荷電粒子ビーム照射システムの制御方法
JP2010011962A (ja) 荷電粒子ビーム照射システムおよび荷電粒子ビーム出射方法
JP2009112483A (ja) 粒子線治療システム
JP2015179585A (ja) 荷電粒子線治療装置
JP5542703B2 (ja) 荷電粒子ビーム照射システムおよび円形加速器の運転方法
JPWO2011019036A1 (ja) パルス電圧を用いた荷電粒子ビームの取り出し方法
JP5998089B2 (ja) 粒子線照射システムとその運転方法
JP6007133B2 (ja) シンクロトロンおよびそれを用いた粒子線治療システム
JP5340131B2 (ja) 円形加速器、および円形加速器の運転方法
JP5011335B2 (ja) 粒子線治療システム及びシンクロトロンの運転方法
JP7319144B2 (ja) 円形加速器および粒子線治療システム、円形加速器の作動方法
JP5781421B2 (ja) 粒子線治療システム
KR102433057B1 (ko) 가속기의 제어 방법, 가속기의 제어 장치, 및 입자선 치료 시스템
JP6279036B2 (ja) 粒子線照射システムとその運転方法
US20220305295A1 (en) Particle beam treatment apparatus and accelerator
JP6640997B2 (ja) 粒子線治療装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110816

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120314

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120605

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120801

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120904

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121105

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121127

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121211

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5159688

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151221

Year of fee payment: 3