WO2014207852A1 - 荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法 - Google Patents

荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法 Download PDF

Info

Publication number
WO2014207852A1
WO2014207852A1 PCT/JP2013/067561 JP2013067561W WO2014207852A1 WO 2014207852 A1 WO2014207852 A1 WO 2014207852A1 JP 2013067561 W JP2013067561 W JP 2013067561W WO 2014207852 A1 WO2014207852 A1 WO 2014207852A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
frequency voltage
frequency
synchrotron
charged particle
irradiation system
Prior art date
Application number
PCT/JP2013/067561
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
秀晶 西内
平本 和夫
Original Assignee
株式会社日立製作所
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社日立製作所 filed Critical 株式会社日立製作所
Priority to JP2015523741A priority Critical patent/JPWO2014207852A1/ja
Priority to PCT/JP2013/067561 priority patent/WO2014207852A1/ja
Publication of WO2014207852A1 publication Critical patent/WO2014207852A1/ja

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05HPLASMA TECHNIQUE; PRODUCTION OF ACCELERATED ELECTRICALLY-CHARGED PARTICLES OR OF NEUTRONS; PRODUCTION OR ACCELERATION OF NEUTRAL MOLECULAR OR ATOMIC BEAMS
    • H05H13/00Magnetic resonance accelerators; Cyclotrons
    • H05H13/04Synchrotrons
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N5/00Radiation therapy
    • A61N5/10X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy
    • A61N5/1077Beam delivery systems
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05HPLASMA TECHNIQUE; PRODUCTION OF ACCELERATED ELECTRICALLY-CHARGED PARTICLES OR OF NEUTRONS; PRODUCTION OR ACCELERATION OF NEUTRAL MOLECULAR OR ATOMIC BEAMS
    • H05H7/00Details of devices of the types covered by groups H05H9/00, H05H11/00, H05H13/00
    • H05H7/02Circuits or systems for supplying or feeding radio-frequency energy
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05HPLASMA TECHNIQUE; PRODUCTION OF ACCELERATED ELECTRICALLY-CHARGED PARTICLES OR OF NEUTRONS; PRODUCTION OR ACCELERATION OF NEUTRAL MOLECULAR OR ATOMIC BEAMS
    • H05H7/00Details of devices of the types covered by groups H05H9/00, H05H11/00, H05H13/00
    • H05H7/10Arrangements for ejecting particles from orbits
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61NELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
    • A61N5/00Radiation therapy
    • A61N5/10X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy
    • A61N2005/1085X-ray therapy; Gamma-ray therapy; Particle-irradiation therapy characterised by the type of particles applied to the patient
    • A61N2005/1087Ions; Protons

Definitions

  • the beam stop time depends on the output beam current value at the timing when the application of the high-frequency voltage is stopped. Therefore, when the outgoing beam current at the timing when the application of the high-frequency voltage is stopped overlaps the peak value or the bottom value of the current ripple, the beam stop time may vary.
  • the beam is emitted (ON) until the dose to each irradiation spot expires, and the beam irradiation is stopped (OFF) at the timing when the dose has expired.
  • the irradiation device 30 scans the scanning electromagnet 32 to the next irradiation spot position (not shown). After the scanning electromagnet 32 is scanned, the beam is irradiated again until the irradiation spot dose expires. By repeating such control, irradiation spots in the irradiation area are sequentially expired.

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Plasma & Fusion (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Radiology & Medical Imaging (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Particle Accelerators (AREA)
  • Radiation-Therapy Devices (AREA)

Abstract

 シンクロトロンからイオンビームの出射制御を実施する際、周回しているイオンビームのベータトロン振動振幅を増大させる出射用高周波電極に印加する高周波電圧に起因する出射ビームの電流リップルの発生を抑制し、線量率を向上するため、出射制御装置20は、出射用高周波電極16aに印加する高周波電圧として、シンクロトロン13内を周回するビームをシンクロトロン外に出射されないように、安定限界を超えない範囲で振動振幅を増大させるための第1高周波電圧Fsと、シンクロトロンからビームを出射させるための第2高周波電圧Feとで構成される高周波電圧を印加する。

Description

荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法
 本発明は、荷電粒子ビーム照射システムおよび荷電粒子ビーム出射方法に係り、特に、陽子または重イオンなどの荷電粒子ビーム(イオンビーム)を患部に照射してがんを治療する粒子線治療装置に適応するのに好適な荷電粒子ビーム照射システムおよび荷電粒子ビーム出射方法に関する。
 がんの放射線治療として、陽子または重イオン等のイオンビームを患者のがんの患部に照射して治療する粒子線治療が知られている。この治療に用いる粒子線治療装置は、イオンビーム発生装置、ビーム輸送系、および照射装置を備える。イオンビーム発生装置は、周回軌道に沿って周回するイオンビームを所望のエネルギーまで加速させるシンクロトロンやサイクロトロンを有する。
 シンクロトロンは、周回軌道に沿って周回するイオンビームに高周波電圧を印加して目標のエネルギーまで加速する高周波加速装置(加速空胴)、周回しているイオンビームのベータトロン振動振幅を増大させる出射用高周波電極、およびイオンビームを周回軌道から取り出す出射用デフレクターを備える(例えば、特許文献1)。目標エネルギーまで加速されたイオンビームをシンクロトロンからビーム輸送系へ出射する際、出射用高周波電極に高周波磁場または高周波電場(以下、高周波電圧と表記)を印加し、周回しているイオンビームの固有振動であるベータトロン振動振幅を増大させる(特許文献1)。ベータトロン振動振幅を効率良く増大させる高周波電圧として、複数の線スペクトル信号で構成される帯域制限高周波電圧が挙げられる(特許文献2)。ベータトロン振動振幅が増大したイオンビームは、安定限界外に移動し、シンクロトロンからビーム輸送系へ出射され、照射装置に輸送される。
 照射装置は、上記イオンビーム発生装置から導かれたイオンビームを、患者の体表面からの深さ及び患部形状に合わせて整形して、治療用ベッド上の患者の患部に照射する。照射装置では、患部形状に合わせてビームを走査し照射するビームスキャニング法が注目されている。ビームスキャニング法には、スポットスキャニング照射法やラスタースキャニング照射法がある。
 スポットスキャニング照射法では、患部をスポットと呼ばれる領域に分割し、治療計画によりスポット毎に付与する照射線量を設定する。スポットに照射される線量は、線量モニタにて逐次計測する。線量モニタで計測した照射線量が所定線量に到達すると、イオンビームの照射を停止する。イオンビームの照射停止後、走査電磁石の励磁量を次のスポット位置に対応した励磁量に変更し、イオンビームを照射する。このような走査と照射の繰り返しにより、患部平面方向の照射を実施する。また、患部平面方向の照射を完了したら、照射面の深さ方向を変更する。患部深さ方向の照射は、イオンビームの飛程を変更することで制御する。具体的には、照射装置に供給するイオンビームのエネルギーを変更することで実現できる。
 また、ラスタースキャニング照射法では、スポットスキャニング照射法とは異なり、照射経路に沿ってイオンビームを走査しながら照射する。このため、ラスタースキャニング照射法では、出射ビーム電流の時間構造を考慮してイオンビームの電流を低く設定し、患部平面方向に対して複数回に分けて走査し照射(以下、リペイント)することで、所定の線量一様度を担保しつつ、照射線量を満了させる。
  このように、ビームスキャニング法では、患部形状に合わせたイオンビームを照射するため、従来の散乱体照射法のように、患部形状に合わせた一様な吸収線量範囲(拡大ブラックピーク(Spread-Out Bragg Peak)以下、SOBPと表記)を形成するための散乱体(SOBPフィルタ)や、ボーラス、コリメータ等の患部形状に合わせた患者固有具が不要となり、イオンビーム発生装置から照射装置に供給されるイオンビームを効率よく患部に照射することが可能である。
 イオンビーム発生装置としてシンクロトロンを利用する場合、照射装置に供給するイオンビームのエネルギーは、加速空胴に供給する高周波電圧の周波数と偏向電磁石の磁場強度により制御可能である。また、シンクロトロンから照射装置に供給するイオンビームの電流は、出射用高周波電圧の振幅値により制御可能である。スキャニングビーム走査法で要求されるスポット毎のイオンビームの照射制御は、出射用高周波電圧の印加および印加停止制御により実現できる。特に、スポットに対する照射線量が所定線量に到達した際にイオンビームの照射を停止する際には、シンクロトロンから出射するイオンビームを素早く停止させることで、照射線量の精度を高める必要がある。
特許第2596292号公報 特許第3053175号公報
 しかし、上記従来技術には次のような問題があった。ビームスキャニング法では、照射線量を高精度に制御するため、シンクロトロンから出射するビーム電流を高精度に制御する必要があるが、この際、出射ビーム電流には数100Hzから数kHzの低い周波数成分が電流リップルとして重畳されている。この低い周波数成分の電流リップルは、出射用高周波電極に印加する高周波電圧に含まれる周波数成分に起因するものであることが分かっている。例えば、特許文献2に記載されているように、ビームの出射に必要な高周波電圧として、複数の線スペクトルデータで構成された帯域制限高周波電圧を用いると、線スペクトルの間隔に対応した周波数成分の電流リップルが生じる。
 この電流リップルは、出射用高周波電極に印加する高周波電圧の線スペクトル間隔に応じて、数100μsから数msの時間構造として現れる。スポットスキャニング照射法でのスポット照射時間は数ms前後であり、ラスタースキャニング照射法での患部平面の1回あたりのビーム走査時間は数10msであるため、数100μsから数msの時間構造を有する電流リップルは無視できない。また電流リップルの強度は、出射用高周波電極に印加する高周波電圧の強度に応じて変化するため、従来のビーム出射制御法では電流リップル成分のみを抑制するのは困難である。
 このような低い周波数成分の電流リップルが重畳された場合、以下に示す二つの課題がある。一つ目は、低い線量を照射する場合、出射ビーム電流に重畳した電流リップルを独立に制御できないため、電流リップルに起因して照射される線量の制御が困難である。そのため、低い線量を照射する場合には、シンクロトロンから出射するビーム電流を予め低く設定し、電流リップルに起因して照射される線量を低く抑える必要がある。そのため、患部平面内の照射時間が掛かり、線量率が低下する課題が挙げられる。特に、ビームを走査しながら照射するラスタースキャニング照射法においては、出射ビーム電流に生ずる電流リップルの時間構造は、走査領域の線量分布に直接影響を及ぼすため、出射ビーム電流を低く設定し、数10~数100回のリペイントを実施する必要があり、線量率を向上する妨げとなる。
 二つ目は、ビーム照射を停止する場合、ビーム停止指令に基づき出射用高周波電極への高周波電圧の印加を停止するが、ビーム停止指令が入力後から実際にビーム停止するまでの時間(以下、ビーム停止時間)は、高周波電圧の印加を停止したタイミングでの出射ビーム電流値に依存する。そのため、高周波電圧の印加を停止したタイミングでの出射ビーム電流が電流リップルのピーク値やボトム値に重なった場合、ビーム停止時間が変動する恐れがある。特にスポット毎に照射線量を管理しながら照射するスポットスキャニング照射法では、照射スポット毎にビームの出射、停止を繰り返すため、ビーム停止時間の変動によるスポット線量のばらつきは、線量分布の形成に影響する。そのため、出射ビーム電流を低く設定し、電流リップルの時間構造が生じた場合でもスポット線量のばらつきを抑制する必要があり、線量率を向上する妨げとなる。
 本発明の目的は、シンクロトロンからイオンビームの出射制御を実施する際、周回しているイオンビームのベータトロン振動振幅を増大させる出射用高周波電極に印加する高周波電圧に起因する出射ビームの電流リップルの発生を抑制し、線量率を向上できる荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法を提供することにある。
 上記の目的を実現する本発明の特徴は、シンクロトロンに設けられた出射用高周波電極に印加する高周波電圧として、シンクロトロン内を周回するビームをシンクロトロン外に出射されないように、安定限界を超えない範囲で振動振幅を増大させるための第1高周波電圧(供給用高周波電圧)と、シンクロトロンからビームを出射させるための第2高周波電圧(出射制御用高周波電圧)とで構成される高周波電圧を印加する点にある。第2高周波電圧は、ビーム出射制御指令に基づきビーム出射(第2高周波電圧の印加)およびビーム停止(第2高周波電圧の停止)を実施するよう印加する。第1高周波電圧は、第2高周波電圧と同様、ビーム出射制御指令に基づき印加してもよいが、ビーム出射制御指令に係わらず、ビーム出射制御区間中に印加した状態としてもよい。
 このように出射用高周波電極に印加する高周波電圧を、シンクロトロン内を周回するビームをシンクロトロン外に出射されないように、安定限界を超えない範囲で振動振幅を増大させる第1高周波電圧(供給用高周波電圧)と、シンクロトロンからビームを出射させるための第2高周波電圧(出射制御用高周波電圧)とに機能を分けて印加することで、高周波電圧に電流リップルの原因となる低い周波数成分が含まれていても、出射ビーム電流の電流リップルの発生を抑制できる。また、電流リップルの発生を抑制できるため、出射ビーム電流を高め、線量率を向上できる。
 具体的には、第1高周波電圧(供給用高周波電圧)は、複数の周波数成分で構成される帯域制限高周波電圧を用いて生成され、第1高周波電圧(供給用高周波電圧)の周波数範囲と強度は、周回ビームが安定限界を超えない(つまり、出射されない)ように設定する。また、第2高周波電圧(出射制御用高周波電圧)の周波数は、安定限界と第1高周波電圧の中心周波数との間に設定し、第2高周波電圧の強度は、求められる出射ビーム電流に応じて制御する。
 また、出射用高周波電極に印加する高周波電圧のうち、第1高周波電圧(供給用高周波電圧)は、ビーム出射制御の開始前から事前に印加し、第2高周波電圧(出射制御用高周波電圧)は、第1高周波電圧の事前印加制御を実施後に印加する。これにより出射制御用高周波電圧である第2高周波電圧の印加に対応した素早いビーム電流制御が実現できる。
 さらに、シンクロトロン内を周回するビームに対して、上記の第1高周波電圧および第2高周波電圧を印加するとともに、安定限界近傍の1つの周波数成分で構成される第3高周波電圧(単一高周波電圧)を第2高周波電圧に重畳してビーム出射制御指令に基づき印加する。このようにシンクロトロンからビームを出射するために印加するための高周波電圧として、安定限界近傍の粒子を優先的に出射する第3高周波電圧(単一高周波電圧)を第2高周波電圧に重畳したものを用いることで、安定限界近傍に分布する周回ビームの拡散速度(ビーム出射速度)を更に高めることができ、ビーム制御応答性、つまり、ビーム出射制御指令に基づくビーム出射時およびビーム停止時の応答速度を更に高めることができる。
  本発明によれば、シンクロトロンからイオンビームの出射制御を実施する際、周回しているイオンビームのベータトロン振動振幅を増大させる出射用高周波電極に印加する高周波電圧に起因する出射ビームの電流リップルの発生を抑制し、線量率を向上させることができる。
本発明を適用した第1実施例の荷電粒子ビーム照射システムの構成の構成を示す図である。 本発明を適用した第1実施例の特徴である出射用高周波電極に印加する高周波電圧の印加方法を示す図である。 本発明を適用した第1実施例を実現する出射制御装置の構成を示す図である。 本発明を適用した第1実施例を実現する出射制御装置の制御指令値と出射ビームエネルギーの関係を示す図である。 本発明を適用した第1実施例のビーム出射制御時のタイミングチャートを示す図である。 本発明を適用した第1実施例の変形例におけるビーム出射制御時のタイミングチャートを示す図である。 本発明を適用した第2実施例のビーム出射制御時のタイミングチャートを示す図である。 本発明を適用した第3実施例の特徴である出射用高周波電極に印加する高周波電圧の印加方法を示す図である。 本発明を適用した第3実施例を実現する出射制御装置の構成を示す図である。 本発明を適用した第3実施例のビーム出射制御時のタイミングチャートを示す図である。 従来の出射用高周波電極に印加する高周波電圧の印加方法を示す図である。 従来法での出射ビーム停止時のビーム電流を示す図である。 従来法での出射ビーム停止時のビーム電流を示す図である。
  以下に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
 (実施例1)
 図1は、本発明の好適な一実施例である荷電粒子ビーム照射システムの構成を示す図である。本実施例の荷電粒子ビーム照射システム1は、図1に示すように、イオンビーム発生装置11、ビーム輸送装置14、照射装置30を備え、ビーム輸送装置14が、イオンビーム発生装置11と治療室内に配置される照射装置30を連絡する。
 イオンビーム発生装置11は、イオン源(図示せず)、前段加速器12およびシンクロトロン13を備える。イオン源は前段加速器12に接続され、前段加速器12はシンクロトロン13に接続される。前段加速器12は、イオン源で発生したイオンビーム10をシンクロトロン13に入射可能なエネルギーまで加速する。前段加速器12で加速されたイオンビーム10aは、シンクロトロン13に入射される。
 シンクロトロン13は、周回軌道に沿って周回するイオンビーム10bに高周波電圧を印加して目標のエネルギーまで加速する高周波加速装置(加速空胴)19、周回しているイオンビームのベータトロン振動振幅を増大させる出射用高周波電極16a、およびイオンビームを周回軌道から取り出す出射用デフレクター16bを備える。
 シンクロトロン13に入射されたビーム10bは、高周波加速空胴19に印加した加速高周波電圧によりエネルギーを付与されることで、所望のエネルギーまで加速する。この際、シンクロトロン13内を周回するイオンビーム10bの周回軌道が一定となるように、イオンビーム10bの周回エネルギーの増加に合わせて偏向電磁石18a、四極電磁石18b等の磁場強度および、加速空胴19に印加する高周波電圧の周波数を高める。
 所望のエネルギーまで加速したイオンビーム10bは、出射準備制御により、四極電磁石18bおよび六極電磁石(図示せず)の励磁量により周回ビーム10bが出射可能な条件(周回ビームの安定限界15)を成立させる。出射準備制御が終了後、出射制御装置20から高周波電圧(Fext)を高周波増幅器17で増幅した後に、出射用高周波電極16aに印加し、シンクロトロン13内を周回するビーム10bのベータトロン振動振幅を増大させる。このベータトロン振動振幅の増大により、安定限界15(図2)を超えた周回ビーム10bはシンクロトロン13から高エネルギービーム輸送系14に出射される。シンクロトロン13からのビーム出射制御は、出射制御装置20によって出射用高周波電極16aに印加する高周波電圧により、ビーム出射(高周波電圧(Fext)の印加)および、ビーム停止(高周波電圧(Fext)の停止)を制御することで行う。
 シンクロトロン13から出射されたビーム10cは、高エネルギービーム輸送系14により照射装置30に輸送される。照射装置30では、患者に照射するビーム10dの照射線量を計測する線量モニタ31にて、照射するビーム10dの線量強度を逐次確認し、走査電磁石32で患部形状に合わせてビーム10dを走査する。また、患部深さ方向のビーム飛程変更は、シンクロトロン13で加速するビーム10bのエネルギーを変更して出射することで、患部形状に合わせた照射野を形成する。
 次に、本発明の特徴である高周波電圧(Fext)の印加方法について、図2および図10、図11Aおよび図11Bを用いて従来法と比較しながら説明する。図2は、本実施例の特徴である出射用高周波電極に印加する高周波電圧の印加方法を示す図である。図10は、従来の出射用高周波電極に印加する高周波電圧の印加方法を示す図である。
 シンクロトロン13内のビーム10bは、設計軌道の周囲をベータトロン振動しながら周回している。シンクロトロン13一周当たりのベータトロン振動数はチューン(ν)呼ばれ、ビームのチューン(νbeam)は集群化したイオンビーム10bの運動量幅に応じて幅(Δν)を持つ。図10に示すように、従来のビーム出射制御法では、チューンの幅Δνに対応した周波数範囲(Δf)の出射用高周波電圧(Fe)を印加することで、周回するイオンビーム10bの振動振幅を増大し、安定限界15を超えさせることでビームを出射していた。この際の出射用高周波電極16aに印加する高周波電圧の中心周波数(fc)および周波数幅(Δf)は、それぞれ、下記の(1)式と(2)式で示される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
 ここで、frevはイオンビーム10bの周回周波数であり、νmax、νminはそれぞれ、チューンの幅(Δν)の最大値と最小値を示している。ここで、出射用高周波電極16aに印加する高周波電圧(Fext)は、出射制御用高周波電圧(Fe)のみである。また、出射ビームの電流は、出射制御用高周波電圧(Fe)の振幅値(Ve)で制御する。
 図11Aおよび図11Bは、従来法での出射ビーム停止時のビーム電流を示す図である。前述したように、ビームスキャニング法では、照射線量を高精度に制御するため、シンクロトロンから出射するビーム電流を高精度に制御する必要があるが、出射用高周波電極に印加する高周波電圧に含まれる周波数成分に起因して、出射ビーム電流には数100Hzから数kHzの低い周波数成分が電流リップル(Irip)として重畳されている。
 上述したように、従来法では、出射用高周波電極16aに印加する高周波電圧(Fext)の印加停止によりビーム出射を高速に停止できるが、この際、図11Aに示したように、ビーム出射停止指令時の出射ビーム電流(Ioff)が電流リップル(Irip)のピークにあった場合には、ビーム停止後に出射される線量(Qoff)が多くなる。同様に、図11Bに示したように、ビーム出射停止時に出射ビーム電流(Ioff)が電流リップル(Irip)のボトムにあった場合には、ビーム停止後に出射される線量(Qoff)が少なくなる。このように、ビーム停止時の出射ビーム電流(Ioff)が電流リップル(Irip)のピークとボトムの違いによって、ビーム停止指令後の線量(Qoff)が変動してしまう。
 一方、本発明では、図2に示すように、出射用高周波電極16aに印加する高周波電圧(Fext)として、シンクロトロン内を周回するビームをシンクロトロン外に出射されないように、安定限界を超えない範囲で振動振幅を増大するように印加する高周波電圧(供給用高周波電圧)(Fs)と、供給用高周波電圧(Fs)により安定限界15近傍まで拡散された周回ビームをシンクロトロン13からビームを出射するために印加する出射制御用高周波電圧(Fe)で構成する(Fext=Fs+Fe)。
 高周波電圧印加前の周回ビーム分布101に対して、供給用高周波電圧(Fs)を印加することにより、安定限界15を超えない範囲で周回ビーム分布を広げる(103)。供給用高周波電圧(Fs)の印加により広がった周回ビーム分布103に対し、出射制御用高周波電圧(Fe)の印加により、周回ビームが安定限界15を超えるように広げ(102)、シンクロトロン13を周回するビーム10bをシンクロトロン13の外に出射する。
 ここで、供給用高周波電圧(Fs)は、ビーム10bをシンクロトロン13外に出射するために印加するのではなく、出射制御用高周波電圧(Fe)により出射するビームを供給するために印加する。そのため、従来のビーム出射制御法と異なり、供給用高周波電圧(Fs)として印加する高周波電圧に電流リップル(Irip)の原因となる周波数成分が含まれていても、出射ビーム電流に直接影響を及ぼさない。つまり、出射用高周波電極16aに印加する高周波電圧を、供給用高周波電圧(Fs)と出射制御用高周波電圧(Fe)に機能を分離して印加することで、高周波電圧に電流リップル(Irip)の原因となる低い周波数成分が含まれていても、出射ビーム電流の時間構造に影響を及ぼすことはない。これにより、従来の出射制御法で課題となっていた出射ビーム電流の電流リップルの発生を抑制でき、出射ビーム電流を高められることにより線量率を向上できる。
 供給用高周波電圧(Fs)は周回するイオンビーム10bのチューン(νbeam)の中心周波数νs近傍に印加し、安定限界15を超えさせない範囲でベータトロン振動振幅を増大させる。つまり、周回するイオンビーム10bのチューンの幅(Δν)に対して狭い範囲(Δνs<Δν)に印加する。本実施例では、供給用高周波電圧の中心周波数(fcs)は、イオンビーム10bの周回周波数(frev)と周回するイオンビーム10bのチューン(νbeam)の中心周波数νsを乗じたものとした(下記(3)式参照)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
 また、供給用高周波電圧の周波数幅(Δfs)は、供給用高周波電圧によりビームが出射されないように、(2)式に示されるΔνよりも狭い範囲(Δνs<Δν)とする(下記(4)式参照)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000004
 供給用高周波電圧の振幅値(Vs)は、供給用高周波電圧(Fs)のみ印加した際、周回するイオンビーム10bが出射されず、出射制御用高周波電圧(Fe)を印加した際に出射されるように調整する。
 次に、出射制御用高周波電圧(Fe)は、安定限界15と供給用高周波電圧(Fs)の間に印加することで、安定限界15からシンクロトロン13外にビームを出射する。この際、出射制御用高周波電圧(Fe)は、供給用高周波電圧(Fs)の印加により振動振幅が増大された周回ビーム10bの拡散速度(ビーム出射速度)を速めることで、ビーム停止区間内にビームが出射されることを低減する。そのため、出射制御用高周波電圧(Fe)の中心周波数(fce)は、安定限界15(νres)と供給用高周波電圧(Fs)の間(νres<νe<νs)に設定する(下記(5)式参照)。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000005
 また、出射制御用高周波電圧の周波数幅(Δfe)は、ビーム出射時間内および、ビーム停止区間内に出射されてしまうビーム量を考慮しながら、出射制御用高周波電圧(Fe)の中心周波数(fce)と合わせて適切に調整する。
 この際、シンクロトロン13から出射されたビーム10cに出射用高周波電極16aに印加した高周波電圧の周波数成分に起因する電流リップルを生じないようにするには、出射制御用高周波電圧(Fe)の印加範囲となる周波数幅(Δfe)を供給用高周波電圧(Fs)の印加範囲となる周波数幅(Δfs)から分離することが望ましい。また、出射制御用高周波電圧の振幅値(Ve)は、出射ビーム電流(Iext)の制御パラメータとして働くため、求められる出射ビーム電流に応じて制御する。
 次に、本発明の特徴である出射用高周波電極16aに印加する高周波電圧(Fext)の制御方法について説明する。図3に出射制御装置の構成を示す。出射制御装置20は、供給用高周波電圧(Fs)の出力回路201と、出射制御用高周波電圧(Fe)の出力回路202と、これら二つの高周波電圧を合成する合成器26と、合成器26から出力される高周波電圧の高周波増幅器17への伝送を制御する高周波スイッチ271、272および、これらの高周波電圧の出力回路201,202の制御指令値を制御するコントローラ28から構成される。コントローラ28には、上位制御システム40から出射ビームエネルギー情報Enと高周波電圧の制御設定値(fcs,fws,fdivs,Vs,fce,fwe,fdive,Ve)が伝送される。
 出射制御装置20を構成する高周波スイッチ25s、25e、271、272には、タイミングシステム50およびインターロックシステム60から制御信号が伝送される。タイミングシステム50からは、ビーム出射制御区間を示すタイミング信号51が出射制御装置20の高周波スイッチ271に伝送される。インターロックシステム60からは、粒子線治療システム1を構成する制御機器の健全性を確認した上でビーム出射制御指令61が出射制御装置20の高周波スイッチ25s、25e、272に伝送される。
 出射用高周波電極16aに印加する高周波電圧(Fext)は、供給用高周波電圧(Fs)および出射制御用高周波電圧(Fe)をそれぞれの出力回路201、202で生成し、生成した二つの高周波電圧(FsおよびFe)を合成器26で合成した後、高周波増幅器17で増幅したものである。
 供給用高周波電圧(Fs)および出射制御用高周波電圧(Fe)の出力回路201、202についてそれぞれ説明する。供給用高周波電圧の出力回路201は、供給用高周波電圧(Fs)の中心周波数(fcs)を出力する発振器21sと、供給用高周波電圧(Fs)の周波数範囲(Δfs)に基づく帯域制限信号を出力する帯域制限信号発生器22sと、乗算器23と、振幅変調回路24s、および、高周波スイッチ25sで構成される。発振器21sからは、コントローラ28から設定される中心周波数(fcs)となる正弦波信号を出力する。帯域制限信号発生器22sは、コントローラ28から設定されるスペクトル幅(fws)およびスペクトル間隔(fdivs)の設定値に基づき、複数の線スペクトル信号で構成される帯域制限信号を出力する。これら二つの出力信号を乗算器23sに入力する。
 乗算器23sからは、中心周波数がfcs、スペクトル幅が2fwsの帯域制限高周波電圧が出力される。この際、帯域制限高周波発振器22sから出力する高周波電圧の周波数幅は、乗算器23sでの演算により二倍となる(fcs±fws)。そのため、帯域制限高周波発振器22sのスペクトル幅(fws)は、供給用高周波電圧(Fs)の周波数幅(Δfs)の1/2となるように設定する。本実施例では、複数の線スペクトラムで構成される帯域制限信号を用いているが、ホワイトノイズ発生装置(図示せず)の出力信号を供給用高周波電圧(Fs)の周波数範囲(Δfs)のみ出力するバンドパスフィルタ(図示せず)を用いて生成しても良いし、帯域制限高周波発生器22sおよび乗算器23sを用いずに、正弦波発振器21sの出力周波数を供給用高周波電圧(Fs)の周波数範囲(Δfs)で掃引しても良いが、供給用高周波電圧(Fs)と出射制御用高周波電圧(Fe)の機能を分離する上では、帯域制限信号の側波帯が広がらない、複数の線スペクトラムで構成される帯域制限信号が好適である。
 以上の供給用高周波電圧(Fs)の周波数演算結果に対して、コントローラ28から設定される供給用高周波電圧(Fs)の振幅値(Vs)を振幅変調回路24sで制御する。振幅値が制御された供給用高周波電圧(Fs)は高周波スイッチ25sに送られ、インターロックシステム60から出力されるビーム出射制御指令61に基づき、高周波スイッチ25sを制御する。ビーム出射時にはRF信号を印加するため、高周波スイッチ25sを閉じる。ビーム停止時にはRF信号の印加を停止するため、高周波スイッチ25sを開く。高周波スイッチ25sを経て出力される供給用高周波電圧(Fs)は、合成器26に入力される。
 同様に、出射制御用高周波電圧(Fe)の出力回路202について説明する。出射制御用高周波電圧出力回路202の構成は供給用高周波電圧出力回路201とほぼ同じであるため、供給用高周波電圧出力回路201と異なる点について説明する。
 正弦波発振器21eには、コントローラ28から出射制御用高周波電圧の中心周波数(fce)を設定し、帯域制限信号発生器22eは、コントローラ28から設定されるスペクトル幅(fwe)およびスペクトル間隔(fdive)の設定値に基づき、複数の線スペクトル信号で構成される帯域制限信号を出力する。この際、出射制御用高周波電圧(Fe)を1つの周波数の高周波電圧を用いる場合には、帯域制限信号発生器22eから乗算器23eまでの伝送線路上に用意したスイッチ231を開く。このスイッチ231により乗算器23eへの帯域制限信号の入力を制御可能とし、出射制御用高周波電圧の周波数幅を一つの周波数の高周波信号と帯域制限高周波信号に容易に切り替えられる。
 本実施例では、供給用高周波電圧(Fs)と同様に、複数の線スペクトラムで構成される帯域制限信号を用いているが、ホワイトノイズ発生装置(図示せず)の出力信号を出射制御用高周波電圧(Fe)の周波数範囲(Δfe)のみ出力するバンドパスフィルタ(図示せず)を用いて生成しても良いし、帯域制限高周波発生器22eおよび乗算器23eを用いずに、正弦波発振器21eの出力周波数を出射制御用高周波電圧(Fe)の周波数範囲(Δfe)で掃引しても良いが、供給用高周波電圧(Fs)と出射制御用高周波電圧(Fe)の機能を分離する上では、帯域制限信号の側波帯が広がらない、複数の線スペクトラムで構成される帯域制限信号が好適である。
 以上の出射制御用高周波電圧(Fe)の周波数演算結果に対して、出射制御用高周波電圧(Fe)の振幅値(Ve)を振幅変調回路24eで制御する。この振幅変調制御された出射制御用高周波電圧(Fe)は高周波スイッチ25eに送られ、インターロックシステム60から出力されるビーム出射制御指令61に基づき、高周波スイッチ25eを制御する。ビーム出射時にはRF信号を印加するため、高周波スイッチ25eを閉じる。ビーム停止時にはRF信号の印加を停止するため、高周波スイッチ25eを開く。高周波スイッチ25eを経て出力される出射制御用高周波電圧(Fe)は、合成器26に入力される。
 合成器26は、2つの高周波電圧(Fs、Fe)を合成する。合成された信号は、二つの高周波スイッチ271、272を経て高周波増幅器17に出力される。
 出射制御装置20のコントローラ28から各制御回路への制御設定値の管理方法について図3、図4を用いて説明する。
 供給用高周波電圧(Fs)および出射制御用高周波電圧(Fe)の制御設定値には、それぞれ正弦波発振器21の中心周波数(fcs、fce)、帯域制限信号のスペクトル幅(fws、fwe)、スペクトル間隔(fdivs、fdive)、振幅値(Vs、Ve)がある。これらは図4に示したように、シンクロトロン13から出射するビームエネルギー情報(En)に関連付けられた状態で、コントローラ28のメモリ(図示せず)に予め記憶しておく。治療計画情報431は、治療計画装置43において患者毎に作成されたものが記憶装置(データベース)42に保存されている。照射治療運転の開始時に統括制御装置41は治療計画情報431を記憶装置42から取り出して上位制御システム40に伝送し、上位制御システム40はその治療計画情報431をコントローラ28に伝送する。治療計画情報431には出射ビームエネルギー情報(En)が含まれ、コントローラ28はその出射ビームエネルギー情報(En)に基づき、コントローラ28のメモリ内に記憶した制御設定値(fcs,fws,fdivs,Vs,fce,fwe,fdive,Ve)を読み出し、各制御回路へ制御設定値を出力する。
 次に出射制御時の制御タイミングを図5Aに示すタイミングチャートを用いて説明する。シンクロトロン13の出射制御区間は、加速制御の終了後、四極電磁石や六極電磁石の励磁量を調整し、出射条件を設定完了後からビーム出射制御を終了し、出射条件を解除するまでの区間であり、タイミングシステム50から出力されるタイミング信号51で規定される。図5Aの(a)に出射制御区間を示しており、タイミング信号51は出射制御区間でON、出射停止区間でOFFを出力する。図5Aの(b)に照射スポットへビームを照射するビーム出射制御指令61を示している。出射制御区間において、各照射スポットへの線量が満了するまでビームを出射(ON)し、線量満了に到達したタイミングでビーム照射を停止(OFF)する。照射装置30はビーム停止を確認した後、次の照射スポット位置へ走査電磁石32を走査する(図示せず)。走査電磁石32の走査が完了後、再び照射スポットの線量が満了するまでビームを照射する。このような制御を繰り返すことで、照射エリアの照射スポットを順次満了させる。
 図5Aの(c)に本発明の特徴である、供給用高周波電圧(Fs)の時間変化を示す。供給用高周波電圧(Fs)は、図5Aの(b)に示される照射スポットへビームを照射するビーム出射制御指令61(ON/OFF指令)に基づき、振幅制御データ(Vs)の振幅値(Vs)を更新出力する。すなわち、照射スポットへビームを照射するとき(ビーム出射制御指令61がONであるとき)は、供給用高周波電圧(Fs)を出力し、照射スポットへのビーム照射を停止するとき(ビーム出射制御指令61がOFFであるとき)は、供給用高周波電圧(Fs)の出力を停止する。このとき、本実施例では、出射制御区間において供給用高周波電圧(Fs)の振幅値(Vs)は、常に一定値で制御する場合を示しているが、ビーム出射制御の経過に伴い、周回ビームの粒子数が減少すると出射効率が低下するため、供給用高周波電圧(Fs)の振幅値(Vs)はビーム出射制御の経過に応じて徐々に高める制御(図示せず)を適用してもよい。
 以上のような制御を実施することで、図5Aの(e)に示したように、出射ビーム電流を高速に停止し、かつ出射ビーム電流の電流リップルの発生を抑制することができる。また、出射開始時のスパイク電流波形の発生を抑制することができる。
 なお、供給用高周波電圧(Fs)はタイミング信号51に基づいてビーム出射制御区間中に印加した状態としてもよい。図5Bはそのような変形例を示す図である。図5Bの(c)に示されるように、供給用高周波電圧(Fs)は、図5Bの(a)に示される出射制御区間を示すタイミング信号51に基づき、供給用高周波電圧(Fs)の振幅値(Vs)を更新出力する。これにより安定限界近傍へのビームを確実に分布させ、ビーム制御応答性、つまり、ビーム出射制御指令に基づくビーム出射時およびビーム停止時の応答速度を更に高めることができる。この実施例においても、ビーム出射制御の経過に伴う周回ビームの粒子数の減少による出射効率の低下を補償するため、出射制御区間において供給用高周波電圧(Fs)の振幅値(Vs)はビーム出射制御の経過に応じて徐々に高める制御を適用してもよい。
 本実施例によれば、シンクロトロン13からイオンビームの出射制御を実施する際、周回しているイオンビームのベータトロン振動振幅を増大させる出射用高周波電極に印加する高周波電圧に起因する出射ビームの電流リップルの発生を抑制し、線量率を向上させることができる。
 (実施例2)
 図6は、本発明の第2実施例であるビーム出射制御法を実現する制御タイミングチャートを示す。本実施例を示す構成は実施例1とほぼ同じであるため、実施例1と異なる点について説明する。
 図5Aに示した実施例1の制御タイミングチャートでは、ビーム出射開始とともに、出射制御用高周波電圧(Fe)と供給用高周波電圧(Fs)を印加している。この際、ビーム出射開始直後に高い出射ビーム電流(Iext)が要求された場合、シンクロトロン13内を周回するイオンビーム10bは、供給用高周波電圧(Fs)の印加によるベータトロン振動振幅の増大に時間が掛かる(拡散速度が遅い)ため、出射制御用高周波電圧(Fe)を印加しても所望のビーム電流が素早く得られない恐れがある。同様のことは、出射ビーム電流を照射スポット毎に制御する場合にも懸念される。
 そのため本実施例では、図6に示したように、ビーム出射開始直後のスポット(図6に示した、スポット番号:#1)を照射する際には、供給用高周波電圧(Fs)の事前印加区間62を設け、事前印加区間62の処理が終了後に出射制御用高周波電圧(Fe)を印加する。このように事前に出射制御用高周波電圧(Fe)の印加により出射されるビームを供給用高周波電圧(Fs)により事前に供給することで、出射制御開始直後から所望の出射ビーム電流制御が実現できる。
 なお、図示はしないが、ビーム出射制御が進行中においても、高いビーム電流でビームを出射した後に事前印加区間62と同様の区間を設けることで、同様の効果を得られる。
 (実施例3)
 本発明の第3実施例であるビーム出射制御法を実現する高周波電圧の印加方法について、図7から図9を用いて説明する。本実施例を示す構成は実施例1とほぼ同じであるため、実施例1と異なる点について説明する。
 本実施例では、図7に示したように、出射用高周波電極16aに印加する高周波電圧(Fext)として、実施例1に示した供給用高周波電圧(Fs)、出射制御用高周波電圧(Fe)とともに、安定限界15近傍の粒子分布を優先して出射する高周波電圧(単一高周波電圧)(Fm)を重畳して印加する(Fext=Fs+Fe+Fm)。この単一高周波電圧(Fm)は、出射制御用高周波電圧(Fe)の印加範囲(Δνe)よりも安定限界15(νres)に近い領域(νm)に印加することで、シンクロトロン振動による安定限界の変動範囲15aのビーム分布104をより高速に出射することが可能となる。この際、単一高周波電圧(Fm)は、出射制御用高周波電圧(Fe)と同期して印加することで、ビーム出射制御指令に基づくビーム出射時およびビーム停止時の応答速度を更に高めることができる。
 図7に示したような高周波電圧(Fext)を実現する出射制御装置の構成を図8に示す。図3に示した第1実施例での出射制御装置とは、出射制御用高周波電圧出力回路202に単一高周波電圧(Fm)を発生する正弦波発振器21mと、単一高周波電圧(Fm)の振幅値を制御する振幅変調器24mと、出射制御用高周波電圧(Fe)と単一高周波電圧(Fm)を合成する合成器261が追加されている点が異なる。
 単一高周波電圧(Fm)の振幅値(Vm)は、安定限界15近傍の粒子分布を優先的に出射するため一定値で印加すれば良く、図9に示したように、出射制御用高周波電圧(Fe)の振幅値(Ve)と独立に制御する。このような制御を適用することで、実施例1に示したビーム出射制御法よりも安定限界15近傍のビーム分布を更に低減することが可能となり、ビーム出射制御指令に基づくビーム出射時およびビーム停止時の応答速度を更に高めることができる。
1 荷電粒子ビーム照射システム
100 制御システム(制御装置)
10a、10b、10c、10d ビーム
101 高周波電圧印加前の周回ビーム分布
102 供給用高周波電圧印加時の周回ビーム分布
103 出射制御用高周波電圧印加時の周回ビーム分布
104 単一高周波電圧印加時の周回ビーム分布
11 イオンビーム発生装置
12 前段加速器
13 シンクロトロン
14 ビーム輸送装置
15 安定限界
15a シンクロトロン振動による安定限界の変動範囲
16a 出射用高周波電極
16b 出射用デフレクター
17 高周波増幅器
18 偏向電磁石
19 四極電磁石
20 出射制御装置
201 供給用高周波電圧出力回路
202 出射制御用高周波電圧出力回路
21s、21e、21m 正弦波発振器
22s、22e 帯域制限信号発生器
23s、23e 乗算器
231 スイッチ
24s、24e、24m 振幅変調器
25s、25e 高周波スイッチ
26、261 合成器
271、272 高周波スイッチ
28 コントローラ
30 照射装置
31 線量モニタ
311 線量計測データ
32 走査電磁石
34 コリメータ
36 患者
40 加速器制御装置
41 統括制御装置
42 記憶装置
43 治療計画装置
431 治療計画情報
50 タイミングシステム
51 タイミング信号
60 インターロックシステム
61 ビーム出射制御指令
62 供給用高周波電圧の事前印加区間

Claims (10)

  1.   イオンビームを加速して出射するシンクロトロンと、前記シンクロトロンから出射された前記イオンビームを照射する照射装置とを有する荷電粒子ビーム照射システムにおいて、
     前記シンクロトロンに設けられた出射用高周波電極に印加する高周波電圧として、前記シンクロトロン内を周回するビームが前記シンクロトロン外に出射されないように、安定限界を超えない範囲で振動振幅を増大させるための第1高周波電圧と、前記シンクロトロンからビームを出射させるための第2高周波電圧とで構成される高周波電圧を印加する出射制御装置を備えることを特徴とする荷電粒子ビーム照射システム。
  2.  請求項1に記載の荷電粒子ビーム照射システムにおいて、
     前記出射制御装置は、
     複数の周波数成分で構成される帯域制限高周波電圧を用いて前記第1高周波電圧を生成し、前記帯域制限高周波電圧の周波数範囲と信号強度を、前記シンクロトロン内を周回するビームが安定限界を超えないように設定することを特徴とする荷電粒子ビーム照射システム。
  3.  請求項1に記載の荷電粒子ビーム照射システムにおいて、
     前記出射制御装置は、
     1つ以上の周波数成分で構成される高周波電圧を用いて前記第2高周波電圧を生成し、この高周波電圧の周波数範囲を安定限界と前記第1高周波電圧の中心周波数との間に設定し、前記高周波電圧の強度を、求められる出射ビーム電流に応じて制御することを特徴とする荷電粒子ビーム照射システム。
  4.  請求項1に記載の荷電粒子ビーム照射システムにおいて、
     前記出射制御装置は、
     前記第1高周波電圧をビーム出射制御の開始前から事前に印加し、前記第1高周波電圧の事前印加制御を実施後に、前記第2高周波電圧を印加することを特徴とする荷電粒子ビーム照射システム。
  5.  請求項1に記載の荷電粒子ビーム照射システムにおいて、
     前記出射制御装置は、
     前記シンクロトロンからビームを出射するために印加する高周波電圧として、前記第2高周波電圧を生成するとともに、安定限界近傍の1つの周波数成分で構成される第3高周波電圧を生成して前記第2高周波電圧に重畳させ、これら二つの高周波電圧をビーム出射制御指令に基づき印加することを特徴とする荷電粒子ビーム照射システム。
  6.  請求項1に記載の荷電粒子ビーム照射システムにおいて、
     前記出射制御装置は、
     ビーム出射制御指令に基づきビーム出射およびビーム停止を実施するよう前記第1及び第2高周波電圧の印加と停止を制御することを特徴とする荷電粒子ビーム照射システム。
  7.  請求項1に記載の荷電粒子ビーム照射システムにおいて、
     前記出射制御装置は、
     ビーム出射制御指令に係わらずビーム出射制御区間中に印加した状態となるよう前記第1高周波電圧の印加を制御し、ビーム出射制御指令に基づきビーム出射およびビーム停止を実施するよう前記第2高周波電圧の印加と停止を制御することを特徴とする荷電粒子ビーム照射システム。
  8.  イオンビームを加速して出射するシンクロトロンと、前記シンクロトロンから出射された前記イオンビームを照射する照射装置とを有する荷電粒子ビーム照射システムのビーム出射方法において、
     前記シンクロトロンに設けられた出射用高周波電極に印加する高周波電圧として、前記シンクロトロン内を周回するビームが前記シンクロトロン外に出射されないように、安定限界を超えない範囲で振動振幅を増大させるための第1高周波電圧と、前記シンクロトロンからビームを出射するための第2高周波電圧とで構成される高周波電圧を印加することを特徴とする荷電粒子ビーム照射システムのビーム出射方法。
  9.  請求項7に記載の荷電粒子ビーム照射システムのビーム出射方法において、
     前記第1高周波電圧をビーム出射制御の開始前から事前に印加し、前記第1高周波電圧の事前印加制御を実施後に、前記第2高周波電圧を印加することを特徴とする荷電粒子ビーム照射システムのビーム出射方法。
  10.  請求項7に記載の荷電粒子ビーム照射システムのビーム出射方法において、
     前記シンクロトロンからビームを出射するために印加する高周波電圧として、前記第2高周波電圧を生成するとともに、安定限界近傍の1つの周波数成分で構成される第3高周波電圧を生成して前記第2高周波電圧に重畳させ、これら二つの高周波電圧をビーム出射制御指令に基づき印加することを特徴とする荷電粒子ビーム照射システムのビーム出射方法。
PCT/JP2013/067561 2013-06-26 2013-06-26 荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法 WO2014207852A1 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015523741A JPWO2014207852A1 (ja) 2013-06-26 2013-06-26 荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法
PCT/JP2013/067561 WO2014207852A1 (ja) 2013-06-26 2013-06-26 荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2013/067561 WO2014207852A1 (ja) 2013-06-26 2013-06-26 荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2014207852A1 true WO2014207852A1 (ja) 2014-12-31

Family

ID=52141256

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2013/067561 WO2014207852A1 (ja) 2013-06-26 2013-06-26 荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2014207852A1 (ja)
WO (1) WO2014207852A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015185455A (ja) * 2014-03-25 2015-10-22 株式会社日立製作所 荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005332794A (ja) * 2004-04-19 2005-12-02 Mitsubishi Electric Corp 荷電粒子ビーム加速器、荷電粒子ビーム加速器を用いた粒子線照射医療システムおよび、粒子線照射医療システムの運転方法
JP2010251106A (ja) * 2009-04-15 2010-11-04 Hitachi Ltd 粒子線治療システム
JP2011212113A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Natl Inst Of Radiological Sciences 粒子線照射システム及び粒子線照射方法
JP2013094486A (ja) * 2011-11-02 2013-05-20 Hitachi Ltd 粒子線治療システム

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005332794A (ja) * 2004-04-19 2005-12-02 Mitsubishi Electric Corp 荷電粒子ビーム加速器、荷電粒子ビーム加速器を用いた粒子線照射医療システムおよび、粒子線照射医療システムの運転方法
JP2010251106A (ja) * 2009-04-15 2010-11-04 Hitachi Ltd 粒子線治療システム
JP2011212113A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Natl Inst Of Radiological Sciences 粒子線照射システム及び粒子線照射方法
JP2013094486A (ja) * 2011-11-02 2013-05-20 Hitachi Ltd 粒子線治療システム

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015185455A (ja) * 2014-03-25 2015-10-22 株式会社日立製作所 荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2014207852A1 (ja) 2017-02-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4691583B2 (ja) 荷電粒子ビーム照射システムおよび荷電粒子ビーム出射方法
JP6244229B2 (ja) 荷電粒子ビーム照射システム、シンクロトロンおよびそのビーム出射方法
JP5816518B2 (ja) 粒子線照射システム及びビーム補正方法
CN104971443B (zh) 带电粒子束照射系统和带电粒子束照射系统的运转方法
JPH11253563A (ja) 荷電粒子ビーム照射方法及び装置
JP5542703B2 (ja) 荷電粒子ビーム照射システムおよび円形加速器の運転方法
JP2014028061A (ja) 粒子線照射システムとその運転方法
JP5998089B2 (ja) 粒子線照射システムとその運転方法
JP3864581B2 (ja) 荷電粒子ビーム出射方法
JP4650382B2 (ja) 荷電粒子ビーム加速器及びその荷電粒子ビーム加速器を用いた粒子線照射システム
WO2014207852A1 (ja) 荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法
JP2008272139A (ja) 荷電粒子ビーム照射システム及び荷電粒子ビーム出射方法
JP6162633B2 (ja) 荷電粒子ビーム照射システムおよびそのビーム出射方法
JP2856029B2 (ja) 荷電粒子ビーム出射方法及びその出射装置
JP2016167393A (ja) 荷電粒子ビーム照射システムおよび荷電粒子ビームの出射方法
JP2005129548A (ja) 荷電粒子ビーム出射方法
JP5781421B2 (ja) 粒子線治療システム
JP3397025B2 (ja) ビーム出射用高周波発生装置及びそれを用いた加速器
JP6279036B2 (ja) 粒子線照射システムとその運転方法
JP2000162391A (ja) 荷電粒子ビーム出射装置及び荷電粒子ビーム照射方法
JP3047908B2 (ja) 荷電粒子ビ―ム出射方法及びその出射装置
JPH10261500A (ja) 荷電粒子ビーム出射方法及びその出射装置
JPH11312600A (ja) 荷電粒子ビ―ム出射装置
JP2003059700A (ja) 荷電粒子ビームの出射方法及び出射装置
JP2012070945A (ja) 粒子線照射システム

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 13887619

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 2015523741

Country of ref document: JP

Kind code of ref document: A

NENP Non-entry into the national phase

Ref country code: DE

122 Ep: pct application non-entry in european phase

Ref document number: 13887619

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1