JP2010250288A - 透過型スクリーンおよびこれを用いたリアプロジェクションモニタ - Google Patents

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Abstract

【課題】ホットスポットの発生を防止しつつ、十分なコントラストおよび輝度を得ることができる透過型スクリーンを提供する。
【解決手段】ヘーズ(JIS K7136:2000)が65%以上である前方散乱性フィルム1上に、平均粒子径6μm超〜12μmの黒色ビーズとバインダー樹脂とを含む黒色層2を有してなるように構成する。好ましくは、前記前方散乱性フィルム1は、前記黒色層2とは反対側の面が実質的に平滑となるように構成する。かかる構成を採用する本発明の透過型スクリーン3は、前方散乱性フィルム1と黒色層2との相乗効果により、ホットスポットの発生を防止しつつ十分なコントラスを得ることができ、さらに輝度も十分なものとすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、透過型スクリーンに関し、プロジェクタの光源が見えること(ホットスポットの発生)を防止しつつ、コントラストに優れるものに関する。
透過型スクリーンに映像を投影する場合、プロジェクタの光源に対応する部分が周囲より明るくなる現象(ホットスポット)が問題となり得る。このような透過型スクリーンのうち、光拡散剤とバインダー樹脂を含む光拡散層を有するタイプのものは、光拡散層中の光拡散剤の割合を増やしたり、光拡散層の厚みを厚くすることによりホットスポットを防止し得る。
しかし、光拡散層中の光拡散剤の割合を増やした場合、光拡散層の表面が粗面化されることにより、光拡散層の表面で外光が散乱し、コントラストが低下するという問題があった。また、光拡散層の厚みを厚くした場合、スクリーンの薄型化、軽量化に対応できない。
上記問題のうち、コントラストの低下は、透過型スクリーンの表面に黒色層を設けることにより解決し得る(特許文献1)。しかし、ホットスポットを防止できるまで光拡散剤の割合を増やした光拡散層上にさらに黒色層を設けた構成では、投影映像が十分な輝度を得ることができなかった。
WO2008/018339号公報
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、ホットスポットの発生を防止しつつ、十分なコントラストおよび輝度を得ることができる透過型スクリーンを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の透過型スクリーンは、ヘーズ(JIS K7136:2000)が65%以上である前方散乱性フィルム上に、平均粒子径6μm超〜12μmの黒色ビーズとバインダー樹脂とを含む黒色層を有してなることを特徴とするものである。
また、本発明の透過型スクリーンは、好ましくは、前記前方散乱性フィルムは、前記黒色層とは反対側の面が実質的に平滑であることを特徴とするものである。
また、本発明のリアプロジェクションモニタは、好ましくは、映像表示装置に表示された表示画像を投映するプロジェクタと、前記プロジェクタからの投映光を反射する反射ミラーと、光入射面と光出射面とを有し前記ミラーからの反射光を前記光入射面で受けて結像する透過型スクリーンとを備えたリアプロジェクションモニタにおいて、前記透過型スクリーンとして、本発明の透過型スクリーンを、黒色層を光入射面側となるように配置してなることを特徴とするものである。
なお、本発明でいう平均粒子径とは、コールターカウンター法により算出した値のことをいう。
本発明の透過型スクリーンは、ヘーズ(JIS K7136:2000)が65%以上である前方散乱性フィルム上に、平均粒子径6μm超〜12μmの黒色ビーズとバインダー樹脂とを含む黒色層を有してなる構成を採用することから、前方散乱性フィルムと黒色層との相乗効果により、ホットスポットの発生を防止しつつ十分なコントラストを得ることができ、さらに輝度も十分なものとすることができる。
本発明の透過型スクリーンの一実施例を示す断面図 本発明の透過型スクリーンの他の実施例を示す断面図 本発明の透過型スクリーンの他の実施例を示す断面図 本発明のリアプロジェクションモニタの一実施例を示す断面図
まず、本発明の透過型スクリーンの実施の形態について説明する。本発明の透過型スクリーンは、ヘーズ(JIS K7136:2000)が65%以上である前方散乱性フィルム上に、平均粒子径6μm超〜12μmの黒色ビーズとバインダー樹脂とを含む黒色層を有してなることを特徴とするものである。
図1〜3は本発明の透過型スクリーン3の実施の形態を示す断面図である。本発明の透過型スクリーン3としては、図1〜3のように前方散乱性フィルム1上に黒色層2を有してなる構成があげられる。また、前方散乱性フィルム1としては、図1のように光散乱層11の単層からなるもの、図2、3のように光散乱層11と光透過性基材12とからなるものなどがあげられる。
本発明の透過型スクリーンは、前方散乱性フィルム側から投影を行ってもよいし、黒色層側から投影を行ってもよい。なお、黒色層を視認者側とした場合、黒色層の表面で外光が散乱することによりコントラストが低下することから、黒色層側から投影を行い、前方散乱性フィルムを視認者側として用いることが好ましい。
前方散乱性フィルムは、ヘーズ(JIS K7136:2000)が65%以上であるものを用いる。前方散乱性フィルムのヘーズは、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。このようなヘーズが65%以上の前方散乱性フィルムを用いることにより、後述する黒色層との相乗効果によりホットスポットの発生を防止することができる。また、前方散乱性フィルムは入射光が後方に散乱しづらいことから、投影映像を十分な輝度とすることができる。また、前方散乱性フィルムを視認者側に配置した場合、前方散乱性フィルムの表面で外光の散乱が抑制されるため、コントラストの低下を防止することができる。
前方散乱性フィルムは少なくとも光散乱層からなる。
光散乱層は、少なくとも球状微粒子と透明バインダーからなるものであり、プロジェクタから投影された光を、前方の視認者側に散乱するものである。ここで、透明バインダーとしては、透明であるとともに球状微粒子を均一に分散保持できるものであればよく、固体に限定されず液体や液晶などの流動体であってもよい。但し、光散乱層単体でスクリーンの形状を維持するためには、ガラスや高分子樹脂であることが好ましく、取り扱い性や分散安定性の観点から高分子樹脂であることが望ましい。
ガラスとしては、光散乱層の光透過性が失われるものでなければ特に限定されるものではないが、一般にはケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラスなどの酸化ガラスなどがあげられる。
高分子樹脂としては、光散乱層の光透過性が失われるものでなければ特に限定されず、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などを用いることができる。
透明バインダー中に含有させる球状微粒子としては、シリカ、アルミナ、タルク、ジルコニア、酸化亜鉛、二酸化チタンなどの無機系の微粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、ベンゾグアナミン、シリコーン樹脂などの有機系の微粒子を使用することができる。特に、球形の形状を得やすい点で有機系の微粒子が好適である。また、本発明の課題であるホットスポットの発生を効果的に防止しうる観点から、この中でも特にポリスチレン樹脂粒子を用いることが好ましい。また、輝度を確保しつつホットスポットの発生を防止しうる観点からは、当該ポリスチレン樹脂粒子とシリコーン樹脂粒子とを混合させて用いることが好ましく、特に、両樹脂粒子を等量ずつ用いることが好ましい。
光散乱層中における透明バインダーと球状微粒子との含有割合は、ホットスポットを良好に防止しうる観点から、透明バインダー100重量部に対し球状微粒子を20重量部以上の割合で含有させることが好ましい。さらには、作業性の観点やこれ以上含有量を増やしてもホットスポットの防止性に影響がないことから、上限としては50重量部以下とすることがより好ましい。
球状微粒子の粒子径としては、平均粒径で1〜10μmであることが好ましく、2〜6μmであることがより好ましい。平均粒径をこのような範囲とすることにより、光散乱層に入射した光のうち後方に散乱する光を少なくすることができ、映像の輝度を十分なものとすることができる。
球状微粒子の粒径分布は、平均粒径が前記範囲に入っていれば特に限定されることなく、単分散性のものでよいし、多分散性のものでもよいが、映像の鮮明性をより高めるという観点からは、単分散性のものが好ましい。
また、透明バインダーの屈折率に対する球状微粒子の相対屈折率(球状微粒子の屈折率を透明バインダーの屈折率で割った値で、以下単に「相対屈折率」という。)nは、0.91<n<1.09(但しn≠1.00)であることが好ましい。相対屈折率nをこのような範囲とすることにより、光散乱層に入射した光のうち後方に散乱する光を少なくさせることができ、プロジェクタから投射された映像を鮮明な画像として投映することができるようになる。
このような光散乱層に含まれる球状微粒子の含有量や光散乱層の厚みを調整することにより、前方散乱性フィルムのヘーズを適宜調整することができる。
前方散乱性フィルムは後述する黒色層とは反対側の面が実質的に平滑であることが好ましい。このような構成とすることで、前方散乱性フィルムの表面で外光が散乱し、透過型スクリーンのコントラストが低下することを防止することができる。なお、実質的に平滑とは、JIS B0601:2001における算術平均粗さ(Ra)が0.30μm以下、好ましくは0.15μm以下とする。
前方散乱性フィルムが光散乱層の単層の場合、光散乱層から球状微粒子が突出して表面が実質的に平滑でなくなるおそれがある。したがって、光散乱層の黒色層とは反対側の面上には、表面が実質的に平滑な他の層及び/又は透明体を有することが好ましい。なお、光散乱層の単層から前方散乱性フィルムを構成する場合においても、一旦光散乱層の面上に、光散乱層と接する側の面が実質的に平滑な他の層及び/又は透明体を形成しておき、これら透明体等を前方散乱性フィルムの製造過程や使用時において除去するようにすれば、表面を実質的に平滑にすることができる。
光散乱層上に設ける他の層としては、例えば反射防止層、ハードコート層があげられる。光散乱層上に設ける透明体としては、光散乱層の透明バインダーとして例示したガラスを板ガラス化したものや、高分子樹脂をシート化したものを用いることができる。
また、本発明の前方散乱性フィルムは、透過の像鮮明度(JIS K7105:1981)は35%超であることが好ましい。透過の像鮮明度とは、透過法を用いて光学くし2.0mmの時の最高波高〔M〕及び最低波高〔m〕を読み取って次式(1)によって求めた値である。
透過の像鮮明度〔C(2.0)〕={M−m}/{M+m}×100(%) ・・・(1)
透過の像鮮明度は前方散乱性の尺度となるものであり、35%超であれば後方散乱光を少なくし、投影映像の輝度を十分なものとすることができる。また、ホットスポットを防止するため、透過の像鮮明度は80%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましい。
前方散乱性フィルム上に設けられる黒色層は、平均粒子径6μm超〜12μmの黒色ビーズとバインダー樹脂とを含む。このような黒色層は、透過型スクリーンのコントラストを良好にするとともに、上述した前方散乱性フィルムとの相乗効果でホットスポットの発生を防止することができる。
黒色ビーズの平均粒子径は6μm超〜12μm以下とし、7μm以上〜10μm未満とすることが好ましい。平均粒子径を6μm超とすることにより、上述した前方散乱性フィルムとの相乗効果でホットスポットを抑制することができ、12μm以下とすることにより、外光が散乱することによるコントラストの低下を防止することができる。
黒色ビーズは、黒色顔料と樹脂とからなる。用いる黒色顔料としては、取り扱い性に優れるカーボンブラックが好ましい。樹脂としては、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、ベンゾグアナミン、シリコーン樹脂などがあげられる。これらの中でも透明性に優れるアクリル樹脂が好ましい。
黒色ビーズ中に占める黒色顔料の割合は、2〜20重量%であることが好ましく、3〜15重量%とすることがより好ましい。当該割合を2重量%以上とすることにより、微粒子のコントラストを良好なものとすることができ、当該割合を20重量%以下とすることにより、投影映像の輝度を十分なものとすることができる。
黒色ビーズは例えば次のようにして製造することができる。まず、多官能ビニル単量体および単官能ビニル単量体などの重合性モノマーに黒色顔料を混合し、この混合物をロールミルやサンドミルで均一に混合する。次いで、混合物に親水性溶媒とラジカル重合開始剤を加えて粘度を下げる。次いで、別に用意した保護コロイド剤と水とからなる溶液を加える。次いで、目的とする粒子径となるまでせん断力のある高速撹拌機で撹拌を行う。次いで、内容物を通常の羽根付撹拌機を有する容器に移して加熱して溶媒の一部を除去し、更に昇温して重合反応を完結させる。次いで、重合した懸濁スラリーをろ過、水洗、乾燥することにより、黒色ビーズを得ることができる。
黒色層の透明バインダーとしては、透明であるとともに微粒子を均一に分散保持できるものであればよく、ガラスや高分子樹脂などの固体があげられるが、取り扱い性や分散安定性の観点から高分子樹脂が好ましい。
ガラスとしては、黒色層の光透過性が失われるものでなければ特に限定されるものではないが、一般にはケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラスなどの酸化ガラスなどがあげられる。高分子樹脂としては、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などを用いることができる。
黒色層の厚みは特に制限されることはないが、3〜25μmとすることが好ましく、11μm〜15μmとすることがより好ましい。黒色層の厚みを3μm以上とすることにより、ホットスポットの発生を防止するとともに、コントラストを向上させることができ、25μm以下とすることにより輝度の低下を防止することができる。
黒色層中には、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を添加してもよい。
黒色層を形成する方法としては、黒色層の構成成分を適当な溶媒に溶解又は分散させて塗布液を調製し、当該塗布液をロールコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、エアナイフコーティング法などの公知の方法により、支持体上に塗布・乾燥させる方法、黒色層を構成する樹脂成分を溶融し、これに必要に応じて顔料などの添加剤を含有させてシート化する方法などがあげられる。このように形成した黒色層を、粘着層などを介して前方散乱性フィルムに貼り合わせることにより、本発明の透過型スクリーンを得ることができる。また、黒色層を上述した方法により、直接透過型スクリーンの表面に形成することにより、本発明の透過型スクリーンを得ることができる。
次に本発明の透過型スクリーンを用いたリアプロジェクションモニタについて説明する。リアプロジェクションモニタとは、液晶パネルやCRTなど、パーソナルコンピュータやテレビの画像を表示する表示装置の表示画像を、プロジェクタからの反射ミラーを介して透過型スクリーンに投影するようにした装置である。本発明のリアプロジェクションモニタは、外光の散乱を抑えコントラストが良好な透過型スクリーンを用いるため、明るい場所で映像を投映する用途に適している。
本発明のリアプロジェクションモニタとしては、プロジェクタ、反射ミラー及び透過型スクリーンを備え、透過型スクリーンからの映像が結像するように、これら要素が幾何光学的に配置されたものであればよく、反射ミラーは単独でも複数であってもよい。
図4に本発明が適用されるリアプロジェクションモニタの一実施形態を示す。図示するように本実施形態のリアプロジェクションモニタ100は、主として、透過型スクリーン101と、スクリーン101を支持する支持体102と、支持体102の下部に設置されるプロジェクタ103と、プロジェクタ103からの投映光を反射する一対のミラー、上部ミラー104及び下部ミラー105とを備えている。
支持体102は、プロジェクタ103が搭載される台座部106と、透過型スクリーン101を支持する支持部107とからなり、台座部106と支持部107は蝶番108によって連結されており、支持部107を折り畳むことができる。上部ミラー104は支持部107の上端にスクリーン101に対し所定の角度となるように固定され、下部ミラー105はプロジェクタ103に対し所定の角度となるように台座部106に固定されている。これらミラーの固定角度は、プロジェクタ103からの投影光が下部ミラー105及び上部ミラー104で反射されて、スクリーン101の背面に投映されるように調整されている。
透過型スクリーン101は、例えば、図1〜図3に示す構造を有する透過型スクリーンであって、リアプロジェクションモニタに設置する際の向きはどちらでもよいが、黒色層が投影面側(図中、上部ミラーが固定されている側)となるように固定することが好ましい。
このような構成において、プロジェクタ103からの投映光は下部ミラー105、上部ミラー104で反射された後、透過型スクリーン101に結像する。この際、ホットスポットが見えることもないし、外光の反射が抑制されているため、投影された映像のコントラストも良好である。
以下、実施例により本発明を更に説明する。なお、「部」、「%」は特に示さない限り、重量基準とする。
1.黒色ビーズの合成
メタクリル酸メチル(重合後の屈折率1.49)にカーボンブラック(VULCANXC72R:Cabot社)を混合し、この混合物をロールミルで均一に混合した。次いで、混合物に水、ポリビニルアルコールおよびラジカル重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)を加え、各実施例および比較例で用いる粒子の平均粒子径となるまで高速攪拌機(ディゾルバー)で撹拌を行った。次いで、内容物を通常のプロペラ式撹拌機を有する容器に移して65〜75℃の間で50分間保持して重合させた。次いで、重合した懸濁スラリーをろ過、水洗、乾燥して黒色ビーズを得た。
なお、メタクリル酸メチルおよびカーボンブラックの混合比率は、各実施例および比較例で用いる黒色ビーズの混合比率とした。
2.透過型スクリーンの作製
[実施例1]
前方散乱性フィルムとして、2枚のポリエステルフィルムの間に光散乱層が挟まれてなり、一方のポリエステルフィルム上にハードコート層、他方のポリエステルフィルム上に粘着層、セパレータを有してなる前方散乱性フィルム(ディラッドスクリーンT90:きもと社、ヘーズ90%、セパレータ面のRa:0.1μm、像鮮明度37%)を準備した。当該前方散乱性フィルムのハードコート層上に、下記処方の黒色層塗布液を、乾燥後の厚みが12μmとなるように塗布、乾燥して黒色層を形成し、実施例1の透過型スクリーンを得た。
<黒色層塗布液>
・アクリル樹脂 12部
(アクリディックA817:DIC社)
(固形分50%)
・イソシアネート系硬化剤 2.6部
(タケネートD110N:三井化学ポリウレタン社)
(固形分60%)
・黒色ビーズ 3部
(カーボンブラック5重量%、平均粒径8μm)
・希釈溶剤 22.5部
[実施例2]
黒色ビーズを、カーボンブラック5重量%、平均粒径10μmのものに変更し、黒色層の厚みを17μmに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2の透過型スクリーンを得た。
[実施例3]
黒色ビーズを、カーボンブラック5重量%、平均粒径12μmのものに変更し、黒色層の厚みを22μmに変更した以外は、実施例1と同様にして実施例3の透過型スクリーンを得た。
[比較例1]
黒色ビーズを、カーボンブラック5重量%、平均粒径5μmのものに変更し、黒色層の厚みを8μmに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1の透過型スクリーンを得た。
[比較例2]
黒色ビーズを、カーボンブラック5重量%、平均粒径14μmのものに変更し、黒色層の厚みを27μmに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例2の透過型スクリーンを得た。
[比較例3]
前方散乱性フィルムを、2枚のポリエステルフィルムの間に光散乱層が挟まれてなり、一方のポリエステルフィルム上にハードコート層、他方のポリエステルフィルム上に粘着層を有してなる前方散乱性フィルム(ディラッドスクリーンT60:きもと社、ヘーズ60%、セパレータ面のRa:0.1μm、像鮮明度88%)に変更以外は、実施例1と同様にして比較例3の透過型スクリーンを得た。
[比較例4]
黒色ビーズを、カーボンブラック5重量%、平均粒径5μmのものに変更し、黒色層の厚みを8μmに変更した以外は、比較例3と同様にして比較例4の透過型スクリーンを得た。
[比較例5]
黒色ビーズを、カーボンブラック5重量%、平均粒径14μmのものに変更し、黒色層の厚みを27μmに変更した以外は、比較例3と同様にして比較例5の透過型スクリーンを得た。
[比較例6]
ポリエステルフィルム上に表面が非平滑の光拡散層を有する光拡散フィルム(ライトアップGM3:きもと社、ヘーズ91%、光拡散層のRa:4μm、像鮮明度35%)を準備した。次いで、光拡散フィルムのポリエステルフィルム側に、実施例1と同様の黒色層を形成し、比較例6の透過型スクリーンを得た。
[比較例7]
黒色ビーズを、カーボンブラック5重量%、平均粒径5μmのものに変更し、黒色層の厚みを8μmに変更した以外は、比較例6と同様にして比較例7の透過型スクリーンを得た。
[比較例8]
黒色ビーズを、カーボンブラック5重量%、平均粒径14μmのものに変更し、黒色層の厚みを27μmに変更した以外は、比較例6と同様にして比較例8の透過型スクリーンを得た。
3.評価
実施例1〜3および比較例1〜8で得られた透過型スクリーンについて、以下の項目の評価を行った。スクリーンに投影するプロジェクタはセイコーエプソン社の製品名ELP−8000を用い、黒色層側から投影を行った。結果を表1に示す。
(1)ホットスポット
スクリーンに全黒画像を投影した。その際、プロジェクタの光源がまったく透けて見えなかったものを「○」、光源は透けて見えないが局部的に明るいものを「×」、光源が透けて見えたものを「××」とした。
(2)コントラスト
スクリーン面の照度が500lxとなるような環境下において、コントラストを測定した。コントラストは、白表示(明表示)の明るさと黒表示(暗表示)の明るさとの比とした。また、コントラストが10以上のものを「◎」、8以上10未満を「○」、8未満を「×」とあわせて表記した。
(3)輝度
1mの距離から液晶プロジェクタ(ELP−8100:エプソン社)により全白画面を投影し、輝度計(BM−7:トプコン社)により、正面方向の輝度(cd/m)を測定した。5000(cd/m)以上のものを「○」、5000(cd/m)未満のものを「×」とした。
Figure 2010250288
実施例1〜3の透過型スクリーンは、ヘーズ(JIS K7136:2000)が65%以上である前方散乱性フィルム上に、平均粒子径6μm超〜12μmの黒色ビーズとバインダー樹脂とを含む黒色層を有することから、ホットスポット、コントラスト、輝度のいずれも良好であった。特に、実施例1の透過型スクリーンは、黒色ビーズの平均粒子系が7μm以上〜10μm未満の範囲であることから、ホットスポットを防止しつつ、黒色層表面での外光反射を抑えることができ、コントラストが特に良好なものであった。
比較例1、2の透過型スクリーンは、ヘーズ(JIS K7136:2000)が65%以上である前方散乱性フィルムを用いているものである。しかし、比較例1のものは、黒色ビーズの平均粒子系が5μmであるためホットスポットを防止できず、比較例2のものは、黒色ビーズの平均粒子系が14μmであるため、黒色層表面の外光反射によりコントラストが十分なものではなかった。
比較例3〜5の透過型スクリーンは、前方散乱性フィルムを用いているものの、前方散乱性フィルムのヘーズ(JIS K7136:2000)が60%のものである。したがって、何れのものもホットスポットを防止することができず、また、光の散乱不足で白表示が弱く、コントラストが十分なものではなかった。
比較例6〜8の透過型スクリーンは、前方散乱性フィルムを用いず、光拡散層を用いているものである。したがって、光拡散層の後方散乱のため、投影映像の輝度が十分でないものであった。
4.透過型スクリーンの作製
[実施例4]
厚み75μmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4300:東洋紡績社)上に、下記処方からなる光散乱層塗布液を、乾燥後の厚みが35μmとなるように塗布、乾燥して光散乱層を形成し、当該光散乱層上に、厚み75μmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4300:東洋紡績社)を積層した。次いで、一方のポリエステルフィルム上に下記処方からなるハードコート層塗布液を、乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布、乾燥してハードコート層を形成し、他方のポリエステルフィルム上に下記処方からなる粘着層塗布液を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布、乾燥して粘着層を形成し、当該粘着層上にセパレータを有してなる前方散乱性フィルム(ヘーズ90%、セパレータ面のRa:0.1μm、像鮮明度37%)を準備した。
<光散乱層塗布液>
・ウレタン系樹脂 100部
(タケラックA-971:三井化学社)
(屈折率1.50、固形分50%)
・イソシアネート系硬化剤 7.6部
(タケネートA-3:三井化学社)
(固形分75%)
・シリコーン樹脂粒子 20部
(トスパール120:ジーイー東芝シリコーン社)
(屈折率1.44、平均粒径2.0μm)
<ハードコート層塗布液>
・紫外線硬化性樹脂 30部
(ユニディック17-806:DIC社、固形分80%)
・光重合開始剤 1部
(イルガキュア651:チバ・ジャパン社)
・メチルエチルケトン 35部
・トルエン 35部
<粘着層塗布液>
・アクリル系樹脂 100部
(オリバインBPS1109:東洋インキ製造社)
(屈折率1.47、固形分40%)
・イソシアネート系硬化剤 2.4部
(オリバインBHS8515:東洋インキ製造社、固形分38%)
・酢酸エチル 100部
次いで、当該前方散乱性フィルムのハードコート層上に、実施例1と同様の処方からなる黒色層塗布液を、乾燥後の厚みが12μmとなるように塗布、乾燥して黒色層を形成し、実施例4の透過型スクリーンを得た。
[実施例5]
実施例4で用いた光散乱層塗布液のうち、シリコーン樹脂粒子の添加量を10部に変更し、別途ポリスチレン樹脂粒子(テクポリマーSBX-6:積水化成品工業社、屈折率1.59、平均粒径6.0μm)を10部添加した以外は実施例4と同様にして、実施例5の透過型スクリーンを得た。
[実施例6]
実施例4で用いた光散乱層塗布液のうち、シリコーン樹脂粒子をポリスチレン樹脂粒子(テクポリマーSBX-6:積水化成品工業社、屈折率1.59、平均粒径6.0μm)20部に添加した以外は実施例4と同様にして、実施例6の透過型スクリーンを得た。
5.評価
実施例4〜6で得られた透過型スクリーンについて、以下の項目の評価を行った。スクリーンに投影するプロジェクタはセイコーエプソン社の製品名ELP−8000を用い、黒色層側から投影を行った。結果を表2に示す。
(1)ホットスポット
スクリーンに、全黒画像よりもホットスポットが見え易い全白画像を投影した。その際、プロジェクタの光源がまったく透けて見えなかったものを「◎」、光源は透けて見えないが局部的に明るいものを「○」、光源が透けて見えたものを「×」とした。
(2)コントラスト
スクリーン面の照度が500lxとなるような環境下において、コントラストを測定した。コントラストは、白表示(明表示)の明るさと黒表示(暗表示)の明るさとの比とした。また、コントラストが10以上のものを「◎」、8以上10未満を「○」、8未満を「×」とあわせて表記した。
(3)輝度
1mの距離からスクリーンに全白画像を投影し、輝度計(BM−7:トプコン社)により正面方向の輝度(cd/m)を測定した。4500(cd/m)以上のものを「○」、3500(cd/m)以上4500(cd/m)未満のものを「△」、3500(cd/m)未満のものを「×」とした。
Figure 2010250288
実施例4〜6の透過型スクリーンは、ヘーズ(JIS K7136:2000)が65%以上である前方散乱性フィルム上に、平均粒子径6μm超〜12μmの黒色ビーズとバインダー樹脂とを含む黒色層を有することから、ホットスポット、コントラスト、輝度のいずれも良好であった。
特に、実施例5の透過型スクリーンは、上述したように光散乱層中に球状微粒子としてシリコーン樹脂粒子及びポリスチレン樹脂粒子を等量ずつ含有させてなるものであるため、輝度を維持しつつホットスポットを効果的に防止しうるものであった。
また、実施例6の透過型スクリーンは、上述したように光散乱層中に球状微粒子としてポリスチレン樹脂粒子のみを含有させてなるものであるため、ホットスポットを特に効果的に防止しうるものであった。
1・・・・前方散乱性フィルム
11・・・光透過性基材
12・・・光散乱層
2・・・・黒色層
3・・・・透過型スクリーン
100・・リアプロジェクションモニタ
101・・透過型スクリーン

Claims (3)

  1. ヘーズ(JIS K7136:2000)が65%以上である前方散乱性フィルム上に、平均粒子径6μm超〜12μmの黒色ビーズとバインダー樹脂とを含む黒色層を有してなることを特徴とする透過型スクリーン。
  2. 前記前方散乱性フィルムは、前記黒色層とは反対側の面が実質的に平滑であることを特徴とする請求項1記載の透過型スクリーン。
  3. 映像表示装置に表示された表示画像を投映するプロジェクタと、前記プロジェクタからの投映光を反射する反射ミラーと、光入射面と光出射面とを有し前記ミラーからの反射光を前記光入射面で受けて結像する透過型スクリーンとを備えたリアプロジェクションモニタにおいて、前記透過型スクリーンとして、請求項1又は2記載の透過型スクリーンを、黒色層を光入射面側となるように配置してなることを特徴とするリアプロジェクションモニタ。
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