JPWO2017010217A1 - 透明スクリーンの透明光散乱層を形成するための分散液、透明スクリーン、および透明スクリーンの製造方法 - Google Patents

透明スクリーンの透明光散乱層を形成するための分散液、透明スクリーン、および透明スクリーンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光源から出射される投影光を異方的に散乱反射することにより投影光の視認性と透過光の視認性とを両立できる透明スクリーンの透明光散乱層を形成するための分散液、当該透明スクリーン、および当該透明スクリーンの製造方法の提供。【解決手段】本発明による透明スクリーンの透明光散乱層を形成するための分散液は、バインダと、光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の少なくともいずれか一方と、を含んでなる。また、本発明による透明スクリーンは、上記の分散液の硬化膜からなる透明光散乱層を備える。また、本発明による透明スクリーンの製造方法は、透明光散乱層を備える透明スクリーンの製造方法は、上記の分散液を基板上に塗布し、硬化させて、透明光散乱層を形成することを特徴とする。

Description

本発明は、光源から出射される投影光を異方的に散乱反射することにより投影光の視認性と透過光の視認性とを両立できる透明スクリーンの透明光散乱層を形成するための分散液、当該透明スクリーン、および当該透明スクリーンの製造方法に関する。また、本発明は、当該透明スクリーンと、投射装置とを備える映像投影システムにも関する。
従来、プロジェクター用スクリーンとして、フレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートとを組み合わせたものが用いられてきた。近年、デパート等のショウウィンドウやイベントスペースの透明パーティション等にその透明性を維持したまま商品情報や広告等を投射表示する要望が高まってきている。また、将来的には、ヘッドアップディスプレイやウェアラブルディスプレイ等に用いられる透明性の高い投射型映像表示スクリーンの需要は、ますます高まると言われている。
投射型映像表示スクリーンには、反射型スクリーンと透過型スクリーンの2種類がある。反射型スクリーンはプロジェクターと同じ側からスクリーンに投影された映像を視認するスクリーンであり、透過型スクリーンはスクリーンを挟んでプロジェクターと反対側から、スクリーンに投影された映像を視認するスクリーンである。反射型スクリーンとしては、例えば、基材上に、バインダ樹脂と、光反射剤と、光反射剤100重量部に対して50重量部以上の光拡散剤とを含む光拡散性反射層を設けてなるプロジェクター用反射型スクリーンが提案されている(特許文献1参照)。また、基材上に、高輝度アルミニウム粉末を含有する塗料で反射層を設けたことを特徴とする反射型映写スクリーンが提案されている(特許文献2参照)。透過型スクリーンとしては、例えば複数の単位光透過部を有する光制御シートと、複数の単位光吸収部を有する光制御シートと、光拡散層の積層体からなるプロジェクター用透過型スクリーンが提案されている(特許文献3参照)。
特開平10−197957号公報 特開平5−119402号公報 特開2013−210505
しかしながら、本発明者らは、特許文献1〜3には、以下の技術的課題が存在することを知見した。特許文献1に記載のプロジェクター用反射型スクリーンは、透明性に劣るものであり、ヘッドアップディスプレイやウェアラブルディスプレイ等の透明スクリーン用途に用いることは困難であった。さらに、特許文献1では、光反射剤や光拡散剤の微粒子を分散させたフィルムを溶融押出により製膜しており、微粒子の分散性が悪く、異物が発生する恐れがあった。また、溶融押出法は曲面や凹凸等の平面以外の形状に成型するのが困難であるという問題点もあった。特許文献2に記載の反射型映写スクリーンは、透明性に劣るものであり、ヘッドアップディスプレイやウェアラブルディスプレイ等の透明スクリーン用途に用いることは困難であった。特許文献3に記載の透過型映写スクリーンは、複数の単位光透過部を有する光制御シートと、複数の単位光吸収部を有する光制御シートからなり、光制御シートの製造工程が煩雑であり、また、光吸収部が存在することでスクリーンとしての透明性を損なうという問題点があった。
また、本発明者らは、従来の透明光散乱層を備える透明フィルムを用いて透明スクリーンを作製する場合、曲面や凹凸等の平面以外の形状の基材や支持体への透明フィルムの貼付が困難であったり、透明フィルムのサイズの調整が困難であったりするという技術的課題を新たに知見した。本発明は上記の技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光源から出射される投影光を異方的に散乱反射することにより投影光の視認性と透過光の視認性とを両立できる透明スクリーンの透明光散乱層を形成するための分散液、当該透明スクリーン、および当該透明スクリーンの製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、該透明スクリーンを備えた映像投影システムを提供することにある。
本発明者らは、上記の技術的課題を解決するため、鋭意検討した結果、光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の少なくともいずれか一方をバインダ中に分散させた分散液の硬化膜を用いて、透明スクリーンの透明光散乱層を形成することによって、上記の技術的課題を解決できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の一の態様によれば、
透明スクリーンの透明光散乱層を形成するための分散液であって、バインダと、光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の少なくともいずれか一方と、を含んでなる、分散液が提供される。
本発明の態様においては、前記バインダが、無機系バインダまたは有機系バインダであることが好ましい。
本発明の態様においては、前記無機系バインダが、水ガラス、低軟化点を有するガラス材料、またはゾルゲル材料であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記有機系バインダが、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、または粘着剤であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記分散液が、さらに溶剤を含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記光輝性薄片状微粒子は、一次粒子の平均径が0.01〜100μmであり、かつ平均アスペクト比が3〜800であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記光輝性薄片状微粒子が、アルミニウム、銀、銅、白金、金、チタン、ニッケル、スズ、スズ−コバルト合金、インジウム、クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、および硫化亜鉛からなる群から選択される金属系粒子、ガラスに金属または金属酸化物を被覆した光輝性材料、または天然雲母もしくは合成雲母に金属または金属酸化物を被覆した光輝性材料であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記分散液中の前記光輝性薄片状微粒子の含有量が、前記バインダに対して、0.0001〜10.0質量%であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記略球状微粒子は、一次粒子のメジアン径が0.1〜500nmであることが好ましい。
本発明の態様においては、前記略球状微粒子が、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、チタン酸バリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ダイヤモンド、チタン酸ストロンチウム、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂およびシリカからなる群より選択された少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記分散液中の前記略球状微粒子の含有量が、前記バインダに対して、0.0001〜20.0質量%であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記分散液を硬化して膜厚2μmの硬化膜を作成した場合の前記硬化膜のヘイズ値が30%以下であることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、上記の分散液の硬化膜が提供される。
本発明の別の態様においては、上記の硬化膜の厚さをt(μm)とし、前記バインダに対する前記光輝性薄片状微粒子または前記略球状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、tとcが、下記数式(I):
0.05≦(t×c)≦50 ・・・(I)
を満たすことが好ましい。
本発明の別の態様においては、上記の硬化膜のヘイズ値が30%以下であることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、上記の硬化膜からなる透明光散乱層を備えた、透明スクリーンが提供される。
本発明の別の態様によれば、
透明光散乱層を備える透明スクリーンの製造方法であって、
上記の分散液を基板上に塗布し、硬化させて、硬化膜からなる透明光散乱層を形成することを特徴とする、製造方法が提供される。
本発明の別の態様によれば、上記の透明スクリーンを備えた、車両用部材が提供される。
本発明の別の態様によれば、上記の透明スクリーンを備えた、建物用部材が提供される。
本発明の別の態様においては、上記の透明スクリーンと、投射装置とを備えた、映像投影システムが提供される。
本発明によれば、光源から出射される投影光を異方的に散乱反射することにより投影光の視認性と透過光の視認性とを両立できる透明スクリーンの透明光散乱層を形成するための分散液、当該透明スクリーン、および当該透明スクリーンの製造方法を提供することができる。このような分散液を用いることで、基材や支持体の面形状に依らずに曲面や凹凸等の平面以外の形状であっても透明光散乱層を形成できたり、透明光散乱層のサイズを調整できたりする。また、このような透明スクリーンは、ガラスウィンドウ、ヘッドアップディスプレイ、およびウェアラブルディスプレイ等に好適に用いることができる。
本発明による透明スクリーンの一実施形態の厚さ方向の断面図である。 本発明による映像投影システムの一実施形態を示した模式図である。
<分散液>
本発明による分散液は、透明スクリーンの透明光散乱層を形成するためのものであり、バインダと、光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の少なくともいずれか一方と、を含んでなる。本発明による分散液は、溶剤をさらに含むものであって良い。微粒子としては下記の略球状微粒子または光輝性薄片状微粒子を好適に用いることができる。このような分散液を用いて透明光散乱層を形成することで、透明光散乱層内で光を異方的に散乱反射させて、光の利用効率を高めることができる。また、このような分散液を用いることで、基材や支持体の面形状に依らずに曲面や凹凸等の平面以外の形状であっても透明光散乱層を形成できたり、透明光散乱層のサイズを調整できたりする。
(バインダ)
バインダとしては、硬化膜としたときの透明性が高く、光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の分散性がよいものであればどのような材料を用いても良く、透明であることが好ましく、無機系バインダまたは有機系バインダを用いることが好ましい。
透明性の高い無機系バインダとしては、例えば、水ガラス、低軟化点を有するガラス材料、またはゾルゲル材料を挙げることができる。水ガラスとは、アルカリ珪酸塩の濃厚水溶液をいい、アルカリ金属としては通常ナトリウムが含まれている。代表的な水ガラスは、NaO・nSiO(n:正の任意の数)により示すことができる。市販される水ガラスは、nが2から4の範囲にある。市販される水ガラスには珪酸ナトリウム水溶液として1号から3号があり、この順にNaOに対するSiOの比率が高くなる。水ガラスから水分を蒸発させると和水ガラスと称される水分を10〜30質量%程度含んだ割れにくく弾性を有する固体が形成され、接着性を有するバインダとしての機能が発現する。また、場合により、NaOに換えて一部KOを含むことがあるが、この場合であってもSiOとのモル比は上記の範囲にあることが好ましい。バインダとしての機能は水ガラスに含まれるポリ珪酸イオンの分子量が高いほど力学的強度の高い硬化膜を形成する傾向があるが、硬化膜にひび割れが生成し易くなる場合があるため、塗布液として使用する際の含まれる水ガラスの濃度やpH、及びヒドロキシアパタイトに対する割合等によってNaOに対するSiOの最適なモル比で含まれる水ガラスを使用することが好ましい。水ガラスとしては、富士化学(株)社製珪酸ソーダを用いることができる。
低軟化点を有するガラス材料は、軟化温度が好ましくは150〜620℃の範囲にあるガラスであり、さらに好ましくは軟化温度が200〜600℃の範囲であり、最も好ましくは軟化温度が250〜550℃の範囲である。このようなガラス材料としては、PbO−B系、PbO−B−SiO系、PbO−ZnO−B系、酸成分及び金属塩化物を含む混合物を熱処理することにより得られる鉛フリー低軟化点ガラス等を挙げることができる。低軟化点ガラス材料は、後述する硬化工程で溶解する、いわゆるガラスフリットが好ましい。また、低軟化点ガラス材料としては、メジアン径が1〜50μmの範囲の粉末を用いるのが好ましい。低軟化点ガラス材料には、微粒子の分散性および成形性向上のために、溶剤および高沸点有機溶剤等を混合することができる。
ゾルゲル材料は、熱や光、触媒などの作用により、加水分解重縮合が進行し、硬化する化合物群である。例えば、金属アルコキシド(金属アルコラート)、金属キレート化合物、ハロゲン化金属、液状ガラス、スピンオングラス、またはこれらの反応物であり、これらに硬化を促進させる触媒を含ませたものであってもよい。また、金属アルコキシド官能基の一部にアクリル基などの光反応性の官能基を有するものであってもよい。これらは、要求される物性に応じて、単独で用いても良いし、複数種類を組み合わせて用いても良い。ゾルゲル材料の硬化体とは、ゾルゲル材料の重合反応が十分に進行した状態を指す。ゾルゲル材料は、重合反応の過程において無機基板の表面と化学的に結合して、強く接着する。そのため、硬化物層としてゾルゲル材料の硬化体を用いることで、安定した硬化物層を形成することができる。
金属アルコキシドとは、加水分解触媒などによって任意の金属種を、水や有機溶剤と反応させて得られる化合物群であり、任意の金属種と、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、イソプロピル基等の官能基とが結合した化合物群である。金属アルコキシドの金属種としては、シリコン、チタン、アルミニウム、ゲルマニウム、ボロン、ジルコニウム、タングステン、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、スズなどが挙げられる。
例えば、金属種がシリコンの金属アルコキシドとしては、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン(MTES)、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、トリエトキシシラン(TEOS)、ジフェニルシランジオール、ジメチルシランジオールなどや、これら化合物群のエトキシ基が、メトキシ基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシ基などに置き換わった化合物群などが挙げられる。これらのなかでも、TEOS、TEOSのエトキシ基をメトキシ基に置き換えたテトラメトキシシラン(TMOS)が特に好ましい。これらは単独で用いても良く、複数種類を組み合わせて用いることもできる。
TEOS、MTESまたはこれらの混合物を用いる場合には、それらの混合比は、例えばモル比で1:1にすることができる。このゾル溶液は、加水分解及び重縮合反応を行わせることによって非晶質シリカを生成する。合成条件として溶液のpHを調整するために、塩酸等の酸またはアンモニア等のアルカリを添加する。pHは4以下もしくは10以上が好ましい。また、加水分解を行うために水を加えてもよい。加える水の量は、金属アルコキシド種に対してモル比で1.5倍以上にすることができる。
また、金属アルコキシドとしては、シルセスキオキサン化合物を用いることもできる。シルセスキオキサンとは、SiO1.5で表される化合物群の総称で、ケイ素原子一個に対し、一つの有機基と三つの酸素原子が結合した化合物である。ハロゲン化金属とは、上記金属アルコキシドにおいて、加水分解重縮合する官能基がハロゲン原子に置き換わった化合物群である。
金属キレート化合物としては、チタンジイソプロポキシビスアセチルアセトネート、チタンテトラキスアセチルアセトネート、チタンジブトキシビスオクチレングリコレート、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムジブトキシモノアセチルアセトネート、亜鉛ビスアセチルアセトネート、インジウムトリスアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネートなどが挙げられる。
透明性の高い有機系バインダとしては、樹脂、例えば熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、および粘着剤を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、溶媒に溶解しやすいものであればよい。そのような熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、およびポリスチレン系樹脂を用いることができ、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、シクロオレフィン樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、ニトロセルロース系樹脂およびポリスチレン樹脂を用いることができる。これらの樹脂は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリル系やウレタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系、シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリレート等のオリゴマー又はプレポリマー及び反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂は熱可塑性樹脂および溶剤と混合されたものであってもよく、耐傷性、防眩性を付与するためのハードコート層として用いられるものであってもよい。電離放射線硬化性樹脂としては、シリコーン系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン系樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂が好ましい。また、熱可塑性樹脂であるポリビニルブチラール樹脂やエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂は、ガラス、金属、セラミックス等の基材に対し優れた接着性を有しており、接着剤として使用することもできる。有機系バインダとしては、市販品を用いることができ、例えば、アクリルラッカー(藤倉化成(株)製 レクラック73 クリヤー)、ウレタンアクリレート型UV硬化性樹脂(DIC(株)製ユニディックV−4018)、サンユレック(株)社製の商品名:EA―415等が挙げられる。
有機系バインダとして粘着剤を用いることで、分散液の硬化膜に粘着性を付与することができる。粘着剤としては、例えば、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル樹脂系、ポリビニルエーテル樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系等が挙げられる。合成ゴム系の具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体が挙げられる。シリコーン樹脂系の具体例としては、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらの粘着剤は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、アクリル系粘着剤が好ましい。
アクリル系樹脂粘着剤は、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを含んで重合させたものである。炭素原子数1〜18程度のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとカルボキシル基を有するモノマーとの共重合体であるのが一般的である。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸をいう。(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸sec−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ウンデシルおよび(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。 また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、通常は、アクリル系粘着剤中に30〜99.5質量部の割合で共重合されている。
また、アクリル系樹脂粘着剤を形成するカルボキシル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸モノブチルおよびβ−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基を含有するモノマーを挙げることができる。
アクリル系樹脂粘着剤には、上記の他に、アクリル系樹脂粘着剤の特性を損なわない範囲内で他の官能基を有するモノマーが共重合されていても良い。他の官能基を有するモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルおよびアリルアルコール等の水酸基を含有するモノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドおよびN−エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を含有するモノマー;N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよびジメチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド基とメチロール基とを含有するモノマー;アミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびビニルピリジン等のアミノ基を含有するモノマーのような官能基を有するモノマー; アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマーなどが挙げられる。この他にもフッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリルなどのほか、スチレンおよびメチルスチレンなどのビニル基含有芳香族化合物、酢酸ビニル、ハロゲン化ビニル化合物などを挙げることができる。
アクリル系樹脂粘着剤には、上記のような他の官能基を有するモノマーの他に、他のエチレン性二重結合を有するモノマーを使用することができる。エチレン性二重結合を有するモノマーの例としては、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチルおよびフマル酸ジブチル等のα,β−不飽和二塩基酸のジエステル; 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルエーテル;スチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。また、上記のようなエチレン性二重結合を有するモノマーの他に、エチレン性二重結合を2個以上有する化合物を併用することもできる。このような化合物の例としては、ジビニルベンゼン、ジアリルマレート、ジアリルフタレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
粘着剤は市販のものを使用してもよく、例えば、SKダイン2094、SKダイン2147、SKダイン1811L、SKダイン1442、SKダイン1435、およびSKダイン1415(以上、綜研化学(株)製)、オリバインEG−655、およびオリバインBPS5896(以上、東洋インキ(株)製)等(以上、商品名)を好適に使用することができる。
(光輝性薄片状微粒子)
光輝性薄片状微粒子としては、薄片状に加工できる光輝性材料を好適に用いることができる。光輝性薄片状微粒子の正反射率は、好ましくは12.0%以上であり、より好ましくは15.0%以上100%以下であり、さらに好ましくは20.0%以上95%以下である。なお、本発明において、光輝性薄片状微粒子の正反射率は、以下のようにして測定した値である。
(正反射率)
分光測色計(コニカミノルタ(株)製、品番:CM−3500dを用いて測定した。適切な溶媒(水またはメチルエチルケトン)に分散させた光輝性薄片状微粒子をスライドガラス上に膜厚が0.5mm以上になるように塗布、乾燥させた。得られた塗膜付きガラス板について、ガラス面の法線に対して45度の角度でガラス面から塗膜へ光を入射したときの正反射率を測定した。光輝性薄片状微粒子を塗膜としたときの正反射率を測定することで、微粒子表面の酸化状態等を考慮した光輝性薄片状微粒子の反射性能を把握することができる。
光輝性薄片状微粒子としては、分散させるバインダの種類にもよるが、例えば、アルミニウム、銀、銅、白金、金、チタン、ニッケル、スズ、スズ−コバルト合金、インジウムおよびクロム等の金属系微粒子、または、酸化アルミニウムおよび硫化亜鉛からなる金属系微粒子、ガラスに金属もしくは金属酸化物を被覆した光輝性材料、または天然雲母もしくは合成雲母に金属または金属酸化物を被覆した光輝性材料を用いることができる。
金属系微粒子に用いる金属材料は、投影光の反射性に優れる金属が用いられる。具体的には、金属材料は、測定波長550nmにおける反射率Rが好ましくは50%以上であり、より好ましくは55%以上であり、さらに好ましくは60%以上であり、さらにより好ましくは70%以上である。以下、本発明において、「反射率R」とは、金属材料に対して光を垂直方向から入射させたときの反射率を指す。反射率Rは金属材料固有値である屈折率nと消衰係数kの値を用いて下記式(1)により算出することができる。nおよびkは、例えばHandbook of Optical Constants of Solids: Volume 1(Edward D.Palik著)や、P.B. Johnson and R.W Christy, PHYSICAL REVIEW B, Vol.6, No.12, 4370-4379(1972)等に記載されている。
R={(1−n)+k}/{(1+n)+k} 式(1)
すなわち、測定波長550nmにおける反射率R(550)は、波長550nmで測定したときのnおよびkより算出できる。金属材料は、測定波長450nmにおける反射率R(450)と、測定波長650nmにおける反射率R(650)の差の絶対値が、測定波長550nmにおける反射率R(650)に対して25%以内であり、好ましくは20%以内であり、より好ましくは15%以内であり、さらに好ましくは10%以内である。このような金属材料を用いることで、反射型透明スクリーンとして用いた場合、投影光の反射性および色再現性に優れ、スクリーンとしての性能に優れる。
金属系微粒子に用いる金属材料は、誘電率の実数項ε’が、好ましくは−60〜0であり、より好ましくは−50〜−10である。なお、誘電率の実数項ε’は、屈折率nと消衰係数kの値を用いて下記式(2)により算出することができる。
ε’=n−k 式(2)
本発明はいかなる理論にも束縛されるものではないが、金属材料の誘電率の実数項ε’が上記数値範囲を満たすことで、以下の作用が生じ、透明光散乱体が反射型透明スクリーンとして好適に使用できると考えられる。すなわち、光が金属系微粒子の中に入ると、金属系微粒子中には光による振動電界が生じるが、同時に金属系微粒子の自由電子によって逆向きの電気分極が生じ電界を遮蔽してしまう。誘電率の実数光ε’が0以下であるとき、光が完全に遮蔽され金属系微粒子の中に光が入って行けない、すなわち、表面凹凸による拡散や金属系微粒子による光の吸収が無いという理想状態を仮定すると、光は全て金属系微粒子表面で反射されることになるため、光の反射性は強い。ε’が0より大きいとき、金属系微粒子の自由電子の振動は光の振動に追随出来ないため光による振動電界を完全には打ち消すことが出来ず、光は金属系微粒子の中に入ったり、透過したりする。その結果、金属系微粒子表面で反射されるのは一部の光だけになり、光の反射性は低くなる。
金属材料としては、上記の反射率R、好ましくはさらに誘電率を満たす金属材料を用いたものであれば特に好ましく、純金属や合金も用いることができる。純金属としてはアルミニウム、銀、白金、チタン、ニッケル、およびクロムからなる群から選択されるものが好ましい。金属系微粒子としては、これらの金属材料からなる微粒子や、これらの金属材料を樹脂、ガラス、天然雲母もしくは合成雲母等に被覆した微粒子を用いることができる。また、金属系微粒子の形状は、特に限定されず、薄片状微粒子や略球状微粒子等を用いることができる。各種の金属材料について、各測定波長における屈折率nおよび消衰係数kを表1に、その値を用いて算出した反射率Rおよびε’を表2にまとめる。
Figure 2017010217
Figure 2017010217
光輝性薄片状微粒子は、一次粒子の平均径が好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.05〜80μm、さらに好ましくは0.1〜50μm、さらにより好ましくは0.5〜30μmである。さらに、光輝性薄片状微粒子は、平均アスペクト比(=光輝性薄片状微粒子の平均径/平均厚み)が好ましくは3〜800、より好ましくは4〜700、さらに好ましくは5〜600、さらにより好ましくは10〜500である。光輝性薄片状微粒子の平均径および平均アスペクト比が上記範囲内であると、透過視認性を損なわずに投影光の十分な散乱効果が得られることで、透明スクリーンに鮮明な映像を投影することができる。なお、本発明において、光輝性薄片状微粒子の平均径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置((株)島津製作所製、品番:SALD−2300)を用いて測定した。平均アスペクト比は、SEM((株)日立ハイテクノロジーズ製、商品名:SU−1500)画像より算出した。
光輝性薄片状微粒子は、市販のものを使用してもよく、例えば、大和金属粉工業株式会社製アルミニウムパウダー、松尾産業株式会社製の商品名メタシャインを好適に使用することができる。
分散液中の光輝性薄片状微粒子の含有量は、光輝性薄片状微粒子の正反射率に応じて適宜調節することができる。分散液中の光輝性薄片状微粒子の含有量は、バインダに対して、好ましくは0.0001〜10.0質量%であり、好ましくは0.0005〜8.0質量%であり、より好ましくは0.001〜5.0質量%である。光輝性薄片状微粒子を上記範囲のように低濃度でバインダ中に分散させて透明光散乱層を形成することによって、光源から出射される投影光を異方的に散乱反射することにより、投影光の視認性と透過光の視認性とを向上することができる。
(略球状微粒子)
略球状微粒子とは、真球状粒子を含んでいてもよく、凹凸や突起のある球状粒子を含んでいてもよい。高屈折率を有する略球状微粒子としては、例えば、屈折率が好ましくは1.80〜3.55であり、より好ましくは1.9〜3.3であり、さらに好ましくは2.0〜3.0である、無機物、金属酸化物または金属塩を微粒化した金属系粒子を用いることができる。無機物としては、例えばダイヤモンド(n=2.42)を挙げることができる。金属酸化物としては、例えば、酸化ジルコニウム(n=2.40)、および酸化セリウム(n=2.20)等を挙げることができる。金属塩としては、例えば、チタン酸バリウム(n=2.40)およびチタン酸ストロンチウム(n=2.37)等を挙げることができる。また、低屈折率を有する略球状微粒子としては、例えば、屈折率が好ましくは1.35〜1.80であり、より好ましくは1.4〜1.75であり、さらに好ましくは1.45〜1.7であり、酸化マグネシウム(n=1.74)、硫酸バリウム(n=1.64)、炭酸カルシウム(n=1.65)、シリカ(酸化ケイ素、n=1.45)等の無機物を微粒化した無機系微粒子が挙げられる。さらに低屈折率を有する有機系略球状微粒子としては、例えば、架橋アクリル系樹脂、架橋スチレン系樹脂が挙げられる。これらの略球状微粒子は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
略球状微粒子の一次粒子のメジアン径は好ましくは0.1〜500nmであり、より好ましくは0.2〜300nmであり、さらに好ましくは0.5〜200nmである。略球状微粒子の一次粒子のメジアン径が上記範囲内であると、透明スクリーンとして使用した場合に、透過視認性を損なわずに投影光の十分な拡散効果が得られることで、透明スクリーンに鮮明な映像を投影することができる。なお、本発明において、無機微粒子の一次粒子のメジアン径(D50)は、動的光散乱法により粒度分布測定装置(大塚電子(株)製、商品名:DLS−8000)を用いて測定した粒度分布から求めることができる。
分散液中の略球状微粒子の含有量は、透明光散乱層の厚さや微粒子の屈折率に応じて適宜調節することができる。分散液中の略球状微粒子の含有量は、バインダに対して、好ましくは0.0001〜20.0質量%であり、より好ましくは0.001〜10.0質量%であり、さらに好ましくは0.005〜5.0質量%であり、さらにより好ましくは0.01〜3.0質量%である。略球状微粒子を上記範囲程度でバインダ中に分散させて透明光散乱層を形成することによって、透明光散乱層の透明性を確保しながら、投射装置から出射される投影光を異方的に十分に拡散させることで、拡散光の視認性と透過光の視認性とを両立することができる。
(溶剤)
本発明による分散液は、さらに溶剤を含んでもよい。分散液が溶剤を含むことで、分散液の粘度を適宜調節することができる。溶剤としては、有機溶剤に限定されず、一般の塗料組成物に用いられる溶剤が使用可能である。例えば、水をはじめとする親水性溶媒も使用可能である。また、本発明のバインダが液体である場合は溶剤を含有しなくてもよい。
本発明による溶剤の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、n−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、ブトキシエチルエーテル、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノール、ベンジルオキシエタノール等のエーテルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、フェノール、クロロフェノール等のフェノール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、2硫化炭素等の含ヘテロ元素化合物、水、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。溶剤の添加量は、バインダや微粒子の種類や後述する塗布又は噴霧工程に好適な粘度範囲等に応じて、適宜調節することができる。
分散液には、透明光散乱層の透過視認性や所望の光学性能を損なわない範囲で、用途に応じて、微粒子以外にも従来公知の添加剤を加えてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、相溶化剤、核剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、離型剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、および色材等が挙げられる。色材としては、カーボンブラック、アゾ系色素、アントラキノン系色素、ペリノン系色素等の色素または染料を用いることができる。また、液晶性化合物等を混合してもよい。
<硬化膜>
本発明における硬化膜とは、光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の少なくとも一方がバインダ中に分散した分散液を硬化させた透明膜であって、分散液が溶媒を含む場合には、分散液から溶媒を除去し、硬化させて得られるものである。ここで、本発明における硬化とは、モノマーの重合反応や、硬化剤や加熱、電子線照射等によるポリマー同士の架橋反応によって硬度が生じる反応だけでなく、加熱・焼成等で分散液から溶剤を除去し、バインダに硬度を与える反応も含む。
本発明における硬化膜は、粘着性を有していてもよい。硬化膜が粘着性を有することで、別途の接着層等を設けなくても、基材層や支持体層等の透明スクリーンの他の層に貼付することができる。
分散液を硬化して膜厚2μmの硬化膜を作成した場合の硬化膜のヘイズ値は、好ましくは30%以下であり、より好ましくは0〜20%であり、さらに好ましくは0〜10%である。このような硬化膜を作成できる分散液を用いることで、透明でありながら、より鮮明な像を結像することができる透明光散乱層を形成することができる。
硬化膜の厚さは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01μm〜1mmであり、より好ましくは0.1μm〜500μmであり、さらに好ましくは1μm〜300μmである。硬化膜の厚さが上記範囲内であれば、透明光散乱層としての機能を十分に発揮することができる。硬化膜は単層構成であってもよく、塗布等で2種以上の層を積層させた複層構成であってもよい。
硬化膜は、JIS−K5600−5−4(引っかき硬度法)に準拠して測定した引っかき硬度がHB以上であることが好ましく、H以上であることがより好ましく、2H以上の耐傷性を有することがさらに好ましい。
(透明光散乱層)
透明光散乱層は、上記の分散液の硬化膜からなる。上記の分散液の硬化膜からなる。透明光散乱層内では、光を異方的に散乱反射させて、光の利用効率を高めることができる。上記の分散液の硬化膜のヘイズ値は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは1%以上40%以下であり、さらに好ましくは1.3%以上30%以下であり、さらにより好ましくは1.5%以上20%以下である。硬化膜のヘイズ値が上記範囲内にあれば、硬化膜からなる透明光散乱層は、透明でありながら、より鮮明な像を結像することができる。
上記の分散液の硬化膜は、厚さをt(μm)とし、前記バインダに対する前記光輝性薄片状微粒子および/または前記略球状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、tとcが、下記数式(I):
0.05≦(t×c)≦50 ・・・(I)
を満たすことが好ましく、
0.1≦(t×c)≦40 ・・・(I−2)
を満たすことがより好ましく、
0.15≦(t×c)≦35 ・・・(I−3)
を満たすことがさらに好ましく、
0.3≦(t×c)≦30 ・・・(I−4)
を満たすことがさらにより好ましい。硬化膜の厚さtと濃度cが上記の数式(I)を満たす場合、スクリーンの透明光拡散層のバインダ中の微粒子の分散状態が疎である(バインダ中の微粒子の濃度が低い)ため、真直ぐに透過する光の割合を増やし(微粒子に衝突しない光の割合を増やし)、その結果、透過光の視認性を損なわずに、スクリーンに鮮明な映像を表示することができる。なお、光輝性薄片状微粒子および/または略球状微粒子が2種以上含まれる場合、濃度cは全微粒子の合計濃度である。
透明光散乱層は、上記の分散液を基板上に塗布し、硬化させて形成することができる。このような工程により透明光散乱層を形成することで、微粒子の分散性が向上し、微粒子は異物となる大凝集物を生じにくい。その結果、透明性がより高く、かつ高品質なスクリーンを得ることができる。
透明光散乱層中の異物の数は、好ましくは0〜20個であり、より好ましくは0〜10個であり、特に好ましくは0〜5個である。異物は画像の鮮明性を悪化させるため、異物の数が上記の数値範囲内であれば、投影された画像は乱れや輝点のない、鮮明な画像として視認できる。なお、本発明において、透明光散乱層中の異物の数は、下記の測定方法にてカウントした数である。
(異物の測定方法)
透明光散乱層を20cm角に裁断し、目視で確認できる大きな凝集物(異物)をカウントして、異物の数とした。
<透明スクリーン>
本発明による透明スクリーンは、上記の分散液の硬化膜からなる透明光散乱層を備えるものである。当該透明スクリーンは、透明光散乱層のみからなる単層構成であってもよいし、保護層、基材層、粘着層、および反射防止層等の他の層をさらに備える複層構成の積層体であってもよい。また、当該透明スクリーンは、ガラスや透明パーティション等の支持体を備えてもよい。当該透明スクリーンは、光源から出射される投影光を異方的に散乱反射することにより投影光の視認性と透過光の視認性とを両立できる。当該透明スクリーンは、ガラスウィンドウ、ヘッドアップディスプレイ、およびウェアラブルディスプレイ等に好適に用いることができる。さらに、本発明による透明スクリーンは、車両用部材や建物用部材にも好適に用いることができる。
本発明による透明スクリーンの一実施形態の厚さ方向の模式図を図1に示す。透明スクリーンは、バインダ10中に光輝性薄片状微粒子11と、略球状微粒子12と、が分散されてなる透明光散乱層13を備える。このような透明スクリーンは、投影光15を異方的に散乱することで、視認者14は散乱光16を視認できる。
当該透明スクリーンは、背面投射型スクリーン(透過型スクリーン)でもよく、前面投射型スクリーン(反射型スクリーン)でもよい。すなわち、本発明による透明スクリーンを備える映像表示装置においては、投射装置(光源)の位置がスクリーンに対して観察者側にあってもよく、観察者と反対側にあってもよい。また、透明スクリーンは、平面であってもよく、曲面であってもよい。
当該透明スクリーンは、ヘイズ値が、好ましくは50%以下、より好ましくは1%以上40%以下であり、さらに好ましくは1.3%以上30%以下であり、さらにより好ましくは1.5%以上20%以下である。また、当該透明スクリーンは、全光線透過率が好ましくは70%以上であり、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、さらにより好ましくは85%以上である。また、当該透透明スクリーンは、拡散透過率が、好ましくは1.5%以上60%以下、より好ましくは1.7%以上55%以下であり、より好ましくは1.9%以上50%以下であり、さらにより好ましくは2.0%以上45%以下である。ヘイズ値、および全光線透過率が上記範囲内であれば、透明性が高く、透過視認性をより向上させることができ、拡散透過率が上記範囲内であれば、入射光を効率よく拡散させ、視野角をより向上させることができるため、スクリーンとしての性能に優れる。なお、本発明において、透明スクリーンのヘイズ値、全光線透過率および拡散透過率は、濁度計(日本電色工業(株)製、品番:NDH−5000)を用いてJIS−K−7361およびJIS−K−7136に準拠して測定することができる。
当該透明スクリーンは、写像性が、好ましくは70%以上であり、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、さらにより好ましくは85%以上であり、特に好ましくは90%以上である。当該透明スクリーンの写像性が上記範囲内であれば、透明スクリーンを透過して見える像が極めて鮮明となる。なお、本発明において、写像性とは、JIS K7374に準拠して、光学くし幅0.125mmで測定した時の像鮮明度(%)の値である。
(基材)
基材は、透明光散乱層を硬化膜状に形成するための支持体である。基材は、具体的には、金属、セラミックス、ソーダガラス、石英ガラス、サファイヤ基板、石英、フロート板ガラス、シリコン基板等の無機材料からなる基板やポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリイミド(PI)、ポリアリレート等の樹脂基板を用い得る。基板としては、例えば、400nm〜780nmの可視光領域で光学的に透明な基材がスクリーン以外のさまざまな光学用途に用いることができるため特に好ましい。紫外光領域において用いる場合には、紫外線の透過率が高い石英ガラスやサファイアガラスを含む基材を用いることが好ましい。基板上には密着性を向上させるために、表面処理や易接着層を設けるなどをしてもよく、水分や酸素等の気体の浸入を防ぐ目的で、ガスバリア層を設けるなどしてもよい。また、硬化反応が焼結等の高温工程を含む場合は、高温で軟化や損傷の起こらない材料を用いるのが好ましい。基材の厚さは、その強度が適切になるように用途・材料に応じて適宜変更することができる。基材の厚さとしては、例えば、10μm〜1mm(1000μm)の範囲としてもよく、1mm以上の厚板であってもよい。
(保護層)
保護層は、透明スクリーンの表面側(観察者側)に積層されるものであり、耐光性、耐傷性、および防汚性等の機能を付与するための層である。保護層は、透明スクリーンの透過視認性や所望の光学特性を損なわないような樹脂を用いて形成することが好ましい。このような樹脂としては、例えば、紫外線・電子線によって硬化する樹脂、即ち、電離放射線硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤を混合したもの、および熱硬化型樹脂を用いることができるが、これらの中でも電離放射線硬化性樹脂が特に好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物の被膜形成成分は、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジェン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アルリレート等のオリゴマー又はプレポリマー及び反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用できる。
上記電離放射線硬化性樹脂組成物を紫外線硬化型樹脂組成物とするには、この中に光重合開始剤としてアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等を混合して用いることができる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合するのが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化方法としては、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化方法は通常の硬化方法、即ち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。例えば、電子線硬化の場合には、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速機から放出される50〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
保護層は、上記の透明光散乱層上に上記電離放射(紫外線)線硬化型樹脂組成物の塗工液をスピンコート、ダイコート、ディップコート、バーコート、フローコート、ロールコート、グラビアコート等の方法で、透明光散乱層の表面に塗布し、上記のような手段で塗工液を硬化させることにより形成することができる。また、保護層の表面には、目的に応じて、凹凸構造、プリズム構造、マイクロレンズ構造等の微細構造を付与することもできる。
(反射防止層)
反射防止層は、透明スクリーンの最表面での反射や、外光からの映りこみを防止するための層である。反射防止層は、透明スクリーンの表面側(観察者側)に積層されるものであってもよく、両面に積層されるものであってもよい。特に透明スクリーンとして用いる際には観察者側に積層するのが好ましい。反射防止層は、透明スクリーンの透過視認性や所望の光学特性を損なわないような樹脂を用いて形成することが好ましい。このような樹脂としては、例えば、紫外線・電子線によって硬化する樹脂、即ち、電離放射線硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂に熱可塑性樹脂と溶剤を混合したもの、および熱硬化型樹脂を用いることができるが、これらの中でも電離放射線硬化性樹脂が特に好ましい。また、反射防止層の表面には、目的に応じて、凹凸構造、プリズム構造、マイクロレンズ構造等の微細構造を付与することもできる。
反射防止層の形成方法としては、特に限定されないが、コーティングフィルムの貼合、フィルム基板に直接蒸着またはスパッタリング等でドライコートする方式、グラビア塗工、マイクログラビア塗工、バー塗工、スライドダイ塗工、スロットダイ塗工、デイップコート等のウェットコート処理などの方式を用いることができる。
<透明スクリーンの製造方法>
本発明による透明スクリーンの製造方法は、上記の分散液を基板上に塗布し、硬化させて、硬化膜からなる透明光散乱層を形成する工程を含むものであり、好ましくは分散液中の溶媒を除去すること硬化させることが好ましい。また、本発明による透明スクリーンの製造方法は、保護層、基材層、粘着層、および反射防止層等の他の層をさらに積層する工程を含んでもよい。
分散液の塗布方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ロールコート、ダイコート、エアナイフコート、ブレードコート、スピンコート、リバースコート、グラビアコートなどの塗布法や、エアースプレー装置、インクジェット装置あるいは超音波噴霧装置を用いた噴霧による塗布法、または、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷などの印刷法が挙げられる。
また、分散液には、塗布性を向上させるために、溶剤等を適宜添加してもよい。溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、および3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、その他、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトミド等の有機溶剤が挙げられる。溶剤の添加量は、バインダや微粒子の種類、所望の粘度範囲等に応じて、適宜調節することができる。
<車両用部材>
本発明による車両用部材は、上記の透明スクリーンを備えてなる。車両用部材としてはウインドウシールド、すなわちフロントガラス、リアガラス、フロントベンチガラス、フロントドアガラス、リアドアガラス、リアクォーターガラス、リアベンチガラスおよびサンルーフ等が挙げられる。車両用部材は上記の透明スクリーンを備えることで、別途のスクリーンを設けなくても、車両用部材上に鮮明な画像を表示させることができる。
<建物用部材>
本発明による建物用部材は、上記の透明スクリーンを備えてなる。建物用部材としては、住宅の窓ガラス、コンビニや路面店のガラス壁等を挙げることができる。建物用部材は上記の透明スクリーンを備えることで、別途のスクリーンを設けなくても、建物用部材上に鮮明な画像を表示させることができる。
<映像投影システム>
本発明による映像投影システムは、上記の透明スクリーンと、投射装置とを備えてなる。当該画像表示装置においては、投射装置(光源)の位置がスクリーンに対して視認者側にあってもよく、視認者の反対側にあってもよい。投射装置とは、スクリーン上に映像を投射できるものであれば特に限定されず、例えば、市販のリアプロジェクタやフロントプロジェクタを用いることができる。
本発明による透明スクリーンおよび映像投影システムの一実施形態の模式図を図2に示す。透明スクリーン23は、透明パーティション(支持体)22と、透明パーティション22上の視認者24側に透明光散乱層21とを備えてなる。透明スクリーン23は、透明光散乱層21を透明パーティション22に貼付するために、両者の間に粘着層を含んでもよい。透過型スクリーンである場合、映像投影システムは、透明スクリーン23と、透明パーティション22に対して視認者24と反対側(背面側)に設置された投射装置25Aとを備えてなる。投射装置25Aから出射された投影光26Aは、透明スクリーン23の背面側から入射し、透明スクリーン23により異方的に散乱することで、視認者24は散乱光27Aを視認できる。また、反射型スクリーンである場合、映像投影システムは、透明スクリーン23と、透明パーティション22に対して視認者24と同じ側(前面側)に設置された投射装置25Bとを備えてなる。投射装置25Bから出射された投影光26Bは、透明スクリーン23の前面側から入射し、透明スクリーン23により異方的に散乱することで、視認者24は散乱光27Bを視認できる。
以下、実施例と比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定解釈されるものではない。
実施例および比較例において、各種物性および性能評価の測定方法は次のとおりである。
(1)ヘイズ
濁度計(日本電色工業(株)製、品番:NDH−5000)を用い、JIS K7136に準拠して測定した。
(2)全光線透過率
濁度計(日本電色工業(株)製、品番:NDH−5000)を用い、JIS K7361−1に準拠して測定した。
(3)拡散透過率
濁度計(日本電色工業(株)製、品番:NDH−5000)を用い、JIS K7361−1に準拠して測定した。
(4)写像性
写像性測定器(スガ試験機(株)製、品番:ICM−1T)を用い、JIS K7374に準拠して、光学くし幅0.125mmで測定した時の像鮮明度(%)の値を写像性とした。像鮮明度の値が大きい程、透過写像性が高いことを示す。
(5)異物
下記で作製した透明光散乱層を20cm角に裁断し、目視で確認できる大きな凝集物(異物)をカウントした。透明光散乱層中の異物の少なさを下記の基準に基づいて目視で評価した。
[評価基準]
◎:異物が0〜5個であった。
○:異物が6〜20個であった。
×:異物が21個以上であった。
(6)スクリーン性能
透明スクリ−ンの法線方向に対して角度15度で50cm離れた位置から、オンキョーデジタルソリューションズ(株)製のモバイルLEDミニプロジェクターPP−D1Sを用いて画像を投影した。次に、スクリ−ンの面上に焦点が合うようにプロジェクターの焦点つまみを調整した後、スクリ−ンの前方(スクリーンに対してプロジェクターと同じ側、いわゆるフロントプロジェクション)1mおよび後方(スクリーンに対してプロジェクターと反対側、いわゆるリアプロジェクション)1mの2ヶ所からスクリ−ンに映し出された画像を目視で観察し、下記の基準に基づいて目視で評価した。スクリ−ンの前方からの観察は反射型スクリーンとしての性能が評価でき、後方からの観察により透過型スクリーンとしての性能が評価できる。
[評価基準]
◎:極めて鮮明に映像を視認することができた。
○:鮮明に映像を視認することができた。
△:映像の輪郭、色相がややぼやけて視認された。
×:映像の輪郭がぼやけ、スクリーンとして使用するには不適であった。
(7)硬化膜
下記の実施例および比較例で得た分散液を硬化して、ガラス板上に膜厚2μmの硬化膜を作成した。作成したガラス板付き硬化膜のヘイズ値を上記(1)と同様にして測定し、膜厚2μmの硬化膜のヘイズ値とした(なお、ガラス板のヘイズ値はほぼ0であるため、実質的に硬化膜のヘイズ値には影響を与えない)。
<透明スクリーンの作製>
[実施例1]
バインダとして熱可塑性樹脂(PMMA樹脂、三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリペットVH)と、略球状微粒子として、PMMA樹脂に対して0.30質量%の酸化ジルコニウム(ZrO)粉末(一次粒子のメジアン径11nm、屈折率2.40)とを、クロロホルムに添加し、均一に撹拌して透明光散乱層用樹脂組成物(分散液、固形分濃度20質量%)を得た。得られた透明光散乱層用樹脂組成物を、バーコーターにて厚さ3mmのフロート板ガラス上に塗布し、24時間の室温乾燥および減圧条件下(ヤマト科学(株)社製、角形真空乾燥器使用、70℃、0.1kPaで24時間)にてクロロホルムを除去することで硬化させて、膜厚が20μmの硬化膜からなる透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、略球状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=6であった。
得られた透明光散乱層を有するフロート板ガラスをそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は10%、全光線透過率は89%、拡散透過率は9%であり、高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は3個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は90%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、特に後方観察時において極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。
[実施例2]
バインダとしてゾルゲル材料(エタノール530質量部、水45質量部及び濃塩酸0.2質量部を混合した液に、テトラエトキシシラン(TEOS)54.3質量部と、メチルトリエトキシシラン(MTES)45.7質量部を滴下して撹拌した混合物)を用い、ZrOの代わりに、光輝性薄片状微粒子として、ゾルゲル材料の固形分に対して0.30質量%の薄片状アルミニウム微粒子A(一次粒子の平均径1μm、アスペクト比25、正反射率16.8%)を加え、透明光散乱層用ゾルゲル組成物(分散液)を得た。前記透明光散乱層用ゾルゲル組成物を、スピンコーターを用いて、フロート板ガラス板A上に回転数500rpmで10秒塗布した後、さらに800rpm、45秒で塗布した。得られた塗布膜を室温で乾燥させ、さらに250℃の乾燥炉中で10分間加熱して乾燥させて、膜厚2μmの硬化膜からなる透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、光輝性薄片状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=0.6であった。
得られた透明光散乱層を有するフロート板ガラスをそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は7%、全光線透過率は84%、拡散透過率は6%であり、高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は4個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は86%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、特に前方観察時において極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。
[実施例3]
バインダとして水ガラス(珪酸ナトリウム溶液、キシダ化学(株)製、商品名:水ガラス3号)を用い、ZrOの濃度を、水ガラス固形分に対して0.75質量%添加し、さらにイソプロピルアルコールを固形分濃度が20質量%になるように添加し、透明光散乱層用水ガラス組成物(分散液)を調製した。前記透明光散乱層用水ガラス組成物を、噴霧装置(東レエンジニアリング(株)社製、エレクトロスプレーコーティング装置)にてフロート板ガラス板上に噴霧塗布した。塗布後、ホットプレート上で100℃、10分間熱処理して塗膜を乾燥し、さらに250℃の乾燥炉中で10分間加熱して乾燥させ、膜厚が5μmの硬化膜からなる透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、略球状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=3.75であった。
得られた透明光散乱層を有するフロート板ガラスをそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は3%、全光線透過率は95%、拡散透過率は3%であり、高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は3個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は90%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、特に後方観察時において極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。
[実施例4]
バインダとして市販のポリマーアクリレート型UV硬化性樹脂(DIC(株)製 ユニディックV−6841)を用い、UV硬化性樹脂中の固形分重量に対して0.60質量%の酸化ジルコニウム(ZrO)粉末(一次粒子のメジアン径11nm、屈折率2.40)を添加し、分散液Aを調製した。さらに、この分散液A100重量部に対して光重合開始剤(BASFジャパン(株)製、イルガキュア184)5重量部を添加し、光硬化性を有する分散液Bを得た。得られた分散液Bを、厚さ3mmのフロート板ガラス上に、乾燥後の膜厚が10μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、70℃の熱風乾燥機で5分間乾燥した後、紫外線を照射することで透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、略球状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=6であった。
得られた透明光散乱層を有するフロート板ガラスをそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は8%、全光線透過率は90%、拡散透過率は7%であり、高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は2個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は87%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、特に後方観察時において極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。また、硬化膜の鉛筆硬度は2Hと十分な耐擦傷性を有していた。
[実施例5]
略球状微粒子としてZrOの添加量を0.65質量%に変更し、さらに光輝性薄片状微粒子として0.03質量%の薄片状アルミニウム微粒子Aを添加した分散液Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、膜厚が20μmの硬化膜からなる透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、略球状微粒子および光輝性薄片状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=13.6であった。
得られた透明光散乱層を有するフロート板ガラスをそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は12%、全光線透過率は78%、拡散透過率は9%であり、高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は3個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は85%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、前方観察時、後方観察時ともに極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。
[実施例6]
バインダとして市販のアクリルラッカー(藤倉化成(株)製 レクラック73 クリヤー)を用い、ラッカー中の固形分重量に対して光輝性薄片状微粒子として0.02質量%の薄片状アルミニウム微粒子Aを添加し、分散液Dを調製した。さらにこの分散液D100重量部に対し、溶剤としてシンナー(藤倉化成(株)製 レクラック♯5975シンナー)100重量部を添加して粘度を調製した後、これを、乾燥後の塗膜厚さが20μmになるように、ポリメチルメタクリレート樹脂基材(PMMA基材、厚み5mm)にエアーブラシで噴霧塗布し、70℃の熱風乾燥機で5分間乾燥することにより、透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、光輝性薄片状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=0.4であった。
得られた透明光散乱層を有するPMMA基材をそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は6%、全光線透過率87%、拡散透過率5%であり高い透明性を有していた。上記方法で測定した異物は3個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は88%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、特に前方観察時において極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。
[実施例7]
透明光散乱層の乾燥後の塗膜厚さが40μmになるように、厚さ5mmのPMMA基材にエアーブラシで分散液Dを噴霧塗布した以外は実施例6と同様にして透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、光輝性薄片状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=0.8であった。得られた透明光散乱層を有するPMMA基材をそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は9%、全光線透過率83%、拡散透過率8%であり高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は4個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は85%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、特に前方観察時において極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。
[実施例8]
薄片状アルミニウム微粒子Aの濃度を0.005質量%に変更し、さらにシンナー量を80重量部に変更した以外は実施例6と同様にして分散液Eを調製し、乾燥後の膜厚が100μmになるようにPMMA基材(厚さ5mm)にエアーブラシで分散液Eを噴霧塗布し、70℃の熱風乾燥機で5分間乾燥することにより、透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、光輝性薄片状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=0.5であった。
得られた透明光散乱層を有するPMMA基材をそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は9%、全光線透過率82%、拡散透過率8%であり高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は5個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は82%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、特に前方観察時において極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。
[実施例9]
バインダとして市販のウレタンアクリレート型UV硬化性樹脂(DIC(株)製 ユニディックV−4018)を用い、UV硬化性樹脂中の固形分重量に対して0.2質量%の薄片状アルミニウム微粒子Aを添加し、分散液Fを調製した。さらに、この分散液F100重量部に対して光重合開始剤(BASFジャパン(株)製、イルガキュア184)5重量部を添加し、光硬化性を有する分散液Gを得た。得られた分散液Gを、厚さ100μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製、コスモシャインA4100)に、乾燥後の膜厚が2μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、70℃の熱風乾燥機で5分間乾燥した後、紫外線を照射することで透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、光輝性薄片状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=0.4であった。
得られた透明光散乱層を有するポリエステルフィルムをそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は5%、全光線透過率86%、拡散透過率4%であり高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は4個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は89%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、特に前方観察時において極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。また、硬化膜の鉛筆硬度は2Hと十分な耐擦傷性を有していた。
[実施例10]
バインダとして市販の2液型ウレタン塗料(ロックペイント(株)社製 マルチトップクリヤーSH)を用い、光輝性薄片状微粒子として0.03質量%の薄片状アルミニウム微粒子Aを添加し、分散液Hを調製した。さらに、この分散液H100重量部に対して硬化剤(ロックペイント(株)社製 マルチトップS硬化剤)50重量部、およびシンナー(ロックペイント(株)社製 ロックエースシンナー)20重量部を添加して分散液Iを調製した。得られた分散液Iを、乾燥後の膜厚が15μmになるように、フロート板ガラスにエアーブラシで噴霧塗布し、70℃の熱風乾燥機で5分間乾燥することにより、透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、光輝性薄片状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=0.45であった。
得られた透明光散乱層を有するガラス板をそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は5%、全光線透過率89%、拡散透過率5%であり高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は2個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は90%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、特に前方観察時において極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。
[実施例11]
バインダとして市販のウレタンアクリレート型UV硬化性樹脂(DIC(株)製 ユニディックV−4018)を用い、UV硬化性樹脂中の固形分重量に対して1.2質量%のニッケル微粒子(光輝性薄片状微粒子、一次粒子の平均径9μm、アスペクト比90、正反射率16.8%)を添加し、分散液Jを調製した。さらに、この分散液J100重量部に対して光重合開始剤(BASFジャパン(株)製、イルガキュア184)5重量部を添加し、光硬化性を有する分散液Kを得た。得られた分散液Kを、厚さ100μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製、コスモシャインA4100)に、乾燥後の膜厚が5μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、70℃の熱風乾燥機で5分間乾燥した後、紫外線を照射することで透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、光輝性薄片状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=6であった。
得られた透明光散乱層を有するポリエステルフィルムをそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は18%、全光線透過率83%、拡散透過率15%であり高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は3個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は74%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、前方観察時、後方観察時ともに極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。また、硬化膜の鉛筆硬度は2Hと十分な耐擦傷性を有していた。
[実施例12]
薄片状アルミニウム微粒子Aの濃度を0.80質量%に変更した以外は実施例6と同様にして分散液Lを調製した。得られた分散液Lを用いて、乾燥後の膜厚が10μmになるようにPMMA基材(厚さ5mm)にエアーブラシで分散液Lを噴霧塗布し、70℃の熱風乾燥機で5分間乾燥することにより、透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、光輝性薄片状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=8であった。
得られた透明光散乱層を有するPMMA基材をそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は20%、全光線透過率75%、拡散透過率15%であり高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は4個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は73%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、前方観察時、後方観察時ともに極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。
[実施例13]
薄片状アルミニウム微粒子Aの濃度を0.01質量%に変更した以外は実施例6と同様にして分散液Mを調製した。得られた分散液Mを用いて、乾燥後の膜厚が50μmになるようにPMMA基材(厚さ5mm)にエアーブラシで分散液Mを噴霧塗布し、70℃の熱風乾燥機で5分間乾燥することにより、透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、光輝性薄片状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=0.5であった。
得られた透明光散乱層を有するPMMA基材をそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は6%、全光線透過率87%、拡散透過率5%であり高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は2個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は86%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、前方観察時、後方観察時ともに鮮明な映像を視認することができ、特に前方観察時において極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。
[実施例14]
光輝性薄片状微粒子として銀微粒子(一次粒子の平均径1μm、アスペクト比200、正反射率32.8%)を2.5質量%用いた以外は実施例1と同様にして分散液Nを調製した。得られた分散液Nを用いて、乾燥後の膜厚が5μmになるように実施例1と同様にして、厚さ3mmのフロート板ガラス上に透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、光輝性薄片状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=12.5であった。
得られた透明光散乱層を有するフロート板ガラスをそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は15%、全光線透過率74%、拡散透過率11%であり高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は5個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は70%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、前方観察時、後方観察時ともに極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。
[実施例15]
酸化ジルコニウム(ZrO)粉末の濃度を0.01質量%に変更した以外は実施例1と同様にして分散液Oを調製した。得られた分散液Oを用いて、乾燥後の膜厚が30μmになるように変更した以外は実施例1と同様にして、透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、略球状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=0.3であった。
得られた透明光散乱層を有するフロート板ガラスをそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は0.5%、全光線透過率94%、拡散透過率0.5%であり高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は2個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は91%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、特に後方観察時において極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。
[実施例16]
略球状微粒子として酸化ジルコニウム(ZrO)粉末(一次粒子のメジアン径11nm、屈折率2.40)を2.0質量%用いた以外は実施例2と同様にして分散液Pを調製した。得られた分散液Pを用いて、乾燥後の膜厚が1μmになるように実施例2と同様にして、厚さ3mmのフロート板ガラス上に透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、略球状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=2であった。
得られた透明光散乱層を有するフロート板ガラスをそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は2%、全光線透過率92%、拡散透過率2%であり高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は5個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は92%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、特に後方観察時において極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。
[実施例17]
バインダとして市販のエポキシアクリレート型UV硬化性樹脂 (DIC(株)製 ユニディックV−5500)を用い、UV硬化性樹脂中の固形分重量に対してZrOの添加量を0.60質量%の酸化ジルコニウム(ZrO)粉末(一次粒子のメジアン径11nm、屈折率2.40)を添加し、分散液Qを調製した。さらに、この分散液Q100重量部に対して光重合開始剤(BASFジャパン(株)製、イルガキュア184)5重量部を添加し、光硬化性を有する分散液Rを得た。得られた分散液Rを、厚さ3mmのフロート板ガラス上に、乾燥後の膜厚が10μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、70℃の熱風乾燥機で5分間乾燥した後、紫外線を照射することで透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、略球状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=6であった。
得られた透明光散乱層を有するフロート板ガラスをそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は8%、全光線透過率は87%、拡散透過率は7%であり、高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は3個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は85%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、特に後方観察時において極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。また、硬化膜の鉛筆硬度はHBと十分な耐擦傷性を有していた。
[実施例18]
バインダとして市販のポリマーアクリレート型UV硬化性樹脂(DIC(株)製 ユニディックV−6841)を用い、UV硬化性樹脂中の固形分重量に対して5.0質量%の酸化チタン(TiO)粉末(テイカ(株)製、一次メジアン径13nm、屈折率2.72)を添加し、分散液Sを調製した。さらに、この分散液S100重量部に対して光重合開始剤(BASFジャパン(株)製、イルガキュア184)5重量部を添加し、光硬化性を有する分散液Tを得た。得られた分散液Tを、厚さ3mmのフロート板ガラス上に、乾燥後の膜厚が5μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、70℃の熱風乾燥機で5分間乾燥した後、紫外線を照射することで透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、略球状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=25であった。
得られた透明光散乱層を有するフロート板ガラスをそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は20%、全光線透過率は71%、拡散透過率は14%であり、高い透明性を有していた。
上記方法で測定した異物は5個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は65%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、前方観察時、後方観察時ともにスクリーンに画像が十分に結像し、特に前方観察時において極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。また、硬化膜の鉛筆硬度は2Hと十分な耐擦傷性を有していた。
[実施例19]
バインダとして市販のアクリルラッカー(藤倉化成(株)製 レクラック73 クリヤー)を用い、ラッカー中の固形分重量に対して光輝性薄片状微粒子として0.1質量%の薄片状アルミニウム微粒子B(一次粒子の平均径10μm、アスペクト比300、正反射率62.8%)を添加し、分散液Uを調製した。さらにこの分散液U100重量部に対し、溶剤としてシンナー(藤倉化成(株)製 レクラック♯5975シンナー)100重量部を添加して粘度を調製した後、これを、乾燥後の塗膜厚さが3μmになるように、ポリメチルメタクリレート樹脂基材(PMMA基材、厚み5mm)にエアーブラシで噴霧塗布し、70℃の熱風乾燥機で5分間乾燥することにより、透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、光輝性薄片状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=0.3であった。また、硬化膜の鉛筆硬度はHと十分な耐擦傷性を有していた。
得られた透明光散乱層を有するPMMA基材をそのままスクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は2%、全光線透過率91%、拡散透過率2%であり高い透明性を有していた。上記方法で測定した異物は3個と少なく、透明性に優れていた。また、写像性は91%であり、スクリーンを透過して見える像が鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、スクリーンに画像が十分に結像し、前方観察時、後方観察時ともに極めて鮮明な映像を視認することができた。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができた。
[比較例1]
実施例1と同様に、バインダとして熱可塑性樹脂(PMMA樹脂)に、略球状微粒子としてPMMA樹脂に対して5質量%のZrOを加え、テクノベル社製の二軸混練押出機KZW−30MGに投入した。250℃で溶融混練し、押し出したストランドをペレタイズすることで、ZrO含有PMMAペレットを得た。前記ZrO含有PMMAペレットを単軸混練押出機ホッパー(GM(株)製)に投入して、厚さの20μmの透明光拡散層(フィルム)を製膜した。なお、単軸押出機のスクリュー径は50mm、スクリュー有効長(L/D)は30であり、押出機にはアダプタを介し、ハンガーコートタイプのTダイが設置されている。フィルム(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、略球状微粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=100であった。
作製した光拡散層をフロート板ガラスにアクリル系粘着剤を介して貼り合わせ、透明スクリーンとして用いたところ、ヘイズ値は6%、全光線透過率は89%、拡散透過率は5%であった。さらに異物は71個と多く、さらに写像性は63%であり、透明スクリーンを透過して見える像が不鮮明であった。したがって、鮮明な背景の像と鮮明な投影画像を同時に視認することができなかった。
[比較例2]
光輝性薄片状微粒子を添加せず、光輝性の無い薄片状微粒子として、雲母粒子((株)ヤマグチマイカ製、商品名:A−21S、一次粒子の平均径23μm、アスペクト比70、正反射率9.8%)をバインダに対して0.65質量%添加した以外は実施例6と同様にして分散液Vを調整した。この分散液Vを用いて、乾燥後の塗膜厚さが50μmになるようにした以外は実施例6と同様にして、透明光散乱層を作製した。硬化膜(透明光散乱層)の厚さをt(μm)とし、雲母粒子の濃度をc(質量%)としたとき、t×c=32.5であった。
作製した透明光散乱層をそのまま透明スクリーンに用いたところ、ヘイズ値は33%、拡散透過率は21%、全光線透過率は65%であり、不透明であった。
上記方法で測定した異物は6個であった。また、写像性は58%であり、スクリーンを透過して見える像は不鮮明であった。さらに、スクリーン性能を評価したところ、後方からの観察においてはスクリーンに画像が十分に結像したものの、前方からの観察においては鮮明な映像を視認することができなかった。
<加工適性の評価>
[参考例1]
実施例4で作成した透明光散乱層用UV硬化性樹脂組成物をフロート板ガラス上に膜厚10μmで塗布し、80℃で1分間乾燥した。得られた透明光散乱層と微細構造モールドA((株)イノックス社製、品番HT−AR−05C、ピッチ250nm、平均高さ300nm、ピーク間距離290nm)をナノインプリント装置(三明電子産業(株)製、型番:ImpFlexI−Essential)にセットし、圧力1MPaをかけ、LED365nm光源の光を60秒間照射して、UV硬化性樹脂の硬化反応を行った。なお、用いた微細構造モールドは、あらかじめフッ素系表面処理(ダイキン工業(株)製、品番:オプツールHD−1100TH)で離型処理を施した。その後、モールドを剥離して、微細凹凸構造を付与した透明光散乱層を得た。得られた透明光散乱層の微細凹凸構造を顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名:E−sweep)にて観察したところ、得られた微細構造層の平均ピーク間距離は282nm、平均ピーク高さは281nmであり、ほぼ型通りの微細凹凸構造を有する透明スクリーンが得られたことが分かった。
[参考例2]
比較例1において、ZrO含有PMMAペレットを単軸押し出し機ホッパーに投入してTダイから押し出された直後の溶融樹脂に、微細凹凸構造モールド((株)イノックス社製、品番HT−AR−05C、ピッチ250nm、平均高さ300nm、ピーク間距離290nm)を押し付け、微細凹凸加工を施した。得られた透明光拡散層(フィルム)の形状を顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製、製品名:E−sweep)にて確認したところ、微細凹凸構造が部分的にしか転写されていない透明スクリーンが得られた。
[参考例3]
アクリル樹脂製什器(厚さ2mm、直径150mmの半球形)の内側に実施例6で作製した分散液Dを噴霧塗布し、乾燥させたところ、球面部分に均一な透明スクリーンを形成することが出来た。したがって、本発明の分散液Dは、曲面加工に適するものであった。
[参考例4]
参考例3と同型のアクリル樹脂製什器に、粘着剤を用いて比較例1で得られた透明スクリーンを貼り合わせたが、湾曲部分にしわなく透明スクリーンを貼ることができなかった。したがって、押出成型で得られた透明フィルムは、曲面加工に適さないものであった。
Figure 2017010217
10 バインダ
11 光輝性薄片状微粒子
12 略球状微粒子
13 透明光散乱層
14、24 視認者
15、26A、26B 投影光
16、27A、27B 散乱光
21 透明光散乱層
22 透明パーティション(支持体)
23 透明スクリーン
25A、25B 投射装置

Claims (20)

  1. 透明スクリーンの透明光散乱層を形成するための分散液であって、バインダと、光輝性薄片状微粒子または略球状微粒子の少なくともいずれか一方と、を含んでなる、分散液。
  2. 前記バインダが、無機系バインダまたは有機系バインダである、請求項1に記載の分散液。
  3. 前記無機系バインダが、水ガラス、低軟化点を有するガラス材料、またはゾルゲル材料である、請求項2に記載に分散液。
  4. 前記有機系バインダが、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、または粘着剤である、請求項2に記載の分散液。
  5. 溶媒をさらに含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の分散液。
  6. 前記光輝性薄片状微粒子は、一次粒子の平均径が0.01〜100μmであり、かつ平均アスペクト比が3〜800である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分散液。
  7. 前記光輝性薄片状微粒子が、アルミニウム、銀、銅、白金、金、チタン、ニッケル、スズ、スズ−コバルト合金、インジウム、クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、および硫化亜鉛からなる群から選択される金属系粒子、ガラスに金属または金属酸化物を被覆した光輝性材料、または天然雲母もしくは合成雲母に金属または金属酸化物を被覆した光輝性材料である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の分散液。
  8. 前記分散液中の前記光輝性薄片状微粒子の含有量が、前記バインダに対して、0.0001〜10.0質量%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の分散液。
  9. 前記略球状微粒子は、一次粒子のメジアン径が0.1〜500nmである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の分散液。
  10. 前記略球状微粒子が、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ダイヤモンド、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂およびシリカからなる群より選択された少なくとも1種である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の分散液。
  11. 前記分散液中の前記略球状微粒子の含有量が、前記バインダに対して、0.0001〜20.0質量%である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の分散液。
  12. 前記分散液を硬化して膜厚2μmの硬化膜を作成した場合の前記硬化膜のヘイズ値が30%以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の分散液。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の分散液の硬化膜。
  14. 前記硬化膜の厚さをt(μm)とし、前記バインダに対する前記光輝性薄片状微粒子および/または前記略球状微粒子の濃度をc(質量%)としたときの、tとcが、下記数式(I):
    0.05≦(t×c)≦50 ・・・(I)
    を満たす、請求項13に記載の硬化膜。
  15. ヘイズ値が30%以下である、請求項13または14に記載の硬化膜。
  16. 請求項13〜15のいずれか一項に記載の硬化膜からなる透明光散乱層を備えた、透明スクリーン。
  17. 透明光散乱層を備える透明スクリーンの製造方法であって、請求項1〜12のいずれか一項に記載の分散液を基板上に塗布し、硬化させて、硬化膜からなる透明光散乱層を形成することを特徴とする、製造方法。
  18. 請求項16に記載の透明スクリーンを備えた、車両用部材。
  19. 請求項16に記載の透明スクリーンを備えた、建物用部材。
  20. 請求項16に記載の透明スクリーンと、投射装置とを備えた、映像投影システム。
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