JP2010079197A - 異方性散乱膜、並びにヘッドアップディスプレイ表示用フィルム及びガラス - Google Patents

異方性散乱膜、並びにヘッドアップディスプレイ表示用フィルム及びガラス Download PDF

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Abstract

【課題】視認者側から出射される投影光を異方的に散乱反射することにより投影光の視認性と、景色等の透過光の視認性を両立でき、車内温度低減効果を有し、電波透過性を損なわず、乗り物やヘルメット等のヘッドアップディスプレイに適用される異方性散乱膜並びにヘッドアップディスプレイ表示用フィルム及びガラスの提供。
【解決手段】少なくとも金属ナノロッドを含有する誘電体マトリックスからなり、該金属ナノロッドのアスペクト比が1より大きく、該金属ナノロッドの球相当半径が10nm以上、20nm以下であり、かつ該金属ナノロッドが前記誘電体マトリックス中で一定方向に配向している異方性散乱膜であって、異方性散乱膜におけるx方向の直線偏光に対するヘイズ値Hxと、異方性散乱膜における水平面に垂直なy方向の直線偏光に対するヘイズ値Hyとの比(Hy/Hx)が0.6以下である異方性散乱膜とする。
【選択図】図8

Description

本発明は、視認者側から出射される投影光を異方的に散乱反射することにより投影光の視認性と、景色等の透過光の視認性を両立でき、電波透過性を損なわず、乗り物やヘルメット等のヘッドアップディスプレイに適用される異方性散乱膜、並びにヘッドアップディスプレイ表示用フィルム及びガラスに関する。
近年、安全性向上及び意匠性の観点から、自動車や飛行機等の乗り物の前窓、バイクや航空機用ヘルメットのフェイス面に、速度、時刻や位置情報などを投影するヘッドアップディスプレイ装置が開発されている。このようなヘッドアップディスプレイ装置としては、フロントガラスやフェイス面に概透明なプロジェクションスクリーンを貼合し、そこにプロジェクターから画像を投影し、情報を表示させる構成が提案されている。
従来のプロジェクションスクリーンは、プロジェクターから投影された映像を散乱反射することにより視野角依存性を小さくしているが、上記乗り物の前窓、ヘルメットのフェイス面といった透明基材に使用する場合は、本来の視認性を損なわずに、良好な散乱反射特性を持たせる必要がある。
また、視認者側から投影された投影光を散乱反射し、かつ外光による視認性の低下を十分に阻止し、外光による映像や外景色の視認性も保持した優れた散乱反射性と透過視認性を併せ持つフィルムとして、偏光散乱フィルムが提案されている(特許文献1参照)。この提案は、投影光源として液晶プロジェクターが用いられていること、液晶プロジェクターから出射される光は直線偏光であることから、液晶プロジェクターから出射された直線偏光に対して散乱反射性を有し、一方で外光による視認性を高めるためには該直線偏光と直交する直線偏光について透過性を高めることに着目した発明である。
しかし、前記特許文献1では、散乱反射性の発現原理として、マトリックスと分散相粒子の屈折率差を利用しているため、水平面に平行なx方向の直線偏光と水平面に垂直なy方向の直線偏光に対する散乱反射性の差を大きくすることができない。その結果、y方向の直線偏光に対するヘイズ値Hyと、x方向の直線偏光に対するヘイズ値Hxの比(Hy/Hx)が0.7未満であり、十分満足できる性能を有するものではなかった。
また近年、車等の乗り物の冷房効率を上げるために、また運転者が熱線により感じる熱さ感(ジリジリ感)を低減するために、グリーンガラスが用いられている。しかし、前記特許文献1に記載の異方性散乱膜は、透明体であるため、異方性散乱膜単体では、日中の車内温度や、ヘルメット等の内部温度を低減する効果がないという問題があった。
したがって、視認者側から出射される投影光を異方的に散乱反射することにより投影光の視認性と、景色等の透過光の視認性を両立でき、車内温度低減効果を有し、電波透過性を損なわず、乗り物やヘルメット等のヘッドアップディスプレイ装置のスクリーンに適した異方性散乱膜の提供が望まれているのが現状である。
特開2008−112040号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、視認者側から出射される投影光を異方的に散乱反射することにより投影光の視認性と、景色等の透過光の視認性を両立でき、車内温度低減効果を有し、電波透過性を損なわず、乗り物やヘルメット等のヘッドアップディスプレイに適用される異方性散乱膜、並びにヘッドアップディスプレイ表示用フィルム及びガラスを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、少なくとも金属ナノロッドを含有する誘電体マトリックスからなり、該金属ナノロッドのアスペクト比が1より大きく、該金属ナノロッドの球相当半径が10nm以上、20nm以下であり、かつ該金属ナノロッドが前記誘電体マトリックス中で一定方向に配向している異方性散乱膜であって、
前記異方性散乱膜におけるx方向の直線偏光に対するヘイズ値Hxと、前記異方性散乱膜における水平面に垂直なy方向の直線偏光に対するヘイズ値Hyとの比(Hy/Hx)が0.6以下であることにより、投影光の視認性と、景色等の透過光の視認性を両立でき、車内温度低減効果を有することを知見した。
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも金属ナノロッドを含有する誘電体マトリックスからなり、該金属ナノロッドのアスペクト比が1より大きく、該金属ナノロッドの球相当半径が10nm以上、20nm以下であり、かつ該金属ナノロッドが前記誘電体マトリックス中で一定方向に配向している異方性散乱膜であって、
前記異方性散乱膜におけるx方向の直線偏光に対するヘイズ値Hxと、前記異方性散乱膜における水平面に垂直なy方向の直線偏光に対するヘイズ値Hyとの比(Hy/Hx)が0.6以下であることを特徴とする異方性散乱膜である。
<2> 異方性散乱膜における可視光の全光線透過率が60%以上であり、異方性散乱膜におけるx方向の直線偏光に対するヘイズ値Hxが2.5%以上であり、異方性散乱膜における水平面に垂直なy方向の直線偏光に対するヘイズ値Hyが2.0%以下である前記<1>に記載の異方性散乱膜である。
<3> 金属ナノロッドのアスペクト比が、1.1〜10である前記<1>から<2>のいずれかに記載の異方性散乱膜である。
<4> 金属ナノロッドが、少なくとも2種の金属を含有し、コアナノロッドをシェルで被覆してなるコアシェル構造からなる複合金属ナノロッドである前記<1>から<3>のいずれかに記載の異方性散乱膜である。
<5> コアを構成するコア金属に対してシェルを構成するシェル金属の方が卑である前記<4>に記載の異方性散乱膜である。
<6> コア金属が金、白金、及びパラジウムのいずれかであり、シェル金属が銀、銅、及びアルミニウムのいずれかである前記<5>に記載の異方性散乱膜である。
<7> コアナノロッドとシェルの体積比(シェル/コアナノロッド)が、0.1〜130である前記<4>から<6>のいずれかに記載の異方性散乱膜である。
<8> コアナノロッドの球相当半径が5nm以上であり、かつコアナノロッドのアスペクト比が1.5〜24である前記<4>から<7>のいずれかに記載の異方性散乱膜である。
<9> 金属ナノロッドの誘電体マトリックスにおける固形分濃度が0.01質量%〜10質量%である前記<1>から<8>のいずれかに記載の異方性散乱膜である。
<10> 少なくとも金属ナノロッドを含有する誘電体マトリックスからなるフィルムを延伸することにより、該金属ナノロッドの長軸を延伸方向に配向させた前記<1>から<9>のいずれかに記載の異方性散乱膜である。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の異方性散乱膜からなることを特徴とするヘッドアップディスプレイ表示用フィルムである。
<12> 基材と、前記<1>から<10>のいずれかに記載の異方性散乱膜とを有することを特徴とするガラスである。
<13> 基材が2枚の板ガラス間に中間層を有する合わせガラスであり、かつ該中間層が偏光板を含む前記<12>に記載のガラスである。
<14> 異方性散乱膜をガラスの一部又は全面に有する前記<12>から<13>のいずれかに記載のガラスである。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、視認者側から出射される投影光を異方的に散乱反射することにより投影光の視認性と、景色等の透過光の視認性を両立でき、車内温度低減効果を有し、電波透過性を損なわず、乗り物やヘルメット等のヘッドアップディスプレイに適用される異方性散乱膜、並びにヘッドアップディスプレイ表示用フィルム及びガラスを提供することができる。
(異方性散乱膜)
本発明の異方性散乱膜は、少なくとも金属ナノロッドを含有する誘電体マトリックスからなり、金属ナノロッドが誘電体マトリックス中で一定方向に配向しているものである。
前記ナノロッドとは、短軸よりも長軸が長い棒状粒子を意味する。
前記金属ナノロッドが「一定方向に配向している」ことは、異方性散乱膜における異方性散乱軸を求めることにより検証できる。
前記異方性散乱軸とは、異方性散乱膜に対し鉛直方向から入射した直線偏光の散乱強度(ヘイズ)が最大となる時の入射直線偏光の電場振動方向に平行な軸を意味する。
このように、前記異方性散乱軸は金属ナノロッド(異方性散乱因子)の配向方向を示すが、必ずしもすべての金属ナノロッドが完全に配向軸に平行に配向している必要はなく、試験領域中に含まれる金属ナノロッドがある平均的な配向を有していれば、その配向方向に平行な電場振動方向を有する直線偏光の散乱強度(ヘイズ)が最大となるため、その平均的な配向方向を異方性散乱軸という。
前記異方性散乱軸は、異方性散乱膜試料単体や、またヘッドアップディスプレイに用いた異方性散乱膜を剥離可能な場合には、該剥離した異方性散乱膜の散乱強度(ヘイズ)の直線偏光依存性を、一般的なヘイズメーターを用いて、入射偏光の偏光軸の角度を変えて測定することにより求めることが可能であり、また略式的には偏光光源の光を投影した時の散乱異方性を調べることにより求めることができる。
前記偏光光源の光とは、例えば液晶プロジェクターやLCDから出射された光、懐中電灯等の点光源等に偏光子を貼付した光源から出射された光をいう。
前記異方性散乱膜は、少なくとも金属ナノロッドを含有する誘電体マトリックスからなるフィルムを延伸することにより、金属ナノロッドの長軸が延伸方向に配向しているものが好ましい。
ここで、図1に示すように、視認者側から出射した光のうちS偏光は異方性散乱膜で散乱され表示される。一方、P偏光は散乱されず異方性散乱膜を通過することができる。この原理を自動車のフロントガラスにおけるヘッドアップディスプレイに適用すると、ヘッドアップディスプレイから出射された光のうちS偏光は散乱されて表示が見え、外光(常光)のうち半分は透過されて前方を見ることができる(透明性を担保できる)。したがってヘッドアップディスプレイにおける投影光の視認性と、景色等の透過光の視認性を両立できる。
本発明においては、前記異方性散乱膜におけるx方向の直線偏光に対するヘイズ値Hxと、前記異方性散乱膜における水平面に垂直なy方向の直線偏光に対するヘイズ値Hyとの比(Hy/Hx)が0.6以下であり、0.4以下が好ましい。前記比(Hy/Hx)が0.6を超えると、十分な散乱異方性が得られないことがある。
前記異方性散乱膜におけるx方向の直線偏光に対するヘイズ値Hxは2.5%以上であることが好ましく、3.0%以上がより好ましい。前記ヘイズ値Hxが2.5%未満であると、十分な散乱異方性が得られないことがある。
前記水平面に垂直なy方向の直線偏光に対するヘイズ値Hyは2.0%以下であることが好ましく、1.8%以下がより好ましい。前記ヘイズ値Hyが2.0%を超えると、十分な散乱異方性が得られないだけでなく、異方性散乱膜の散乱性が大きくなり可視光線透過性が悪くなることがある。
ここで、x方向とは前記異方性散乱膜における異方性散乱軸を意味し、y方向とは前記異方性散乱軸に対し異方性散乱膜面内で90°回転させた軸を意味する。
前記ヘイズ値Hx及びHyは、例えばヘイズメーター(日本電色株式会社製、NDH2000)により測定することができる。
また、前記異方性散乱膜における可視光の全光線透過率は60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。前記全光線透過率が60%未満であると、異方性散乱膜の透過性が下がり、十分な前方視認性が得られないことがある。
ここで、前記全光線透過率は、例えば紫外可視近赤外分光度計(日本分光株式会社製、V−670)により測定することができる。
〔誘電体マトリックス〕
前記前記誘電体マトリックスは、少なくとも金属ナノロッドを含有し、熱可塑性樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−熱可塑性樹脂−
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリアセチルセルロース(TAC)等のアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−金属ナノロッド−
前記金属ナノロッドは、図2に示すように、長軸長さ(以下、「長径」と称することもある)bは長い方が散乱が大きくなるのが好ましく、短軸長さ(以下、「短径」と称することもある)aは透過させるため(散乱が小さい)短い方が好ましい。
前記金属ナノロッドのアスペクト比は、長径bを前記短径aで割った値(b/a)から求められる。本発明において、前記金属ナノロッドのアスペクト比とは、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察された粒子から任意に抽出した200個の粒子のアスペクト比の平均値を意味する。
前記金属ナノロッドは、そのアスペクト比が1より大きく、可視光領域から近赤外域に吸収を付与する観点からは1.1〜10が好ましく、可視光領域に吸収を付与する観点からは1.3〜5が好ましい。前記アスペクト比が、1.1未満であると、十分な散乱異方性が得られないことがあり、10を超えると、所望の可視域から近赤外域の吸収が得られないことがある。
前記金属ナノロッドの球相当半径(R)は、10nm以上、20nm以下である。前記球相当半径(R)が、10nm未満であると、金属ナノロッド由来の散乱が小さくなり、金属ナノロッド分散物や金属ナノロッド含有組成物に十分な散乱異方性が得られないことがあり、20nmを超えると、金属ナノロッドの散乱が大きくなり、前方視認性が著しく悪くなることがある。
ここで、前記球相当半径(R)とは、金属ナノロッドを同体積の球とみなした時の半径を意味し、金属ナノロッドの形状に応じて以下の式で表される。
ただし、Aは金属ナノロッドの長軸長さを表し、測定した部分は、その金属ナノロッドの両端を直線で結んだときに最も長い部分の長さを計測する。Bは金属ナノロッドの短軸長さを表し、測定した部分は、その金属ナノロッドの中で最も太い部分の長さを計測する。
ただし、A及びBは、上記と同じ意味を表す。
ここで、金属ナノロッドの形状が、略円柱形状及び略直方体状のいずれであるかは、透過型電子顕微鏡(TEM)で金属ナノロッドを観察した際の形状から判別することができる。金属ナノロッドの端面(キャップ)の平らな部分Lと、金属ナノロッドの短軸長さBとが、次式、L≦0.2Bである場合(例えば球面状(図5のC及びE)、楕円面状(図6のD)、楕円体状(図5のF)など)には略円柱形状とする。
一方、金属ナノロッドの端面(キャップ)の平らな部分Lと、金属ナノロッドの短軸長さBとが、次式、0.2B<L≦0.9Bである場合(例えば多面体状(図5のA及びBなど))には略直方体状とする。
前記金属ナノロッドの長軸に対する垂線と金属ナノロッドの端面とが接する部分の長さLは、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察された粒子から任意に抽出した200個の粒子の平均値として求めた。
図6の(1)〜(8)で示す端面形状を有する金属ナノロッドは、本発明で用いられる金属ナノロッドに含まれる。
図7の(1)〜(3)で示す端面形状を有する金属ナノロッドは、本発明で用いられる金属ナノロッドには含まれない。
前記金属ナノロッドの誘電体マトリックスにおける固形分濃度は、近年ETCやナビゲーションシステムなど、乗り物用前窓には電波透過性が求められるため、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましい。
前記金属ナノロッドとしては、少なくとも2種の金属を含有し、コアナノロッドをシェルで被覆してなるコアシェル構造からなる複合金属ナノロッドであることが好ましい。
−複合金属ナノロッド−
前記複合金属ナノロッドは、図3に示すように、コアナノロッド1をシェル2で被覆してなるコアシェル構造からなる。
前記複合金属ナノロッドのアスペクト比及び球相当半径は、上記金属ナノロッドのアスペクト比及び球相当半径を満たすことは当然である。
前記複合金属ナノロッドは、少なくとも2種の金属を含有していれば特に制限はないが、コアナノロッドを構成するコア金属と、シェルを構成するシェル金属とが異なる金属であることが好ましい。なお、コアナノロッド又はシェルが複数種の金属を含有していても構わない。
前記コア金属に対してシェル金属の方が卑であることが好ましい。このことは、前記シェル金属の還元電位が前記コア金属の還元電位よりも高いことを意味する。前記金属の還元電位は、「化学便覧改訂3版 基礎編II」に記載されている。
コア金属に対してシェル金属の方が卑であることが好ましい理由としては、シェル金属よりコア金属の方が卑である場合、シェル金属を析出させる際にコア金属が溶出してしまうことがあるためである。
前記コア金属としては、例えば金、白金、パラジウム、などが挙げられる。これらの中でも、金が特に好ましい。
前記シェル金属としては、例えば銀、銅、アルミニウム、などが挙げられる。これらの中でも、銀が特に好ましい。
したがって前記複合金属ナノロッドとしては、コア金属が金、シェル金属が銀からなる金コア銀シェルナノロッドが特に好適である。
前記コアナノロッドと前記シェルの体積比(シェル/コアナノロッド)は、0.1〜130が好ましく、耐酸化性の観点からは1〜40がより好ましい。前記体積比が、0.1未満であると、シェル金属によるコアナノロッドの被覆が不十分となり、シェル金属の光学特性が十分に発現されなくなることがあり、130を超えると、酸化されてしまうことがある。
ここで、前記コアナノロッドの体積Vコアと前記シェルの体積Vシェルとの体積比(シェル/コアナノロッド)は、複合金属ナノロッド及びコアナノロッドの形状に応じて以下の式で表される。
略直方体状の場合には、Vシェル=(A×B×B)−Vコア
コア=(a×b×b)
略円柱形状の場合には、Vシェル=(π×A×B×B/4)−Vコア
コア=(π×a×b×b/4)
ただし、A及びBは上記と同じ意味を表す。aはコアナノロッドの長軸長さを表し、測定した部分は、そのコアナノロッドの両端を直線で結んだときに最も長い部分の長さを計測する。bはコアナノロッドの短軸長さを表し、測定した部分は、そのコアナノロッドの中で最も太い部分の長さを計測する。
なお、複合金属ナノロッド又はコアナノロッドの形状が、略円柱形状及び略直方体状のいずれであるかは、上記金属ナノロッドにおける球相当半径の場合と同様にして判別することができる。
ここで、図4は、コアナノロッドを示し、そのアスペクト比は、コアナノロッドの長軸長さaを、コアナノロッドの短軸長さbで割った値(a/b)から求められる。本発明において、前記コアナノロッドのアスペクト比とは、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察された粒子から任意に抽出した200個の粒子のアスペクト比の平均値を意味する。
前記コアナノロッドのアスペクト比は、1.5〜24が好ましく、可視光領域に吸収を付与する観点から1.5〜10がより好ましい。前記アスペクト比が、1.5未満であると、複合金属ナノロッド吸収特性の可視光域での調整範囲が狭くなることがあり、24を超えると、可視光域に吸収を付与するためにシェル金属厚みが厚くなり、その結果、粒子体積が大きくなってしまい透過性が低下することがある。
前記コアナノロッドの球相当半径(r)は5nm以上が好ましく、6nm以上がより好ましい。前記コアナノロッドの球相当半径(r)が5nm未満であると、シェルを付与しても散乱性を発現するのに十分な粒子サイズにならないことがある。
前記コアナノロッドの球相当半径(r)とは、コアナノロッドを同体積の球とみなした時の半径を意味し、上記金属ナノロッドの球相当半径と同様にして求めることができる。
前記複合金属ナノロッドの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、種晶形成工程、コアナノロッド形成工程、及びシェル形成工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
−種晶形成工程−
前記種晶形成工程は、第1の金属化合物を含む溶媒中で還元反応させて種晶を形成する工程である。
−コアナノロッド形成工程−
前記コアナノロッド形成工程は、溶媒中に前記種晶、界面活性剤、及び第1の金属化合物を添加し、還元反応させて、コアナノロッドを形成する工程である。
前記第1の金属化合物としては、例えば、金属塩、金属錯体、有機金属化合物などが挙げられる。
前記第1の金属化合物における金属としては、例えば金、白金、パラジウム、などが挙げられ、これらの中でも、金が特に好ましい。
前記金属塩を形成する酸としては、無機酸及び有機酸のいずれであってもよい。
前記無機酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば硝酸;塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等のハロゲン化水素酸などが挙げられる。
前記有機酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばカルボン酸、スルホン酸などが挙げられる。
前記カルボン酸としては、例えば酢酸、酪酸、シュウ酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ラウリン酸、安息香酸、などが挙げられる。
前記スルホン酸としては、例えばメチルスルホン酸などが挙げられる。
前記金属塩としては、例えば硝酸銀、塩化金酸、塩化白金酸などが挙げられる。
前記金属錯体を形成するキレート剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばアセチルアセトナート、EDTAなどが挙げられる。また、上記の金属塩と配位子とで錯体を形成してもよく、該配位子としては、例えばイミダゾール、ピリジン、フェニルメチルスルフィドなどが挙げられる。
なお、前記金属化合物には、金属イオンのハロゲン化錯体の酸(例えば塩化金酸、塩化白金酸など)、アルカリ金属塩(例えば塩化金酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸ナトリウムなど)も含まれる。
−シェル形成工程−
前記シェル形成工程は、溶媒中に前記コアナノロッド、第2の金属化合物、界面活性剤、及びポリビニルピロリドン化合物を添加し、還元反応によりコアナノロッドの表面にシェルを形成する工程である。
前記第2の金属化合物としては、例えば、金属塩、金属錯体、有機金属化合物などが挙げられる。
前記第2の金属化合物における金属としては、例えば銀、銅、アルミニウム、などが挙げられ、これらの中でも、銀が特に好ましい。
前記金属塩、金属錯体、及び有機金属化合物としては、前記第1の金属化合物と同様である。
前記還元は、溶媒を加熱、光還元、還元剤添加、化学還元法などが挙げられるが、還元剤添加が特に好ましい。
前記還元剤としては、例えば水素ガス、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、ヒドラジン、アスコルビン酸、アミン類、チオール類などが挙げられる。なお、化学還元法としては、電気分解法を用いて行うこともできる。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、オルソジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール、m−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール等のフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;二硫化炭素、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリビニルピロリドン化合物としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルピロリドン(PVP)が特に好ましい。
前記ポリビニルピロリドン(PVP)は、ピロリドンユニットの繰り返し単位数が85以上であることが好ましく、300〜12,000がより好ましい。前記繰り返し単位数が85未満であると、PVPが金属粒子の特定の結晶面に吸着できずに、球状粒子となってしまうことがある。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドなどが挙げられる。
前記セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)に代表される4級アンモニウム塩のようなカチオン性界面活性剤は殺菌性を示し、水性生物への毒性など環境への影響が懸念される。そのため、工程中でCTABを粉体の形で回収することにより、環境影響を減少させることが必要である。例えば、金ナノロッド水溶液を5℃で12時間静置することにより析出したCTABの結晶を濾布(#200)で濾別する操作を行うことにより、約75%のCTABを固体状態で回収することが可能である。途中工程でCTABを回収することにより、CTABを再利用することができるため、また限外濾過膜による精製時間の短縮されるため、コストダウンや環境影響の減少につながる。
前記複合金属ナノロッドは、分散剤の他、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属酸化物、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン等の高分子からなる誘電体で被覆されていてもよい。これらの誘電体で被覆されることにより、吸収特性の調整、熱安定性、耐酸化性等の機能を付与することが可能になる。
−異方性散乱膜の製造方法−
本発明の異方性散乱膜は、前記金属ナノロッドと、バインダーとを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる異方性散乱膜用組成物を基材上に塗布し、剥離してなるフィルムを一定方向に延伸することにより得ることができる。これにより、金属ナノロッドの長軸を延伸方向に配向させることができる。
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分としては、例えば溶媒、分散剤、酸化防止剤などが挙げられる。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;アセトニトリル、ブチロニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;クロロホルム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤としては、例えばアスコルビン酸、クエン酸、ポリビニルアルコール樹脂、トリアゾール化合物などが挙げられる。
なお、膜質を改良するために、架橋剤や可塑剤を含んでもよい。例えば、膜質を強くするためにはホウ酸等の架橋剤を添加し、逆にしなやかにするためにはグリセリン等の可塑剤を添加する。前記架橋剤及び可塑剤は、塗布膜作製時に添加してもよいし、塗布膜乾燥後や塗布膜延伸後にウエットコーティングにより付与してもよい。
なお、金属ナノロッド表面に吸着した分散剤は、バインダーへの相溶性を考慮し、適宜置換してもよい。
前記金属ナノロッド以外の粒子を混合し、紫外線吸収や熱線吸収等の機能を付与したり、ガラスとの屈折率を合わせてもよい。例えば、金属酸化物半導体粒子を添加することにより、紫外線吸収や熱線吸収の機能を付与することが可能である。
本発明の異方性散乱膜は、種々の用途に用いることができるが、以下の本発明のヘッドアップディスプレイ表示用フィルム及びガラスとして特に好適に用いられる。
(ヘッドアップディスプレイ表示用フィルム)
本発明のヘッドアップディスプレイ表示用フィルムは、本発明の前記異方性散乱膜からなる。
前記ヘッドアップディスプレイ表示用フィルムは、自動車のフロントガラスに適用する場合には、図8及び図9に示すように、2枚のポリビニルブチラールフィルムの全体(ガラス全面)間に異方性散乱膜を挟み込んだ中間膜を有する合わせガラスを用いることができる。図8はヘッドアップディスプレイ装置がダッシュボード上に設置されている例であり、図9はヘッドアップディスプレイ装置が自動車の運転者上部に設けられている例である。
また、図10及び図11に示すように、2枚のポリビニルブチラールフィルムの一部(ガラスの一部)間に異方性散乱膜を挟み込んだ中間膜を有する合わせガラスを用いることができる。これにより、異方性散乱膜をフロントガラスの下部(図10)又は上部(図11)にのみ設けることもできる。
また、図12及び図13に示すように、異方性散乱膜をフロントガラスの車内側の面の下部(図12)又は上部(図13)に貼り付けることもできる。なお、図示を省略しているが、異方性散乱膜をフロントガラスの車内側の面の全面に貼り付けても構わない。
(ガラス)
本発明のガラスは、基材と、本発明の前記異方性散乱膜とを有してなり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
この場合、異方性散乱膜を乗り物用前窓に用いる場合には、前窓の合わせガラスの中間膜に挟み込んでもよく、また視認者側に貼り付けてもよい。更に、異方性散乱膜を自動車用フロントガラスに適用する場合には、図14に示すようにフロントガラスの全面に異方性散乱膜を貼り付けてもよく、図15に示すようにフロントガラスの一部に異方性散乱膜を貼り付けてもよい。
<基材>
前記基材としては基材ガラスが最も適している。これは、ガラスは風雨に晒される環境において乗り物の概略寿命である12年の耐久性を持ち、偏光を乱さない、と言う点において最も実績があるからである。しかし、最近ではポリマーの板状成形物においてもノルボルネン系高分子等のように高耐久性であって等方性が高く偏光を乱しにくいプラスチックが提供されており、基材としてガラス以外を用いることも可能である。
−基材ガラス−
前記基材ガラスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、単層ガラス、合わせガラス、強化合わせガラス、複層ガラス、強化複層ガラス、合わせ複層ガラスなどが挙げられる。
このような基材ガラスを構成する板ガラスの種類としては、例えば透明板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、強化板ガラス、熱線反射板ガラス、熱線吸収板ガラス、Low−E板ガラス、その他各種板ガラスなどが挙げられる。
なお、前記基材ガラスは、透明ガラスであれば無色透明ガラス及び有色透明ガラスのどちらであってもよい。
前記基材ガラスの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2mm〜20mmが好ましく、4mm〜10mmがより好ましい。
−合わせガラス−
前記合わせガラスは、2枚の板ガラスの間に中間層を介在させて一体化したものである。このような合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片が飛散することがなく安全であるため、自動車等の乗り物のフロントガラス、建築物等の窓ガラスとして広く用いられている。前記自動車用合わせガラスの場合には、最近では軽量化を図るため相当薄いものが用いられており、1枚のガラスは厚みが1mm〜3mm程度であり、該ガラス2枚を厚みが0.3mm〜1mmの中間層で貼り合わせて、合計厚み3mm〜6mmの合わせガラスとしている。
前記2枚の板ガラスとしては、上述した各種板ガラスを目的に応じて適宜使用することができる。
前記中間層に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性、耐候性、強度、接着力等の諸性能のバランスに優れた中間層が得られることから、ポリビニルアセタール系樹脂が特に好ましい。
前記ポリビニルアセタール系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある)とホルムアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルホルマール樹脂、PVAとアセトアルデヒドとを反応させて得られる狭義のポリビニルアセタール樹脂、PVAとn−ブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂などが挙げられる。
前記ポリビニルアセタール系樹脂の合成に用いられるPVAとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、平均重合度が200〜5,000のものが好ましく、500〜3,000のものがより好ましい。前記平均重合度が200未満であると、得られるポリビニルアセタール系樹脂を用いた中間層の強度が弱くなりすぎることがあり、5,000を超えると、得られるポリビニルアセタール系樹脂を成形する際に不具合が生じることがある。
前記ポリビニルアセタール系樹脂は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アセタール化度が40モル%〜85モル%であるものが好ましく、50モル%〜75モル%のものがより好ましい。前記アセタール化度が40モル%未満又は85モル%を超えるポリビニルアセタール系樹脂は反応機構上、合成が困難となることがある。前記アセタール化度は、JIS K6728に準拠して測定することができる。
前記中間層には、前記熱可塑性樹脂以外にも、必要に応じて例えば可塑剤、顔料、接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外吸収剤などを添加することができる。
前記中間層の成形方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、熱可塑性樹脂及びその他の成分を含有する組成物を均一に混練りした後、押出し法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法、インフレーション法等の従来公知の方法によりシート状に作製する方法などが挙げられる。
前記中間層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3mm〜1.6mmが好ましい。
本発明においては、前記中間層が、本発明の前記異方性散乱膜を含むことが生産性、耐久性などの点から好ましい。なお、前記異方性散乱膜は合わせガラスの片方の面に設けることもできる。
前記合わせガラスの作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、2枚の透明なガラス板の間に中間層(本発明の前記異方性散乱膜を含む)を挟み、この合わせガラス構成体を例えばゴムバッグのような真空バッグの中に入れ、この真空バッグを排気系に接続して、真空バッグ内の圧力が−65kPa〜−100kPaの減圧度となるように減圧吸引(脱気)しながら温度が70℃〜110℃の予備接着を行った後、この予備接着された合わせガラス構成体をオートクレーブの中に入れ、温度120℃〜150℃、圧力0.98MPa〜1.47MPaの条件で加熱加圧して本接着を行うことにより、所望の合わせガラスを得ることができる。
ここで、図16は、本発明で用いられる合わせガラスの一例を示す概略図である。この合わせガラス100は、2枚のガラス板11,11に設けられた中間層12と、中間層12とに挟まれて、本発明の前記異方性散乱膜10が配置されている。図16中13は反射防止層である。なお、この合わせガラス100は、反射防止層13と反対側の面が光の入射側となるように配置される。
−反射防止膜−
前記反射防止膜は、前記基材の両面、又は水平基準面と向き合う側の最表面に有することが好ましい。
前記反射防止膜は、実使用上充分な耐久性、耐熱性を有し、例えば60度入射での反射率を5%以下に抑えることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、(1)微細な表面凹凸を形成した膜、(2)高屈折率膜と低屈折率膜を組み合わせた2層膜の構成、(3)中屈折率膜、高屈折率膜、及び低屈折率膜を順次積層した3層膜構成などが挙げられる。これらの中でも、(2)及び(3)が特に好ましい。
これら反射防止膜は、基材ガラス表面に、ゾルゲル法、スパッタリング法、蒸着法、CVD法などで形成してもよい。また、透明支持体上にディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法、エクストルージョンコート法による塗布により反射防止膜を形成し、基材ガラス表面に反射防止膜を粘着又は接着してもよい。
−用途等−
本発明のガラスは、例えば自動車、バス、トラック、電車、新幹線、飛行機、旅客機、船等の各種乗り物用窓ガラスとして好適に用いられるが、乗り物用窓以外にも、例えば一般の戸建住宅、集合住宅、オフィスビス、店舗、公共施設、工場施設等の建物の開口部、間仕切り等の建材用ガラスなどの各種分野に幅広く用いることができる。これらの中でも、自動車用前窓(フロントガラス)、サイドガラス、リアガラスが特に好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<粒子サイズ、球相当半径、コアナノロッドとシェルの体積比、及び端面の形状の測定>
各粒子について、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製、EX1200)観察により、短径、長径、アスペクト比、端面の形状を測定した。またアスペクト比の平均値は、TEMにより観察された写真から任意に抽出した200個の粒子について、画像処理装置(Mountech社製、Macview(Ver.3))を用いて求めた。
−球相当半径の測定−
前記球相当半径とは、ナノロッドを同体積の球とみなした時の半径を意味し、ナノロッドの形状に応じて以下の式により求めた。
ただし、Aはナノロッドの長軸長さを表し、測定した部分は、そのナノロッドの両端を直線で結んだときに最も長い部分の長さを計測した。Bはナノロッドの短軸長さを表し、測定した部分は、そのナノロッドの中で最も太い部分の長さを計測した。
ただし、Aはナノロッドの長軸長さを表し、測定した部分は、そのナノロッドの両端を直線で結んだときに最も長い部分の長さを計測した。Bはナノロッドの短軸長さを表し、測定した部分は、そのナノロッドの中で最も太い部分の長さを計測した。
ここで、前記ナノロッドの形状が、略円柱形状及び略直方体状のいずれであるかは、透過型電子顕微鏡(TEM)でナノロッドを観察した際の形状から判別した。ナノロッドの端面(キャップ)の平らな部分Lが2nm未満である場合(例えば球面状(図5のC及びE)、楕円面状(図5のD)、楕円体状(図5のF)など)には略円柱形状とした。
一方、ナノロッドの端面(キャップ)の平らな部分Lが2nm以上ある場合(例えば多面体状(図5のA及びB)など)には略直方体状とした。
−コアナノロッドとシェルの体積比−
前記コアナノロッドの体積Vコアと前記シェルの体積Vシェルとの体積比(シェル/コアナノロッド)は、複合金属ナノロッドの形状及びコアナノロッドの形状に応じて以下の式で算出した。
略直方体状の場合には、Vシェル=(A×B×B)−Vコア
コア=(a×b×b)
略円柱形状の場合には、Vシェル=(π×A×B×B/4)−Vコア
コア=(π×a×b×b/4)
ただし、A及びBは上記と同じ意味を表す。aはコアナノロッドの長軸長さを表し、測定した部分は、そのコアナノロッドの両端を直線で結んだときに最も長い部分の長さを計測した。bはコアナノロッドの短軸長さを表し、測定した部分は、そのコアナノロッドの中で最も太い部分の長さを計測した。
(実施例1)
<異方性散乱膜の作製>
−金ナノ粒子(種晶)の合成工程−
100mMのCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド、和光純薬株式会社製)水溶液100mlに、10mMの塩化金酸水溶液(関東化学株式会社製)5mlを添加し、更に直前に溶解した10mMの水素化ホウ素ナトリウム水溶液10mlを添加し、強攪拌することにより、金ナノ粒子(種晶)を形成した。
−金ナノロッド(コアナノロッド)の合成工程−
100mMのCTAB水溶液1000mlに、10mMの硝酸銀水溶液100ml、10mMの塩化金酸水溶液200ml、及び100mMのアスコルビン酸水溶液50mlを添加し、攪拌することにより、無色透明の液を得た。更に前記金ナノ粒子(種晶)水溶液20mlを添加し、2時間攪拌することにより、金ナノロッド水溶液を得た。
<評価>
得られた金ナノロッドの吸収スペクトルを紫外可視赤外分光計(日本分光株式会社製、V−670)で測定したところ、金ナノロッドの短軸の吸収に帰属する510nmと、長軸に帰属する800nmのピークを示した。
得られた金ナノロッドについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、短径、長径、アスペクト比、及び球相当半径を測定したところ、短径が10nm、長径が35nm、アスペクト比が3.5、球相当半径が9.4nmのロッド状粒子であることが分かった。結果を表1に示す。
−銀シェル形成工程−
1質量%のPVP(ポリビニルピロリドンK30、和光純薬株式会社製)水溶液8kgに、前記金ナノロッド分散液を2kg、10mMの硝酸銀水溶液100ml、及び100mMのアスコルビン酸水溶液100mlを添加し、攪拌した。更に0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液280mlを5分間かけて添加し、溶液のpHを7〜8に調整することにより、銀を金ナノロッド表面に析出させて、金コア銀シェルナノロッドを合成した。
得られた金コア銀シェルナノロッド分散液を限外濾過膜(旭化成ケミカルズ株式会社製、ACP0013)を用いて限外濾過処理することにより、10倍に濃縮し、更に分散液の電気伝導度が70mS/m以下になるまで精製を行い、0.5質量%の金コア銀シェルナノロッド分散液を得た。
<評価>
得られた金コア銀シェルナノロッドについて、紫外可視近赤外分光度計(日本分光株式会社製、V−670)で吸収スペクトルを測定したところ、短軸の吸収に帰属する410nmと、長軸に帰属する650nmのピークを示した。
得られた金コア銀シェルナノロッドについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、短径、長径、アスペクト比、及び球相当半径を測定したところ、短径が16nm、長径が39nm、アスペクト比が2.4、球相当半径13.4nmのロッド状粒子であることが確認できた。
また、コアナノロッドとシェルの体積比(シェル/コアナノロッド)をTEM観察により算出したところ、1.9であった。結果を表1に示す。
次に、10質量%のPVA124水溶液(株式会社クラレ製)100.0g、純水100.0g、及び得られた前記0.5質量%の金コア銀シェルナノロッド分散液2.0gを混合し、清浄なPETベース(東洋紡績株式会社製、200μm厚み)に1mm厚みのアプリケーターを設置し、塗布バー(#0)を用いてバーコート塗布し、12時間室温で乾燥させた後、PETベースよりPVAフィルムを剥離し、厚み40μmの金コア銀シェルナノロッド含有PVAフィルムを作製した。
<分光スペクトルの測定>
得られたPVAフィルムの吸収スペクトルを紫外可視近赤外分光計(日本分光株式会社製、V−670)で測定したところ、含有する金銀複合ナノロッドに由来する吸収を示した。結果を表1に示す。
−異方性散乱膜の作製−
得られた厚み40μmのPVAフィルムを90℃で加熱しながら、4倍まで自動二軸延伸機で一軸延伸し、ナノロッドが延伸方向に配向している異方性散乱膜を作製した。
<異方性散乱膜の評価>
得られたPVAフィルムのヘイズ値をヘイズメーター(日本電色株式会社製、NDH2000)により測定したところ、x方向の直線偏光に対するヘイズHxは5.0%であり、y方向の直線偏光に対するヘイズHyは1.2%であり、散乱異方性(Hy/Hx)は0.24であった。結果を表1に示す。
<全光線透過性の評価>
得られたPVAフィルムの透過スペクトルを、光路中に偏光軸を45°にセットした偏光板を入れた紫外可視近赤外分光計(日本分光株式会社製、V−670)で測定したところ、全光線透過率75%であった。
−合わせガラスの作製−
厚み2mm、サイズ200mm×300mmのクリアガラス2枚の間に、同じサイズの中間膜3枚を重ね合わせてクリアガラスに挟み込み、その状態で700mmHg、150℃の条件下で30分間熱圧着し、合せガラスを作製した。なお、クリアガラスの長手方向に金属ナノロッドが配向するように挿入した。
第1層:ポリビニルブチラールフィルム(ソルーシア・ジャパン社製、Saflex/RB41、厚み0.76mm)
第2層:実施例1で得られた異方性散乱フィルム
第3層:ポリビニルブチラールフィルム(ソルーシア・ジャパン社製、Saflex/RB41、厚み0.76mm)
<合せガラス作製適応性>
得られた合せガラスの吸収スペクトルを測定し、加熱前後で金コア銀シェルナノロッドの吸収特性に変化は認められなかった場合を○、変化があった場合を×で評価した。結果を表2に示す。
<ヘッドアップディスプレイ視認性>
得られた異方性散乱膜を200mm×300mmにカットし、自動車のフロントガラスに図15のようにセットし、図8に示した配置でプロジェクターからの映像を合わせガラスに投影して、ヘッドアップディスプレイ視認性を評価した。異方性散乱膜の散乱異方性軸をヘッドアップディスプレイから出射される直線偏光の方向に合致させるために、異方性散乱膜を横置きと縦置きに配置し、よりヘッドアップディスプレイ視認性に優れた配置で評価を行った。ヘッドアップディスプレイ視認性が従来のフロントガラスと比べて良好な場合を○、同等程度の場合を△、不良な場合を×で評価した。結果を表2に示す。
<前方視認性の評価>
作製した合わせガラスを用いた時の前方視認性を評価するために、図17に示す冶具に作製した合わせガラスをセットして、前方視認性を評価した。評価は、図18に示すように晴天の日に屋外にて実施し、冶具にセットした合わせガラスを介して景色を観察した時の視認性で評価した。その結果、厚み4mmのクリアガラス相当の視認性があることを確認した。結果を表2に示す。
○: 視認者から10m離れた位置にある標識が判別できる。
×: 視認者から10m離れた位置にある標識が判別できない。
<車内温度低減効果(直射日光低減効果)の評価>
作製した合わせガラスを用いた時の直射日光低減効果を評価するために、図17に示す治具に作製した合わせガラスをセットして、直射日光照射時の車内温度を評価した。評価は、図18に示すように晴天の日に屋外にて実施し、治具にセットした合わせガラスを通過した時に評価冶具内にセットした温度計で計測した温度で評価した。その結果、厚み4mmのクリアガラスに対して室内温度が低減されることを確認した。結果を表2に示す。
(実施例2)
実施例1の金コア銀シェルナノロッド含有PVAフィルムの作製工程において、0.5質量%の金コア銀シェルナノロッド分散液の添加量を10.0gに変更した以外は、実施例1と同様にして、異方性散乱膜及び合わせガラスを作製した。
実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
(実施例3)
実施例1の金コア銀シェルナノロッド含有PVAフィルムの作製工程において、0.5質量%の金コア銀シェルナノロッド分散液の添加量を20.0gに変更した以外は、実施例1と同様にして、異方性散乱膜及び合わせガラスを作製した。
実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
(比較例1)
実施例1の異方性散乱膜作製工程において、PVAフィルムの延伸倍率を1.5倍に変更した以外は、実施例1と同様にして、異方性散乱膜及び合わせガラスを作製した。
実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
(比較例2)
実施例1の金ナノロッド(コアナノロッド)の合成工程において、添加する金ナノ粒子(種晶)水溶液の量を300mlに変更した以外は、実施例1と同様にして、異方性散乱膜及び合わせガラスを作製した。
実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
(比較例3)
実施例1の金属ナノロッド(コアナノロッド)の合成工程において、銀シェル形成工程にて添加した100mMアスコルビン酸水溶液量を200mlに変更した以外は、実施例1と同様にして、異方性散乱膜及び合わせガラスを作製した。
実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
(比較例4)
特開2008−112040号公報(特許文献1)の実施例1を追試して、異方性散乱膜及び合わせガラスを作製した。
実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表1及び表2に示す。比較例4は、実施例1よりヘイズHx値が小さいため、ヘッドアップディスプレイ視認性が実施例1より劣った。
本発明の異方性散乱膜は、視認者側から出射される投影光を異方的に散乱反射することにより投影光の視認性と、景色等の透過光の視認性の両立し、また車内温度低減効果を有し、電波透過性を損わないので、例えば乗り物やヘルメット等のヘッドアップディスプレイに適用される高透過性ヘッドアップディスプレイ表示用フィルム、店舗、銀行、証券会社等の窓やショウウインドウ等に公告や映画等の映像情報の高い視認性と、外光による映像や外景色の視認性も保持した高透過性異方性散乱フィルムなどに好適に用いられる。
図1は、異方性散乱膜の原理を示す図である。 図2は、金属ナノロッドの形状を示す模式図である。 図3は、本発明で用いる複合金属ナノロッドの一例を示す模式図である。 図4は、複合金属ナノロッドにおけるコアナノロッドの一例を示す模式図である。 図5は、本発明で用いる金属ナノロッドの端面が角のない曲面状であるものの具体例を示した図である。 図6は、本発明で用いる金属ナノロッドに含まれる端面形状を有する金属ナノロッドの具体例を示す図である。 図7は、本発明で用いる金属ナノロッドに含まれない端面形状を有する金属ナノロッドの具体例を示す図である。 図8は、ヘッドアップディスプレイ表示用フィルムを自動車用前窓に適用した一例を示す図である。 図9は、ヘッドアップディスプレイ表示用フィルムを自動車用前窓に適用した他の一例を示す図である。 図10は、ヘッドアップディスプレイ表示用フィルムを自動車用前窓に適用した他の一例を示す図である。 図11は、ヘッドアップディスプレイ表示用フィルムを自動車用前窓に適用した他の一例を示す図である。 図12は、ヘッドアップディスプレイ表示用フィルムを自動車用前窓に適用した他の一例を示す図である。 図13は、ヘッドアップディスプレイ表示用フィルムを自動車用前窓に適用した他の一例を示す図である。 図14は、自動車用前窓の全面に異方性散乱膜を貼り付けた例を示す図である。 図15は、自動車用前窓の一部に異方性散乱膜を貼り付けた例を示す図である。 図16は、合わせガラスの一例を示す概略断面図である。 図17は、実施例における車内温度低減効果の評価に用いた治具を示す図である。 図18は、実施例における前方視認性の評価方法を示す図である。
符号の説明
1 コアナノロッド
2 シェル
11 基材
12 中間層
13 反射防止層
100 合わせガラス

Claims (14)

  1. 少なくとも金属ナノロッドを含有する誘電体マトリックスからなり、該金属ナノロッドのアスペクト比が1より大きく、該金属ナノロッドの球相当半径が10nm以上、20nm以下であり、かつ該金属ナノロッドが前記誘電体マトリックス中で一定方向に配向している異方性散乱膜であって、
    前記異方性散乱膜におけるx方向の直線偏光に対するヘイズ値Hxと、前記異方性散乱膜における水平面に垂直なy方向の直線偏光に対するヘイズ値Hyとの比(Hy/Hx)が0.6以下であることを特徴とする異方性散乱膜。
  2. 異方性散乱膜における可視光の全光線透過率が60%以上であり、異方性散乱膜におけるx方向の直線偏光に対するヘイズ値Hxが2.5%以上であり、異方性散乱膜における水平面に垂直なy方向の直線偏光に対するヘイズ値Hyが2.0%以下である請求項1に記載の異方性散乱膜。
  3. 金属ナノロッドのアスペクト比が、1.1〜10である請求項1から2のいずれかに記載の異方性散乱膜。
  4. 金属ナノロッドが、少なくとも2種の金属を含有し、コアナノロッドをシェルで被覆してなるコアシェル構造からなる複合金属ナノロッドである請求項1から3のいずれかに記載の異方性散乱膜。
  5. コアを構成するコア金属に対してシェルを構成するシェル金属の方が卑である請求項4に記載の異方性散乱膜。
  6. コア金属が金、白金、及びパラジウムのいずれかであり、シェル金属が銀、銅、及びアルミニウムのいずれかである請求項5に記載の異方性散乱膜。
  7. コアナノロッドとシェルの体積比(シェル/コアナノロッド)が、0.1〜130である請求項4から6のいずれかに記載の異方性散乱膜。
  8. コアナノロッドの球相当半径が5nm以上であり、かつコアナノロッドのアスペクト比が1.5〜24である請求項4から7のいずれかに記載の異方性散乱膜。
  9. 金属ナノロッドの誘電体マトリックスにおける固形分濃度が0.01質量%〜10質量%である請求項1から8のいずれかに記載の異方性散乱膜。
  10. 少なくとも金属ナノロッドを含有する誘電体マトリックスからなるフィルムを延伸することにより、該金属ナノロッドの長軸を延伸方向に配向させた請求項1から9のいずれかに記載の異方性散乱膜。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の異方性散乱膜からなることを特徴とするヘッドアップディスプレイ表示用フィルム。
  12. 基材と、請求項1から10のいずれかに記載の異方性散乱膜とを有することを特徴とするガラス。
  13. 基材が2枚の板ガラス間に中間層を有する合わせガラスであり、かつ該中間層が偏光板を含む請求項12に記載のガラス。
  14. 異方性散乱膜をガラスの一部又は全面に有する請求項12から13のいずれかに記載のガラス。
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