以下、本発明の実施形態に係るウェハアライメント装置及びウェハアライメント方法について、添付図面を参照しながら説明する。なお、このウェハアライメント装置はプローバなどの半導体ウェハ検査装置等に組み込まれる装置である。ウェハアライメント装置は、検査装置のプローブカードに対して、ウェハを正確に位置決めするものである。
この検査装置の一例として、半導体ウェハを検査するプローバを図1に基づいて説明する。プローバ11は、回路が形成された半導体ウェハWを上側面13Aに載置するワークテーブル13と、ワークテーブル13をXYZ軸方向及びθ回転方向に移動させるXYZθ軸駆動部14と、XYZθ軸駆動部14を制御する位置制御部(図示せず)と、針先が前記回路の電極パッドに接触するプローブ針17を有するプローブカード18と、プローブカード18を固定する固定フレーム19と、プローブカード18を介して半導体ウェハW上の回路の電気的特性を測定する電気的特性測定部(図示せず)とを備えて構成されている。
前記ワークテーブル13の上側面13Aは、平坦面状に形成されて、平板状の半導体ウェハWが載置される。通常、上側面13Aには吸着溝が設けられている。半導体ウェハWは、上側面13Aに載置された状態で吸着溝に吸着されて固定される。プローバ11には、半導体ウェハWを後述するウェハアライメント方法によって正確に位置決めするためのウェハアライメント装置21が設けられている。
このウェハアライメント装置21は、図5に示すように、XYZθ軸駆動部14に支持されたワークテーブル13に臨ませて設けられたメインカメラ24及び補助カメラ25と、制御部26とから構成されている。
ワークテーブル13は、検査対象ウェハWを、プローブカード18に臨ませて支持するためのテーブルである。ワークテーブル13には、ウェハWを吸着して支持する吸着機構(図示せず)、加熱試験のためにウェハWを加熱する加熱装置(図示せず)等が設けられている。
XYZθ軸駆動部14は、ワークテーブル13を支持すると共に、当該ワークテーブル13をXYZ軸各方向に移動させ、かつθ軸方向に回転させるための装置である。XYZθ軸駆動部14は、ワークテーブル13をX軸方向に移動させてX軸方向の位置を調整するX軸移動機構28と、ワークテーブル13をY軸方向に移動させてY軸方向の位置を調整するY軸移動機構29と、ワークテーブル13をZ軸方向に移動させてZ軸方向の位置を調整するZ軸移動機構30と、ワークテーブル13をθ軸方向に回転させて角度を調整するθ軸回転機構31とから構成されている。
メインカメラ24は、ワークテーブル13に臨ませて設けられ、ワークテーブル13に支持されたウェハWを撮影するカメラである。補助カメラ25も同様に、ワークテーブル13に臨ませて設けられ、ワークテーブル13の支持されたウェハWを撮影するカメラである。メインカメラ24と補助カメラ25とは、装置本体側に、互いに所定の距離を空けた状態で所定位置に固定されている。メインカメラ24と補助カメラ25とが協働して、ウェハWを正確に位置決めする。
制御部26は、前記メインカメラ24及び補助カメラ25で撮影した画像情報を処理してXYZθ軸駆動部14を制御することによりウェハWの位置合わせを行う装置である。制御部26は具体的には、画像処理装置33と、演算装置34と、表示装置35と、モーションコントロール装置36とから構成されている。演算装置34には、後述する処理手順(フローチャート)に基づいてウェハアライメントを行う処理機能が格納されている。
画像処理装置33は、メインカメラ24及び補助カメラ25から取り込んだ画像情報を処理して演算装置34に送信するための装置である。
演算装置34は、メインカメラ24及び補助カメラ25で取り込んだ画像情報、即ちアライメントパターンの位置と基準位置とを比較する。即ち、演算装置34は、画像処理装置33で処理した画像情報を基準位置と重ねて表示装置35に出力すると共に指示信号に基づいてモーションコントロール装置36を制御する。演算装置34には、後述するフローチャートで示す処理機能が格納されている。
表示装置35は、画像処理装置33から出力された情報に基づいて画像を表示すると共に、操作画面からのオペレータによる操作指示に基づいて操作指示信号を演算装置34に出力する。モーションコントロール装置36は、演算装置34からの操作指示信号に基づいてXYZθ軸駆動部14を制御して、ワークテーブル13をXYZ軸方向に移動させθ軸方向に回転させる。
次に、上記構成のウェハアライメント装置21を用いたウェハアライメント方法について説明する。制御部26の演算装置34に格納された処理機能である、ウェハアライメント方法は、図6のフローチャートに示す処理手順で行われる。
このウェハアライメントの処理は、1枚目のウェハWのアライメントを行う第1ウェハアライメント処理(ステップS1)と、当該第1ウェハアライメント処理によってアライメントを行った1枚目のウェハWを測定する第1ウェハ測定処理(ステップS2)と、2枚目以降のウェハWのアライメントを行う第2ウェハアライメント処理(ステップS3)と、当該第2ウェハアライメント処理によってアライメントを行った2枚目以降のウェハWを測定する第2ウェハ測定処理(ステップS4)と、全てのウェハWの測定が終了したか否かを判定する判定処理(ステップS5)とから構成されている。
ステップS1の第1ウェハアライメント処理は、図7のフローチャートに示すように、ウェハWの3点のエッジ位置を判定してウェハ中心を特定し、理論中心座標とのオフセット値を取得するエッジサーチ処理(ステップS11)と、予め定めた2つの低倍率アライメントパターンと基準位置とのズレ量に基づいてXYθ補正を行う低倍率補正処理(ステップS12)と、予め定めた2つの高倍率アライメントパターンと基準位置とのズレ量に基づいてXYθ補正を行う高倍率補正処理(ステップS13)とから構成されている。これらの各ステップの詳細については後述するが、ステップS11のエッジサーチ処理については、従来より行われている方法を適用するため、詳細な説明は省略する。
ステップS3の第2ウェハアライメント処理は、図8のフローチャートに示すように、1枚目のウェハWの処理のエッジサーチ処理と同様のエッジサーチ処理(ステップS21)と、予め定めた2つの低倍率アライメントパターンと基準位置とのズレ量に基づいてXYθ補正を行う低倍率補正処理(ステップS22)と、予め定めた2つの高倍率アライメントパターンと基準位置とのズレ量に基づいてXYθ補正を行う高倍率補正処理(ステップS23)と、から構成されている。
次に、図9を参照してステップS12の低倍率補正処理の手順を説明する。なお、図9は1枚目のウェハのアライメントにおける処理手順を示すものである。まず、ウェハWの3点のエッジ位置を判定してウェハ中心を特定し、理論中心座標とのオフセット値を取得するエッジサーチ処理を行う(ステップS31)。
なお、このステップS31のエッジサーチ処理は、図7のフローチャートにおけるエッジサーチ処理(ステップS11)と同様の処理手順で行う。
次に、以下の手順でウェハWの位置ズレ補正処理を行う。まず、メインカメラ24を低倍率(例えば2倍程度)に切り換えて、ウェハWをX軸移動機構28およびY軸移動機構29により移動させ、メインカメラ24が低倍率アライメントパターン上に位置するようにする(ステップS32)。次いで、補助カメラ25を低倍率に切り換えて、ウェハWをX軸移動機構28およびY軸移動機構29により移動させ、補助カメラ25が低倍率アライメントパターン上に位置するようにする(ステップS33)。ここで、「低倍率アライメントパターン」としては、例えばウェハWに予め形成されているアライメントマークや、ウェハW上に形成された多数の回路チップから選択した特定の回路チップの電極パッドの内の一つを利用するものとする。なお、ステップS32とステップS33は交互に制御して並行処理を行っても良く、また同時処理を行っても良い。さらにはステップS32の処理後にステップS33を処理しても良い。
次いで、メインカメラ24及び補助カメラ25の基準位置と低倍率アライメントパターンとがマッチングするか否か判定する(ステップS34)。即ち、制御部26の表示装置35に、メインカメラ24及び補助カメラ25の画像を同時に表示して、同時に判断する。両者がマッチングしない場合、即ちNGであれば、そのNGの回数が予め設定した回数を超えたか否かを判定する(ステップS35)。NGの回数が予め設定した回数を超えていなければ、ウェハW上の、メインカメラ24および補助カメラ25のそれぞれを用いて最初に撮影した位置の周辺をサーチして(ステップS36)、再びマッチングするか否か判定する(ステップS34)。そして、マッチングするまで、このステップS34〜ステップS36を繰り返す。なお、ステップS36の周辺サーチは、前述のステップS32やステップS33と同様の処理を行うものである。
このとき、ステップS35で、NGの回数が予め設定した回数を超えたと判定した場合には、ウェハWに何らかのエラーが発生したと判断して、そのウェハWを回収する(ステップS37)。
次いで、ステップS34で両者がマッチングしたと判定した場合は、低倍率アライメントパターンと基準位置とのXYθ各方向のズレ量を演算する(ステップS38)。その後、演算により求めたXYθ各方向のズレ量に基づいて、ワークテーブル13の位置、即ちウェハWのXYθ各方向のズレ量の補正を行う(ステップS39)。
次に、ステップS13の高倍率補正処理は、図10のフローチャートに詳細に示すように、メインカメラ24を高倍率(例えば10倍程度)に切り換えて、ウェハWをX軸移動機構28およびY軸移動機構29により移動させ、メインカメラ24が高倍率アライメントパターン上に位置するようにする(ステップS41)。次いで、補助カメラ25を高倍率に切り換えて、ウェハWをX軸移動機構28およびY軸移動機構29により移動させ、補助カメラ25が高倍率アライメントパターン上に位置するようにする(ステップS42)。なお、ステップS41とステップS42は交互に制御して並行処理を行っても良く、また同時処理を行っても良い。さらにはステップS41の処理後にステップS42を処理しても良い。
次いで、メインカメラ24及び補助カメラ25の基準位置と高倍率アライメントパターンとがマッチングするか否か判定する(ステップS43)。制御部26の表示装置35に、メインカメラ24及び補助カメラ25の画像を同時に表示して、同時に判断する。両者がマッチングしない場合、即ちNGであれば、そのNGの回数が予め設定した回数を超えたか否かを判定する(ステップS44)。NGの回数が予め設定した回数を超えていなければ、ウェハW上の、メインカメラ24および補助カメラ25のそれぞれを用いて最初に撮影した位置の周辺をサーチして(ステップS45)、再びマッチングするか否か判定する(ステップS43)。そして、両者がマッチングするまで、このステップS43〜ステップS45を繰り返す。なお、ステップS45の周辺サーチは、前述のステップS41やステップS42と同様の処理を行うものである。
このとき、ステップS44で、NGの回数が予め設定した回数を超えたと判定した場合には、ウェハWに何らかのエラーが発生したと判断して、そのウェハWを回収する(ステップS46)。
次いで、ステップS43で両者がマッチングしたと判定した場合は、高倍率アライメントパターンと基準位置とのXYθ各方向のズレ量を演算する(ステップS47)。その後、演算により求めたXYθ各方向のズレ量に基づいて、ワークテーブル13の位置、即ちウェハWのXYθ各方向のズレ量の補正を行う(ステップS48)。
次に、2枚目以降のウェハのアライメントにおける低倍率補正処理の手順について、図11を参照して説明する。2枚目以降のウェハのアライメントにおける低倍率補正処理手順も、基本的には前述した1枚目のウェハの場合と同じであるが、ここでは、先ず、ステップS51で初期設定(初期位置補正)を行う。具体的には、1枚目のウェハ、あるいは前回測定したウェハのアライメントを行った際の、XYθ各方向のズレ補正量(ウェハ中心のXY方向の位置ズレ補正量、ウェハWの角度θ方向のズレ補正量および、2つの低倍率アライメントパターンのXY方向のズレ補正量)を用いて、次のステップS52のエッジサーチの際の初期位置を補正する。
その後、ステップS52以降の処理を行う。なお、このステップS52以降の処理は、前述した1枚目のウェハのアライメントにおける低倍率補正処理手順(ステップS31〜S39)と同じであるため、説明は省略する。
2枚目以降のウェハのアライメントにおける高倍率補正処理手順も、基本的には前述した1枚目のウェハの場合と同じであるが、前記2枚目以降の低倍率補正処理手順と同様に、先ず、初期設定(初期位置補正)を行う。それ以降の処理は、前述した1枚目のウェハのアライメントにおける高倍率補正処理手順と同じであるため、説明は省略する。
次に、図12〜図18を参照して2枚目以降のウェハWの、XYθ各方向のズレ量を補正する手順を説明する。ここでは、アライメントパターンとして、図12に概略を示すように、ウェハW上に形成されている多数のチップの中から、直径方向に対向する2つのチップそれぞれから電極パッドを一つ選択して、これを用いることとしている。
まず、図13に示すようにメインカメラ24で、ウェハW上に形成した2つのアライメントパターンの内の一方である、チップC1上のパッド41の位置を測定する。次に、図14に示すように、補助カメラ25側の理論位置にワークテーブル13を移動させて、補助カメラ25でチップC1上のパッド41を測定し、先にメインカメラ24で測定した時の位置とのズレ量ΔX1,ΔY1を求める。ここで、補助カメラ25側の理論位置とは、熱膨張による補助カメラ25の変位等がない状態での、本来の補助カメラ25側の位置に対して、1枚目のウェハのアライメントを行った際の、XYθ各方向のズレ補正量を用いて補正した位置である。また、3枚目以降のウェハに対する補助カメラ25側の理論位置は、前回のズレ補正量を用いて補正した位置である。
次に、図15に示すように、ワークテーブル13をメインカメラ24側の理論位置に移動させて、メインカメラ24で、ウェハW上に形成した2つのアライメントパターンの内のもう一方である、チップC2上の電極パッド42を撮影し、基準位置とのズレ量ΔX2,ΔY2を測定する。その後、図16に示すように、補助カメラ25でチップC1上の電極パッド41を撮影し、基準位置とのズレ量ΔX3,ΔY3を求める。ここで、メインカメラ24側の理論位置とは、熱膨張によるメインカメラ24の変位等がない状態での、本来のメインカメラ24側の位置に対して、1枚目のウェハのアライメントを行った際の、XYθ各方向のズレ補正量を用いて補正した位置である。また、3枚目以降のウェハに対するメインカメラ24側の理論位置は、前回のズレ補正量を用いて補正した位置である。
さらに、図17に示すように、再度メインカメラ24をチップC1の電極パッド42上に位置するようにワークテーブル13を移動させ、次いで前述した測定で求めたズレ量を補正するように、具体的には電極パッド41の位置が基準位置と一致するようにワークテーブル13をXYθ各方向に微調整する。そして、図18に示すように、今度は補助カメラ25がチップC1上の電極パッド41上に位置するようにワークテーブル13を移動させ、次いで前述した測定で求めたズレ量を補正するように、具体的には、上記図17の結果も考慮して電極パッド41の位置が基準位置と一致するようにワークテーブル13をXYθ各方向に微調整する。
次に、本発明の実施形態に係るウェハアライメント装置における、ウェハアライメントの基準位置を決定する手順について、図19〜図21を参照しながら説明する。
図示のウェハアライメント装置においては、ワークテーブル13の外縁部にアライメントマーク43が設けられており、このアライメントマーク43を用いてウェハアライメントを行うこととする。
まず、図19に示すように、メインカメラ24でアライメントマーク43を撮影し、基準位置とアライメントマーク43とを位置合わせする。次に、図20に示すように、メインカメラ24と補助カメラ25の理論距離分ワークテーブル13を移動させ、補助カメラ25でアライメントマーク43を撮影し、基準位置とのズレ量ΔX,ΔYを求める。その後、図21に示すようにワークテーブル13をXYθ各方向に移動させて先のズレ量ΔX,ΔYの補正を行う。ここで、理論距離とは、熱膨張によるメインカメラ24及び補助カメラ25間の距離の変化等がない状態での、本来のメインカメラ24と補助カメラ25との距離である。
以上の工程によってウェハアライメントの基準位置を決定し、その後、前述したウェハアライメント手順によって1枚目および2枚目以降のウェハアライメントおよび測定を行うこととする。
なお、上述の手順ではワークテーブル13に設けられたアライメントマーク43を利用しているが、この他、図7のステップS11のエッジサーチと同様の処理を行って、ワークテーブル13の中心位置決めを行うことにより、ウェハアライメントの基準位置を決定することとしても良い。
以上のように処理されることで、加熱試験等によってメインカメラ24及び補助カメラ25を支持する支持部が熱膨張してこのメインカメラ24及び補助カメラ25間の距離が変化しても、メインカメラ24及び補助カメラ25の画像情報に応じて細かく補正するため、前記熱膨張によるメインカメラ24及び補助カメラ25の変位を吸収してウェハWを正確に位置合わせすることができる。
このとき、メインカメラ24及び補助カメラ25は、ただ固定するだけなので、設置スペースが嵩張ることもなく、低コストでウェハアライメント装置を実現できる。
さらに、本実施形態のウェハアライメント方法では、ワークテーブル13を左右へ大きく移動させるのは一回だけで、その後は僅かに移動させるだけなので、短時間で正確にウェハの位置合わせを行うことができる。
この結果、多数のウェハWを連続的に入れ替えて検査等する際に、新しいウェハWの位置決めを短時間で行うことができ、検査等の作業の効率化を図ることができる。
[変形例]
前記実施形態では、2枚目以降のウェハWの処理において、エッジサーチ処理は、ワークテーブル13にウェハWを供給するローダー(図示せず)の性能に応じて設けられる。即ち、ウェハWをワークテーブル13に搬入するローダーの性能が良く、ウェハWをワークテーブル13に正確に載置することができる場合は、エッジサーチ処理(図9のステップS31および図11のステップS52)を省略してもよい。