JP2010241614A - ガラス成形体の製造方法 - Google Patents

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洋一 小川
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Abstract

【課題】金型補正を行わないで、所望の光学性能を備えるガラス成形体を得るガラス成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】滴下される溶融ガラスを受ける下型と上型とで滴下された溶融ガラスを加圧成形し、対向する2つの光学機能面を有するガラス成形体を製造するガラス成形体の製造方法において、前記滴下された溶融ガラスに触れる際の前記下型の温度、若しくは、加圧成形するために前記下型が受けた前記滴下された溶融ガラスに触れる際の前記上型の温度の少なくとも一方の温度を変えることにより、前記2つの光学機能面による球面収差量を制御する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス成形体の製造方法に関する。
今日、ガラス製の光学素子は、デジタルカメラ用レンズ、DVD等の光ピックアップレンズ、携帯電話用カメラレンズ、光通信用のカップリングレンズなどとして広範にわたって利用されている。
かかるガラス製の光学素子は、加熱、軟化したガラス素材を成形型で加圧成形するプレス成形法により製造されることが多くなってきた。ガラス製光学素子のプレス成形法として例えば以下が知られている。
予め上下の成形型を所定温度に加熱しておき、下型の表面に溶融したガラス素材を滴下して、滴下されたガラス素材が未だ変形可能な温度にある間に上下の成形型にて加圧成形してガラス成形体に光学機能面を転写させる方法(液滴法)。
上記の液滴法により、成形型の成形型面にて光学機能面が転写されて形成されるガラス成形体において、成形型の成形型面は、ガラス成形体の光学性能に大きな影響を与える。
このような上下の成形型(金型)の成形型面は、形成されるガラス成形体の光学機能面の設計(例えばガラス成形体がレンズである場合、そのレンズ設計)から得られる形状に基づき、更にこれまでの金型の製作経験を踏まえて製作される。しかし実際には、上記のようにして製作された金型を用いてガラス成形体の試作を行い、試作したガラス成形体の形状測定や光学性能を評価した結果、所望の形状、光学性能が得られない場合が多く、所望の形状、光学性能が得られるように、これらの金型の成形型面の補正、所謂、金型補正を行う。
こうした金型補正は、ガラス成形体の試作、試作したガラス成形体の評価、評価結果に基づく金型補正というサイクルを幾度か繰り返す場合が多く、多大な費用と時間を費やす場合がある。
所望の形状のガラス成形体である光学素子を製造する方法として、特許文献1には以下が開示されている。上型、下型の成形型面形状は、製造するガラスレンズの設計形状に研削・研磨加工されたものである。この成形型面形状と、上記の下型、上型とを用いて成形したガラスレンズのそれぞれの面に対応する光学機能面との形状誤差を測定する。その測定値に基づき、上型、下型の成形型面形状を、測定された形状誤差を相殺(キャンセル)するように補正加工する。
また、特許文献2には、光学素子成形金型設計方法として以下が開示されている。仮金型により成形された光学素子の波面収差量を相殺する補正波面収差量を算出し、補正波面収差量を発生する形状を有する光学素子の光学設計を再度行い、これに基づき正規金型の設計を行う。
特開2003−073135号公報 特開2004−299934号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている光学素子を製造する方法においては、金型の補正加工が必要なため、費用と時間を要する。また、特許文献2に開示されている光学素子成形金型設計方法においては、上記と同様に仮金型とは別に新規金型を作製する必要があるため、費用と時間を要する。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、金型補正を行わないで、所望の光学性能を備えるガラス成形体を得るガラス成形体の製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題は、以下の構成により解決される。
1.滴下される溶融ガラスを受ける下型と上型とで滴下された溶融ガラスを加圧成形し、対向する2つの光学機能面を有するガラス成形体を製造するガラス成形体の製造方法において、
前記滴下された溶融ガラスに触れる際の前記下型の温度、若しくは、加圧成形するために前記下型が受けた前記滴下された溶融ガラスに触れる際の前記上型の温度の少なくとも一方の温度を変えることにより、前記2つの光学機能面による球面収差量を制御することを特徴とするガラス成形体の製造方法。
2.前記滴下された溶融ガラスに触れる際の、前記下型の温度及び前記上型の温度は、一定となるように制御されることを特徴とする前記1に記載のガラス成形体の製造方法。
本発明のガラス成形体の製造方法によれば、滴下される溶融ガラスに触れる際の成形型の温度を変えることによりガラス成形体の光学機能面による球面収差を制御することができる。従って、成形型を補正することなく、所望の光学性能を備えるガラス成形体を得ることができる。
(a)本発明に係わるガラス成形体の製造方法により製造されるガラス成形体の一例であるガラスレンズの上面図である。(b)本発明に係わるガラス成形体の製造方法により製造されるガラス成形体の一例であるガラスレンズの側面図である。 図1に示すガラスレンズを成形する下型及び上型を模式的に示す断面図である。 ガラスレンズを製造する際のフローチャートである。 本実施の形態におけるガラスレンズを成形する成形装置にあって、下型に溶融ガラスが滴下される状態を模式的に示す図である。 本実施の形態におけるガラスレンズを成形する成形装置にあって、下型と上型とで滴下された溶融ガラスが加圧成形される状態を模式的に示す図である。 本実施の形態におけるガラスレンズを成形する成形装置にあって、型開きされた成形型から加圧成形されたガラスレンズが取り出される状態を模式的に示す図である。 より微小なガラスレンズの製造を可能とする成形装置の例を示す図である。 実施例における成形型の温度変更前の球面収差量を示す図である。 実施例における成形型の下型温度変更後の球面収差量を示す図である。 実施例における成形型の上型温度変更後の球面収差量を示す図である。 実施例における成形型の上型温度及び下型温度変更後の球面収差量を示す図である。
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限らない。
以下、本発明の実施の形態について図1〜図4を参照しながら詳細に説明する。説明に際し、本発明に係わるガラス成形体の製造方法は、溶融されたガラス素材を下型に滴下して上下の成形型にて加圧成形する液滴法である。
図1は、本発明に係わるガラス成形体の製造方法により製造されるガラス成形体の一例であるガラスレンズ25である。
ガラスレンズ25は、図1(a)に上面図、(b)に側面図を示すように、円形の外径を有し、中心軸254に対して対称な両凸形状のガラス成形体であり、第1成形面(下成形面)251、第2成形面(上成形面)252を有している。第1成形面251と第2成形面252がともに凸の球面を有しているが、ガラスレンズ25はこのような両凸形状に限られるものではなく、例えば、第1成形面251若しくは第2成形面252の何れか一方、あるいは両方が凹の球面や非球面、平面等であってもよい。
図2は、ガラスレンズ25を成形する成形型であって、下型11及び上型12を模式的に示す断面図である。
下型11は溶融ガラス滴を受け、ガラスレンズ25の第1成形面251を形成するための第1型面(下型面)11Sを有し、上型12は第2成形面252を形成するための第2型面(上型面)12Sを有している。尚、ガラスレンズ25の外周部の外径規制面253を形成する場合、例えば下型11の第1型面11Sの外周の更に外側に規制型面(図示しない)を設けてもよい。
このような第1型面11S及び第2型面12Sの形状は、成形して得るガラスレンズ25の光学設計により得られる光学機能面の形状に基づき、更に、ガラス素材の成形の際のひけ等の、これまでの成形経験により得られている成形特性を考慮して形成されている。
上記のように形成されている第1型面11S及び第2型面12Sを有するそれぞれ下型11及び上型12の材料は、溶融ガラス用の成形型の材料として公知の材料の中から適宜選択して用いることができる。好ましく用いることができる材料として、例えば、各種耐熱合金(ステンレス等)、炭化タングステンを主成分とする超硬材料(WC超硬材料)、各種セラミックス(炭化珪素(SiC)、窒化珪素、窒化アルミニウム等)、カーボンを含んだ複合材料等が挙げられる。下型11及び上型12を同じ材料で構成してもよいし、それぞれの型を異なる材料で構成してもよい。
また、下型11及び上型12の耐久性向上や溶融ガラス滴との融着防止などのため、表面に被覆層を設けておくことも好ましい。被覆層の材料にも特に制限はなく、例えば、種々の金属(クロム、アルミニウム、チタン等)、窒化物(窒化クロム、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化硼素等)、酸化物(酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化チタン等)等を用いることができる。被覆層の成膜方法にも制限はなく、公知の成膜方法の中から適宜選択して用いればよい。例えば、真空蒸着、スパッタ、CVD等が挙げられる。
下型11及び上型12は、図示しない加熱手段によって所定の温度に加熱できるように構成されている。下型11及び上型12の加熱手段としては、公知の加熱手段を適宜選択して用いることができる。例えば、被加熱部材として、下型11及び上型12や下型11及び上型12それぞれのフォルダの内部に埋め込んで使用するカートリッジヒーターや、被加熱部材の外側に接触させて使用するシート状のヒーター、赤外線加熱装置、高周波誘導加熱装置等を用いることができる。
また、下型11及び上型12それぞれに熱電対等の温度センサを備え、それぞれの型の温度が所定の温度であるかどうかを確認できるようにしても良い。例えば、ヒーターと熱電対とが組み込まれた板状部材(熱板)を上記の下型11及び上型12それぞれに接触するように設ける方法がある。下型11及び上型12に上記の熱板を配置する際、熱電対等の温度センサは、下型11及び上型12にできるだけ近くなるようにするのが好ましい。
上記の温度センサにより検知された下型11及び上型12の温度と所定の温度とを比較して下型11及び上型12が所定の温度となるようにフィードバック制御を行うのがより好ましい。フィードバック制御を行うことにより、より高精度に下型11及び上型12の温度を設定することができる。これにより、成形の際の下型11及び上型12の温度が一定となるように制御され、下型11及び上型12の温度をより安定させることができ、ガラスレンズ25をより高い良品率で安定して製造することができる。
上記で説明した下型11及び上型12を用いて、ガラスレンズ25を製造する成形装置10について、図4から図7を用いて説明する。図4から図7は、本実施の形態におけるガラスレンズ25を成形する成形装置10の一例を示す模式図である。図4は、下型11に溶融ガラスが滴下される滴下工程における状態を示している。図5は、下型11と上型12とで滴下された溶融ガラスが加圧成形される加圧成形工程における状態を示している。図6は、型開きされた成形型から加圧成形されたガラスレンズ25が取り出される離型工程における状態を示している。尚、図6では、ガラス素材である溶融ガラス滴を滴下する部分は省略している。
また、図7は、より微小なガラスレンズ25の製造を可能とする成形装置10の別例を示している。溶融ガラス滴20の質量は、滴下ノズル23の先端部の外径などによって調整可能である。図7に示すように、滴下ノズル23から滴下した溶融ガラス滴20を、一旦、貫通孔36を有する微小化部材37で受け、貫通孔36によって溶融ガラス滴20が微小化された微小滴35を第1型面11Sの上に滴下してもよい。このように微小化部材37を用いることによって、溶融ガラス滴20より微小な微小滴35を滴下することができるため、滴下ノズル23から直接第1型面11Sの上に溶融ガラス滴を滴下する場合よりも、微小なガラス成形体の製造が可能となる。
図4、図5に示すように、成形装置10は、加圧成形される溶融ガラス22を貯留する溶融槽21、溶融槽21の下部に接続された滴下ノズル23、溶融ガラス滴20を受けるための下型11、下型11と共に溶融ガラス滴20を加圧する上型12を有している。
下型11は、型移動手段(図示しない)により、滴下ノズル23の下方で溶融ガラス滴20を受けるための位置(滴下位置P1)と、上型12と対向して溶融ガラス滴20を加圧成形するための位置(加圧位置P2)との間で移動可能に構成されている。
下型11と上型12とが所定の間隔、又は、所定の加圧力で加圧成形するように、上型12は、加圧駆動手段(図示しない)により、上下方向に移動可能に構成されている。
本実施形態においては、上型12のみが加圧方向に移動する構成としているが、これに限定されるものではなく、上型12は固定しておき、下型11のみが加圧方向に移動する構成としてもよいし、下型11と上型12の両方を移動型としてもよい。
滴下位置P1で溶融ガラス滴20を受けた下型11は、加圧位置P2に移動し、上型12が加圧方向である下向きに移動し、溶融ガラス滴20を加圧成形する。この後、上型12が上昇して下型11から待避し型開きする。
型開きした際、溶融ガラス滴20が成形されてなるガラスレンズ25は、例えば図6に示すように、上型12に付着する場合がある。成形装置10は、このようなガラスレンズ25を取り出して回収する回収機51を備えている。
回収機51は、例えば、ロボット等のアームの先端部に、例えばガラスレンズ25の光学面でない周囲部分に接して、真空吸着(図中矢印60は空気の流れる方向を示す)等によりガラスレンズ25を保持する保持部材42を備えている。保持部材42の材料は、ガラスレンズ25にキズ等が生じ難い例えば耐熱樹脂とするのが好ましい。
回収機51は、保持部材42でガラスレンズ25を保持し、ガラスレンズ25が付着している上型12よりガラスレンズ25を剥離して取り出し、パレット等の所定位置に回収する。
本実施の形態では、回収機51は、上型12にガラスレンズ25が付着する場合を例として示しているが、下型11にガラスレンズ25が付着する場合もある。この場合も上記と同様に、例えば、回収機51の保持部材42のガラスレンズ25を吸着する開口部を下向きにして下型11に付着しているガラスレンズ25を剥離して取り出して回収するようにすることができる。
成形装置10を用いてガラスレンズ25を製造する際のフローチャートを図3に示す。下型11及び上型12を所定の温度に設定した状態(S11)で、下型11を滴下位置P1に移動させ(S12)、滴下位置P1に移動された下型11は、滴下ノズル23から落下する溶融ガラス滴20を受ける(S13)。溶融ガラス滴20を受けた下型11は、加圧位置P2に移動する(S14)。移動された下型11に対し、上型12が降下して、下型11とで溶融ガラス滴20を加圧成形する(S15)。その後、下型11から上型12が待避して型開きし(S16)、ガラスレンズ25を回収機51等で例えば上型12から回収する(S17)。以降、これを繰り返して所望の数のガラスレンズ25を製造することができる。
成形装置10を用いて所望の光学性能を備えるガラスレンズ25を製造するためには、予め、ガラスレンズ25の試作を行い、ガラスレンズ25の光学性能を評価する必要がある。試作されたガラスレンズ25の光学性能の評価は、例えば、干渉計を用いた透過波面を用いた評価方法がある。この透過波面により評価した結果、所望の光学性能が得られていない場合、下型11及び上型12の調整を行う。
透過波面による評価において、球面収差量以外の光学性能は、下型11及び上型12の相対位置関係である、第1型面11Sと第2型面12Sとの平行シフトや傾きの調整により所望の光学性能の許容範囲内に収めることができる。しかしながら、所望の光学性能を得るために球面収差量を小さくするためには、従来、金型補正、すなわち、下型11の第1型面11S、上型12の第2型面12Sの少なくとも一方の形状を補正する必要があった。こうした金型補正は、多大な時間と費用を要していた。
発明者らは、ガラスレンズ25の所望の光学性能が得られるように球面収差量を抑えることに関して鋭意検討した。検討の結果、下型11の第1型面11S、上型12の第2型面12Sの形状を補正しない、所謂金型補正をすることなく、所望の光学性能が得られる本発明のガラス成形体の製造方法に到った。本実施形態において、成形の際の下型11若しくは上型12の少なくとも一方の型の温度を変えてガラスレンズ25を成形することにより、ガラスレンズ25の球面収差量は、温度を変える前に成形したものとは異なるように制御することができる。
上記の型の温度を変えるとは、下型11においては、滴下された溶融ガラスが下型11に触れる際の温度を変えることであり、上型12においては、加圧成形のために上型12が降下して、下型11が受けた滴下された溶融ガラスに上型12が触れる際の温度を変えることである。尚、変更した温度は、以降、球面収差量を変える等の意図的に変える場合を除いて変えることはなく、好ましくは上述したフィードバック制御を用いて一定とする。
成形の際の下型11若しくは上型12の少なくとも一方の型の温度を変えると、成形の際のガラス素材である溶融ガラス滴20の熱収縮による形状変化(ひけ)の量が変わり、この結果、球面収差量が変化するものと推測される。型の温度を高くする程、ヒケが小さくなってガラスレンズ25の形状が成形型面の形状に近づく方向に変化し、また、型の温度を低くする程、急冷されて熱収縮による形状に大きな変化を及ぼすと推測される。
成形装置10に最初に下型11及び上型12を取り付け、所望の光学性能のガラスレンズ25が得られるように各種調整を行うが、その調整の中で、下型11及び上型12に対し仮の温度を設定し、ガラスレンズ25の試作を行い、球面収差量を測定する。この測定結果に基づいて、下型11及び上型12の温度を変化させる。
変化させて設定する温度は、試作のガラスレンズ25を製造した際の下型11及び上型12の少なくとも一方の温度に対し、高くするか低くするか、またその温度差をいくらにするかが考えられる。こうした設定温度は、主にガラスレンズ25の形状、すなわち、例えば両凸、両凹、平凸、平凹、凸や凹のメニスカス及び非球面等に依存すると考えられ、それぞれ各々の形状により異なる。設定する下型11及び上型12の温度範囲は、実用的な範囲として、使用するガラス素材のガラス転移温度Tgとすると、概ねTg−100℃以上、Tg+100℃以下の範囲が考えられる。
これまで説明したようにして求めた成形型の温度を下型11及び上型12の所定の温度として、図3に示すフローチャートに従って製造されたガラスレンズ25の球面収差量は所望の光学性能となる範囲内に抑えることができる。
よって、金型を補正することなく、所望の光学性能を備えるガラス成形体を得ることができ、金型補正及びガラス成形体の試作・評価を大幅に省くことができ、多くの費用及び時間を削減することができる。
この加圧成形の際の下型11及び上型12の温度を変えるためには、従来の製造装置に対して大きな変更を行う必要が無く、ほぼ従来の製造装置が使用できる利点もある。
(実施例1)
ガラスレンズ25として、外径がφ4mm、光学有効径がφ3mm、レンズ中心の厚み(軸上厚)の設計値が2mmの両凸非球面レンズを製造した。ガラス材料は、ガラス転移温度Tgが480℃、屈折率ndが約1.6、熱膨張係数=12×10−6/℃のシリカ系ガラスを用いた。
金型(下型11及び上型12)の材料は、タングステンカーバイドを主成分とする超硬材料(熱膨張係数=5.0×10−6/℃)を用いた。
ガラスレンズ25の設計形状(非球面係数、曲率半径)は、成形の際の温度として480℃に設定した上で、下型11及び上型12とガラス材料の熱膨張係数を考慮した変形量を考慮して上型12及び下型11を作製し、この上型12及び下型11を用いてガラスレンズ25を成形した。これを第1試作とする。成形装置10に取り付けられた上型12及び下型11の調整は、球面収差量の調整以外は調整されている。
下型11及び上型12には加熱のためのヒーター及び温度センサが設けられ、常に設定された温度が一定となるようにフィードバック制御がなされている。
成形は図3のフローチャートに示すように、下型11の温度及び上型12の温度をそれぞれ480℃に設定し(S11)、下型11が溶融ガラス滴20を滴下するための白金製の滴下ノズル23の直下である滴下位置P1に移動し(S12)する。本例では、成形装置10は、図7に示す微小化部材37を備え、微小化部材37が有する貫通孔36によって、滴下ノズル23から滴下した溶融ガラス滴20を微小化した微小滴35を下型11で受ける(S13)。微小滴35を下型11で受けた後、下型11は上型12の下方である加圧位置P2まで移動する(S14)。下型11が加圧位置P2に到達した後3秒経過後、上型12が下向きで垂直方向に移動し、下型11内の微小滴35を加圧成形する(S15)。上型12の移動速度は10mm/sec、上型12のプレス圧力は0.5kN、プレス圧力を維持している時間は10秒間とした。加圧成形後、下型11から上型12を対しさせ(S16)、ガラスレンズ25を回収する(S17)。
回収した第1試作のガラスレンズ25を干渉計によってその透過波面収差を測定した。図8に第1試作のガラスレンズ25の球面収差と軸上厚の関係を示す。測定した球面収差は、3次球面収差、5次球面収差、7次球面収差及び9次球面収差であって、それぞれSA3、SA5、SA7及びSA9と表記する。
図8において、SA3は、設計軸上厚2mm付近の1.997mmから2.003mmの仕様上許容される範囲では球面収差量の規格範囲(±15mλrms)より下側にはみ出す傾向があり、軸上厚を1.993mm付近へと薄くすればSA3が上側の方向にシフトして規格範囲内に入ってくる。SA5は、軸上厚が1.997mm付近では規格範囲内にあるものの、軸上厚を1.993mm付近へと薄くすると規格範囲内から上側にはみ出してしまう。従って、軸上厚を制御しても、球面収差量を規格範囲内とすることはできず、所望の光学性能を備えるガラスレンズ25を得ることができない。従来、この様な状態の場合、上記の球面収差量の結果を踏まえて新規に補正型を作製するか、第1試作に使用した金型に対し補正加工を行って対応していた。
本発明により、第1試作に使用した下型11及び上型12に対して金型補正は行わないで、上型12の温度は480℃のままと変化させず、下型11の温度を480℃から490℃に変化させ、第1試作と同じ方法によりガラスレンズ25を成形した。これを第2試作とする。第2試作のガラスレンズ25を第1試作の場合と同様に干渉計によってその球面収差量を測定し、結果を図9に示す。
図9に示す通り、下型11の温度を変更したことにより、軸上厚1.997mmにおいて、全ての球面収差量は、所望の規格範囲(±15mλrms)に入るように、制御されていることが分かる。
(実施例2)
上型12の温度を変更した以外は、実施例1の第1試作と同じとしてガラスレンズ25を製造し、球面収差量を測定した。第1試作に使用した下型11及び上型12に対して金型補正は行わないで、下型11の温度は480℃のままと変化させず、上型12の温度を480℃から490℃に変化させ、ガラスレンズ25を成形した。これを第3試作とする。第3試作のガラスレンズ25の球面収差量を図10に示す。
図10に示す通り、上型12の温度を変更したことにより、軸上厚2mmにおいて、全ての球面収差量は、所望の規格範囲(±15mλrms)に入るように、制御されていることが分かる。
(実施例3)
下型11及び上型12の温度を変更した以外は、実施例1の第1試作と同じとしてガラスレンズ25を製造し、球面収差量を測定した。第1試作に使用した下型11及び上型12に対して金型補正は行わないで、下型11及び上型12の温度を何れも480℃から490℃に変化させ、ガラスレンズ25を成形した。これを第4試作とする。第4試作のガラスレンズ25の球面収差量を図11に示す。
図11より、下型11及び上型12の温度を変更したことにより、軸上厚2mmにおいて、全ての球面収差量は、所望の規格範囲(±15mλrms)に入るように、制御されていることが分かる。
(まとめ)
以上より、図8に示す第1試作のガラスレンズ25においては、軸上厚が1.997mm、2mm及び2.003mmの何れにおいても、全ての球面収差量を所望の規格範囲(±15mλrms)を満足できなかった。この第1試作に使用した下型11及び上型12に対して金型補正を行わないで、下型11の温度を変更した第2試作は軸上厚が1.997mmで、上型12の温度を変更した第3試作及び下型11及び上型12の両方の温度を変更した第4試作は軸上厚が2mmにおいて、全ての球面収差量を所望の規格範囲(±15mλrms)を満足させることができ、本発明が有効であることが確認できた。
10 成形装置
11 下型
12 上型
20 溶融ガラス滴
21 溶融槽
22 溶融ガラス
23 滴下ノズル
25 ガラスレンズ
35 微小滴
36 貫通孔
37 微小化部材
51 回収機
P1 滴下位置
P2 加圧位置

Claims (2)

  1. 滴下される溶融ガラスを受ける下型と上型とで滴下された溶融ガラスを加圧成形し、対向する2つの光学機能面を有するガラス成形体を製造するガラス成形体の製造方法において、
    前記滴下された溶融ガラスに触れる際の前記下型の温度、若しくは、加圧成形するために前記下型が受けた前記滴下された溶融ガラスに触れる際の前記上型の温度の少なくとも一方の温度を変えることにより、前記2つの光学機能面による球面収差量を制御することを特徴とするガラス成形体の製造方法。
  2. 前記滴下された溶融ガラスに触れる際の、前記下型の温度及び前記上型の温度は、一定となるように制御されることを特徴とする請求項1に記載のガラス成形体の製造方法。
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