JP2010239692A - レゾルバ及びレゾルバの製造方法 - Google Patents

レゾルバ及びレゾルバの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回転角度の検出精度をより一層向上させることが可能なレゾルバ等を提供する。
【解決手段】レゾルバは、環状の磁性材料の平板に形成され曲げ加工により該平板面に対して起こされた複数のステータティースを有し、各ステータティースを巻線磁芯として励磁用の巻線部材及び検出用の巻線部材が設けられたステータと、磁性材料からなり、回転軸回りの回転により前記各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するように前記ステータに対して回転可能に設けられたロータとを含み、前記曲げ加工による曲げ内側の各ステータティース及び前記平板の断面形状が、R形状である。
【選択図】図1

Description

本発明は、レゾルバ及びレゾルバの製造方法等に関する。
従来、この種のレゾルバは、ステータ及びロータを有し、ステータに対するロータの回転位置によってステータとロータとの間の相互インダクタンスが変化することを利用して、ステータに対するロータの回転角度に応じた検出信号を出力する。
図14に、従来のレゾルバの構成例を示す。図14は、レゾルバのステータ構造のみを表す。
従来のレゾルバのステータ900は、多層状の鉄心902の内側に多数の歯部904とスロット906とを有し、歯部904とスロット906とが円周方向に交互に形成されている。各歯部904には、絶縁キャップ908を介してステータ巻線910が巻回されており、ステータ巻線910と鉄心902と各歯部904とは電気的に絶縁されている。絶縁キャップ908の一端には、鉄心902の端面に沿って延設された絶縁延長部912が一体に形成され、この絶縁延長部912には複数の端子ピン914が植設されている。端子ピン914には、コネクタ916を有するリード線918が接続されると共に、各端子ピン914にはステータ巻線910の端線が接続されている。
そして、ステータ巻線は、例えば励磁用の励磁巻線と2相の検出巻線により構成され、励磁巻線により励磁された状態で、図示しないロータが回転すると、このロータとステータとの間のギャップパーミアンスが回転角度θに対して正弦波状に変化するようになっている。回転角度θに対応して2相の検出巻線の電圧が変化するため、この電圧変化に基づいて回転角度が検出される。
そして、このレゾルバからの検出信号をR/D変換器においてデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号を出力して後段の制御処理に供していた。
特開平10−309067号公報
ところで、レゾルバにおいては、回転角度の検出精度を高めるためには、励磁巻線や検出巻線を精度良く巻回する必要がある。しかしながら、特許文献1に開示されたレゾルバでは、歯部が内側に向けて設けられているため、励磁巻線や検出巻線を精度良く巻回することができず、検出精度の向上の大きな障害となっていた。
また、高精度な角度検出を行うために、磁性材料の磁気特性をできるだけ劣化させることなく加工してレゾルバを構成できることが望ましい。
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、回転角度の検出精度をより一層向上させることが可能なレゾルバ及びレゾルバの製造方法等を提供することにある。
(1)本発明の一態様は、レゾルバが、環状の磁性材料の平板に形成され曲げ加工により該平板面に対して起こされた複数のステータティースを有し、各ステータティースを巻線磁芯として励磁用の巻線部材及び検出用の巻線部材が設けられたステータと、磁性材料からなり、回転軸回りの回転により前記各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するように前記ステータに対して回転可能に設けられたロータとを含み、前記曲げ加工による曲げ内側の各ステータティース及び前記平板の断面形状が、R形状である。
本態様によれば、ステータの内側の狭い空間でステータ巻線を巻回させる必要がなくなる。そのため、ステータ巻線を精度良く巻回することができるようになる。また、ステータを構成する平板の曲げ加工による曲げ内側の各ステータティース及び平板の断面形状が、R形状となるように加工するようにしたので、磁性材料の粒状破壊を低減し、曲げ加工前の磁気特性の劣化を抑えることができるようになる。これにより、部品点数が少なく、低コストで、回転角度の検出精度をより一層向上させるレゾルバを提供できるようになる。
(2)本発明の他の態様に係るレゾルバでは、前記曲げ加工による曲げ内側における前記磁性材料の実効透磁率が変化しないように、前記複数のステータティースは、前記平板面に対して起こされている。
本態様によれば、曲げ内側における磁性材料の実効透磁率が変化しないように曲げ加工を行って、複数のステータティースを平板面に対して起こすようにしたので、磁性材料の粒状破壊に起因する特性の劣化を抑え、曲げ加工前の磁気特性を維持して、回転角度の検出精度のより一層の向上に寄与できるようになる。
(3)本発明の他の態様に係るレゾルバでは、前記曲げ加工における曲げ半径をr1、平板の厚さをtとしたとき、r1≧tの関係を有する。
本態様によれば、曲げ半径をr1、平板の厚さをtとしたとき、r1≧tの関係を有するように曲げ加工を行うようにしたので、ステータを構成する平板の厚さに応じた曲げ半径による曲げ加工により、磁性材料の粒状破壊を確実に防止し、回転角度の検出精度の向上を確実に実現できるようになる。
(4)本発明の他の態様に係るレゾルバでは、前記平板の厚さをtとしたとき、前記曲げ加工における曲げ半径の中心から曲げ外側の面までの距離r2は、次式の関係を有する。
Figure 2010239692
本態様によれば、曲げ半径をr2、平板の厚さをtとしたとき、上記の式の関係を有するように曲げ加工を行うようにしたので、ステータを構成する平板の厚さに応じた曲げ半径による曲げ加工により、磁性材料の粒状破壊を確実に防止し、回転角度の検出精度の向上を確実に実現できるようになる。
(5)本発明の他の態様に係るレゾルバは、前記ロータの回転により、前記ロータの外側と前記各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するインナーロータ型である。
本態様によれば、部品点数が少なく、低コストで、回転角度の検出精度をより一層向上させるインナーロータ型のレゾルバを提供できるようになる。
(6)本発明の他の態様に係るレゾルバは、前記ロータの回転により、前記ロータの内側と前記各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するアウターロータ型である。
本態様によれば、部品点数が少なく、低コストで、回転角度の検出精度をより一層向上させるアウターロータ型のレゾルバを提供できるようになる。
(7)本発明の他の態様に係るレゾルバは、前記ステータに対する前記ロータの回転角に応じた前記巻線部材からの出力信号に対応したデジタル信号を出力する変換器を含む。
本態様によれば、少なくとも巻線部材からの出力信号へのノイズの混入の可能性を低減できるようになるため、低コスト化及び信頼性の向上を図ると共に、検出精度をより一層向上させ、ロータの回転角度に応じたデジタル信号を出力するレゾルバを提供できるようになる。
(8)本発明の他の態様は、レゾルバの製造方法が、磁性材料からなる環状の平板の縁部に形成されたステータの複数のステータティースを曲げ加工する曲げ工程と、前記複数のステータティースの各ステータティースを巻線磁芯として励磁用及び検出用の複数のステータ巻線を取り付ける巻線部材取り付け工程と、磁性材料からなり、回転軸回りの回転により前記各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するように前記ステータに対して回転可能にロータを取り付けるロータ取り付け工程とを含み、前記曲げ工程は、曲げ内側の各ステータティース及び前記平板の断面形状が、R形状となるように前記複数のステータティースを前記平板面に対して起こす。
本態様によれば、ステータの内側の狭い空間でステータ巻線を巻回させる必要がなくなり、ステータ巻線を精度良く巻回することができるレゾルバを製造できるようになる。また、ステータを構成する平板の曲げ加工による曲げ内側の各ステータティース及び平板の断面形状が、R形状となるように加工するようにしたので、磁性材料の粒状破壊を低減し、曲げ加工前の磁気特性の劣化を抑えることができるようになる。これにより、部品点数が少なく製造工程が簡素化され、低コスト、且つ、回転角度の検出精度をより一層向上させるレゾルバの製造方法を提供できるようになる。
(9)本発明の他の態様に係るレゾルバの製造方法では、前記曲げ工程は、前記曲げ加工による曲げ内側における前記磁性材料の実効透磁率が変化しないように、前記複数のステータティースを、前記平板面に対して起こす。
本態様によれば、曲げ内側における磁性材料の実効透磁率が変化しないように曲げ加工を行って、複数のステータティースを平板面に対して起こすようにしたので、磁性材料の粒状破壊に起因する特性の劣化を抑え、曲げ加工前の磁気特性を維持して、回転角度の検出精度のより一層の向上に寄与できるレゾルバを製造できるようになる。
(10)本発明の他の態様に係るレゾルバの製造方法では、前記曲げ加工における曲げ半径をr1、平板の厚さをtとしたとき、r1≧tの関係を有する。
本態様によれば、曲げ半径をr1、平板の厚さをtとしたとき、r1≧tの関係を有するように曲げ加工を行うようにしたので、ステータを構成する平板の厚さに応じた曲げ半径による曲げ加工により、磁性材料の粒状破壊を確実に防止し、回転角度の検出精度の向上を確実に実現できるレゾルバを製造できるようになる。
(11)本発明の他の態様に係るレゾルバの製造方法では、前記平板の厚さをtとしたとき、前記曲げ加工における曲げ半径の中心から曲げ外側の面までの距離r2は、次式の関係を有する。
Figure 2010239692
本態様によれば、曲げ半径をr2、平板の厚さをtとしたとき、上記の式の関係を有するように曲げ加工を行うようにしたので、ステータを構成する平板の厚さに応じた曲げ半径による曲げ加工により、磁性材料の粒状破壊を確実に防止し、回転角度の検出精度の向上を確実に実現できるレゾルバを製造できるようになる。
本実施形態におけるレゾルバの構成例の分解斜視図。 図1のステータの分解斜視図。 図2のA−A線に沿った断面構造を模式的に示す図。 図4(A)、図4(B)は本実施形態におけるステータティースの根元部分の説明図。 本実施形態における絶縁キャップの斜視図。 図5の絶縁キャップを裏面から見た斜視図。 本実施形態における係止部の説明図。 図8(A)、図8(B)はステータのステータティースに設けられるステータ巻線の説明図。 図1のレゾルバの上面図。 本実施形態におけるレゾルバの製造方法の一例のフロー図。 折り曲げプレス加工前の本実施形態におけるステータを構成する平板の斜視図。 本実施形態におけるレゾルバが適用された角度検出システムの構成例の機能ブロック図。 図13(A)、図13(B)は本実施形態におけるレゾルバが適用されるシステムの具体的な構成例を示す図。 従来のレゾルバの構成例を示す図。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の課題を解決するために必須の構成要件であるとは限らない。
図1に、本発明に係る角度検出器としてのレゾルバ100の構成例の分解斜視図を示す。なお、図1では、ステータ巻線等の配線の図示を省略すると共に、ステータとロータとを分解して示している。また、図1では、レゾルバ100が、8個のステータティースを有し、1相励磁2相出力型のレゾルバを例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図2に、図1のステータの分解斜視図を示す。図2において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
レゾルバ100は、ステータ(固定子)200と、ロータ(回転子)300とを含む。レゾルバ100は、いわゆるインナーロータ型の角度検出装置である。即ち、ステータ200の内側にロータ300が設けられ、ステータ200がロータ300の外周側(外径側)の側面と対向した状態で、ロータ300の回転角度に応じて、ステータ200に設けられたステータ巻線を構成する検出巻線からの信号が変化するようになっている。
ステータ200は、磁性材料からなる環(リング)状の平板250を用いて構成され、この平板250に複数のステータティースが設けられている。これらのステータティースは、平板250の平板面に対して交差するように設けられている。図1では、ステータ200は、折り曲げ加工(広義には曲げ加工)等により平板面に対して同一面側に略垂直に起こされた8個のステータティース(突極部)210a、210b、210c、210d、210e、210f、210g、210hを有する。ステータティース210a〜210hは、プレス加工により予め平板250に形成された後に、折り曲げプレス加工(広義には曲げ加工)により、平板250の面に対して略垂直となるように起こされている。これらのステータティースは、環状の平板250の内側(内径側)の縁部に形成され、各ステータティースの面のうち少なくともロータ300と対向する面は平面ではなく、ロータ300の回転軸の方向に沿って見たときに、環状の平板250の内径側に位置する点を中心とする円弧の一部となるように形成されている。
このような磁性材料からなるステータ200の平板250の材質は、積層電磁鋼板よりも、1枚の電磁鋼板、普通鋼であるSPCC(1枚の鋼板)又は機械構造用炭素鋼であるS45CやS10C(1枚の鋼板)であることが望ましい。SPCC(Steel Plate Cold Commercial)は、JIS G3141に規定される冷間圧延鋼板及び鋼帯である。S45Cは、JIS G 4051で規定される機械構造用炭素鋼鋼材で、0.45%程度の炭素を含有している。S10Cは、JIS G 4051で規定される機械構造用炭素鋼鋼材で、0.10%程度の炭素を含有している。
図3に、図2のA−A線に沿った断面構造を模式的に示す。図3において、図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図2のA−A線は、環状の平板の中心側から外側に向かう方向で、ステータティース210b及び平板250を通る。図3では、ステータティース210bとこれに接続される平板250の断面構造の一部を模式的に示すが、複数のステータティース210a、210c〜210hとこれらに接続される平板250の断面構造も同様である。
ここで、図2のA−A線に沿った断面形状が、曲げ加工による曲げ内側の各ステータティース及び平板250の断面形状であり、この断面形状が、R形状である。より具体的には、本実施形態では、曲げ加工による曲げ内側における磁性材料の実効透磁率が変化しないように、平板250に形成された複数のステータティース210a〜210hは、平板面に対して起こされている。そのため、図3に示すように、断面視において、複数のステータティース210a〜210hは、所与の曲げ半径の曲げ加工により平板250の平板面に対して起こされ、複数のステータティース210a〜210hは、平板250と接続される根元部分においてR形状を有している。ここで、曲げ半径r1は、平板250の厚さt以上である(r1≧t)ことが望ましい。
これにより、ステータ200を構成する平板250の厚さに応じた曲げ半径による曲げ加工により、磁性材料の粒状破壊を確実に防止し、回転角度の検出精度の向上を確実に実現できるようになる。
また、曲げ半径r1の中心から曲げ外側の面までの距離r2は、次式の関係を有することが望ましい。
Figure 2010239692
これによっても、ステータ200を構成する平板250の厚さに応じた曲げ半径による曲げ加工により、磁性材料の粒状破壊を確実に防止し、回転角度の検出精度の向上を確実に実現できるようになる。
図4(A)、図4(B)に、本実施形態におけるステータティースの根元部分の断面形状の説明図を示す。図4(A)は、平板面に対して曲げ加工により起こされるステータティース210bの曲げ内側及び曲げ外側の説明図を表す。図4(B)は、ステータを構成する磁性材料の実効透磁率の説明図を表す。図4(B)において、横軸に力の方向を示し、縦軸に実効透磁率μを示す。
図4(A)に示すように、例えば平板250に形成されたステータティースを曲げ加工により平板面に対して起こす場合、曲げ内側部260には、圧縮方向(図4(B)ではプラス(+)方向)F1の力が加わる。そのため、曲げ内側部260では、磁性材料の単結晶の粒径破壊が発生する。これに対して、曲げ加工による曲げ外側部では、引っ張り方向(図4(B)ではマイナス(−)方向)F2が加わる。
ところで、一般的な磁性材料(例えば電磁鋼板)では、曲げ加工等によって引っ張り方向に力が加わっても実効透磁率μがほとんど変化しないのに対し、圧縮方向に力が加わると実効透磁率μが低下するという特性を有する(C1)。そこで、本実施形態では、実効透磁率μが低下しない程度に曲げ加工を行うことで、圧縮方向に力が加わっても引っ張り方向に力が加わったときと同程度の実効透磁率μを維持させる(C2)。この実効透磁率μが低下しない程度の曲げ加工は、上記のように曲げ半径r1を、平板250の厚さt以上とする(r1≧t)ことで実現する。
これにより、磁性材料の粒状破壊を防止し、曲げ加工前の磁気特性を確保することにより高精度な角度検出を可能とする。
しかも、本実施形態のような曲げ工程を行うことで、磁性材料のアニール工程を行うことなく磁気特性を維持させることが可能となるので、製造工程も大幅に簡素化される。例えば、一般的な電磁鋼板についてのアニール工程では、700℃を超える温度で数時間の熱処理を行った後に数時間の徐冷を行う必要があるため、このようなアニール工程を省略できることは、製造工程の大幅な簡素化とレゾルバの低コスト化が可能となる。
また、ステータ200には、平板250に装着可能に構成された環状の絶縁キャップ400が装着される。絶縁キャップ400には、ステータ200のステータティース210a〜210hの位置に合わせて設けられた複数のボビン410a、410b、410c、410d、410e、410f、410g、410hが一体に形成されている。各ボビンは、挿入孔(ステータティース挿入孔)を有し、当該ボビンに対応するステータティースが該挿入孔に挿入されると共に、その外側にステータ巻線が巻回される。複数のボビン410a〜410hを構成する各ボビンの挿入孔の向きは、ロータ300の回転軸の向きである。
図5に、本実施形態における絶縁キャップ400の斜視図を示す。図5において、図1又は図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
絶縁キャップ400では、複数のボビン410a〜410hが有する挿入孔の向きが、ロータ300の回転軸の向きと一致している。そのため、ステータ200に絶縁キャップ400を装着する際に、平板250の上方から装着することができる上に、ステータ200の内側の狭い空間で各ボビンにステータ巻線を巻回させる必要がなくなる。従って、本実施形態によれば、絶縁キャップ400の取り付け工程が簡素化される上に、別工程において、予め絶縁キャップ400を形成しておくことが可能となる。これにより、レゾルバ100の生産効率の向上やコストダウンを図ることが可能となる。
また絶縁キャップ400に設けられる複数のボビン410a〜410hを構成する各ボビンには、ステータ巻線の位置ずれを防止する位置ずれ防止手段として、つば部(例えば、図5に示すつば部412a)が設けられており、つば部によってボビンに凹部が形成されるようにし、この凹部においてステータ巻線の位置がずれないようになっている。つば部は、ボビン410a〜410hのそれぞれに設けられてもよいし、ボビン410a〜410hの一部にのみ設けられていてもよい。このような位置ずれ防止手段を設けることにより、磁束の均一化を図ることができるようになり、信頼性を向上させることができるようになる。
更に、絶縁キャップ400は、外部から励磁信号を入力したり検出信号を出力したりするための端子ピンが設けられるコネクタ部450を含み、複数のボビン410a〜410hとコネクタ部450とが一体に形成される。このコネクタ部450には、端子ピン挿入孔461〜466が設けられており、端子ピン挿入孔461〜466のそれぞれには、励磁信号の入力や検出信号の出力を行うために導電材からなる端子ピン471〜476がそれぞれ挿入される。
また、ステータ巻線と電気的に接続される端子ピンが設けられるコネクタ部を、複数のボビンと共に一体に形成するようにしたので、ステータ巻線を確実に固定させて、信頼性を向上させることができるようになる。
更に、絶縁キャップ400は、複数の渡りピン(突起部)480a、480b、480c、480d、480e、480f、480gを含み、複数のボビン410a〜410h、コネクタ部450及び複数の渡りピン480a〜480gが一体に形成されている。複数の渡りピン480a〜480gを構成する各渡りピンは、2つのボビンの間において、環状の絶縁キャップ400の所与の円周上に形成されている。なお、ボビン410a、410hの間には、渡りピンが形成されていない。各渡りピンは、2つのボビンの間に設けられた円柱状の形状を有し、一方のボビンの外側に巻回されるステータ巻線と電気的に接続される導線が、渡りピンにおいて張力を持たせた状態で掛けられて、他方のボビンの外側に巻回されるステータ巻線と電気的に接続される。これにより、2つのボビンの距離が長くなっても共振し難くなる上に、ステータ巻線の巻き数を半ターン単位で調整できるようになる。ここで、導線に張力を持たせ易くし、且つその状態をできるだけ長く維持させるために、渡りピンは、ロータ300の回転軸の向きと同じ向きの部分を有することが望ましい。
即ち、絶縁キャップ400は、複数のボビンを構成する第1のボビン及び第2のボビンの間に設けられた渡りピンを含むことができる。更に、この渡りピンは、ロータ300の回転軸の向きと同じ向きの巻線経由部を含み、第1のボビンの外側に巻回される第1のステータ巻線と第2のボビンの外側に巻回される第2のステータ巻線とを電気的に接続する導線が、巻線経由部において張力を持たせた状態で掛けられる。なお、巻線経由部は、ロータ300の回転軸の向きと同じ向きであるものに限定されない。
更にまた、絶縁キャップ400は、ステータ200(ステータ200の平板250)の縁部に係止する1又は複数の係止部を含み、これらの係止部によりステータ200に装着可能に構成されている。
図6に、図5の絶縁キャップ400を裏面から見た斜視図を示す。図6において、図5と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
絶縁キャップ400は、コネクタ部450を平板250に固定するための係止部452、454と、複数のボビンが形成される固定部を平板250の内径側の縁部に固定するための係止部470a、470b、470c、470d、470e、470f、470gを含む。これらの係止部は、絶縁キャップ400が平板250に取り付けられた際に、突起した部分が平板250の縁部に係止するようになっており、いわゆる爪構造によって係止部の機能が実現されている。
図7に、本実施形態における係止部の説明図を示す。図7は、平板250の縁部に係止する係止部452の断面構造の一例を表すが、他の係止部も同様である。
絶縁キャップ400のコネクタ部450が、平板250の第1の面PL1側から装着されて係止部452が平板250の第2の面PL2側に突出した際、係止部452が平板250の縁部の第2の面PL2側で係止するようになっている。絶縁キャップ400が有するすべての係止部は、図7と同様に、平板250に係止するようになっている。その結果、本実施形態では、ステータ200の平板250の内径側の縁部に、絶縁キャップ400の係止部470a〜470gが係止することで、ステータ200の平板250に絶縁キャップ400が装着される。
このような絶縁キャップ400をステータ200の平板250に装着することにより、ステータ200とステータ巻線とが電気的に絶縁される。これにより、ステータ巻線により構成されるコイルの絶縁破壊を防止できる。このような絶縁キャップ400は、PBT(Poly-butylene-terephtalate:ポリブチレンテレフタレート)又はPPT(Polypropylene terephtalate:ポリプロピレンテレフタレート)等の絶縁性の樹脂(絶縁材)を用いた射出成型により形成される。
ロータ300は、ステータ200と同じ材質の磁性材料からなり、ステータ200に対して回転自在に設けられている。より具体的には、ロータ300は、ロータ300の回転軸回りの回転によりステータ200の各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するようにステータ200に対して回転可能に設けられる。例えば、ロータ300の軸倍角が「3」であり、所与の半径の円周線を基準に、該円周線の1周につき、平面視において外径側の外形輪郭線を3周期で変化する形状を有している。そして、平板250に対して起こされたステータティースの内側(内径側、内周側)の面と対向するロータ300の外周側の面が、ロータ300の1回転につき3周期でギャップパーミアンスが変化するようになっている。
次に、ロータ300の回転によって検出巻線から出力される検出信号を取り出すためのステータ巻線について説明する。ステータ巻線は、励磁巻線と検出巻線とから構成され、励磁巻線により励磁した状態で、ステータ200に対するロータ300の回転により、検出巻線の信号が変化する。
図8(A)、図8(B)に、ステータ200のステータティースに設けられるステータ巻線の説明図を示す。図8(A)は、ステータ巻線を構成する励磁巻線の説明図を表す。図8(B)は、ステータ巻線を構成する検出巻線の説明図を表す。図8(A)、図8(B)は、図1のロータ300の回転軸方向にレゾルバ100を見た平面図であり、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図8(A)では、励磁巻線の巻き方向を模式的に示し、図8(B)では、検出巻線の巻き方向を模式的に示す。実際には、各ボビンのステータ巻線を電気的に接続する場合、各ステータ巻線間を接続する導線は、その間に形成された渡りピンを経由させる。
励磁巻線は、図8(A)に示すように、隣接するステータティースの巻線方向が互いに反対方向となるように設けられる。各ステータティースに設けられる励磁巻線は、例えばコイル巻線とすることができる。このような励磁巻線と電気的に接続される端子R1、R2間に、励磁信号が与えられる。
また、図8(B)に示すように、2相の検出信号を得るために、検出巻線は2組の巻線部材からなる。2相の検出信号の第1相(例えばSIN相)の検出信号を得るための検出巻線は、例えばステータティース210aから反時計回りにステータティース210gまで、1つおきに各ステータティースに巻回される。一方、2相の検出信号の第2相(例えばCOS相)の検出信号を得るための検出用の巻線部材は、例えばステータティース210bから反時計回りにステータティース210hまで、1つおきに各ステータティースに巻回される。第1相の検出信号は、端子S1、S3間の信号として検出され、第2相の検出信号は、端子S2、S4間の信号として検出される。各ステータティースに設けられる検出巻線は、例えばコイル巻線とすることができる。
このように、ステータティース210a、210c、210e、210gが挿入孔に挿入されるボビン410a、410c、410e、410gのそれぞれの外側には、励磁巻線及び第1相(SIN相)の検出巻線が巻回される。ステータティース210b、210d、210f、210hが挿入孔に挿入されるボビン410b、410d、410f、410hのそれぞれの外側には、励磁巻線及び第2相(COS相)の検出巻線が巻回される。
なお、本実施形態では、励磁巻線の巻き方向は、図8(A)に示す方向に限定されるものではない。また、本実施形態では、検出巻線の巻き方向は、図8(B)に示す方向に限定されるものではない。
以上のような構成を有するレゾルバ100では、ステータ200に対するロータ300の回転によって、次のような磁気回路が形成される。
図9に、図1のレゾルバ100の上面図を表す。図9は、図1のロータ300の回転軸方向にレゾルバ100を見た平面図であり、図1又は図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図9では、説明の便宜上、絶縁キャップ400の図示を省略すると共に、ステータ200に対してロータ300が回転状態のときのある時刻における磁束の向きを模式的に示している。また、図9において、巻線磁芯としての各ステータティースを通る磁束の向きを模式的に示している。
絶縁キャップ400を介してステータ200のステータティースにステータ巻線が設けられており、ロータ300が回転すると、ロータ300を介して隣接するステータティース間で磁気回路が形成される。本実施形態では、図9に示すように、隣接するステータティースを通る磁束の向きが反対方向となるようにステータ巻線が設けられているため、ロータ300の回転によって、各ステータティースとの間のギャップパーミアンスの変化に応じて、各ステータティースに巻回されるステータ巻線に発生する電流もまた変化し、例えば検出巻線に発生する電流波形を正弦波状にすることができる。
以上のような構成を有するステータ200は、磁性材料として1枚の電磁鋼板により構成されるため、材料費として高価である上に折り曲げプレス加工による曲げに弱く、曲げによる加工精度や信頼性を維持できにくい積層電磁鋼板を採用する場合に比べて、低コストで、曲げによる加工精度や信頼性を維持できるようになる。しかも、曲げ加工による磁性材料の粒状破壊を防止し、曲げ加工前の磁気特性を確保することにより高精度な角度検出を可能とする。
次に、本実施形態におけるレゾルバ100の製造方法について説明する。
図10に、本実施形態におけるレゾルバ100の製造方法の一例のフロー図を表す。
図11に、折り曲げプレス加工前の本実施形態におけるステータ200を構成する平板250の斜視図を示す。図11において、図1又は図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態におけるレゾルバ100を製造するために、まず、ステータ形状加工工程においてステータ200の形状を加工した(ステップS10)後に、折り曲げプレス加工工程(曲げ工程)において、平板状のステータ200のステータティースを折り曲げて、複数のステータティースが平板面に対して起こされる(ステップS12)。その結果、図2に示すように、平板250に対してステータティース210a〜210hが起こされる。
即ち、ステップS10のステータ形状加工工程では、ステップS12の折り曲げプレス加工を行うために、図11に示すように、プレス加工により、1枚の電磁鋼板、普通鋼であるSPCC、機械構造用炭素鋼であるS45C又はS10Cを材質とする環状の磁性材料からなる平板の内径側の縁部にステータティースが形成されて、ステータ200の形状が形成される。
そして、ステップS12では、図3に示すように、折り曲げプレス加工により、ステップS10において形成された複数のステータティースを、断面視において、その根元部分がR形状となるように加工される。この結果、ステータティース210a〜210hは、ステータ200の平板面に対して略垂直となるように起こされる。
続いて、絶縁キャップ取り付け工程として、図5に示す絶縁キャップ400を、そのボビンに設けられた挿入孔に、ステップS12で起こされたステータティースを挿入して、平板250に取り付ける(ステップS14)。このとき、絶縁キャップ400に設けられた1又は複数の係止部により、平板250に係止することで取り付けられる。
その後、巻線部材取り付け工程として、ステップS12で起こされたステータティース210a〜210hの各ステータティースを巻線磁芯として、各ステータティースの外側にステータ巻線が設けられる(ステップS16)。こうして起こされたステータティースのそれぞれの周囲に、励磁用の励磁巻線及び検出用の検出巻線が設けられる。なお、ボビンにステータ巻線を取り付けた絶縁キャップ400を、平板250に装着するようにしてもよい。
次に、別工程で、ロータ300がプレス加工により形成される。本実施形態では、ロータ300は、環状の平板であるが、平面視において外径側の外形輪郭線が3周期で変化する形状を有している。そして、ロータ取り付け工程として、ロータ300が、ステータ200に対して回転自在となるように、ステータ200の内径側に設けられる(ステップS18)。より具体的には、ロータ取り付け工程において、ロータ300は、ロータ300の回転軸回りの回転によりロータ300の外側の側面とステータ200の各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するようにステータ200に対して回転可能に設けられる。以上のように、本実施形態におけるレゾルバ100が製造される。
以上説明したように、本実施形態によれば、検出精度をより向上させ、低コストで、部品点数が少ないレゾルバ100を製造できるようになる。
このようなレゾルバ100は、次のような角度検出システムに適用される。
図12に、本実施形態におけるレゾルバ100が適用された角度検出システム10の構成例の機能ブロック図を示す。図12において、図1、図8(A)又は図8(B)と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態における角度検出システム10は、レゾルバ100と、R/D変換器(広義には変換器、変換装置)500とを含む。レゾルバ100は、ステータと、該ステータに対して回転可能に設けられたロータとを含み、1相の励磁信号R1、R2により励磁された状態で、ステータに対するロータの回転角度に応じた2相の検出信号S1〜S4を出力する。R/D変換器500は、レゾルバ100に対する励磁信号R1、R2を生成すると共に、レゾルバ100からの2相の検出信号S1〜S4をデジタル変換したデジタル信号を生成し、シリアルクロックSCKに同期して該デジタル信号に対応したシリアルデータを出力する。このシリアルデータが、レゾルバ100によって検出された回転角度に対応した制御処理に供される。
なお、図12では、R/D変換器500がレゾルバ100の外部に設けられているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、レゾルバ100が、R/D変換器500を内蔵するようにしてもよい。こうすることで、励磁信号及び検出信号にノイズが混入しにくくなり、より一層、角度の検出精度を向上させることができるようになる。
〔具体的なシステム構成例〕
本実施形態におけるレゾルバは、例えば、車載用のモーター又は発電機の角度検出器として搭載されたり、産業機器用のモーター又は発電機の角度検出器として搭載されたりする。以下では、このような角度検出器として上記の実施形態におけるレゾルバが適用される角度検出システムの具体的な構成例について説明する。
図13(A)、図13(B)に、本実施形態におけるレゾルバが適用されるシステムの具体的な構成例を示す。図13(A)は、ハイブリッド車両のモーター及び発電機の回転位置を検出するハイブリッドエンジンシステムの構成例を表す。図13(B)は、車両の操舵装置におけるステアリング操作を補助する電動式のパワーステアリングシステムの構成例を表す。
図13(A)に示すハイブリッドエンジンシステム1200は、エンジン1210、モーター1220、発電機1230、バッテリー1240、インバーター装置1250、動力分配装置1260、ディファレンシャルギヤ1270及び駆動輪1280、1290を有し、図示しない制御システムによって制御される。エンジン1210は、ガソリンエンジンであり、クランク軸1212を回転駆動する。モーター1220及び発電機1230には、インバーター装置1250を介してバッテリー1240が接続されており、バッテリー1240からの電力供給を受けて駆動軸1222を回転駆動する。一方、発電機1230は、回転軸1232の回転により発生させた起電力をインバーター装置1250を介してバッテリー1240に充電することができる。動力分配装置1260には、クランク軸1212、駆動軸1222及び回転軸1232が機械的に結合されている。動力分配装置1260は、これら3軸のうちの2軸の動力に応じて残りの1軸の回転数、トルクが決される特性を有し、例えばクランク軸1212の動力を、回転軸1232に出力する動力やモーター1220との間でやり取りされる動力に分配する。
動力分配装置1260からの動力が伝達され、駆動軸1222に結合される動力伝達ギヤ1272は、ディファレンシャルギヤ1270に結合されており、動力伝達ギヤ1272からの動力は、駆動軸1282を介して駆動輪1280、1290に伝達される。
このようなハイブリッドエンジンシステム1200において、モーター1220の駆動軸1222にロータが取り付けられるレゾルバ1202と、発電機1230の回転軸1232にロータが取り付けられるレゾルバ1204とが設けられる。レゾルバ1202は、モーター1220の駆動軸1222の回転位置(回転角度)を検出し、その検出結果を図示しない制御システムに出力する。レゾルバ1204は、発電機1230の回転軸1232の回転位置(回転角度)を検出し、その検出結果を図示しない制御システムに出力する。図示しない制御システムは、レゾルバ1202、1204からの検出結果に基づいて、例えばエンジン1210の回転角加速度を決定してエンジン1210を制御する。
レゾルバ1202、1204の少なくとも1つは、本実施形態におけるレゾルバが採用される。
これによって、例えばハイブリッド車両が低速時及び停止時には、エンジン1210を停止し、バッテリー1240、インバーター装置1250及びモーター1220により駆動輪1280、1290に動力を伝達させ、それ以外ではエンジン1210及びモーター1220の両方で駆動輪1280、1290に動力を伝達させることができる。そして、減速時や制御時には、駆動輪が1280、1290の駆動によって発電機1230の回転軸を回転させて制動エネルギーを電力に変換して、インバーター装置1250を介してバッテリー1240に充電させる。
なお、ハイブリッドエンジンシステム1200の構成は、図13(A)に示す構成に限定されるものではなく、本実施形態におけるレゾルバは種々の構成のハイブリッドエンジンシステムに適用できる。
図13(B)に示す電動式パワーステアリングシステム1300は、ステアリングホイール1310、ステアリング軸1320、ジョイント1330、ピニオン軸1340、操舵軸1350、モーター1360を有する。ステアリング軸1320の先端に固定されたステアリングホイール1310を回転させると、ジョイント1330を介してピニオン軸1340を回転させる。ピニオン軸1340の回転力は、操舵軸1350の軸線方向の往復動に変換され、図示しない操舵輪の転蛇角を変化させる。この操舵軸1350にはモーター1360が同軸状に結合されており、ステアリングホイール1310の回転による操舵軸1350の往復動を補助するようにモーター1360が駆動力を与えるようになっている。
このような電動式パワーステアリングシステム1300において、モーター1360の駆動軸にロータが取り付けられるレゾルバ1370が設けられる。レゾルバ1370は、モーター1360の駆動軸の回転位置(回転角度)を検出し、その検出結果を図示しない制御システムに出力する。図示しない制御システムは、レゾルバ1370からの検出結果に基づいて、例えばステアリングホイール1310の回転方向を検出し、その方向の回転力を補助するようにモーター1360を制御する。
レゾルバ1370は、本実施形態におけるレゾルバが採用される。
なお、電動式パワーステアリングシステム1300の構成は、図13(B)に示す構成に限定されるものではなく、本実施形態におけるレゾルバは種々の構成の電動式パワーステアリングシステムに適用できる。
また、本実施形態におけるレゾルバは、上記のシステムに適用されるものに限定されず、産業機器やその他の種々のシステムに適用できることは言うまでもない。
以上、本発明に係るレゾルバ及びレゾルバの製造方法を本実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
(1)本実施形態では、レゾルバが、1相励磁2相出力型であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態におけるレゾルバが、励磁信号が1相以外の相を有する信号であったり、検出信号が2相以外の相を有する信号であったりしてもよい。
(2)本実施形態では、磁性材料からなるステータの材質が1枚の電磁鋼板、普通鋼又は機械構造用炭素鋼鋼材であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
(3)本実施形態では、ステータが8個のステータティースを有するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ステータが有するステータティースが、10個、12個又は14個であってもよい。
(4)本実施形態では、いわゆるインナーロータ型の角度検出装置としてのレゾルバを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明に係るレゾルバが、いわゆるアウターロータ型であってもよい。この場合、ステータティースの外側(外径側、外周側)の面と対向するロータの内周側の面が、ロータの1回転につき3周期でギャップパーミアンスが変化する。
(5)本実施形態では、軸倍角「3」のロータを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば軸倍角「5」のロータであってもよい。この場合、環状の平板であるロータの形状が、所与の半径の円周線を基準に、該円周線の1周につき、平面視において外径側の外形輪郭線を5周期で変化する形状とするようにしてもよい。即ち、ロータは、平面視において、平板の内側輪郭線の径が周期的に変化する形状を有する。
(6)本実施形態では、すべての係止部がステータの平板の縁部に係止するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも1つの係止部が、ステータの平板の縁部に係止するものであればよい。
(7)本実施形態では、絶縁キャップ400を介してステータ巻線をステータティースの外側に設ける例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、絶縁キャップ400が省略された構成であってもよい。
10…角度検出システム、 100…レゾルバ、 200…ステータ、
210a〜210h…ステータティース、 250…平板、 300…ロータ、
400…絶縁キャップ、 410a〜410h…ボビン、 450…コネクタ部、
452,454,470a〜470g…係止部、 461〜466…端子ピン挿入孔、
471〜476…端子ピン、 480a〜480g…渡りピン、
500…R/D変換器、 1200…ハイブリッドエンジンシステム、
1210…エンジン、 1212…クランク軸、 1220,1360…モーター、
1222,1282…駆動軸、 1230…発電機、 1232…回転軸、
1240…バッテリー、 1250…インバーター装置、 1260…動力分配装置、
1270…ディファレンシャルギヤ、 1272…動力伝達ギヤ、
1280,1290…駆動輪、 1300…電動式パワーステアリングシステム、
1310…ステアリングホイール、 1320…ステアリング軸、
1330…ジョイント、 1340…ピニオン軸、 1350…操舵軸

Claims (11)

  1. 環状の磁性材料の平板に形成され曲げ加工により該平板面に対して起こされた複数のステータティースを有し、各ステータティースを巻線磁芯として励磁用の巻線部材及び検出用の巻線部材が設けられたステータと、
    磁性材料からなり、回転軸回りの回転により前記各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するように前記ステータに対して回転可能に設けられたロータとを含み、
    前記曲げ加工による曲げ内側の各ステータティース及び前記平板の断面形状が、R形状であることを特徴とするレゾルバ。
  2. 請求項1において、
    前記曲げ加工による曲げ内側における前記磁性材料の実効透磁率が変化しないように、前記複数のステータティースは、前記平板面に対して起こされていることを特徴とするレゾルバ。
  3. 請求項1又は2において、
    前記曲げ加工における曲げ半径をr1、平板の厚さをtとしたとき、r1≧tの関係を有することを特徴とするレゾルバ。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    前記平板の厚さをtとしたとき、前記曲げ加工における曲げ半径の中心から曲げ外側の面までの距離r2は、次式の関係を有することを特徴とするレゾルバ。
    Figure 2010239692
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記ロータの回転により、前記ロータの外側と前記各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するインナーロータ型であることを特徴とするレゾルバ。
  6. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記ロータの回転により、前記ロータの内側と前記各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するアウターロータ型であることを特徴とするレゾルバ。
  7. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    前記ステータに対する前記ロータの回転角に応じた前記巻線部材からの出力信号に対応したデジタル信号を出力する変換器を含むことを特徴とするレゾルバ。
  8. レゾルバの製造方法であって、
    磁性材料からなる環状の平板の縁部に形成されたステータの複数のステータティースを曲げ加工する曲げ工程と、
    前記複数のステータティースの各ステータティースを巻線磁芯として励磁用及び検出用の複数のステータ巻線を取り付ける巻線部材取り付け工程と、
    磁性材料からなり、回転軸回りの回転により前記各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するように前記ステータに対して回転可能にロータを取り付けるロータ取り付け工程とを含み、
    前記曲げ工程は、
    曲げ内側の各ステータティース及び前記平板の断面形状が、R形状となるように前記複数のステータティースを前記平板面に対して起こすことを特徴とするレゾルバの製造方法。
  9. 請求項8において、
    前記曲げ工程は、
    前記曲げ加工による曲げ内側における前記磁性材料の実効透磁率が変化しないように、前記複数のステータティースを、前記平板面に対して起こすことを特徴とするレゾルバの製造方法。
  10. 請求項8又は9において、
    前記曲げ加工における曲げ半径をr1、平板の厚さをtとしたとき、r1≧tの関係を有することを特徴とするレゾルバの製造方法。
  11. 請求項8乃至10のいずれかにおいて、
    前記平板の厚さをtとしたとき、前記曲げ加工における曲げ半径の中心から曲げ外側の面までの距離r2は、次式の関係を有することを特徴とするレゾルバの製造方法。
    Figure 2010239692
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