JP4575331B2 - レゾルバ - Google Patents

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この発明は、励磁巻線に励磁電圧が印加された状態で、ロータの回転に伴うギャップパーミアンスの変化を出力巻線からの出力電圧として検出し、この出力電圧からロータの回転角度を検出するレゾルバに関するものである。
従来、リング形状で径内側方向に突出した複数のティースが周方向に間隔をおいて形成されたステータコアと、前記ステータコアの周方向に沿って連続的に各前記ティース毎にそれぞれインシュレータを介して導線を巻回して構成された、励磁巻線及び出力巻線と、前記ステータコアの中心に回転可能に設けられ、回転角度に応じてステータコアとの間でのギァップパーミアンスが正弦波状に変化する外周曲線を有するロータとを備え、前記励磁巻線及び前記出力巻線では、それぞれ前記導線が巻回される隣接した各前記ティース同士では、互いに異なる方向に巻回されたコイル部を有しているレゾルバが知られている(例えば、特許文献1)。
特許第3588455号公報
しかしながら、このレゾルバの場合、コイル部同士を接続する各渡り線が、ステータコアの周方向に沿って片側に設けられており、そのためそれぞれのティースに導線を同一巻回数で巻回しても、時計方向に巻回されたコイル部と、反時計方向に巻回されたコイル部とでは、導線の巻き始め部と巻き終わり部とにおける形態が異なり、各ティースにおいて実質的に導線の巻回数が異なり、このことにより回転角度検出誤差が生じてしまうという問題点があった。
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、各コイル部の導線の巻回数を実質的に一致させて回転角度検出誤差を低減したレゾルバを提供することを目的とする。
この発明に係るレゾルバは、リング形状で径内側方向に突出した複数のティースが周方向に間隔をおいて形成されたステータコアと、前記ステータコアの周方向に沿って連続的に各前記ティース毎にそれぞれインシュレータを介して導線を巻回して構成された、励磁巻線及び出力巻線と、前記ステータコアの中心に回転可能に設けられ、回転角度に応じてステータコアとの間でのギァップパーミアンスが正弦波状に変化する外周曲線を有するロータとを備え、前記励磁巻線及び前記出力巻線は、それぞれ前記導線が巻回される隣接した各前記ティース同士では、互いに異なる方向に巻回されたコイル部を有しており、前記励磁巻線に励磁電圧が印加された状態で、前記ロータの回転に伴う前記ギャップパーミアンスの変化を前記出力巻線からの出力電圧として検出し、この出力電圧から前記ロータの回転角度を検出するレゾルバにおいて、各前記コイル部同士を接続する各渡り線は、前記ステータコアの周方向に沿って側面の両側に交互に設けられており、各前記渡り線は、前記インシュレータに形成された突起状のガイドで案内されている。
この発明に係るレゾルバによれば、各コイル部の導線の巻回数を実質的に一致させることで、回転角度検出誤差を低減させることができる。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において同一または相当の部材、部位については同一符号を付して説明する。
図1はこの発明の実施の形態1のレゾルバ9が組み込まれた電動パワーステアリング装置用モータ(以下、「モータ」と略称する)1の側断面図である。
モータ1は、有底円筒形状のフレーム2と、このフレーム2に固定された固定子3と、この固定子3の内側に回転可能に設けられた回転子6と、フレーム2の周縁部にボルト7で固定されるとともに作業用孔50を有するブラケット8と、ブラケット8に固定されたレゾルバ9とを備えている。
また、モータ1は、ブラケット8に嵌着されているとともにシャフト4を回転自在に支持したブラケット側軸受10と、フレーム2の底面の凹部に固定されているとともにシャフト4を回転自在に支持したフレーム側軸受11と、固定子3のブラケット側軸受10側の側面に固定された結線板12と、グロメット13を貫通した、各相リード線14および束ねられた複数のセンサ信号線15と、各相リード線14と結線板12とを接続する接続ベース16とを備えている。
前記固定子3は、軸線方向に延びたスロット(図示せず)が周方向に間隔をおいて形成された固定子鉄心17と、固定子鉄心17のスロットに巻装された固定子巻線18と、固定子鉄心17と固定子巻線18との間に設けられたボビン19とを備えている。
前記レゾルバ9は、シャフト4に固定された楕円形状のロータ20と、ロータ20の外周に設けられたステータコア21と、ステータコア21に導線が巻回して構成された、後で詳述する巻線とを備えている。
回転子6は、シャフト4と、このシャフト4の外周面に固定されたN磁極、S磁極からなる円筒状の磁石5とを備えている。
前記結線板12は、溝部を有するホルダ22と、各溝部に収まったU相、V相、W相の各固定子側ターミナル23と、各相の固定子側ターミナル23の先端部から接続ベース16側に延びた接続部27を備えている。この各相の固定子側ターミナル23は、固定子巻線18に接続されており、平面状に展開したときには帯状であり、各溝部に収まっているときには、円形状である。
前記接続ベース16は、埋設された雌ねじ部であるナット26と、各相の固定子側ターミナル23のそれぞれから軸線方向に挿入口から突出した接続部27を通じて接続されているとともにナット26とともにインサートモールド成形で一体化された各相の接続ターミナル28とを備えている。
この接続ターミナル28には、U相、V相、W相の各相のリード線14の端部に形成された各相のリード線側ターミナル29が重ねられ、リード線側ターミナル29の貫通孔(図示せず)と接続ターミナル28の貫通孔(図示せず)とリード線側ターミナル29の貫通孔(図示せず)を通じて雄ねじ部材であるねじ30をベース部25に螺着することで接続されている。
上記構成のモータ1では、各相のリード線14から電流が流れ、固定子巻線18には回転磁界が与えられ、回転子6は回転する。回転子6のシャフト4の回転力は、シャフト4の端部に形成されたボス35を通じてステアリング機構に伝達され、ハンドルの操舵力のアシストに供される。
また、楕円形状のロータ20の回転により、ステータコア21とロータ20との間のギャップパーミアンスが変化し、この変化を巻線からの出力電圧として検出し、この出力電圧は、センサ信号線15を通じて出力回路に出力され、そこで回転子6の回転角度が検知される。
次に、上記レゾルバ9の構成について詳述する。
図2は図1のレゾルバ9を示す正面図、図3は図2のレゾルバを示す裏面図、図4は上カバー33及び下カバー37が除かれた図2のレゾルバ9を示す正面図、図5は図4のレゾルバを示す裏面図である。
ステータコア21は、円環状で内側には、周方向に等分間隔で内径側に突出した8個のティース30が形成されている。また、両側には、ブラケット8とねじ(図示せず)により固定される耳部32が形成されている。
ステータコア21には、ティース30に樹脂製のインシュレータ34を介して導線が巻回された巻線35が装着されている。インシュレータ34の片側には、端子38を有するコネクタ36が形成されている。このインシュレータ34の上側は、巻線35及び端子38を覆った上カバー33が嵌着されている。このインシュレータ34の下側は、下カバー37が嵌着されている。
ロータ20は、珪素鋼板を積層して構成されており、その外形は、ステータコア21とロータ20との間のギャップパーミアンスが、ロータ20の回転角度に応じて正弦波状に変化する、特殊曲線になっている。
図6は励磁巻線40のステータコア21における位置を示した図、図7は図6のレゾルバ9を裏側から視たときの図、図8はScos出力巻線43のステータコア21における位置を示し、図9は図8のレゾルバ9を裏側から視たときの図、図10はSsin出力巻線44のステータコア21における位置を示した図、図11は図10のレゾルバ9を裏側から視たときの図、図12は各ティース30に導線41A,41B,41Cが巻回されて形成された励磁巻線40、Scos出力巻線43及びSsin出力巻線44の各結線図である。
なお、各図6、図8及び図10において示された「R」は、ステータコア21の中心から径方向外側に沿って視たときの導線41A,41B,41Cの巻回方向が時計方向であることを示しており、「L」は、導線の巻回方向が反時計方向であることを示している。
また、図8〜図11においては、励磁巻線40は、省略されている。
図4で示した巻線35は、1相の励磁巻線40と、2相のScos出力巻線43及びSsin出力巻線44とで構成されており、ステータコア21には、励磁巻線40が装着された後に、Scos出力巻線43、Ssin出力巻線44が装着されているので、レゾルバ9の外側からは、励磁巻線40は見えない。
図12に示すように、励磁巻線40は、導線41Aの一端部を端子38のR1に接続して導線41Aの巻き始めとし、8箇所のティース30に巻回方向を時計方向、反時計方向に交互に変えながら連続的に巻回し、導線41Aの他端部を端子38のR2に接続して、導線41Aの巻き終わりとしている。励磁巻線40は、センサ信号線15を通じて図示しない励磁回路に接続されている。
Scos出力巻線43は、導線41Bの一端部を端子38のS1に接続して導線41Bの巻き始めとし、一つおきに4箇所のティース30に巻回方向を時計方向、反時計方向に交互に変えながら連続的に巻回し、導線41Bの他端部を端子38のS3に接続して、導線41Bの巻き終わりとしている。
Ssin出力巻線44は、導線41Cの一端部を端子38のS4に接続して導線41Cの巻き始めとし、一つおきに4箇所のティース30に巻回方向を時計方向、反時計方向に交互に変えながら連続的に巻回し、導線41Cの他端部を端子38のS2に接続して、導線41Cの巻き終わりとしている。
Scos出力巻線43及びSsin出力巻線44は、センサ信号線15を通じて図示しない出力回路に接続されている。
励磁巻線40、Scos出力巻線43及びSsin出力巻線44は、図13から分かるように、それぞれ導線41A,41B,41Cが巻回される隣接した各ティース30同士では、互いに異なる方向に巻回されたコイル部40a,43a,44aを有している。
また、各コイル部40a,43a,44a同士は、渡り線40b,43b,44bを介して接続されている。各渡り線40b,43b,44bは、ステータコア21の周方向に沿って側面の両側に交互に設けられている。各渡り線40b,43b,44bは、インシュレータ34に形成された突起状のガイド60A,60Bで案内されている。
次に、上記構成のレゾルバ9の動作について、図14に示した配線図及び図15に示した出力電圧振幅変化の特性図に基づいて説明する。
励磁巻線40には、一例として10kHz、5Vppの正弦波信号が印加されている。ロータ20が回転すると、ステータコア21とロータ20との間のリラクタンスが変化し、図15に示した2相のScos出力巻線43及びSsin出力巻線44の振幅と励磁電圧に対する位相とが変化する。Scos出力巻線43とSsin出力巻線44との出力電圧の振幅変化は位相が90度ずれており、この信号を検出回路によって信号処理することにより、回転角度を検出することができる。
ここで、励磁電圧を
V=E・sinωt・・・(1)
2相の出力電圧を
Scos=K・E・sinωt・cos(θ)・・・(2)
Ssin=K・E・sinωt・sin(θ)・・・(3)
Eは入力電圧、Kはレゾルバ9の変圧比、ωは励磁電圧の角速度、tは時間、θはレゾルバ9の電気角としたとき、角度θは以下の式で求められる。
θ=tan−1(Ssin/Scos)・・・(4)
この際、出力電圧は励磁電圧と同じく10kHzの正弦波で出力されているので、振幅値として検出し、出力の符号は励磁電圧と出力電圧が同相の場合を正、逆相の場合を負として計算する。
ところで、一例として、励磁巻線40において1ティース30当たり導線41Aの巻回数を50ターン、Scos出力巻線43及びSsin出力巻線44において1ティース30当たり導線41B,41Cの巻回数を160ターンとすると、Scos出力巻線43及びSsin出力巻線44の導線41B,41Cの巻回数が1ターン変わっただけでも出力電圧の振幅が変化し、上式(4)で計算された回転角度によると、機械角で0.5度程度の誤差が発生してしまい、レゾルバ9が搭載されたモータ1の性能に大きな影響を与えることになる。
図16に示した従来のものでは、各渡り線40b,43b,44bが、ステータコア21の周方向に沿って片側に設けられており、各隣接したコイル部40a,43a,44a同士の導線41A,41B,41Cの巻回数を実質的に一致させることができない。
これに対して、この実施の形態のレゾルバ9によれば、各コイル部40a,43a,44a同士を接続する、各渡り線40b,43b,44bは、ステータコア21の周方向に沿って側面の両側に交互に設けられているので、隣接したコイル部40a,43a,44a同士において互いに異なる方向に導線41A,41B,41Cが巻回された励磁巻線40、Scos出力巻線43及びSsin出力巻線44でも、各コイル部40a,43a,44a同士の導線41A,41B,41Cの巻回数を実質的に一致させることができ、回転誤差を低減させることができる。
また、各渡り線40b,43b,44bは、インシュレータ34に形成された突起状のガイド60A,60Bで案内されているので、ステータコア21の周方向に沿って側面の両側に交互に円滑に位置決めされる。
なお、上記の実施の形態では、電動パワーステアリング装置用モータに適用されたレゾルバ9について説明したが、このレゾルバ9は他の装置にも適用できるのは勿論である。
この発明の実施の形態1のレゾルバが組み込まれた電動パワーステアリング装置用モータの側断面図である。 図1のレゾルバを示す正面図である。 図2のレゾルバを示す裏面図である。 レゾルバの上カバー及び下カバーが除かれた図2のレゾルバを示す正面図である。 図4のレゾルバを示す裏面図である。 図1のレゾルバの励磁巻線のステータコアにおける位置を示した図である。 図6のレゾルバを裏側から視たときの図である。 図1のレゾルバのScos出力巻線のステータコアにおける位置を示した図である。 図8のレゾルバを裏側から視たときの図である。 図1のレゾルバのSsin出力巻線のステータコアにおける位置を示した図である。 図10のレゾルバを裏側から視たときの図である。 図1のレゾルバの励磁巻線、Scos出力巻線及びSsin出力巻線の各結線図である。 図12の励磁巻線、Scos出力巻線及びSsin出力巻線における各導線の巻回状態を説明する図である。 図1のレゾルバの配線図である。 図1のレゾルバの出力電圧振幅変化を示す特性図である。 従来の励磁巻線、Scos出力巻線及びSsin出力巻線における各導線の巻回状態を示す図である。
符号の説明
1 モータ、4 シャフト、9 レゾルバ、15 センサ信号線、20 ロータ、21 ステータコア、30 ティース、34 インシュレータ、35 巻線、36 コネクタ、38 端子、40 励磁巻線、40a コイル部、40b 渡り線、41A,41B,41C 導線、43 Scos出力巻線、43a コイル部、43b 渡り線、44 Ssin出力巻線、44a コイル部、44b 渡り線、60A,60B ガイド。

Claims (3)

  1. リング形状で径内側方向に突出した複数のティースが周方向に間隔をおいて形成されたステータコアと、
    前記ステータコアの周方向に沿って連続的に各前記ティース毎にそれぞれインシュレータを介して導線を巻回して構成された、励磁巻線及び出力巻線と、
    前記ステータコアの中心に回転可能に設けられ、回転角度に応じてステータコアとの間でのギァップパーミアンスが正弦波状に変化する外周曲線を有するロータとを備え、
    前記励磁巻線及び前記出力巻線は、それぞれ前記導線が巻回される隣接した各前記ティース同士では、互いに異なる方向に巻回されたコイル部を有しており、
    前記励磁巻線に励磁電圧が印加された状態で、前記ロータの回転に伴う前記ギャップパーミアンスの変化を前記出力巻線からの出力電圧として検出し、この出力電圧から前記ロータの回転角度を検出するレゾルバにおいて、
    各前記コイル部同士を接続する各渡り線は、前記ステータコアの周方向に沿って側面の両側に交互に設けられており、
    各前記渡り線は、前記インシュレータに形成された突起状のガイドで案内されていることを特徴とするレゾルバ。
  2. 隣接した前記コイル部同士は、前記導線の巻回数が同じであることを特徴とする請求項1に記載のレゾルバ。
  3. 前記ロータは、パワーステアリング装置用モータの回転子のシャフトに固定されることを特徴とする請求項1または2に記載のレゾルバ。
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