JP2010221758A - 車両用操舵装置のクラッチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】操舵時、内輪カム18と外輪19の間に楔状に噛み込むローラ20の内輪カム18との接触面(ローラ接触面18b)を、ローラ20が内輪カム18と外輪19に接触する位置である接触位置における外輪19の接線方向に傾斜する傾斜面により形成した。
【選択図】図4
Description
(第1実施の形態)
図1は、この発明の第1実施の形態に係る車両用操舵装置のクラッチが備えられた車両用操舵装置を示す説明図である。図1に示すように、車両用操舵装置のクラッチ10は、車両用操舵装置11に備えられており、ステアリングホイール(操舵輪)12と、ステアリングホイール12により操舵される操向輪13とを、機械的に接続又は切断することができる。
図2及び図3に示すように、クラッチ10は、内輪カム18、外輪19及び複数(一例として、8個を図示)のローラ(係合子)20を有しており、内輪カム18の外面(外周面)18aと外輪19の内面(内周面)19aとの間にローラ20が噛み込んで係合することにより締結状態となり、内輪カム18の外面18aと外輪19の内面19aの間に係合していたローラ20の係合が解除されることにより解放状態となる。
内輪カム18と内輪カム18を覆う外輪19との間には、入力軸21方向に重ねて摺動保持器22と回転保持器23が、それぞれの脚部22a,23aを交互に位置させて配置されている。両脚部22a,23aは何れも、重なり合う内輪カム18の外面18aと外輪19の内面19aの間に形成される空間を自由に移動することができる。
ローラ20は、例えば、円柱状に形成されて、内輪カム18の外面18aに接触しつつ移動可能に配置されており、バネ部材25の両側に位置する2個のローラ20,20は、バネ部材25に付勢されて、一方は脚部22aに、他方は脚部23aに、それぞれ押し当てられている。
図4は、内輪カムの外面の脚部側部分を拡大して示す入力軸半径方向に沿う面から見た説明図である。図4に示すように、内輪カム18のローラ接触面18bは、内輪カム18の外面18aに対し内輪カム18の回動中心軸方向に傾斜(外輪の接線方向に傾斜)した、例えば、平坦面からなる傾斜面により形成されている。つまり、ローラ接触面18bが傾斜面により形成されているので、楔形状空間のローラ20噛み込み部分は、傾斜面でない場合(接触面が、2つのローラ20、20に接触する1平面である場合)に比べ、噛み込み先に向かうに連れて狭まる度合いが緩やかになっている。
(クラッチ締結時)
図3に示すように、クラッチ10は、クラッチ締結時、電磁コイル29が無励磁状態にあり、各ローラ20は、バネ部材25に付勢されて、脚部22a或いは脚部23aに押し当てられている。各ローラ20を介して、脚部22a或いは脚部23aにバネ部材25の付勢力が作用することにより、脚部22aと脚部23aは、互いに離反するように押し広げられ、摺動保持器22と回転保持器23が互いに逆向きに内輪カム18の回りを移動する。
(クラッチ解放時)
図5は、図1のクラッチの解放状態を示し、(a)は入力軸方向に沿う面から見た説明図、(b)はローラ位置の入力軸半径方向に沿う面から見た説明図である。
そして、両ローラ20,20が、内輪カム18と外輪19との噛み込み位置から離脱することにより、入力軸21に連結する内輪カム18と、出力軸に連結する外輪19の締結が解除され、解放状態になる。
これに対し、内輪カム18の外面18aに下がり傾斜となる傾斜面を形成しない場合、ローラ20が内輪カム18と外輪19に接触する際に接触音が発生することが避けられない。つまり、外面18aがそのまま延長されていると、ローラ20が入り込む内輪カム18と外輪19の間隙が急に狭くなってローラ20の噛み込み速度が速く、即ち、噛み込み動作が一気に行われることになる。
図6に示すように、ステアリングホイール12を操作したときの左右転舵方向により、転舵操作に伴って内輪カム18が回動し、バネ部材25の両端に設けられたローラ20,20がそれぞれ内輪カム18と外輪19の間に噛み込む。
図7は、この発明の第2実施の形態に係る内輪カムの外面の脚部側部分を拡大して示し、(a)は転舵操作開始前の入力軸半径方向に沿う面から見た説明図、(b)は転舵操作開始後の入力軸半径方向に沿う面から見た説明図である。図7に示すように、この第2実施の形態に係る内輪カム18は、外面18aのローラ接触面18bが、内輪カム18の中心軸に向かう下がり傾斜となる傾斜面により形成されているのに加え、その傾斜面が上向き凸状の曲面により形成されている。その他の構成及び作用は、第1実施の形態に係る内輪カム18と同様である。
このように、ローラ接触面18bが、内輪カム18の中心軸に向かう下がり傾斜に加え、上向き凸状の曲面からなる傾斜面により形成されていることから、ローラ20が入り込む内輪カム18と外輪19の間隙の入り込み量に対する減少率が、曲面でない傾斜面の場合に比べて更に小さくなり、ローラ20が噛み込む際の噛み込み度合いが更に緩和されることになる。
図8は、この発明の第3実施の形態に係る内輪カムの外面の脚部側部分を示し、(a)はローラ噛み込み前の入力軸半径方向に沿う面から見た説明図、(b)はローラ噛み込み後の入力軸半径方向に沿う面から見た説明図である。
図8に示すように、この第3実施の形態に係る内輪カム18は、ローラ20が内輪カム18と外輪19の間隙に入り込み噛み込み状態になる際に、ローラ20が接触しつつ移動する、少なくとも内輪カム18の外面18aの脚部側部分であるローラ接触面18bに、ローラ噛み込み時に接触音を発生し難くする接触音発生抑制部30を設けている。その他の構成及び作用は、上記実施の形態に係る内輪カム18と同様である。
このような部材の一例として、ナイロン66やポリアミドイミド等の高い強度を有する樹脂部材があり、この樹脂部材を成型して、クラッチ締結時にローラ20と内輪カム18が接触するローラ接触面18bを形成するように、内輪カム18に組み込むことにより、金属同士の接触を防止する。なお、接触音発生抑制部材30は、少なくとも脚部側部分であるローラ接触面18bに設けられていれば良いが、外面18a全域に設けても良い。
ここでは、接触音発生抑制層31を外輪19の内面19aに塗布したが、外輪19の内面19aではなく内輪カム18の外面18aに、外輪19の内面19aに塗布するのと同様に塗布しても良い。この場合、少なくとも移動するローラ20が接触する面を塗布する。このように、接触音発生抑制層31を内輪カム18の外面18aに塗布しても、外輪19の内面19aに塗布した場合と同様の効果を得ることができる。
このように、接触音発生抑制部材30を設けたり、接触音発生抑制層31や接触音発生抑制層32を形成したりすることで、クラッチ10の締結時、何れも金属部材からなるローラ(例えば、機械構造用鋼記号:SUJ2)と内輪カム(例えば、機械構造用鋼記号:SCr420)及び外輪(例えば、機械構造用鋼記号:SCr420)とが直接接触せずに、弾性力を備えた樹脂部材を介在させることになるので、接触音を発生させてしまう金属部材同士の直接接触を防止している。
上述した第1実施の形態から第3実施の形態において説明した各構成は、必要に応じ、それぞれ個別に或いは任意に組み合わせて選択的に適用しても良く、また、全てを同時に適用しても良い。
11 車両用操舵装置
12 ステアリングホイール
13 操向輪
14 ステアリングコラム軸
15 ラックギヤ
16 タイロッド
17 トルクセンサ
18 内輪カム
18a 外面
18b ローラ接触面
19 外輪
19a 内面
20 ローラ
21 入力軸
22 摺動保持器
22a,23a 脚部
22b,23b 円環部
23 回転保持器
24 アーマチュア
25 バネ部材
26 バネ保持部材
27 ボールカム機構
27a カム溝
27b ボール
28 ロータ
29 電磁コイル
Claims (6)
- 操舵輪の操作に連動して軸周方向に回動する入力軸に連結され、前記入力軸に連動して回動する内輪カムと、
前記内輪カムを覆って前記内輪カムの回りを回動自在に配置され、回動を操向輪へ伝達する外輪と、
前記内輪カムと前記外輪の重なり空間に配置され、操舵による前記入力軸の回動時、前記内輪カムの外面と前記外輪の内面との間に楔状に噛み込む係合子とを有し、
前記内輪カムの外面の、前記係合子が噛み込む際に前記外輪の内面との間に挟まれる前記係合子が接触する係合子接触面を、前記係合子が前記内輪カムと前記外輪に接触する位置である接触位置における前記外輪の接線方向に傾斜した傾斜面により形成し、
前記係合子が噛み込み前記内輪カムと前記外輪が係合することにより、前記入力軸を経て入力した操舵トルクが前記走行輪に伝達される締結状態となり、前記係合子の噛み込みが解除され前記内輪カムと前記外輪の係合が解除されることにより、前記操舵トルクが前記走行輪へ伝達されない解放状態となる車両用操舵装置のクラッチ。 - 前記係合子接触面は、平面或いは曲面である請求項1に記載の車両用操舵装置のクラッチ。
- 前記内輪カムの少なくとも前記係合子接触面に、係合子噛み込み時に接触音を発生し難くする接触音発生抑制部を設けた請求項1または2に記載の車両用操舵装置のクラッチ。
- 前記外輪の内面の少なくとも前記係合子が接触する部分に、係合子噛み込み時に接触音を発生し難くする接触音発生抑制層を形成した請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用操舵装置のクラッチ。
- 前記係合子の、少なくとも前記係合子が噛み込む際に前記内輪カムの外面と前記外輪の内面に接触する部分に、係合子噛み込み時に接触音を発生し難くする接触音発生抑制層を形成した請求項1から4のいずれか一項に記載の車両用操舵装置のクラッチ。
- 前記操舵輪の操作情報に基づく電気信号により作動する転舵アクチュエータによって前記操向輪を転舵駆動するステアバイワイヤシステムに備えられる請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用操舵装置のクラッチ。
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