JP6443673B2 - ステアリング装置 - Google Patents
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ところで、回転規制機構の部品点数を削減するために回転規制機構としてねじ軸およびナットからなる構成を採用した場合を想定する。この場合、操舵部材の回転角度が最大になって操舵部材の回転が規制された状態から操舵部材の回転方向を切り換える際、ねじ軸との間に発生する軸方向の分力によってナットの回転がロックされることがある。これにより、操舵部材を円滑に回転操作できなくなる虞がある。
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
係合部と規制部との係合状態で、操舵部材とともに回転する駆動部材の回転が規制される際、駆動歯および従動歯の軸方向に延びる歯面同士が係合する。そのため、駆動部材と従動部材との間には、軸方向の分力が発生しないので、駆動部材は、ねじ軸にロックされない。したがって、回転規制後の操舵部材の始動を円滑に行うことができる。
請求項4記載の発明によれば、ねじ軸が操舵部材と一体回転するシャフトと平行に配置されているため、ねじ軸の軸方向の両側において部品の共通化を図ることができる。
図1は、本発明の一実施形態のステアリング装置1の概略構成を示す模式図である。ステアリング装置1は、転舵輪3を転舵するための転舵機構Aに対するステアリングホイール等の操舵部材2の機械的な連結が解除された、いわゆるステアバイワイヤシステムを構成している。
操舵部材2は、シャフトとしての操舵軸9に連結されている。操舵軸9は、操舵部材2と一体回転可能である。操舵軸9には、路面等から転舵輪3に伝わる反力を、操舵軸9を介して、操舵反力として操舵部材2に与えるための反力モータ10が取り付けられている。反力モータ10は、ブラシレスモータ等の電動モータを含む。反力モータ10は、車体Bに固定された第1ハウジング11内に収容されている。
一方、ステアリング装置1には、転舵輪3に関連して、転舵輪3の転舵角θw(タイヤ角)を検出するための転舵角センサ14が設けられている。
前記のセンサ類12〜18の各検出信号は、マイクロコンピュータを含む構成の電子制御ユニットである制御装置としてのECU19に入力されるようになっている。
一方、ECU19は、センサ類12〜18が出力する検出信号に基づいて、操舵部材2が操舵された方向と逆方向を向く適当な反力が操舵部材2に付与されるように、駆動回路20Bを介して、反力モータ10を駆動制御(反力制御)する。
図2を参照して、操舵軸9は、筒状の第1ハウジング11によって回転可能に支持されている。第1ハウジング11から操舵軸9の一端が突出しており、前記一端に、操舵部材2が一体回転可能に連結されている。第1ハウジング11内には、前記の操舵角センサ12、トルクセンサ13および反力モータ10が収容されている。
第1軸受25は、入力軸22の軸方向(操舵軸9の回転軸線方向X1)の中間部を回転可能に支持している。第2軸受26および第3軸受27は、出力軸24を回転可能に支持している。具体的には、第2軸受26は、出力軸24の一端24a付近を回転可能に支持しており、第3軸受27は、出力軸24の他端24bを回転可能に支持している。
第1ハウジング11は、ハウジング本体31と端壁32とを組み合わせて構成されている。ハウジング本体31は、筒状をなし、一端31aおよび他端31bを有している。第1ハウジング11の端壁32は、概ね板状をなし、ハウジング本体31の他端31bを閉塞している。
第2軸受26は、ハウジング本体31の軸方向の中間部に設けられた軸受保持部38に保持され、出力軸24の一端24a付近の外周を回転可能に支持している。第2軸受26は、軸受保持部38に嵌合固定された外輪39と、出力軸24の外周に一体回転可能に嵌合された内輪40とを含む。
ステアリング装置1は、操舵部材2の回転角度を規制する回転規制機構81を備えている。回転規制機構81は、第1ハウジング11と一体に形成された第2ハウジング82内に収容されている。第2ハウジング82内の空間は、第1ハウジング11のハウジング本体31内の空間に連通している。
図3を参照して、回転規制機構81は、軸方向X2に延びるねじ軸83と、ナットからなる単一の駆動部材84と、軸方向X2における駆動部材84の両側に配置された従動部材85とを含む。
また、回転規制機構81は、第2ハウジング82と一体に設けられ、回転不能且つ軸方向移動不能に軸方向X2におけるねじ軸83の両端を固定する一対の固定部86と、各固定部86と対応する従動部材85との間に介在する一対の付勢部材87とを含む。
駆動部材84は、ねじ軸83のねじ部83aに螺合する。駆動部材84の外周面には、第1ギヤ80と噛み合う第2ギヤ88が設けられている。そのため、駆動部材84は、操舵軸9の第1ギヤ80を介して操舵部材2とともに回転可能である(図2参照)。その際、駆動部材84は、ねじ軸83の回転軸線L2を中心とする回転方向Rに回転しながら軸方向X2に沿って移動する。駆動部材84の各軸方向端面84a,84bには、軸方向X2に起伏し周方向Cに並ぶ複数の駆動歯89が形成されている。
図4は、ねじ軸83の軸方向X2から見た固定部86の対向面86aの一部を示した図である。図4を参照して、規制部92は、例えば、駆動部材84の回転方向Rに沿って等間隔で並ぶように対向面86aに形成された複数(係合部91のピンの数以上の数)の孔である。係合部91が1本のピンである場合、規制部92は、対向面86aに形成された1つの孔であってもよい。
各付勢部材87は、対応する従動部材85をそれぞれ駆動部材84側へ付勢する。付勢部材87は、例えば、軸方向X2に伸縮可能なコイル状の複数のばね等であり、対応する固定部86の対向面86aと、対応する従動部材85の他方の軸方向端面85bとの間で弾性的に圧縮される。付勢部材87は、対応する固定部86または従動部材85のうちの少なくとも一方に対して摺動可能に連結されている。
係合部91と対応する規制部92との係合状態では、図6(b)の状態から駆動部材84を同じ方向にさらに回転させると、駆動部材84が軸方向X2の一方側の従動部材85に対して所定量回転することにより、当該従動部材85が駆動部材84に対して軸方向X2に移動する。これにより、回転規制機構81の状態は、図6(c)に示す状態に変化する。
図6(c)の状態から、操舵部材2を先程とは逆方向に回転させると、駆動部材84が先程とは逆方向に回転する。ここで、軸方向X2の一方側の従動部材85と対応する固定部86との間で圧縮されていた付勢部材87が、圧縮される前の状態に戻ろうとして、軸方向X2の一方側の従動部材85を軸方向X2の他方側(駆動部材84側)に付勢する。そのため、当該従動部材85は、歯頂部97を第1歯面94の歯元側部分94b上で滑らせるように軸方向X2の他方側へ移動する。これにより、駆動部材84および従動部材85は、図6(b)に示す位置を経由して図6(a)に示す位置へ戻る。軸方向X2の一方側の従動部材85が、対応する付勢部材87によって付勢されなくなると、駆動部材84の駆動歯89と従動部材85の従動歯90との係合が解除される。
最終的には、軸方向X2の他方側の従動部材85の係合部91が対応する固定部86の規制部92に軸方向X2に凹凸係合し、駆動部材84の他方側の軸方向端面84bの駆動歯89の第1歯面94の頂部側部分94aと、軸方向X2の他方側の従動部材85の従動歯90の第3歯面98とが係合することによって、駆動部材84および操舵部材2(図2参照)の回転が規制される。このように、駆動部材84の互いに逆向きの回転が対応する従動部材85を介して対応する固定部86の規制部92によって規制される。
係合部91と規制部92との係合状態では、操舵部材2(図2参照)とともに回転する駆動部材84の回転が規制される際、駆動歯89の第1歯面94の軸方向X2に延びる頂部側部分94aと、対応する従動歯90の軸方向X2に延びる第3歯面98とが係合する。そのため、駆動部材84と対応する従動部材85との間には、軸方向X2の分力が発生しないので、駆動部材84は、ねじ軸83にロックされない。したがって、回転規制後の操舵部材2の始動を円滑に行うことができる。
また、ねじ軸83は操舵部材2と一体回転する操舵軸9と平行に配置されているため、ねじ軸83の軸方向X2の両側において部品の共通化を図ることができる。
例えば、本発明の変形例を示した図7に示すように、規制部92は、回転方向Rに隣接する孔同士の一部が重なり合うことによって、全体として環状溝を構成していてもよい。この場合、回転方向Rにおいて係合部91が規制部92に係合可能な箇所が増大するので、係合部91と規制部92とを確実に係合させることができる。
また、本実施形態とは異なり、係合部91が孔であって規制部92がピンであってもよく、係合部91と規制部92との凹凸係合によって従動部材85の回転を規制できればよい。
Claims (4)
- 転舵機構に対する機械的な連結が解除された操舵部材の回転角度を規制する回転規制機構において、
固定部と、
端部が前記固定部に固定され、外周にねじ部と前記ねじ部に隣接するストレート部とを有するねじ軸と、
前記操舵部材とともに回転し前記ねじ部に螺合するナットからなり、軸方向端面に軸方向に起伏し周方向に並ぶ複数の駆動歯が形成された駆動部材と、
前記ストレート部に軸方向移動可能に且つ回転可能に支持され、一方の軸方向端面に前記駆動歯と噛み合い可能な従動歯を有し、他方の軸方向端面に係合部を有する従動部材と、
前記固定部と前記従動部材との間に介在し、前記従動部材を前記駆動部材側へ付勢する付勢部材と、
前記固定部に設けられ、前記付勢部材に抗して接近した前記従動部材の前記係合部と前記軸方向に凹凸係合して前記従動部材の回転を規制する規制部と、を備え、
前記係合部と前記規制部との非係合状態では、前記駆動歯の歯底部の位相と前記従動歯の歯頂部の位相とが一致する状態で前記駆動部材と前記従動部材とが一体回転可能であり、
前記係合部と前記規制部との係合状態では、前記駆動部材が前記従動部材に対して所定量回転することにより、前記駆動歯および前記従動歯の軸方向に延びる歯面同士が係合して前記駆動部材および前記操舵部材の回転が規制されるように構成されているステアリング装置。 - 請求項1において、前記駆動歯は、歯頂部と、前記歯頂部を挟んで配置された第1歯面と第2歯面とを含み、
前記第1歯面は、前記歯頂部から前記軸方向に延びる頂部側部分と、前記頂部側部分から前記歯底部へ延び前記軸方向に対して傾斜する歯元側部分と、を含み、
前記第2歯面は、前記軸方向に対して傾斜し、
前記従動歯は、前記歯頂部を挟んで配置された第3歯面と第4歯面とを含み、
前記第3歯面は、前記第1歯面の前記頂部側部分と回転方向に対向して前記軸方向に延び、
前記第4歯面は、前記軸方向に対して傾斜して前記第2歯面と前記回転方向に対向し、
前記係合部と前記規制部との係合状態では、前記駆動部材が前記従動部材に対して所定回転量回転することにより、前記第1歯面の前記歯元側部分が前記駆動部材の所定回転量の回転を前記従動歯の前記歯頂部の軸方向移動に変換して前記従動部材を前記軸方向に所定量移動させた状態で、前記第1歯面の前記頂部側部分と前記第3歯面とが係合して前記駆動部材および前記操舵部材の回転が規制されるように構成されている、ステアリング装置。 - 請求項1または2において、前記固定部として、前記ねじ軸の一対の端部をそれぞれ固定する一対の固定部が設けられ、
前記ストレート部として、前記ねじ部の両側に一対のストレート部が設けられ、
前記従動部材として、単一の駆動部材の両側に配置されて対応するストレート部によって支持された一対の従動部材が設けられ、
前記駆動部材の互いに逆向きの回転が、対応する前記従動部材を介して対応する前記固定部の前記規制部によって規制されるように構成されている、ステアリング装置。 - 請求項1〜3の何れか一項において、前記ねじ軸は前記操舵部材と一体回転するシャフトと平行に配置されている、ステアリング装置。
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