JP5871164B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
また、ステアバイワイヤ式の操舵装置において、操舵部材と転舵機構との間に遊星ギヤ機構を配置し、操舵角センサの故障時に、前記遊星ギヤ機構のリングキヤの回転を拘束することにより、固定ギヤ比となった遊星ギヤ機構を介して、マニュアル操舵を実現する操舵装置が提案されている(例えば特許文献2を参照)。
本発明は、安価にフェールセーフを実現することができる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
また、請求項2のように、前記回転角規制機構は、前記操舵部材の回転軸と同軸的に一体回転可能な回転可能要素(66)と、前記回転可能要素に前記回転軸の軸方向(X1)に対向する回転不能要素(32)と、前記回転可能要素と前記回転不能要素との間に介在し前記回転軸に対して同軸的に回転可能な複数の板要素(71〜75)と、前記回転不能要素、前記複数の板要素および前記回転可能要素のうちの隣接する要素間の相対回転量をそれぞれ規制するように前記隣接する要素間をそれぞれ連結する複数の連結要素(81,82,83)と、前記規制角度範囲の一対の終端で所定の板要素の回転を軸方向移動に変換することにより軸方向の一方の端の板要素(75)を軸方向に移動させるカム機構(99)と、を含み、前記操舵方向検出装置は、前記規制角度範囲の一対の終端で、前記軸方向の一方の端の板要素の軸方向移動により作動するセンサ(15a,15b)を含んでいてもよい。
また、請求項5のように、前記第1連結要素の突起は、前記隣接する要素の一方に組み付けられ、前記傾斜面を有する円錐状部(842)を含んでいてもよい。
また、請求項6のように、前記第1連結要素は、軸方向の他方の端の板要素(71)とこれに対向する前記回転不能要素および前記回転可能要素の他方(66)とに設けられていてもよい。
また、請求項3の発明によれば、フェール時に操舵された操舵部材がその回転方向に対応する規制角度範囲の終端まで達するに伴って、第1連結要素のカム機構が対応する隣接する要素間の間隔を付勢部材に抗して拡げる。これにより、第2連結要素の例えば係合溝の底部に配置された操舵方向検出装置としてのセンサが、突起との例えば接触に基づいて操舵方向を検出する。その検出された操舵方向に基づいて転舵アクチュエータを駆動制御することで、転舵が可能となり、フェールセーフを実現することができる。
また、請求項5の発明によれば、カム機構の傾斜面が形成された円錐状部を有する突起を組み付けるときに、円錐状部の向きを考慮する必要がないので、組み立て易い。
また、請求項6のように、カム機構が、前記回転不能要素および前記回転可能要素の他方によって、複数の板要素の全体を押して、操舵方向検出装置を作動させるので、操舵方向検出装置による検知の動作が確実となる。
図1は本発明の一実施形態の車両用操舵装置の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、本車両用操舵装置1は、多回転操作されるステアリングホイール等の操舵部材2と転舵輪3との機械的な連結が解除された、いわゆるステアバイワイヤシステムを構成している。
操舵部材2は、車体Bに回転可能に支持された操舵軸9に連結されている。操舵軸9には、路面等から転舵輪3に伝わる反力を操舵反力として操舵部材2に与えるための反力モータ10が取り付けられている。反力モータ10は、ブラシレスモータ等の電動モータを含む。反力モータ10は、車体Bに固定されたハウジング11内に収容されている。
また、ハウジング11内には、操舵部材2の回転角を規制する回転角規制機構14と、操舵方向検出装置としての操舵方向検出センサ15とが収容されている。
一方、車両用操舵装置1には、転舵軸6に関連して、転舵輪3の転舵角θw (タイヤ角)を検出するための転舵角センサ16が設けられている。これらのセンサの他にも、車速Vを検出する車速センサ17が設けられている。前記のセンサ類12,13,15〜17の各検出信号は、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置としてのECU18(Electronic Control Unit) に入力されるようになっている。
図2を参照して、操舵軸9は、筒状のハウジング11によって回転可能に支持されている。ハウジング11から操舵軸9の一端が突出しており、前記一端に、操舵部材2が一体回転可能に連結されている。ハウジング11内には、前記の操舵角センサ12、トルクセンサ13および反力モータ10が収容されている。
第1軸受25は、入力軸22の軸方向の中間部を回転可能に支持している。第2軸受26および第3軸受27は、出力軸24を回転可能に支持している。具体的には、第2軸受26は、出力軸24の一端24a付近を回転可能に支持しており、第3軸受27は、出力軸24の他端24bを回転可能に支持している。
ハウジング11は、ハウジング本体31と端壁32とを組み合わせて構成されている。ハウジング本体31は、筒状をなし、一端31aおよび他端31bを有している。ハウジング11の一部としての端壁32は、概ね板状をなし、ハウジング本体31の他端31bを閉塞している。
ハウジング本体31の一端31aの内周と、操舵軸9の入力軸22の外周との間には、両者間を封止する例えばオイルシールからなる環状の封止部材36が介在している。また、前記第1軸受25は、ハウジング本体31の一端31aの内周に設けられた軸受保持部37に保持されている。
第2軸受26の外輪39の一端面が、ハウジング本体31の軸受保持部38の一端に形成された位置決め段部41に当接することによって、外輪39が、出力軸24の軸方向X1の一方側(第1軸受25側)へ移動することが規制されている。また、第2軸受26の内輪40の一端面が、出力軸24の外周に形成された位置決め段部42に当接することによって、内輪40が、出力軸24の軸方向X1の他方側(第3軸受27側)へ移動することが規制されている。
スペーサ50は、図2に示すような円形板または環状板からなる。スペーサ50は、出力軸24の他端24bの端面や第3軸受27の内輪47の端面とは接触しないで、外輪46の端面のみに接触するように、環状突起51を設けている。弾性部材49は、スペーサ50の環状突起51を介して、第3軸受27の外輪46を出力軸24の軸方向X1の前記一方側へ付勢する。
反力モータ10は、出力軸24と一体回転可能に連結されたロータ61と、ロータ61を同心に取り囲み、ハウジング本体31の内周に固定されたステータ62とを備えている。ロータ61は、出力軸24と一体回転可能なロータコア63と、ロータコア63に一体回転可能に連結された永久磁石64とを備えている。
本実施の形態では、第1部分65および第2部分66を含むロータコア63が、出力軸24と単一の材料で一体に形成されている例に則して説明するが、出力軸24とは別体に形成されたロータコアが出力軸24に一体に連結されていてもよい。
第1連結要素81は、ロータコア63の第2部分66(回転可能要素)に設けられ軸方向X1に突出したピン状の突起84と、突起84が係合するように第2部分66(回転可能要素)に隣接する板要素71に設けられ、回転方向C1に延びる有端の係合溝85〔図6(a)を参照〕とにより構成されている。
図3に示すように、第2連結要素82は、複数の板要素71〜75のうちの軸方向の一方の端の板要素75に設けられた軸方向X1に突出したピン状の突起86と、突起86が係合するようにハウジング11の端壁32(回転不能要素)に設けられ、回転方向C1に延びる有端の係合溝87〔図6(c)を参照〕とにより構成されている。
端壁32とその周辺の概略断面図である図8(a)に示すように、端壁32に設けられた係合溝87は底部871を有している。係合溝87の一対の終端の底部871に、例えば接触センサにより構成された操舵方向検出センサ15a,15bが取り付けられている。一方の操舵方向検出センサ15aは、一方の規制部87aの近傍に配置されて例えば左操舵を検出し、他方の操舵方向検出センサ15bは、他方の規制部87bの近傍に配置されて例えば右操舵を検出する。
すなわち、規制角度範囲の一方の終端で、図7(b)に示すように板要素71が軸方向に移動して、図8(b)に示すように軸方向の一方の端の板要素75が端壁32(回転不能要素)側へ移動すると、板要素75に固定された第2連結要素82の突起86の頂部861が、係合溝87の底部871の対応する操舵方向検出センサ15aに接触する。操舵方向検出センサ15aから接触信号がECU18に出力され、ECU18は例えば左操舵と判断する。
また、図6(c)に示すように、第2連結要素82では、突起86が、端壁32(回動不能要素)の係合溝87に回転方向C1にスライド可能に嵌合している。突起86が、係合溝87の両端である規制部87a,87bに係合することにより、隣接する要素としての、板要素75と端壁32との間の相対回転量が規制される。
図3および図4を参照して、板要素71〜75は環状板からなり、第1部分65と出力軸24との間に配置されている。板要素71〜75は、出力軸24の外周に一体回転可能に嵌合された筒状部材55(例えばメタルブッシュ等の滑り軸受)の外周55aに回転可能に且つ軸方向移動可能に支持されている。板要素71〜75は、出力軸24および第1部分65に対して相対回転可能である。
図5(b)に示すように、各板要素72〜74は、その一方の端面に、第3連結要素83の突起88を突出形成し、突起88を避けた残りの領域に、回転方向C1に延びる、第3連結要素83の係合溝89を形成している。
各突起86,88は、図5(a)〜(c)に示すように、対応する板要素71〜75と別体で設けられ、対応する板要素71〜75の固定孔56に一部が挿入されて一体に固定されていてもよい。また、図示していないが、各突起は、対応する板要素71〜75と単一の材料で一体に形成されていてもよい。各板要素71〜75の少なくとも一方の端面には(本実施の形態では、突起86,88が突出する側の端面)に、環状の受け凹部57が設けられている。
また、図6(c)に示すように、第2連結要素82では、端壁32(回転不能要素)の係合溝87に係合する、板要素75〔図6(c)では図示せず〕の突起86の可動範囲(突起86が係合溝87の両端の規制部87a,87b間を可動する範囲)を、隣接要素(板要素75と端壁32)間の相対回転角がδ2となるように、回転方向C1に関する係合溝87の配置範囲を設定してもよい。
δmax =δ1×4+δ2
となるので、操舵軸9の回転量を、所望の多回転範囲に規制することが可能となる。例えばδ1が306°でδ2が90°の場合、操舵軸9の回転量が1620°(所定角度)内に規制される。ただし、δ1=δ2であってもよい。
例えば、摩擦板91は、第2部分66(回転可能要素)と板要素71との間に介在し、両者66,71の相対回転に抗する摩擦抵抗を両者66,71に与える。各摩擦板92〜95は、それぞれ隣接する板要素71,72;72,73;73,74;74,75間に介在し、各隣接する板要素71〜75の相対回転に抗する摩擦抵抗を各隣接する板要素71〜75に付与する。また、摩擦板96は、板要素75と押圧板70との間に介在し、板要素75および押圧板70の相対回転に抗する摩擦抵抗を、板要素75および押圧板70に付与する。
付勢部材69は、押圧板70を摩擦板96側へ弾性的に付勢することにより、当該押圧板70(回転不能要素)とロータ61の第2部分66(回転可能要素)との間に、板要素71〜75および摩擦抵抗付与要素としての摩擦板91〜96を含む積層ユニットを弾性的に挟持する。すなわち、付勢部材69は、積層ユニットの板要素71〜75、摩擦板91〜96に一括して軸方向の予圧を与える。これにより、各摩擦板91〜96がこれに接する部材に対して、所要の大きさの摩擦抵抗を付与できるように設定されている。
次いで、図10は、転舵制御に関するECU18の制御の流れを示すフローチャートである。システムが作動すると、まず、ステップS1において、ステップS1において、各種センサからの信号を入力し、ステップS2において、操舵角センサ12の信号に基づいてフェール(操舵角センサ12の異常)が発生しているか否かを判定する。
フェールが発生している場合(ステップS2においてYESの場合)には、フェールモードに移行する。フェールモードでは、操舵方向検出センサ15a(または15b)により検出された操舵方向に基づいて、その接触センサ15a(または15b)がオンになっている間、転舵アクチュエータ4を対応する転舵方向へ駆動するように駆動制御(転舵制御)する。
また、第2部分66(回転可能要素)が、第1連結要素81のカム機構99を介して、複数の板要素71〜74の全体を軸方向に押して、操舵方向検出センサ15a,15bを作動させるので、操舵方向検出センサ15a,15bによる検知の動作が確実となる。
また、操舵部材2に操舵反力を付与する反力モータ10と回転角規制機構14を同一のハウジング11内に収容することにより、ステアバイワイヤ式の車両用操舵装置1において、構造の簡素化、小型化を達成することができる。
また、請求項5に関連して、前記実施形態では、カム機構99のカム97が設けられる第1連結機構81の突起84を所定の要素(回転可能要素としての第2部分66)に固定していたが、これに代えて、第1連結機構81の突起84を所定の要素と単一の部材で一体に形成してもよい。
摩擦抵抗付与要素として、隣接要素間の対向面の少なくとも一方に被覆された摩擦層(図示せず)を用いてもよい。
また、板要素71〜75をロータ61の第1部分65の内周に保持された滑り軸受(図示せず)によって保持してもよい。
その他、本発明は請求項記載の範囲で種々の変更を施すことができる。
Claims (6)
- 多回転操作される操舵部材と転舵輪との機械的な連結が解かれた車両用操舵装置において、
前記操舵部材の操舵角を検出する操舵角センサと、
前記操舵部材の操舵方向を検出する操舵方向検出装置と、
前記転舵輪を駆動する転舵アクチュエータと、
前記操舵部材の回転角を規制角度範囲内に規制する回転角規制機構と、
前記操舵角センサにより検出された操舵角に基づいて前記転舵アクチュエータを駆動制御する通常モードと、前記操舵角センサに異常が発生したときに、前記操舵方向検出装置により検出された操舵方向に基づいて前記転舵アクチュエータを駆動制御するフェールモードとを有する制御装置と、を備え、
前記操舵方向検出装置は、前記回転角規制機構が前記規制角度範囲の一対の終端の何れで操舵部材の回転角を規制しているかに基づいて操舵方向を検出する車両用操舵装置。 - 請求項1において、前記回転角規制機構は、前記操舵部材の回転軸と同軸的に一体回転可能な回転可能要素と、前記回転可能要素に前記回転軸の軸方向に対向する回転不能要素と、前記回転可能要素と前記回転不能要素との間に介在し前記回転軸に対して同軸的に回転可能な複数の板要素と、前記回転不能要素、前記複数の板要素および前記回転可能要素のうちの隣接する要素間の相対回転量をそれぞれ規制するように前記隣接する要素間をそれぞれ連結する複数の連結要素と、前記規制角度範囲の一対の終端で所定の板要素の回転を軸方向移動に変換することにより軸方向の一方の端の板要素を軸方向に移動させるカム機構と、を含み、
前記操舵方向検出装置は、前記規制角度範囲の一対の終端で、前記軸方向の一方の端の板要素の軸方向移動により作動するセンサを含む車両用操舵装置。 - 請求項2において、複数の連結要素は、前記カム機構を備えた第1連結要素と、前記軸方向の一方の端の板要素とこれに対向する前記回転不能要素および前記回転可能要素の何れか一方とを連結する第2連結要素と、を含み、
前記複数の連結要素のそれぞれは、前記隣接する要素の一方に設けられた突起と、前記隣接する要素の他方に設けられた係合溝の一対の終端に配置されて前記操舵部材の回転方向に応じて対応する突起に択一的に当接する一対の規制部と、を有し、
前記操舵方向検出装置としてのセンサは、前記第2連結要素の突起の頂部および係合溝の底部の何れか一方に設けられて、他方の接近または接触を検知し、
前記回転角規制機構は、前記突起の頂部および前記係合溝の底部の他方と前記操舵方向検出装置とを離隔させる方向に前記複数の板要素を付勢する付勢部材を含む車両用操舵装置。 - 請求項3において、前記カム機構は、前記第1連結要素の突起および規制部の少なくとも一方に設けられた傾斜面を含む車両用操舵装置。
- 請求項4において、前記第1連結要素の突起は、前記隣接する要素の一方に組み付けられ、前記傾斜面を有する円錐状部を含む車両用操舵装置。
- 請求項3から5の何れか1項において、前記第1連結要素は、軸方向の他方の端の板要素とこれに対向する前記回転不能要素および前記回転可能要素の他方とに設けられている車両用操舵装置。
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