JP3639940B2 - 自動車の舵取装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵手段と舵取機構が分離された自動車の舵取装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステアリングホイールからなる操舵手段と舵取機構が分離された自動車の舵取装置(以下、リンクレスステアリングという)は、動力舵取装置における舵取補助用のアクチュエータと同様に、舵取機構に舵取用のアクチュエータとしての電動モータを配してなり、ステアリングホイールに設けられたポテンショメータ、ロータリーエンコーダ等を用いてなる操舵量検出手段の検出結果に基づいて車輪の目標舵角が決定され、該目標舵角と実際の車輪の角度である舵角とを一致させるように前記電動モータを制御することにより、前記ステアリングホイールの操舵に応じた舵取りを行なわせる構成となっている。このため、このようなリンクレスステアリングにおける操舵量の正確な検出は非常に重要である。
【0003】
また、前記ステアリングホイールの下側に突出するその回転軸には、電動モータを用いてなる反力アクチュエータが付設され、車速及び操舵量の検出結果に基づいて前記電動モータを駆動することにより、ステアリングホイールに、車速の高低及び操舵量の大小に応じて大小となる反力を加える作用をなしている。これにより、ステアリングホイールと舵取機構とが機械的に連結された一般的な舵取装置(連結型の舵取装置)と同等の感覚での操舵を行なえるようにしてある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、操舵量検出手段が故障して異常値を出力している場合、速やかにこの異常を検出し、バックアップ用の操舵量検出手段を代わりに使用するように切り替えた後、運転者にこの異常を報知するのが良いが、これには操舵量検出手段が正常か否かを評価する故障判定手段の開発が課題となる。
【0005】
上述の如きバックアップ用の操舵量検出手段を備え、検出系を2系統としたリンクレスステアリングにおいては予めバックアップ用の操舵量検出手段を参照側として決めておき、メインの操舵量検出手段がバックアップ用に対して異なった値を出力しているときにメインが故障していると判定し、バックアップ用を代わりに使用するような処理を行なわせることが考えられるが、バックアップ用が故障している場合、メインが正常であっても故障と判定され、正確な評価を行なうことができない。
【0006】
また、リンクレスステアリングにバックアップ用の操舵量検出手段を複数設けた場合、多数決論理を用いて他の操舵量検出手段と異なった値を出力している操舵量検出手段の検出値を排除し、正常値を出力している操舵量検出手段を常に使用するような処理を行なわせることが考えられるが、これには多くの操舵量検出手段を必要とする。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、多くの操舵量検出手段を必要とせずに故障を確実に判定できる信頼性の高いリンクレスステアリングを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る自動車の舵取装置は、運転者により操作される操舵手段と、車輪を舵取る舵取機構と、前記操舵手段の操舵量を検出する操舵量検出手段と、該操舵量検出手段の検出した操舵量に応じて前記舵取機構を制御する制御手段とを備えた自動車の舵取装置において、前記操舵量検出手段で検出される操舵量を時系列的に記憶する操舵量記憶手段と、検出された操舵量又はそれに関する値及びそれ以前に検出された操舵量を含む値又はそれに関する値の差の絶対値が第1閾値を越えるか否かを判定する第1判定手段と、記憶している操舵量について微分値を演算する微分値演算手段と、演算した微分値又はそれに関する値及びそれ以前に演算した微分値を含む値又はそれに関する値の差の絶対値が第2閾値を越えるか否かを判定する第2判定手段とを備え、前記第1又は第2判定手段の判定結果が各々の閾値を越えるときに前記操舵量検出手段が異常であると判断すべくなしてあることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る自動車の舵取装置は、運転者により操作される操舵手段と、車輪を舵取る舵取機構と、前記操舵手段の操舵量を検出する操舵量検出手段と、該操舵量検出手段の検出した操舵量に応じて前記舵取機構を制御する制御手段とを備えた自動車の舵取装置において、前記操舵量検出手段で検出される操舵量を時系列的に記憶する操舵量記憶手段と、過去に検出された操舵量又はそれに関する値に基づいて次に検出される操舵量又はそれに関する値を予測する操舵量予測手段と、該操舵量予測手段が予測した値及び実際に次に検出された操舵量又はそれに関する値の差の絶対値が第1閾値を越えるか否かを判定する第1判定手段と、記憶している操舵量について微分値を演算し、演算した微分値又はそれに関する値に基づいて次に演算する微分値又はそれに関する値を予測する微分値予測手段と、該微分値予測手段が予測した値及び実際に次に演算する微分値又はそれに関する値の差の絶対値が第2閾値を越えるか否かを判定する第2判定手段とを備え、前記第1又は第2判定手段の判定結果が各々の閾値を越えるときに前記操舵量検出手段が異常であると判断すべくなしてあることを特徴とする。
【0010】
第1発明に係る自動車の舵取装置によれば、操舵量記憶手段が操舵量を時系列的に記憶し、微分値演算手段が記憶されている操舵量について微分値、即ち操舵手段の操舵速度を演算し、第1判定手段が、検出された操舵量又はそれに関する値及びそれ以前に検出した操舵量を含む値又はそれに関する値の差の絶対値が第1閾値を越えるか否かを判定し、さらに第2判定手段が、演算した微分値又はそれに関する値及びそれ以前に演算した微分値を含む値又はそれに関する値の差の絶対値が第2閾値を越えるか否かを判定するので、単一の操舵量検出手段について評価することができる。また、前記第1又は第2判定手段の判定結果が各々の閾値を越えるときに前記操舵量検出手段が異常であると判断すべくなしてあるので、信頼性が高い。
【0011】
第2発明に係る自動車の舵取装置では、第1発明の前記第1判定手段におけるそれ以前に検出された操舵量を含む値又はそれに関する値と、第1発明の前記第2判定手段におけるそれ以前に演算した微分値を含む又はそれに関する値とに代えて、夫々過去の値に基づいて次の値を予測した予測値を使用するので、さらに信頼性の高い評価が可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る自動車の舵取装置の全体構成を示すブロック図である。
【0013】
本発明における舵取装置は、車体の左右に配された一対の舵取用の車輪10,10に舵取動作を行なわせるための舵取機構1と、該舵取機構1から分離された操舵手段たるステアリングホイール2と、電動モータからなり、該ステアリングホイール2に反力を付与する反力アクチュエータ3と、マイクロプロセッサを用いてなる舵取制御部4とを備え、ステアリングホイール2の操舵に応じた舵取制御部4の動作により、舵取機構1に配したアクチュエータとしての舵取モータ5を駆動し、前記舵取機構1を動作させる構成となっている。
【0014】
前記舵取機構1は、車体の左右方向に設けられてその軸方向に移動する舵取軸11の両端部と、左右の車輪10,10を支持するナックルアーム12,12とを、各別のタイロッド13,13により連結し、舵取軸11の左右両方向への移動によりタイロッド13,13を介してナックルアーム12,12を押し引きし、前記車輪10,10を左右に転舵させるものであり、この転舵は、舵取軸11の中途部に設けられた舵取モータ5の回転を、適宜の運動変換機構により舵取軸11の軸方向運動に変換して行われる。
【0015】
一方のタイロッド13及び舵取軸11の連結部と、該舵取軸11を軸方向へ摺動自在に支承する舵取軸ハウジング14とを跨いで、直線摺動形ポテンショメータからなる変位センサ15が架設されており、前記舵取軸ハウジング14に対する前記タイロッド13の軸方向変位を検出している。この検出結果は舵取制御部4に与えられ、所定の演算を行なうことによって舵角に変換される。
【0016】
左右両側のタイロッド13,13の夫々の中途には、ストレインゲージを用いてなる軸力センサ16,16が貼付され、路面からの反力によって変化するタイロッド13,13の軸力(軸方向に作用する引張力又は圧縮力)を検出しており、検出結果は舵取制御部4に与えられる。
【0017】
前記ステアリングホイール2は、その下側に突出する回転軸30で車体の適宜部に回転自在に保持され、該回転軸30の下端には一端を車体の適宜部に固定された捩じればね31が同軸的に繋がれている。
【0018】
また、前記回転軸30の中途にはウォームギヤ及びピニオンギヤを組み合わせてなる運動変換機構が設けてあり、これに図示しない電磁クラッチを介して、電動モータからなる反力アクチュエータ3が繋げられ、ステアリングホイール2にその操舵方向と逆方向に力(反力)を付与する動作をなしている。従って、ステアリングホイール2の回転操舵には、反力アクチュエータ3が発生する反力に抗する操舵トルクを加える必要があり、この操舵トルクは、前記回転軸30上で前記反力アクチュエータ3の運動変換機構に隣接して設けられたトルクセンサ32により検出され、検出結果は前記舵取制御部4に与えられる。
【0019】
なお、前記捩じればね31は、ステアリングホイール2に反力を付与するための反力アクチュエータ3が故障し、この反力アクチュエータ3と回転軸30とを連結する前記電磁クラッチが切り離されたときにも、ステアリングホイール2へある程度の反力を与えるためのものである。
【0020】
前記ステアリングホイール2の操舵量たる操舵角は、ポテンショメータを用いてなる2つの操舵角センサ33,34により所定の時間周期で検出されており、該操舵角センサ33,34は、回転軸30上で反力アクチュエータ3を挟んで上下両側に夫々設けられている。前記操舵角センサ33,34は2系統となっており、一方の操舵角センサ33がメインセンサであり、他方の操舵角センサ34は前記操舵角センサ33が故障したときのバックアップとして用い、それらの検出結果は舵取制御部4に与えられる。
【0021】
また、これら2つの操舵角センサ33,34は、トルクセンサ32が故障した場合にトルクセンサ32のバックアップとしても用いられ、反力アクチュエータ3が与える反力に抗して、ステアリングホイール2に操舵トルクを加えたときに生じる回転軸30の反力アクチュエータ3から上側の部分の捩じれによって、前記反力アクチュエータ3の上下両側に設けられている操舵角センサ33,34は夫々異なる検出値を出力する。この検出値の差を用いて操舵トルクを舵取制御部4で算出するようにしてある。なお、図1では摸式的に示したが、実際には前記操舵角センサ33,34は回転軸30としてのトーションバーに設けられており、検出に十分な大きさの捩じれを得ることが可能である。
【0022】
以上の如く舵取制御部4には、舵取機構1側にて実際に生じている舵取りの状態が、前記変位センサ15及び軸力センサ16,16からの入力として与えられ、またステアリングホイール2の操舵の状態が、前記操舵角センサ33,34からの入力として与えられ、ステアリングホイール2の操舵に応じて加えられる反力の大きさ及び方向が、前記トルクセンサ32からの入力として夫々与えられる。さらに、車両の走行速度を検出する車速センサ6と、車両が旋回する際に起こる、車体に対して垂直な軸回りの角速度、即ちヨーレートを検出するヨーレートセンサ7と、車体に対して横方向の加速度を検出する横加速度センサ8と、車体に対して前後方向の加速度を検出する前後加速度センサ9とが夫々車体の適宜部に設けられており、それらの出力は舵取制御部4の入力端子に与えられる。
【0023】
一方、舵取制御部4の出力は、前述した如く、ステアリングホイール2に反力を付与する反力アクチュエータ3と、舵取機構1に舵取動作を行なわせるための舵取モータ5とに、各別の駆動回路3a,5aを介して与えられており、反力アクチュエータ3及び舵取モータ5は舵取制御部4からの作動信号に応じて各別の動作を行なうようにしてある。
【0024】
前記舵取制御部4は、2つの操舵角センサ33,34から所定の時間周期で与えられる操舵角を夫々時系列的に記憶し、まずメイン側の操舵角センサ33について検出の都度、過去の操舵角に基づいて操舵角の微分値を演算し、前回検出された操舵角(前回検出値)及び今回検出された操舵角(今回検出値)の差の絶対値(誤差)と、前回演算した操舵角の微分値(前回微分値)及び今回演算した操舵角の微分値(今回微分値)の差の絶対値(誤差)を各々求め、それらの誤差を予め決められた各々の閾値と比較する。
【0025】
そして、前記操舵角及びその微分値の各々における前記誤差及び前記閾値の比較結果のうち、いずれか一方の比較結果が前記閾値を越える場合に前記操舵角センサ33が異常であると判定し、次にバックアップ側の操舵角センサ34の検出値について同様の比較を行ない、正常であると判定された場合はこの操舵角センサ34の検出値を採用して暫定的にメイン側の操舵角センサ33の代用として使用される。そしてコンソールパネル上のランプを点灯したり、警報音を発する等して運転者にこの異常を報知し、異常個所の修理を促す。
【0026】
図2は、第1発明に係わる自動車の舵取装置における前記舵取制御部4の評価動作を示すフローチャートである。まず、2つの操舵角センサ33,34からの出力を所定の時間周期で舵取制御部4内に設けられたメモリ4aに取り込み(ステップ1)、夫々の操舵角センサ33,34から取り込んだ操舵角θ1 ,θ2 が時系列的にM個分までメモリ4aに記憶される。操舵角の現在値をθ1 (n) ,θ2 (n) とし、M個前に取り込まれた操舵角をθ1 (n−M) ,θ2 (n−M) とするとき、前記過去M個の操舵角は以下の如く示される。
【0027】
θ1 (n−1) ,θ1 (n−2) ,…,θ1 (n−M)
θ2 (n−1) ,θ2 (n−2) ,…,θ2 (n−M)
【0028】
次に夫々の操舵角θ1 ,θ2 について微分値Θ1 ,Θ2 が演算され(ステップ2)、同様にしてメモリ4aに記憶される。
【0029】
まず、メイン側の操舵角センサ33の前回検出値θ1 (n−1) 及び今回検出値θ1 (n) の差の絶対値(誤差εn1)と、前回微分値Θ1 (n−1) 及び今回微分値Θ1 (n) の差の絶対値(誤差en1)とを夫々算出する(ステップ3)。
【0030】
次に、前記誤差εn1が予め決められた閾値λ以下であるか否かを評価し(ステップ4)、即ち(1)式を満足する場合は、同様にして前記誤差en1が前記閾値λとは別の閾値ω以下であるか否かを評価し(ステップ5)、即ち(2)式を満足する場合に前記操舵角センサ33が正常であると判定する。
【0031】
εn1=|θ1 (n) −θ1 (n−1) |≦λ …(1)
n1=|Θ1 (n) −Θ1 (n−1) |≦ω …(2)
【0032】
そして、今回検出された操舵角θ1 に応じて、舵取制御部4に取り込まれる車速、ヨーレート、横加速度、前後加速度、舵角、タイロッド軸力等に応じて補正された目標舵角を演算する(ステップ6)。
【0033】
演算した目標舵角は駆動回路5aに出力され(ステップ7)、該目標舵角に応じたモータ電流を駆動回路5aが舵取モータ5に通電することにより舵取動作を行なう。
【0034】
しかし、ステップ4又は5のいずれかにおいてメイン側の前記操舵角センサ33の検出値が異常と判定された場合は、メモリ4aに既に記憶されているバックアップ側の操舵角センサ34について、今回検出値θ2 (n) 及び前回検出値θ2 (n−1) の差の絶対値(誤差εn2)と、今回微分値Θ2 (n) 及び前回微分値Θ2 (n−1) の差の絶対値(誤差en2)とを夫々演算し(ステップ8)、それらの誤差を各々の閾値λ, ωと比較し(ステップ9,10)、ステップ9,10の両方において正常であると判定された場合は、ステップ6,7と同様の処理をθ2 について行ない(ステップ11,12)、バックアップ側の操舵角センサ34に切り替えて舵取動作を開始後、コンソールパネル上のランプを点灯したり、警報音を発する等して運転者にこの異常を報知する(ステップ13)。また、ステップ9又は10のいずれかにおいてバックアップ側の操舵角センサ34の検出値が異常と判定された場合は、終了となる。なお、前記閾値λ, ωは通常の操舵を逸脱する各種の要素を勘案して決められる。
【0035】
以上の動作によりバックアップ側の操舵角センサ34により暫定的に操舵の継続が可能であり、ステップ13で警報が報知された後、速やかに運転を止めることにより、操舵角センサ33の異常に対処することができる。
【0036】
なお、前記前回検出値及び前記前回微分値と、前記今回検出値及び前記今回微分値には、移動平均を使用する構成とし、検出値の不要な雑音を取り除いて、より精度の高い評価をすることが可能である。
【0037】
以上の実施の形態は、第1発明に係る舵取装置の一例を示すものであり、操舵角の前回検出値に代えて、過去の操舵角から予測した今回検出値の予測値と、前記操舵角についての前回微分値に代えて、過去の操舵角の微分値から予測した今回微分値の予測値を使用することによっても同様の判定ができる。
【0038】
図3は、第2発明に係わる自動車の舵取装置における前記舵取制御部4の評価動作を示すフローチャートである。第1発明の実施例と同様にして、2つの操舵角センサ33,34からの出力を所定の時間周期でメモリ4aに取り込み(ステップ1)、取り込んだ操舵角θ1 ,θ2 を時系列的にM個分までメモリ4aに記憶した後、夫々の操舵角θ1 ,θ2 について微分値Θ1 ,Θ2 を演算し(ステップ2)、同様にメモリ4aに記憶する。
【0039】
まず、メイン側の操舵角センサ33の過去M個の操舵角θ1 及びその微分値Θ1 に基づいて線形予測法、外挿法等の予測法を用いて今回検出値θ1 (n) の予測値θ1p (n) 及び前記今回微分値Θ1 (n) の予測値Θ1p (n) を夫々求め(ステップ3)、前記予測値θ1p (n) 及び実際に検出された操舵角の今回検出値θ1 (n) の差の絶対値(誤差εn1)と、前記予測値Θ1p (n) 及び今回検出値θ1 (n) についての今回微分値Θ1 (n) との差の絶対値(誤差en1)を夫々算出する(ステップ4)。
【0040】
前記誤差εn1が予め決められた閾値γ以下であるか否かを評価し(ステップ5)、即ち(3)式を満足する場合は、同様にして前記誤差en1が前記閾値γとは別の閾値δ以下であるか否かを評価し(ステップ6)、即ち(4)式を満足する場合に前記操舵角センサ33が正常であると判定する。
【0041】
εn1=|θ1 (n) −θ1p (n) |≦γ …(3)
n1=|Θ1 (n) −Θ1p (n) |≦δ …(4)
【0042】
そして、検出された操舵角θ1 (現在値)に応じて、舵取制御部4に取り込まれる車速、ヨーレート、横加速度、前後加速度、舵角、タイロッド軸力等に応じて補正された目標舵角を演算する(ステップ7)。
【0043】
演算した目標舵角は駆動回路5aに出力され(ステップ8)、該目標舵角に応じたモータ電流を駆動回路5aが舵取モータ5に通電することにより舵取動作を行なう。
【0044】
しかし、ステップ5又は6のいずれかにおいてメイン側の前記操舵角センサ33の検出値が異常と判定された場合は、舵取制御部4に既に記憶されているバックアップ側の操舵角センサ34の検出値及びその微分値について各々今回値の予測を同様にして行ない(ステップ9)、実際の今回値と予測値θ2p,Θ2pとの差の絶対値(誤差εn2,en2)を演算し(ステップ10)、各々の閾値γ,δと比較し(ステップ11,12)、前記誤差εn2,en2が夫々前記閾値γ,δ以下であり、ステップ11,12の両方において正常であると判定された場合は、ステップ7,8と同様の処理をθ2 について行ない(ステップ13,14)、バックアップ側の操舵角センサ34に切り替えて舵取動作を開始後、コンソールパネル上のランプを点灯したり、警報音を発する等して運転者にこの異常を報知する(ステップ15)。また、ステップ11又は12のいずれかにおいてバックアップ側の操舵角センサ34の検出値が異常と判定された場合は、終了となる。なお、前記閾値γ, δは、上述の閾値λ,ω同様に通常の操舵を逸脱する各種の要素を勘案して決められる。
【0045】
上述の如き、過去の操舵角の検出値から今回検出値を予測する手順を線形予測法を例にして以下に説明する。メイン側の操舵角センサ33の今回検出値θ1 (n) の予測値θ1p (n) は、(5)式の如く示され、このときの誤差εn1は、(6)式となる。
【0046】
【数1】
Figure 0003639940
【0047】
εn1=|θ1 (n) −θ1p (n) |…(6)
【0048】
確率空間でアンサンブル平均をとり、2乗平均誤差E{εn1 2 }は(7)式となる。ここで、Eはアンサンブル平均を表わす。
E{εn1 2 }=E〔{θ1 (n) −θ1p (n) }2 〕…(7)
【0049】
(5)式の係数αi は、(7)式で求められるアンサンブル平均が最小となるように求められる。(7)式を最小とするαi は、各αi に関する偏導関数をとり、(8)式で求められ、(9)式の如く示される。
【0050】
【数2】
Figure 0003639940
【0051】
操舵角θ(i) の自己相関関数R(T) を(10)式のように定義する場合、(9)式は、(11)式の如く示される。
【0052】
【数3】
Figure 0003639940
【0053】
これをマトリックス表示する場合、次の如く示され、〔α1 ,α2 ,…,αM T につき解くと、係数α1 ,α2 ,…,αM が得られ、(5)式より誤差を最小とする予測値θ1p (n) が得られる。また、バックアップ用の操舵角センサ34の操舵角θ2 についても同様に演算することができる。
【0054】
【数4】
Figure 0003639940
【0055】
θ1 の自己相関関数R(T) は、運転者が実際にステアリングホイール2を操舵するときの人為的操舵特性から決定されるものであり、個々の操舵角センサ33,34には依存しないので、予めベンチテスト等の試験を通して定めておき、前記操舵角センサ33,34が自動車に搭載される場合の搭載状態等に依存しない不変な自己相関関数を用いることができる。
【0056】
なお、操舵角θ1 ,θ2 の微分値Θ1 ,Θ2 (操舵速度)についても上述と同様に予測及び比較ができることは言うまでもない。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明に係る自動車の舵取装置においては、操舵量検出手段で検出される操舵量を時系列的に記憶し、検出の都度、検出された操舵量又はそれに関する値及びそれ以前に検出された操舵量を含む値又はそれに関する値の差の絶対値を第1閾値と比較評価し、さらに時系列的に記憶された前記操舵量から操舵量の微分値を演算し、演算した微分値又はそれに関する値及びそれ以前に演算された微分値を含む値又はそれに関する値の差の絶対値を第2閾値と比較評価するので、操舵量検出手段を一つしか備えていない舵取装置にも適用でき、また複数の操舵量検出手段の検出値同士の比較ではなく各々の操舵量検出手段について評価するので信頼性が高い。
【0058】
また、検出の都度、過去の操舵量又はそれに関する値から、操舵量又はそれに関する値を予測し、この予測値と実際の値との差の絶対値を第1閾値と比較評価するか、又は時系列的に記憶された前記操舵量又はそれに関する値から演算する操舵量の微分値又はそれに関する値を予測し、この予測値と実際の値との差の絶対値を第2閾値と比較評価することにより、さらに信頼性が高い評価ができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る舵取装置の構成を示すブロックである。
【図2】第1発明における舵取制御部の動作内容を示すフローチャートである。
【図3】第2発明における舵取制御部の動作内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 舵取機構
2 ステアリングホイール
3 反力アクチュエータ
4 舵取制御部
5 舵取モータ
6 車速センサ
7 ヨーレートセンサ
8 横加速度センサ
9 前後加速度センサ
10 車輪
11 舵取軸
14 舵取軸ハウジング
15 変位センサ
16 軸力センサ
30 回転軸
31 捩じればね
32 トルクセンサ
33,34 操舵角センサ

Claims (2)

  1. 運転者により操作される操舵手段と、車輪を舵取る舵取機構と、前記操舵手段の操舵量を検出する操舵量検出手段と、該操舵量検出手段の検出した操舵量に応じて前記舵取機構を制御する制御手段とを備えた自動車の舵取装置において、
    前記操舵量検出手段で検出される操舵量を時系列的に記憶する操舵量記憶手段と、検出された操舵量又はそれに関する値及びそれ以前に検出された操舵量を含む値又はそれに関する値の差の絶対値が第1閾値を越えるか否かを判定する第1判定手段と、記憶している操舵量について微分値を演算する微分値演算手段と、演算した微分値又はそれに関する値及びそれ以前に演算した微分値を含む値又はそれに関する値の差の絶対値が第2閾値を越えるか否かを判定する第2判定手段とを備え、前記第1又は第2判定手段の判定結果が各々の閾値を越えるときに前記操舵量検出手段が異常であると判断すべくなしてあることを特徴とする自動車の舵取装置。
  2. 運転者により操作される操舵手段と、車輪を舵取る舵取機構と、前記操舵手段の操舵量を検出する操舵量検出手段と、該操舵量検出手段の検出した操舵量に応じて前記舵取機構を制御する制御手段とを備えた自動車の舵取装置において、
    前記操舵量検出手段で検出される操舵量を時系列的に記憶する操舵量記憶手段と、過去に検出された操舵量又はそれに関する値に基づいて次に検出される操舵量又はそれに関する値を予測する操舵量予測手段と、該操舵量予測手段が予測した値及び実際に次に検出された操舵量又はそれに関する値の差の絶対値が第1閾値を越えるか否かを判定する第1判定手段と、記憶している操舵量について微分値を演算し、演算した微分値又はそれに関する値に基づいて次に演算する微分値又はそれに関する値を予測する微分値予測手段と、該微分値予測手段が予測した値及び実際に次に演算する微分値又はそれに関する値の差の絶対値が第2閾値を越えるか否かを判定する第2判定手段とを備え、前記第1又は第2判定手段の判定結果が各々の閾値を越えるときに前記操舵量検出手段が異常であると判断すべくなしてあることを特徴とする自動車の舵取装置。
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