JP2010221695A - 筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、芯部材の数を増加させても軸筒を太くする必要がなく、芯部材同士が接触して軸筒内部で詰まることがない塗付具を提供することを目的とした。
【解決手段】筆記具1は、軸筒6と複数の芯部材7,8と操作手段9と有孔部材29と付勢手段14とを有し、有孔部材29には各芯部材7,8を個々に挿通可能な孔が形成されている。付勢手段14は有孔部材29より先端側に配されており、当該孔に挿通された芯部材7,8が付勢手段14により外部方向に付勢されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、筆記具に関するもので、特には、芯部材を複数有するものに関する。
従来から、筆記具には、軸筒内部にレフィルを含む複数の芯部材が配設された多芯型の筆記具がある。また、レフィルに替わってシャープペンシル用の芯を収容可能なシャープペンシル体を芯部材として備えられた筆記具がある。一般的に、多芯型の筆記具は、複数の芯部材を選択的に使用可能としたスライド式,回転式,ノック式等の機構を有しており、当該機構を用いて、いずれか1つの芯部材の先端(筆記部)を、軸筒の先端に形成された開口部から外部に突出可能とした構成を有している。
ところで、一般的に、筆記具の軸筒には、先端方向に挟径となるテーパ部が設けられており、そのテーパ部の先端に開口部が配されている。また、開口部は、多芯型の筆記具であっても、単芯型(芯部材が1つ)の筆記具と同様に1つである。そのため、多芯型の筆記具においては、いずれの芯部材も開口部の中心軸からずらして配されている。
即ち、前記機構により選択された芯部材は、筆記部が開口部に至るまでの過程及び開口部から突出した状態においては、図13(a)に示す様に、芯部材がテーパ部を構成する傾斜面により中心方向に付勢力を受けて強制的に進行方向が変えられる。言い換えれば、芯部材の先端を開口部から突出させるためには、芯部材を中心軸と交差する方向に移動させる必要がある。このとき、軸筒内部において、図14に示す様に、中心方向に付勢力を受けて中心軸に対して角度を有する状態が維持された芯部材と、その他の芯部材は、接触状態あるいは接近状態となる。
この状態から、開口部から突出した芯部材を再び軸筒内部に収容し、別の芯部材を当該開口部から突出させる際に、当該芯部材が円滑に移動できない場合があった。即ち、図13(a)に示す状態から、軸筒内部に再び収容される芯部材は、開口部縁端によって中心方向に掛けられていた付勢力が解放されるため、軸方向に掛かる付勢力のみとなり、図13(b)に示す軌道を移動する。これにより、芯部材が収容される途中(主にテーパ部)で別の芯部材と交差あるいは接触するため、芯部材が軸筒内部にスムーズに戻り難かった。
具体的には、前記状態から別の芯部材を突出させる場合、先に突出していた芯部材と当該別の芯部材との間に生じる摩擦により、先に突出していた芯部材の軸筒内部に収容されるまでの時間が遅延する。一方、開口部に向かって移動する別の芯部材は、前記機構を用いて人為的に軸筒の先端方向に移動されるため、前記摩擦により芯部材が開口部に至るまでの時間が遅延する等の影響はない。即ち、先に突出していた芯部材が軸筒に収容されるタイミングがずれることで、図15に示す様に、先に突出していた芯部材が軸筒に収容される前に別の芯部材が開口部近傍に達するため、軸筒のテーパ部で双方の芯部材が詰まって移動できなくなる現象が発生する。従って、従来技術の筆記具では、前記機構を操作した際に、芯部材同士が干渉してしまう機会が形成されるため、軸筒に戻る芯部材と開口部から突出する芯部材とが入れ替わる最適なタイミングが崩壊してしまう場合があった。
特許文献1には、上記問題を解決するため、軸筒に設けられたテーパ部に隣接する内部側に、テーパ部の基端側の内径より大きい内径を有する大径部を設け、レフィルが外側に逃げ易い構成を有した筆記具が開示されている。
特開2008−162246号公報
しかしながら、特許文献1に記載の筆記具は、軸筒内部に配する芯部材の数を増加させた場合、軸筒の形状を細く維持することが困難であった。具体的に説明すると、特許文献1の筆記具は、軸筒の厚みを削って内部空間を広くすることで、各レフィルが接触して摩擦が生じることを軽減している。また、特許文献1の筆記具は、軸筒自体を細くしても、その分、軸筒の厚みを削り内部空間を確保する必要があるため、芯部材を増やす場合は、軸筒を太くすることが必至である。即ち、特許文献1に記載の発明において、芯部材の数を増やした場合は、軸筒が太くなり、使用感が損なわれる問題があった。
そこで本発明は、上述した従来技術の問題に鑑み、芯部材の数を増加させても軸筒を太くする必要がなく、芯部材同士が接触して軸筒内部で詰まることがない筆記具を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、先端に開口部を有する軸筒と、前記軸筒内に配置され先端に筆記部を有する複数の芯部材と、芯部材を選択的に軸方向に移動させて当該芯部材の筆記部を前記開口部から外部に突出させる操作手段と、芯部材の動作を拘束可能な有孔部材を有し、前記有孔部材は前記複数の芯部材を個々に挿通可能な孔又は溝を有し、当該孔又は溝に各芯部材が挿通された筆記具において、前記軸筒の内部であって、前記有孔部材より先端側の位置に各芯部材を外部方向に付勢可能な付勢手段が配されていることを特徴とする筆記具である。
本発明の筆記具は、複数の芯部材を有し、各芯部材は有孔部材が有する孔又は溝に個々に挿通され、操作手段により選択的にいずれかの芯部材の筆記部を軸筒が有する開口部から外部に突出可能としている。また、有孔部材より先端側の位置に各芯部材を外部方向に付勢する付勢手段が配されているため、操作手段を操作して芯部材が移動した場合であっても、芯部材同士が絡み難い構成である。
即ち例えば、いずれかの芯部材の筆記部が開口部から突出している状態から、操作手段により、他の芯部材を軸筒の先端側に移動させた場合、当該他の芯部材の筆記部は軸筒の開口部に向かい、開口部に至る中途で軸筒の内壁に案内されてしなるようにして開口部から突出する。即ち、芯部材は、開口部に向かう中で、強制的に軸筒の中心軸に対して交差するような形状とされる。
ここで従来技術であれば、前記状態においては、先に説明した様に、操作手段に他の芯部材を先端方向に移動させた場合、既に開口部から突出していた別の芯部材とすれ違う際に、接触あるいは近接状態となる。これにより、従来技術の筆記具では、軸筒内部で芯部材同士がすれ違う際に、芯部材同士が擦れて摩擦が生じるため、双方の芯部材が移動できなくなる現象を発生させる場合があった。
そこで本発明では、有孔部材より先端側の位置に付勢手段を設けて、付勢手段が各芯部材を外部方向に付勢する構成としているため、操作手段により芯部材を先端方向に移動させた場合は、芯部材が付勢手段を支点として外側に凸状の円弧形状となる。即ち、いずれかの芯部材の筆記部を開口部に突出させてから、別の芯部材を先端方向に移動させる場合に、芯部材同士が絡み合うことがない。より詳細に説明すると、芯部材は軸筒に収容されている間は常に外側に付勢力を受けているため、開口部に向かって移動するときも、開口部から軸筒に再び収容されるときも、略同じ軌道を描くからである。即ち、軸筒内では芯部材が有孔部材の孔又は溝に個々に挿通されているため、付勢手段により芯部材を外側に付勢することで、先端に移動する芯部材と軸筒に収容される芯部材とが開口部以外で共有する軌道が殆どなくなる。これにより、芯部材同士がすれ違う際に摩擦を生じることを防止できるため、前記双方の芯部材が移動の途中で詰まることを防止できる。
また、本発明によれば、芯部材を外側に付勢する付勢手段を設けることで、芯部材同士が絡み合うことを防止する構成としているため、芯部材の数を増加させた場合であっても軸筒を必要以上に太くする必要はない。従って、従来技術に比べると芯部材の数を増加させても軸筒の形状を細くできる。
請求項2に記載の筆記具は、前記有孔部材における複数の孔又は溝は、前記軸筒の中心軸から離れた位置で当該中心軸に平行に貫通しており、前記付勢手段は、当該複数の孔又は溝に囲まれた有孔部材の中心から軸方向に突出するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の筆記具である。
かかる構成によれば、有孔部材の孔又は溝が軸筒の中心軸から離れた位置で中心軸に平行に貫通しており、芯部材はその孔又は溝に挿通されて配置されている。即ち、当該芯部材に囲まれた中心には空間が形成されるため、当該空間に付勢手段を設けることは容易であり、さらに付勢手段の周囲に配された芯部材を確実に外側に付勢することができる。
請求項3に記載の筆記具は、前記有孔部材は、軸方向に突出した被装着部を有し、前記付勢手段は、前記被装着部に筒体が装着されて形成されていることを特徴とする請求項2に記載の筆記具である。
一般的に、樹脂を用いた成形部材を成形する場合、本体が小さい部材に対しては、長さの短い突起を設けることは容易とされている。
そこで本発明では、小さい有孔部材に軸方向に突出した短い被装着部を設けて、その被装着部に筒体を装着して付勢手段を形成する構成とされている。これにより、付勢手段の軸方向の長さを、芯部材の数や、軸筒の太さ等の条件に応じて容易に変化させることができる。
請求項4に記載の筆記具は、前記有孔部材は中心に貫通孔を有し、前記付勢手段は、前記貫通孔に棒状部材が装着されて形成されていることを特徴とする請求項2に記載の筆記具である。
かかる構成によれば、有孔部材の中心に貫通孔を設けることで、本発明の筆記具に採用される付勢手段を公知の多芯型の筆記具に用いることが可能となり、製作コストを抑えることが可能となる。
請求項5に記載の筆記具は、前記付勢手段は、弾性を備えた部材であることを特徴とする請求項3又4に記載の筆記具である。
かかる構成によれば、付勢手段が弾性を備えた部材であるため、芯部材は中心軸に交差する方向に若干の自由度が与えられ、芯部材の移動がよりスムーズとなる。
本発明の筆記具は、付勢手段は有孔部材と一体的に構成されたものであってもよい。(請求項6)
請求項7に記載の筆記具は、前記付勢手段は、芯部材の一部又は全てに設けられ、付勢手段が設けられた芯部材は、前記有孔部材より軸方向先端側の一部の領域が他の領域より径が太いことを特徴とする請求項1に記載の筆記具である。
かかる構成によれば、付勢手段を用いて、有孔部材よりも軸方向先端側の芯部材の一部の領域の径を太くしているため、当該領域では各芯部材同士が外側に付勢される。これにより、当該領域より先端側においては、芯部材同士の間に間隔が形成されるため、芯部材同士が絡まり合うことが殆どない。
付勢手段は芯部材と一体的に構成されていることが推奨される。(請求項8)
請求項9に記載の筆記具は、前記付勢手段は、芯部材の周囲に巻回されたコイル状のバネであることを特徴とする請求項7に記載の筆記具である。
かかる構成によれば、コイル状のバネを芯部材の周囲に取り付ける構成であるため、公知の多芯型の筆記具に採用することが可能となり、製作コストを抑えることが可能となる。
前記付勢手段は、弾性材又は合成樹脂で構成された筒状部材で、芯部材の周囲に装着されたものであっても構わない。(請求項10)
本発明の筆記具では、芯部材を外部方向に付勢する付勢手段が設けられているため、軸筒内部に複数の芯部材が配された場合であっても、先端側で芯部材同士が絡み合うことがない。これにより、軸筒内部で芯部材同士が干渉しあって移動できなくなる不具合を防止できる。また、本発明の筆記具では、芯部材を外側に付勢して芯部材同士の絡み合いを防止する構成を採用しているため、軸筒に内蔵させる芯部材の数を増加させても軸筒の形状を太くする必要がない。
本発明の第1実施形態に係る筆記具を示す断面図である。 操作部材を示す平面図である。 図1の筆記具を示す分解斜視図である。 有孔部材を示す拡大斜視図である。 有孔部材の変形例を示す斜視図で、(a)は貫通孔有する有孔部材,(b)は溝を有する有孔部材である。 芯部材の軌跡を示す説明図で、(a)は芯部材移動状態、(b)は筆記可能状態である。 芯部材を先端方向に移動させた状況の断面図である。 本発明の第2実施形態に係る筆記具を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る筆記具を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る筆記具の付勢手段を示す拡大斜視図である。 本発明の第4実施形態に係る筆記具の付勢手段を示す拡大斜視図で、(a)は筒体装着前を示しており、(b)は筒体装着後を示している。 本発明の第5実施形態に係る筆記具の付勢手段を示す拡大斜視図である。 従来技術の筆記具を用いた場合の芯部材の軌跡を示す説明図で、(a)は芯部材移動状況(先端方向)、(b)は芯部材移動状況(後端方向)である。 従来技術の筆記具を示す断面図である。 従来技術の筆記具における芯部材が詰まった状況を示す断面図である。
以下に、本発明を実施するための好ましい実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の第1本実施形態に示す筆記具1は、複数種類の芯部材が備えられ、容易な操作で便利に使用できる筆記具である。具体的には、第1実施形態の筆記具1は、図1に示す様に、色が異なる3種類のレフィル(芯部材)7と、シャープペン用の芯を収容可能なシャープペンシル体(芯部材)8と、3種類のレフィル7とシャープペンシル体8を選択的に操作可能な操作手段9と、芯部材7,8が挿通される保持部材12と、芯部材7,8と操作手段9の一部と保持部材12を収容する軸筒6により構成されている。
軸筒6は、略円筒形状で、本体筒10とグリップ筒11により構成されている。即ち、軸筒6は、本体筒10とグリップ筒11が一体となったもので、双方の内部は連通状態で接続されている。
グリップ筒11は、一方の端部が当該端部に向かって狭径に形成されたテーパ部16を有し、そのテーパ部16の先端に開口部15が形成され、軸筒6の内外を連通させている。グリップ筒11の他方の端部側には、外周面に雄ネジ部21が形成されている。(以下、テーパ部16が位置する方向を先端方向とも言う)。グリップ筒11におけるテーパ部16の基端側から雄ネジ部21に至るまでの外周には、グリップ部17が設けられて他の部分より外径が太くされている。グリップ部17は、摩擦係数が大きいゴム等により構成されている。これにより、本実施形態の筆記具1では、高いフィット感が期待できると共に、手からの発汗等による滑りを防止できるため、使用感を損なうことがない。
本体筒10は、一方の端部に雌ネジ部22が形成されており、前記したグリップ筒11の雄ネジ部21を螺合することができる。本体筒10における他方の端部は、閉塞されており、当該端部から脱着可能な蓋部材18が配されている。即ち、本体筒10と蓋部材18の内部は連通していない。また、前記他方の端部であって、蓋部材18の内側には、円柱状の消しゴム23が装着されている。
本体筒10の後端側の側面には、本体筒10の内外を連通する4つのスリット19が形成されており、スリット19は後述する操作手段9の一部が突出して軸方向に移動できる形状を有している。具体的には、スリット19は、軸方向に一定長さ伸びた細長い形状である。さらに、本体筒10の内部では、スリット19の開口縁に沿ってガイド(図示しない)が設けられている。当該ガイドは、スリット19の軸方向長さより長く、先端方向に一定長さ伸びている。即ち、前記操作手段9は、スリット19と前記ガイドの制限を受けて移動するものである。
レフィル(芯部材)7は、公知のそれと同様であり、インキ収容筒24と、ボールペン用チップ(筆記部)25と、インキの漏洩を防止する開口栓(図示しない)とで構成されている。即ち、レフィル7は、インキ収容筒24の一方の端部に筆記部25が配され、他方の端部は内外を連通させた開口であり、レフィル7の内部であって当該開口の近傍には前記開口栓が配されている。即ち、レフィル7は、インキ収容筒24の内部に充填するインキを変えることで、複数色のレフィル7を用意することができる。なお、本実施形態の筆記具1においては、黒色,赤色あるいは青色のいずれかのインキが充填されたインキ収容筒24が採用されており、合計3本のレフィル7が用いられている。
シャープペンシル体(芯部材)8は、公知の多芯型の筆記具に採用されるそれと同様の構成を有しており、筆記用芯収容筒26と、シャープペンシル用チップ(筆記具)27と、芯送出部材28とで構成されている。即ち、シャープペンシル体8は、筆記用芯収容筒26の一方の端部にシャープペンシル用チップ27と芯送出部材28の複合体が配され、他方の端部は内外を連通させた開口とされている。これにより、前記開口からシャープペンシル用の芯を挿通して、芯送出部材28によりシャープペンシル用チップ27の先端から突出させることを可能としている。
操作手段9は、図2に示す様に、操作部材31と圧縮バネ32を有しており、操作部材31は細長い矩形の板である。本実施形態では、2種類の操作部材31a,31bが採用されており、操作部材31aは、図2に示すように、直線状の本体部33と、曲線状の凸部34aと、矩形の係合部35と、本体部33の大きさを変えて形成された段部により構成された嵌合段部36とにより構成されている。また、操作部材31bは、図1に示すように、操作部材31aとほぼ同じ構成で、凸部34bの形状のみが異なる。即ち、凸部34bは、他部材を接続可能な形状とされており、公知のボールペン等に取り付けられる同形状のクリップ38が接続されている。なお、以下の説明は操作部材31aのみとし、操作部材31bの説明は省略する。
凸部34aは、本体部33の一方の端部側の側面に設けられている。
係合部35は、凸部34aと対向する側面に設けられ、第1係合部35aと第2係合部35bが間隔を有して配された板形状である。第1係合部35aは係合部35の上端(図2)であり、第2係合部35bは第1係合部35aより下方の位置に配されている。具体的には、第1係合部35aと第2係合部35bは軸方向に間隔を有しており、第1係合部35aは軸方向に対して直交方向な辺で、第2係合部35bは本体部33から離反する方向に右上がりに(図2)傾斜した辺である。
嵌合段部36は、本体部33の他方の端部(凸部34aの軸方向反対側)に設けられ、本体部33の大きさを先端側から後端側に向かって(図2の下部側から上方に向かって)大きくなるように3段階に変化させた段部である。即ち、段部は2箇所存在し、先端側に第1嵌合段部36a、その後端側に第2嵌合段部36bが配されている。
ここで、圧縮バネ32の開口径はレフィル7及びシャープペンシル体8の開口径より大きいため、レフィル7及びシャープペンシル体8は圧縮バネ32の内部に挿通される。また、圧縮バネ32の開口径は、第1嵌合段部36aより大きく、第2嵌合段部36bより小さい。即ち、第1嵌合段部36aにレフィル7あるいはシャープペンシル体8の開口が嵌り込み、第2嵌合段部36bに圧縮バネ32の一方の端部が軸方向に嵌り込んでいる。また、圧縮バネ32の他方の端部は後述する保持部材12に支持されている。
なお、本実施形態では、凸部34aを有する操作部材31aが3セットと、凸部34bにクリップ38が接続された操作部材31bが1セットと、4つの圧縮バネ32とが採用されている。
保持部材12は、図3,4に示す様に、円筒形状で、外径が本体筒10の内径と略同じである。また、保持部材12の内部は、保持部材12の軸方向中間に設けられた有孔部材29により、2つの空間A,Bに分割されている。有孔部材29は、合成樹脂などにより成形されたほぼ円板状の部材で、4個の円形の挿通孔(孔)30を有しており、それぞれの挿通孔30は空間A,Bを貫通する配置である。即ち、保持部材12の内部に形成された2つの空間A,Bは、挿通孔30により連通されている。なお、挿通孔30は等間隔(略90度間隔)に配置されている。また、挿通孔30の開口径は、インキ収容筒24及び筆記用芯収容筒26の外径より大きく、挿通孔30に挿通されたレフィル7あるいはシャープペンシル体8が軸方向に移動可能な程度の大きさである。
なお、前記した有孔部材29は、保持部材12に備えられた構成を示したが、図5(a),(b)に示す様に、保持部材12に依存しない構成であっても構わない。即ち、有孔部材40は、一定の高さを有した円柱で、軸方向に貫通する挿通孔30あるいは切り欠き状の溝41が形成されたものである。また、切り欠き状の溝41であっても、軸筒6に装着すれば、芯部材7,8を挿通できる孔として機能する。
また、保持部材12の有孔部材29には、空間A側に付勢手段14が配され、空間B側に通路形成部材37が配されている。通路形成部材37は、有孔部材29に一体的に設けられたもので、挿通孔30に囲まれた中心に設けられ、後端方向に向かって一定長さ突出した突起物で、操作部材31の一部及び圧縮バネ32が移動する通路を形成するものである。
付勢手段14は、有孔部材29に一体的に設けられたもので、挿通孔30に囲まれた中心に有孔部材29に一体的に設けられており、先端方向に向かって一定長さ突出した突起物で、レフィル7の側面とシャープペンシル体8の側面に接触して、外部方向に付勢するものである。具体的には、付勢手段14は、円柱状で、外径が2.3〜2.7mmであり、突出長さが25〜28mmである。なお、好ましくは付勢手段14の外径は2.6mmで、突出長さは27mmである。そして、この付勢手段14は、主にレフィル7あるいはシャープペンシル体8を、先端方向に移動された際に外側に付勢される。これにより、付勢手段14の位置より先端側の領域でレフィル7やシャープペンシル体8等の芯部材7,8同士が干渉しにくくなるため、絡まり合うことが殆どない。
次に第1実施形態の筆記具1における組み立て構造について説明する。
本実施形態の筆記具1は、図1に示す様に、本体筒10とグリップ筒11とが接続されて軸筒6が形成されており、軸筒6の内部にレフィル7とシャープペンシル体8と操作手段9と保持部材12が配されている。具体的には、本体筒10の各スリット19に操作手段9の凸部34aあるいは凸部34bが突出するように配され、さらに嵌合段部36aにレフィル7あるいはシャープペンシル体8の開口側の端部が配されている。また、嵌合段部36bには、操作手段9の一部である圧縮バネ32の軸方向の一方の端部(図2の上端部)が配されている。
なお、有孔部材29の挿通孔30が等間隔に配されていることに伴い、4つの操作部材31も等間隔に配置されており、当該操作部材31の各係合部35は互いに向き合った状態(軸筒6の中心軸を基準に放射状に配された状態)で、第1係合部35aがスリット19の上端に当接している。また、操作手段9が操作され、芯部材7,8のいずれかが先端方向に移動された場合は、移動された操作部材31の第1係合部34aがその他の操作部材31の第2係合部34bに係合した状態となる(図示しない)。
そして、圧縮バネ32の軸方向他方の端部(図2の下端部)は、スリット19より先端側に配された保持部材12の通路形成部材37により形成された通路に配され、有孔部材29に支持されている。
また、前記したように、有孔部材29における通路形成部材37と反対側には、付勢手段14が配されており、各挿通孔30に挿通されたレフィル7とシャープペンシル体8が先端方向に移動した際に、外側に付勢を受ける配置にされている。そして、各芯部材7,8の先端がグリップ筒11のテーパ部16の基端側近傍に位置されている(待機状態)。
従って、本実施形態の筆記具1は、上述したように、有孔部材29の中心に設けられた付勢手段14により、レフィル7あるいはシャープペンシル体8が外側に付勢される構成とされている。そのため、レフィル7あるいはシャープペンシル体8が先端方向に移動した際に、当該移動した芯部材7,8がその他の芯部材7,8に対して離れる方向に付勢されるため、芯部材7,8同士が絡み合うことを防止できる。
次に、操作手段9を操作した際の芯部材7の動作について具体的に図面を用いて説明する。なお、芯材部8の動作も同様であるため、説明を省略する。
操作手段9が軸方向先端向きに移動されると、それと連動して前記待機状態の芯部材7が軸筒6の先端側に移動する。そして、芯部材7のボールペン用チップ25がテーパ部16に達すると、図6(a)に示す様に、芯材部7は開口部15方向に付勢されて進行方向が変えられると共に付勢手段14により芯材部7の中間部が外側に付勢される。即ち、芯材部7は、付勢手段14と当接している位置が支点となり、外側に凸形状を描く円弧形状となる。そして、図6(b)に示す様に、芯部材7の円弧形状は、ボールペン用チップ25が開口部15から突出しても維持されている。また、芯材部7が軸筒6に収容される場合も、付勢手段14により外側に付勢されているため、図6(a)に示す様に、芯部材7は先端に向かって移動した軌跡と同様の軌道を移動する。従って、芯部材7は、常にテーパ部16に沿って移動するため、芯部材7,8同士は軌道をほぼ共有することがない。
即ち、図7に示す状態から、別の芯部材7を軸筒6の先端側に移動させた場合であっても、先に先端側に配された芯部材8と後から先端側に移動させられた芯部材7は、それぞれ異なる軌道を移動するため、絡み合うことがない。そのため、芯部材同士は、すれ違う際に互いに擦れることがないため、摩擦を生じることがなく、双方の芯部材7,8がスムーズに移動できる。これにより、先に先端側に配された芯部材8が軸筒6に収容される時間が遅延することが防止でき、双方の芯部材7,8が詰まって移動できなくなることを防止することができる。
上記した第1実施形態は、有孔部材29に付勢手段14を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、図8に示す様に、筆記具2は付勢手段14が配された位置のレフィル7あるいはシャープペンシル体8の一部の領域の外径を太くする構成(付勢手段45,46)であっても構わない。これにより、第2実施形態の筆記具2は、第1実施形態で示した筆記具1と同様の効果を得ることができる。なお、太くする手段としては、コイル状に巻回されたバネ46(図9)や、ゴムなどの弾性材や合成樹脂(図8)で構成された筒状部材45を用いることが推奨される。
上記した第1実施形態では、付勢手段14が有孔部材29と一体的に設けられた構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、図10に示す様に、有孔部材42の中央に貫通孔43を設け、その貫通孔43に棒状部材54を装着して付勢手段44を形成した構成であっても構わない。なお、棒状部材54は、弾性を備えたゴムや合成樹脂が好ましい。(第3実施形態)
また、図11に示すように、有孔部材51に第1実施形態の付勢部材14の大きさより小さい突状の被装着部52を一体的に設け、当該被装着部52に筒体55を装着して付勢手段53を形成した構成であっても構わない。具体的には、被装着部52は円柱状とされ、外径が1.4〜1.7mm、突出長さが10〜15mmに設定されている。そして、筒体55には、弾性を備えた中空状のゴムパイプが採用されている。なお、当該筒体55は、内径が1.4〜1.7mm、肉厚が0.4〜0.6mm、突出長さが25〜28mmに設定されている。なお、好ましくは、被装着部52の外径は、1.6mmで、突出長さは13mmで、筒体55の内径は、1.6mm、肉厚が0.5mm、突出長さが27mmである。なお、被装着部52は、円柱状に限定されず、四角柱などの角を有する形状であっても構わない。(第4実施形態)
即ち、第3,4実施形態のような構成とすることで、上記第1実施形態と比較すると、芯部材7,8の本数や軸筒6の太さ等の条件に合わせて付勢手段53の大きさを変化させることが容易となる。即ち、付勢手段14により確実に芯部材7,8を外側に付勢することが可能となる。さらに、付勢手段14に弾性を備えた部材を用いることで、軸筒6の中心軸に対して交差する方向に若干変位することが許されるため、芯部材7,8の軸方向の移動がよりスムーズとなる。従って、変形例1や変形例2の構成によれば、付勢手段14に汎用性を持たせることができると共に、より確実に芯部材7,8を外側に付勢して芯部材7,8同士が絡み合うことを防止できる。
上記した第1実施形態では、付勢手段14が円柱状の構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、図12に示す様に、付勢手段49は有孔部材47に形成された挿通孔30の開口縁に沿った形状にした構成であっても構わない。(第5実施形態)
上記した実施形態では、軸筒6内に合計4本の芯部材7,8が配された構成を示したが、本発明はこの構成に限定されるわけではなく、芯部材7あるいは芯部材8の合計が4本未満あるいは5本以上であっても構わない。その場合であっても、本発明の筆記具1であれば、軸筒の太さを従来技術の筆記具より大きくする必要はなく、さらに使用時に芯部材7,8が詰まることを防止できる。
上記した実施形態では、芯部材にシャープペンシル体8とレフィル7を混合して軸筒6内に配した構成を示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、複数のレフィル7を軸筒6内に配した構成であっても構わない。
1,2 筆記具
6 軸筒
7 レフィル(芯部材)
8 シャープペンシル体(芯部材)
9 操作手段
14,44,45,46,49,53 付勢手段
15 開口部
16 テーパ部
25 ボールペン用チップ(筆記部)
27 シャープペンシル用チップ(筆記部)
29,40,42,47,51 有孔部材
30 挿通孔(孔)
41 溝
54 棒状部材
55 筒体

Claims (10)

  1. 先端に開口部を有する軸筒と、前記軸筒内に配置され先端に筆記部を有する複数の芯部材と、芯部材を選択的に軸方向に移動させて当該芯部材の筆記部を前記開口部から外部に突出させる操作手段と、芯部材の動作を拘束可能な有孔部材を有し、前記有孔部材は前記複数の芯部材を個々に挿通可能な孔又は溝を有し、当該孔又は溝に各芯部材が挿通された筆記具において、
    前記軸筒の内部であって、前記有孔部材より先端側の位置に各芯部材を外部方向に付勢可能な付勢手段が配されていることを特徴とする筆記具。
  2. 前記有孔部材における複数の孔又は溝は、前記軸筒の中心軸から離れた位置で当該中心軸に平行に貫通しており、
    前記付勢手段は、当該複数の孔又は溝に囲まれた有孔部材の中心から軸方向に突出するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
  3. 前記有孔部材は、軸方向に突出した被装着部を有し、
    前記付勢手段は、前記被装着部に筒体が装着されて形成されていることを特徴とする請求項2に記載の筆記具。
  4. 前記有孔部材は中心に貫通孔を有し、
    前記付勢手段は、前記貫通孔に棒状部材が装着されて形成されていることを特徴とする請求項2に記載の筆記具。
  5. 前記付勢手段は、弾性を備えた部材であることを特徴とする請求項3又4に記載の筆記具。
  6. 前記付勢手段は、有孔部材と一体的に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の筆記具。
  7. 前記付勢手段は、芯部材の一部又は全てに設けられ、
    付勢手段が設けられた芯部材は、前記有孔部材より軸方向先端側の一部の領域が他の領域より径が太いことを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
  8. 前記付勢手段は、芯部材と一体的に構成されていることを特徴とする請求項7に記載の筆記具。
  9. 前記付勢手段は、芯部材の周囲に巻回されたコイル状のバネであることを特徴とする請求項7に記載の筆記具。
  10. 前記付勢手段は、弾性材又は合成樹脂で構成された筒状部材で、芯部材の周囲に装着されていることを特徴とする請求項7に記載の筆記具。
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