JP2013082160A - 多芯式筆記具 - Google Patents

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純裕 万田
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Abstract

【課題】リフィルとノック部材との誤解除を防止し、簡易な構造で、安定した筆記が可能な多芯式筆記具を提供する。
【解決手段】中心軸線Xを有する軸筒12と、リフィル21と、後端位置から中心軸線Xに平行に軸筒の前端に向かってスライド移動した後に中心軸線に直交する径方向内側に入り込む前端位置へと移動可能なノック部材18とを具備し、ノック部材が、スライダ本体28と、該スライダ本体の前端から前方に延びてリフィルの後端に挿入される取付部22と、該取付部の側面において中心軸線に直交する方向に突出し、リフィルの挿入時に該リフィルの後端内周面と係合してスライダ本体をリフィルに対して中心軸線に直交する径方向に揺動可能にする係合突起部40と、スライダ本体の前端に形成され、リフィルの後端面と当接してスライダ本体の中心軸線に直交する径方向外側の揺動を規制する第1規制面28aとを有する。
【選択図】図12

Description

本発明は、筆記具に関し、特に、例えば複数の交換可能なリフィルを備える多芯式筆記具に関する。
多芯式筆記具では、軸筒の中心軸線に平行に軸筒の後端に形成される複数の窓孔内に個々にノック部材が組み込まれる。ノック部材の前端にはリフィルの後端が取り付けられる。各リフィルは、ノック部材よりも軸筒の前端側で軸筒内に固定されるスペーサの貫通孔を通って軸筒の前端に向かって延びる。ノック部材の前端とスペーサの後端との間でリフィルにはばねが取り付けられる。ばねは、ノック部材を軸筒の後端に向かって押し付ける弾性力を発揮する。中心軸線に沿ってスペーサの後端から突き出るツノ部は、軸筒の内壁との間にばねを配置してばねの座屈を防止している。
非筆記状態では、ノック部材は、中心軸線に平行に軸筒の後端に形成されるレール上にスライド可能に配置される。筆記時、ばねの弾性力に抗して軸筒の前端に向かってノック部材を移動させると、ノック部材はレール上をスライド移動する。その後、ノック部材がレールの先端から離脱すると、ノック部材は中心軸線に直交する径方向内側に軸筒内に入り込む。ばねの弾性力によってノック部材の後端がレールの先端に係合すると、リフィルの先端が軸筒の前端の孔から突出する。こうして筆記状態が確立される。
筆記時、ノック部材をスライド移動させ、ノック部材が中心軸線に直交する径方向内側に軸筒内に入り込むと、それによりリフィルが撓む。この撓みを戻そうとする弾発力は、ノック部材の前端とリフィルの後端との係合を解除する方向に作用する。従って、ノック部材の前端からリフィルが意図せず外れてしまう、誤解除が発生する虞がある。
そこで、筆記状態においてリフィルの撓みを軽減させるために、ノック部材の前端とリフィルの後端との係合を、より自由度の高い構造で実現した多芯式筆記具が公知である(特許文献1及び2)。
特開2010−42640号公報 特開2011−25579号公報
特許文献1に記載の多芯式筆記具によれば、ノック部材の前端とリフィルの後端とをヒンジ構造を用いて連結することによって、リフィルの撓みを軽減させている。しかしながら、ヒンジ構造は、部品点数も多く複雑な構造である。従って、高コストであり、しかも破損しやすい。
特許文献2に記載の多芯式筆記具によれば、ノック部材の前端部側面に揺動突起部を設け、ノック部材の前端部をリフィル内に挿入している。揺動突起部はリフィル内壁と係合し、揺動突起部を軸としてノック部材が揺動可能となっている。ノック部材が揺動することによって、リフィルの撓みを軽減させている。しかしながら、特許文献2に記載の多芯式筆記具では、ノック部材が揺動突起部を軸として両回転方向に揺動可能である。そのため、筆記時の断続的な筆記圧によってノック部材の揺動運動が発生し、安定した筆記ができない虞がある。
本発明は、リフィルとノック部材との誤解除を防止し、簡易な構造で、安定した筆記が可能な多芯式筆記具を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明によれば、中心軸線を有する筒状の軸筒と、前記軸筒内に配置される筒状のリフィルと、前記軸筒内に配置され、後端位置から前記中心軸線に平行に前記軸筒の前端に向かってスライド移動した後に前記中心軸線に直交する径方向内側に入り込む前端位置へと移動可能なノック部材とを具備する多芯式筆記具において、前記ノック部材が、スライダ本体と、該スライダ本体の前端から前方に延びて前記リフィルの後端に挿入される取付部と、該取付部の側面において前記中心軸線に直交する方向に突出し、前記リフィルの挿入時に該リフィルの後端内周面と係合して前記スライダ本体を前記リフィルに対して前記中心軸線に直交する径方向に揺動可能にする係合突起部と、前記スライダ本体の前端に形成され、前記リフィルの後端面と当接して前記スライダ本体の前記中心軸線に直交する径方向外側の揺動を規制する第1規制面とを有することを特徴とする多芯式筆記具が提供される。
また、請求項2に記載の発明によれば請求項1に記載の発明において、前記ノック部材が、前記スライダ本体の前端に形成され、前記スライダ本体の前記中心軸線に直交する径方向内側の揺動後に前記リフィルの後端面と当接し、該揺動を所定の範囲に規制する第2規制面をさらに有することを特徴とする多芯式筆記具が提供される。
また、請求項3に記載の発明によれば請求項2に記載の発明において、前記第2規制面が前記リフィルの後端面と当接すると同時に前記取付部の前端の一部が前記リフィルの内周面と当接することを特徴とする多芯式筆記具が提供される。
すなわち、請求項1から3に記載の発明では、ノック部材のスライダ本体が、リフィルに対して中心軸線に直交する径方向に内側に揺動可能であることから、ノック部材が前端位置にある場合、すなわち筆記状態におけるリフィルの撓みを軽減させることができる。その結果、リフィルとノック部材との誤解除を防止することができる。また、第1規制面によって、スライダ本体の中心軸線に直交する径方向外側の揺動が規制されることから、安定した筆記が可能となる。さらに、これらを実現するための機構は、少なくとも係止突起部と第1規制面とを有すればよいことから、非常に簡易な構造であり、ノック部材を射出成形等で形成する場合には、単一部品とすることができる。
また、請求項4に記載の発明によれば請求項1から3のいずれか1つに記載の発明において、前記軸筒内に配置され、前記リフィルが内部に挿入されるコイルばねをさらに具備し、前記ノック部材が、前記スライダ本体の前端に形成され且つ前記第1規制面よりも後方に設けられ、前記コイルばねの一部を収容する溝部をさらに有することを特徴とする多芯式筆記具が提供される。
また、請求項5に記載の発明によれば請求項4に記載の発明において、前記溝部の前記コイルばねの外側に位置する内壁面の一部が、前記第1規制面よりも前方に延びていることを特徴とする多芯式筆記具が提供される。
すなわち、請求項4及び5に記載の発明では、上記利点に加え、コイルばねの一部がスライダ本体の溝部に収容されていることから、コイルばねとノック部材とを強固に連結することが可能となる。これによって、例えば、リフィル交換時に、コイルばねとノック部材とが連結された状態のままコイルばねに挿入されたリフィルを交換することができるため有利である。
各請求項に記載の発明によれば、リフィルとノック部材との誤解除を防止し、簡易な構造で、安定した筆記が可能な多芯式筆記具を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る多芯式筆記具の構造を概略的に示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る多芯式筆記具の構造を概略的に示す縦断面図である 本発明の一実施形態に係る多芯式筆記具の構造を概略的に示す部分破断斜視図である。 図2の4−4線に沿った拡大断面図である。 ノック部材の斜視図である。 ノック部材を概略的に示す側面図である。 スペーサを概略的に示す斜視図である。 図2の8−8線に沿った拡大断面図である。 本発明の一実施形態に係る多芯式筆記具の構造を概略的に示す部分破断斜視図である。 本発明の一実施形態に係る多芯式筆記具の構造を概略的に示す部分破断斜視図である。 本発明の一実施形態に係る多芯式筆記具の部分縦断面図である。 非筆記状態における、ノック部材、リフィル、及びコイルばねの接続構造を概略的に示す縦断面図である。 筆記状態における、ノック部材、リフィル、及びコイルばねの接続構造を概略的に示す縦断面図である。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る多芯式筆記具11の構造を概略的に示す側面図である。多芯式筆記具11は、中心軸線Xに沿って例えば円筒状に延びる軸筒12を有する。軸筒12は、多芯式筆記具11の前端側に配置される例えば円筒状の先軸13と、先軸13の後端に連結されて多芯式筆記具11の後端側に配置される例えば円筒状の後軸14と、を備える。ここで、本明細書中では、チップすなわちペン先が突出する側を「前」側と規定し、ペン先とは反対側を「後」側と規定する。
先軸13は例えば金属材料又は樹脂材料から形成される。後軸14は例えば樹脂材料から形成される。先軸13の前端には、後述のリフィルのペン先を突出させるための孔15が中心軸線Xに沿って形成される。先軸13には例えば円筒状のグリップ部材16が取り付けられる。グリップ部材16は例えば弾性樹脂材料から形成される。先軸13及び後軸14は、例えば先軸13の後端の外周面に形成される雄ねじ(図示せず)に後軸14の前端の内周面に形成される雌ねじ(図示せず)が噛み合うことによって連結される。
後軸14の後端には中心軸線Xに平行に延びる複数の窓孔17が形成される。窓孔17は、後軸14の後端から後軸14の前端に向かって延びる。ここでは、中心軸線Xの周りに例えば等間隔に5つの窓孔17が形成される。なお、窓孔17の数はリフィルの数に合わせて設定されてよい。各窓孔17内にはそれぞれノック部材18、19が配置される。ノック部材18、19は窓孔17に対応して中心軸線X周りに等間隔に配列される。ノック部材18、19は窓孔17内で中心軸線Xに平行に前後移動することができる。このノック部材18、19の前後移動によって、軸筒12の前端から後述のリフィルのペン先が突出したり後退したりする。なお、ノック部材は、本明細書に記載された実施形態においては単一の部品から構成されているが、装飾用の部品等と共に2つ以上の部品で構成される場合もある。
本実施形態の多芯式筆記具11には、ボールペン用の4つのノック部材18と、シャープペンシル用の1つのノック部材19とが組み込まれる。ノック部材18を収容する窓孔17は、ノック部材19を収容する窓孔17よりも、中心軸線Xに沿った方向に短い。シャープペンシル用のノック部材19の後端には例えばクリップ(図示せず)が装着されてよい。ノック部材18、19は、相互に異なる形状を有するものの、ほぼ同様の構造を有する。以下、本明細書ではボールペン用のノック部材18について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る多芯式筆記具11の構造を概略的に示す縦断面図である。図2から明らかなように、多芯式筆記具11は、ノック部材18の前端に後端で連結されるリフィル21を備える。なお、図2では1つのリフィル21のみを示す。リフィル21は例えばボールペンリフィルである。リフィル21は、円筒状のチューブ21aと、チューブ21aの前端に取り付けられる台座21bと、を備える。台座21bの前端にチップ21cが組み込まれる。チューブ21a内にはインクが充填される。チューブ21aは例えば樹脂材料から形成される。チューブ21aの後端にはノック部材18の前端から突き出る取付部22が挿入される。
図3は、本発明の一実施形態に係る多芯式筆記具11の構造を概略的に示す部分破断斜視図である。図3ではリフィル21の図示を省略する。軸筒12内には、ノック部材18の前端よりも前方で例えば円柱状のスペーサ23が配置される。スペーサ23は後軸14の内周面に固定される。スペーサ23は、円柱状の本体24と、本体24の前端から後端まで中心軸線Xに平行に延びる複数の貫通孔25と、を備える。各貫通孔25はリフィル21をそれぞれ受け入れる。本体24の後端面から中心軸線Xに沿って後方にツノ部26が突出する。貫通孔25はツノ部26の周りに等間隔に配列される。スペーサ23は例えば樹脂材料から一体成形によって形成される。
スペーサ23の本体24の後端面とノック部材18の前端面との間には弾性体すなわちコイルばね27が挟み込まれる。コイルばね27内にはリフィル21(図示せず)が挿入される。コイルばね27は、スペーサ23とノック部材18とを相互に遠ざける方向に弾性力を発揮する。この弾性力の働きで、ノック部材18は後軸14の後端に向かって押し付けられた状態で維持される。コイルばね27はスペーサ23のツノ部26の周りに配置される。ツノ部26は、後軸14の内周面との間にコイルばね27を挟み込んでコイルばね27の座屈を防止する。同時に、ツノ部26は、相互に隣接するコイルばね27、27同士の絡み合いを防止する。
図2及び図3を参照すると、ノック部材18は、軸筒12内に収容されて窓孔17内で露出するスライダ本体28を備える。スライダ本体28の前端面には前述の取付部22が形成される。スライダ本体28の後端面は後軸14の後端に受け止められる。スライダ本体28の上端面には突起29が形成される。突起29は、後軸14の外周面から中心軸線Xに直交する径方向に外側に向かって突き出る。突起29はスライダ本体28の後端に隣接して配置される。スライダ本体28にはその後端面から後方に平板状に突き出るタブ31が形成される。タブ31は、後軸14の後端に形成される平坦面に受け止められる。
図4は図2の4−4線に沿った拡大断面図である。図4を併せて参照すると、スライダ本体28の各側面にはスライダ本体28の後端から前端に向かって延びる1筋の突片32が形成される。突片32、32は、スライダ本体28の両側面から相互に反対向きに突出する。突片32、32は、後軸14内に形成される第1案内レール33、33上にそれぞれ支持される。第1案内レール33は中心軸線Xに平行に延びる。案内レール33は、後軸14の内壁から径方向内側に延びる5つのブロック34の側面に形成される。ブロック34は後軸14の内壁に一体化される。ブロック34は中心軸線X周りに等間隔に配列される。
相互に隣り合うブロック34、34同士の間に1つのノック部材18が配置される。ノック部材18は、相互に隣り合うブロック34、34同士の間から中心軸線Xに向かって延びる。図4から明らかなように、中心軸線Xに直交する方向に規定される窓孔17の幅は、同様に中心軸線Xに直交する方向に規定される突片32、32の両端の距離よりも小さいことから、ノック部材18の突片32は後軸14の内周面と第1案内レール33との間に挟み込まれる。その結果、窓孔17から外側にスライダ本体28すなわちノック部材18が脱落することを防止することができる。
図5は、ノック部材18の斜視図であり、図6は、ノック部材18を概略的に示す側面図である。図2〜図6を併せて参照すると、ノック部材18は、突片32の側面から外側に突出する突部35を備える。突部35は突片32の前端に隣接して配置される。突部35は、中心軸線Xに直交する方向に突片32から相互に反対側に突出する。スライダ本体28の下端には、当該スライダ本体28の前端に隣接して配置される前側カム36と、当該スライダ本体28の後端に隣接して配置される後側カム37と、が形成される。
スライダ本体28の前端の上部、すなわち後軸14の内周面側には、リフィル21のチューブ21aの後端面と当接する後述の第1規制面28aが形成される。また、スライダ本体28の前端の下部、すなわち中心軸線X側には、リフィル21のチューブ21aの後端面と当接する後述の第2規制面28bが形成される。第1規制面28aは、第2規制面28bよりも前方に位置するか、又は、第2規制面28bは、第1規制面28aに対して後方に向かって傾斜して形成される。
さらに、スライダ本体28の第2規制面28bの下方には、中心軸線Xに直交する方向に延びる溝部42が形成される。溝部42には、コイルばね27の一部が収容される。さらに、溝部42の下方の内壁面42aの一部が前方に延びており、前側カム36の前端より前方に配置される保持突起部43が形成される。保持突起部43は、溝部42に収容されたコイルばね27が抜けないように、保持する役割を果たす。すなわち、コイルばね27の一部がスライダ本体28の溝部42に収容され、把持されていることから、コイルばね27とノック部材18とを強固に連結することが可能となる。これによって、例えば、リフィル21の交換時に、コイルばね27とノック部材18とが連結された状態のままコイルばね27に挿入されたリフィル21を交換することができるため有利である。
図2、図5及び図6から明らかなように、前側カム36及び後側カム37の各前端には、その前端に向かうにつれてスライダ本体28の下端面に近づく傾斜端が形成される。同様に、前側カム36及び後側カム37の各後端には、その後端に向かうにつれてスライダ本体28の下端面に近づく傾斜端が形成される。その一方で、図4から明らかなように、前側カム36(及び後側カム37)は、その下端に向かうにつれて先細るテーパ形状を有する。ノック部材18は、前側カム36(及び後側カム37)の下端で隣り合うノック部材18の前側カム36(及び後側カム37)にほぼ接して配置される。
取付部22の各側面には、中心軸線Xに直交する方向に相互に反対側に突出する係合突起部40が形成される。係合突起部40は、後述するように、リフィル21のチューブ21aの後端の内周面と係合し、スライダ本体28の揺動運動のための軸となる。係合突起部40と、その前方の取付部22の部分とが、テーパ面40aを介して接続されている。テーパ面40aは、チューブ21aの後端に取付部22を挿入する際にガイドの役割を果たし、スムーズな挿入を助力している。取付部22、スライダ本体28、突起29、タブ31、突片32、突部35、前側カム36、後側カム37、係合突起部40、溝部42及び保持突起部43は一体成形によって形成される。
図3から明らかなように、スペーサ23は、本体24の後端面から後方に向かって突き出る例えば5本の支柱38を備える。相互に隣り合う支柱38、38の間にコイルばね27が配置される。支柱38は、本体24の外縁に隣接しつつ中心軸線Xに平行、すなわち中心軸線X方向に延びる。図7は、スペーサ23を概略的に示す斜視図である。各支柱38の両側面には1対の第2案内レール39、39が形成される。図2から明らかなように、第2案内レール39は、第1案内レール33の前端よりも前方にその後端を配置する。すなわち、第2案内レール39の後端と第1案内レール33の前端との間には所定の距離が規定される。
図8は、図2の8−8線に沿った拡大断面図である。図8ではリフィル21の図示を省略する。後軸14の内周面には、1つの支柱38に対応して1対の支持レール41、41が形成される。支持レール41は後軸14の内周面に一体的に形成される。1対の支持レール41、41が1つの支柱38を挟み込むことによって、支柱38すなわち第2案内レール39のがたつきを防止することができる。図8から明らかなように、第2案内レール39の形状は、ノック部材18の突部35を受け入れ可能に形成される。
次に、本発明に係る多芯式筆記具11の使用方法を説明する。非筆記状態の多芯式筆記具11は、図2に示すように、後端位置のノック部材18はその後端で後軸14の後端に受け止められる。例えばユーザが突起29に指を置いてコイルばね27の弾性力に抗してノック部材18を前方にスライド移動させると、突片32、32が第1案内レール33に案内されてノック部材18はスライド移動する。ノック部材18が前方に所定の距離を移動すると、図9に示すように、ノック部材18の突部35、35は第2案内レール39、39に受け入れられる。ノック部材18の前方へのスライド移動によってコイルばね27には弾性力が蓄積されていく。
ノック部材18がさらに前方にスライド移動すると、突片32、32の後端が第1案内レール33、33から離脱する。このとき、突部35は第2案内レール39に案内され続ける。図10に示すように、ノック部材18の後端側は後軸14内に入り込む。その一方で、突部35、35が第2案内レール39、39に受け止められるので、ノック部材18の前端側の後軸14内への入り込みを回避することができる。このとき、ノック部材18の後端側の入り込みによって、ノック部材18の後端面は第1案内レール33の前端に係合する。同時に、ノック部材18の後端のタブ31は第1案内レール33上に受け止められる。
こうしてノック部材18が前端位置に位置決めされると、リフィル21の台座21bの先端すなわちチップ21cが先軸13の孔15から突出する。コイルばね32には最大の弾性力が蓄積される。コイルばね32の弾性力によってノック部材18の後端は第1案内レール33の前端に押し付けられる。こうして多芯式筆記具11では筆記状態が確立される。図11から明らかなように、ノック部材18が前端位置に位置決めされても、ノック部材18の前端とスペーサ23のツノ部26との干渉は回避される。言い替えれば、スペーサ23の位置は、前端位置のノック部材18がツノ部26と干渉しないように決定されてよい。
筆記状態から非筆記状態への復帰にあたって、後端位置にある別のノック部材18を例えばユーザが前方に向かってスライド移動させると、別のノック部材18の前側カム36が、前端位置にあるノック部材18の後側カム37に接触する。その結果、前端位置にあるノック部材18の後端側は後軸14の外側に向かって移動する。こうして前端位置にあるノック部材18の後端と第1案内レール33との係合が解除される。このとき、コイルばね27の弾性力によってノック部材18は後端位置に向かって押し戻される。リフィル21の台座21bは先軸13内に収容される。こうして多芯式筆記具11は非筆記状態に復帰する。
以上のような多芯式筆記具11では、ノック部材18のスライド移動中に突部35、35が第2案内レール39、39に案内されることから、例えばノック部材18にリフィル21が取り付けられていない時、ノック部材18の前端側が後軸14内に没入することを防止することができる。同時に、コイルばね27の座屈や絡まりを防止することができる。こうした構成によれば、結果的に、従来のノック部材に比べてノック部材18の全長を飛躍的に短縮することができるので、リフィル21の長さを従来に比べて増大させることができる。その結果、リフィル21の交換の頻度を減らすことができる。
さらに、ノック部材18の全長が従来に比べて短縮することができるので、例えば従来と同様の長さのリフィル21を用いる場合であって多芯式筆記具11の長さが従来と同様の場合に、軸筒12内にノック部材18が短縮された分のスペースを確保することができる。本発明に係る多芯式筆記具11では、例えばノック部材18の後端よりも後方にこうしたスペースを確保することができる。例えばこうしたスペースには消し具やライト、USBメモリなどの様々な用途の物を収容することができる。その結果、さらに多芯式筆記具11の用途や機能を拡大させることができる。
図12は、非筆記状態における、ノック部材18、リフィル21、及びコイルばね27の接続構造を概略的に示す縦断面図である。ノック部材18の取付部22が、リフィル21のチューブ21aの後端に挿入されている。ここで、係合突起部40が、チューブ21aの後端内周面と係合していることから、中心軸線Xに直交する方向、すなわち図12において紙面垂直方向に、スライダ本体28の揺動運動の軸が形成される。図12から明らかなように、チューブ21aの後端面が、ノック部材18のスライダ本体28の第1規制面28aと当接している。一方、第2規制面28bは、チューブ21aの後端面からは離間している。このため、スライダ本体28は、リフィル21に対して中心軸線Xに直交する径方向外側方向(矢印U)に揺動することはできず、径方向内側方向(矢印D)にのみ揺動することができる。
図13は、筆記状態における、ノック部材18、リフィル21、及びコイルばね27の接続構造を概略的に示す縦断面図である。図12の非筆記状態に対して、図13に示される筆記状態では、ノック部材18の後端側は後軸14(図示せず)内に入り込んでいる。従って、スライダ本体28は、係合突起部40によって形成される上述のような揺動の軸周りに矢印D方向に揺動している。スライダ本体28の揺動は、チューブ21aの後端面が第2規制面28bに当接することによって規制される。チューブ21aの後端面が第2規制面28bに当接すると同時に取付部22の前端の一部がチューブ21aの後端内周面と当接することが好ましい。それによって、スライダ本体28の揺動運動が、第2規制面28b及び取付部22の前端部分の両方によって、より確実に規制することが可能となる。
ノック部材18のスライダ本体28が、リフィル21に対して中心軸線Xに直交する径方向に内側に揺動可能であることから、ノック部材18が前端位置にある場合、すなわち筆記状態におけるリフィル21の撓みを軽減させることができ又は防止することができる。その結果、リフィル21とノック部材18との誤解除を防止することができる。また、第1規制面28aによって、スライダ本体28の中心軸線Xに直交する径方向外側の揺動が規制されることから、安定した筆記が可能となる。さらに、これらを実現するための機構は、少なくとも係止突起部40と第1規制面28aとを有すればよいことから、非常に簡易な構造であり、ノック部材18を射出成形等で形成する場合には、単一部品とすることができる。
なお、第2規制面28bの第1規制面28aに対する後方への相対位置又は傾斜角度並びに揺動の軸を決定する係合突起部40の位置については、筆記状態におけるノック部材18の中心軸線に直交する径方向内側に入り込む量及びそのときのノック部材18の傾く姿勢に応じて決定される。
以上のような多芯式筆記具では、比較的短いノック部材を用いていた。しかしながら、上述のノック部材、リフィル、及びコイルばねの接続構造は、従来のタイプのノック部材を用いた多芯式筆記具においても適用可能である。
11 多芯式筆記具
12 軸筒
18 ノック部材
21 リフィル
22 取付部
28 スライダ本体
28a 第1規制面
40 係合突起部
X 中心軸線

Claims (5)

  1. 中心軸線を有する筒状の軸筒と、
    前記軸筒内に配置される筒状のリフィルと、
    前記軸筒内に配置され、後端位置から前記中心軸線に平行に前記軸筒の前端に向かってスライド移動した後に前記中心軸線に直交する径方向内側に入り込む前端位置へと移動可能なノック部材とを具備する多芯式筆記具において、
    前記ノック部材が、
    スライダ本体と、
    該スライダ本体の前端から前方に延びて前記リフィルの後端に挿入される取付部と、
    該取付部の側面において前記中心軸線に直交する方向に突出し、前記リフィルの挿入時に該リフィルの後端内周面と係合して前記スライダ本体を前記リフィルに対して前記中心軸線に直交する径方向に揺動可能にする係合突起部と、
    前記スライダ本体の前端に形成され、前記リフィルの後端面と当接して前記スライダ本体の前記中心軸線に直交する径方向外側の揺動を規制する第1規制面とを有することを特徴とする多芯式筆記具。
  2. 前記ノック部材が、前記スライダ本体の前端に形成され、前記スライダ本体の前記中心軸線に直交する径方向内側の揺動後に前記リフィルの後端面と当接し、該揺動を所定の範囲に規制する第2規制面をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の多芯式筆記具。
  3. 前記第2規制面が前記リフィルの後端面と当接すると同時に前記取付部の前端の一部が前記リフィルの内周面と当接することを特徴とする請求項2に記載の多芯式筆記具。
  4. 前記軸筒内に配置され、前記リフィルが内部に挿入されるコイルばねをさらに具備し、前記ノック部材が、前記スライダ本体の前端に形成され且つ前記第1規制面よりも後方に設けられ、前記コイルばねの一部を収容する溝部をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の多芯式筆記具。
  5. 前記溝部の前記コイルばねの外側に位置する内壁面の一部が、前記第1規制面よりも前方に延びていることを特徴とする請求項4に記載の多芯式筆記具。
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