JP2010214467A - 車輪用軸受装置とその製造方法 - Google Patents

車輪用軸受装置とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重量軽減を図りながら製造コストの低減を図ることができる車輪用軸受装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】転がり軸受41が組み付けられる軸部10と、この軸部10の一端側に形成されかつ車輪の中心孔が嵌込まれる嵌合軸部30と、軸部10と嵌合軸部30との間に位置する外周面に外径方向へ放射状に延出されかつ車輪を締め付けるハブボルト27が配置されるボルト孔24が貫設された複数のフランジ部21とを有するフランジ付き軸部材1を備える。フランジ部21は、冷間鍛造によって嵌合軸部30の中心部端面に鍛造凹部33が形成される際の側方押出加工によって形成される。フランジ部21の長手方向に直交する横断面形状の角部21eがR面取り形状に形成されている。
【選択図】図2

Description

この発明は車輪用軸受装置とその製造方法に関する。
車輪用軸受装置においては、転がり軸受が組み付けられる軸部と、この軸部の一端に形成されかつ前記軸部よりも大径で車輪の中心孔が嵌込まれる嵌合軸部と、軸部と嵌合軸部との間に位置する外周面に外径方向へ放射状に延出されかつ車輪を締め付けるハブボルトが配置されるボルト孔が貫設された複数のフランジ部とを有するフランジ付き軸部材(ハブホイールと呼ばれることもある)を備えた構造のものがある。
このような構造の車輪用軸受装置においては、例えば、特許文献1に開示されている。
これにおいては、フランジ付き軸部材(ハブホイール)が円筒管を母材として冷間鍛造により整形されると共に、この冷間鍛造した母材の一方の軸端部の円周方向複数箇所が径方向外向きに切り起こされることにより、複数のフランジ部(切り起こし片)が形成される。さらに、母材の一方の軸端部には、複数のフランジ部の間に軸方向に沿った形状で残存する複数の舌片よりなる嵌合軸部(車輪が嵌込まれて位置決めされる)が設けられる。
特開2003−25803号公報
ところで、特許文献1に開示されたような従来の車輪用軸受装置においては、円筒管を母材として冷間鍛造により整形された鍛造品の一方の軸端部に切り起こし片よりなる複数のフランジ部が形成されて、フランジ付き軸部材が構成される。
これによって、車輪用軸受装置(主にフランジ付き軸部材)の重量軽減を図ることが可能となる。
しかしながら、前記従来の車輪用軸受装置においては、冷間鍛造により鍛造品を製作した後、鍛造品の一方の軸端部に切り起こし片よりなる複数のフランジ部を形成しなければならず、製造コストが高くなる。
この発明の目的は、前記問題点に鑑み、重量軽減を図りながら製造コストの低減を図ることができる車輪用軸受装置とその製造方法を提供することである。
前記課題を解決するために、この発明の請求項1に係る車輪用軸受装置は、転がり軸受が組み付けられる軸部と、この軸部の一端側に形成されかつ車輪の中心孔が嵌込まれる嵌合軸部と、前記軸部と前記嵌合軸部との間に位置する外周面に外径方向へ放射状に延出されかつ前記車輪を締め付けるハブボルトが配置されるボルト孔が貫設された複数のフランジ部とを有するフランジ付き軸部材を備えた車輪用軸受装置であって、
前記フランジ部は、冷間鍛造によって前記嵌合軸部の中心部端面に鍛造凹部が形成される際の側方押出加工によって形成され、
前記フランジ部の長手方向に直交する横断面形状の角部がR面取り形状に形成されていることを特徴とする。
前記構成によると、冷間鍛造の側方押出加工によって軸部と嵌合軸部との間に位置する外周面に複数のフランジ部を放射状に形成することによって、重量軽減を図りながら製造コストの低減を図ることができる。
また、フランジ部の長手方向に直交する横断面形状の角部がR面取り形状に形成されることによって、冷間鍛造の側方押出加工によってフランジ部が形成される際、フランジ部の横断面形状に対応して角部がR面に形成されたフランジ成形部を有する成形型を用いてフランジ部を形成することができる。
このため、成形型のフランジ成形部の横断面形状の角部に材料流圧が集中して作用することを回避することができる。
この結果、成形型のフランジ成形部の横断面形状の角部の応力集中による早期破損を防止して型寿命を向上させることができ、ひいては、車輪用軸受装置の製造コストを軽減することができる。
請求項2に係る車輪用軸受装置は、請求項1に記載の車輪用軸受装置であって、
フランジ部の長手方向に直交する横断面形状は、幅方向中央部よりも両側部が薄肉に形成され、
前記フランジ部の横断面形状の角部がR面取り形状に形成されていることを特徴とする。
前記構成によると、フランジ部の長手方向に直交する横断面形状において、幅方向中央部よりも両側部が薄肉に形成された分だけ重量軽減を図ることができる。
言い換えると、フランジ部の幅方向中央部を所要とする板厚に形成し、当該部分にボルト孔を貫設してハブボルトに対する圧入長さを確保しながら、重量軽減を図ることができる。
請求項3に係る車輪用軸受装置は、請求項1に記載の車輪用軸受装置であって、前記冷間鍛造による側方押出加工は、鍛造型装置の成形型が第1の成形型と第2の成形型によって構成されており、前記鍛造型装置の成形型に形成されたキャビティのうち、前記フランジ部に対応するフランジ成形部の位置には前記第1の成形型と第2の成形型の型割り位置が形成されており、前記型割り位置は、前記フランジ厚さ方向中心より嵌合軸部寄りに形成されており、前記フランジ部は、前記成形型によって形成されていることを特徴とする。
前記構成によると、冷間鍛造による側方押出加工は、鍛造型装置の成形型が第1の成形型と第2の成形型によって構成されている。この成形型に形成されたキャビティのうち、フランジ部に対応するフランジ成形部の位置には第1の成形型と第2の成形型の型割り位置が形成されている。この型割り位置は、フランジ厚さ方向中心より嵌合軸部寄りに形成されている。
これにより、第2の成形型の成形溝の角部に割れが発生することを防止できる。
請求項4に係る車輪用軸受装置の製造方法は、転がり軸受が組み付けられる軸部と、この軸部の一端に形成されかつ前記軸部よりも大径で車輪の中心孔が嵌込まれる嵌合軸部と、
前記軸部と前記嵌合軸部との間に位置して外径方向に放射状に延出されかつ前記車輪を締め付けるハブボルトが配置されるボルト孔が貫設された複数のフランジ部とを有するフランジ付き軸部材を備えた車輪用軸受装置を製造する方法であって、
冷間鍛造の鍛造型装置によって前記嵌合軸部の中心部端面に鍛造凹部を形成しながら前記軸部と前記嵌合軸部との間の外周面に、側方押出加工によって前記フランジ部を形成する工程を備え、
前記鍛造型装置の成形型に形成されたキャビティのうち、前記フランジ部に対応するフランジ成形部の長手方向に直交する横断面形状が、請求項1に記載のフランジ部の横断面形状に対応して角部がR面に形成された成形型を用いてフランジ部を形成することを特徴とする。
前記構成によると、請求項1に記載の車輪用軸受装置を容易に製造することができると共に、鍛造型装置の型寿命を向上させて車輪用軸受装置の製造コストを軽減することができる。
請求項5に係る車輪用軸受装置の製造方法は、請求項4に記載の車輪用軸受装置の製造方法であって、
鍛造型装置の成形型のフランジ成形部の長手方向に直交する横断面形状は、請求項2に記載のフランジ部の横断面形状に対応して幅方向中央部よりも両側部が小さく形成され、
前記フランジ成形部の横断面形状の角部がR面に形成されていることを特徴とする。
前記構成によると、請求項2に記載の車輪用軸受装置を容易に製造することができる。
請求項6に係る車輪用軸受装置の製造方法は、請求項4に記載の車輪用軸受装置の製造方法であって、前記冷間鍛造の鍛造型装置の成形型は、第1の成形型と第2の成形型によって構成されており、前記鍛造型装置の成形型に形成されたキャビティのうち、前記フランジ部に対応するフランジ成形部の位置には前記第1の成形型と第2の成形型の型割り位置が形成されており、前記型割り位置は、前記フランジ厚さ方向中心より嵌合軸部寄りに形成されていることを特徴とする車輪用軸受装置の製造方法。
前記構成によると、冷間鍛造の鍛造型装置の成形型は、第1の成形型と第2の成形型によって構成されている。この成形型に形成されたキャビティのうち、フランジ部に対応するフランジ成形部の位置には第1の成形型と第2の成形型の型割り位置が形成されている。この型割り位置は、フランジ厚さ方向中心より嵌合軸部寄りに形成されている。
型割り位置をフランジ厚さ方向中心より嵌合軸部寄りにすることで、第2の成形型の成形溝の角部に割れが発生することを防止でき成形型寿命の向上化が図れる。
請求項7に係る車輪用軸受装置の製造方法は、請求項4に記載の車輪用軸受装置の製造方法であって、前記側方押出加工によって前記フランジ部を形成する工程の前の工程には、前記フランジ付き軸部材の前記軸部と、前記フランジ部の幅方向両側面の根元部に形成されるフランジ基部及び前記嵌合軸部を形成するための中間軸部からなる一次成形品を形成する冷間鍛造の前方押出成形の工程を有しており、前記前方押出成形による工程で形成される前記中間軸部の外径をφDとし、前記側方押出成形による工程で形成される前記フランジ基部の外径をφBして、前記中間軸部の外径φDは前記フランジ基部の外径φBに対して、φD≧φB×0.8を満たすように設定されていることを特徴とする。
前記構成によると、前方押出成形による工程で形成される中間軸部から、側方押出成形による工程で形成されるフランジ基部への拡大量を抑えることで側方押出成形による工程で形成されるフランジの先端の塑性ひずみを低減することができる。また、フランジの先端の割れが少ない良好な冷間鍛造製のフランジ付き軸部材を製造することができ、車輪用軸受装置の製造コストを軽減することができる。また車輪用軸受装置の重量軽減を図ることができる。
なお、上記構成を換言すれば、次のようにも表現できる「請求項4に記載の車輪用軸受装置の製造方法であって、前記側方押出加工によって前記フランジ部を形成する工程の前の工程には、前記フランジ付き軸部材の前記軸部と、前記フランジ部の幅方向両側面の根元部に形成されるフランジ基部及び前記嵌合軸部を形成するための中間軸部からなる一次成形品を形成する冷間鍛造の前方押出成形の工程を有しており、前記前方押出成形による工程で形成される前記中間軸部の外径φDは、前記側方押出成形による工程で形成される前記フランジ基部の外径φBの0.8倍以上に設定されていることを特徴とする。」
請求項8に係る車輪用軸受装置の製造方法は、請求項4または請求項7に記載の車輪用軸受装置の製造方法であって、前記前方押出成形による工程で形成される一次成形品の前記中間軸部の外径φD、前記軸部の端部外径φEとし、
前記中間軸部φDの断面積 SD=(φD/2)×(φD/2)×π
前記軸部の端部外径φEの断面積 SE=(φE/2)×(φE/2)×π
としたとき、(SD−SE)/SD≦0.85を満たすように設定されていることを特徴とする。
前方押出成形による工程で形成される中間軸部から、前記軸部の端部への断面の減少率が大きいと加工硬化により軸部の硬度が上がってしまう。このフランジ付き軸部材を各構成品と共に車輪用軸受装置として組付ける際、この軸部の端部をかしめ加工する。このとき、この軸部の端部の硬度が高いとかしめ性が低下してしまうので好ましくない。
上記構成によれば、軸部の端部の加工硬化を抑制することができる。
なお、上記構成を換言すれば、次のようにも表現できる「請求項4に記載の車輪用軸受装置の製造方法であって、前記前方押出成形による工程で形成される一次成形品の前記中間軸部の断面積から前記軸部の端部の断面積への断面減少率は0.85倍以下に設定されていることを特徴とする車輪用軸受装置の製造方法」。
この発明の実施例1に係る車輪用軸受装置を示す縦断面図である。 同じくフランジ付き軸部材を示す縦断面図である。 同じくフランジ付き軸部材を嵌合軸部側から示す平面図である。 同じく図3のIV−IV線に基づくフランジ部の横断面図である。 同じくフランジ付き軸部材の製造工程を示す説明図である。 同じく冷間鍛造の第1、第2の両成形型のキャビティに一次成形品がセットされて型閉じした状態を示す縦断面図である。 同じく図6のVII−VII線に基づくフランジ成形型部の横断面図である。 同じくパンチによって一次成形品の嵌合軸部の端面に鍛造凹部を形成しながら複数のフランジ部を側方押出加工によって形成する状態を示す縦断面図である。 同じく第1、第2の両成形型のキャビティのフランジ成形部を拡大して示す縦断面図である。 この発明の実施例2に係る車輪用軸受装置のフランジ付き軸部材のフランジ部を示す縦断面図である。 同じく図10のXI−XI線に基づくフランジ部の横断面図である。 同じく冷間鍛造の第1、第2の両成形型のフランジ成形部を示す横断面図である。 この発明の実施例3に係る車輪用軸受装置のフランジ付き軸部材を示す縦断面図である。 この発明の実施例3に係る車輪用軸受装置の冷間鍛造の2次成形品を嵌合軸部側から示す平面図である。 この発明の実施例4に係る車輪用軸受装置のフランジ付き軸部材を示す側面図である。 図15のXVI−XVI線断面図である。 この発明の実施例7に係る車輪用軸受装置のフランジ付き軸部材を示す平面図である。 図17のXVIII−XVIII線断面図である。 この発明の実施例8に係る車輪用軸受装置のフランジ付き軸部材のフランジ部を示す縦断面図である。 同じく図19のXX−XX線に基づくフランジ部の横断面図である。 この発明の実施例8に係る車輪用軸受装置の冷間鍛造の第1、第2の両成形型のキャビティのフランジ成形部を拡大して示す縦断面図である。 図21のXXII−XXII線断面図である。
この発明を実施するための形態について実施例にしたがって説明する。
先ず、この発明の実施例1に係る車輪用軸受装置を図1〜図3にしたがって説明する。
図1に示すように、車輪用軸受装置としての車輪用ハブユニットは、フランジ付き軸部材(ハブホイール)1と、転がり軸受としての複列のアンギュラ玉軸受41とを一体状に有してユニット化されている。
フランジ付き軸部材1は、外周面に転がり軸受としての複列のアンギュラ玉軸受41が組み付けられる軸部10と、この軸部10の一端側に形成されかつ軸部10よりも大径で車輪(図示しない)の中心孔が嵌込まれる嵌合軸部30と、軸部10と嵌合軸部30との間に位置するフランジ基部20aと、このフランジ基部20aの外周面に外径方向へ放射状に延出されかつ車輪を締め付けるハブボルト27が圧入によって配置されるボルト孔24が先端寄り部分に貫設された複数のフランジ部21とを一体に有する。
また、嵌合軸部30には、フランジ部21側にブレーキロータ用嵌合部31が形成され、先端側にブレーキロータ用嵌合部31よりも若干小径の車輪用嵌合部32が形成されている。
この実施例1において、フランジ付き軸部材1の軸部10の外周面には環状の隙間を保って外輪部材45が配置され、この外輪部材45の内周面の軸方向に所定間隔を保って形成された両軌道面46、47と、軸部10側の両軌道面43、44との間に転動体としての複数個の玉50、51が保持器52、53によって保持されてそれぞれ組み込まれることで複列のアンギュラ玉軸受41が構成されている。
また、この実施例1においては、フランジ付き軸部材1の軸部10は、フランジ部21側が大径で先端側が小径に形成された段軸状に形成され、軸部10の大径部11の外周面に一方の軌道面43が形成されている。
また、軸部10の小径部12の外周面には内輪体42が嵌め込まれ、この内輪体42の外周面に他方の軌道面44が形成されている。
さらに、軸部10の先端部には、小径部12と同径の端軸部15が延出されている。この端軸部15の端面中心部には軸端凹部16が形成され、端軸部15の先端部が径方向外方へかしめられてかしめ部17が形成されることによって小径部12の外周面に内輪体42が固定される。
また、外輪部材45の外周面の軸方向中央部には車体側フランジ48が一体に形成され、車輪用ハブユニットは、車体側フランジ48において、車体側部材、例えば、車両の懸架装置(図示しない)に支持されたナックル、又はキャリアの取付面にボルトによって連結される。
図2と図3に示すように、フランジ付き軸部材1の複数のフランジ部21は、冷間鍛造によって嵌合軸部30の中心部端面に鍛造凹部33が形成される際の側方押出加工によって形成される。また、フランジ部21の根元部(基部)及びその近傍(以下、単に根元部近傍という)の一側(フランジ部21のローター支持面22を車外側面としたときに車内側面をなる側)には車内側に向けて突出された厚肉部23が形成されている。
さらに、厚肉部23はフランジ部21の根元部(基部)側から同フランジ部21のボルト孔24側に向かって漸次減少する傾斜状に形成されている。この厚肉部23の傾斜面23aの傾斜角度(フランジ付き軸部材1の回転中心軸線Sと直交する円環状平坦面23cに対する角度)θ1は、冷間鍛造時の材料流れや成形後の脱型を考慮すると、「20°≦θ1≦45°」の関係に設定されることが望ましい。
また、図3に示すように、各フランジ部21の幅方向両側面の根元部に応力が集中して作用することがないように、各フランジ部21の幅方向両側面の根元部はフランジ基部20aの外周面に向かってしだいに幅広となる湾曲面(円弧面も含む)21bをなすと共に、隣接する各フランジ部21の湾曲面21bはフランジ基部20aの外周面に連続している。
また、図3に示すように、各フランジ部21の先端面は、嵌合軸部30のブレーキロータ用嵌合部31の直径寸法の約半分の半径をもつ円弧面21aに形成されている。すなわち、嵌合軸部30のブレーキロータ用嵌合部31の直径寸法をφPとし、フランジ部21の先端の円弧面21aの半径寸法をrQとしたときに、φP/2≒rQとなるように形成されている。
さて、この実施例1において、冷間鍛造の側方押出加工によって各フランジ部21が形成されると同時に、図4に示すように、フランジ部21の長手方向に直交する横断面形状の角部21eがR面取り形状に形成されている。
例えば、フランジ部21の板厚寸法が6mm〜8mm程度である場合、角部21eは半径3mmのR面に形成されることが望ましい。
上述したように構成されるこの発明の実施例1に係る車輪用軸受装置において、冷間鍛造の側方押出加工によって軸部10と嵌合軸部30との間に位置するフランジ基部20aの外周面に複数のフランジ部21を放射状に形成することによって、重量軽減を図りながら製造コストの低減を図ることができる。
また、図4に示すように、フランジ部21の長手方向に直交する横断面形状の角部21eがR面取り形状に形成されることによって、冷間鍛造の側方押出加工によってフランジ部21が形成される際、フランジ部21の横断面形状に対応して角部80b、81bがR面に形成されたフランジ成形部(後述する)78を有する成形型(後述する第1、第2成形型71、72)を用いてフランジ部21を形成することができる(図7参照)。
このため、フランジ成形部78の横断面形状の角部80b、81bに冷間鍛造の材料流圧が集中して作用することを回避することができる。
この結果、フランジ成形部78の横断面形状の角部80b、81bの早期摩耗を防止して型寿命を向上させることができ、ひいては、車輪用軸受装置の製造コストを軽減することができる。
次に、前記実施例1に係る車輪用軸受装置の製造方法を図5〜図7にしたがって説明する。
図5に示すように、構造用炭素鋼(例えば、S45C、S50C、S55C等の炭素量0.5%前後の炭素鋼が望ましい)の丸棒材を所要長さに切断して軸状素材60を形成する。
次に、軸状素材60を、例えば800℃前後に加熱した後、冷却し焼鈍する。
その後、冷間鍛造の前方押出加工の鍛造型装置(図示しない)を用いて軸状素材60を前方押出加工し、これによって、軸部(大径部11、小径部12及び端軸部(この状態では軸端凹部16が形成されていない)15を含む)10と、中間軸部(フランジ基部20aと嵌合軸部30の一部を形成する)20と、嵌合軸部(この状態では鍛造凹部33やブレーキロータ用嵌合部31が形成されていない)30を形成し、冷間鍛造の前方押出加工による一次成形品61を製作する。
次に、図5〜図9に示すように、冷間鍛造の側方押出加工の鍛造型装置70によって嵌合軸部30の中心部端面に鍛造凹部33を形成しながら一次成形品61の軸部10と嵌合軸部30との間に位置する中間軸部20の外周面に複数のフランジ部21を放射状に形成し、二次成形品62を製作する。
図6〜図9に示すように、冷間鍛造の側方押出加工の鍛造型装置70において、第1、第2の両成形型71、72の間には、一次成形品61がセットされかつ複数のフランジ部21を側方押出加工によって形成するための複数のフランジ成形部78を放射状に有するキャビティ75が形成される。
このフランジ成形部78は、第1、第2の両成形型71、72にそれぞれ形成された成型溝部76、77によって構成されている。
すなわち、図6と図7に示すように、第1、第2の両成形型71、72の成型溝部76、77の上下両壁面の案内面80、81の対向間隔がフランジ部21の板厚寸法と同等の大きさに設定され、左右両側壁面の案内面80a、81aの対向間隔がフランジ部21の幅寸法と同等の大きさに設定されている。そして、フランジ成形部78の長手方向に直交する横断面形状は、フランジ部21の横断面形状と同じ形状に形成され、角部80b、81bがR面(例えば、半径3mmのR面)に形成されている。
また、この実施例1において、フランジ部21の根元部近傍の厚肉部23と反対側の第2成形型72の成型溝部77には、図9に示すように、案内面81の材料流入側近傍を除く奥側にフランジ部21との間に隙間S2を保持する逃がし部84が形成されている。
一方、この実施例1において、フランジ部21の根元部近傍の厚肉部23側を形成する第1成形型71の成型溝部76の案内面80は、逃がし部がない型構造に形成されている。
また、この実施例1において、第1成形型71の成型溝部76の材料流入側には、フランジ部21の厚肉部23を形成するための厚肉部成形用溝部82が形成されている。この厚肉部成形用溝部82の底面は、フランジ部21の根元部側からボルト孔24側に向かって漸次減少する傾斜面82aに形成されて案内面80に連続している(図7参照)。
また、厚肉部成形用溝部82底面の傾斜面82aの傾斜角度θ2は、フランジ部21の厚肉部23の傾斜面23aの傾斜角度θ1と同じ、すなわち、「20°≦θ2≦45°」の関係に設定される。
また、成型溝部76、77によって構成されるフランジ成形部78の径方向の長さ寸法は、フランジ部21の先端の円弧面21aが当たらない長さ寸法をもって設定されている(図6及び図7参照)。
そして、先ず、図6に示すように、鍛造型装置70の第1成形型(下型)71と第2成形型(上型)72のうち、第1成形型71に一次成形品61をセットし、第1成形型71に対し第2成形型72を型閉じする。
その後、図6と図8に示すように、パンチ73を一次成形品61の嵌合軸部30の中心部端面に向けて下降し、パンチ73の先端部74によって嵌合軸部30の中心部端面に鍛造凹部33を形成しながら一次成形品61の軸部10と嵌合軸部30との間に位置する中間軸部20の外周面を、第1、第2の両成形型71、72に形成されたキャビティ75のフランジ成形部78に側方押出することによって複数のフランジ部21を形成する。これと同時に、フランジ部21の長手方向に直交する横断面形状の角部21eをR面取り形状に形成する。
さらに、前記した側方押出加工によって、フランジ部21の根元部近傍の一側に厚肉部23を形成し、これによって側方押出加工による二次成形品62を製作する。なお、中間軸部20は冷間鍛造の変形によってフランジ基部20a及び嵌合軸部30の一部をなす。
次に、二次成形品62の旋削が必要な各部を旋削加工する。そして、旋削加工によって、例えば、各フランジ部21にボルト孔24を形成すると共に、ボルト孔24の両端開口部に第1、第2の両面取り部25、26を形成する。さらに、軸部10の端軸部15に軸端凹部16を形成する。
その後、二次成形品62を焼き入れした後、軸部10の大径部11の軌道面43やフランジ部21のローター支持面22等を旋削加工または研磨加工することで完成品となるフランジ付き軸部材1を製作する。
また、図2に示すように、フランジ部21にボルト孔24の両端開口部に形成される第1、第2の両面取り部25、26において、フランジ部21の厚肉部23側に位置する第1面取り部25の深さ寸法をT1とし、反対側の第2面取り部26の深さ寸法をT2としたときに、「T1<T2」の関係となるように設定されることが望ましい。
すなわち、フランジ部21のボルト孔24に、ハブボルト27のセレーション軸部(軸部29の根元部に形成される)29aを圧入した後の状態において、面取り部の深さ寸法が大きい側にフランジ部21が微量ではあるがそり変形する特性をもつ。
このため、仮に、側方押出加工によってフランジ部21の厚肉部23側へ向かって「そり」が発生したとしも、フランジ部21のボルト孔24にハブボルト27が圧入されることで、前記したフランジ部21の厚肉部23側への「そり」が軽減される。
また、図2に示すように、フランジ部21の厚肉部23が形成される一側面(ローター支持面22と反対側の面)のハブボルト27の頭部28下面に接するボルト座面21cはコイニング加工によって表面仕上げされ、これによってフランジ部21の必要平面精度(例えば、直角度0.1以下)を確保しかつ強度を高めることが望ましい。
さらに、ボルト座面21cの領域を越えかつフランジ部21の厚肉部23の傾斜面23aの境界R面23b又は、境界R面23b及び傾斜面23aにわたる範囲(図2のコイニング加工範囲W)にわたってコイニング加工によって表面仕上げすることでフランジ部21の強度をより一層高めことが望ましい。
また、コイニング加工による表面硬さはHRC25以上、表面粗さがRa6.3以下に仕上げられることが望ましい。
最後に、図1に示すように、フランジ付き軸部材1の軸部10の外周面に、複数個の玉50、51と保持器52、53と外輪部材45とがそれぞれ組み込まれる。
そして、軸部10の小径部12の外周面に内輪体42が嵌め込まれた後、端軸部15の先端部が径方向外方へかしめられてかしめ部17が形成されることによって小径部12の外周面に内輪体42が固定される。
また、フランジ付き軸部材1の軸部10の外周面にアンギュラ玉軸受41が組み付けられる前、又は後において、フランジ部21のボルト孔24の第1面取り部25側からハブボルト27の軸部29が挿入され、軸部29のセレーション軸部29aがボルト孔24に圧入されることによってフランジ部21にハブボルト27が固定される。
これをもって車輪用軸受装置が製造される。
なお、図1に示すように、内輪体42の外周面には、速度センサ90に対応する被検出部95を周方向に有するパルサーリング96が必要に応じて圧入固定される。この場合、外輪部材45の端部内周面には、有蓋筒状のカバー部材91が圧入固定され、このカバー部材91の蓋板部92に速度センサ90が、その検出部をパルサーリング96の被検出部95に臨ませて取り付けられる。
前記したように構成されるこの発明の実施例1に係る車輪用軸受装置の製造方法によると、フランジ成形部78の長手方向に直交する横断面形状が、フランジ部21の横断面形状と同じ形状に形成され、角部80b、81bがR面(例えば、半径3mmのR面)に形成された第1、第2の両成形型71、72を用いて、フランジ付き軸部材1の二次成形品62を容易に形成することができる。
また、フランジ成形部78の横断面形状の角部80b、81bがR面に形成されるため、冷間鍛造の材料流圧が集中して作用することを回避することができる。
この結果、フランジ成形部78の横断面形状の角部80b、81bの早期摩耗を防止して型寿命を向上させることができ、ひいては、車輪用軸受装置の製造コストを軽減することができる。
また、フランジ部21の根元部近傍の厚肉部23側と反対側に対応する部分にフランジ部21と第2成形型72の成型溝部77との間に隙間S2を保持する逃がし部84が形成される。このため、パンチ73の先端部74によって嵌合軸部30の中心部端面に鍛造凹部33を形成しながらフランジ部21を形成する際の冷間鍛造の材料流動時における材料と第2成形型72の成型溝部77との間の接触摩擦力を逃がし部84に相当する分だけ軽減することができる。これによって、成形型と素材との摩擦抵抗を軽減して荷重増大を防止することが可能となる。
また、この実施例1において、図6、図8、図9に示すように、第1成形型71は、その成型溝部76に逃がし部がない型構造とすることによって、冷間鍛造のファイバーフローに沿う材料流動性によるフランジ部21の厚肉部23側へ向かう「そり」の発生を良好に抑制することができる。
すなわち、冷間鍛造においては、ファイバーフローに沿う材料流動性によってフランジ部21に、厚肉部23側へ向かうそりが発生しやすくなる特性がある。このフランジ部21の厚肉部23側へ向かうそりによって、例えば、フランジ部21のローター支持面22の全面を平坦面に仕上げ加工することが困難となる恐れがある。フランジ部21のローター支持面22の全面が平坦面に仕上げ加工されていない場合、例えば、ブレーキロータ55の取り付けが不安定となることが想定される。しかしながら、前述したようにフランジ部21の厚肉部23側へ向かう「そり」の発生を抑制することで、フランジ部21のローター支持面22の全面を平坦面に仕上げ加工すること容易となり、ブレーキロータ55を安定よく取り付けることが可能となる。
次に、この発明の実施例2に係る車輪用軸受装置を図10と図11にしたがって説明する。
図10に示すように、この実施例2においても、フランジ付き軸部材101の複数のフランジ部121は、冷間鍛造によって嵌合軸部130の中心部端面に鍛造凹部133が形成される際の側方押出加工によって形成される。
図11に示すように、この実施例2においては、フランジ部121の長手方向に直交する横断面形状が幅方向中央部121fよりも両側部121gが薄肉に形成されている。また、フランジ部121の横断面形状の角部121eがR面取り形状に形成されている。
この実施例2のその他の構成は実施例1と同様に構成されるため、その説明は省略することがある。以降の実施例においても同様である。
上述したように構成されるこの発明の実施例2に係る車輪用軸受装置において、フランジ部121の長手方向に直交する横断面形状で幅方向中央部121fよりも両側部121gを薄肉に形成した分だけ重量軽減を図ることができる。
言い換えると、フランジ部121の幅方向中央部121fを所要とする板厚に形成し、当該部分にボルト孔124を貫設してハブボルトに対する圧入長さを確保しながら、重量軽減を良好に図ることができる。
次に、この発明の実施例2に係る車輪用軸受装置の製造方法を図12にしたがって説明する。
図12に示すように、この実施例2においては、冷間鍛造の側方押出加工の鍛造型装置170の第1、第2の両成形型171、172の成型溝部176、177によって、フランジ成形部178が形成されている。このフランジ成形部178の横断面形状が前記したフランジ部121の横断面形状に対応して幅方向中央部176aよりも両側部176bが小さく形成されている。
さらに、フランジ成形部178の横断面形状の角部180b、181bがR面に形成されている。
この実施例2に係る車輪用軸受装置の製造方法のその他の構成は前記実施例1で述べた車輪用軸受装置の製造方法と同様に構成されるためその説明は省略する。
上述したように構成されるこの発明の実施例2に係る車輪用軸受装置の製造方法によると、フランジ成形部178の長手方向に直交する横断面形状が、フランジ部121の横断面形状と同じ形状に形成され、角部180b、181bがR面(例えば、半径3mmのR面)に形成された第1、第2の両成形型171、172を用いて、フランジ付き軸部材101の二次成形品162を容易に形成することができる。
また、フランジ成形部178の横断面形状の角部180b、181bがR面に形成されるため、冷間鍛造の材料流圧が集中して作用することを回避することができる。
この結果、フランジ成形部178の横断面形状の角部180b、181bの早期摩耗を防止して型寿命を向上させることができ、ひいては、車輪用軸受装置の製造コストを軽減することができる。
次に、この発明の実施例3に係る車輪用軸受装置を図13、図14にしたがって説明する。
図13に図示されるように、シール摺動部57は冷間鍛造により所定の精度に成形されている。また、シール摺動部57は、ボンデリューベ処理被膜または二硫化モリブデン膜により表面摩擦係数が低い状態に形成されている。
また、実施例3におけるフランジ部21及びフランジ基部20aの軸方向から見た面積に関する特徴について説明する。図14の斜線部は、冷間鍛造の二次成形において、フランジ部21が延出される外径円の範囲内で第1成形型71と第2成形型72が接触する範囲を示す。言い換えれば、フランジ部21が肉抜きされた部分である。
ここで、フランジ部21の外径をφA、フランジ部21の根元のフランジ基部20aの外径をφB、フランジ部21の周方向の幅をC、フランジ部21の数をNとし、フランジ部21及びフランジ基部20aの軸方向から見た面積(フランジ投影部の面積)をSf、フランジ部21の外径円の面積をSaとすると、
Sf=N×C×(1/2)×(φA−φB)+(φB/2)×(φB/2)×π
Sa=(φA/2)×(φA/2)×π
と表すことができ、実施例1では、二次成形品62のSf/Saが0.53〜0.56の範囲とされている。
このSf/Saは、フランジ部21が延出される外径円の範囲内における第1成形型71と第2成形型72が非接触となる面積の外径円の面積に対する比率を表している。
このSf/Saが大きいほど、フランジ投影部の比率が大きくなるため鋼材の流動面積が大きくなり、押出加工による鋼材の流動性が良くなるため成形性が向上する。一方、Sf/Saが大きいほど、第1成形型71と第2成形型72が接触面積が小さくなり狭い面積で型圧を支えることが必要となるため型に対する負荷が増大する。
また、Sf/Saが小さいほど、フランジ投影部の割合が小さくなるため鋼材の流動面積が狭くなり、押出加工による鋼材の流動性が悪くなるため成形性が低下する。一方、Sf/Saが小さいほど、第1成形型71と第2成形型72の接触面積が大きくなるため広い面積で型圧を支えればよいので型に対する負荷が減少する。
なお、Sf/Saが異なる構成について試験した結果、Sf/Saが0.6より大きい場合は、成形型の接触面積が狭く、狭い面積で型圧を支えることが必要となり型が割れやすくなることがわかった。また、Sf/Saが0.5より小さい場合は、鋼材の流動面積が狭くなり鋼材の流動性が悪くなるためフランジ部の成形性が悪くなり、フランジ部が予定した形状に成形されにくくなることがわかった。よって、Sf/Saは0.5以上かつ0.6以下のとすることが好ましい。
この実施例3のその他の構成は実施例1及び実施例2と同様に構成されるため、その説明は省略する。
上述したように構成されるこの発明の実施例xに係る車輪用軸受装置において、シール摺動部57は冷間鍛造により所定の精度に成形されているので旋削加工は省略することができる。また、シール摺動部57は、ボンデリューベ処理被膜または二硫化モリブデン膜により表面摩擦係数が低い状態に形成されているので、研磨加工は省略することができる。
また、この実施例3において、フランジ投影部の面積Sfとフランジ部21の外径円の面積Saの比Sf/Saが0.53以上かつ0.56以下とされているため、冷間鍛造の二次成形におけるフランジ部21の押出加工において、型に過度の負担が掛からずフランジ部21の成形性が良好となるため、型寿命と成形性の両立を図ることができる。
次に、前記実施例3に係る車輪用軸受装置の製造方法を図5、図6、図8、図9、図14にしたがって説明する。
この実施例3に車輪用軸受装置の製造方法にかかる特徴点について示す。
図5に示すように、構造用炭素鋼(例えば、S45C、S50C、S55C等の炭素量0.5%前後の炭素鋼が望ましい)の丸棒材を所要長さに切断して軸状素材60を形成する。次に、軸状素材60を、例えば800℃前後に加熱した後、冷却し焼鈍する。
次に、成型後の離型性を良くするために、軸状素材60にボンデライト処理を行い、軸状素材60の表面にリン酸塩被膜を形成する。
次に、鍛造工程時の型の潤滑を良するために、ボンデリューベ処理または、必要に応じて耐焼付き性を向上させるために、軸状素材60に二硫化モリブデンを塗布して乾燥させてもよい。
その後、冷間鍛造の前方押出加工の鍛造型装置(図示しない)を用いて軸状素材60を前方押出加工し、これによって、軸部10(大径部11、小径部12及び端軸部15(この状態では軸端凹部16が形成されていない)を含む)と、中間軸部20と、嵌合軸部30(この状態では鍛造凹部33やブレーキロータ用嵌合部31が形成されていない)を形成し、冷間鍛造の前方押出加工による一次成形品61を製作する。
ここで、軸状素材60は冷間鍛造前にボンデライト処理及びボンデリューベ処理がなされているので、鍛造工程時の型の潤滑が良く、型寿命を延ばすことができ、成形後の離型性も良い。また、一次成形では軸状素材60を加熱することなく成形するので、一次成形品61には表面にボンデライト処理及びボンデリューベ処理により形成された皮膜が温存される。
次に、図5、図6、図8、図9に示すように、冷間鍛造の側方押出加工の鍛造型装置70によって嵌合軸部30の中心部端面に鍛造凹部33を形成しながら一次成形品61の軸部10と嵌合軸部30との間に位置する中間軸部20の外周面に複数のフランジ部21を放射状に形成し、二次成形品62を製作する。
ここで、一次成形品61には表面にボンデライト処理及びボンデリューベ処理により形成された皮膜が温存されているので、二次成形においても、鍛造工程時の型の潤滑が良く、型寿命を延ばすことができ、成形後の離型性も良い。
この実施例3に係る車輪用軸受装置の製造方法のその他の構成は前記実施例1及び実施例2で述べた車輪用軸受装置の製造方法と同様に構成されるためその説明は省略する。
上述したように構成されるこの発明の実施例3に係る車輪用軸受装置の製造方法によると、フランジ付き軸部材1は、ボンデライト処理及びボンデリューベ処理が施された軸状素材60の冷間鍛造により製造されるので、型の潤滑が良いため型寿命が延び、成型後の離型性も良い。そして、鍛造時に素材が加熱されることがないので、加工精度が良く、シール摺動部57の旋削加工を省略することができる。また、ボンデリューベ処理で形成された皮膜の潤滑機能により、冷間鍛造でフランジ付き軸部材の表面が滑らに表面摩擦係数が低く仕上がるので、シール摺動部57の研磨加工を省略することができる。
よって、本発明によれば、重量軽減を図ると共に、製造コストを低減することができる車輪用軸受装置の製造方法を提供することができる。
次に、この発明の実施例4に係る車輪用軸受装置を図15、図16にしたがって説明する。この実施例4では、図15に示すとおり、フランジ付き軸部材1Aのフランジ部21Aの形状が実施例1と異なっている。実施例4では、図16に示すとおり、フランジ部21Aは周方向の断面が凸型形状とされ、ハブボルト27の座面の幅の範囲が肉厚部63とされ、周方向の両端は肉薄部64とされている。これにより、ハブボルト27の必要嵌合長さを確保し、かつ、車輪外側のブレーキロータのバックアップとして必要な当たり面の面積を確保して、フランジ部21Aの体積の削減を図っている。また、図16に示すとおり、フランジ部21Aの周方向断面に現れる角部は全てR2以上のRとし、成形型の寿命向上を図っている。
なお、フランジ部21A以外の形状は実施例1から3と共通であり、フランジ付き軸部材1Aの製造方法は冷間鍛造の前にボンデライト処理及びボンデリューベ処理を行うことを含めて実施例1から3のフランジ付き軸部材1と共通であるため、詳細な説明は省略する。
この実施例4によれば、フランジ部の強度を損なわずに、さらに軽量化が可能である。
次に、この発明の実施例4に係る車輪用軸受装置を図14にしたがって説明する。この実施例5では、図14に斜線部で表された第1成形型71と第2成形型72が接触する面積をSsとすると、
Ss=Sa−Sf
と表すことができる。そして、実施例1では、Ssは5000平方ミリメートル以上かつ、6500平方ミリメートル以下となるように構成されている。なお、この値は1.5リットルクラスの自動車用の車輪用軸受装置の値である。そして、Ssが5000平方ミリメートルよりも小さくなると、第1成形型71と第2成形型72が接触する面積が小さくなり型が割れやすくなる。また、Ssが6500平方ミリメートルよりも大きくなると、鋼材の流動面積が狭くなり鋼材の流動性が悪くなるためフランジ部の成形性が悪くなる。
この実施例5のその他の構成は実施例1から4と同様に構成されており、また、この車輪用軸受装置の製造方法のその他の構成は前記実施例1から4で述べた製造方法と同様に構成されるためその説明は省略する。
この実施例5によれば、冷間鍛造の二次成形におけるフランジ部21の押出加工において、型に過度の負担が掛からずフランジ部21の成形性が良好となるため、型寿命と成形性の両立を図ることができる。
次に、この発明の実施例6に係る車輪用軸受装置を説明する。
この車輪用軸受装置としての車輪用ハブユニットとして構成されるフランジ付き軸部材は、炭素の質量含有率が0.47%〜0.58%、チタンの質量含有率が20ppm〜30ppm、銅の質量含有率が0.10%〜0.20%、ニッケルの質量含有率が0.10%〜0.20%、モリブデンの質量含有率が0.75%〜0.85%、硫黄の質量含有率が0.005%以下の全ての条件を満たした鋼材を使用している。
この実施例6のその他の構成は実施例1から5と同様に構成されるため、その説明は省略する。
上述したように構成されるこの発明の実施例5に係る車輪用軸受装置において、炭素等の含有率が上記の範囲の鋼材は、冷間鍛造時の成形性が良好で、高周波焼き入れ後は軌道輪に必要な表面硬さを得ることができるので、フランジ付き軸部材1を構成する鋼材として好ましい。
この実施例6の車輪用軸受装置の製造方法のその他の構成は前記実施例1から5で述べた製造方法と同様に構成されるためその説明は省略する。
上述したように構成されるこの発明の実施例6に係る車輪用軸受装置の製造方法によると、フランジ付き軸部材1の素材となる軸状素材60には、炭素の質量含有率が0.47%〜0.58%、チタンの質量含有率が20ppm〜30ppm、銅の質量含有率が0.10%〜0.20%、ニッケルの質量含有率が0.10%〜0.20%、モリブデンの質量含有率が0.75%〜0.85%、硫黄の質量含有率が0.005%以下の全ての条件を満たした鋼材を使用している。そのため、軸状素材60は、冷間鍛造による成形性が良好である。また、フランジ付き軸部材1に成形し、必要な旋削加工を施し高周波焼き入れをした後は、軌道輪に必要な表面硬さを得ることができる。
ここで、炭素の質量含有率が0.47%未満の場合は、鋼材が軟らかで、冷間鍛造時の成形性は良好であるが、高周波焼き入れをしても軌道輪に必要な表面硬さが得られない。そして、炭素の質量含有率が0.58を越えると、鋼材が硬くもろくなるため、冷間鍛造による加工に適さない。そのため、少なくとも、炭素の質量含有率が0.47%〜0.58%であることが必要である。
そして、チタンは、鋼材の結晶粒度の粗大化を防止する性質があり、チタンの質量含有率が20ppm〜30ppmであれば、鋼材の結晶粒度の粗大化を防止されるので、冷間鍛造時の成形性が良好となり、好ましい。
なお、チタンの質量含有率が30ppmを越えると、チタンが析出して軸受のボールを傷つけてしまうことがあり、好ましくない。
そして、銅、ニッケル、モリブデンについては、含有量が多いほど鋼材の結晶粒度が細かくなり鋼材が軟らかくなる性質がある。そこで、銅の質量含有率が0.10%〜0.20%、ニッケルの質量含有率が0.10%〜0.20%、モリブデンの質量含有率が0.75%〜0.85%の少なくともいずれか1つを満たせば、鋼材の結晶粒度が細かくなるため、冷間鍛造時の成形性が良好となる。なお、銅、ニッケル、モリブデンのいずれかの含有率が上記の範囲の上限を超えると、添加する銅、ニッケル、モリブデンによりコストアップとなり、高周波焼き入れによって必要な表面硬さが得られ難くなるため好ましくない。
また、硫黄は、含有量が多いほど鋼材がもろくなり割れやすくなる性質がある。硫黄の質量含有率が0.005%以下であれば、鋼材がもろく割れやすくなることがないので、冷間鍛造時の成形性が良好となる。なお、硫黄の質量含有量が0.005%を越えると、鋼材がもろく割れやすくなるため好ましくない。
次に、実施例7に係る車輪用軸受装置について説明する。実施例7では、図17、図18に示すとおり、フランジ付き軸部材1Bの嵌合軸部30Bの形状及び、フランジ部21Bの根元部近傍の形状が実施例1から実施例6と異なっている。実施例7では、嵌合軸部30Bは、フランジ部21Bの根元部付近が肉厚とされ、他の部分は肉薄とされている。そして、嵌合軸部30Bの内径面がフランジ部21Bの数に対応した多角形状とされている。そして、嵌合軸部30Bの内径面を形成する鍛造凹部33Bの隅部32aは円弧状とされており、隅部32aの半径r1と、嵌合軸部30Bのブレーキロータ用嵌合部31Bの外径側の半径r2をほぼ等しく設定して、冷間鍛造におけるパンチ寿命の確保を図っている。
そして、嵌合軸部30Bの外径側でフランジ部21Bが形成されない位置には鍔状のフランジ基部20bが形成されており、フランジ部21Bの根元部近傍はフランジ基部20bと滑らかに接続されてフランジ基部20bと一体化されている。なお、フランジ付き軸部材1Bの材質、フランジ部21Bとその根元部近傍を除いた部分の形状は実施例1から実施例6と共通であり、フランジ付き軸部材1Bの製造方法も実施例1から実施例6のフランジ付き軸部材1と共通であるため、詳細な説明は省略する。
この実施例7によれば、フランジ部21Bへの鋼材の流動性を確保し、かつ、比較的繰り返し応力のかかりにくいフランジ部21Bの根元部近傍以外の部分で嵌合軸部30Bを肉薄化することが可能であり、フランジ付き軸部材1Bの強度確保と軽量化の両立が可能である。また、フランジ部21Bの根元部近傍とフランジ基部20bを一体化することにより、フランジ部21Bの根元部にかかる応力の分散をはかることができる。
次に、この発明の実施例8に係る車輪用軸受装置を図19と図20にしたがって説明する。
図19に図示されるように、この実施例2においても、フランジ付き軸部材801の複数のフランジ部821は、冷間鍛造によって嵌合軸部830の中心部端面に鍛造凹部833が形成される際の側方押出加工によって形成される。
また、図20に示すように、フランジ部821の長手方向に直交する横断面形状の角部が角部821eと角部821fの2種類のR面取り形状に形成されている。
詳しくは、図19及び図20に図示されるように、フランジ部821の根元部近傍の厚肉部23側には角部821eが形成されており、嵌合軸部830側には角部821fが形成されている。また、この角部821fは821eより大きなR面で形成されている。
この実施例8のその他の構成は実施例1から実施例7と同様に構成されるため、その説明は省略する。上述したように構成されるこの発明の実施例8に係る車輪用軸受装置において、このフランジ部821は、フランジ成形時の素材の流動性が向上するため成形性のよいフランジを形成することができる。
次に、この発明の実施例8に係る車輪用軸受装置の製造方法を図21と図22にしたがって説明する。
図21に図示されるように、フランジ部821は、鍛造型装置の成形型が第1の成形型871と第2の成形型872によって構成された成形型によって形成されている。
この第1の成形型871と第2の成形型872に形成されたキャビティのうち、フランジ部821に対応するフランジ成形部878の位置には第1の成形型871と第2の成形型872の型割り位置Uが形成されている。この型割り位置Uは、フランジ部821の厚さ方向の中心Hより嵌合軸部830寄りに形成されている。詳しくは、第1の成形型871から型割り位置Uまでの距離876Uは、第2の成形型872から型割り位置Uまでの距離877Uの方が短く形成されている。
図21と図22に図示されるように、第1成形型871の成型溝部876はフランジ部821の横断面形状の角部821e(図20参照)のR面取り形状に対応して角部880eのR面が形成されている。また、第2成形型872の成型溝部877はフランジ部821の横断面形状の角部821f(図20参照)のR面取り形状に対応して角部881fのR面が形成されている。この第1成形型871の成型溝部876と、第2成形型872の成型溝部877によりフランジ成形部878が構成されてフランジ部821を形成する。
また、この実施例8において、第1成形型871の成型溝部876の案内面880と、第2成形型872の成型溝部877の案内面881逃がし部がない型構造に形成されている。この実施例8に係る車輪用軸受装置の製造方法のその他の構成は前記実施例1から7で述べた車輪用軸受装置の製造方法と同様に構成されるためその説明は省略する。
上述したように構成されるこの発明の実施例8に係る車輪用軸受装置の製造方法によると、フランジ成形部878の横断面形状の角部881fに冷間鍛造の材料流圧が集中して作用することを回避することができる。この結果、フランジ成形部878の横断面形状の角部881fへの応力集中を防止して型寿命を向上させることができ、ひいては、車輪用軸受装置の製造コストを軽減することができる。また、フランジ821の成形時の素材の流動性が向上するため成形性のよいフランジ821を形成することができる。
また、この実施例8において、第1成形型871の成型溝部876の案内面880と、第2成形型872の成型溝部877の案内面881逃がし部がない型構造に形成されている。しかし、第1の成形型871と第2の成形型872の型割り位置Uがフランジ部821の厚さ方向の中心Hより嵌合軸部830寄りに形成されていると共に、第2成形型872の成型溝部877の角部881fのR面は、第1成形型871の成型溝部876の角部880eのR面より大きいR面で形成されている。これにより、第2の成形型872の成型溝部877の角部881fに割れが発生することを防止でき成形型寿命の向上化が図れる。
次に、この発明の実施例9に係る車輪用軸受装置の製造方法を図5と図14にしたがって説明する。
図5、図14に示すように、この実施例9における車輪用軸受装置の製造方法は、前方押出成形おいて成形される一次成形品61と側方押出成形において成形される二次成形品62の軸寸法の特定に特徴を有している。車輪用軸受装置の製造方法は側方押出加工によってフランジ部21を形成する前工程に冷間鍛造の前方押出成形の工程を有している。
この前方押出成形は、フランジ付き軸部材1の軸部10(大径部11、小径部12及び端軸部15(この状態では軸端凹部16が形成されていない)を含む)と、フランジ部21の幅方向両側面の根元部に形成されるフランジ基部20a及び嵌合軸部30を形成するための中間軸部20からなる一次成形品61を形成する。この前方押出成形による工程で形成される中間軸部20の外径をφD、側方押出成形による工程で形成されるフランジ基部20aの外径をφBした場合に、中間軸部20の外径φDはフランジ基部20aの外径φBに対して、φD≧φB×0.8を満たすように設定されている。
なお換言すれば、側方押出加工によってフランジ部21を形成する工程の前の工程には、フランジ付き軸部材1の軸部10と、フランジ部21の幅方向両側面の根元部に形成されるフランジ基部20a及び嵌合軸部30を形成するための中間軸部20からなる一次成形品61を形成する冷間鍛造の前方押出成形の工程を有しており、前方押出成形による工程で形成される中間軸部20の外径φDは、側方押出成形による工程で形成されるフランジ基部20aの外径φBの0.8倍以上に設定されている。
また、図5に示すようにこの実施例9における車輪用軸受装置の製造方法は、前方押出成形における一次成形品61の軸寸法の特定にも特徴を有している。
すなわち、前方押出成形による工程で形成される一次成形品61の中間軸部20の外径φDとし、軸部10の端軸部15(この状態では軸端凹部16が形成されていない)の外径φEとした場合、
中間軸部20のφDの断面積はSD=(φD/2)×(φD/2)×πとなり、軸部10の端軸部15の外径φEの断面積はSE=(φE/2)×(φE/2)×πとなる。
この両断面積の関係が、(SD−SE)/SD≦0.85を満たすように設定されている。
なお換言すれば、前方押出成形による工程で形成される一次成形品61の中間軸部20の断面積から軸部10の端軸部15の断面積への断面減少率は0.85倍以下に設定されている。この実施例9に係る車輪用軸受装置の製造方法のその他の構成は前記実施例1から8で述べた車輪用軸受装置の製造方法と同様に構成されるためその説明は省略する。
従って、φDは、φD≧φB×0.8と(SD−SE)/SD≦0.85の両方の関係を満たすように設定すればよい。
上述したように構成されるこの発明の実施例9に係る車輪用軸受装置の製造方法によると、前方押出成形による工程で形成される中間軸部20から、側方押出成形による工程で形成されるフランジ基部20aへの拡大量を抑えることで側方押出成形による工程で形成されるフランジ部21の先端の塑性ひずみを低減することができる。そして、フランジ部21の先端の割れが少ない良好な冷間鍛造製のフランジ付き軸部材1を製造することができ、車輪用軸受装置の製造コストを軽減することができる。また車輪用軸受装置の重量軽減を図ることができる。
また、前方押出成形による工程で形成される中間軸部20から、軸部10の端軸部15への断面の減少率が大きいと加工硬化により軸部10の端軸部15の硬度が上がってしまう。このフランジ付き軸部材1を各構成品と共に車輪用軸受装置として組付ける際、この軸部10の端軸部15のかしめ加工する。このとき、この軸部10の端軸部15の硬度が高いとかしめ性が低下してしまうので好ましくない。しかしながら上記構成によれば、軸部10の端軸部15の加工硬化を抑制することができる。
なお、この発明は前記実施例1から実施例9に限定するものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。
例えば、前記実施例1においては、鍛造型装置70の第2成形型72の成型溝部77と、フランジ部21の根元部近傍の厚肉部23側と反対側部分との間に隙間S2を保持する逃がし部84が形成される場合を例示したが、逃がし部84がない型構造としてもこの発明を実施可能である。
1 フランジ付き軸部材
10 軸部
20 中間軸部
20a フランジ基部
21 フランジ部
21e 角部
24 ボルト孔
27 ハブボルト
30 嵌合軸部
33 鍛造凹部
41 アンギュラ玉軸受(転がり軸受)
45 外輪部材
70 鍛造型装置
71 第1成形型
72 第2成形型
73 パンチ
75 キャビティ
78、178 フランジ成形部
80b、81b、180b、181b 角部

Claims (8)

  1. 転がり軸受が組み付けられる軸部と、この軸部の一端側に形成されかつ車輪の中心孔が嵌込まれる嵌合軸部と、前記軸部と前記嵌合軸部との間に位置する外周面に外径方向へ放射状に延出されかつ前記車輪を締め付けるハブボルトが配置されるボルト孔が貫設された複数のフランジ部とを有するフランジ付き軸部材を備えた車輪用軸受装置であって、
    前記フランジ部は、冷間鍛造によって前記嵌合軸部の中心部端面に鍛造凹部が形成される際の側方押出加工によって形成され、
    前記フランジ部の長手方向に直交する横断面形状の角部がR面取り形状に形成されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  2. 請求項1に記載の車輪用軸受装置であって、
    フランジ部の長手方向に直交する横断面形状は、幅方向中央部よりも両側部が薄肉に形成され、
    前記フランジ部の横断面形状の角部がR面取り形状に形成されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  3. 請求項1に記載の車輪用軸受装置であって、
    前記冷間鍛造による側方押出加工は、鍛造型装置の成形型が第1の成形型と第2の成形型によって構成されており、
    前記鍛造型装置の成形型に形成されたキャビティのうち、前記フランジ部に対応するフランジ成形部の位置には前記第1の成形型と第2の成形型の型割り位置が形成されており、
    前記型割り位置は、前記フランジ厚さ方向中心より嵌合軸部寄りに形成されており、
    前記フランジ部は、前記成形型によって形成されていることを特徴とする車輪用軸受装置。
  4. 転がり軸受が組み付けられる軸部と、この軸部の一端に形成されかつ前記軸部よりも大径で車輪の中心孔が嵌込まれる嵌合軸部と、前記軸部と前記嵌合軸部との間に位置して外径方向に放射状に延出されかつ前記車輪を締め付けるハブボルトが配置されるボルト孔が貫設された複数のフランジ部とを有するフランジ付き軸部材を備えた車輪用軸受装置を製造する方法であって、
    冷間鍛造の鍛造型装置によって前記嵌合軸部の中心部端面に鍛造凹部を形成しながら前記軸部と前記嵌合軸部との間の外周面に、側方押出加工によって前記フランジ部を形成する工程を備え、
    前記鍛造型装置の成形型に形成されたキャビティのうち、前記フランジ部に対応するフランジ成形部の長手方向に直交する横断面形状が、請求項1に記載のフランジ部の横断面形状に対応して角部がR面に形成された成形型を用いてフランジ部を形成することを特徴とする車輪用軸受装置の製造方法。
  5. 請求項4に記載の車輪用軸受装置の製造方法であって、
    鍛造型装置の成形型のフランジ成形部の長手方向に直交する横断面形状は、請求項2に記載のフランジ部の横断面形状に対応して幅方向中央部よりも両側部が小さく形成され、
    前記フランジ成形部の横断面形状の角部がR面に形成されていることを特徴とする車輪用軸受装置の製造方法。
  6. 請求項4に記載の車輪用軸受装置の製造方法であって、
    前記冷間鍛造の鍛造型装置の成形型は、第1の成形型と第2の成形型によって構成されており、
    前記鍛造型装置の成形型に形成されたキャビティのうち、前記フランジ部に対応するフランジ成形部の位置には前記第1の成形型と第2の成形型の型割り位置が形成されており、
    前記型割り位置は、前記フランジ厚さ方向中心より嵌合軸部寄りに形成されていることを特徴とする車輪用軸受装置の製造方法。
  7. 請求項4に記載の車輪用軸受装置の製造方法であって、
    前記側方押出加工によって前記フランジ部を形成する工程の前の工程には、
    前記フランジ付き軸部材の前記軸部と、前記フランジ部の幅方向両側面の根元部に形成されるフランジ基部及び前記嵌合軸部を形成するための中間軸部からなる一次成形品を形成する冷間鍛造の前方押出成形の工程を有しており、
    前記前方押出成形による工程で形成される前記中間軸部の外径をφDとし、前記側方押出成形による工程で形成される前記フランジ基部の外径をφBとして、
    前記中間軸部の外径φDは前記フランジ基部の外径φBに対して、
    φD≧φB×0.8
    を満たすように設定されていることを特徴とする車輪用軸受装置の製造方法。
  8. 請求項4または請求項7に記載の車輪用軸受装置の製造方法であって、
    前記前方押出成形による工程で形成される一次成形品の前記中間軸部の外径φD、前記軸部の端部外径φEとし、
    前記中間軸部φDの断面積 SD=(φD/2)×(φD/2)×π
    前記軸部の端部外径φEの断面積 SE=(φE/2)×(φE/2)×π
    としたとき、(SD−SE)/SD≦0.85を満たすように設定されていることを特徴とする車輪用軸受装置の製造方法。
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