JP3254513B2 - エンジン用ピストンの鍛造素材 - Google Patents

エンジン用ピストンの鍛造素材

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JP3254513B2
JP3254513B2 JP28119694A JP28119694A JP3254513B2 JP 3254513 B2 JP3254513 B2 JP 3254513B2 JP 28119694 A JP28119694 A JP 28119694A JP 28119694 A JP28119694 A JP 28119694A JP 3254513 B2 JP3254513 B2 JP 3254513B2
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skirt
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pin boss
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俊勝 小池
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02FCYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
    • F02F2200/00Manufacturing
    • F02F2200/04Forging of engine parts

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  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
  • Forging (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、削り加工して鍛
造ピストンを成形するエンジン用ピストンの鍛造素材に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】エンジン用ピストンを鍛造で製造するこ
とが行なわれており、この一例として例えば特開平2−
255241号公報に製造方法が開示されている。この
ように、鍛造で製造されるエンジン用ピストンの鍛造素
材を、削り加工して鍛造ピストンが成形されるが、エン
ジン用ピストンの鍛造素材は、両ピンボス部の中央部を
通る面と直角方向にあるスカートの削り代を大きく、し
かもそれぞれのピンボス部外周においてピンボス部の一
方のボス部付け根から他方のボス部付け根の間の削り代
は均等に付けていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このためエン
ジン用ピストンの鍛造素材の外周形状は、でこぼこした
ものとなり、却って鍛造時に材料の流れが円滑でなく、
冷却も時間差が生じる等の原因で外周部に亀裂が入る場
合があった。
【0004】この発明は、かかる点に鑑みてなされたも
ので、両ピンボス部の中央部を通る面と直角方向にある
スカ−トの中央部の欠肉を防止するとともに、外周の亀
裂を防止するエンジン用ピストンの鍛造素材を提供する
ことを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項1の発明は、削り加工して鍛造ピストンを成
形するエンジン用ピストンの鍛造素材において、両ピン
ボス部の中心を通る面に対して直角方向のスカートの中
央部の外周の削り代を、ピンボス部の外周の削り代より
大きく取るとともに、前記ピンボス部の外周から前記ス
カートの中央部外周にかけて、外周外方に凸の曲面で形
成し、ピストンの円周方向におけるスカートとスカート
の中間部であって、前記ピンボス部のピストン頂部との
反対側部に、切り欠部を形成し、この切り欠部外方にも
削り代を設け、この削り代を含んだピストン外周が閉じ
た凸状曲面で形成され、ピストン頂部と反対側のピスト
ン外周底部に、全周に渡って削り代を設け、この削り代
を含む底部端部に円筒外方に張り出すばりを形成し、ス
カートにおけるばりの張り出し量よりピンボス部におけ
るばりの張り出し量の方を大きくしたことを特徴として
いる。
【0006】この請求項1記載の発明によれば、両ピン
ボス部の中心を通る面に対して直角方向のスカートの中
央部の外周の削り代を、ピンボス部の外周の削り代より
大きく取るとともに、ピンボス部の外周からスカートの
中央部外周にかけて、外周外方に凸の曲面で形成するこ
とで、鍛造時凸の曲面の場合凸の先端まで肉が押し出さ
れ、凸の先端部が不規則に欠肉することがない。
【0007】ピストンの円周方向におけるスカートとス
カートの中間部であって、ピンボス部のピストン頂部と
の反対側部に、切り欠部を形成し、この切り欠部外方に
も削り代を設け、この削り代を含んだピストン外周が閉
じた凸状曲面で形成し、ピストン頂部と反対側のピスト
ン外周底部に、全周に渡って削り代を設けることで、鍛
造時の材料が圧力を受けてから伸ばされることによりフ
ァイバーフローができることになり、ファイバーフロー
が乱れないので、加工後エンジンに組み込まれ運転され
る時、熱がピストン頂部天井部からスカートに円滑に伝
達される。また、ピストン頂部天井部から爆発圧力、ピ
ストンピンからの反力、スカートから側圧が加わった状
態で応力が集中する部位が生じにくい。
【0008】また、削り代を含む底部端部に円筒外方に
張り出すばりを形成することで、鍛造素材の長手方向寸
法が略一定となり、鍛造素材の取扱性が改善され、また
鍛造素材は、長手方向の加工範囲を小さくでき、加工工
数の低減ができる。
【0009】また、スカートにおけるばりの張り出し量
よりピンボス部におけるばりの張り出し量の方を大きく
することで、ファイバーフローができ強度低下が生じな
い。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明のエンジン用ピス
トンの鍛造素材の実施例を図面に基づいて説明する。ま
ず、エンジン用ピストンの鍛造素材の第1の実施例を、
図1乃至図4に基づいて説明する。図1はエンジン用ピ
ストンの鍛造素材のピンボス部のピン穴加工予定部を通
る横断面図である。
【0011】図1において、エンジン用ピストンの鍛造
素材1は、鍛造で製造され、この鍛造素材1を削り加工
して鍛造ピストンが成形される。鍛造素材1は、略コッ
プ状に鍛造される。
【0012】鍛造素材1は、ピストン素材内周2とピス
トン素材外周3とで所定の肉厚に形成され、ピストン素
材内周2の対向する位置に、一対のピンボス部10が形
成されている。ピンボス部10の付け根10aは、曲面
アールに形成され、この隅アールR0は例えば15mm
より小さく形成される。
【0013】鍛造素材1に、ピストン加工後の略真円形
状の製品の外周20が二点鎖線で示されており、削り加
工して鍛造ピストンのスカート11を形成する。
【0014】ピストン素材内周2は略真円形状に形成さ
れている。ピストン素材外周3は真円に近い楕円形状に
形成され、3aはピンボス外周部、3bはスカート中央
外周部、3abはピンボス外周部3aからスカート中央
外周部3bの中間外郭部を示している。
【0015】ピストン素材外周3の楕円形状は、ピンボ
ス部10側が短径になっており、ピンボス部10の外周
部の削り代aよりスカート11の中央部の外周の削り代
bが大きくなっている。また、ピストン素材外周3の中
間外郭部3abに最小肉厚cより小さな曲率の凸凹がな
い、なめらかな大きな曲率の凸形状をしている。
【0016】このように、削り加工して鍛造ピストンを
成形するエンジン用ピストンの鍛造素材1は、両ピンボ
ス部10の中心を通る面に対して直角方向のスカート1
1中央部の外周の削り代bをピンボス部10の外周の削
り代aより大きく取るとともに、ピンボス部10の外周
からスカート11中央部外周にかけて、最小肉厚cより
大きな曲率を持つ曲面で形成している。従って、ピンボ
ス部10の外周からスカート11中央部外周にかけて、
曲面の曲率が最小肉厚cより大となっているから、鍛造
時凸の曲面の場合凸の先端まで肉が押し出され、凸の先
端部が不規則に欠肉することがない。
【0017】また、鍛造素材1の各部の鍛造肌の表面粗
さは、例えばピンボス部10回り、スカート11円周、
ピストン頂部裏側表面、ピストン素材外周3、ピストン
天井頂部外側表面等、全て1,6Zないしそれ以下とし
ている。
【0018】図2乃至図7において、第2の実施例のエ
ンジン用ピストンの鍛造素材を説明する。図2はエンジ
ン用ピストンの鍛造素材の端部側の底面図、図3は図2
のIII―III線に沿った縦断面図、図4は図2のIV-IV線
に沿った縦断面図である。
【0019】エンジン用ピストンの鍛造素材1は、ピス
トン素材内周2の金型の抜き勾配より、ピストン素材外
周3の抜き勾配が大きくなっている。また、鍛造素材1
を加工してピストンが形成され、加工後の略真円形状の
製品の外周20の外径寸法φをD0で示す。この実施例
では、ピストン素材外周3も略真円形状とされる。
【0020】鍛造素材1には、ピストンの底側端部に横
方向に拡がるバリ部4が配置され、バリ部4を含む底側
端部は、切削加工によって切断され、21はその底部加
工面を示す。ピストンの底側端部にはバリ部4を設ける
ことで、鍛造時の材料が圧力を受けてから伸ばされるこ
とによりファイバーフローができる。このファイバーフ
ローはバリ部に向かって形成される。
【0021】このように、ピストンの底側端部にバリ部
4を配置するようにしたので、ピストン頂部天井部5か
らスカ―ト部11、さらにバリ部4へと向かってファイ
バーフローができることになり、ファイバーフローが乱
れないので、加工後エンジンに組み込まれ運転される
時、熱がピストン頂部天井部5からスカート11に円滑
に伝達される。また、ピストン頂部天井部5から爆発圧
力、ピストンピンからの反力、スカート11から側圧が
加わった状態で応力が集中する部位が生じにくい。
【0022】さらに、ピストンの底側端部にバリ部4を
横方向に出すことで、鍛造素材1の長手方向寸法が略一
定となり、鍛造素材1の取扱性が改善される。また、鍛
造素材1は、長手方向の加工範囲を小さくでき、加工工
数の低減ができる。
【0023】鍛造素材1のバリ部4の形状は、ピンボス
部10のバリL1を、両ピンボス部10と直角方向のス
カート11側のバリL2より大きくしている。ピンボス
部10の肉厚は大きく、鍛造時の材料のピストン底側端
部への上がりが早い。このため、バリL1が大きくなる
ようにしないと、端部で押さえられることとなり、薄肉
部方向である横方向への材料流れが生じ、ファイバーフ
ローが乱れることとなり、強度低下を生じることになる
が、しかしバリL1が大きくなるようにしたことで強度
低下が生じない。
【0024】鍛造素材1のスカート11に、運転中燃焼
室内で混合気が着火して爆発的に燃焼するときに側圧を
受ける側部11b、運転中に同様に爆発的に燃焼すると
きに側圧を受けない側部11aを有している。また、鍛
造素材1のスカート11に、掃気通路のクランク室側開
口を確保のための切欠部11cと、その削り代部11c
´を有し、またピストン重量軽減のための切欠部11d
と、その削り代部11d´を有している。側部11aの
肉厚t11aが側部11bの肉厚t11bより大きく設定され
ている。
【0025】このように、ピンボス部10の底側のスカ
ート11に加工後の製品において切欠を設けるととも
に、鍛造素材1においては、切欠の外側に削り代として
の肉を付与し、底部の全周バリを同一面上に形成するよ
うにしており、このようにすることで、鍛造の外周型、
底型の合わせ形状が簡単となり、型費が節約できる。
【0026】また、ピンボス部10の底側のスカート1
1に加工後の製品において切欠きを設けることにより、
削り代をつけた鍛造素材1の肉厚をピンボス部10の底
側のスカート11を薄く、両ピンボス部10の中心を通
る面に対して直角方向のスカート11中央部の肉厚を厚
くしたことにより、特開平2−255241号公報に記
載のピストンと同一効果を持たせるとともに、鍛造素材
1外周を略真円にしたので、鍛造時外周部に亀裂が入り
にくいという本願と同一効果を持たせることができる。
また、ピストン素材内周2側は圧縮圧力が加わるので亀
裂は入りにくく、第1の実施例のように円周を略真円に
しなくても、この実施例のように内周側で対応しても良
い。
【0027】また、バリ部4には引っ張りが加わること
でバリ部4の先端に亀裂がはいるが、これを軽減でき
る。即ち、バリ部4が3次元的に構成される時、バリ部
4は各部毎に違った方向に引っ張られるので、より大き
な引っ張りが作用し、この亀裂は大きくなり、製品部に
まで及ぶことがある。しかし、この実施例においては、
バリ部4を同一面上に形成することで、同一面上に引っ
張りあって生じるのみとなり、亀裂の大きさを小さくで
きる。
【0028】鍛造素材1においては、ピストン頂部天井
部5の外側表面5cは加工用の捨てボス部5aを除き鍛
造肌であり、加工用の捨てボス部5aは、ピストン側面
外周加工後、加工により除去される。
【0029】鍛造素材1のピストン素材内周2には、ピ
ンボス部10が形成され、さらにピンボス部10と側圧
を受けるスカート11の側部11bの間にリブ部12が
形成されている。ピンボス部10には鍛造時のガス抜き
用突起30が形成され、このガス抜き用突起30は鍛造
の金型側のガス抜き孔によって形成される。
【0030】鍛造素材1のピストン素材内周2には、ピ
ストン使用時の応力集中の防止、あるいは鍛造時の金型
の損傷防止のためにアールR1〜R7が形成されており、
アールR1はピストン頂部天井部5の裏側表面5bの曲
面、アールR2はピストン頂部天井部5の曲面とスカー
ト11の側部11b,11aとの間の曲面、アールR3
はピンボス部10の付け根10aの曲面、アールR4
ピストン頂部天井部5の裏側表面5bの曲面とリブ部1
2との間の曲面、アールR5はリブ部12とスカート1
1との間の曲面、アールR6,R7はピンボス部10とス
カート11との間の曲面である。
【0031】また、tOは捨てボス部5aの加工後の天
井頂部肉厚、t1は排気側スカート11の側圧を受けな
い側部11aの肉厚、t2は掃気側スカート11の側圧
を受ける側部11bの肉厚を示す。排気側スカート11
の側圧を受けない側部11aの肉厚t1より掃気側スカ
ート11の側圧を受ける側の肉厚t2を大きくすること
で側圧を受けると共に、高温になる排気側のスリーブ剛
性を下げ、シリンダとの当たりを弱くして焼き付き防止
が可能である。
【0032】前記したように、側圧を受けない排気側ス
カート11の側部11aの鍛造素材1における肉厚t
11aを、側圧を受ける掃気側スカート11の鍛造素材1
における側部11bの肉厚t11bより厚くすることによ
り、鍛造ファイバーを粗に生成させるので、加工後の肉
厚t1を他方の肉厚t2より薄くさせることに加え、排気
側のスリーブの剛性を下げることができる。
【0033】また、鍛造素材1は、次のような寸法に形
成されている。以下、単位はmmである。
【0034】
【数1】 ここで、R1は略150、R2は略15、t0は略6〜
8、t1は略1.5、t2は略2.5、D0は60〜10
0である。
【0035】R2/t0が1.5より小さいと、熱の流れ
が悪くなる。また、R2/t0が3.5より大きいと、重
量が大きくなり過ぎるため、1.5<R2/t0<3.5
に設定される。
【0036】図5はエンジン用ピストンの鍛造素材のピ
ストン底側端部の横断面図、図6は図5のVI-VI線に沿
う断面図である。鍛造素材1のスカート11のピストン
底側端部では、掃気通路を確保のための切欠11dのま
わりの肉厚が、円周方向に同一であり、切欠11dまわ
りの肉厚は縦方向に抜き勾配を持っており、鍛造の型抜
きを容易にしている。
【0037】図7は第2の実施例のエンジン用ピストン
の鍛造素材のピストンリング溝まわりの断面図である。
エンジン用ピストンの鍛造素材1は、加工された後にピ
ストン頂部天井部5側にピストンリング溝50が形成さ
れている。ピストンリング溝50の裏側の最小肉厚t3
も、2<t3<0.1D0に形成され、剛性を確保しなが
ら軽量化している。
【0038】次に、エンジン用ピストンの鍛造素材のピ
ンボス部の第3の実施例を、図8及び図9に基づいて説
明する。図8はエンジン用ピストンの鍛造素材の面取り
用の肉盗みを設けたピンボス部の部分側面図、図9は図
8のIX―IX線に沿った縦断面図である。
【0039】エンジン用ピストンの鍛造素材1は、ピン
ボス部12を有しており、このピンボス部12に鍛造時
のガス抜き用突起30が形成され、このガス抜き用突起
30は鍛造の金型側のガス抜き孔によって形成される。
【0040】ガス抜き用突起30の高さh1、外径d1
する時、 0.5<d1<1.5 h1<2 とする。
【0041】このように、ガス抜き用突起30は、鍛造
時にガス抜きが可能で、しかもピストンの重量が大きく
なりすぎない大きさに形成される。
【0042】また、ピンボス部12には、面取り用の肉
盗み32が形成されており、この面取り用の肉盗み32
に加工孔31が形成される。面取り用の肉盗み32を設
けることで、加工を廃止し加工量を節約できるととも
に、鍛造フローを加工により切らないので強度を向上さ
せることができる。
【0043】なお、肉盗み32の面取り形状を略矩形と
したが、ピストン頂部天井部5側は半円形とする面取り
形状でも良い。
【0044】図10はエンジン用ピストンの鍛造素材の
ピストン底側端部の形状の別の第4の実施例を示す断面
図である。鍛造素材1のスカート11の底側端部11g
には縦バリ11hと横バリ11iが形成され、h2は底
部加工面21から底側端部11gまでの長さ、h3は底
部加工面21から横バリ11iの内側までの長さ、h4
は底部加工面21から横バリ11iの外側までの長さを
示す。
【0045】このh2〜h4は、 h3>0 h2>0 のように設定され、縦バリ11hより横バリ11iを大
きくすることにより、縦バリ11hに亀裂を入りにくく
している。
【0046】図11は図2乃至図7の実施例におけるエ
ンジン用ピストンの鍛造素材の抜き勾配を示す断面図で
ある。エンジン用ピストンの鍛造素材1は、ピストン素
材内周2の抜き勾配より、ピストン素材外周3の抜き勾
配を大きくし、金型の抜き方向は逆になっている。この
実施例では、加工後スカート11を薄肉にでき、ピスト
ンの軽量化が可能である。また、ピストン素材内周2の
先端近くの鍛造フローは残るので強度低下は無い。
【0047】図12はエンジン用ピストンの鍛造素材の
抜き勾配を示す第5の実施例の断面図である。この実施
例では、エンジン用ピストンの鍛造素材1は、同様にピ
ストン素材内周2の抜き勾配より、ピストン素材外周3
の抜き勾配を大きくしているが、金型の抜き方向が同方
向であり、ピストン頂部天井部5側にバリ部4が形成さ
れている。
【0048】図13は別の第6の実施例におけるピスト
ンリング溝まわりの断面図である。エンジン用ピストン
の鍛造素材1は、加工された後にピストン頂部天井部5
側にピストンリング溝50が形成されている。ピストン
リング溝50の裏側に円錐面部51が形成され、この円
錐面部51のピストン加工後の製品の外周20に対する
角度αは、20度<α<40度に設定され、さらに円錐
面部51の両側に、アールR9,アールR10の曲面を有
し、さらにピストン頂部天井部5の表面は、アールR8
に加工により形成され、剛性を確保しながら軽量化して
いる。この実施例におけるピストンリング溝50の裏側
のピストンリング溝50の裏側の最小肉厚t4も、2<
4<0.1D0に形成されている。
【0049】図14はエンジン用ピストンの鍛造素材に
より成形される別の第7のピストンの断面図である。エ
ンジン用ピストンの鍛造素材1により成形されるピスト
ンは、ピストン頂部天井部5の内側、特にピンボス部1
0の頂部天井側部に加工へぐり100が形成される。加
工へぐり100はアールR11,アールR12の曲面を有し
ており、加工へぐり100の径をDで示し、加工後の製
品の外周20の外径寸法φをD0で示し、これらは次の
ように設定して剛性を確保しながら軽量化している。
【0050】
【数2】 次に、前記したエンジン用ピストンの鍛造素材により成
形された鍛造ピストンを用いたエンジンについて説明す
る。図15は2サイクルエンジンの断面図である。
【0051】2サイクルエンジン200は、シリンダ2
01に鍛造ピストン202が往復動可能に設けられてい
る。鍛造ピストン202のピストンピン203と、クラ
ンク軸204のクランクピン205とはコンロッド20
6で連結されている。クランク軸204はクランク室2
07に回動可能に軸支され、クランク室207に連通し
た吸気通路208にはリードバルブ209が設けられて
いる。クランク室207と燃焼室210とは掃気通路2
11で連通され、クランク室207から燃料が送られ
る。燃焼室210から排気ガスが排気通路212から排
気される。
【0052】図15からも分かるように、この第8の実
施例の鍛造ピストン202の排気通路212側のスカー
ト部211aに燃焼爆発時の側圧が作用する。このた
め、このスカート部211aの加工後の肉厚を切欠部1
1cのある掃気通路211側のスカート部211bの加
工後の肉厚より厚くしている。なお、スカート部211
aの外側の削り代を大きくして、加工後の肉厚をスカー
ト部211bと同様あるいはクランク軸204の回転方
向の異なる第2の実施例の鍛造ピストンと同様、それ以
上に薄くすることも可能である。削り代部がある分ファ
イバー密度を下げ、重量を軽減することができる。
【0053】
【発明の効果】前記したように、請求項1記載の発明で
は、両ピンボス部の中心を通る面に対して直角方向のス
カートの中央部の外周の削り代を、ピンボス部の外周の
削り代より大きく取るとともに、ピンボス部の外周から
スカートの中央部外周にかけて、外周外方に凸の曲面で
形成することで、鍛造時凸の曲面の場合凸の先端まで肉
が押し出され、凸の先端部が不規則に欠肉することがな
い。
【0054】ピストンの円周方向におけるスカートとス
カートの中間部であって、ピンボス部のピストン頂部と
の反対側部に、切り欠部を形成し、この切り欠部外方に
も削り代を設け、この削り代を含んだピストン外周が閉
じた凸状曲面で形成し、ピストン頂部と反対側のピスト
ン外周底部に、全周に渡って削り代を設けることで、鍛
造時の材料が圧力を受けてから伸ばされることによりフ
ァイバーフローができることになり、ファイバーフロー
が乱れないので、加工後エンジンに組み込まれ運転され
る時、熱がピストン頂部天井部からスカートに円滑に伝
達される。また、ピストン頂部天井部から爆発圧力、ピ
ストンピンからの反力、スカートから側圧が加わった状
態で応力が集中する部位が生じにくい。
【0055】また、削り代を含む底部端部に円筒外方に
張り出すばりを形成することで、鍛造素材の長手方向寸
法が略一定となり、鍛造素材の取扱性が改善され、また
鍛造素材は、長手方向の加工範囲を小さくでき、加工工
数の低減ができる。
【0056】また、スカートにおけるばりの張り出し量
よりピンボス部におけるばりの張り出し量の方を大きく
することで、ファイバーフローができ強度低下が生じな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジン用ピストンの鍛造素材のピンボス部の
ピン穴加工予定部を通る横断面図である。
【図2】第2の実施例のエンジン用ピストンの鍛造素材
の端部側の底面図である。
【図3】図2のIII―III線に沿った縦断面図である。
【図4】図2のIV-IV線に沿った縦断面図である。
【図5】エンジン用ピストンの鍛造素材のピストン底側
端部の横断面図である。
【図6】図5のVI-VI線に沿う断面図である。
【図7】第2の実施例のエンジン用ピストンの鍛造素材
のピストンリング溝まわりの断面図である。
【図8】エンジン用ピストンの鍛造素材の面取り用の肉
盗みを設けたピンボス部の部分側面図である。
【図9】図8のIX―IX線に沿った縦断面図である。
【図10】エンジン用ピストンの鍛造素材のピストン底
側端部の形状の別の第4の実施例を示す断面図である。
【図11】図2乃至図7の第2の実施例におけるエンジ
ン用ピストンの鍛造素材の抜き勾配を示す断面図であ
る。
【図12】エンジン用ピストンの鍛造素材の抜き勾配を
示す第5の実施例の断面図である。
【図13】別の第6の実施例におけるピストンリング溝
まわりの断面図である。
【図14】エンジン用ピストンの鍛造素材により成形さ
れるピストンの断面図である。
【図15】2サイクルエンジンの断面図である。
【符号の説明】
1 鍛造素材 11 スカート部 12 ピンボス部 202 鍛造ピストン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21K 1/18 F02F 3/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】削り加工して鍛造ピストンを成形するエン
    ジン用ピストンの鍛造素材において、 両ピンボス部の中心を通る面に対して直角方向のスカー
    トの中央部の外周の削り代を、ピンボス部の外周の削り
    代より大きく取るとともに、前記ピンボス部の外周から
    前記スカートの中央部外周にかけて、外周外方に凸の曲
    面で形成し、 ピストンの円周方向におけるスカートとスカートの中間
    部であって、前記ピンボス部のピストン頂部との反対側
    部に、切り欠部を形成し、この切り欠部外方にも削り代
    を設け、この削り代を含んだピストン外周が閉じた凸状
    曲面で形成され、 ピストン頂部と反対側のピストン外周底部に、全周に渡
    って削り代を設け、この削り代を含む底部端部に円筒外
    方に張り出すばりを形成し、スカートにおけるばりの張
    り出し量よりピンボス部におけるばりの張り出し量の方
    を大きくしたことを特徴とするエンジン用ピストンの鍛
    造素材。
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