JP2010207749A - 粉砕装置及びこれを用いた粒状洗剤組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粉砕室10と、該粉砕室10の内部に設けられ、略水平方向を軸線として回転し被粉砕物を粉砕する粉砕部40とを有し、前記粉砕室10の下部は、前記粉砕部の先端41の軌跡に近接する曲面20とされ、前記曲面20には前記粉砕部40の回転方向Aに向かって段階的に異なる孔径の孔26を形成する。前記粉砕部10の回転方向Aに対し、前記曲面20の下端Pから後方に設けられた孔26の孔径が、該下端Pから前方に設けられた孔26の孔径よりも小さいことが好ましい。
【選択図】図1
Description
噴霧乾燥粒子を高嵩密度化する方法としては、例えばベース粉末と液体のバインダー成分を混練機に連続的に供給し、捏和してドウ状物を得、得られたドウ状物をペレット状に押出成形し、さらに粉砕(粉砕処理)して高嵩密度の界面活性剤含有粒子を製造する方法がある。一般的に、粉砕処理は、複数台の粉砕装置を直列に連結し、段階的に小さい粒径にする方法が採られている。
しかし、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩を多く含む粉体は、粉砕装置内部や空気輸送される配管内部に付着しやすく製造安定性が損なわれやすいという問題がある。
そこで、本発明は、界面活性剤の含有量が少ない粒状洗剤組成物であっても、効率的に生産できる粉砕装置及び粒状洗剤組成物の製造方法を目的とする。
また、例えば、篩部21には、篩部21を領域分けせず、回転方向Aの方向に徐々に孔径が小さくなるように孔26を配置してもよいし、徐々に大きくなるように配置してもよい。あるいは、回転方向Aの方向で曲面20の下端に向かうに従い孔径を小さくし、次いで、上方に向かうに従って孔径を大きくしてもよい。
中でも、篩部21は、回転方向Aに向かって段階的に孔径が小さくなるように孔26が形成されていることが好ましい。例えば、後部篩24の孔径を前部篩22の孔径よりも小さくしたものが挙げられる。このように、後部篩24の孔径を前部篩22の孔径よりも小さくすることで、次のような理由により、被粉砕物から発生した微粉(洗剤微粉)が粉砕装置8内に付着することを防止できる。投入口から落下してきた被粉砕物は、重力により篩部21の下端Pに集まる様に挙動する。下端Pに至った被粉砕物は、高速で回転している粉砕部40で粉砕される。この際、発生した洗剤微粉は、粉砕部40の回転に従い後部篩24からケーシング50内に排出されるように挙動する。しかし、後部篩24の孔径を小さくしておくことで、後部篩24から排出される洗剤微粉の量は制御される。こうして、洗剤微粉が、特定の箇所に偏って付着するのを防止できる。
各孔26の孔径の違いの程度は特に限定されないが、例えば、2種の孔径の孔26を設けた場合、その内の最も小さい孔径が、最も大きい孔径に対し、20〜80%が好ましく、30〜70%であることがより好ましい。上記範囲内であれば、粉砕物の粒度分布が広がりすぎることを防止すると共に、粉砕装置8内及び配管内への被粉砕物から発生する洗剤微粉の付着を抑制できるためである。
なお、孔径は、真円の場合にはその内径を意味し、楕円の場合にはその短径を意味し、矩形の場合には短辺の長さを意味する。
曲面20の形状は、被粉砕物の粉砕効率等を考慮して決定することができ、例えば、回転軸Oを基準として粉砕室10の下部全体を先端41が描く軌跡に沿った形状としてもよいし、粉砕室10の下部の一部を先端41が描く軌跡に沿った形状としてもよい。生産効率の観点からは、粉砕室10の下部全体を先端41が描く軌跡に沿った形状とすることが好ましい。
粉砕刃42の材質は、その形状や被粉砕物の硬度や脆さ等の物性に応じて決定することができ、例えば、ステンレス等を挙げることができる。
まず、駆動部を起動し、粉砕部40を回転方向Aで回転させる。次いで、被粉砕物を投入口12から投入する。投入された被粉砕物は、回転する粉砕部40の粉砕刃42により粉砕され、任意の大きさの粉砕物となる。任意の大きさにされた粉砕物は、篩部21の孔26を通過し、ケーシング50に設けられた排出口52から排出される。排出された粉砕物は、そのまま粒状洗剤組成物としてもよいし、さらに、界面活性剤や香料等を噴霧して造粒したり、他の洗剤成分を造粒した造粒粒子と粉体混合し、粒状洗剤組成物とすることができる。
押出成型に用いる押出成型機としては公知の装置を用いることができ、一軸又は二軸スクリュー型押出機やディスク型押出機やロール型押出機を使用することができ、中でも、スクリュー型、二軸型が好ましく、二軸型がより好ましい。
粉砕装置8を多段に連結する場合には、2〜3台の粉砕装置8を連結することが好ましく、3台を連結することがより好ましい。加えて、粉砕装置8を多段に連結する場合には、後段に行くほど篩部21の孔径を小さくすることが好ましい。このように粉砕装置8を多段に連結すると共に、後段に行くほど孔26の孔径を小さくすることで、粒度分布をシャープにすることができる。
送風温度は10〜40℃が好ましい。また、送風量は0.1〜5m3/kg(被粉砕物の単位質量当たり)が好ましい。
粉砕助剤としては、例えば、ステアリン酸塩、A型ゼオライト等のアルミノ珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩、非晶質シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、タルク、ベントナイト等の粘土鉱物、二酸化珪素、二酸化チタン、微粉砕された炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムが望ましく、アルミノ珪酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩がより好ましく、A型ゼオライトがさらに好ましい。
これらの粉砕助剤が粉砕物表面に付着し、粉砕物の表面活性を低下させることにより、粉砕装置8又は配管等への付着防止を図ると共に、粉砕動力の低減や、粉砕物の流動性改善が図られる。
この操作を繰すことによって1410〜1680μm(1410μm)、1190〜1410μm(1190μm)、1000〜1190μm(1000μm)、710〜1000μm(710μm)、500〜710μm(500μm)、350〜500μm(350μm)、250〜350μm(250μm)、149〜250μm(149μm)、皿〜149μm(149μm)の各粒子径の分級サンプルを得、質量頻度(%)を算出する。
次に、算出した質量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、またaμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の質量頻度をd%として、下記(1)式によって平均粒子径(質量50%)を求められる。
洗剤微粉の付着防止の原理は明らかではないが、以下のように推測できる。
粉砕装置8は、粉砕部40が高速で回転し被粉砕物を粉砕するため、粉砕室10内の空気に乱流が生じる。この乱流により粉砕室10で粉砕物が舞い上がって投入口12から排出されないように、投入口12から空気を送り込んだり、排出口52側を投入口12よりも減圧することが多い。こうして、投入口12から排出口52に向かう気流が生じる。
投入口12から排出口52に向かう気流は、粉砕部40の回転で生じる気流の影響を受け、第二の側面56側に傾いた流れとなる。この結果、洗剤微粉は、第二の側面56又は第二の底面57に吹き付けられる量が多くなり、早期に付着・堆積することとなる。
本発明は、篩部21の孔径が回転方向Aに向かって段階的に異なるため、比較的孔径の大きい孔26を投入口12から排出口52に向かう気流が優先して流通することで、該気流を整流し、洗剤微粉が第二の側面56側又は第二の底面57側に偏って流れることを防止することができる。この結果、洗剤微粉が過度に堆積することなく、粉砕装置8内での洗剤微粉の付着を防止できる。
加えて、上述の実施形態では、4枚の粉砕刃42を周方向に4枚配置して粉砕刃集合体とし、2個の粉砕刃集合体を回転軸Oに沿って任意の間隔で軸部44に配置しているが、本発明はこれに限定されず、粉砕刃集合体は1個であってもよいし、3個以上であってもよい。
(使用原料)
・α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペースト(ライオン株式会社製)
組成:脂肪酸鎖長;炭素数16/18、含有質量比8/2、有効成分63質量%、ノニオン界面活性剤16質量%、ジ塩及びメチル硫酸塩等の不純物8質量%、水分13質量%
・炭酸ナトリウム:粒灰(ソーダアッシュジャパン株式会社製)
・蛍光剤:チノパールCBS−X(チバ・ジャパン株式会社製)
・水酸化カリウム:フレーク状苛性カリ(旭硝子株式会社製)
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸:ライポンLH−200(ライオン株式会社製)
・LAS−K:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ライオン株式会社製、ライポンLH−200、AV値(LAS−Hを1g中和するに要する水酸化カリウムのmg数)=180.0)を噴霧乾燥用スラリー中で48質量%水酸化カリウム溶液で中和したもの。表中の配合量は、LAS−Kとしての質量%を示す。
・アクリル酸/マレイン酸コポリマー塩:アクアリックTL−400(株式会社日本触媒製、純分40質量%水溶液)
・ノニオン界面活性剤:ECOROL26(ECOGREEN社製炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(ライオン株式会社製、純分90質量%)
・A型ゼオライト:シルトンB(水澤化学株式会社製、純分80質量%)
・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子株式会社製)
・硫酸ナトリウム:中性無水芒硝A0(四国化成株式会社製)
・石鹸:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン株式会社製、純分:67質量%、タイター:40〜45℃、脂肪酸組成:C12:11.7質量%、C14:0.4質量%、C16:29.2質量%、C18F0(ステアリン酸):0.7質量%、C18F1(オレイン酸):56.8質量%、C18F2(リノール酸):1.2質量%、分子量:289)
[噴霧乾燥粒子の調製]
表1の組成に従い、各成分(噴霧乾燥粒子の被覆剤として用いるA型ゼオライト2質量%当量を除く)を攪拌機、ジャケットを有する反応装置内に投入し、水に溶解分散させ(攪拌機のジャケット温度75℃)、固形分濃度60質量%の噴霧乾燥用スラリーを調製した。
次いで、この噴霧乾燥用スラリーを向流式乾燥塔を用いて以下の条件で噴霧乾燥し、噴霧乾燥塔の下部より噴霧乾燥粒子コート被覆剤としてA型ゼオライトの一部(2質量%)を導入して噴霧乾燥粒子を得た。
・噴霧乾燥装置:向流式、塔径2.0m、有効長5.0m。
・微粒化方式:加圧ノズル方式。
・噴霧圧力:30kg/cm2。
・熱風入口温度:250℃。
・熱風出口温度:100℃。
得られた噴霧乾燥粒子の平均粒子径は約300μm、嵩密度は0.3g/mL、水分含有量は5質量%であった。
噴霧乾燥粒子中の水分含有量(質量%)の測定は、Kett水分計(商品名、株式会社ケツト科学研究所製;赤外線水分計)により測定した。測定条件は170℃、20分で行った。
得られた噴霧乾燥粒子72.3質量部と、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩含有ペースト15質量部、ノニオン界面活性剤2質量部、水0.5質量部を連続ニーダー(栗本鐵工所社製、KRC−S4型)に投入し、捏和して(ニーダーの回転数135rpm、ジャケット温度:ジャケット入り口5℃、出口25℃(ジャケットに通水して冷却))、ドウ状物を調製した。得られたドウ状物の温度は55±15℃であった。
次いで、得られたドウ状物を、ペレッターダブル(不二パウダル株式会社製、製品名:EXD−100型)に投入し、孔径約10mm、厚さ10mmのダイスから押し出すと同時に切断(カッター周速:5m/s)し、被粉砕物であるペレット状成形体(直径約10mm、長さ70mm以下(実質的には5mm以上))を得た。被粉砕物の界面活性剤の含有量は28.5質量%であった。
粉砕装置として、フィッツミル(ホソカワミクロン株式会社製、DKA−3型)を三段に連結した。各段の粉砕装置には、表2に記載の条件に従って円形の孔を設けたスクリーン(図1の粉砕装置8の篩部21に相当)を設置し、図1、2の粉砕装置8と同様の粉砕装置とした。三段目の粉砕装置の排出口は、鉛直方向下方に向かって伸び、その後、略水平方向に屈曲した形状の配管(90度エルボー、60mmφ)を介してサイクロン分離器と接続した。篩部21に相当するスクリーンは前部篩と後部篩とに区分けし、前部篩に形成された孔は全て同じ孔径であり、後部篩に形成された孔は全て同じ孔径である。
粉砕装置にペレット状成形体89.8質量部及び粉砕助剤としてのA型ゼオライト6.5質量部を投入し、送風共存下で被粉砕物を粉砕して粉砕物とし、サイクロン分離器で気流中から粉砕物を分離した。粉砕開始15分後に、付着抑制の評価を行い、その結果を表2に示す。
なお、粉砕部の回転数は、回転数100%=4700rpm(周速約60m/s)に対する割合(%)として、表2に記載した。その他の粉砕条件は以下の通りとした。得られた粉砕物の温度は30±10℃、平均粒子径が350μm、嵩密度は0.85g/mLであった。表中、開口面積比とは、「前部篩の孔の開口面積の合計/後部篩の孔の開口面積の合計」で表される比率である。
・送風温度:15±3℃
・送風量(気/固の比率):2.8±0.25m3/kg
・処理速度:230kg/hr
[粉砕装置付着性]
被粉砕物を15分間粉砕した後、粉砕室の内壁及びケーシングの内壁(篩部を除く)に付着した付着物の質量を測定した。それらの質量の和を下記評価基準で評価した。「△」以上を合格とした。なお、下記評価基準は、粉砕装置の実用上の連続運転の期間を目安として区分した。評価基準は、連続運転が2週間以上できるレベルの付着量を「○」、連続運転が1週間以上2週間未満できるレベルの付着量を「△」、連続運転が1週間未満であるレベルの付着量を「×」とした。
○:0g以上10g未満
△:10g以上40g未満
×:40g以上
被粉砕物を15分間粉砕した後、三段目の粉砕装置の排出口に設置した90度エルボー(60mmφ)に付着した付着物の質量を測定し、下記評価基準で評価した。「○」を合格とした。なお、下記評価基準は、粉砕装置の実用上の連続運転の期間を目安として区分した。評価基準は、連続運転が2週間以上できるレベルの付着量を「○」、連続運転が1週間以上2週間未満できるレベルの付着量を「△」、連続運転が1週間未満であるレベルの付着量を「×」とした。
○:0g以上0.1g未満
△:0.1g以上0.2g未満
×:0.2g以上
これに対し、単一の孔径の孔を設けた曲面を用いた比較例1は、一段目の粉砕装置付着性が「×」、さらに配管付着性が「×」であった。
10 粉砕室
21 篩部
22 前部篩
24 後部篩
20 曲面
26 孔
40 粉砕部
41 先端
Claims (3)
- 粉砕室と、該粉砕室の内部に設けられ、略水平方向を軸線として回転し被粉砕物を粉砕する粉砕部とを有し、
前記粉砕室の下部は、前記粉砕部の先端の軌跡に近接する曲面とされ、
該曲面には、前記粉砕部の回転方向に向かって段階的に異なる孔径の孔が形成されていることを特徴とする粉砕装置。 - 前記粉砕部の回転方向に対し、前記曲面の下端から後方に設けられた孔の孔径は、該下端から前方に設けられた孔の孔径よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の粉砕装置。
- 請求項1又は2の粉砕装置を用いて、界面活性剤を含有する捏和物を粉砕することを特徴とする、粒状洗剤組成物の製造方法。
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