JP4917224B2 - 粒状洗剤組成物の製造方法 - Google Patents

粒状洗剤組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒状洗剤組成物の製造方法に関し、更に詳述すると、α−スルホ脂肪酸エステル塩と特定量のノニオン性界面活性剤を配合した混合スラリーを薄膜式蒸発機で濃縮後に粒状化するプロセスにおいて、α−スルホ脂肪酸エステル塩を含有した混合スラリーを濃縮する際に、濃縮物の粘度が低く、かつ、分離の生じない操作性に優れた粒状洗剤組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、粒状洗剤組成物の製造方法においてα−スルホ脂肪酸エステル塩を濃縮した後に粒状化する場合、濃縮物の粘度が高くハンドリング性が劣るという問題があった。
【0003】
かかる問題点を解決するため、特開平9−20900号公報には、α−スルホ脂肪酸エステル塩と石鹸との混合スラリーを濃縮し、得られた濃縮物を冷却後に粒状化する方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、この提案においても、得られた濃縮物の粘度が高くてハンドリングが困難であり、また、低粘化を目指してノニオン界面活性剤を増量するとα−スルホ脂肪酸エステル塩とノニオン界面活性剤とが分離し、濃縮後の操作性が不安定であるという問題があり、製造性と品質安定性を兼ね備えた粒状洗剤組成物の製造方法は、未だ提供されていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明は、このような状況下、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、α−スルホ脂肪酸エステル塩と特定量のノニオン性界面活性剤を配合した混合スラリーを薄膜式蒸発機で濃縮後に粒状化するプロセスにおいて、α−スルホ脂肪酸エステル塩を含有した混合スラリーを濃縮する際に、濃縮物の粘度が低く、かつ、分離の生じない操作性に優れた効率の良い粒状洗剤組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、下記の粒状洗剤組成物の製造方法を提供する。
【0007】
請求項1の発明は、下記(A)〜(C)工程を含むことを特徴とする粒状洗剤組成物の製造方法である。
(A)(a)α−スルホ脂肪酸エステル塩を含有する水性スラリーと(b)ノニオン界面活性剤とを混合する工程
(B)前記(A)工程での混合スラリーを薄膜式蒸発機に導入し、濃縮物が質量比で0.05≦(c)水/〔(a)成分+(b)成分+(c)成分〕≦0.2、及び(b)成分/〔(a)成分+(b)成分+(c)成分〕=0.15〜0.28の条件を満たすように濃縮する工程
(C)前記(B)工程での濃縮物を粒状化する工程
請求項2の発明は、前記(A)工程において、(d1)脂肪酸石鹸及び/又は(d2)ポリオキシアルキレングリコールを、質量比で〔(d1)成分+(d2)成分〕/〔(a)成分+(b)成分+(d1)成分+(d2)成分〕=0.001〜0.25の条件を満たすように添加する請求項1記載の粒状洗剤組成物の製造方法である。
【0008】
本発明によれば、上記(A)〜(C)工程を含むことにより、α−スルホ脂肪酸エステル塩を含有した混合スラリーを濃縮する際に、濃縮物の粘度が低く、かつ、分離の生じない操作性に優れた効率の良い粒状洗剤組成物の製造方法が達成できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の粒状洗剤組成物の製造方法は、下記(A)〜(C)工程を含むものである。
(A)(a)α−スルホ脂肪酸エステル塩を含有する水性スラリーと(b)ノニオン界面活性剤とを混合する工程
(B)前記(A)工程での混合スラリーを薄膜式蒸発機に導入し、濃縮物が質量比で0.05≦(c)水/〔(a)成分+(b)成分+(c)成分〕≦0.20、及び(b)成分/〔(a)成分+(b)成分+(c)成分〕=0.15〜0.28の条件を満たすように濃縮する工程
(C)前記(B)工程での濃縮物を粒状化する工程
【0010】
<(A)混合工程>
前記(A)の混合工程は、(a)α−スルホ脂肪酸エステル塩を含有する水性スラリーと(b)ノニオン界面活性剤とを混合する工程である。
【0011】
前記(a)成分のα−スルホ脂肪酸エステル塩(α−SF)としては、一般に、下記一般式で表されるものが用いられる。
【0012】
【化1】
【0013】
上記式中、Rは、炭素原子数10〜22、好ましくは12〜18、特に好ましくは14〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基である。
は、炭素原子数1〜5、好ましくは1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
Mは、アルカリ金属又はアンモニウムであり、アルカリ金属の具体例としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
【0014】
前記α−SFは、通常、公知の製法によって得られる。例えば、油脂に低級アルコールを反応させて得られた脂肪酸エステルを無水硫酸等でスルホン化し、最後に苛性アルカリ等で中和することによって製造することができる。
前記原料油脂としては、例えば、ヤシ油、パーム核油、豚油、牛脂、米ヌカ油、パーム油、魚油などが挙げられる。
【0015】
前記(b)成分のノニオン界面活性剤としては、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均3〜30モル、好ましくは5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルなどが挙げられ、これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。
前記脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールや、第2級アルコールが使用される。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。好ましい脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが使用される。
【0016】
また、長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキシドが付加した、例えば、以下の一般式(1)で示される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートを用いることもできる。
CO(OA)OR …(1)
(但し、式中、RCOは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を表わす。OAは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキシドの付加単位を表わす。nは、アルキレンオキシドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。Rは炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級アルキル基を表す。)
【0017】
前記脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートとしては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミドなどが挙げられる。
【0018】
前記ノニオン界面活性剤の中でも、融点が40℃以下でHLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキシドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキシドとプロピレンオキシドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が特に好適に用いられる。また、これらのノニオン界面活性剤は混合物として使用してもよい。
【0019】
また、前記(A)工程において、(d1)脂肪酸石鹸及び/又は(d2)ポリオキシアルキレングリコールを、質量比で〔(d1)成分+(d2)成分〕/〔(a)成分+(b)成分+(d1)成分+(d2)成分〕=0.001〜0.25、好ましくは0.005〜0.2、更に好ましくは0.01〜0.l5の条件を満たすように添加することが濃縮物の分離抑制の観点から好ましい。
【0020】
前記(d1)成分の脂肪酸石鹸としては、アルキル基の炭素吸数が10〜18、好ましくは12〜18の飽和又は不飽和の脂肪酸のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩が好ましい。このような脂肪酸としては、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリル酸又はそれらの混合物などが挙げられる。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が好適である。また、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等が好適である。
【0021】
前記(d2)成分のポリオキシアルキレングリコールしては、例えば、分子量15万以下のポリオキシアルキレングリコールが好適である。分子量が15万を超えると濃縮物粘度が高くなる恐れがある。例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0022】
<(B)の濃縮工程>
前記(B)の濃縮工程は、前記(A)工程での混合スラリーを薄膜式蒸発機に導入し、濃縮物が質量比で0.05≦(c)水/〔(a)成分+(b)成分+(c)成分〕≦0.2、及び(b)成分/〔(a)成分+(b)成分+(c)成分〕=0.15〜0.28の条件を満たすように濃縮する工程である。
【0023】
前記0.05≦(c)水/〔(a)成分+(b)成分+(c)成分〕≦0.2、好ましくは、0.06≦(c)水/〔(a)成分+(b)成分+(c)成分〕≦0.19、更に好ましくは0.07≦(c)水/〔(a)成分+(b)成分+(c)成分〕≦0.18である。
0.05未満の場合、粘度が高くなりハンドリング性から好ましくない。一方、0.2を超える場合、(C)の粒状化工程において造粒機への付着が増大するので好ましくない。
【0024】
前記(b)成分/〔(a)成分+(b)成分+(c)成分〕は0.15〜0.28、好ましくは0.15〜0.24、更に好ましくは0.15〜0.2である。
0.15未満の場合、粘度が高くなりハンドリング性の観点から好ましくない。一方、0.28を超えると、濃縮物の分離安定性が良くない。
【0025】
前記(B)の濃縮工程で用いる濃縮機としては、特に制限されないが、薄膜式濃縮機を用いることが好ましい。
前記薄膜式蒸発機としては、特に限定されないが、界面活性剤の熱劣化を抑制しつつ効率的な水分蒸発を行うための真空薄膜蒸発装置として、例えば、エクセバ(神鋼パンテック社)、エバオレーター(桜製作所)、コントロドライヤー(日立製作所製)等が用いられる。
【0026】
濃縮条件は下記の通りである。
▲1▼水分蒸発速度
スラリーを8〜58kg/m・hr、好ましくは9〜28kg/m・hrの水分蒸発速度で蒸発させる。8kg/m・hr未満では蒸発能力が不十分で濃縮操作が非効率的であり分解性のある物質の濃縮に向いてない。一方、58kg/m・hrを超えると濃縮ムラ(部分的に過濃縮)が生ずるため好ましくない。
▲2▼温度
40〜140℃、好ましくは60〜130℃。40℃未満では蒸発速度が遅く140℃以上ではスルホン化物、硫酸化物の劣化などにより、品質の劣化を招くおそれがある
▲3▼真空度
品質の劣化などから0.004〜0.067MPa、好ましくは0.006〜0.060MPaである。
<(C)の粒状化工程>
前記(C)の粒状化工程は、前記(B)工程での濃縮物を粒状化する工程である。
この(C)の粒状化工程としては、一般的に、得られた濃縮品を冷却後粉砕する方法、捏和後粉砕する方法、撹拌造粒による方法等がある。
【0027】
前記濃縮後の冷却のための装置及び方法は、空冷法、ベルト式真空冷却機(ベルマックス;大川原製作所製、スチールベルト式冷却装置;サンドビック社製等)、ドラム式冷却機(ドラムフレーカー;楠木機械製作所製、ダブルドラムドライヤー;カンソーン社製等)等を用いることができる。この際に冷却品がフレーク状で得られた場合はフレークの状態で目的とするアニオン性界面活性剤含有粉体とすることも可能である。冷却後に直接粉砕、又はペレッターでペレット化して粉砕、又はフレークを粉砕して粉体化することができる。ペレット化する際に界面活性剤100質量部に対して無機粒子を1〜30質量部添加することにより、ペレット成形が容易になると共に粉体化品の流動性が良好になる。
【0028】
前記無機粒子としては、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ゼオライト、微粒子シリカ、珪酸カルシウムの群から選ばれるものが好ましい。
【0029】
用いられる粉砕機の種類としては、フィッツミル(ホソカワミクロン社製)、スピードミル(岡田精工社製)等が挙げられる。この際に粉砕助剤を用いることでより効率的に粉砕できる。
【0030】
前記粉砕助剤の種類としては、平均粒径20μm以下の無機粒子が好ましく、ゼオライト、炭酸ナトリウム、ホワイトカーボン等が用いられ、助剤の添加量としては濃縮品100質量部に対して1〜20質量部が好ましく、2〜10質量部以下がより好ましい。
【0031】
フレーク化又は粉砕後に、物性改良のために平均粒径20μm以下の無機粒子を混合し、コーティングすることも可能であり、ゼオライト、炭酸ナトリウム、ホワイトカーボン等が用いられ、コーティング量としては濃縮品100質量部に対して1〜20質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。本発明により得られた界面活性剤粉体を噴霧乾燥を用いた従来法や撹拌造粒等の他の方法によりにより作成した洗剤組成物と共に混合・造粒、又は粉体混合し粒状洗剤組成物とすることができる。
【0032】
前記捏和後粉砕する方法は、洗剤原料や噴霧乾燥粒子を捏和(混練)して、洗剤の固形物を調製する工程である。濃縮品、噴霧乾燥粒子その他洗剤原料などは、捏和(混練)装置内に導入され、剪断力を付与しながら輸送、圧密化、捏和(混練)と段階的に混合され、固体洗剤を形成する。
【0033】
前記捏和(混練)装置としては、各種の装置を使用することができる。具体的には、密閉式の圧密化処理装置、更に好ましくは横型連続式のニーダーが好適に挙げることができる。ニーダーの他に、一軸又は二軸スクリュー押出機などを用いることができる。これらの装置は、回分式、連続式の何れであっても良い。
【0034】
前記連続式の捏和(混練)装置を使用する場合、特に捏和(混練)に関与するパドルの配置が、得られる洗剤の品質の点で重要である。特開2000−144194号公報に記載されているように、撹拌羽根を有する捏和(混練)機に洗剤成分を連続的に供給し、洗剤成分の捏和(混練)物を製造するに際し、捏和(混練)機内に(i)混練機の供給口から排出口方向に洗剤成分を輸送する機能、(ii)洗剤成分に圧密を付与する機能、(iii)洗剤成分を混練する機能、のそれぞれの機能を有する撹拌羽根を、捏和(混練)機の供給口から排出口側に向けて順次配置して連続捏和(混練)する。
また、長時間運転した場合の摩耗を防ぐため、スクリュー、パドル及び胴体(ケーシング)にステライトやタングステンカーバイト等の処理を施すことが望ましい。
【0035】
連続式捏和(混練)装置としては、以下のものが用いられる。
例1:KRCニーダー[(株)栗本鐵工所製]
例2:エクストルードオーミックス[ホソカワミクロン(株)製]
例3:ファインリューザー[不二パウダル(株)製]
例4:コンティニュアスニーダー[(株)ダルトン製]
例5:特開昭63−242334号公報、特開平6−23251号公報、同6−23252号公報、同7−265679号公報に記載の装置
例6:ツインドームグラン[不二パウダル(株)製]
例7:ドームグラン[不二パウダル(株)製]
【0036】
回分式捏和(混練)装置としては、以下のものが用いられる。
例1:ニーダー[(株)ダルトン製]
例2:万能混合攪拌機[(株)ダルトン製]
【0037】
捏和(混練)条件は、下記に示すとおりである。
▲1▼温度
一般に30〜80℃、好ましくは35〜75℃、更に好ましくは40〜70℃で操作することが適当である。温度が30℃よりも低い場合には、捏和(混練)装置への負荷が過大となり易く、好ましくない。一方、温度が80℃よりも高くなると、逆に、捏和(混練)物が粉砕機等の後工程で使用する装置に付着し易くなり、好ましくない。
【0038】
▲2▼処理時間
回分式の場合の処理時間は、通常、1〜20分、好ましくは2〜15分、更に好ましくは3〜10分である。
連続式の場合の処理時間は、通常、10〜120秒、好ましくは20〜90秒、更に好ましくは30〜60秒である。
【0039】
▲3▼圧力
特開昭61−118500号公報に開示されているように、ニーダーの内圧は0.01〜5kg/cm・Gに制御して連続的に捏和(混練)する。
【0040】
▲4▼バインダー
捏和(混練)の際のバインダーとしては、一般に、水、アニオン界面活性剤水溶液、ノニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤水溶液、及びそれらの混合物などが用いられ、これらの中でも、ノニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤水溶液及びアニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤の混合水溶液が好適である。
【0041】
▲5▼冷却
捏和(混練)による洗剤固形物の温度上昇を抑制するため、捏和(混練)装置のジャケットに冷媒を通しながら捏和(混練)を行うことが望ましい。冷媒としては、エチレングリコールの水溶液が好適であり、その濃度は15〜30%、好ましくは20〜25%のものを使用する。
【0042】
捏和(混練)物性状は、以下に示すとおりである。
▲1▼嵩密度
一般に、0.5〜1.2g/mL、好ましくは0.6〜1.0g/mLである。
▲2▼寸法
一般に、10〜500mmであるが、捏和(混練)物を導入する押出機のスクリューのピッチの大きさよりも小さければ、特に制限はない。
【0043】
前記(C)の粉砕工程は洗剤の混合物、混練物、ペレット又は造粒物を破砕造粒機によって粉砕し、所望の粒子径に調製する工程である。
この場合、特に好ましい粉砕方法としては、界面活性剤とビルダーとから成る洗剤固形物(混合物、混練物、ペレット又は造粒物)を破砕造粒するにあたり、分級スクリーンを有したカッターミルタイプの破砕機を用い、スクリーン穴径の大きい破砕機から小さい破砕機へ順次供給して多段破砕することが特に好ましい。
【0044】
前記破砕造粒機としては、以下のものを使用することができる。
▲1▼造粒機
一般に、内部に回転体とスクリーンを装着した破砕造粒機、好ましくは、ハンマーミル、アトマイザー、パルペライザー等の衝撃式破砕機、カッターミル、フェザーミル等の切断・剪断式破砕機などが用いられる。
例1:フィッツミル[ホソカワミクロン(株)製]
例2:スピードミル[岡田精工(株)製]
例3:破砕式造粒機パワーミル[不二パウダル(株)製]
例4:アトマイザー[不二パウダル(株)製]
例5:パルベライザー[ホソカワミクロン(株)製]
例6:コミニューター[不二パウダル(株)製]
なお、破砕機としては、特にその形式は問わないが、解破室内に回転解砕刃を有し、回転解砕刃により粉砕し、粉砕された洗剤造粒物を所定穴径のスクリーンから排出するものなどが好適に用いられる。
【0045】
▲2▼スクリーン
スクリーンは、金網タイプ、ヘリンボンタイプ、パンチングメタルタイプなど特に限定されないが、スクリーン強度、破砕物の形状を考慮すると、パンチングメタルが好ましい。
【0046】
▲3▼回転体
ハンマーやカッターを用いるが、衝撃破砕による微粉の発生を避けるため、カッタータイプが好ましい。但し、長時間の運転で、カッターの刃が摩耗するのを防ぐため、ステライトやタングステンカーバイト等による処理が望ましい。
【0047】
破砕条件について以下に示す。
▲1▼回転体の周速度
一般に、被粉砕物(砕料)の粉砕性と所望の粒子径によって設定する。通常、洗剤の場合、10〜70m/sの範囲で使用できる。砕料が、脆い場合や、付着性が強い場合には、50m/s以下での粉砕が好ましく、40m/s以下がより好ましい。逆に、粘弾性が強く、付着性が弱い場合には、50m/s以上での粉砕が生産性と粒度コントロールの点で好ましい。
【0048】
▲2▼冷風導入
一般に、破砕熱により破砕物が軟化して破砕機に付着することを防止するために、破砕機内へ冷風を導入することが望ましい。冷風温度は5〜30℃が適当であり、好ましくは10〜25℃である。また、冷風量は0.1〜5m/kg(破砕物)が適当である。冷風量が多すぎると、破砕物の温度が著しく低下し破砕物が硬く脆くなるため、過粉砕となり微粉増加及び形状劣化の原因となる。
冷風の導入方法としては、1段目への必要量の一括導入、各段への分割導入のいずれでもよい。また、破砕機より排出された冷風は、粉体と分離した後にリサイクルすることが経済性から見て得策である。
【0049】
▲3▼粉砕助剤
破砕に際しては、破砕助剤を添加することが好ましい。破砕助剤は一般に粉砕助剤(grinding aid)として知られており、粉砕機中に少量添加することにより、粉砕動力の低減、粉砕粒度の改善、粉砕製品の性状の改善などの作用を有する。破砕助剤の粒度は50μm以下が好適であり、好ましくは20μm以下である。
また、破砕助剤の添加量は破砕量に対して0.5〜10質量%が好適である。
前記破砕助剤の種類としては、ステアリン酸塩、A型ゼオライト等のアルミノ珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルカリ土類金属炭酸塩、非晶質シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、タルク、ベントナイト等の粘土鉱物、二酸化珪素、二酸化チタン、微粉際された炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムが望ましい。これらの破砕助剤が破砕物表面に付着し、破砕物の表面活性を低下させることにより、破砕機への付着防止及びこれに伴う破砕動力の低減や、破砕物の流動性改善が図られる。
助剤の添加方法としては、予め破砕前に混合する方法と、多段破砕の1段目に必要量の全量を一括添加する方法と、各段毎に分割添加する方法とがある。いずれを選定するも任意であるが、助剤効果及び経済性の点で一括添加が望ましい。更に、破砕機同士を直結し、各段間を密閉する系とすることにより(密閉直結型)、助剤の損失が少なくなり、少量の助剤添加量で効果的に作用させることができる。
【0050】
▲4▼砕料温度
砕料温度は、一般に5〜50℃、好ましくは10〜40℃、更に好ましくは10〜30℃で行うことが適当である。この温度範囲になるように、冷風の温度と風量を設定する。温度が5℃よりも低い場合には、結露が発生し易くなり、好ましくない。一方、温度が50℃よりも高くなると、逆に粉砕機への付着が生じ易くなり、好ましくない。
【0051】
▲5▼処理時間
通常、1〜30秒、好ましくは3〜30秒である。
【0052】
▲6▼スクリーン孔径
一般に、被粉砕物(砕料)の粉砕性と所望の粒子径によって設定する。通常、洗剤の場合、所望平均粒子径の3.0〜30.0倍、好ましくは4.0〜25.0倍の孔径のスクリーンを使用できる。平均粒子径500μmの洗剤粒子を得ようとした場合、1.5〜15mmの孔径のスクリーンを砕料の大きさによって選定して使用すればよい。
【0053】
▲7▼多段破砕
高嵩密度洗剤の多段破砕における破砕能力は、破砕機が直列に接続されるため、大能力で且つ各段共通となるようにすることが好ましい。これを実現するためには、スクリーン穴径の選定により得られる破砕機入口、出口の平均粒子径の比に最適な値があることが見出された。破砕処理開始時の平均粒子径と所望する破砕造粒物の平均粒子径とが設定されると、これに従っておのずと破砕段数が決定される。そのとき、スクリーン穴径と得られる破砕物の平均粒子径との関係を予め予測できれば、更に効果的である。
また、大きい粒子径では粉体表面積が小さく破砕機にかかる負荷も小さいので、入口−出口での平均粒子径の比が広くとれる。そこで、多段破砕に際しては、上段の破砕機で可能な限り破砕粒径を小さくすることが望ましい。 多段破砕に際しては、各段毎の破砕機の排出口に篩を設け、所望程度の破砕物のみを次段の破砕機に供給することもできるが、篩の目詰まり、系の複雑化、据付面積の増加の点で不利である。そこで、1段目の破砕機からの排出物(破砕物)をそのまま2段目(更には順次3段目以降)の破砕機に供給する直結型が好ましい。
【0054】
前記破砕品性状は、破砕造粒物の平均粒径は300〜1500μmが良好であり、より好ましくは500〜1000μmである。
平均粒径が大きいと洗濯中での溶解性が遅くなり、布付着、洗浄力低下の問題が生じる場合があり、一方、平均粒径小さいと微粉の増加による発塵量の増大と破砕収率の低下、流動性の悪化につながる場合がある。
【0055】
前記攪拌造粒での攪拌造粒装置としては、攪拌羽根を備えた攪拌軸を内部の中心に有し、攪拌羽根が回転する際に攪拌羽根と器壁との間にクリアランスを形成する構造であることが重要である。平均クリアランスは1〜30mmが好ましい。
この様な構造を有する攪拌型混合機としては、例えば、ヘンシェルミキサー〔三井三池化工機(株)製〕、ハイスピードミキサー〔深江工業(株)製〕、バーチカルグラニュレーター〔(株)パウレック製〕等の装置があり、特に好ましくは横型の混合槽で円筒の中心に攪拌軸を有し、この軸に攪拌羽根を取付けて粉末の混合を行う形式のミキサーであり、例えば、レディゲミキサー〔(株)マツボー製〕、ブロシェアミキサー〔太平洋機工(株)製〕である。
【0056】
前記クリアランスの平均は、好ましくは1〜30mm、更に好ましくは3〜10mmである。1mm未満では付着層により、混合機が過動力となり易い。一方、30mmを超えると圧密化の効率が低下するため粒度分布がブロードになると共に、造粒時間が長くなり生産性が低下する場合がある。
【0057】
造粒条件は下記に示すとおりである。
▲1▼フルード数(Fr数)
下記数式(1)で定義されるフルード数(Fr)が1〜4であることが好ましく、更に好ましくは1.2〜3である。
フルード数が1未満では圧密化が促進されず好ましくない。一方、4を超えると粒度分布が広くなり好ましくない。
【0058】
<数式1>
Fr=V/(R×g)0.5
V:攪拌羽根の先端の周速〔m/s〕
R:攪拌羽根の回転半径〔m〕
g:重力加速度〔m/s
【0059】
▲2▼造粒時間
好適な造粒物を得るための回分式の造粒における造粒時間、及び連続式の造粒における平均滞留時間は、0.5〜20分が好ましく、更に好ましくは3〜10分である。尚、0.5分未満では造粒時間が短すぎて好適な平均粒径及び嵩密度を得るための造粒制御が困難であり、粒度分布がブロードになる場合がある。一方、20分を超えると造粒時間が長すぎて生産性が低下する場合がある。
【0060】
▲3▼洗剤原料の充填率
洗剤原料の造粒機への充填率(仕込み量)は、混合機の全内容積の70容量%以下が好ましく、更に好ましくは15〜40容量%である。尚、70容量%を超えると混合機内での洗剤原料の混合効率が低下するため好適な造粒を行うことができない場合がある。
【0061】
▲4▼温度
造粒機は、ジャケットを備えた構造が好ましく、ジャケットに通液する媒体の温度は、5〜40℃が好ましく、更に好ましくは10〜20℃である。この温度範囲にすることにより、好適な造粒物を得るための造粒時間が短くなり生産性が向上し、粒度分布がシャープになる。また洗剤原料のうち粉体原料は常温で、ノニオン活性剤は溶融している温度で供給すればよく、混合機内の温度は特に制御する必要はない。尚、造粒物の温度は、供給原料の温度、攪拌熱等により通常30〜60℃である。
【0062】
▲5▼添加剤
造粒時に造粒を促進するために、バインダーを添加してもよい。バインダーの例としては、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ソーダの如きポリカルボン酸塩等の水溶性ポリマー溶液、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミド等のノニオン性物質、脂肪酸、珪酸ソーダ水溶液、水等を挙げることができる。
前記バインダーの配合量は混合物又は造粒物100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、特に0.5〜5質量部であることが好ましい。
【0063】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら制限されるものではない。
【0064】
本実施例において用いた原料を略号とともに以下に示す。
「α−SF」:
下記製造方法によって得られた、C14−16アルキル鎖をもつアルファスルホ脂肪酸ナトリウム(純分65.6%とその他、メチルサルフェート3.28%、硫酸ナトリウム1.31%、アルファスルホ脂肪酸ナトリウムのジ塩3.08%、メタノール1.51%、未反応メチルエステル1.21%、水24.01%)、但し、このアルファスルホ脂肪酸ナトリウムは洗剤組成物の製造工程中で7%相当分が、さらに洗剤組成物の長期保存において25%相当分がアルファスルホ脂肪酸ナトリウムのジ塩に変化することがある。
(製造方法)
薄膜式反応装置(単管式、内径=10mm、リアクター長さ=2.5m)により原料化合物としてミリスチン酸メチル(ライオン(株)製、パステルM−14)とパルミチン酸メチル(ライオン(株)製、パステルM−16)を質量比で2:8で混合した脂肪酸メチルエステル(ヨウ素価0.40、分子量264)を用い、SOガス系設備としては液体SOを用い、希釈ガスとしては窒素ガスを用い8%SO含有不活性ガスとし、反応モル比(SO/メチルエステル)=1.2でガス吸収反応を薄膜式反応装置で行い、気液分離後、80℃、60分熟成反応を行い反応率=97%のスルホン酸を得た。次いでメタノール20質量%対スルホン酸、35%過酸化水素水(過酸化水素純分として2%対スルホン酸)を添加、均一混合後、80℃−180分漂白反応を行った。次いで水酸化ナトリウム水溶液により中和反応を行い47%濃度(界面活性剤濃度)の中和物を得、リサイクルフラッシュ濃縮によりメタノール(後工程で精留により再利用)、水を蒸発させ65.6%濃度(界面活性剤濃度)の濃縮中和物を得た。色調(5質量%エタノール溶液を40mm光路長、No.42ブルーフィルターを用いてクレット光電光度計で測定)は30であった。
【0065】
「石鹸」:
パルミチン酸ナトリウムとオレイン酸ナトリウムとTMD(C1020のエステル系化合物)の1:3:1(質量比)の混合物。
40〜60℃の脂肪酸メチルエステル(パステルM−C*O、ライオンオレオケミカル(株)製)1576kg/h、40〜60℃の48%NaOH水溶液445kg/h、水(ライオン千葉工場中水)336kg/hを連続的にミキシングポンプに導入し、シェル&チューブ型補熱器、及び予熱器で110〜130℃に保ちながら、9〜10分間鹸化反応を進行させた(反応率99.5〜99.8%)。次いで、塔頂圧0.2〜0.6kPa、塔頂温度98〜100℃にしたフラッシュ蒸発装置に導入し、滞留時間40分で反応生成物であるメタノールを蒸発させた。最後にメタノールを取り除いた石鹸をパドル型撹拌羽根を有する撹拌槽に導入し、滞留時間140分で撹拌しながら98℃に保ちつつ80℃温水を添加して、石鹸濃度が66〜67%になるように濃度調整を行った。
こうして得られた石鹸は、AIが66〜67%であり、不純物として、約0.01%の脂肪酸、約0.2%の未反応脂肪酸エステル、約0.2%のNaOH、約0.4%のメタノールを含む。
【0066】
「AAO」:CH(CH)11〜12O(CHCHO)15H(ライオン化学(株)製)
4リットルのオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)社製)中にダイヤドール13(三菱化学(株)社製)400g及び30%NaOH水溶液2.3gを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した(途中、温度100℃で30分間脱水をする)。次いで、温度を180℃、圧力を300kPaに維持しながらエチレンオキサイド(EO:三菱化学(株)社製)1320g(平均付加モル数:15)を導入し、ダイヤドール13とEOとの反応を行った。最後に30分熟成し、ノニオン界面活性剤を得た。ノニオン界面活性剤中の不純物はPEG約2.0%、未反応アルコール約0.7%であった。
【0067】
「MEE(C12EO)」:CH(CH10CO(OCHCHOCH(ライオン化学(株)製)
「MEE(C12EO12)」:CH(CH)10CO(OCHCH12OCH(ライオン化学(株)製)
「MEE(C12EO15)」:CH(CH)10CO(OCHCH OCH(ライオン化学(株)製)
「MEE(C16EO)」:CH(CH)14CO(OCHCHOCH(ライオン化学(株)製)
「MEE(C16EO12)」:CH(CH)14CO(OCHCH12OCH(ライオン化学(株)製)
「MEE(C16EO15)」:CH(CH)14CO(OCHCH15OCH(ライオン化学(株)製)
「MEE(C180/181=10/90EO)」:(CH(CH)16CO/C1733CO=10/90)(OCHCHOCH(ライオン化学(株)製)
「MEE(C180/181=10/90EO12)」:(CH(CH)16CO/C1733CO=10/90)(OCHCH12OCH(ライオン化学(株)製)
「MEE(C180/181=10/90EO15)」:(CH(CH)16CO/C1733CO=10/90)(OCHCH15OCH(ライオン化学(株)製)
【0068】
前記「MEE」は、次のようにして製造した。C12EOを例に説明する。
(製造方法)
4リットルのオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)社製)中にパステルM−12(ライオンオレオケミカル(株)社製)400g及び触媒(マグネシウム・アルミニウム・マンガンの複合水酸化物を窒素雰囲気下800℃で3時間熟成し、Mg/Al/Mnの複合酸化物としたもの)1.2gと40%KOH水溶液0.12gを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した(途中、温度100℃で30分間脱水をする)。次いで、温度を180℃、圧力を300kPaに維持しながらエチレンオキサイド(EO:三菱化学(株)社製)696g(平均付加モル数:15)を導入し、パステルM−12とEOとの反応を行った。最後に30分熟成し、ノニオン界面活性剤を得た。ノニオン界面活性剤中の不純物はPEG約2.0%、未反応メチルエステル約1.0%であった。
その他のMEEは使用原料(パステル)、導入するエチレンオキサイドを変更して同様に製造される。下記表1にまとめた。
【0069】
【表1】
(*1)パステルM−12、パステルM−16、パステルM−181は全てライオンオレオケミカル(株)製、全て400g反応させた。
【0070】
「AAEP15030」:CH(CH)11〜12O(CHCHO)15(CHCHCHO)H(ライオン化学(株)製)
4リットルのオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)社製)中にダイヤドール13(三菱化学(株)社製)400gおよび30%NaOH水溶液2.3gを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した(途中、温度100℃で30分間脱水をする)。次いで、温度を180℃、圧力を3atmに維持しながらエチレンオキサイド(EO:三菱化学(株)社製)1320g(平均付加モル数:15)を導入し、ダイヤドール13とEOとの反応を行い、30分熟成した。その後反応液を温度120℃まで冷却し、温度120℃圧力300kPaを維持しながらプロピレンオキサイド(PO:旭硝子(株)社製)350g(平均付加モル数:3)を導入し、反応を行った。最後に30分熟成し、ノニオン界面活性剤を得た。ノニオン界面活性剤中の不純物はPEG約2.0%、未反応アルコール約0.7%であった。
【0071】
「PEG#400」:平均分子量が400であるポリエチレングリコール(ライオン化学(株)製)
「PEG#1500」:平均分子量が1500であるポリエチレングリコール(ライオン化学(株)製)
「サンニックスジオールPP−400」:平均分子量が400であるポリプロピレングリコール(三洋化成工業(株)製)
「エパン485」:平均分子量が400であり、エチレンオキサイドの含有量が85%であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー(第一工業製薬(株)製)
「LAS」:C10〜C14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ライポンLH−200(ライオン(株)製)
【0072】
「AOS−K」:
下記の製造方法によって得られた、炭素数14:16:18=15:50:35のα−オレフィンスルホン酸カリウムとヒドロキシアルキルスルホン酸カリウムの混合物(純分70%、α−オレフィンスルホン酸カリウム:ヒドロキシアルキルスルホン酸カリウムの比率は7:3、残部は未反応α−オレフィン、硫酸ナトリウム、サルトン、水酸化ナトリウム、水など)
(製造方法)
25℃のα−オレフィン(ダイアレン148、三菱化学(株)製)を970kg/hrの能力で連続的にTOリアクター(TO−500、ライオン(株)製、フィルム型反応器)内に投入し、内部でSOガスと接触させることでスルホン化反応を行い、約35℃のα−オレフィンスルホン酸と不純物(主にサルトン)を含むスルホン化物を得た。このスルホン化物1370kg/hrに対し苛性カリ630kg/hr(水分52%水溶液)を添加して中和反応を行い、不純物を含むα−オレフィンスルホン酸カリウムを得た。この不純物中のサルトンを加水分解させるためシェルアンドチューブ型熱交換器を通して温度を140℃まで加熱、更に、反応蛇管中に1.4MPaのスチームを通して170℃に保ち、加水分解を促進させた。その後、圧力1MPaでフラッシュ濃縮・脱水を行い、水分を約27%にした。
こうして得られたAOS−Kの純分は通常66〜74%で、主成分はα−オレフィンスルホン酸カリウム(約70%)とヒドロキシアルキルスルホン酸カリウム(約30%)から成り、カラーは(10%溶液LK値)70、遊離アルカリ分(KOH)1.8%(対AOS−K純分)である。
【0073】
「微粉ゼオライト」:4A型ゼオライト、平均粒径3μm(水沢化学(株)製)
「顆粒ゼオライト」:4A型ゼオライト、平均粒径200μm(韓国・コスモ製)
「ゼオライトスラリー」:4A型ゼオライト水溶液、水分47%(日本化学(株)製)
「炭酸カリウム」:食添グレード(旭硝子(株)製)
「亜硫酸ナトリウム」:無水亜硫酸曹達(神州化学(株)製)
「炭酸ナトリウム」:粒灰(旭硝子(株)製)
「MA剤」:アクアリックTL−400(日本触媒(株)製)
「CBS」:チノパールCBS−X(チバスペシャリティケミカルズ製)
「AMS」:AMS−GX(チバスペシャリティケミカルズ製)
【0074】
参考例1〜16、21〜23、28〜29、34〜36、41〜49、実施例17〜20、24〜27、30〜33、37〜40、50〜52、及び比較例1〜3〕
<濃縮工程>
表2〜10に示した組成の(a)α−スルホ脂肪酸エステル塩を含有する水性スラリー、(b)ノニオン界面活性剤、(d1)石鹸及び/又は(d2)ポリオキシアルキレングリコールを70℃でスタティックミキサー((株)タクミナ製N30型(ハウジング径:1S、ハウジングスケール5S、外形25.4mm、全長220mm、厚さ1.2mm))で混合した後、この混合物を能力:100kg/hrで真空薄膜蒸発装置(エクセバ:神鋼パンテック製、伝熱面積0.5m)に導入し、内壁加熱温度120℃、真空度0.008〜0.067MPa、回転羽根周速11m/sの条件で濃縮操作を実施し、下記方法で粘度及び分離を評価した。結果を表2〜表10に示す。
【0075】
なお、濃縮操作は、能力:70〜130kg/hr、内壁加熱温度:60〜130℃、回転羽根周速:5〜12m/sでも可能である。
【0076】
<粘度の評価法>
ブルックフィールド型(B型)粘度計((株)東京計器製)を用い、エクセバから排出10分後の粘度(Pa・s)を、70℃で測定し、下記基準で評価した。
【0077】
<評価基準>
◎:粘度が20Pa・s以下(ローターNo.5、20rpmで測定)であり、自由流動性がある。
○:粘度が20〜50Pa・s(ローターNo.5、20rpmで測定)であり、流動性はあるが、条件によっては配管移送や槽からの排出に問題が生じるおそれがある。
×:粘度が50Pa・sを超えており(ローターNo.5、20rpmで測定不可能)、自由流動性がなく、配管移送や槽からの排出に問題が生じる。
【0078】
<分離評価法>
メスシリンダー(100mL容積)に100mL試料を入れ、恒温槽(70℃、60RH%)中で分離の様子をα−SFとノニオンの界面位置の移動から測定し、下記基準で評価した。
【0079】
<評価基準>
×:1時間後、界面位置が0〜100mLのいずれかの目盛りを指していた場合(即ち、分離があった場合)
○:分離がなかった場合
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
【0088】
【表10】
【0089】
表2〜表10の結果から、参考例1〜16、21〜23、28〜29、34〜36、41〜49、実施例17〜20、24〜27、30〜33、37〜40、50〜52、及び比較例1〜3において、PEG#400がPEG#1500、サンニックスジオールPP−400、エパン485であってもっても移送、分離に影響はないことが認められた。また、参考例1〜16、21〜23、28〜29、34〜36、41〜49、実施例17〜20、24〜27、30〜33、37〜40、50〜52において、「AAO」がC12EO、C12EO12、C12EO15、C16EO、C16EO12、C16EO15、C180/181=10/90EO、C180/181=10/90EO12、180/181=10/90EO15のMEEであっても移送、分離に影響はないことが認められた。
【0090】
次に、参考例1及び実施例17で得られた濃縮品を粒状化したα−SF、石鹸の1部(濃縮機に入れた量)、ノニオン界面活性剤、ゼオライトの1部、酵素、色素、香料を除いた各成分を用いて固形分60%、温度70℃の洗剤スラリーを調整し、向流式噴霧乾燥塔(塔径:2m、有効長:5m)を用い、加圧ノズル方式で噴霧圧力0.3MPa、熱風温度260℃(熱風出口温度90℃)で、乾燥品水分5%となるように乾燥した。
【0091】
得られた噴霧乾燥品は、平均粒子径400μm、嵩密度0.35g/mL、安息角45°と流動性も良好であった。
(なお、・固形分:50〜65%でも乾燥品製造可能
・スラリー温度:50〜80℃でも乾燥品製造可能
・熱風温度:200〜300℃でも乾燥品製造可能
・微粒化方式:2流体ノズル方式、高速回転円盤方式でも乾燥品製造可能
・噴霧圧力:0.2〜0.4MPaでも乾燥品製造可能
・乾燥品水分:2〜10%でも造粒可能
・乾燥品平均粒子径:150〜500μmでも造粒可能
・嵩密度:0.10〜0.50g/mLでも造粒可能
・安息角:30〜60°でも造粒可能である。)
【0092】
参考例53〜54及び実施例55〜56〕
濃縮品、噴霧乾燥品、ノニオン界面活性剤の1部及び水を連続ニーダー(栗本鉄工所製、KRCニーダー4型)に導入し緻密で均一な捏和物を得た。捏和能力177kg/hr、捏和温度60℃の条件で均質化を行った(回転数:134rpm)。均質化した捏和物を連続的にペレッターダブル(EXD−100型(不二パウダル(株)製)))に供給し、10mmφのダイス(ダイス厚み10mm)から押出すと同時に切断し(ペレッター(カッター)周速:5m/s)ペレット状固形物(ペレット寸法:直径10mmφ、長さ20mm)とした。この時、ペレッターダイスに掛かる圧力は、0.93MPaであった。
【0093】
次いで、得られたペレット固形物と粉砕助剤である8kg/hrのゼオライト造粒物(平均粒子径:100μm)を固気2相流としてフィッツミル(DKASO−6型(ホソカワミクロン(株)製))に導入し、平均粒子径が500μmとなるよう(回転解砕刃周速:30m/s、風(気)とペレット(固)の比率(気/固)=2.5m/kg)に3段で連続的に粉砕した(1段目スクリー径6mmφ、回転数1880rpm、2段目スクリーン径4mmφ、回転数2350rpm、3段目スクリーン径2mmφ、回転数3760mmφ)。この時の気相の温度は16℃で、粉体の温度は25〜35℃であった。
その後、得られた造粒物に最終組成の1%ゼオライト及び1%非イオン性界面活性剤を転動式回転ドラム中で混合(水平円筒型転動造粒機(直径:60cm、高さ:48cm)、混合攪拌時間:2min(フルード数:0.14)操作を行った。
下記方法により粉砕機付着率及び溶解性を評価した。結果を表11に示す。
【0094】
<粉砕機付着率の測定>
5分間捏和粉砕後、粉砕機に付着した量を計り取り、下記数式に代入して算出した
粉砕機付着率(%)=100×付着量/フィード量
<評価基準>
◎:0%≦付着率≦0.03%
○:0.03%≦付着率<0.05%
△:0.05%≦付着率<0.1%
×:0.1%<付着率
【0095】
<溶解性の測定>
槽式洗濯機(三菱電機製;CW−225)に10℃の水道水30リットルを用意し、紺綿肌シャツ2枚・黒アクリルセーター2枚・黒ナイロンストリップ2枚及びチャージ布としての肌シャツ5枚の計1.5kg(浴比20倍)を入れ、被洗布の中央部にくぼみを作り、そこへ洗剤30gを集中的に投入した。洗剤が水に浸されるように2分間静置後、弱水流、洗浄時間5分間で洗浄した。自然排水して1分脱水し、布に付着している洗剤量を目視で下記基準で評価した。
【0096】
<評価基準>
0点:全く付着無し
1点:極くわずかに付着しているが、すすぎにより良好となるレベル
2点:部分的にやや付着がみられるレベル
3点:布全体にやや多く付着しすすぎ後も不満足なレベル
4点:布全体にかなり多く付着
5点:布全体に激しく付着
【0097】
【表11】
なお、参考例53、54において用いた濃縮品が参考例2〜16、参考例49、及び実施例17であっても粉砕機付着、溶解性に影響はない。また、実施例55、56において用いた濃縮品が実施例18〜20、24〜27、30〜33、37〜40、50〜52、及び参考例21〜23、28〜29、34〜36、41〜48であっても粉砕機付着、溶解性に影響はない。
【0098】
(なお、・捏和能力:100〜300kg/hrでも製造可能
・捏和温度:40〜80℃でも製造可能
・回転数:100〜150rpmでも製造可能
・ダイス径は:0.3〜50mmφでも製造可能
・ダイス厚み:5〜50mmでも製造可能
・ペレット寸法:直径0.3〜50mmφ、長さ0.5〜100mm
・ペレッタ―周速:1〜10m/sでも製造可能
・ペレッターダイスに掛かる圧力:0.5〜1.5MPaでも製造可能
・粉砕助剤:20〜200μmでも製造可能
・粉砕助剤:2〜18kg/hrでも製造可能
・平均粒子径を300〜1000μmにすることも可能
・回転解砕刃周速は20〜60m/sでも製造可能
・気/固=1.0〜5m/kgでも製造可能
・送風温度:10〜40℃でも製造可能
・混合攪拌時間:0.5〜5minでも製造可能である。)
【0099】
参考例57〜58〕
参考例1で得られた濃縮品を用いて表12の組成で粒状化した。炭酸ナトリウムとゼオライトをレーディゲミキサー((株)マツボー製、M−20型)に投入し、主軸(200rpm)、チョッパー(6000rpm)の攪拌下で均一に30秒間混合した(仕込量:7kg、10L)。次いで、濃縮品を1分間で添加し、2分間造粒し、コーティングゼオライトを加えて平均粒子径が500μmの造粒物とした。なお、内容物の温度は30〜50℃であった。
【0100】
【表12】
【0101】
(なお、・造粒装置:横型のレーディゲミキサーの他、垂直型のハイスピードミキサー、ヘンシェルミキサー等でも造粒可能
・主軸回転数:120〜360rpmでも造粒可能(M−20型)
・チョッパー回転数:1000〜6000rpmでも造粒可能(M−20型)
・濃縮品添加時間:0.5〜4(分)でも造粒可能
・造粒時間:0〜5(分)でも造粒可能
・コーティング時間:0.5〜5(分)でも造粒可能である。)
【0102】
【発明の効果】
本発明によれば、α−スルホ脂肪酸エステル塩と特定量のノニオン性界面活性剤を配合した混合スラリーを薄膜式蒸発機で濃縮後に粒状化するプロセスおいて、α−スルホ脂肪酸エステル塩を含有した混合スラリーを濃縮する際に、濃縮物の粘度が低く、かつ、分離のない操作性に優れた効率の良い粒状洗剤組成物の製造方法が達成できる。

Claims (2)

  1. 下記(A)〜(C)工程を含むことを特徴とする粒状洗剤組成物の製造方法。
    (A)(a)α−スルホ脂肪酸エステル塩を含有する水性スラリーと(b)ノニオン界面活性剤(ポリオキシアルキレングリコールを除く)と、(d1)脂肪酸石鹸及び/又は(d2)ポリオキシアルキレングリコールを0.1質量%〜0.8質量%含有するものとを、質量比で〔(d1)成分+(d2)成分〕/〔(a)成分+(b)成分+(d1)成分+(d2)成分〕=0.001〜0.25の条件を満たすように混合する工程
    (B)前記(A)工程での混合スラリーを薄膜式蒸発機に導入し、濃縮物が質量比で0.05≦(c)水/〔(a)成分+(b)成分+(c)成分〕≦0.2、及び(b)成分/〔(a)成分+(b)成分+(c)成分〕=0.15〜0.28の条件を満たすように濃縮する工程
    (C)前記(B)工程での濃縮物を粒状化する工程
  2. (B)工程が、
    (A)工程での混合スラリーを薄膜式蒸発機に導入し、濃縮物が質量比で0.07≦(c)水/〔(a)成分+(b)成分+(c)成分〕≦0.18、及び(b)成分/〔(a)成分+(b)成分+(c)成分〕=0.15〜0.20の条件を満たすように濃縮する工程である請求項1に記載の粒状洗剤組成物の製造方法。
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