JP3911078B2 - 高嵩密度粒状洗剤組成物の製造方法 - Google Patents

高嵩密度粒状洗剤組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高嵩密度粒状洗剤組成物を製造する方法に関し、特にアニオン界面活性剤の酸前駆体の中和を含む高嵩密度粒状洗剤組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、洗剤業界では多大なエネルギー及びスペースを必要とする噴霧乾燥法を使用しない洗剤の製造方法が注目されている。アニオン界面活性剤の酸前駆体を固体アルカリ無機材料で中和することを含む製造方法は、その中で特に重要なものの一つである。すなわち、アニオン界面活性剤の酸前駆体(水分1%以下)を出発原料とする高嵩密度洗剤の製造方法は、中和工程を必要とするが、現在の洗剤製法の主流である界面活性剤の水性スラリー(水分30〜70%)を出発原料とする製法のように、大規模な噴霧乾燥装置を必要としないので、設備コストが低く、しかも省エネルギーという利点を有する。
【0003】
アニオン界面活性剤の酸前駆体を出発原料とする粒状洗剤の製造方法としては、特開昭60ー72998号、特開昭60ー72999号、特開昭61ー66798号各公報などに、未中和のスルフォン化物を炭酸ナトリウム及び水と共に強力剪断装置にて中和混合した後、冷却熟成を行いさらに粉砕造粒する方法が提案されている。しかし、これら方法には、強力剪断装置を使用するため大きな動力を必要とし、また中和物が塊状であることから次工程に冷却・熟成さらに粉砕工程を設置しなければならないという欠点がある。
【0004】
このような点を解決するために、撹拌機能及び剪断機能の両方を備えた高速ミキサー/造粒機中で中和・造粒する方法がいくつか提案されている。例えば、特開平3ー33199号公報には、温度を55℃以下に保ちながら高速ミキサー/造粒機中で流動化させた固体無機アルカリ物質に、アニオン界面活性剤の酸前駆体を添加し、中和・造粒を行う方法が提案されている。しかし、この方法には、温度を55℃以下に維持せねばならず、中和時間を長く必要とするという欠点がある。
【0005】
さらに、特開平4ー363398号公報には、アニオン界面活性剤の酸前駆体を高速混合/造粒機内の固体アルカリ無機材料に徐々に加え、その混合物が粒子状のままである間に中和させ、次いで液体結合剤の存在下で造粒するバッチ方式が、また特開平5ー86400号公報には、製造物の水分を5〜15%に調整し、アニオン界面活性剤の酸前駆体と固体アルカリ無機材料との中和を高速ミキサー/造粒機中で80%以上達成する単一ステップの連続製造方法が、提案されている。しかし、前者の方法は、バッチプロセスであるため大量生産には不向きであり、中和反応中の大塊生成を抑止することがなかなか難かしく、また中和反応時間を比較的長く取らねばならないという欠点があり、大塊生成を解決するためには、造粒後破砕処理を実施することが考えられるが、破砕処理すると微粉の生成という問題が発生する。なお、後者の方法には、装置内での滞留時間を短縮するため(5〜30秒)、中和反応促進としての処理物水分が5〜15%と厳密に限定されており、その範囲を越えてしまうような、例えば液体成分などは、あまり直接配合することができないとか、中和物水分は、処理される原料から持ち込まれる水分で決定するため、中和物水分が高いと、おのずから製品水分も高くなってしまう、つまり水分バランス的には、あまり自由度がないという欠点を有しており、さらに条件によっては、完全な中和反応が達成できないということがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、噴霧乾燥法を用いず、アニオン界面活性剤の酸前駆体と粒状アルカリ無機材料を撹拌造粒法によって混合造粒し、粒状洗剤組成物を製造する所謂撹拌造粒法ノンタワープロセスにおいて、微粉及び粗粒の発生を抑制し、好適な粒度を有する高嵩密度粒状洗剤組成物を製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ミキサー/造粒機中でアニオン界面活性剤の酸前駆体と粒状アルカリ無機材料を含む粉体を撹拌混合し、中和、造粒を行った後、該造粒物を特定条件で破砕することにより、微粉の発生を抑制した適切な粒度の高嵩密度粒状洗剤組成物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、アニオン界面活性剤の酸前駆体と粒状アルカリ無機材料との中和反応及び造粒工程を含む粒径150μm以下の微粉含量が20%以下である高嵩密度粒状洗剤組成物の製造方法において、イ)撹拌機能と剪断機能を備えたミキサー/造粒機で、アニオン界面活性剤の酸前駆体と中和当量以上の粒状アルカリ無機材料を含む粉体を撹拌混合し、中和、造粒を行って造粒物を調製する中和、造粒工程と、ロ)上記造粒物を、回転刃を備えた粉砕機により、下記(1)〜(3)の条件で破砕する破砕造粒工程、
(1)回転刃の先端速度(周速):10〜60m/s、
(2)スクリーン孔径 :1.2mm以上
(3)処理能力 :5〜30t/m・hr(スクリーンの開孔面積・ 時間当たり)
とを含み、該破砕造粒工程ではさらに下記の条件を用いることを特徴とする高嵩密度洗剤組成物の製造方法が提供される。
(i)該ミキサー/造粒機内に冷風を導入して該粉体温度を45℃未満に維持すること、
(ii)該粉体の撹拌混合を粉砕助剤の存在下で行うこと。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、具体的に詳しく説明する。
本発明の高嵩密度粒状洗剤組成物の製造方法は、アニオン界面活性剤の酸前駆体と粒状アルカリ無機材料との中和反応及び造粒工程を含む製造方法において、撹拌機能と剪断機能を備えたミキサー/造粒機で、アニオン界面活性剤の酸前駆体と中和当量以上の粒状アルカリ無機材料を含む粉体を撹拌混合し、中和、造粒を行って造粒物を調製する工程と、該造粒物を回転刃を備えた粉砕機により、下記▲1▼〜▲3▼の条件で破砕する工程とを含むことを特徴とする。
▲1▼回転刃の先端速度(周速):10〜60m/s、
▲2▼スクリーン孔径 :1.2mm以上
▲3▼処理能力 :5〜30t/m2・hr(スクリーンの開孔面積・時間当たり)
【0010】
噴霧乾燥法を用いず直接界面活性剤及び/又はその前駆体とアルカリ無機材料を撹拌造粒法によって混合造粒し、粒状洗剤組成物を製造する方法において、高い嵩密度の粒状物を得ようとした場合、しばしば粗粒分が発生する。そこで、生成粗粒分を通常の条件で破砕処理すると、こんどは微粉が発生する。本発明においては、前記したような特定の条件下で粉砕を行うことによって、高い嵩密度を保ったまま、しかも微粉が増加しないように粉砕することが可能になる。
【0011】
本発明においては、まず撹拌機能と剪断機能を備えたミキサー/造粒機で、アニオン界面活性剤の酸前駆体と中和当量以上の粒状アルカリ無機材料を含む粉体を撹拌混合し、中和、造粒を行って造粒物を調製する中和・造粒工程が設けられる。
【0012】
本発明の方法において、アニオン界面活性剤の酸前駆体としては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸など洗剤成分としての公知のアニオン界面活性剤の酸前駆体単独、又はそれらの組み合わせから任意に選択される。また、粒状アルカリ無機材料としては、任意のものを使用することができるが、好ましくは、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム、又はそれらを組み合わせたアルカリビルダーである。アニオン界面活性剤の酸前駆体液と粒状アルカリビルダーとの中和に際しては、上記酸前駆体液に対して中和当量か、あるいはそれ以上の固体アルカリビルダーが添加される。
【0013】
なお、中和反応に際しては、アニオン界面活性剤の酸前駆体、粒状アルカリ無機材料とは別に、洗剤中に一般的に見られる他の成分を任意の量、組み合わせで供給することができる。この場合、供給できる他の成分の例としては、α−オレフィンスルホネート金属塩、α−スルホ脂肪酸エステル金属塩等のアニオン界面活性剤金属塩水溶液や、非イオン界面活性剤、石鹸、ゼオライト、トリポリリン酸ソーダ、再付着防止剤(カルボキシメチルセルロースなど)、蛍光剤、増量剤(硫酸ナトリウムなど)等一般的に洗剤成分として公知の材料が挙げられる。これらの材料は1種類又は2種類以上の組み合わせで任意に直接装置に供給することができる。
【0014】
本発明の中和・造粒工程は、撹拌機能と剪断機能を備えたミキサー/造粒機中で実施される。該ミキサー/造粒機を使用することによって、アニオン界面活性剤の酸前駆体液導入前に、粒状アルカリ無機材料の良好な流動化状態を形成することができ、その結果反応混合物を粒状形態に維持し易くなる。
【0015】
このミキサー/造粒機は、別個に変化できる速度で互に独立して作動可能な回転撹拌機及び剪断部材を備えているものが好ましい。例えば、レーディゲミキサー〔(株)マツボー製〕、ハイスピードミキサー〔深江工業(株)製〕、グラル〔不二パウダル(株)製〕、スパイラフロ−〔フロイント産業(株)製〕などが挙げられる。
【0016】
本工程の実施に当たっては、中和による発熱が生じるため、ジャケット冷却を行なうことが好ましい。また、容積率10〜60%で実施するのが好ましく、粗粉の発生を抑制するため、チョッパー(副軸)を高速回転しつつ行うのが好ましい。
【0017】
本発明においては、中和・造粒工程で得られた造粒物は、次に破砕造粒工程へ送られる。本工程においては、上記造粒物は回転刃を備えた粉砕機により、下記▲1▼〜▲3▼の条件で、破砕される。
▲1▼回転刃の先端速度(周速):10〜60m/s、
▲2▼スクリーン孔径 :1.2mm以上
▲3▼処理能力 :5〜30t/m2・hr(スクリーンの開孔面積・時間当たり)
【0018】
本工程においては、衝撃、切断又は剪断式の粉砕機を用いて、上記▲1▼〜▲3▼の条件で実施される。回転刃の先端速度が60m/sを越えると微粉の発生が著しく、逆に10m/s未満では粗粉量が減少しない。また、スクリーン孔径1.2mm未満では、微粉の発生が著しい。処理能力が5t/m2・hr未満では微粉発生量が多く、逆に30t/m2・hr超過ではショートパスが生じ、粗粉分が多くなる。
【0019】
また、本工程においては、温度を45℃未満に維持することが好ましく、そのため冷風(約25℃以下)を導入することが好ましい。更に、本工程においては、粉砕助剤を添加すると、粉末特性の改善に効果があり、好ましい。この場合、粉砕助剤としては、ゼオライト、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酸化チタン等の粉体が挙げられ、平均粒径20μm以下のものが好ましい。その添加量は、生成粉末全体の10重量%以下が適切であり、より好ましくは2〜6重量%である。
なお、前記した洗剤の他の成分を、本工程で添加することもできる。
【0020】
粉砕機としては、衝撃、切断又は剪断式の任意のタイプのものが使用されるが、例えば、スピードミル〔岡田精工(株)製〕、フィッツミル〔ホソカワミクロン(株)製〕、コミニューター〔不二パウダル(株)製〕、パルベライザー〔東京アトマイザー(株)製〕などが挙げられる。
【0021】
本工程により、嵩密度0.6g/cc以上、好ましくは0.7g/cc以上の破砕造粒物が形成される。最終破砕造粒物の平均粒径は200〜700μmが適切で、好ましくは300〜500μmである。また、粒径1000μm以上のものが20%以下、好ましくは10%以下、粒径150μm以下のものが20%以下、好ましくは10%以下である。
【0022】
本発明の実施態様をまとめると、次のようになる。
(1)アニオン界面活性剤の酸前駆体と粒状アルカリ無機材料との中和反応及び造粒工程を含む高嵩密度粒状洗剤組成物の製造方法において、
イ)撹拌機能と剪断機能を備えたミキサー/造粒機で、アニオン界面活性剤の酸前駆体と中和当量以上の粒状アルカリ無機材料を含む粉体を撹拌混合し、中和、造粒を行って造粒物を調製する中和、造粒工程、と
ロ)上記造粒物を、回転刃を備えた粉砕機により、下記▲1▼〜▲3▼の条件で破砕する破砕造粒工程、
▲1▼回転刃の先端速度(周速):10〜60m/s、
▲2▼スクリーン孔径 :1.2mm以上
▲3▼処理能力 :5〜30t/m2・hr(スクリーンの開孔面積・時間当たり)
とを含むことを特徴とする高嵩密度洗剤組成物の製造方法。
(2)破砕造粒工程において、冷風を導入することを特徴とする上記(1)の方法。
(3)破砕造粒工程において、粉砕助剤を添加することを特徴とする上記(1)の方法。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらにより限定されるものではない。
【0024】
実施例1〜7及び比較例1、2
粒状固体アルカリ(炭酸ナトリウム)及び粉体アルカリビルダー(トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト)その他(CBS)を表1に示す割合で造粒機〔レーディゲミキサー、FKM−50D、(株)マツボー製〕に投入、主軸を回転数150rpmで1分間運転し、その後静止状態にて液体酸前駆体(LAS−H)を投入した後、表2に示す条件にて中和造粒を行う。中和造粒終了後、コーテイング剤(ゼオライト)を表1に示す割合で添加した後、表2に示す条件で3分間流動化し、造粒機より排出し表2に示されるような中和造粒品を得た。
次に、この中和造粒品を粉砕機〔Fitz Mill DKAS06型、細川ミクロン(株)製〕を用い、表3に示す粉砕条件にて粉砕し粉砕品を得た。得られた粉砕品の性状を表3に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0003911078
【0026】
【表2】
Figure 0003911078
【0027】
【表3】
Figure 0003911078
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、アニオン界面活性剤の酸前駆体と粒状アルカリ無機材料との撹拌造粒による高嵩密度洗剤組成物の製造方法において、ミキサー/造粒機で、アニオン界面活性剤の酸前駆体液と中和当量以上の粒状アルカリ無機材料を含む粉体を撹拌混合し、中和、造粒を行って造粒物を調製する中和、造粒工程と、上記造粒物を、回転刃を備えた粉砕機により、前記した特定の条件で破砕する破砕造粒工程とを含むものとしたことから、次のような卓越した効果を奏する。
イ)高い嵩密度を有する製品が得られる、
ロ)簡便な装置で製造可能である、
ハ)粗粒、微粉の少ない製品を得ることが出来る。

Claims (1)

  1. アニオン界面活性剤の酸前駆体と粒状アルカリ無機材料との中和反応及び造粒工程を含む粒径150μm以下の微粉含量が20%以下である高嵩密度粒状洗剤組成物の製造方法において、イ)撹拌機能と剪断機能を備えたミキサー/造粒機で、アニオン界面活性剤の酸前駆体と中和当量以上の粒状アルカリ無機材料を含む粉体を撹拌混合し、中和、造粒を行って造粒物を調製する中和、造粒工程と、ロ)上記造粒物を、回転刃を備えた粉砕機により、下記(1)〜(3)の条件で破砕する破砕造粒工程、
    (1)回転刃の先端速度(周速):10〜60m/s、
    (2)スクリーン孔径 :1.2mm以上
    (3)処理能力 :5〜30t/m・hr(スクリーンの開孔面積・時間当たり)
    とを含み、該破砕造粒工程ではさらに下記の条件を用いることを特徴とする高嵩密度洗剤組成物の製造方法。
    (i)該ミキサー/造粒機内に冷風を導入して該粉体温度を45℃未満に維持すること、
    (ii)該粉体の撹拌混合を粉砕助剤の存在下で行うこと。
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