JP2010202746A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 薄肉でも難燃性が高く、ハードコート層を必要としない表面硬度を有し、成形時の発生ガスが少なく、耐熱性や保存安定性やリサイクル性に優れ、且つ、臭素系およびリン酸系難燃剤を含まないポリカーボネート樹脂組成物、及びその成形物を提供すること。
【解決手段】 ポリカーボネート樹脂組成物の主たる樹脂材料を、その85〜95質量%を占める、重量平均分子量がポリスチレン換算分子量で37000〜55000である芳香族ポリカーボネート樹脂と、その15〜5質量%を占める、ゴム成分を含有しないポリスチレン系樹脂とで構成する。樹脂組成物の特性を損なわない範囲であれば、リサイクル原料などに起因して、上記以外の樹脂成分が含まれていてもよい。この樹脂材料に、ポリフルオロオレフィン樹脂と有機スルホン酸塩系難燃剤とケイ素系難燃剤とを添加する。この芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を、所定の形状に成形する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品に関するものであり、詳しくは、難燃性で、ハードコート層を必要としない表面硬度を有し、耐熱性や保存安定性やリサイクル性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。
近年、様々な分野の機器、例えば、家電製品に代表される電気・電子機器や、オフイスオートメーション(OA)機器や、情報・通信機器などにおいて、筐体などの薄肉軽量化が要望されている。これに対応するため、これらの機器を構成する樹脂材料についても、機械的強度の向上が求められている。このため、ポリスチレン(PS)樹脂やアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂などに代表される、従来の汎用プラスチックの代わりに、薄肉でも強い機械的強度を有するポリカーボネート(PC)系樹脂を用いようとする、樹脂材料の移行が進行している。
また、環境保護に配慮する社会的ニーズから、塩素化合物や臭素化合物などのハロゲン系難燃剤を含まない樹脂材料によって機器を構成することが求められている。具体的には、臭素系難燃剤が添加された難燃性PS樹脂や難燃性ABS樹脂の代わりに、リン系難燃剤が添加されたPC系樹脂(PC樹脂およびABS樹脂・PC樹脂複合材など)の需要が増加している。
このような状況の中で、筐体や外部部品の材料としてPC系樹脂を用いた場合、PC系樹脂は表面硬度が十分ではないので、傷つきの防止や外観を維持するために、PC系樹脂の表面に保護層を形成することが必要となる。
そこで、例えば、特公平3−74629号公報や特公平6−2374号公報には、アクリル系モノマーやオルガノアルコキシシランモノマーを用いて表面にハードコート層を設けたPC系樹脂が提案されている。しかしながら、このように付加的な保護層を形成すると、製造プロセスとしては、工程数が増えるため、材料費や人件費などのコスト増加が大きな負担になる。また、保護層は別材料であるため、リサイクルが難しくなり、資源保護に反するばかりでなく、環境に与える負荷が大きくなる。
また、現在実用化されている難燃性PC系樹脂には、通常、リン酸エステルなどのリン酸系難燃剤が添加されている。しかし、リン酸系難燃剤は加水分解や熱分解を起こしやすく、また、PC樹脂に対する添加量を多くする必要がある。このため、リン酸系難燃剤が添加されたPC系樹脂組成物には、射出成形に際してガスが発生する問題や、樹脂組成物の耐熱性、高温、高湿度条件下での保存安定性、およびリサイクル性が大幅に低下するなどの問題がある。
そこで、後述の特許文献1には、ハロゲン系難燃剤やリン酸系難燃剤を含有しない難燃性PC樹脂として、(A)成分としてポリカーボネート樹脂50〜97.95質量%、(B)成分としてポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂2〜47質量%、および(C)成分として酸性基の塩を含有する芳香族ビニル系樹脂0.05〜3質量%からなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。ここで、前記熱可塑性樹脂は、例えばスチレン系樹脂またはポリエステル系樹脂であり、前記芳香族ビニル系樹脂は、例えばポリスチレンスルホン酸金属塩である。さらに、(D)成分として、例えばフッ素系樹脂であるドリップ抑制剤0.02〜5質量部が配合されていてもよく、(E)成分として官能基含有シリコーン化合物0.1〜10質量部が配合されていてもよい。
特許文献1には、上記の構成によって、流動性と耐溶剤性および難燃性に優れ、かつ埃が付着することのない帯電防止性能の持続性に優れた成形品を得ることのできる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供できると述べられている。
また、後述の特許文献2には、特許文献1と同じ出願人によって、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂60〜97質量%及び(B)200℃、5kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が5以上のアクリロニトリル−スチレン系樹脂3〜40質量%からなり、必要に応じて(A)及び(B)の合計100質量部に対して、(C)耐衝撃性向上剤0〜37質量部、(D)有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類金属塩0〜3質量部、(E)官能基含有シリコーン化合物0〜3質量部、(F)無機充填材0〜55質量部、及び(G)ポリフルオロオレフィン樹脂0〜2質量部を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。
特許文献2には、(B)成分として、200℃、5kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が5以上のアクリロニトリル−スチレン系樹脂を用いることにより、難燃性及び耐熱性を維持したまま、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の大幅な高流動化が可能となったと述べられている。さらに、耐衝撃性向上剤を添加すると、高い耐衝撃性を有する成形品を得ることができると述べられている。
また、後述の特許文献3には、上記出願人によって、(A)基板が芳香族ポリカーボネート樹脂である記録媒体粉砕物5〜50質量%、(B)官能基含有シリコーン化合物0.05〜3質量%及び(C)芳香族ポリカーボネート樹脂47〜94.95質量%の組み合わせを含むポリカーボネート樹脂組成物であって、(A)成分に対する(B)成分の質量比(B)/(A)が0.005〜0.2であることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提案され、前記記録媒体粉砕物を再利用して、特許文献1又は2に提案されていると同様の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を得ることができると述べられている。
特許文献1〜3には、ハロゲン系難燃剤やリン酸系難燃剤を含有しない難燃性PC樹脂として、芳香族ポリカーボネート樹脂と、アクリロニトリル−スチレン系樹脂と、ポリフルオロオレフィン樹脂と、有機スルホン酸塩系難燃剤と、ケイ素系難燃剤とを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の実施例が示されているが、未だ十分な難燃性が得られておらず、家電製品に要求される薄肉難燃性を満足するには至っていない。また、表面硬度について検討されていない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、薄肉でも難燃性が高く、ハードコート層を必要としない表面硬度を有し、成形時の発生ガスが少なく、耐熱性や保存安定性やリサイクル性に優れ、且つ、臭素系およびリン酸系難燃剤を含まないポリカーボネート樹脂組成物、及びその成形品を提供することにある。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、所定の重量平均分子量をもつ芳香族ポリカーボネート樹脂と、ゴム成分を含有しないポリスチレン系樹脂とを所定の質量分率で混合した樹脂材料に、難燃性を付与する所定の材料を添加することで、上述の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、主たる樹脂材料として、
前記主たる樹脂材料の85〜95質量%を占める、重量平均分子量がポリスチレン換 算分子量で37000〜55000である芳香族ポリカーボネート樹脂と、
前記主たる樹脂材料の15〜5質量%を占める、ゴム成分を含有しないポリスチレン 系樹脂と
を有し、添加剤として、
ポリフルオロオレフィン樹脂と、
有機スルホン酸塩系難燃剤と、
ケイ素系難燃剤と
を含有する、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に係わり、また、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が、所定の形状に成形されてなる、成形品に係わるものである。
なお、ポリスチレン換算分子量とは、試料の分子量が、クロロホルムを溶媒として用いるGPC(Gel Permeation Chromatography)測定において、その試料と同じ溶出時間で溶出するポリスチレン分子量標準物質の分子量と同じであると見なした、分子量の推定値である。また、前記「主たる樹脂材料」の「主たる」とは、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の特性を損なわない範囲であれば、前記主たる樹脂材料以外の樹脂成分が含まれていてもよいということであり、例えば、リサイクルされた原料の使用などで不特定の樹脂成分が少量含まれる場合も包含されるという意味である。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、重量平均分子量がポリスチレン換算分子量で37000〜55000である前記芳香族ポリカーボネート樹脂は、後述の実施例で示すように、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度(とくに耐衝撃性)、難燃性、耐溶剤性、流れ性、および成形加工性を適度に保つのに適したものである。また、前記ポリスチレン系樹脂は、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の表面硬度、耐油性、耐溶剤性、および流れ性を向上させる。本発明の特徴の1つとして、前記ポリスチレン系樹脂はゴム成分を含有しないので、芳香族ポリカーボネート樹脂の機械的強度および難燃性を損なうことが少なく、高い表面硬度が得られる。
前記主たる樹脂材料における前記芳香族ポリカーボネート樹脂および前記ポリスチレン系樹脂の割合は、それぞれが前記樹脂材料の85〜95質量%および15〜5質量%であると、後述の実施例で示すように、前記芳香族ポリカーボネート樹脂による機械的な強度および難燃性と、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物による表面硬度の向上効果とが、ともに有効に発揮される。
前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、ポリフルオロオレフィン樹脂は、燃焼時のドリップ現象を抑制する働きをする。有機スルホン酸塩系難燃剤は、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に難燃性を付与する。ケイ素系難燃剤は、燃えている前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の表面を覆うなどして、燃焼の継続を妨げ、火を消えやすくする。前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、これら三者の効果が総合的に発揮されて、必要とされる難燃性が実現される。このため、これら添加剤の添加量は少なくてすむので、前記樹脂材料の特性を損なうことがない。その結果、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、機械的な強度、表面硬度、耐溶剤性、耐熱性、および高温、高湿度下での保存安定性に優れ、また、適度な流れ性および成形加工性を有する。
また、ハードコート層が不要になるので、リサイクル性が向上する。その結果、芳香族ポリカーボネート樹脂の端材(スプールやランナー材)を原料として有効に再利用することが可能となるため、省資源に大いに貢献する。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、前記芳香族ポリカーボネート樹脂および前記ポリスチレン系樹脂が、それぞれ、前記主たる樹脂材料の93〜95質量%および7〜5質量%を占めるのがよい。
また、前記ポリフルオロオレフィン樹脂の添加量が、前記主たる樹脂材料に対する質量比で0.002〜0.005であるのがよい。
また、前記有機スルホン酸塩系難燃剤の添加量が、前記主たる樹脂材料に対する質量比で0.0005〜0.010であるのがよい。
また、前記ケイ素系難燃剤の添加量が、前記主たる樹脂材料に対する質量比で0.001〜0.020であるのがよい。
また、前記ポリスチレン系樹脂が、1種類以上のポリスチレン樹脂及び/又は1種類以上のアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂を含有するのがよい。
また、前記有機スルホン酸塩系難燃剤が、芳香族環を有するポリマーにスルホ基の塩が導入された構造の化合物を含有するのがよい。
また、前記有機スルホン酸塩系難燃剤に、硫黄分にして0.01〜15質量%に相当する個数のスルホ基の塩が導入されているのがよい。
また、前記ケイ素系難燃剤がポリオルガノシロキサン樹脂を含有するのがよい。
以下、本発明の実施の形態に基づく芳香族ポリカーボネート樹脂組成物ついて、詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、既述したように、「前記主たる樹脂材料」の「主たる」とは、リサイクルされた原料の使用などで、不特定の樹脂成分が、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の特性を損なわない範囲で少量含まれる場合も包含されることを示すためのものである。それ以上の本質的な意味はないので、煩雑を避けるため、以下、「前記主たる樹脂材料」は、単に「前記樹脂材料」と記することにする。
<A成分:芳香族ポリカーボネート樹脂>
重量平均分子量がポリスチレン換算分子量で37000〜55000である芳香族ポリカーボネート樹脂は、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の機械的強度、難燃性、耐溶剤性、流れ性、および成形加工性を適度に保つのに適したものである。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。2種類以上の樹脂を混合して用いる場合には、下記の式
重量平均分子量の相加平均
=Σ(各芳香族ポリカーボネート樹脂成分の重量平均分子量×含有率)
で与えられる重量平均分子量の相加平均が、37000〜55000の範囲となることが必要である。なお、上式の和は、すべての芳香族ポリカーボネート樹脂成分についての総和をとるものとする。
芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量が55000より大きい場合には、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の溶融時の流れ性および成形加工性が悪くなり、射出成形などによる成形が難しくなる。一方、37000よりも小さい場合には、前記樹脂組成物の機械的強度(特に耐衝撃強度)や難燃性が低下したり、耐溶剤性が低下してソルベントクラック(薬品によるクラック)が発生しやすくなったりする。
前記樹脂材料における芳香族ポリカーボネート樹脂の割合は、前記樹脂材料の質量の85〜95質量%であり、より好ましくは93〜95質量%である。芳香族ポリカーボネート樹脂の割合が85質量%未満の場合には、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の機械的な強度や難燃性が低下する。一方、95質量%より多い場合には、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の表面部の硬度が低下する。
上記芳香族ポリカーボネート樹脂の構造は、特に限定されるものではないが、通常、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応によって合成される芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることができる。用いる二価フェノールとカーボネート前駆体も、特に限定されるものではなく、種々のものを用いることができる。また、合成法も特に限定されるものではなく、例えば、界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
上記芳香族ポリカーボネート樹脂は、新たに合成されたバージン材であってもよいし、製造工程において生じた廃材や屑、あるいは、他の芳香族ポリカーボネート樹脂製品の製造に用いられる樹脂の端材(スプール材やランナー材など)、または使用済みの芳香族ポリカーボネート樹脂製品から回収された回収物であってもよい。そのような芳香族ポリカーボネート樹脂製品として、例えば、デジタルバーサタイルディスク(DVD;登録商標)、コンパクトディスク(CD;登録商標)、光磁気ディスク(MO;登録商標)、ミニディスク(MD;登録商標)、およびブルーレイディスク(BD;登録商標)などの光学ディスクや、液晶テレビ用の光学フィルムや、水ボトルなどの容器などが挙げられる。
使用済みの製品から回収された芳香族ポリカーボネート樹脂を利用する場合、樹脂にはラベルやフィルム、金属反射層、メッキ層、記録材料層、および接着剤層など、各種の付着物が付着している。本発明では、これらの付着物が付着したままの樹脂を用いてもよく、従来公知の方法によって付着物を分離・除去した後の樹脂を用いてもよい。
上記付着物は、特に限定されるものではなく、光学ディスクなどにおいて通常使用される膜形成材料や、塗装材料を含む。例えば、ポリオレフィン系フィルム(ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムなど)、樹脂や紙ラベル、アルミニウムAl、金Au、ケイ素Siなどの金属反射層、シアニン系色素を含む有機色素、テルルTe、セレンSe、硫黄S、ゲルマニウムGe、インジウムIn、アンチモンSb、鉄Fe、テルビウムTb、コバルトCo、銀Ag、セリウムCe、およびビスマスBiなどの記録材料層、アクリル系アクリレート、エーテル系アクリレート、ビニル系のモノマーやオリゴマー、ポリマーの少なくとも1種以上からなる接着剤層、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマーの少なくとも1種、および重合開始剤や顔料、補助剤が混入されているラベルインキ層などが挙げられる。
できるだけ低コストでリサイクルするという観点からは、樹脂に不純物が含まれたまま再利用できることが好適である。例えば、回収された芳香族ポリカーボネート樹脂を細かく破砕し、そのまま、あるいは所定の添加物と混練・溶融し、ペレット化して芳香族ポリカーボネート樹脂原料(A成分)として用いることができることが望ましい。あるいは、射出成型機の構造によっては、回収された芳香族ポリカーボネート樹脂を、直接、他の樹脂成分や各種添加剤とともに射出成型機のホッパーなどに投入し、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物よりなる成形体を得てもよい。
なお、付着物は、例えば、特開平6−223416号公報、特開平10−269634号公報、および特開平10−249315号公報などにおいて提案されている機械的あるいは化学的な方法で除去することができる。
<B成分:ゴム成分を含有しないポリスチレン系樹脂>
ポリスチレン系樹脂は、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の表面硬度、耐油性および耐溶剤性、並びに流れ性を向上させるものである。本発明の特徴の1つとして、ポリスチレン系樹脂はゴム成分を含有しないので、芳香族ポリカーボネート樹脂の機械的強度および難燃性を損なうことが少なく、高い表面硬度が得られる。前記樹脂材料におけるポリスチレン系樹脂の割合は5〜15質量%であり、より好ましくは5〜7質量%である。ポリスチレン系樹脂の割合が5質量%未満の場合には、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の表面部の硬度が低下する。一方、15質量%より多い場合には、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の機械的な強度や難燃性が低下する。
上記のゴム成分を含有しないポリスチレン系樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS)樹脂、およびアクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体(ASA)樹脂を挙げることができる。これらの中で、AS樹脂、PS樹脂、およびASA樹脂がより好ましく、PC樹脂との相溶性の観点からはAS樹脂が最も好ましい。後述の比較例6では、ゴム成分を含有するアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂をスチレン系樹脂として用いたところ、難燃性が著しく低下した。これは、ゴム成分中に含まれるC=C二重結合が反応性に富むためであると考えられる。一方、特許文献1〜3には、AS樹脂を用いた場合とABS樹脂を用いた場合とで樹脂組成物の難燃性に差がでることは報告されていない。本発明では樹脂組成物の表面硬度を向上させるために構成樹脂を絞り込んでおり、その結果、このような違いが生じたものと考えられる。
これらゴム成分を含有しないポリスチレン系樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレン換算分子量で50000〜500000が一般的であるが、100000〜300000であるのが好ましい。重量平均分子量が50000より小さい場合には、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐油性および耐溶剤性を向上させる効果がない場合があるとともに、耐衝撃性などの力学的な特性が低下する場合がある。また、重量平均分子量が500000より大きい場合には、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の流れ性が低下する場合がある。
上記のゴム成分を含有しないポリスチレン系樹脂は、新たに合成されたバージン材であってもよいし、製造工程において生じた廃材や屑、あるいは、他のポリスチレン系樹脂製品の製造に用いられるポリスチレン系樹脂の端材(スプール材やランナー材など)、または使用済みのポリスチレン系樹脂製品から回収された回収物であってもよい。そのようなポリスチレン系樹脂製品として、例えば、業務用ビデオカセットに使用された透明リール材や使用済み扇風機のファン(羽根)をAS樹脂として用いてもよい。または、魚箱や家電製品の緩衝材として用いられた発泡スチロールや、食品用に使用されたポリスチレントレーをPS樹脂として用いてもよい。
<C成分:ポリフルオロオレフィン樹脂>
ポリフルオロオレフィン樹脂は、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、燃焼時のドリップ現象を抑制する働きをする。前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中におけるポリフルオロオレフィン樹脂の添加量は、前記樹脂材料に対する質量比で0.002〜0.005(0.2〜0.5%)であるのが好ましい。ポリフルオロオレフィン樹脂の添加量が前記樹脂材料に対する質量比で0.002(0.2%)より少なくなると、ドリップ現象を抑制することが困難になる。一方、添加量が0.005(0.5%)より多くなると、ドリップ現象を抑制する効果が飽和し、効率が低下することによるコスト高になったり、樹脂の機械的強度や流れ性が低下する負の効果が現れやすくなったりする。
上記ポリフルオロオレフィン樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリジフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、およびテトラフルオロエチレンとエチレン系モノマーとの共重合体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。これらの中でポリテトラフルオロエチレンがより好ましく、その平均分子量は50000以上であるのが好ましく、100000以上かつ20000000以下であるのがより好ましい。なお、ポリフルオロオレフィン樹脂は、フィブリル形成能を有するものがより好ましい。
<D成分:有機スルホン酸塩系難燃剤>
有機スルホン酸塩系難燃剤は、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に難燃性を付与するために用いられる。前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中における有機スルホン酸塩系難燃剤の添加量は、前記樹脂材料に対する質量比で0.0005〜0.010(0.05〜1.0%)であるのが好ましい。有機スルホン酸塩系難燃剤の添加量が、前記樹脂材料に対する質量比で0.0005(0.05%)より少なくなると、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に難燃性を付与する効果が十分ではない。一方、添加量が0.010(1.0%)より多くなると、効率の低下によって経済性が悪くなり、難燃性を付与する効果も飽和して、効率が低下する。
所定の化学組成や構造を有することが必要となる。
上記有機スルホン酸塩系難燃剤としては、種々のものが挙げられるが、少なくとも1つの炭素原子を有する有機スルホン酸塩である。有機スルホン酸塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩およびセシウム塩などのアルカリ金属塩や、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩およびバリウム塩などのアルカリ土類金属塩であってもよく、鉄Fe、スズSn、および亜鉛Znなどの金属元素の塩でもよく、また、アンモニア塩や有機アルキルアミン塩であってもよい。
有機スルホン酸塩の有機基は、フッ素、塩素および臭素のようなハロゲン原子によって置換されていてもよい。ハロゲン原子の中ではフッ素が最も好ましく、一般式(Cn2n+1SO3)mMで表されるパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が一般的である(式中、nは1〜10の自然数を示し、Mはリチウム、ナトリウム、カリウム、およびセシウム、または、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、およびバリウムなどであり、mはMの原子価1または2と等しい。)。より具体的には、パーフルオロメタンスルホン酸塩、パーフルオロエタンスルホン酸塩、パーフルオロプロパンスルホン酸塩、パーフルオロブタンスルホン酸塩、パーフルオロメチルブタンスルホン酸塩、パーフルオロヘキサンスルホン酸塩、パーフルオロヘプタンスルホン酸塩およびパーフルオロオクタンスルホン酸塩などを挙げることができるが、これらの中では、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムが特に好適である。
他には、アルキルスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジフェニルスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸塩、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸塩、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホン酸塩、ナフタレントリスルホン酸塩、およびこれらのフッ素置換体を挙げることができる。これらの中では、ジフェニルスルホン酸塩が特に好適である。
さらには、高分子量の芳香族ポリマーにスルホ基が導入され、これが塩に変えられている芳香族ポリマースルホン酸塩が好適である。上記芳香族ポリマーとしては、側鎖に芳香族環を有するポリマーと主鎖に芳香族環を有するポリマーとの両方を挙げることができるが、前者の方が好適である。
側鎖に芳香族環を有するポリマーとしては、例えばポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS:スチレン−ブタジエン共重合体)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体(ACS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合体(ASA)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体(AES)、およびアクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエン−スチレン共重合体(AEPDMS)などを挙げることができる。これらのうち、何れか1種、若しくは複数種を用いることができる。これらの側鎖に芳香族環を有するポリマーの重量平均分子量は、ポリスチレン換算分子量で50000〜1000000であるのがよく、100000〜300000であるのが特に好適である。
主鎖に芳香族環を有するポリマーとしては、例えばポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、およびポリスルホン(PSF)などを挙げることができる。これらのうち、何れか1種、若しくは複数種を用いることができる。これらの主鎖に芳香族環を有するポリマーの重量平均分子量は、ポリスチレン換算分子量で10000〜200000であるのがよく、25000〜100000であるのが特に好適である。
以上の高分子量の芳香族ポリマーにおいて、芳香族環を有するモノマー単位の含有量は、1モル%〜100モル%の範囲であり、好ましくは30モル%〜100モル%の範囲であり、さらに好ましくは40モル%〜100モル%である。芳香族環を有するモノマー単位が1モル%より少ないと、芳香族ポリマーへのスルホ基の導入率が低くなるので、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に難燃性を付与することが十分にできない。
上記の芳香族ポリマーとして、例えば、使用済みとなった回収材や工場内で排出された端材を用いることもできる。回収材や端材を原料として使用することで低コスト化を図ることができる。
上記の芳香族ポリマーにスルホ基を所定量導入し、これを塩に変えることで、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に含有させた場合に高い難燃性を付与できる難燃剤が得られる。芳香族ポリマーにスルホ基を導入する方法としては、例えば、芳香族ポリマーを所定量のスルホン化剤でスルホン化処理する方法がある。
スルホン化剤としては、含有する水分が3質量%未満のものが望ましい。具体的には、スルホン化剤としては、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸、ポリアルキルベンゼンスルホン酸類などを挙げることができる。これらのうちの何れか1種を単独で、若しくは複数種を混合して用いることができる。また、スルホン化剤として、例えばアルキルリン酸エステルやジオキサンなどの、ルイス塩基との錯体物を用いることもできる。
スルホン化剤として96質量%の濃硫酸などを用いた場合、芳香族ポリマー中にシアノ基やエステル基が存在すると、芳香族ポリマーをスルホン化する際に、含まれる水分によってこれらの基が加水分解され、アミド基やカルボキシル基に転換され、吸水効果の高いアミド基やカルボキシル基を含有する難燃剤が生成する。このような、アミド基やカルボキシル基などを多量に含んだ難燃剤を用いると、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に対して高い難燃性を付与することはできるものの、時間経過とともに外部から水分が吸収され、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が変色して外観が損なわれたり、樹脂組成物の機械的強度が劣化したりするといった不具合の原因になることがある。
以上のことを考慮すると、できるだけ水分の少ない状態で芳香族ポリマーにスルホン化処理を施すことが望ましい。この方法として、芳香族ポリマーを有機溶剤(塩素系溶剤)に溶解した状態の溶液に、所定のスルホン化剤を所定量添加して反応させる方法がある。この他にも、有機溶媒中に粉末状の芳香族ポリマーを分散させた状態の分散液に、所定のスルホン化剤を所定量添加して反応させる方法がある。さらには、芳香族ポリマーをスルホン化剤に直接投入して反応させる方法や、粉末状の芳香族ポリマーにスルホン化ガス、例えば三酸化硫黄SO3ガスを直接吹き付けて反応させる方法などもある。これらの方法の中で、有機溶剤を使用しない粉末状の芳香族ポリマーにスルホン化ガスを直接吹き付けて反応させる方法が特に好ましい。
芳香族ポリマーへのスルホ基の導入率は、スルホン化剤の添加量や、スルホン化剤を反応させる時間や、反応温度や、ルイス塩基の種類や量などで調整することができる。これらの方法の中でも、スルホン化剤の添加量、スルホン化剤と反応させる時間、反応温度などで調整することがより好ましい。具体的には、芳香族ポリマーに対するスルホ基の塩の導入率は、硫黄分の含有率(芳香族ポリマースルホン酸塩における硫黄の質量%)にして0.01〜15質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは0.5〜3.5質量%である。
芳香族ポリマーへのスルホ基の塩の導入率が、硫黄分の含有率にして0.01質量%より小さいと、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に対して難燃性を付与することが困難になる。また、導入率が、硫黄分の含有率にして15質量%より大きくなると、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物への分散性が低下したり、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が吸水による経時変化を受けやすくなったり、燃焼時のブルーミング時間が長くなったりすることがある。
芳香族ポリマーへのスルホ基の塩の導入率は、例えば、スルホン化処理された芳香族ポリマー中に含有される硫黄分を燃焼フラスコ法などによって定量分析することで、容易に求めることができる。
上記の高分子量の芳香族ポリマースルホン酸塩は、芳香族ポリカーボネート樹脂に対する相溶性や、難燃性付与効果や、樹脂特性保持の観点から、低分子量の有機スルホン酸塩よりも好適である。
<E成分:ケイ素系難燃剤>
ケイ素系難燃剤は、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に難燃性を付与するために用いられる。前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物中におけるケイ素系難燃剤の添加量は、前記樹脂材料に対する質量比で0.001〜0.02(0.1〜2%)であるのが好ましい。ケイ素系難燃剤の添加量が、前記樹脂材料に対する質量比で0.001(0.1%)より少なくなると、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に難燃性を付与する効果が十分ではない。一方、添加量が0.02(2%)より多くなると、効率の低下によって経済性が悪くなり、難燃性を付与する効果も飽和して、効率が低下する。
上記ケイ素系難燃剤としては、例えば、ポリオルガノシロキサン(シリコーンおよび有機シリケートなど)やシリカなどが挙げられる。これらのうちの何れか1種を単独で、若しくは複数種を混合して用いることが可能である。例えば、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリ(ジメチル−ジフェニル-メチル水素)シロキサン、ポリジメチルジフェニルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリエチルフェニルシロキサンやこれら混合物などの樹脂やオイルを挙げることができる。
これらのポリオルガノシロキサンのアルキル基部分には、例えばアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、シラノール基、メルカプト基、エポキシ基、ビニル基、アリールオキシ基、ポリオキシアルキレン基、水素基、ハロゲン基などの官能基が含有されていてもよく、特にアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ビニル基などが含有されることが好ましい。これらの中で、メチルフェニルシロキサン樹脂が最も好適である。メチル基、フェニル基、水素基、メトキシ基が好適で、更には、メチル基とフェニル基、ジメチル基、ジフェニル基、メチル基と水素基、メチル基とメトキシ基、フェニル基とメトキシ基、メトキシ基と水素基などの組み合わせが好適である。
ケイ素系難燃剤がポリオルガノシロキサン樹脂である場合、その平均分子量は100以上、好ましくは500〜5000000の範囲であり、その形態については、例えば、オイル状、ワニス状、ガム状、粉末状、およびペレット状のいずれであってもよい。また、シリカについては、炭化水素系化合物のシランカップリング剤で表面処理されたものが好適であるが、前述のポリオルガノシロキサン樹脂の方がより好ましい。
<その他の難燃剤成分>
上述した難燃剤以外に、他の難燃剤を併用してもよい。他の難燃剤としては、例えば、有機リン酸エステル系難燃剤、ハロゲン化リン酸エステル系難燃剤、無機リン系難燃剤、ハロゲン化ビスフェノール系難燃剤、その他のハロゲン化合物系難燃剤、アンチモン系難燃剤、窒素系難燃剤、ホウ酸系難燃剤、金属塩系難燃剤、無機系難燃剤、およびケイ素系難燃剤などが挙げられ、これらのうちの何れか1種を単独で、若しくは複数種を混合して用いることができる。
有機リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、メチルネオベンジルホスフェート、ペンタエリスリトールジエチルジホスフェート、メチルネオペンチルホスフェート、フェニルネオペンチルホスフェート、ペンタエリスリトールジフェニルジホスフェート、ジシクロペンチルハイポジホスフェート、ジネオペンチルハイポホスファイト、フェニルピロカテコールホスファイト、エチルピロカテコールホスフェート、およびジピロカテコールハイポジホスフェートなどが挙げられる。これらのうちの何れか1種を単独で、若しくは複数種を混合して用いることができる。
ハロゲン化リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、トリス(βークロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(βーブロモエチル)ホスフェート、トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、縮合型ポリホスフェート、および縮合型ポリホフホネートなどが挙げられる。これらのうちの何れか1種を単独で、若しくは複数種を混合して用いることができる。
無機リン系難燃剤としては、例えば、赤リンおよび無機系リン酸塩などが挙げられる。これらのうちの何れか1種を単独で、若しくは複数種を混合して用いることができる。
ハロゲン化ビスフェノール系難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールAとそのオリゴマー、およびビス(ブロモエチルエーテル)テトラブロモビスフェノールAなどが挙げられる。これらのうちの何れか1種を単独で、若しくは複数種を混合して用いることができる。
その他のハロゲン化合物系難燃剤としては、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモベンゼン、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモ無水フタル酸、(テトラブロビスモフェノール)エポキシオリゴマー、ヘキサブロモビフェニルエーテル、トリブロモフェノール、ジブロモクレジルグリシジルエーテル、デカブロモジフェニルオキシド、ハロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化ポリカーボネート共重合体、ハロゲン化ポリスチレン、ハロゲン化ポリオレフィン、塩素化パラフィン、およびパークロロシクロデカンなどが挙げられる。これらのうちの何れか1種を単独で、若しくは複数種を混合して用いることができる。
アンチモン系難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、およびアンチモン酸ソーダなどが挙げられる。これらのうちの何れか1種を単独で、若しくは複数種を混合して用いることができる。
窒素系難燃剤としては、例えば、メラミン、アルキル基又は芳香族置換メラミン、メラミンシアヌレート、イソシアヌレート、メラミンホスフェート、トリアジン、グアニジン化合物、尿素、各種シアヌール酸誘導体、およびホスファゼン化合物などが挙げられる。これらのうちの何れか1種を単独で、若しくは複数種を混合して用いることができる。
ホウ酸系難燃剤としては、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、およびメタホウ酸バリウムなどが挙げられる。これらのうちの何れか1種を単独で、若しくは複数種を混合して用いることができる。
金属塩系難燃剤としては、例えば、パーフルオロアルカンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ハロゲン化アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、およびナフタレンスルホン酸などのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩などが挙げられる。これらのうちの何れか1種を単独で、若しくは複数種を混合して用いることができる。
無機系難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、塩基性炭酸マグネシウム、水素化ジルコニウム、酸化スズ水和物などの無機金属化合物水和物、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステンなどの金属酸化物、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、チタン、マンガン、スズ、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、タングステン、アンチモンなどの金属粉、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、および炭酸バリウムなどの炭酸塩などが挙げられる。これらのうちの何れか1種を単独で、若しくは複数種を混合して用いることができる。
以上で説明した従来公知の難燃剤の添加量は、その種類や、必要とされる難燃性のレベルや、難燃性を付与しようとする前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の種類によって異なるが、通常、ポリカーボネート樹脂に対する質量比で0〜0.50(0〜50%)であり、好ましくは0〜0.30(0〜30%)であり、さらに好ましくは0〜0.10(0〜10%)である。
また、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、前述の添加剤の他に、他の添加剤として、例えば、無機充填剤や耐衝撃性向上剤、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系)、帯電防止剤、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系、環状イミノエステル系、シアノアクリレート系)、光安定化剤、可塑剤、相溶化剤、着色剤(顔料、染料)、光拡散剤、光安定剤、結晶核剤、抗菌剤、流動性改質剤、抗菌剤、赤外線吸収剤、蛍光体、加水分解防止剤、離型剤、あるいは表面処理剤などを含有していてもよい。これにより、難燃性、射出成形性、耐衝撃性、外観、耐熱性、耐候性、色あるいは剛性などが改善される。
無機充填剤は、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の力学的強度の向上や、さらなる難燃性の向上を図る目的で用いる。無機充填剤としては、例えば、結晶性シリカ、溶融シリカ、アルミナ、マグネシア、タルク、マイカ、カオリン、クレー、珪藻土、ケイ酸カルシウム、酸化チタン、ガラス繊維、フッ化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、炭素繊維、カーボンナノチューブ、チタン酸カリウム繊維などが挙げられる。これらのうちの何れか1種を単独で、若しくは複数種を混合して用いることが可能である。これらの無機充填剤のうち、タルク、マイカ、カーボン、ガラスを用いることが好ましく、特にタルクがより好ましい。
無機充填剤の添加量は、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に対する質量比で0.025〜0.20(2.5〜20%)であり、より好ましくは0.05〜0.15(5〜15%)である。無機充填剤の添加量が前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に対する質量比で0.20より多くなると、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形する際に溶融した樹脂組成物の流動性が低下したり、耐衝撃性が低下したりするといった不具合が起こることがある。
耐衝撃性向上剤は、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性を向上させる目的で添加される。耐衝撃性向上剤は、単独ではポリカーボネート樹脂の靭性の改善や伸度の改善に効果があり、ポリカーボネート樹脂とAS樹脂の混合系では、両者に相溶して、あるいは一部反応して相溶性を改善し、樹脂混合物の力学物性や成形性を改善する。
耐衝撃性向上剤としては、通常、樹脂改質の用途(ゴム状弾性体や熱可塑性エラストマー、相溶化剤など)に用いられている材料を用いることが可能である。例えば、ABS樹脂、HIPS樹脂、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、メタクリル酸メチル−スチレン樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン(MBS)樹脂、イソプレン−スチレンゴム、イソプレンゴム、ポリブタジエン(PB)、ブタジエン−アクリルゴム、イソプレン−アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴムなどのゴム状弾性体と、これ以外に、ポリスチレン系(SBC)、塩ビ系(TPVC)、ポリオレフィン系(TPO)、ポリウレタン系(PU)、ポリエステル系(TPEE)、ニトリル系、ポリアミド系(TPAE)、フッ素系、塩素化ポリエチレン系(CPE)、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、トランス−1,4−イソプレン、シリコーン系、塩素化エチレンコポリマー架橋体アロイ、エステルハロゲン系ポリマーアロイなどの熱可塑性エラストマーを挙げることができる。さらに具体的には、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS:水添スチレン系熱可塑性エラストマー)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS:水添スチレン系熱可塑性エラストマー)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−水素化ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ビニルオキサゾリン共重合体、エポキシ化スチレン系エラストマーなどのスチレン系と、アクリロニトリル−ブタジエンポリマーをグラフトしたポリカーボネート、C5−C9留分の重合により得られる石油系樹脂、ゴム微粒子のポリマーによる表面修飾物、粒子状のゴムの外部にグラフト層を持ったコアシェルタイプの衝撃耐向上剤でゴム成分がブタジエンゴム系、アクリルゴム系、シリコーン−アクリル複合ゴム系のものなどを好ましい組み合わせとして挙げることができる。
これら耐衝撃性向上剤のうち、ABS樹脂、HIPS樹脂、およびスチレン系熱可塑性エラストマーが特に好ましく、スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、SEBS、SEPS、SBS、スチレン−水素化ブタジエン−スチレン共重合体、SIS、スチレン−ビニルオキサゾリン共重合体、およびエポキシ化スチレン系エラストマーが挙げられる。これらの中で、SEBSが最も好適である。
なお、上述した耐衝撃性向上剤は、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
耐衝撃向上剤の添加量は、通常、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に対する質量比で0.002〜0.10(0.2〜10%)であり、より好ましくは、0.005〜0.075%(0.5〜7.5%)であり、さらに好ましくは、0.01〜0.05(1〜5%)である。耐衝撃向上剤の添加量が、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に対する質量比で0.1(10%)より多くなると、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性と流れ性が低下する。
前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、例えば、下記のようにして製造することができる。まず、前記樹脂材料および各種添加剤を混合する。この際、例えば、タンブラー、リブレンダー、ミキサー、押出機、コニーダなどといった混練装置にて略均一に分散させる。次に、この混合物を、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、プレス成形、発泡成形、あるいは超臨界成形などといった成形法により、所定の形状、例えば、家電、自動車、情報機器、事務機器、電話機、文房具、家具、あるいは繊維などの各種製品の筐体や部品材の形状に成形し、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が完成する。
次に、前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物について、具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]〜[実施例5]
実施例1〜5では、下記に示すように、まず、所定の材料を用いて前記芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を作製した。次に、その特性を調べ、評価した。
〔芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の材料〕
<A成分:芳香族ポリカーボネート(PC)樹脂>
<A−1>平均分子量が43000の芳香族PC樹脂(商品名 パンライトL−1225L;帝人化成社製)
<A−2>平均分子量が61500の芳香族PC樹脂(商品名 パンライトK−1300Y;帝人化成社製)
<A−3>使用済みの容器(水ボトル)から回収した、平均分子量が55000の芳香族PC樹脂
<A−4>廃棄されたコンパクトディスク(CD)から、加温した水酸化ナトリウム水溶液を用いてその塗膜を溶解除去して回収した、平均分子量が30000の芳香族PC樹脂
<B成分:ゴム成分を含有しないポリスチレン(PS)系樹脂>
<B−1>AS樹脂(商品名 ライタック−A 120PF;日本エイアンドエル社製)
<B−2>廃棄された業務用ビデオカセット内のリールから回収されたPS樹脂
<B−3>使用済みの発泡スチロールから回収されたPS樹脂
<B−4>比較例6ではゴム成分を含有するPS系樹脂として、ABS樹脂(商品名 DP−611;テクノポリマー社製)を用いた。
<C成分:ポリフルオロオレフィン樹脂>
<C−1>ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂(商品名 Fluon PTFE ファインパウダーCD076;旭硝子社製)
<D成分:有機スルホン酸塩系難燃剤>
<D−1>AS樹脂スルホン酸塩(PASS−K、硫黄の含有率=1.2質量%)
AS樹脂スルホン酸塩を下記のようにして合成した。
まず、液体窒素を用いて、AS樹脂(質量比 アクリロニトリル:スチレン=75:25、ポリスチレン換算の重量平均分子量=102000)を冷凍した後、粉末状に粉砕して、80メッシュのふるいを通過するものだけを集めた。この樹脂粉末50gをなす形フラスコに移した後、フラスコにロータリーエバポレーターを取り付け、60℃に加温して回転させた。このとき、樹脂粉末は、エバポレーターの回転によって、フラスコ内で流動状態となった。
次に、真空ポンプを用いてフラスコ内のガスを除去し、約0.01MPaまで減圧した。続いて、バルブの開閉操作によって、予めSO3を2.2g充填して60℃に加温しておいたタンクから、フラスコ内にSO3ガスを送り込んだ。SOガスの注入によって、フラスコ内の圧力は0.02MPaとなった。この密閉状態で60℃に保ち、4時間スルホン化反応を行わせた。この後、フラスコ内のSO3ガスを窒素ガスで置換して、除去した。
次に、フラスコ内の樹脂粉末に水酸化カリウム水溶液を加え、pH=7に調整し、樹脂に導入されたスルホ基を中和して、カリウム塩に変えた。この後、グラスフィルターを用いて反応液から樹脂粉末を濾別した。この樹脂粉末を水洗した後、再度ろ過を行い、樹脂粉末を濾別した。温風循環式乾燥機を用いて、この樹脂粉末を100℃で送風乾燥し、白色の粉末52gを得た。この粉末について硫黄分の分析を行ったところ、硫黄の含有率は1.2質量%であった。
<D−2>PS樹脂スルホン酸塩I(PSS−K、硫黄の含有率=0.6質量%)
上記AS樹脂の代わりに、使用済み発泡スチロールから回収されたPS樹脂(重量平均分子量=198000)を用い、予めタンクに入れておいたSO3が2.2gではなく、1.1gであったこと除けばD−1と同様にして、PS樹脂をスルホン化して、PS樹脂スルホン酸塩Iを合成した。得られた樹脂粉末中の硫黄の含有率は0.6質量%であった。
<D−3>パーフルオロブタンスルホン酸カリウム
市販のパーフルオロブタンスルホン酸カリウム(商品名 F−114;DIC社製ポリカーボネート用難燃剤)を難燃剤として用いた。
<D−4>PS樹脂スルホン酸塩II(PSS−Na、硫黄の含有率=15.1質量%)
後述の例3では、硫黄含有率の大きい難燃剤として、市販のポリスチレンスルホン酸ソーダ(重量平均分子量=70000、硫黄の含有率=15.1質量%)を用いた。
<E成分:ケイ素系難燃剤>
<E−1>ジメチル-ジフェニル-メチル水素系シリコーンオイル(商品名 KR−2710;信越化学工業社製)
<E−2>メチルフェニル系シリコーンレジン(商品名 X−40−9805;信越化学工業社製)
〔芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の作製〕
まず、後述する表1に記載した配合量で上記の樹脂材料および添加剤を配合し、タンブラーを用いて混合した後、二軸同方向回転混連押出機(商品名 ZE0A;ベルストルフ社製)を用いて溶融混練し、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。押出条件は、吐出量15kg/h、スクリュー回転数150rpmであり、また、押出温度は、第1供給口からダイス部分までを265℃とした。
次に、温風循環式乾燥機を用いて、上記ペレットを120℃にて8時間乾燥させた。その後、射出成形機を用いて、シリンダー温度280℃および金型温度65℃にて射出成形を行い、難燃性測定用試験片、鉛筆硬度測定用試験片、耐熱性(荷重たわみ温度)測定用試験片、アイゾット衝撃強度測定用試験片、曲げ弾性率測定用試験片、耐溶剤性試験片(プレート)、および、成形性を確認するための、液晶テレビ用のベゼル(前面のフレーム部分、平均肉厚:2.0mm)をそれぞれ作製した。
〔芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の特性の測定と評価〕
上記のようにして得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の試験片を用いて、その難燃性、鉛筆硬度、流れ性、熱変形温度、アイゾット衝撃強度、曲げ弾性率で代表される樹脂物性と、射出成形性や成形品の耐溶剤性、高温高湿下での経時安定性、リサイクル性などの特性を調べ、評価した。
<難燃性>
UL規格94(UL94V)の垂直燃焼試験を、厚さ2.0mmの芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に対して行い、難燃性を評価した。難燃性は、優れている方から順にV−0>V−1>V−2であると考えられ、V−1以上であることが必要である。
<鉛筆硬度>
JIS K5400に従い、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の表面硬度の測定を行った。鉛筆硬度はF以上であることが必要である。
<流れ性(MFR:メルトフローレート)>
JIS K7210に従い、樹脂温度280℃、荷重2.16Kgの条件で、溶融時の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の流れ性測定を行った。流れ性は7〜8以上であることが必要である。
<耐熱性(熱変形温度)>
ASTM D648(A法)に準じて、測定条件4.6kgf/cm2にて荷重たわみ温度の測定を行った。
<アイゾット衝撃強度>
JIS K7110に従い、ノッチ付きのアイゾット衝撃強度の測定を実施した。アイゾット衝撃強度は5以上であることが必要である。
<曲げ弾性率>
ASTM A790に従い、曲げ弾性率を測定した。
<成形性>
液晶TV用のベゼル(肉厚:2.0mm)の金型を用いて成形を行い、外観(ヒケ、ウエルドラインの状態)の確認、ウエルド部分の強度、10回繰り返しビス締めによるボス部の強度について評価を行い、実用レベルであるかどうかの確認を行った。
<耐溶剤性>
試験用のプレートを作製し、耐油脂性(ヒマシ油:40℃×95%×24hr)、耐アルコール性(エタノール:常温、65℃×95%×24hr)に関する耐溶剤性の(外観)確認を行った。
<高温高湿保存性>
85℃×80Rh%の恒温恒湿槽に樹脂ペレットを400時間保存し、保管前後のポリカーボネート樹脂部の分子量変化をGPC(ポリスチレン換算)により測定を行った。400時間保存後に保管前の分子量を90%以上保持できているかどうかで長期保存安定性の判断を行った。
<リサイクル性>
各難燃性PC系樹脂に関し、3回の溶融混練を繰り替えした後のアイゾット衝撃強度がイニシャル値の90%を維持できているものをOKと判断した。
表1は、実施例1〜5における樹脂材料の組成、添加剤の種類と量、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の特性をまとめて示す表である。表中、樹脂成分の量は樹脂材料における質量%で示し、添加剤の添加量は樹脂材料に対する質量比(%)で示した。
Figure 2010202746
表1に示されているように、実施例1〜5で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性はいずれもV−1以上であり、樹脂材料における芳香族ポリカーボネート樹脂の割合が85質量%以上であれば、難燃性の必要条件を満たすことがわかる。詳細には、芳香族ポリカーボネート樹脂の割合が95質量%である実施例1および2において難燃性がV−0であり、割合が85〜92.5質量%である実施例3〜5において難燃性がV−1であることから、より高い難燃性であるV−0を実現するには、樹脂材料における芳香族ポリカーボネート樹脂の割合が93〜95質量%であるのがよいことがわかる。
また、いずれの芳香族ポリカーボネート樹脂組成物でも、表面がF以上の鉛筆硬度を有することから、ハードコート層が不要であり、コストの低下やリサイクル率の向上を図る上で有利である。その他、流れ性、熱変形温度、アイゾット衝撃強度、曲げ弾性率で代表される樹脂物性と、射出成形性や成形品の耐溶剤性、高温高湿下での経時安定性、リサイクル性などの特性も良好であった。
実施例1〜5における芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(またはその相加平均)は、それぞれ、おおよそ43000、43000、55000、37000、42000であるから、芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(またはその相加平均)は、少なくとも37000〜55000の範囲内であれば適切であることがわかる。
比較例1〜比較例6では、樹脂材料の組成を実施例1〜5よりも大きく変えて芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を合成し、その特性を調べ、樹脂材料が満たすべき条件を検討した。下記の表2は、比較例1〜比較例6における樹脂材料の組成、添加剤の種類と割合、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の特性をまとめて示す表である。表中の各項目は、実施例1〜5と同様である。ただし、難燃性の評価でVNGと記載したものは、V−2の難燃性を達成できなかったものである。また、アイゾット衝撃強度の単位は省略した(表3も、同様。)。
Figure 2010202746
[比較例1]
比較例1による芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)が重量平均分子量Mwが大きいA−2(Mw=61500)である。このため、芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量が適正な範囲37000〜55000を越えている。その結果、これ以外の条件は実施例1と同じであるにもかかわらず、樹脂組成物の流れ性が不足し、射出成形性が悪化した。
[比較例2]
比較例2による芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)が、A−1(Mw=43000)45質量%と、A−4(Mw=30000)50質量%とからなるため、その相加平均が小さい(Mw=約36000)。このため、芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量が適正な範囲37000〜55000を下回っており、その結果、これ以外の条件は実施例1と同じであるにもかかわらず、樹脂組成物の難燃性および耐衝撃性が低下した。また、一部が溶剤に溶けるため、耐溶剤性が低下した。
[比較例3]
比較例3による芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、ゴム成分を含有しないスチレン系樹脂(B成分)が添加されていない。この場合、樹脂組成物の表面の鉛筆硬度がHB以下となり、硬度不足になった。また、耐溶剤性も若干不良となった。
[比較例4]
比較例4による芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、ゴム成分を含有しないスチレン系樹脂(B成分)の割合が2.5質量%で、十分ではない。この場合、B成分が含まれない比較例3に比べると耐溶剤性は向上するものの、表面の鉛筆硬度はHB以下のままで、依然として硬度不足であった。難燃性は、V−0からV−1へ少し低下するが、必要条件は維持されていた。
[比較例5]
比較例5による芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、ゴム成分を含有しないスチレン系樹脂(B成分)の割合が20質量%である。この場合、表面の鉛筆硬度はFとなり、必要条件を満たしたが、難燃性がVNGへ低下し、必要条件を満たさなかった。
[比較例6]
比較例6による芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、スチレン系樹脂としてゴム成分を含有するABS樹脂(B−4)が5質量%含まれている。B成分の種類が異なること以外は、実施例1と同じである。この場合、難燃性がVNGであり、実施例1に比べ著しく低下した。これは、ゴム成分中に含まれるC=C二重結合が反応性に富むため、燃えやすくなるためであると考えられる。
上記の比較例から、芳香族ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、36000以下であったり、61500以上であったりしてはいけない。また、樹脂材料におけるスチレン系樹脂の割合は、2.5質量%以下であったり、20質量%以上であったりしてはいけない。これらの結論は、実施例1〜5で得られた結論と矛盾しない。また、スチレン系樹脂としては、ゴム成分を含有しないもの(C=C二重結合の少ないもの)であることが必要である。
比較例7〜比較例9および例1〜3では、添加剤の添加量などを実施例1〜5よりも極端に変えて芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を合成し、その特性を調べ、添加剤が満たすべき条件を検討した。下記の表3は、比較例7〜比較例9および例1〜3における樹脂材料の組成、添加剤の種類と割合、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の特性をまとめて示す表である。表中の各項目は、実施例1〜5と同様である。
Figure 2010202746
[例1]
例1による芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、ポリフルオロオレフィン樹脂(C成分)の添加量が0.1%と少ない。この場合、これ以外の条件は実施例3と同じであるにもかかわらず、樹脂組成物の燃焼時にドリップが発生するところとなり、難燃性がV−2に低下し、必要条件を満たさなかった。
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物にポリフルオロオレフィン樹脂(C成分)が添加されていない比較例は省略したが、この場合には、樹脂組成物の難燃性が例1よりもさらに低下することは明らかである。
[比較例7]
比較例7による芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、有機スルホン酸塩系難燃剤(D成分)が添加されていない。この場合、これ以外の条件は実施例1と同じであるにもかかわらず、樹脂組成物の難燃性がVNGに低下し、必要条件を満たさなかった。
[例2]
例2による芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、有機スルホン酸塩系難燃剤(D成分)の添加量が2.0%に増加していること以外は、実施例4と同じである。この場合、樹脂組成物の難燃性はVNGとなり、有機スルホン酸塩系難燃剤(D成分)の添加量の増加によって、かえって難燃性が悪化し、必要条件を満たさなかった。
[例3]
例3による芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、有機スルホン酸塩系難燃剤として、硫黄含有率が15質量%以上の有機スルホン酸塩系難燃剤を1.0%添加した。これ以外の条件は、実施例3と同じである。この場合、樹脂組成物の難燃性はV−1となり、実施例3と同じ難燃性が得られた。しかし、高温、高湿度下での保存安定性が低下した。これは、難燃剤中に多量に含まれるスルホ基の塩によって空気中の水分が吸収され、この水分によってポリカーボネート樹脂が加水分解されるためであると考えられる。
[比較例8]
比較例8による芳香族ポリカーボネート樹脂組成物では、ケイ素系難燃剤(E成分)が添加されていない。これ以外の条件は、実施例2と同じである。この場合、樹脂組成物の難燃性はVNGとなり、必要条件を満たさなかった。
[比較例9]
比較例9による芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、市販の、リン酸エステル系難燃剤を含有する難燃性ABS/PC樹脂組成物である。この場合、難燃性は、厚さ1.6mmでV−0であり、優れている。しかし、鉛筆硬度がHBで、樹脂表面の硬度が不十分である。また、高温、高湿度下での保存安定性や、リサイクル性が劣っていた。実施例1〜5の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、リン酸エステル系難燃剤を含有する難燃性ABS/PC樹脂組成物と比べて、表面硬度や耐熱性、耐衝撃性、保存安定性、リサイクル性に優れた樹脂組成物である。
以上から、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の、必要とされる難燃性を実現するには、ポリフルオロオレフィン樹脂(C成分)と、有機スルホン酸塩系難燃剤(D成分)と、ケイ素系難燃剤(E成分)とのすべてが必要であることがわかる。また、実施例1〜5の結果から、ポリフルオロオレフィン樹脂の添加量は、少なくとも、樹脂材料に対する質量比で0.002〜0.005(0.2〜0.5%)の範囲内であれば、適切である。同様に、有機スルホン酸塩系難燃剤の添加量は、少なくとも、樹脂材料に対する質量比で0.0005〜0.010(0.05〜1.0%)の範囲内であれば、適切である。また、ケイ素系難燃剤は、少なくとも、樹脂材料に対する質量比で0.001〜0.020(0.1〜2.0%)の範囲内であれば、適切である。なお、有機スルホン酸塩系難燃剤は、過剰に添加したり、硫黄分の多すぎるものを用いると、かえって難燃性が低下したり、樹脂組成物の、高温、高湿度下での保存安定性が低下したりすることがある。
以上、本発明を実施の形態および実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明の難燃性PC樹脂組成物は、優れた樹脂表面高度と難燃性、耐熱性、剛性、保存安定性、リサイクル性を有し、各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、搬送容器、遊戯具および雑貨などの各種用途に有用である。
特開2002-220527号公報(請求項1−7、第4−6及び9−11頁、実施例4−6) 特開2004-143410号公報(請求項1、第7−13頁、実施例6) 特開2005-54085号公報(請求項1、第3−7、9及び10頁、実施例4)

Claims (10)

  1. 主たる樹脂材料として、
    前記主たる樹脂材料の85〜95質量%を占める、重量平均分子量がポリスチレン換 算分子量で37000〜55000である芳香族ポリカーボネート樹脂と、
    前記主たる樹脂材料の15〜5質量%を占める、ゴム成分を含有しないポリスチレン 系樹脂と
    を有し、添加剤として、
    ポリフルオロオレフィン樹脂と、
    有機スルホン酸塩系難燃剤と、
    ケイ素系難燃剤と
    を含有する、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 前記芳香族ポリカーボネート樹脂および前記ポリスチレン系樹脂が、それぞれ、前記主たる樹脂材料の93〜95質量%および7〜5質量%を占める、請求項1に記載した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 前記ポリフルオロオレフィン樹脂の添加量が、前記主たる樹脂材料に対する質量比で0.002〜0.005である、請求項1に記載した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 前記有機スルホン酸塩系難燃剤の添加量が、前記主たる樹脂材料に対する質量比で0.0005〜0.010である、請求項1に記載した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 前記ケイ素系難燃剤の添加量が、前記主たる樹脂材料に対する質量比で0.001〜0.020である、請求項1に記載した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 前記ポリスチレン系樹脂が、1種類以上のポリスチレン樹脂及び/又は1種類以上のアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂を含有する、請求項1に記載した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 前記有機スルホン酸塩系難燃剤が、芳香族環を有するポリマーにスルホ基の塩が導入された構造の化合物を含有する、請求項1に記載した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  8. 前記有機スルホン酸塩系難燃剤に、硫黄分にして0.01〜15質量%に相当する個数のスルホ基の塩が導入されている、請求項1に記載した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  9. 前記ケイ素系難燃剤がポリオルガノシロキサン樹脂を含有する、請求項1に記載した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が、所定の形状に成形されてなる、成形品。
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