JP2005194381A - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 ノートパソコン、LCDモニター、LCDプロジェクター、携帯電話などに用いられている電磁波シールドを施した芳香族ポリカーボネート樹脂を含むハウジングの粉砕品を使用して高流動性で、熱安定性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)電磁波シールドを施した芳香族ポリカーボネート樹脂を含むハウジングの粉砕品5〜50質量%、(B)官能基含有シリコーン化合物0.05〜3質量%及び(C)芳香族ポリカーボネート樹脂47〜94.95質量%の組み合わせを含むポリカーボネート樹脂組成物であって、(A)成分に対する(B)成分の質量比(B)/(A)が0.005〜0.2である難燃性ポリカーボネート樹脂組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物に関し、より詳しくは、電磁波シールドを施した芳香族ポリカーボネート樹脂を含むハウジング粉砕品を再生利用した流動性、熱安定性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。
近年、ノートパソコン、LCDモニター、LCDプロジェクター、携帯電話などに電磁波シールドを施した芳香族ポリカーボネート樹脂を含むハウジングが多く使用されており、生産される量も年々増え続けている。従って、ノートパソコン、LCDモニター、LCDプロジェクター、携帯電話などが使用されなくなり不用となって販売店から返却されてくるもの、あるいは生産時発生する不良品等のいわゆる電磁波シールドを施した芳香族ポリカーボネート樹脂の再生すべき量が増えており、それらの再生方法について種々の検討が行われている。
例えば、基板が芳香族ポリカーボネート樹脂で成形されたディスクを再生利用する方法としては、ディスクに付着しているアルミニウム膜、塗料、紫外線樹脂コート膜(UVコート膜)等を取り除き基板の樹脂を再利用する方法が考えられている。
しかしながら、これらアルミニウム膜、塗料、UVコート膜等を取り除く方法としてディスクの表面を切削研磨する方法、振動圧縮する方法等の物理的方法あるいは酸、アルカリ等を用いた化学的方法等が考えられるが、いずれも操作が煩雑でコストが高く一般的ではない。
一方、ディスクに付着しているアルミニウム膜、塗料、UVコート膜等を取り除かずにそのまま粉砕し再溶融成形すると、基板である芳香族ポリカーボネート樹脂が分解し、粘度平均分子量が低下し、成形品の機械的特性が低下するためその使用が難しい。
また、上記アルミニウム膜、塗料、UVコート膜等を取り除くことなく再生する方法が提案されているが(例えば、特許文献1参照)、再生品の難燃性が得られず、熱安定性及び衝撃強度においても不充分であるという問題がある。また、特許文献1はコンパクトディスクの再生に関するものであり、電磁波シールドを施した製品については何の言及もない。
資源の有効利用ならびに環境保護の見地から、電磁波シールドを施した芳香族ポリカーボネート樹脂から、諸特性に優れた再生樹脂を手間のかからない低コストで得る方法の開発が望まれている。
特開平8−311326号公報(第1頁)
本発明は、このような状況下でなされたもので、電磁波シールドを施した芳香族ポリカーボネート樹脂を含むハウジング粉砕物を使用して高流動性で熱安定性に優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、芳香族ポリカーボネートに、電磁波シールドを施した芳香族ポリカーボネート含むハウジングの粉砕物と官能基含有シリコーン化合物を添加することによって、高流動で熱安定性に優れた難燃性樹脂組成物が得られ、芳香族ポリカーボネートのシールド膜が付いたままのハウジングを安価に高付加価値材料へ再生することができ、更に有機金属塩やポリフルオロオレフィン樹脂を添加することで難燃性が高まり、上記目的に適合しうることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1) (A)電磁波シールドを施した芳香族ポリカーボネート樹脂を含むハウジング粉砕品5〜50質量%、(B)官能基含有シリコーン化合物0.05〜3質量%及び(C)芳香族ポリカーボネート樹脂47〜94.95質量%の組み合わせを含むポリカーボネート樹脂組成物であって、(A)成分に対する(B)成分の重量比〔(B)/(A)〕が0.005〜0.2であることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物、
(2) (A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、(D)有機金属塩を 0.05〜2質量部含む請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物、および
(3) (A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、(E)ポリフルオロオレフィン樹脂を0.05〜2質量部含む請求項1又は2に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
を提供するものである。
本発明によれば、芳香族ポリカーボネートに、電磁波シールドを施した芳香族ポリカーボネート含むハウジングの粉砕物と官能基含有シリコーン化合物を添加することによって、高流動で熱安定性に優れた難燃性樹脂組成物が得られる。また、シールド膜が付いたままのハウジングを安価に高付加価値材料へ再生することができる
以下に、本発明について、詳細に説明する。
まず、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の必須成分を構成する(A)成分は電磁波シールドを施した芳香族ポリカーボネート樹脂を含むハウジング粉砕品である。
電磁波シールド材料は電子部品の密封シールドなどに用いられている。電磁波シールドを施したハウジングとは、化学ニッケルメッキ、アルミ蒸着、金属を含む導電塗料などで処理したハウジングであり、電磁波遮蔽として成形品に塗装やメッキで導電層が形成されたものである。電磁波シールドを施したハウジングは、ノートパソコン、LCDモニター、LCDプロジェクター、携帯電話などに使われている。
(A)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂(PC)を含むハウジング材料は、PC、もしくはPCとPC以外の熱可塑性樹脂とのアロイであり、難燃化、および塗装されている材料でもかまわない。この(A)成分は、難燃化、および高流動化のため添加する。
粉砕サイズとしては、平均径が0.1〜3cm程度のものが好ましい。
ここで、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に含まれる(A)成分の割合は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部中、5〜50質量%である。(A)成分の量を上記範囲内に設定にすることで優れた難燃性及び高流動性を得ることができる。50質量%を超えると塗料等の異物により衝撃強度が低下すると共に成形品外観が低下する場合がある。好ましい(A)成分の量は、10〜40質量%である。
さらに、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の必須成分を構成する(B)成分である官能基含有シリコーン化合物は、官能基含有オルガノポリシロキサン化合物であり、例えば、一般式[I]
1 a2 bSiO(4-a-b)/2 ・・・[I]
(式中、R1は官能基、R2は炭素数1〜12の炭化水素基、a及びbは、0<a≦3、0≦b<3、0<a+b≦3の関係を満たす数を示す。)
で表される基本構造を有するオルガノポリシロキサン重合体及び/又は共重合体が挙げられる。
また、官能基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、ポリオキシアルキレン基、水素基、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基及びビニル基等を含有するものである。中でも、アルコキシ基、水素基、水酸基、エポキシ基及びビニル基が好ましい。
これら官能基としては、複数の官能基を有するオルガノポリシロキサン重合体及び/又は共重合体並びに異なる官能基を有するオルガノポリシロキサン重合体及び/又は共重合体を併用することもできる。
一般式[I]で表される基本構造を有するオルガノポリシロキサン重合体及び/又は共重合体は、その官能基(R1)/炭化水素基(R2)モル比が、通常0.1〜3、好ましくは0.3〜2程度のものである。
これら官能基含有シリコーン化合物は液状物、パウダー等であるが、溶融混練において分散性の良好なものが好ましい。例えば、室温での動粘度が10〜500,000mm2/秒程度の液状のものを例示できる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物にあっては、官能基含有シリコーン化合物が液状であっても、組成物に均一に分散するとともに、成形時又は成形品の表面にブリードすることが少ない特徴がある。
官能基含有シリコーン化合物は、更なる難燃性、(A)成分の熱安定性の向上および(A)成分の分散性向上による耐衝撃強度の向上のために添加される。
ここで、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に含まれる(B)成分の割合は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部中、0.05〜3質量%である。(B)成分の量を上記範囲とすることで、難燃性,熱安定性および耐衝撃性等を向上させる効果が発現することができる。3質量%を超えると衝撃強度が低下したり、成形外観が低下する場合がある。好ましくは0.01〜2質量%である。
さらに、(A)成分に対する(B)成分の質量比(B)/(A)を、熱安定性および衝撃強度の観点より0.005〜0.2にする必要がある。好ましくは0.01〜0.1である。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に含まれる(C)成分である芳香族ポリカーボネ−樹脂は、特に制限はなく種々のものが挙げられる。
通常、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートを用いることができる。
二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法、即ち、二価フェノールとホスゲンの反応、二価フェノールとジフェニルカーボネート等の炭酸エステルとのエステル交換法により反応させて製造されたものを用いることができる。
二価フェノールとしては、様々なものを挙げることができるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル及びビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等を挙げることができる。
特に、好ましい二価フェノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特に、ビスフェノールAを主原料としたものである。
また、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、炭酸エステル、又はハロホーメート等であり、具体的にはホスゲン、二価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等である。
この他、二価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン及びカテコール等を挙げることができる。
これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
なお、芳香族ポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していてもよく、分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α',α"−トリス(4−ビドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸及びイサチンビス(o−クレゾール)等がある。
また、分子量の調節のためには、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール及びp−クミルフェノール等が用いられる。
さらに、(C)成分である芳香族ポリカーボネート樹脂としては、テレフタル酸等の2官能性カルボン酸、又はそのエステル形成誘導体等のエステル前駆体の存在下でポリカーボネートの重合を行うことによって得られるポリエステル−ポリカーボネート樹脂等の共重合体、又は種々のポリカーボネート樹脂の混合物を用いることもできる。
さらに、(C)成分である芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、通常10,000〜50,000、好ましくは13,000〜35,000、更に好ましくは15,000〜20,000である。
この粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度 [η]を求め、次式にて算出するものである。
[η]=1.23×10-5Mv0.83
また、(C)成分である芳香族ポリカーボネート樹脂としては、ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部からなるものであり、例えば、ポリカーボネートオリゴマーとポリオルガノシロキサン部を構成する末端に反応性基を有するポリオルガノシロキサンとを、塩化メチレン等の溶媒に溶解させ、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を加え、トリエチルアミン等の触媒を用い、界面重縮合反応することにより製造することができる。
ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂は、例えば、特開平3−292359号公報、特開平4−202465号公報、特開平8−81620号公報、特開平8−302178号公報及び特開平10−7897号公報等に開示されている。
ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂のポリカーボネート部の重合度は、3〜100、ポリオルガノシロキサン部の重合度は2〜500程度のものが好ましく用いられる。
また、ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂のポリオルガノシロキサンの含有量としては、通常0.1〜2質量%、好ましくは0.1〜1.5質量%の範囲である。
(C)成分に用いられるポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、通常5,000〜100,000、好ましくは10,000〜30,000、特に好ましくは12,000〜30,000である。ここで、これらの粘度平均分子量(Mv)は、前記のポリカーボネート樹脂と同様に求めることができる。
ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性の向上の観点から有用である。ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂において、ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチレンシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等が好ましく、ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
さらに、(C)成分で用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂として、分子末端が炭素数10〜35のアルキル基を有する芳香族ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
ここで分子末端が炭素数10〜35のアルキル基を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂の製造において、末端停止剤として、炭素数10〜35のアルキル基を有するアルキルフェノールを用いることにより得ることができる。
これらのアルキルフェノールとしては、デシルフェノール、ウンデシルフェノール、ドデシルフェノール、トリデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ペンタデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、ヘプタデシルフェノール、オクタデシルフェノール、ノナデシルフェノール、イコシルフェノール、ドコシルフェノール、テトラコシルフェノール、ヘキサコシルフェノール、オクタコシルフェノール、トリアコンチルフェノール、ドトリアコンチルフェノール及びペンタトリアコンチルフェノール等が挙げられる。
これらのアルキルフェノールのアルキル基は、水酸基に対して、o−、m−、p−のいずれの位置であってもよいが、p−の位置が好ましい。また、アルキル基は、直鎖状、分岐状又はこれらの混合物であってもよい。
この置換基としては、少なくとも1個が前記の炭素数10〜35のアルキル基であればよく、他の置換基については特に制限はなく、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜20アリール基、ハロゲン原子又は無置換であってもよい。
この分子末端が炭素数10〜35のアルキル基を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、前述のポリカーボネート樹脂のいずれの場合でもよいが、例えば、二価フェノールとホスゲン又は炭酸エステル化合物との反応において、分子量を調節するために、これらのアルキルフェノールを末端封止剤として用いることにより得られるものがある。
このような芳香族ポリカーボネート樹脂は、例えば、塩化メチレン溶媒中、トリエチルアミン触媒、前記炭素数が10〜35のアルキル基を有するフェノールの存在下、二価フェノールとホスゲン、又は、ポリカーボネートオリゴマーとの反応により得られる。
ここで、炭素数が10〜35のアルキル基を有するフェノールは、ポリカーボネート樹脂の片末端又は両末端を封止し、末端が変性される。
この場合の末端変性は、全末端に対して20%以上、好ましくは50%以上とされる。
即ち、他の末端は、水酸基末端、又は下記の他の末端封止剤を用いて封止された末端である。
ここにおいて、他の末端封止剤としては、ポリカーボネート樹脂の製造で常用されているフェノール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、p−tert−アミルフェノール、ブロモフェノール及びトリブロモフェノール、ペンタブロモフェノール等を挙げることができる。なかでも、環境問題からハロゲンを含まない化合物が好ましい。
また、高流動化のためには、芳香族ポリカーボネート樹脂の分子末端は、炭素数10〜35のアルキル基であるものが好ましい。分子末端を炭素数10以上のアルキル基にすると、ポリカーボネート樹脂組成物の流動性が向上する。しかし、分子末端が炭素数36以上のアルキル基では、耐熱性及び耐衝撃性が低下する場合がある。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に含まれる(C)成分の割合は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部中、47〜94.95質量%であり、好ましくは、60〜90質量%である。(C)成分の量を上記範囲内に設定にすることで、衝撃強度の向上、成形外観向上及び優れた難燃性を得ることができる。(C)成分の量が47質量%未満だと衝撃強度及び成形外観が低下し、94.95質量%を超えると優れた難燃性が得られない。
このような配合で難燃性が得られるメカニズムは明確ではないが、(A)成分にある金属成分等が、燃焼時、ポリカーボネートの燃焼残査を促進させたり、シリコーンとポリカーボネートとの反応を高め、難燃に有効な燃焼残査が形成するためと思われる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物においては、更なる難燃性の向上のために必要に応じて(D)成分として有機金属塩を含有させることが出来る。
(D)成分としては、種々のものが挙げられるが、有機酸又は有機酸エステルのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が好ましい。
ここで、有機酸又は有機酸エステルは、有機スルホン酸,有機カルボン酸、ポリスチレンスルホン酸等である。
一方、アルカリ金属は、ナトリウム,カリウム,リチウム及びセシウム等、また、アルカリ土類金属は、マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム及びバリウム等である。
中でも、ナトリウム,カリウム及びセシウムの塩が好ましく用いられる。
また、その有機酸の塩は、フッ素、塩素及び臭素のようなハロゲンが置換されていてもよい。
上記各種の有機アルカリ金属塩や有機アルカリ土類金属塩の中では、例えば、有機スルホン酸の場合、一般式[II]
(Cn2n+1SO3mM [II]
(式中、nは1〜10の整数を示し、Mはリチウム,ナトリウム,カリウム及びセシウム等のアリカリ金属、又はマグネシウム,カルシウム,ストロンチウム及びバリウム等のアルカリ土類金属を示し、mはMの原子価を示す。)
で表されるパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が好ましく用いられる。
これらの化合物としては、例えば、特公昭47−40445号公報に記載されているものがこれに該当する。
一般式[II]において、パーフルオロアルカンスルホン酸としては、例えば、パーフルオロメタンスルホン酸,パーフルオロエタンスルホン酸,パーフルオロプロパンスルホン酸,パーフルオロブタンスルホン酸,パーフルオロメチルブタンスルホン酸,パーフルオロヘキサンスルホン酸,パーフルオロヘプタンスルホン酸及びパーフルオロオクタンスルホン酸等を挙げることができる。
特に、これらのカリウム塩が好ましく用いられる。
その他、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ジフェニルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸及びこれらのフッ素置換体並びにポリスチレンスルホン酸等の有機スルホン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
特に、パーフルオロアルカンスルホン酸及びジフェニルスルホン酸が好ましい。
次に、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩及び/又アルカリ土類金属塩としては、一般式[III]
Figure 2005194381
(式中、Xはスルホン酸塩基であり、qは1〜5を表し、Yは水素又は炭素数1〜10の炭化水素基である。又、pはモル分率を表し、0<p≦1である。)
で表わされるスルホン酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂を用いることができる。
ここで、スルホン酸塩基はスルホン酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩であり、金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、等が挙げられる。
なお、Yは水素基又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、好ましくは水素又はメチル基である。また、qは1〜5であり、pは、0<p≦1の関係である。即ち、スルホン酸塩基(X)は、芳香環に対して、全置換したものであっても、部分置換したものであってもよい。
本発明の難燃性の効果を得るためには、スルホン酸塩基の置換比率は、スルホン酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂の含有量等を考慮して決定され、特に制限なく、一般的には10〜100%置換のものが用いられる。
なお、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩において、スルホン酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂は、上記の一般式[III]のポリスチレン樹脂に限定されるものではなく、スチレン系単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
ここで、スルホン酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂の製造方法としては、(i)前記のスルホン酸基等を有する芳香族ビニル系単量体、又はこれらと共重合可能な他の単量体とを重合又は共重合する方法。(ii)芳香族ビニル系重合体、又は芳香族ビニル系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体、又はこれらの混合重合体をスルホン化し、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物で中和する方法がある。
例えば、(ii)の方法としては、ポリスチレン樹脂の1,2−ジクロロエタン溶液に濃硫酸と無水酢酸の混合液を加えて加熱し、数時間反応することにより、ポリスチレンスルホン酸化物を製造する。次いで、スルホン酸基と当モル量の水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムで中和することによりポリスチレンスルホン酸カリウム塩又はナトリウム塩を得ることができる。
スルホン酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂の重量平均分子量としては、1,000〜300,000、好ましくは2,000〜200,000程度である。なお、重量平均分子量は、GPC法で測定することができる。
また、有機カルボン酸としては、例えば、パーフルオロギ酸,パーフルオロメタンカルボン酸,パーフルオロエタンカルボン酸,パーフルオロプロパンカルボン酸,パーフルオロブタンカルボン酸,パーフルオロメチルブタンカルボン酸,パーフルオロヘキサンカルボン酸,パーフルオロヘプタンカルボン酸及びパーフルオロオクタンカルボン酸等を挙げることができ、これら有機カルボン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が用いられる。アルカリ金属やアルカリ土類金属塩は前記と同じである。
有機金属塩において、スルホン酸アルカリ金属塩、スルホン酸アルカリ土類金属塩、ポリスチレンスルホン酸アルカリ金属塩及びポリスチレンスルホン酸アルカリ土類金属塩が好ましい。
(D)成分は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(D)成分の含有量は、(A)成分(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、特に限定されないが、通常0.05〜2質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。この含有量を上記範囲内にすることで耐衝撃性を維持し優れた難燃性を得ることが出来る。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に更なる難燃性の向上のために必要に応じて溶融滴下防止剤であるポリフルオロオレフィン樹脂を(E)成分として含有させることが出来る。
ポリフルオロオレフィン樹脂としては、通常フルオロエチレン構造を含む重合体、共重合体であり、例えば、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチレン系モノマーとの共重合体などが挙げられる。好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、その平均分子量は、500,000以上であることが好ましく、特に好ましくは500,000〜10,000,000である。
ポリテトラフルオロエチレンとしては、現在知られているすべての種類のものを用いることができるが、フィブリル形成能力のあるポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)には特に制限はないが、例えば、ASTM規格において、タイプ3に分類されるものが挙げられる。
その具体例としては、例えば、テフロン6−J(三井・デュポンフロロケミカル(株)製)、ポリフロンD−1、ポリフロンF−103、ポリフロンF201(ダイキン工業(株)製)及びCD076(旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製)等が挙げられる。
又、上記タイプ3に分類されるもの以外では、例えば、アルゴフロンF5(モンテフルオス(株)製)、ポリフロンMPA及びポリフロンFA−100(ダイキン工業(株)製)等が挙げられる。
これらのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
上記のようなフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、例えば、テトラフルオロエチレンを水性溶媒中で、ナトリウム、カリウム、アンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下で、7〜700kPaの圧力下、温度0〜200℃、好ましくは20〜100℃で重合させることによって得ることができる。
ここで、(E)成分のポリフルオロオレフィン樹脂の含有量は、(A)成分、(B)成分及び(C)の合計100質量部に対して、特に限定されないが、通常0.05〜2質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。
ここで、(E)成分を上記範囲内にすることで耐衝撃性、成形品外観を維持し、目的とする難燃性における優れた溶融滴下防止性を得ることができる。したがって、それぞれの成形品に要求される難燃性の程度、たとえば、UL−94のV−0、V−1、V−2などにより他の含有成分の使用量などを考慮して適宜決定することができる。
また、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分からなる必須成分に、勿論必要に応じて、任意成分である(D)成分及び(E)成分を併用しても差し支えない。
また、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物には、高流動化及び成形性向上のために(F)スチレン系樹脂、剛性を高めるために(G)無機充填剤、及び衝撃強度及び難燃性を向上させるために(H)ゴム状弾性体を上記(A)〜(E)からなる成分に必要に応じて含有させることができる。
(F)成分のスチレン系樹脂としては、スチレン、α−メチルスチレン等のモノビニル系芳香族単量体20〜100質量%、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体0〜60質量%、及びこれらと共重合可能なマレイミド、(メタ)アクリル酸メチル等の他のビニル系単量体0〜50質量%からなる単量体又は単量体混合物を重合して得られる重合体がある。
これらの重合体としては、ポリスチレン(GPPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル−アクリル酸メチル−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−(エチレン/プロピレン/ジエン共重合体)−スチレン共重合体(AES樹脂)等がある。
また、スチレン系樹脂としてはゴム変性スチレン系樹脂を好ましく用いることができる。
このゴム変性スチレン系樹脂としては、好ましくは、少なくともスチレン系単量体がゴムにグラフト重合した耐衝撃性スチレン系樹脂である。
ゴム変性スチレン系樹脂としては、例えば、ポリブタジエン等のゴムにスチレンが重合した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリブタジエンにアクリロニトリルとスチレンとが重合したABS樹脂、ポリブタジエンにメタクリル酸メチルとスチレンが重合したMBS樹脂等があり、ゴム変性スチレン系樹脂は、二種以上を併用することができるとともに、前記のゴム未変性であるスチレン系樹脂との混合物としても用いることができる。
ゴム変性スチレン系樹脂中のゴムの含有量は、特に限定はされないが、例えば、2〜50質量%、好ましくは、5〜30質量%、特に5〜15質量%である。
ゴムの割合を上記範囲内にすることで、耐衝撃性に優れ熱安定性、溶融流動性を維持し、ゲルの発生、着色等を抑えられる場合がある。
上記ゴムの具体例としては、ポリブタジエン、アクリレート及び/又はメタクリレートを含有するゴム質重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム(SBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエン−アクリルゴム、イソプレンゴム、イソプレン−スチレンゴム、イソプレン−アクリルゴム及びエチレン−プロピレンゴム等を挙げることができる。このうち、特に好ましいものはポリブタジエンである。
ここで用いるポリブタジエンは、低シスポリブタジエン(例えば、1,2−ビニル結合を1〜30モル%、1,4−シス結合を30〜42モル%含有するもの)、高シスポリブタジエン(例えば、1,2−ビニル結合を20モル%以下、1,4−シス結合を78モル%以上含有するもの)のいずれを用いてもよく、又、これらの混合物であってもよい。
また、スチレン系樹脂としてはゴム変性スチレン系樹脂を好ましく用いることができる。
スチレン系樹脂において、HIPS、AS樹脂、ABS樹脂、MS樹脂、MBS樹脂、AAS樹脂及びAES樹脂が好ましく、HIPS、AS樹脂及びABS樹脂が特に好ましい。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、(F)スチレン系樹脂を含有させることにより、樹脂組成物の流動性及び成形性の向上を図るものである。(F)成分の含有量は、特に限定されないが、(A)成分(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、通常3〜60質量部、好ましくは5〜40質量部である。
(G)成分の無機質充填剤としては、タルク、マイカ、ワラストナイト、カオリン、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維及びチタン酸カリウム等が用いられる。
これら無機質充填剤の中でも、その形態が板状であるタルク、マイカ及びワラストナイトが特に好ましい。タルクは、マグネシウムの含水ケイ酸塩であり、一般に市販されているものを用いることができる。無機質充填剤としては、その平均粒径が0.1〜50μmであるものが用いられるが、平均粒径0.2〜20μmであるものが特に好適に用いられる。
(G)成分の無機質充填剤は、剛性及び更なる難燃性の向上のために添加されるもので、(G)成分の含有量は、特に限定されないが(A)成分(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、通常0〜15質量部、好ましくは0〜12質量部である。
(H)成分のゴム状弾性体としては、コア/シェルタイプのグラフトゴム状弾性体が好ましい。コア/シェルタイプのグラフトゴム状弾性体は、コア(芯)とシェル(殻)から構成される二層構造を有しており、コア部分は軟質なゴム状態であって、その表面のシェル部分は硬質な樹脂状態であり、弾性体自体は粉末状(粒子状態)であるグラフトゴム状弾性体である。
このコア/シェルタイプのグラフトゴム状弾性体は、ポリカーボネート樹脂と溶融ブレンドした後も、その粒子状態は、大部分がもとの形態を保っている。配合されたグラフトゴム状弾性体の大部分がもとの形態を保っていることにより、均一に分散し表層剥離を起こさない効果が得られる。
このコア/シェルタイプのグラフトゴム状弾性体としては、種々なものを挙げることができる。市販のものとしては、例えばハイブレンB621(日本ゼオン社製)、KM−330(ローム&ハース社製)、メタブレンW529、メタブレンS2001、メタブレンC223、メタブレンB621(三菱レイヨン社製)等が挙げられる。
これらの中で、例えば、アルキルアクリレートやアルキルメタクリレート、ジメチルシロキサンを主体とする単量体から得られるゴム状重合体の存在下に、ビニル系単量体の一種または二種以上を重合させて得られるものが挙げられる。
ここで、アルキルアクリレートやアルキルメタクリレートとしては、炭素数2〜10のアルキル基を有するものが好適である。具体的には、例えばエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルメタクリレート等が挙げられる。
これらのアルキルアクリレート類を主体とする単量体から得られるゴム状弾性体としては、アルキルアクリレート70質量%以上と、これと共重合可能な他のビニル系単量体、例えばメチルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン等30質量%以下とを反応させて得られる重合体が挙げられる。
なお、この場合、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能性単量体を架橋剤として適宜添加して反応させてもよい。
ゴム状重合体の存在下に反応させるビニル系単量体としては、例えば、スチレン,α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリル酸メチル,アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。
これらの単量体は、一種または二種以上を組み合わせて用いてもよいし、また、他のビニル系重合体、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物や、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物等と共重合させてもよい。
この重合反応は、例えば塊状重合、懸濁重合、乳化重合などの各種方法によって行うことができる。特に、乳化重合法が好適である。
このようにして得られるコア/シェルタイプのグラフトゴム状弾性体は、前記ゴム状重合体を20質量%以上含有していることが好ましい。
このようなコア/シェルタイプのグラフトゴム状弾性体としては、具体的には60〜80質量%のn−ブチルアクリレートと、スチレン、メタクリル酸メチルとのグラフト共重合体などのMAS樹脂弾性体が挙げられる。
また、ポリシロキサンゴム成分が5〜95質量%とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分95〜5質量%とが、分離できないように相互に絡み合った構造を有する、平均粒子径が0.01〜1μm程度の複合ゴムに少なくとも一種のビニル単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系グラフト共重合体が特に好ましい。
この共重合体は、それぞれのゴム単独でのグラフト共重合体よりも耐衝撃改良効果が高い。この複合ゴム系グラフト共重合体は、市販品としての、三菱レイヨン社製メタブレンS−2001などとして、入手できる。
この、(H)成分の含有量は、特に限定されないが、(A)成分,(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、通常0.2〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。(H)成分の含有量を上記範囲内にすることで難燃性、耐熱性及び剛性を維持し耐衝撃を改良することができる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、前述の必須成分及び任意成分とともに、熱可塑性樹脂に常用されている添加剤成分を必要により添加含有させることができる。例えば、フェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤、帯電防止剤、ポリアミドポリエーテルブロック共重合体(永久帯電防止性能付与)、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤(耐候剤)、抗菌剤、相溶化剤、着色剤(染料、顔料)等が挙げられる。添加剤成分の配合量は、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の特性が維持される範囲であれば特に制限はない。
次に、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記の各成分(A)、(B)及び(C)成分を前記割合で、さらに必要に応じて用いられる、(D)、(E)、(F)、(G)及び(H)の任意成分を前記配合割合で、さらには他の成分を適当な割合で配合し、混練することにより得られる。このときの配合および混練は、通常用いられている機器、例えばリボンブレンダー、ドラムタンブラーなどで予備混合して、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等を用いる方法で行うことができる。混練の際の加熱温度は、通常240〜300℃の範囲で適宜選択される。なお、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂以外の含有成分は、あらかじめ、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂と溶融混練、すなわちマスターバッチとして添加することもできる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、上記の溶融混練成形機、あるいは、得られたペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法、発泡成形法などにより各種成形品を製造することができる。しかし、上記溶融混練方法により、ペレット状の成形原料を製造し、ついで、このペレットを用いて、射出成形、射出圧縮成形による射出成形品の製造に特に好適に用いることができる。なお、射出成形方法としては、外観のヒケ防止のため、あるいは軽量化のためのガス注入成形を採用することもできる。
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物から得られる射出成形体(射出圧縮を含む)としては、複写機、ファクス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジなどのOA機器、電気・電子機器、家庭電化機器のハウジウングや各種部品、さらには、内装等の自動車部品、自動車外板など他の分野にも用いられる。
次に、本発明を実施例により、更に詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各種評価は、下記の測定方法に従って行なった。
1)溶融流動性 MI(メルトインデックス)
JIS K7210に準拠した。300℃又は260℃、21.18N荷重
2)アイゾット衝撃強度(IZOD)
ASTM D256に準拠した。23℃(肉厚1/8インチ)、単位:kJ/m2
3)成形品の外観
引張強度試験品片による目視で次のように評価した。
〇:良好(フローマーク及びブツの発生なし)
Δ:ブツ(目で見える異物)の発生あり
×:フローマークの発生あり
4)燃焼試験
UL94燃焼試験に準拠(試験片厚み:3mm及び1.5mm)
5)熱安定性 (シルバー)観察
成形機 東芝機械製 IS25EP、シリンダー温度 320℃、金型温度、80℃ 成形機内に20分間滞留後成形した。80×40×3mmのテストピースの外観を観察し、次のように評価した。
○ 良好(銀条の発生なし)
× シルバー(銀条)の発生あり
6)曲げ弾性率(単位MPa)
ASTM D790に準拠した。23℃、肉厚 4mm
実施例1〜5、比較例1〜6
第1表に示す割合で各成分を配合〔(A)成分、(B)成分及び(C)成分は質量%、他の成分は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対する質量部で示す。〕し、ベント式二軸押し出し成形機(機種名:TEM35)東芝機械社製に供給し、260℃で溶融混練し、ペレット化した。
実施例1〜4および比較例2〜6では(A)成分である電磁波シールドを施した芳香族ポリカーボネート樹脂を含むハウジング粉砕品として、ノートパソコンのハウジング粉砕品(化学ニッケルメッキを施したPC粉砕品)を用い、実施例5では電磁波シールドを施されたノートパソコンのハウジング粉砕品(成分:PC65質量%、ABS20質量%、タルク10質量%を含む)を用いた。また、比較例1および比較例7では電磁波シールドを施さない芳香族ポリカーボネート樹脂成形品の粉砕物を用いた。
なお、すべての実施例及び比較例において、酸化防止剤としてイルガノックス1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.2質量部およびアデカスタブC(旭電化工業社製)0.1質量部をそれぞれ配合した。
得られたペレットを120℃で12時間乾燥した後、成形温度260℃、金型温度80℃で射出成形して試験片を得た。
得られた試験片を用いて性能を前記各種試験法によって評価した、その結果を第1表に示す。
Figure 2005194381
なお、第1表における実施例1〜5及び比較例1〜7に用いた材料を次に示す。
(A)成分:電磁波シールドを施したPCを含むハウジング粉砕品
*1.ノートパソコンのハウジング粉砕品(15×15×0.2cm平板に化学ニッケルメッキを施したPC粉砕品)、粉砕平粒均径5mm
*2.ノートパソコンのハウジング粉砕品(成分:PC65質量%、ABS20質量%、タルク10質量%を含む)、粉砕平均粒径5mm
*3.電磁波シールドを施さない芳香族ポリカーボネート樹脂成形品(15×15×0.2cm平板)の粉砕物、粉砕平均径5mm(比較例)
(B)成分:官能基含有シリコーン化合物
*4.シリコーン1:ビニル基、メトキシ基含有メチルフェニルシリコーン 商品名「KR219」(信越化学社製)
*5.シリコーン2:メチル水素シリコーン 商品名「KF−99」(信越化学社製)
*6.シリコーン3:ジメチルシリコーン 商品名「SH200」(東レダウコーニング社製)(比較例)
(C)成分:芳香族ポリカーボネート樹脂
*7.芳香族ポリカーボネート樹脂:ビスフェノールAポリカーボネート樹脂
商品名「タフロン・A1900」(出光石油化学社製)MI=20g/10分(300℃、11.77N荷重)、粘度平均分子量;19,000
(D)成分:有機金属塩
*8.有機金属塩1:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム 商品名「メガファックF114」(DIC社製)
*9.有機金属塩2:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ライオン社製)
(E)成分:ポリフルオロオレフィン樹脂
*10.ポリテトラフルオロエチレン:商品名「CD076」(旭ICIフルオロポリマーズ社製)
(F)成分:スチレン系樹脂
*11.ABS樹脂:アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体 商品名「AT−05(A&L社製)MI=55g/10分(220℃、98.1N荷重)
*12.AS樹脂:アクリロニトリルスチレン共重合体 商品名「290FF」 (テクノポリマー社製)MI=50g/10分(220℃、49.0N荷重)
(G)成分:無機充填剤
*13.タルク:「商品名」TPA−25(浅田製粉社製)平均粒径 3μm
(H)成分:ゴム状弾性体
*14.ゴム状弾性体:コアシェルタイプのゴム状弾性体 商品名「EXL2603」(呉羽化学社製)
第1表より、次のことが分かる。
実施例1、5のPC成形品は、難燃性、衝撃、熱安定性に優れている。実施例2はPTFEや金属塩を添加したものであり、難燃性が高くなる。実施例3,4は、更にスチレン系樹脂、ゴム状弾性体、タルクを添加したものであり、流動性や弾性率が向上する。
比較例1の電磁波シールドが施されていないPC粉砕品では、難燃性がV−2となり低い。比較例2では、官能基含有シリコーン化合物がないと高い難燃性が得られないばかりか衝撃が低く、成形外観、熱安定性が低下する。また、比較例3の電磁波シールドが施されていないPC粉砕品が含まれないと難燃性は得られない。比較例4の反応性がないシリコーンでは高い難燃性が得られないばかりか衝撃が低く、成形外観、熱安定性が低下する。
(A)成分のメッキシールド粉砕品に対する(B)成分のシリコーンの重量比〔(B)/(A)〕が0.2を超える比較例5では、衝撃強度が低下し、外観不良が発生する。また、(B)/(A)が0.05より少ない比較例6では衝撃強度が低く、成形外観、熱安定性が低下する。

Claims (3)

  1. (A)電磁波シールドを施した芳香族ポリカーボネート樹脂を含むハウジング粉砕品5〜50質量%、(B)官能基含有シリコーン化合物0.05〜3質量%及び(C)芳香族ポリカーボネート樹脂47〜94.95質量%の組み合わせを含むポリカーボネート樹脂組成物であって、(A)成分に対する(B)成分の重量比〔(B)/(A)〕が0.005〜0.2であることを特徴とする難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. (A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、(D)有機金属塩を 0.05〜2質量部含む請求項1に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. (A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計100質量部に対して、(E)ポリフルオロオレフィン樹脂を0.05〜2質量部含む請求項1又は2に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。

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