JP2004143410A - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)芳香族ポリカーボネート樹脂60〜97質量%及び(B)200℃、5kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が5以上のアクリロニトリル−スチレン系樹脂3〜40質量%からなる樹脂100質量部に対して、(C)耐衝撃性向上剤0〜37質量部、(D)有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類金属塩0〜3質量部、(E)官能基含有シリコーン化合物0〜3質量部、(F)無機充填材0〜55質量部、及び(G)ポリフルオロオレフィン樹脂0〜2質量部を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物に関し、より詳しくは、ハロゲンやリンを含まず、難燃性、耐熱性及び耐衝撃性を維持しながら、流動性に優れたポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂は、優れた耐衝撃特性、耐熱性、電気的特性、寸法安定性等により、OA(オフィスオートメーション)機器、情報・通信機器及び家庭電化機器等の電気・電子機器分野、自動車分野及び建築分野等様々な分野において幅広く利用されている。
ポリカーボネート樹脂は、一般的に自己消火性樹脂ではあるが、OA機器、情報・通信機器及び家庭電化機器等の電気・電子機器の素材として用いる場合、更なる安全性の向上のため、高度の難燃性が要求されている。
【0003】
電気・電子機器分野、OA機器分野における難燃剤は、環境問題の観点からハロゲン系難燃剤からノンハロゲン系難燃剤に移行してきている。
中でも、ポリカーボネート樹脂の難燃剤としては、リン系難燃剤が近年多く用いられてきている。
リン系難燃剤は、流動性が高くOA機器の外装、CRTの筺体等の大型機器に用いられているが、ポリカーボネート樹脂の耐熱性が低下し、又、ポリカーボネート樹脂の加水分解を引き起こすことによるリサイクル性が悪化する等の問題がある。
一方、これらの問題点を解決するために、次世代の難燃剤としてシリコーン系難燃剤の開発が進められているが、OA機器の外装に用いることができる流動性を有するポリカーボネート樹脂組成物は未だ開発されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状の下、ポリカーボネート樹脂のノンハロゲン・ノンリン化合物による難燃化において、少量の添加剤の含有によって優れた難燃性を示すとともに、耐熱性、耐衝撃性及び流動性に優れたポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品に関するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、200℃、5kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が5以上の流動性が高いアクリロニトリル−スチレン系樹脂を用いることにより、難燃性及び耐熱性を維持したまま、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の大幅な高流動化が可能となった。
更に、耐衝撃性向上剤を添加すると、高衝撃性も発現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
即ち、本発明は、
1.(A)芳香族ポリカーボネート樹脂60〜97質量%及び(B)200℃、5kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が5以上のアクリロニトリル−スチレン系樹脂3〜40質量%からなり、必要に応じて(A)及び(B)の合計100質量部に対して、(C)耐衝撃性向上剤0〜37質量部、(D)有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類金属塩0〜3質量部、(E)官能基含有シリコーン化合物0〜3質量部、(F)無機充填材0〜55質量部、及び(G)ポリフルオロオレフィン樹脂0〜2質量部を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物。
2.アクリロニトリル−スチレン系樹脂の200℃、5kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、15以上である上記1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
3.アクリロニトリル−スチレン系樹脂の200℃、5kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、30以上である上記1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
4.芳香族ポリカーボネート樹脂が、ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂である上記1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
5.ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂のポリオルガノシロキサンが、ポリジメチルシロキサンである上記4に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
6.芳香族ポリカーボネート樹脂の分子末端が炭素数10〜35のアルキル基である上記1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
7.アクリロニトリル−スチレン系樹脂が、アクリロニトリル−スチレン共重合体である上記1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
8.耐衝撃性向上剤が、コア・シェル型のエラストマー及び/又はゴム成分含有スチレン系樹脂である上記1〜7のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
9.有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類金属塩が、スルホン酸アルカリ金属塩、スルホン酸アルカリ土類金属塩、ポリスチレンスルホン酸アルカリ金属塩及びポリスチレンスルホン酸アルカリ土類金属塩から選ばれる1種以上である上記1〜8のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
10.官能基含有シリコーン化合物が、一般式(1)
R1 aR2 bSiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、R1は官能基、R2は炭素数1〜12の炭化水素基、a及びbは、0<a≦3、0≦b<3、0<a+b≦3の関係を満たす数を示す。)
で表される基本構造を有するオルガノポリシロキサンである上記1〜9のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
11.R1が、アルコキシ基、水素基、水酸基、エポキシ基及びビニル基から選ばれる1種以上である上記10に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
12.無機充填材が板状フィラー及びガラス繊維から選ばれる上記1〜11のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
13.無機充填材として、板状フィラー1〜20質量部及びガラス繊維5〜35質量部を配合してなる上記1〜12のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
14.板状フィラーがタルク、マイカ及びワラストナイトから選ばれる1種以上である上記12又は13に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
15.ポリフルオロオレフィン樹脂がポリテトラフルオロエチレンである上記1〜14のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
16.ポリテトラフルオロエチレンが、フィブリル形成能を有し、平均分子量が50万〜1000万である上記15に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
17.上記1〜16のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、(A)ポリカーボネート樹脂としては、特に制限はなく種々のものを挙げることができる。
通常、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートを用いることができる。
二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法、即ち、二価フェノールとホスゲンの反応、二価フェノールとジフェニルカーボネート等とのエステル交換法により反応させて製造されたものを用いることができる。
【0008】
二価フェノールとしては、様々なものを挙げることができるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル及びビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等を挙げることができる。
【0009】
特に、好ましい二価フェノールとしては、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系、特に、ビスフェノールAを主原料としたものである。
又、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、又はハロホルメート等であり、具体的にはホスゲン、二価フェノールのジハロホーメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等である。
この他、二価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン及びカテコール等を挙げることができる。
これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0010】
尚、ポリカーボネート樹脂は、分岐構造を有していてもよく、分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ビドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、フロログリシン、トリメリット酸及びイサチンビス(o−クレゾール)等がある。
又、分子量の調節のためには、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール及びp−クミルフェノール等が用いられる。
【0011】
又、本発明に用いるポリカーボネート樹脂としては、テレフタル酸等の2官能性カルボン酸、又はそのエステル形成誘導体等のエステル前駆体の存在下でポリカーボネートの重合を行うことによって得られるポリエステル−ポリカーボネート樹脂等の共重合体、又は種々のポリカーボネート樹脂の混合物を用いることもできる。
【0012】
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、通常10,000〜50,000、好ましくは13,000〜35,000、更に好ましくは15,000〜20,000である。
この粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式にて算出するものである。
[η]=1.23×10−5Mv0.83
【0013】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂としては、ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート部とポリオルガノシロキサン部からなるものであり、例えば、ポリカーボネートオリゴマーとポリオルガノシロキサン部を構成する末端に反応性基を有するポリオルガノシロキサンとを、塩化メチレン等の溶媒に溶解させ、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を加え、トリエチルアミン等の触媒を用い、界面重縮合反応することにより製造することができる。
ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂は、例えば、特開平3−292359号公報、特開平4−202465号公報、特開平8−81620号公報、特開平8−302178号公報及び特開平10−7897号公報等に開示されている。
【0014】
ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂のポリカーボネート部の重合度は、3〜100、ポリオルガノシロキサン部の重合度は2〜500程度のものが好ましく用いられる。
又、ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂のポリオルガノシロキサンの含有量としては、通常0.1〜2質量%、好ましくは0.3〜1.5質量%の範囲である。
本発明に用いられるポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、通常5,000〜100,000、好ましくは10,000〜30,000、特に好ましくは12,000〜30,000である。
ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂は、難燃性及び耐衝撃性の向上の観点から有用である。
ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂において、ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等が好ましく、ポリジメチルシロキサンが特に好ましい。
ここで、これらの粘度平均分子量(Mv)は、前記のポリカーボネート樹脂と同様に求めることができる。
【0015】
更に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、ポリカーボネート樹脂としては、分子末端が炭素数10〜35のアルキル基を有するポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0016】
ここで分子末端が炭素数10〜35のアルキル基を有するポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂の製造において、末端停止剤として、炭素数10〜35のアルキル基を有するアルキルフェノールを用いることにより得ることができる。
これらのアルキルフェノールとしては、デシルフェノール、ウンデシルフェノール、ドデシルフェノール、トリデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ペンタデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、ヘプタデシルフェノール、オクタデシルフェノール、ノナデシルフェノール、イコシルフェノール、ドコシルフェノール、テトラコシルフェノール、ヘキサコシルフェノール、オクタコシルフェノール、トリアコンチルフェノール、ドトリアコンチルフェノール及びペンタトリアコンチルフェノール等が挙げられる。
【0017】
これらのアルキルフェノールのアルキル基は、水酸基に対して、o−、m−、p−のいずれの位置であってもよいが、p−の位置が好ましい。
又、アルキル基は、直鎖状、分岐状又はこれらの混合物であってもよい。
この置換基としては、少なくとも1個が前記の炭素数10〜35のアルキル基であればよく、他の4個は特に制限はなく、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、ハロゲン原子又は無置換であってもよい。
【0018】
この分子末端が炭素数10〜35のアルキル基を有するポリカーボネート樹脂は、後述するポリカーボネート系樹脂のいずれの場合でもよく、例えば、二価フェノールとホスゲン又は炭酸エステル化合物との反応において、分子量を調節するために、これらのアルキルフェノールを末端封止剤として用いることにより得られるものである。
【0019】
例えば、塩化メチレン溶媒中において、トリエチルアミン触媒、前記炭素数が10〜35のアルキル基を有するフェノールの存在下、二価フェノールとホスゲン、又は、ポリカーボネートオリゴマーとの反応により得られる。
ここで、炭素数が10〜35のアルキル基を有するフェノールは、ポリカーボネート樹脂の片末端又は両末端を封止し、末端が変性される。
この場合の末端変性は、全末端に対して20%以上、好ましくは50%以上とされる。
即ち、他の末端は、水酸基末端、又は下記の他の末端封止剤を用いて封止された末端である。
【0020】
ここにおいて、他の末端封止剤として、ポリカーボネート樹脂の製造で常用されているフェノール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、p−tert−アミルフェノール、ブロモフェノール及びトリブロモフェノール、ペンタブロモフェノール等を挙げることができる。
中でも、環境問題からハロゲンを含まない化合物が好ましい。
【0021】
又、高流動化のためには、芳香族ポリカーボネート樹脂の分子末端は、炭素数10〜35のアルキル基であるものが好ましい。
分子末端を炭素数10以上のアルキル基にすると、ポリカーボネート樹脂組成物の流動性が向上する。
しかし、分子末端が炭素数36以上のアルキル基では、耐熱性及び耐衝撃性が低下する。
【0022】
(B)アクリロニトリル−スチレン系樹脂としては、200℃、5kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が5以上、好ましくは15以上のものが用いられる。メルトフローレート(MFR)が5未満では十分な流動性が得られない。
アクリロニトリル−スチレン系樹脂中のアクリロニトリル含有量は、15〜40質量%、好ましくは20〜30質量%である。
アクリロニトリルの含有量が15質量%未満又は40質量%を超えるとポリカーボネートとアクリロニトリル−スチレン系樹脂の相溶性低下による耐衝撃性の低下、層状剥離等の問題を引き起こすおそれがある。
上記アクリロニトリル−スチレン系樹脂としては、アクリロニトリル−スチレン共重合体が挙げられる。
市販のものとしては、例えば、BS−218(日本エイアンドエル社製)及び290FF(テクノポリマー社製)等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂にアクリロニトリル−スチレン系樹脂を配合することにより、層状剥離等がなく、更に樹脂組成物の難燃性及び耐熱性を維持したまま流動性の向上を図るものである。
ここで、両樹脂の配合比は、(A)ポリカーボネート樹脂60〜97質量%、好ましくは70〜95質量%、更に好ましくは75〜95質量%、(B)アクリロニトリル−スチレン系樹脂が3〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは5〜25質量%である。
アクリロニトリル−スチレン系樹脂が3質量%未満では、十分な流動性が得られない。
又、40質量%を超えると、難燃性、耐衝撃強度が低下する。
【0023】
(C)耐衝撃向上剤としては、コア・シェル型のエラストマー及びゴム成分含有スチレン系樹脂等が挙げられる。
コア・シェル型のエラストマーは、コア(芯)とシェル(殻)から構成される二層構造を有しており、コア部分は軟質なゴム状態であって、その表面のシェル部分は硬質な樹脂状態であり、エラストマー自体は粉末状(粒子状態)であるグラフトゴム状弾性体である。
このコア・シェル型のエラストマーは、芳香族ポリカーボネート樹脂と溶融ブレンドした後も、その粒子状態は、大部分がもとの形態を保っている。
配合されたコア・シェル型のエラストマーの大部分がもとの形態を保っていることにより、均一に分散し表層剥離を起こさない効果が得られる。
【0024】
コア・シェル型のエラストマーとしては、種々なものを挙げることができる。
市販のものとしては、例えば、KM−330(ローム&ハース社製)、メタブレンW529、メタブレンS2001、及びC223A(三菱レイヨン社製)及びKM357P、EXL2315、EXL2603(呉羽化学社製)及びハイブレンB621(日本ゼオン社製)等が挙げられる。
【0025】
これらの中で、例えば、アルキルアクリレートやアルキルメタクリレート、ジメチルシロキサン、ジエン系化合物を主体とする単量体から得られるゴム状重合体の存在下に、ビニル系単量体の一種又は二種以上を重合させて得られるものが挙げられる。
ここで、アルキルアクリレートやアクリルメタクリレートとしては、炭素数2〜10のアルキル基を有するものが好適である。
具体的には、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びn−オクチルメタクリレート等が挙げられる。
これらのアルキルアクリレート類を主体とする単量体から得られるコア・シェル型のエラストマーとしては、アルキルアクリレート類70質量%以上と、これと共重合可能な他のビニル系単量体、例えば、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン等30質量%以下とを反応させて得られる重合体が挙げられる。
ジエン系化合物から得られるゴムの具体例としては、ポリブタジエン、アクリレート及び/又はメタクリレートを含有するゴム質重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンゴム(SBS)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエン・アクリルゴム、イソプレン・ゴム、イソプレン・スチレンゴム、イソプレン・アクリルゴム、エチレン・プロピレンゴム等が挙げられる。
尚、この場合、ジビニルベンゼン、エチレンジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能性単量体を架橋剤として適宜添加して反応させてもよい。
【0026】
ゴム状重合体の存在下に反応させるビニル系単量体としては、例えば、スチレン,α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリル酸メチル,アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等が挙げられる。
これらの単量体は、一種又は二種以上を組み合わせて用いてもよいし、又、他のビニル系重合体、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物等と共重合させてもよい。
この重合反応は、例えば、塊状重合、懸濁重合及び乳化重合等の各種方法によって行うことができる。特に、乳化重合法が好適である。
【0027】
このようにして得られるコア・シェル型のエラストマーは、前記ゴム状重合体を20質量%以上含有していることが好ましい。
このようなコア・シェル型のエラストマーとしては、具体的には60〜80質量%のn−ブチルアクリレートと、スチレン、メタクリル酸メチルとのグラフト共重合体等のMAS樹脂弾性体が挙げられる。
市販品としては、KM357P、EXL2315(呉羽化学社製)等が挙げられる。
又、ポリシロキサンゴム成分が5〜95質量%とポリアクリル(メタ)アクリレートゴム成分95〜5質量%とが、分離できないように相互に絡み合った構造を有する、平均粒子径が0.01〜1μm程度の複合ゴムに少なくとも一種のビニル単量体がグラフト重合されてなる複合ゴム系エラストマーが特に好ましい。
この複合ゴム系エラストマーは、それぞれのゴム単独でのグラフト共重合体よりも耐衝撃改良効果が高い。
この複合ゴム系エラストマーは、市販品としてはメタブレンS2001(三菱レイヨン社製)等として入手できる。
又、ジエン系ゴムの市販品としては、C223A(三菱レイヨン社製)、EXL2603(呉羽化学社製)等が挙げられる。
【0028】
ゴム成分含有スチレン系樹脂としては、好ましくは、少なくともスチレン系単量体がゴムにグラフト重合した耐衝撃性スチレン系樹脂である。ゴム成分含有スチレン系樹脂としては、例えば、ポリブタジエンなどのゴムにスチレンが重合した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリブタジエンにアクリロニトリルとスチレンとが重合したABS樹脂等があり、ゴム成分含有スチレン系樹脂は、二種以上を併用することができるとともに、前記のゴム未変性であるスチレン系樹脂との混合物としても使用できる。
【0029】
ゴム成分含有スチレン系樹脂中のゴムの含有量は、例えば5〜80質量%、好ましくは、10〜70質量%である。
ゴムの割合が5質量%未満であると、耐衝撃性が不十分となり、又、80質量%を超えると熱安定性が低下したり、溶融流動性の低下、ゲルの発生、着色などの問題が生じる場合がある。
上記ゴムの具体例としては、ポリブタジエン、アクリレート及び/又はメタクリレートを含有するゴム質重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンゴム(SBS)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエン・アクリルゴム、イソプレン・ゴム、イソプレン・スチレンゴム、イソプレン・アクリルゴム、エチレン・プロピレンゴム等が挙げられる。
このうち、特に好ましいものはポリブタジエンである。
ここで用いるポリブタジエンは、低シスポリブタジエン(例えば、1,2−ビニル結合を1〜30モル%、1,4−シス結合を30〜42モル%含有するもの)、高シスポリブタジエン(例えば、1,2−ビニル結合を20モル%以下、1,4−シス結合を78モル%以上含有するもの)のいずれを用いてもよく、又、これらの混合物であってもよい。
市販品としては、具体的には、B600N(宇部サイコン社製)、DP−35(テクノポリマー社製)及びAT−05(日本エイアンドエル社製)等が挙げられる。
又、耐衝撃性向上剤の含有量は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂及び(B)アクリロニトリル−スチレン系樹脂100質量部に対して、0〜37質量部、好ましくは1〜20質量部である。
含有量が37質量部を超えると、難燃性、耐熱性及び剛性が低くなる場合がある。
【0030】
(D)有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類金属塩としては、種々のものが挙げられるが、少なくとも一つの炭素原子を有する有機酸又は有機酸エステルのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩である。
ここで、有機酸又は有機酸エステルは、有機スルホン酸,有機カルボン酸、ポリスチレンスルホン酸等である。
一方、アルカリ金属は、ナトリウム,カリウム,リチウム及びセシウム等、又、アルカリ土類金属は、マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム及びバリウム等である。
中でも、ナトリウム,カリウム及びセシウムの塩が好ましく用いられる。
又、その有機酸の塩は、フッ素、塩素及び臭素のようなハロゲンが置換されていてもよい。
【0031】
上記各種の有機アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩の中では、例えば、有機スルホン酸の場合、一般式(2)
(CnF2n+1SO3)mM (2)
(式中、nは1〜10の整数を示し、Mはリチウム,ナトリウム,カリウム及びセシウム等のアリカリ金属、又はマグネシウム,カルシウム,ストロンチウム及びバリウム等のアルカリ土類金属を示し、mはMの原子価を示す。)
で表されるパーフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が好ましく用いられる。
これらの化合物としては、例えば、特公昭47−40445号公報に記載されているものがこれに該当する。
【0032】
一般式(2)において、パーフルオロアルカンスルホン酸としては、例えば、パーフルオロメタンスルホン酸,パーフルオロエタンスルホン酸,パーフルオロプロパンスルホン酸,パーフルオロブタンスルホン酸,パーフルオロメチルブタンスルホン酸,パーフルオロヘキサンスルホン酸,パーフルオロヘプタンスルホン酸及びパーフルオロオクタンスルホン酸等を挙げることができる。
特に、これらのカリウム塩が好ましく用いられる。
その他、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、ジフェニルスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸及びこれらのフッ素置換体並びにポリスチレンスルホン酸等の有機スルホン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。
特に、パーフルオロアルカンスルホン酸及びジフェニルスルホン酸が好ましい。
次に、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩及び/又アルカリ土類金属塩としては、一般式(3)
【0033】
【化1】
【0034】
(式中、Xはスルホン酸塩基であり、mは1〜5を表し、Yは水素又は炭素数1〜10の炭化水素である。又、nはモル分率を表し、0<n≦1である。)
で表わされるスルホン酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂を用いることができる。
ここで、スルホン酸塩基はスルホン酸のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩であり、金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、等が挙げられる。
【0035】
尚、Yは水素又は炭素数10の炭化水素であり、好ましくは水素又はメチル基である。
又、mは1〜5であり、nは、0<n≦1の関係である。
即ち、スルホン酸塩基(X)は、芳香環に対して、全置換したものであっても、部分置換したもの、又は無置換のものを含んだものであってもよい。
本発明の難燃性の効果を得るためには、スルホン酸塩基の置換比率は、スルホン酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂の含有量等を考慮して決定され、特に制限なく、一般的には10〜100%置換のものが用いられる。
【0036】
尚、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩及び/又アルカリ土類金属塩において、スルホン酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂は、上記の一般式(3)のポリスチレン樹脂に限定されるものではなく、スチレン系単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
ここで、酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂の製造方法としては、▲1▼前記のスルホン酸基等を有する芳香族ビニル系単量体、又はこれらと共重合可能な他の単量体とを重合又は共重合する方法。▲2▼芳香族ビニル系重合体、又は芳香族ビニル系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体、又はこれらの混合重合体をスルホン化し、アルカリ金属及び/又アルカリ土類金属で中和する方法がある。
【0037】
例えば、▲2▼の方法としては、ポリスチレン樹脂の1,2−ジクロロエタン溶液に濃硫酸と無水酢酸の混合液を加えて加熱し、数時間反応することにより、ポリスチレンスルホン酸化物を製造する。次いで、スルホン酸基と当モル量の水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムで中和することによりポリスチレンスルホン酸カリウム塩又はナトリウム塩を得ることができる。
【0038】
本発明で用いる、スルホン酸塩基含有芳香族ビニル系樹脂の重量平均分子量としては、1,000〜300,000、好ましくは2,000〜200,000程度である。尚、重量平均分子量は、GPC法で測定することができる。
【0039】
又、有機カルボン酸としては、例えば、パーフルオロギ酸,パーフルオロメタンカルボン酸,パーフルオロエタンカルボン酸,パーフルオロプロパンカルボン酸,パーフルオロブタンカルボン酸,パーフルオロメチルブタンカルボン酸,パーフルオロヘキサンカルボン酸,パーフルオロヘプタンカルボン酸及びパーフルオロオクタンカルボン酸等を挙げることができ、これら有機カルボン酸のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が用いられる。
アルカリ金属やアルカリ土類金属塩は前記と同じである。
有機アルカリ金属塩及び有機アルカリ土類塩において、スルホン酸アルカリ金属塩、スルホン酸アルカリ土類金属塩、ポリスチレンスルホン酸アルカリ金属塩及びポリスチレンスルホン酸アルカリ土類金属塩が好ましい。
【0040】
有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類塩は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
又、有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類塩は、更なる難燃性の向上及び離型性の向上のために添加されるもので、有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類塩の含有量は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂及び(B)アクリロニトリル−スチレン系樹脂100質量部に対して、0〜3質量部、好ましくは0.05〜1質部である。
含有量が3質量部を超えると、これ以上の難燃性が得られないばかりか、耐衝撃強度等の物性が大幅に低下する。
【0041】
(E)官能基含有シリコーン化合物は、官能基含有オルガノポリシロキサン化合物であり、一般式(1)
R1 aR2 bSiO(4−a−b)/2 ・・・(1)
(式中、R1は官能基、R2は炭素数1〜12の炭化水素基、a及びbは、0<a≦3、0≦b<3、0<a+b≦3の関係を満たす数を示す。)
で表される基本構造を有するオルガノポリシロキサン重合体及び/又は共重合体である。
又、官能基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、ポリオキシアルキレン基、水素基、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基及びビニル基等を含有するものである。
中でも、アルコキシ基、水酸基、水素基、エポキシ基及びビニル基が好ましい。
【0042】
これら官能基としては、複数の官能基を有するオルガノポリシロキサン重合体及び/又は共重合体並びに異なる官能基を有するオルガノポリシロキサン重合体及び/又は共重合体を併用することもできる。
一般式(1)で表される基本構造を有するオルガノポリシロキサン重合体及び/又は共重合体は、その官能基(R1)/炭化水素基(R2)が、通常0.1〜3、好ましくは0.3〜2程度のものである。
これら官能基含有シリコーン化合物は液状物、ハウダー等であるが、溶融混練において分散性の良好なものが好ましい。
例えば、室温での粘度が10〜500,000cst程度の液状のものを例示できる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物にあっては、官能基含有シリコーン化合物が液状であっても、組成物に均一に分散するとともに、成形時又は成形品の表面にブリードすることが少ない特徴がある。
【0043】
官能基含有シリコーン化合物は、更なる難燃性の向上のために添加されるもので、官能基含有シリコーン化合物の含有量は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂及び(B)アクリロニトリル−スチレン系樹脂100質量部に対して、0〜3質量部、好ましくは0.1〜2質量部である。
含有量が3質量部を超えると、外観不良、耐衝撃性及び耐熱性低下の原因となる。
【0044】
(F)無機質充填剤としては、タルク、マイカ、ワラストナイト、カオリン、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維及びチタン酸カリウム等が用いられる。
これら無機質充填剤の中でも、ガラス繊維及びその形態が板状であるフィラー、例えば、タルク、マイカ及びワラストナイトが特に好ましい。
タルクは、マグネシウムの含水ケイ酸塩であり、一般に市販されているものを用いることができる。
ガラス繊維としては、含アルカリガラス、低アルカリガラス及び無アルカリガラス等を原料としたいずれをも好適に用いることができる。
これらのガラス繊維の形態は、特に制限はなく、例えば、ロービング、ミルドファイバー及びチョップドストランド等いずれの形態のものも使用することができる。
ガラス繊維の市販品としては、CSH−3PA(日東紡績社製)、T511(日本電気硝子社社製)、MA409C(旭ガラスファイバー社製)等が挙げられる。
更に、無機質充填剤としては、その平均粒径が0.1〜50μmであるものが用いられるが、平均粒径0.2〜20μmであるものが特に好適に用いられる。
【0045】
(F)無機質充填剤は、剛性、寸法精度向上及び更なる難燃性の向上のために添加されるもので、無機質充填剤の含有量は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂及び(B)アクリロニトリル−スチレン系樹脂100質量部に対して、0〜55質量部、好ましくは0〜40質量部、更に好ましくは0〜20質量部である。
特に、剛性、寸法精度、難燃性及び流動性向上のバランスを重視する場合には、3〜40質量部、好ましくは3〜20質量部、更に好ましくは3〜15質量部である。
含有量が55質量部を超えると、耐衝撃性、外観、難燃性及び流動性が低下する。
無機質充填剤のうち、ガラス繊維の含有量は、好ましくは5〜35質量部、更に好ましく5〜30質量部である。
また、板状フィラーの含有量は、好ましくは1〜20質量部、更に好ましくは3〜10質量部である。
ガラス繊維と板状フィラーを上記のような含有量で併用すると、難燃性、耐熱性を維持したまま、高流動性を発現できる。
【0046】
(G)ポリフルオロオレフィン樹脂としては、通常フルオロエチレン構造を含む重合体、共重合体であり、例えば、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチレン系モノマーとの共重合体が挙げられる。
好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、その平均分子量は、500,000以上であることが好ましく、特に好ましくは500,000〜10,000,000である。
本発明で用いることができるポリテトラフルオロエチレンとしては、現在知られているすべての種類のものを用いることができる。
【0047】
尚、ポリテトラフルオロエチレンのうち、フィブリル形成能力のあるものが好ましい。
フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)には特に制限はないが、例えば、ASTM規格において、タイプ3に分類されるものが挙げられる。
その具体例としては、例えば、テフロン6−J(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)、ポリフロンD−1、ポリフロンF−103、ポリフロンF201(ダイキン工業株式会社製)及びCD076(旭アイシーアイフロロポリマーズ株式会社製)等が挙げられる。
【0048】
又、上記タイプ3に分類されるもの以外では、例えば、アルゴフロンF5(モンテフルオス株式会社製)、ポリフロンMPA及びポリフロンFA−100(ダイキン工業株式会社製)等が挙げられる。
これらのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
上記のようなフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、例えば、テトラフルオロエチレンを水性溶媒中で、ナトリウム、カリウム、アンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下で、1〜100psiの圧力下、温度0〜200℃、好ましくは20〜100℃で重合させることによって得ることができる。
【0049】
フルオロオレフィン樹脂は、更なる難燃性の向上(例えば、V−0、5V)のために添加されるもので、フルオロオレフィン樹脂の含有量は、(A)芳香族ポリカーボネート樹脂及び(B)アクリロニトリル−スチレン系樹脂100質量部に対して、0〜2質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。
含有量が2質量部を超えると、添加量に見合った難燃性の向上はない。
【0050】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、成形性、耐衝撃性、外観改善、耐候性改善及び剛性改善等の目的で、上記(A)〜(G)からなる成分に、その他の合成樹脂、エラストマーを含有させることができる。
又、熱可塑性樹脂に常用されている添加剤成分を必要により含有させることもできる。
例えば、フェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤、帯電防止剤、ポリアミドポリエーテルブロック共重合体(永久帯電防止性能付与)、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤(耐候剤)、離型剤、可塑剤、抗菌剤、相溶化剤及び着色剤(染料、顔料)等が挙げることができる。
任意成分の配合量は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の特性が維持される範囲であれば特に制限はない。
【0051】
次に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法について説明する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記の各成分(A)〜(G)を上記割合で、更に必要に応じて用いられる各種任意成分を適当な割合で配合し、混練することにより得られる。
配合及び混練は、通常用いられている機器、例えば、リボンブレンダー、ドラムタンブラーなどで予備混合して、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機及びコニーダ等を用いる方法で行うことができる。
混練の際の加熱温度は、通常240〜300℃の範囲で適宜選択される。
この溶融混練成形としては、押出成形機、特に、ベント式の押出成形機の使用が好ましい。
尚、ポリカーボネート樹脂以外の含有成分は、あらかじめ、ポリカーボネート樹脂又は他の熱可塑性樹脂と溶融混練、即ち、マスターバッチとして添加することもできる。
【0052】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記の溶融混練成形機、又は、得られたペレットを原料として、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法及び発泡成形法等により各種成形品を製造することができる。
しかし、上記溶融混練方法により、ペレット状の成形原料を製造し、次いで、このペレットを用いて、射出成形及び射出圧縮成形による射出成形品の製造に特に好適に用いることができる。
尚、射出成形方法としては、外観のヒケ防止のため、又は軽量化のためのガス注入成形を採用することもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品は、260℃(ガラス繊維を含む場合は、280℃)におけるSFL(スパイラルフロー長さ)[厚み2mm]が、30以上であることが好ましい。
【0053】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品としては、複写機、ファックス、テレビ、ラジオ、テープレコーダー、ビデオデッキ、パソコン、プリンター、電話機、情報端末機、冷蔵庫、電子レンジ等のOA機器、電気・電子機器のハウジウング又は部品等の分野に用いられる。
【0054】
【実施例】
以下、本発明について実施例及び比較例を示してより具体的に説明するが、本発明はこれらによって、何ら制限されるものではない。
製造例1[アルキルフェノール(a)の調製]
バッフル及び攪拌翼を備えた反応器に、フェノール300質量部と1−ドコセン110質量部〔フェノール/オレフィン=9/1(モル比)〕及び触媒として強酸性ポリスチレン系スルホン酸型カチオン樹脂(ロームアンドハース社;Amberlyst15)11質量部の仕込み割合で、反応原料及び触媒を仕込み、120℃において、攪拌下に3時間反応を行った。
反応終了後、減圧蒸留により精製し、アルキルフェノール(a)を得た。この得られたアルキルフェノール(a)のアルキル基の炭素数は22であった。
【0055】
製造例2[PCオリゴマーの製造]
400リットルの5質量%水酸化ナトリウム水溶液に、60kgのビスフェノールAを溶解し、ビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
次いで、室温に保持したこのビスフェノールAの水酸化ナトリウム水溶液を138リットル/時間の流量で、また、塩化メチレンを69リットル/時間の流量で、内径10mm、管長10mの管型反応器にオリフィス板を通して導入し、これにホスゲンを並流して10.7kg/時間の流量で吹き込み、3時間連続的に反応させた。
ここで用いた管型反応器は二重管となっており、ジャケット部分には冷却水を通して反応液の排出温度を25℃に保った。また、排出液のpHは10〜11となるように調整した。
このようにして得られた反応液を静置することにより、水相を分離、除去し、塩化メチレン相(220リットル)を採取して、PCオリゴマー(濃度317g/リットル)を得た。
ここで得られたPCオリゴマーの重合度は2〜4であり、クロロホーメイト基の濃度は0.7規定であった。
【0056】
製造例3[反応性ポリジメチルシロキサン(PDMS)の製造]
1,483gのオクタメチルシクロテトラシロキサン、18.1gの1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン及び35gの86%硫酸を混合し、室温で17時間攪拌した。
その後、オイル相を分離し、25gの炭酸水素ナトリウムを加え1時間攪拌した。濾過した後、150℃、3torr(4×102Pa)で真空蒸留し、低沸点物を除きオイルを得た。
60gの2−アリルフェノールと0.0014gの塩化白金−アルコラート錯体としてのプラチナとの混合物に、上記で得られたオイル294gを90℃の温度で添加した。
この混合物を90〜115℃の温度に保ちながら3時間攪拌した。
生成物を塩化メチレンで抽出し、80%の水性メタノールで3回洗浄し、過剰の2−アリルフェノールを除いた。その生成物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空中で115℃の温度まで溶剤を留去した。
得られた末端フェノールPDMSは、1NMRの測定により、ジメチルシラノオキシ単位の繰り返し数は150であった。
【0057】
製造例4[PC−ポリジメチルシロキサン(PDMS)共重合体PC−2の製造]
製造例3で得られた反応性PDMS138gを塩化メチレン2リットルに溶解させ、前記で得られたPCオリゴマー10リットルを混合した。
そこへ、水酸化ナトリウム26gを水1リットルに溶解させたものと、トリエチルアミン5.7ccを加え、500rpmで室温にて1時間攪拌、反応させた。
反応終了後、上記反応系に、5.2質量%の水酸化ナトリウム水溶液5リットルにビスフェノールA600gを溶解させたもの、塩化メチレン8リットル及びp−tert−ブチルフェノ−ル96gを加え、500rpmで室温にて2時間攪拌、反応させた。
反応後、塩化メチレン5リットルを加え、さらに、水5リットルで水洗、0.03規定水酸化ナトリウム水溶液5リットルでアルカリ洗浄、0.2規定塩酸5リットルで酸洗浄、及び水5リットルで水洗2回を順次行い、最後に塩化メチレンを除去し、フレーク状のPC−PDMS共重合体PC−2を得た。
得られたPC−PDMS共重合体PC−2を120℃で24時間真空乾燥した。
粘度平均分子量は17,200であり、PDMS含有率は3.0質量%であった。
【0058】
尚、PDPS含有率は下記の要領で行った。
(1)PDMS含有率
1H−NMRで1.7ppmに見られるビスフェノールAのイソプロピルのメチル基のピークと、0.2ppmに見られるジメチルシロキサンのメチル基のピークとの強度比を基に求めた。
【0059】
製造例5[アクリロニトリルスチレン共重合体AS−1の製造]
スチレン70部、アクリロニトリル30部、リン酸カルシウム1.0部、GAFAC GB520(分散助剤、東邦化学(株)製商品名)0.03部、ラウリルパーオキサイド0.6部、t−ドデシルメルカプタン1.0部及びイオン交換水200部を撹拌機付きステンレス製の反応釜に仕込み、80℃に昇温後6時間重合を行ない、転化率98%で、固有粘度0.6dl/g(20℃、N,N′−ジメチルホルムアミド中)の共重合体を得た。
【0060】
実施例1〜15及び比較例1〜10
第1表及び第2表、第3表及び第4表に示す割合で各成分を混合〔(A)と(B)成分は質量%、他の成分は、(A)と(B)からなる樹脂100質量部に対する質量部で示す。〕し、ベント式二軸押出成形機〔東芝機械社製:TEM35〕に供給し、280℃で溶融混練してペレット化した。
尚、溶融混練に先だち、実施例1〜15及び比較例1〜10における原料樹脂には、酸化防止剤としてイルガノックス1076(チバ・スペシヤルティ・ケミカルズ社製)0.1質量部及びアデカスタブC(旭電化工業社製)0.1質量部を添加した。
実施例6は、アデカスタブC(旭電化工業社製)の代わりにPEP−36〔ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト〕(旭電化工業社製)を添加した。
【0061】
次に、得られたペレットを、120℃で12時間乾燥した後、成形温度260℃、金型温度80℃で射出成形して試験片を得た。
尚、比較例5は乾燥温度80℃、成形温度240℃、金型温度40℃を採用した。
得られた試験片を用いて性能を各種試験によって評価し、その結果を第1表及び第2表に示す。
【0062】
用いた成形材料及び性能評価方法を次に示す。
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂
PC−1:FN1700A(出光石油化学社製)、ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、MFR=27g/10分(300℃、1.2kg荷重)、粘度平均分子量;17,800
PC−2:PC−PDMS、ポリジメチルシロキサン(PDMS)含有ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量;17,200、PDMS含有率;3.0質量%、PDMS鎖長(n);150
PC−3:FN1500(出光石油化学社製)、ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、MFR=36g/10分(300℃、1.2kg荷重)、粘度平均分子量;14,300
PC−4:FN1900A(出光石油化学社製)、ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、MFR=19g/10分(300℃、1.2kg荷重)、粘度平均分子量;19,500
(B)アクリロニトリル−スチレン系樹脂
AS−1:アクリロニトリルスチレン共重合体;MFR=38g/10分(200℃、5kg荷重)
AS−2:アクリロニトリルスチレン共重合体;BS−218(日本エイアンドエル社製)、MFR=18g/10分(200℃、5kg荷重)
AS−3:アクリロニトリルスチレン共重合体;290FF(テクノポリマー社製)、MFR=15g/10分(200℃、5kg荷重)
AS−4:アクリロニトリルスチレン共重合体;290N(テクノポリマー社製)、MFR=3.5g/10分(200℃、5kg荷重)
(C)耐衝撃性向上剤
HIPS:耐衝撃性ポリスチレン;IT44(出光石油化学社製)、ポリブタジェンにスチレンがグラフト重合したもの;ゴム含有量=10質量%、MFR=8g/10分(200℃、5kg荷重)
エラストマー−1:EXL2603(呉羽化学社製)
エラストマー−2:C223A(三菱レイヨン社製)
ABS−1:アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体;B600N(宇部サイコン社製)、ゴム含量60質量%
ABS−2:アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体;AT−05(日本エイアンドエル社製)、MFR=5.2g/10分(200℃、5kg荷重)
(D)有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類金属塩
金属塩1:ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(ライオン社製)
(E)官能基含有シリコーン化合物
シリコーン:メチル水素シリコーン;X40−2664F(信越化学社製)
(F)無機充填材
タルク:TP−A25(富士タルク工業社製)、平均粒径;4.9μm
ガラス繊維:MA409C(旭硝子ファイバー社製)
(G)ポリフルオロオレフィン樹脂
PTFE:CD076(旭硝子フロロポリマーズ社製)
(H)リン系難燃剤:PFR(旭電化工業社製);レゾルシノール(ジフェニルホスフェート)
【0063】
〔性能評価方法〕
(1)SFL(スパイラルフロー長さ)
射出圧80Kg/cm2(7.84MPa)、成形温度260℃(ガラス繊維を含む場合は、280℃)、金型温度80℃、厚み2mmの条件で測定した。
(2)IZOD(アイゾット衝撃強度)
ASTM D256に準拠し23℃で測定した。肉厚1/8インチの5本試験を行い、その平均値を示した。単位:kJ/m2
(3)HDT(熱変形温度、1.83MPa)
ASTM D648に準拠して測定した。単位:℃
(4)曲げ弾性率(MPa)
ASTM D790に準拠して測定した。単位:MPa
(5)燃焼性
UL94燃焼試験に準拠して測定した。
試験片厚み:1.5mm。アンダーライターズラボラトリー・サブジェクト94に従って垂直燃焼試験を行った。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
第1表より、メルトフローレートの高い(B)成分を用いることで、難燃性及び耐熱性を維持しながら流動性が向上したノンハロゲン・ノンリン化合物のポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
又、(C)成分を添加すると、難燃性を低下することなく高衝撃化を図ることができる。
第2表の比較例1及び2より、メルトフローレートの低いアクリロニトリル−スチレン系樹脂では、流動性の向上効果は小さく、添加量を増加すると難燃性が低下する。
又、比較例3及び4より、(C)成分のみ(HIPS、ABS)のみでも流動性及び耐衝撃強度の向上を図ることができるが、難燃性が低下する。
比較例5はリン系難燃剤を添加するため、難燃性は優れるが、耐熱性が非常に低い。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
第3表より、メルトフローレートの高い(B)成分を用いることで、難燃性、耐熱性及び剛性を維持しながら流動性が向上したノンハロゲン・ノンリン化合物のガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
第4表の比較例6及び7より、メルトフローレートの低いアクリロニトリル−スチレン系樹脂では、流動性の向上効果は小さい。
又、比較例8より、(C)成分のみ(ABS)のみでも流動性の向上を図ることができるが、難燃性が低下する。
更に、比較例9より、ポリカーボネート樹脂の分子量を下げただけでは流動性向上効果は小さい。
比較例10より、リン系難燃剤は、流動性及び難燃性は非常に優れるが、耐熱性が非常に低い。
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(B)成分として200℃、5kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が5以上のアクリロニトリル−スチレン系樹脂を用いることにより、ハロゲンやリンを含まず、難燃性、耐熱性及び耐衝撃性を維持しながら、流動性に優れている。
Claims (17)
- (A)芳香族ポリカーボネート樹脂60〜97質量%及び(B)200℃、5kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が5以上のアクリロニトリル−スチレン系樹脂3〜40質量%からなり、必要に応じて(A)及び(B)の合計100質量部に対して、(C)耐衝撃性向上剤0〜37質量部、(D)有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類金属塩0〜3質量部、(E)官能基含有シリコーン化合物0〜3質量部、(F)無機充填材0〜55質量部、及び(G)ポリフルオロオレフィン樹脂0〜2質量部を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物。
- アクリロニトリル−スチレン系樹脂の200℃、5kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、15以上である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- アクリロニトリル−スチレン系樹脂の200℃、5kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が、30以上である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 芳香族ポリカーボネート樹脂が、ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリオルガノシロキサン含有芳香族ポリカーボネート樹脂のポリオルガノシロキサンが、ポリジメチルシロキサンである請求項4に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 芳香族ポリカーボネート樹脂の分子末端が炭素数10〜35のアルキル基である請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- アクリロニトリル−スチレン系樹脂が、アクリロニトリル−スチレン共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 耐衝撃性向上剤が、コア・シェル型のエラストマー及び/又はゴム成分含有スチレン系樹脂である請求項1〜7のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 有機アルカリ金属塩及び/又は有機アルカリ土類金属塩が、スルホン酸アルカリ金属塩、スルホン酸アルカリ土類金属塩、ポリスチレンスルホン酸アルカリ金属塩及びポリスチレンスルホン酸アルカリ土類金属塩から選ばれる1種以上である請求項1〜8のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 官能基含有シリコーン化合物が、一般式(1)
R1 aR2 bSiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、R1は官能基、R2は炭素数1〜12の炭化水素基、a及びbは、0<a≦3、0≦b<3、0<a+b≦3の関係を満たす数を示す。)
で表される基本構造を有するオルガノポリシロキサンである請求項1〜9のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。 - R1が、アルコキシ基、水素基、水酸基、エポキシ基及びビニル基から選ばれる1種以上である請求項10に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 無機充填材が板状フィラー及びガラス繊維から選ばれる請求項1〜11のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 無機充填材として、板状フィラー1〜20質量部及びガラス繊維5〜35質量部を配合してなる請求項1〜12のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 板状フィラーがタルク、マイカ及びワラストナイトから選ばれる1種以上である請求項12又は13に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリフルオロオレフィン樹脂がポリテトラフルオロエチレンである請求項1〜14のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリテトラフルオロエチレンが、フィブリル形成能を有し、平均分子量が50万〜1000万である請求項15に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜16のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
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