JP2010201556A - ロボット及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロボットの解体・点検作業を必要とするようなトラブルが発生する前に、ロボットの異常状態を検出すること。
【解決手段】本発明のロボットにおいては、ロボット制御手段40が、アーム駆動手段及び手首軸駆動手段を駆動してエンドエフェクタ25を所定の実位置に移動させ、エンドエフェクタ25が所定の実位置に到達した時点でのロボットアーム28の姿勢及び手首軸の角度位置を検出し、その検出結果に基づいて所定の実位置に対応する計測位置を算出して記憶し、異なる時点において取得された複数の計測位置の時系列データに基づいてロボットの状態を判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ロボット及びその制御方法に係り、特に、半導体ウェハ、液晶ガラス、ソーラパネルのような基板を搬送するためのロボット及びその制御方法に関する。
従来、半導体の製造に用いられるシリコンウェハや、液晶表示パネルの製造に用いられるガラス基板等のワークを搬送する際には、変位自在のアームを備えたロボットが使用されている(特許文献1参照)。
一般的にロボットは、長期の使用に伴って駆動系等の状態が徐々に変化してアーム先端位置が変化したり、操作ミス等で急激な力が加わり、変形又は位置のシフトが発生したりする。具体的には、駆動系においてバックラッシュやヒステリシスが増大したり、衝突による変形が発生したりする。これにより、ロボット駆動時に生じる振動が過度に大きくなったり、また、基板搬送位置の再現性(位置精度)が劣化してしまうという問題がある。
このような状態を放置しておくと、基板を正確な位置に搬送できなかったり、或いは衝突、再衝突といったトラブルにつながる。
このようなトラブルが発生した場合には、ロボットの損傷状態を作業員が目視によって確認して対応を判断する場合が一般的である。ところが、一般的にズレや変形は微小なため、目視判断は難しく、そのまま続行して再度トラブルとなることも多い。また、半導体ウェハ搬送などではクリーン環境が維持されているが、トラブルが発生すると人が点検のためにラインを止めて装置内のロボットに接触する必要があり、装置内部のクリーン度を劣化させ、長時間ラインを停止させてしまう。
ちなみに特許文献2には、アラーム発生時点から過去に遡ってアラームの発生原因を具体的に分析することができるロボットの異常発生履歴表示方法が記載されている。
しかしながら、この特許文献2に記載の方法は、アラームが発生した後(即ち、トラブルが発生した後)にその原因を分析するというものであって、トラブルの発生を未然に防ぐことはできない。
特開2008−28134号公報 特開平9−311715号公報
本発明は、上述した事情を考慮してなされたものであって、ロボットの解体・点検作業を必要とするようなトラブルが発生する前に、ロボットの異常状態を検出することができ、かつ、一般作業員よりも正確に現象を把握し、かつ、停止時間等を最小限にすることができるロボット及びその制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明によるロボットは、先端部に手首軸が回転自在に設けられたロボットアームと、前記手首軸に取り付けられたエンドエフェクタと、前記ロボットアームを変位駆動するアーム駆動手段と、前記手首軸を回転駆動する手首軸駆動手段と、前記アーム駆動手段及び前記手首軸駆動手段を制御するロボット制御手段と、を備え、前記ロボット制御手段は、前記アーム駆動手段及び前記手首軸駆動手段を駆動して前記エンドエフェクタを所定の実位置に移動させ、前記エンドエフェクタが前記所定の実位置に到達した時点での前記ロボットアームの姿勢及び前記手首軸の角度位置を検出し、その検出結果に基づいて前記所定の実位置に対応する計測位置を算出し、前記計測位置を記憶し、異なる時点において取得された複数の前記計測位置の時系列データに基づいて前記ロボットの状態を判定するように構成されていることを特徴とする。
好ましくは、前記ロボット制御手段は、異なる時点において記憶された複数の前記計測位置の時系列データに基づいて、前記ロボットの状態を判定するように構成されている。
好ましくは、前記所定の実位置にはターゲットが配置されており、前記ロボット制御手段は、前記アーム駆動手段を制御して前記エンドエフェクタを前記ターゲットに接触させ、前記エンドエフェクタと前記ターゲットとの接触により前記手首軸が角変位を開始した時点での前記ロボットアームの姿勢及び前記手首軸の角度位置を検出し、その検出結果に基づいて前記計測位置を算出するように構成されている。
好ましくは、前記ターゲットは、前記ロボットにより搬送される基板を取り扱う装置の一部である。
好ましくは、前記エンドエフェクタの特定部位を検出することにより、前記エンドエフェクタが前記所定の実位置に到達したことを検出するセンサユニットを更に備える。
好ましくは、前記手首軸駆動手段は、前記手首軸を回転駆動するモータと、前記モータに設けられたエンコーダと、を含み、前記ロボット制御手段は、前記手首軸の角度位置を前記エンコーダの位置により検出するように構成されている。
好ましくは、前記ロボット制御手段は、複数の前記所定の実位置についての複数の前記計測位置を算出して記憶するように構成されている。
上記課題を解決するために、本発明は、上記いずれかのロボットを制御する方法であって、前記ロボット制御手段により前記エンドエフェクタを前記所定の実位置に移動させる工程と、前記エンドエフェクタが前記所定の実位置に到達した時点での前記ロボットアームの姿勢及び前記手首軸の角度位置を検出する工程と、前記検出する工程により得られた前記検出結果に基づいて前記所定の実位置に対応する前記計測位置を算出する工程と、前記計測位置を記憶する工程と、異なる時点において取得された複数の前記計測位置の時系列データに基づいて前記ロボットの状態を判定する工程と、を備えたことを特徴とする。
好ましくは、前記判定する工程において、前記計測位置を予め設定された標準値と比較してその偏差量を算出し、前記偏差量が予め設定された許容範囲を超えている場合にはエラー信号を発信する。
好ましくは、前記判定する工程において、前記計測位置が前記標準値からずれているが、その偏差量が前記許容範囲を超えていない場合には、前記偏差量に基づいて前記ロボットの制御指令値を補正する。
本発明によれば、ロボットの状態の変化を時系列にて監視することができるので、ロボットの解体・点検作業を必要とするようなトラブルが発生する前にロボットの異常状態を検出することができる。
本発明の一実施形態によるロボットをウェハカセットと共に示した斜視図。 図1に示したロボットのロボットアームの内部構造を示した図。 図1に示したロボットの制御駆動系の構成を示したブロック図。 図1に示したロボットにおけるセンシング操作を説明するための平面図。 図1に示したロボットにおけるセンシング操作を説明するための正面図。 図1に示したロボットを用いて計測されたカセット中心位置(計測位置)の経時変化を示したグラフ。 図1に示したロボットにおける自己診断機能を説明するためのフローチャート。 図1に示したロボットに隣接して複数のウェハカセット(FOUP)が配置された構成を示した平面図。 複数のウェハカセットに対して計測されたカセット中心位置(計測位置)の経時変化を示したグラフ。 図1に示したロボットを用いて計測されたカセット中心位置(計測位置)の経時変化を示した他のグラフ。 図1に示したロボットにおける他のセンシング操作を説明するための平面図。 図11に示した目標物(ターゲット)の側面図。 図1に示したロボットのハンドを検出するためのセンサユニットを示した概略斜視図。 図13に示したセンサユニットによりセンシングされるロボットハンドの部位を説明するためのシャシ図。 図13に示したセンサユニットの検出信号を示した図。
本発明の一実施形態としてのロボット及びその制御方法について、図面を参照しながら以下に説明する。
図1に示したように本実施形態によるロボット10は、半導体ウェハ50等の板状部材(ワーク)を搬送するロボット本体20と、このロボット本体20の動作を制御するロボット制御手段40とを備えている。
ロボット本体20は、フープ(FOUP:Front Opening Unified Pod)から成るウェハカセット51内から半導体ウェハ50を搬出し、或いはカセット51内へウェハ50を搬入することができる。ここで、ウェハカセット51は、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)規格に基づいて製造されたものである。
ロボット本体20はロボット基台21を有し、このロボット基台21には、鉛直方向即ちZ軸方向に延びるアーム基軸22が昇降自在に設けられている。アーム基軸22の上端には、第1アーム部23の基端部が固定されている。第1アーム部23の先端部には、第2アーム部24の基端部が回転自在に取り付けられている。
第2アーム部24の先端部には、エンドエフェクタとしてのハンド25が回転自在に設けられており、このハンド25は、半導体ウェハ50がその上に載置されるように構成されている。ハンド25は、その上に載置されたウェハ50を解放可能に保持するために、真空吸着機構や把持機構等を利用した保持手段25Aを備えている。
ロボット制御手段40は、コンピュータによって実現されるものであり、ロボット本体20の動作を制御するための動作プログラムが格納された記憶部41と、この記憶部41に格納された動作プログラムを実行してロボット本体20を制御するCPU42と、を備えている。また、記憶部41には、ハンド25の形状・寸法に関するデータ、ハンド25に保持されたウェハの形状・寸法に関するデータも格納されている。
図2に示したように、第2アーム部24は、その基端部にて、第1アーム部23の先端部に回転自在に設けられた第2アーム回転軸26に固定的に取り付けられている。ハンド25は、その基端部にて、第2アーム24の先端部に回転自在に設けられた手首軸27に固定的に取り付けられている。
このようにロボット本体20のロボットアーム28は、アーム基軸22、第1アーム部23、第2アーム部24、ハンド25、第2アーム回転軸26、及び手首軸27を含んでいる。この種のロボットアーム28は、スカラ型水平多関節アームと呼ばれ、ロボット制御手段40によりロボットアーム28の動作を制御することにより、ハンド25をX軸、Y軸、及びZ軸方向の所望の位置まで動かすことができる。
図2及び図3に示したように、ロボット本体20は、第1アーム部23を回転駆動する第1アーム駆動手段29、第2アーム部24を回転駆動する第2アーム駆動手段30、手首軸27を回転駆動する手首軸駆動手段31、及びアーム基軸22を昇降駆動する昇降駆動手段32を備えている。
第1アーム駆動手段29は、ロボット基台21の内部空間に配置され、サーボモータ33及びその動力伝達機構34を含む。第2アーム駆動手段30は、第1アーム部23の内部空間に配置され、サーボモータ35及びその動力伝達機構36を含む。手首軸駆動手段31は、第2アーム部24の内部空間に配置され、サーボモータ37及びその動力伝達機構38を含む。各サーボモータ33、35、37は、各エンコーダ33A、35A、37Aを内蔵している。
動力伝達機構34、36、38には、減速機を備えた歯車等の動力伝達機構が用いられる。なお、ベルト等でも対応可能である。サーボモータ33、35、37の動力が減速機の入力側に伝達され、そのトルクが予め定める増幅比で増幅されると共に、その回転速度が予め定める減速比で減速されて、減速機の出力側から出力される。このようにして減速機の出力側から出力された動力によって、アーム基軸22、第2アーム回転軸26、及び手首軸27のそれぞれが回転駆動される。これにより、第1アーム部23、第2アーム部24、及びハンド25のそれぞれが回転駆動される。
なお、変形例としては、ダイレクトドライブモータによってアーム基軸22、第2アーム回転軸26、及び/又は手首軸27を駆動するようにしても良い。
昇降駆動手段32は、ロボット基台21の内部に設けられており、角変位量を調整可能な回転モータを用いたボールねじ機構によって実現される。例えば、昇降駆動手段32は、ねじ棒と、このねじ棒に螺合される螺合体と、ねじ棒を回転駆動する回転モータと、を含み、螺合体にアーム基軸22が固定される。昇降駆動手段32の回転モータには、エンコーダ39Aを内蔵するサーボモータ39が用いられる。
上記構成を備えたロボット本体20においては、第1アーム駆動手段29によって、アーム基軸22が、ロボット基台21に対して回転軸線L1周りに回転駆動される。これにより、第1アーム部23が、ロボット基台21に対して回転軸線L1周りに回転駆動される。
第2アーム駆動手段30によって、第2アーム回転軸26が、第1アーム部23に対して回転軸線L2周りに回転駆動される。これにより、第2アーム部24が、第1アーム部23に対して回転軸線L2周りに回転駆動される。
手首軸駆動手段31によって、手首軸27が、第2アーム部24に対して回転軸線L3周りに回転駆動される。これにより、ハンド25が、第2アーム部24に対して回転軸線L3周りに回転駆動される。
回転軸線L1、L2、L3は互いに平行であり、且つ、Z軸方向(鉛直方向)に延びている。上記の通りロボットアーム28は、X軸、Y軸、及びZ軸の方向への自由度を有して変位駆動される。
ロボット制御手段40は、第1アーム駆動手段29、第2アーム駆動手段30、手首軸駆動手段31、及び昇降駆動手段32のそれぞれのサーボモータ33、35、37、39のエンコーダ33A、35A、37A、39Aから、各サーボモータ33、35、37、39の角度位置を取得することによって、各駆動手段29、30、31、32をフィードバック制御することができる。これにより、ハンド25を目的位置に精度良く位置合わせすることが可能となる。
次に、ロボット10においてその状態を判定する方法(自己診断方法)について説明する。
ロボット制御手段40のCPU42は、記憶部41に格納されているウェハカセット51の暫定位置データを読み込み、第1アーム駆動手段29、第2アーム駆動手段30、手首軸駆動手段31、及び昇降駆動手段32を制御して、図4及び図5に示したようにハンド25上に吸着保持されて固定されているウェハ50をカセット51内に挿入する。
ここでウェハカセット51は、SEMI規格に基づいて、その左右の内壁面52、53の間の水平方向の距離が、ウェハ50の直径よりもやや大きい寸法に設定されている。従って、カセット51内に挿入されたウェハ50の側方には、ウェハ50の左右方向への移動を可能とする間隙が存在する。
次に、ロボット制御手段40は、手首軸駆動手段31の制御ループゲインを実質的にゼロにすると共に、第1アーム駆動手段29及び第2アーム駆動手段30のうちの少なくとも一方を駆動制御して、ハンド25に保持されているウェハ50をカセット51の一方の内壁面52(又は53)に接触させる(図4及び図5において仮想線で示した状態)。
ここで、手首軸駆動手段31の制御ループゲインを「実質的にゼロにする」とは、当該制御ループゲインを、通常動作のサーボゲインから、ゼロを含む小さな値に変更して、手首軸駆動手段31に対して外力が加えられた際、即ち、ハンド25とカセット51とが接触した際の接触反力を極小化して、手首軸駆動手段31のサーボモータ37が、この接触反力に対して実質的に抵抗することなく、その角度位置が実質的に自由に変位し得る状態にすることを言う。制御ループゲインを切ってゼロにする場合もここに含まれる。
ウェハ50がカセット51の内壁面52(又は53)に接触すると、手首軸駆動手段31の制御ループゲインが実質的にゼロとされているので、ウェハ50と共にハンド25が回転軸線L3周りに角変位し、これにより、手首軸27が角変位する。この手首軸27の角変位は、動力伝達機構38を介してサーボモータ37に伝達され、このサーボモータ37を角変位する。
このようにウェハ50がカセット51の内壁面52(又は53)に接触するとサーボモータ37が角変位するので、このサーボモータ37の角変位開始時点をエンコーダの位置の変化により検出する。そして、この検出時点におけるロボットアーム28の姿勢及び手首軸27の角度位置を検出する。
ここで、ロボットアーム28の姿勢に関する情報は、第1アーム駆動手段29、第2アーム駆動手段30、昇降駆動手段32の各サーボモータ33、35、39の各エンコーダ33A、35A、39Aから取得することができる。手首軸27の角度位置に関する情報は、手首軸駆動手段31のサーボモータ37のエンコーダ37Aから取得することができる。
ロボット制御手段40は、記憶部41に格納されたウェハ50の形状・寸法のデータと、接触時のロボットアーム28の姿勢及び手首軸27の角度位置に関する検出結果とに基づいて、XY平面内のカセット内壁面52(又は53)の位置を計測する。
即ち、ハンド25(エンドエフェクタ)とそれの上のウェハ50上のある特定点が、ウェハカセット51の内壁面52又は53(ターゲット)に対するロボット側の対応点になる。
上述した操作によって、ウェハカセット51の左右両側の内壁面52、53について位置データを取得する。これにより、ウェハカセット51の左右方向の中心位置(計測位置)を決定することができる。
また、図5に示したようにZ軸方向の異なる位置において、ウェハカセット51の内壁面52、53について計測データを取得するようにしても良い。これにより、ウェハカセット51の位置を、より正確に決定することが可能となる。
また、手首軸駆動手段31の制御ループゲインを実質的にゼロにするタイミングについては、予め与えられているカセット内壁面52、53の暫定位置に基づいて、ウェハ50がカセット内壁面52、53に接触すると予想される時点の直前に制御ループゲインを実質的にゼロにしても良い。
上述したように本実施形態によるロボット10においては、ターゲット位置の計測操作に際して、手首軸27及び手首軸駆動手段31が、いわばスイッチのように作用する。そして、このスイッチの動作時点におけるロボットアーム28の姿勢及び手首軸27の回転位置を検出することにより、ターゲットの位置を計測するものである。
換言すれば、本実施形態のロボット10は、ロボットアーム28の駆動に関する指令値と現在値との差異によりターゲット位置を計測するものではなく、接触時の手首軸27の角変位を検出するものである。
このため、ウェハ50をターゲット(カセット内壁面52、53)に押し付ける必要がなく、ウェハ50とターゲットとの接触時の衝撃力が極めて小さい(ソフトタッチ)ので、接触時にパーティクルが発生し難くい。
また、接触時の手首軸27の角変化開始時点を捕らえるので、ロボット10の駆動系が有する変動要素や経時変化要素の影響を受けることなく、ターゲット位置を高精度で計測することができる。
また、上記の通りウェハ50とターゲットとの接触がソフトタッチなので、真空吸着等によりハンド25に保持されたウェハ50が、ターゲットとの接触時に外れてしまうことを確実に防止できる。そして、実際にウェハ50を保持した状態でセンシング操作を行うことにより、実際の運転状況に即した正確な計測データを取得することができる。
そして、本実施形態においては、ウェハカセット51の左右方向の中心位置(計測位置)を決定するための上記一連の操作を、異なる時点において(例えば一日に一回)実施して、算出されたカセット中心位置をその計測時点(例えば計測日)に関する情報と共に記憶部41に記憶する。
なお、計測のタイミングとしては、上述の一日一回の場合以外にも、例えば、ロボット稼働時間の所定時間(例えば20時間)毎に計測したり、或いは、ウェハ搬送回数の所定回数(例えば1000回)毎に計測しても良い。
このようにして得られたカセット中心位置の時系列データを表示するグラフの一例を図6に示す。図6において横軸は計測日を示し、縦軸はカセット中心位置を示している。
図6から分かるように、最初の3回の計測日(11/1、11/2、11/3)においては、カセット中心位置(計測位置)にほとんど変化は見られないが、4回目の計測日(11/4)の計測日及びその後の計測日において、カセット中心位置が変化している。
そして、10回目の計測日(11/10)において、カセット中心位置が、それまでの変化に比べて大きく変化している。
このようにカセット中心位置(計測位置)が経時的に変化する原因としては、ロボット10の駆動ギアのバックラッシュ、駆動ベルトの伸び等が考えられる。
本実施形態においては、最初の3回の安定したカセット中心位置を標準値(レファレンス)として設定すると共に、この標準値からの許容変動量を設定して上限値及び下限値を規定している。
そして、本実施形態のロボットは、カセット中心位置(計測位置)に関する上述のデータ(図6)に基づいて、ロボットの状態について自己診断する機能を備えている。この自己診断機能について図7を参照して説明する。
自己診断シーケンスにおいては、まず、上述した一連の操作によってカセット中心位置(計測位置)を算出する(ステップ1)。
次に、算出したカセット中心位置が標準値(レファレンス)からずれているか否かを判定する。(ステップ2)。
カセット中心位置が標準値からずれていない場合には、特別の操作を行わずに、ロボットの運転を継続する(ステップ3)。
カセット中心位置が標準値からずれている場合には、その偏差量が予め設定された許容範囲を超えているか否かを判定する(ステップ4)。
偏差量が許容範囲内(図6における上限と下限との間)にある場合には、当該偏差量に基づいてロボットの制御指令値を補正して(自動復旧措置)、ロボットの運転を継続する(ステップ5)。
一方、偏差量が許容範囲を超えている場合には、制御指令値の補正では適切に対処することができないので、エラー信号を発信してロボットの運転を中止する(ステップ6)。
このように本実施形態においては、ロボットの自己診断機能によって、ロボットの状態に応じて適切な対応を取ることができるので、ロボットの解体・点検作業を必要とするようなトラブルを未然に防ぐことができる。
また、自動復旧措置(ステップ5)を行うことにより、従来は人手により計器を使って計測して判断していたのに比べて、装置のダウンタイムを大幅に削減することができる。
このように本実施形態によれば、装置のダウンタイムを大幅に削減して、稼働率を大幅に上昇させることができる。
上述した実施形態においては、一つのウェハカセットに対してその中心位置を求めるようにしたが、図8に示したフロントエンドモジュール(EFEM:Equipment Front End Module)のように複数のウェハカセット(FOUP)51が配置されている場合には、それぞれのウェハカセット51についてその中心位置を求めるようにしても良い。
図9は、複数のウェハカセット51についてのカセット中心位置(計測位置)の経時変化を示している。
図9に示した時系列データにおいては、第1から第3のウェハカセット51については、カセット中心位置の経時変化の傾向が共通している。一方、第4のウェハカセット51は、最新の計測日(11/10)において、他の3つのウェハカセット51とは異なる変化を示している。
このように4つのウェハカセット51のうち、第4のウェハカセット51だけが異なった変化を示した場合には、ロボット側の状態が変化したのではなく、第4のウェハカセット51の状態が変化したものと推定することができる。
このように複数のウェハカセット51に対してカセット中心位置を監視することにより、ウェハカセット側の異常を早期に検出することが可能となる。
また、上記実施形態の変形例としては、例えば何らかの原因によってロボット10のハンド25が変形してしまい、作業員が人手によりハンド25を修復する場合には、ターゲット又はセンサユニットを用いた上述のセンシング操作によってハンド25の位置(計測位置)を確認しながら、ハンド25の位置(計測位置)が標準値(レファランス)に近づくようにハンド25を修復することができる。
また、上記実施形態の他の変形例としては、例えばロボット10のハンド25がウェハカセット51に衝突するといったようなトラブルが発生した場合、その原因を特定するために、上述のセンシング操作により取得された時系列データを利用することができる(トラブルシューティング)。
例えば、図10に示したように、センシングにより計測されたカセット中心位置(計測位置)が、トラブル発生前には標準値付近で安定していたところ、トラブル発生直後に標準値から大きくずれてしまい、以降は標準値近傍に復帰しなかったとする。
このケースにおいては、トラブル発生前はロボット10の状態が安定していたことから、今回のトラブルの原因が、ロボット以外の機器によるものと推定される。このようにトラブルの原因を絞り込むことにより、復旧作業の負担を軽減することができる。
なお、上述した実施形態においては、ハンド25に保持されたウェハ50をターゲット(カセット51)との接触部材として用いているが、図11に示したように、ハンド25自身を接触部材として用いて、上述のソフトタッチング操作により、追加設置した目標物(ターゲット)54にハンド25を左右両側から順次接触させるようにしても良い。
この場合、ロボット制御手段40は、記憶部41に格納されたハンド25の形状・寸法のデータと、接触時のロボットアーム28の姿勢及び手首軸27の角度位置とに基づいて、XY平面内の目標物54の位置を決定する。
また、図12に示したように円柱状の目標物54の上端部を先細り形状として、この形状に関するデータを予め記憶部41に記憶させておく。そして、Z軸方向における複数の異なる位置において、ハンド25を目標物54の左右両側に順次接触させる。これにより、各Z方向位置における目標物54の直径に関するデータが得られる。
このようにして取得した各Z方向位置での直径データに基づいて、目標物54の直径が変化するZ方向位置を特定する。これにより、目標物54におけるZ方向の基準点54Aの位置(計測位置)を取得することができる。
また変形例としては、上述したタッチセンシング操作に代えて、図13に示したセンサユニット60をロボットアーム28の動作範囲内の所定の位置に設置して、このセンサユニット60によってロボット10のハンド25の特定部位を検出するようにしてもよい。
センサユニット60は、垂直スルービームセンサ61と水平スルービームセンサ62とを備えている。垂直スルービームセンサ61は、垂直方向に向けてビームを放射する発光部61Aと、放射されたビームを受ける受光部61Bとを有する。水平スルービームセンサ62は、水平方向に向けてビームを放射する発光部62Aと、放射されたビームを受ける受光部62Bとを有する。
このセンサユニット60は、図14に示したハンド25の先端部をセンシングして、X、Y、Z位置を測定するものである。Z方向は水平スルービームセンサ62を用い、X、Y方向は垂直スルービームセンサ61を用いる。
センサユニット60を用いてレファレンスデータを計測するために、例えば、Z方向のセンシングは、ハンド25をZ方向に上下に動作させ、図15に示したように、水平スルービームセンサ62を横切ってONする位置と行き過ぎてOFFする位置を計測する。
上動作(正動作)でON/OFF位置2点(a,b)、下動作(逆動作)でON/OFF位置2点(c,d)の計4点から、Z方向の計測位置Tは次式となる。
T=(a+b+c+d)/4
また、A、Bも次のようにして求めておく。
A=c−a
B=d−b
上述したリファレンスデータ計測により、ハンド先端2箇所についてX,Y,Z方向のT,A,Bの値が求められる。
そして、上述したように定期的にセンシング動作を行い、リファレンス動作で取得した結果と比較する。センシングした結果を記憶部41に保存しておき、変化の経緯を確認できるようにする。
比較した結果、ずれが発生していれば、あらかじめ設定しておいた閾値(図6参照)から判断して、次の3モードのいずれかでロボットを動作させる。
(i)許容範囲内として何もしない(図7のステップ3)。
(ii)ずれ分を補正して動作させる(図7のステップ5)。
(iii)エラーとしてロボットの運転を中止する(図7のステップ6)。
なお、ここでの「ずれ」は、計測位置Tに基づいている。A,Bのずれは駆動系のガタやヒステリシス等の影響が大きく、補正できない。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の範囲内で適宜変更することができる。
例えば、センシング対象としてのターゲットは、上述したウェハカセット51や追加設置した目標物54に限定されることはなく、ロボットアーム28の動作範囲内にある周辺機器等のいずれかを適宜ターゲットとすることができる。
また、上記実施形態によるロボットは半導体ウェハ(円形基板)を搬送するものであるが、これに代えて、液晶表示パネルに用いられるガラス基板(方形基板)を搬送するものとすることもできる。
10 ロボット
20 ロボット本体
25 ハンド(エンドエフェクタ)
27 手首軸
28 ロボットアーム
29、30 アーム駆動手段
31 手首軸駆動手段
32 昇降駆動手段
33、35、37 サーボモータ
33A、35A、37A エンコーダ
40 ロボット制御手段
41 記憶部
50 半導体ウェハ(基板)
51 ウェハカセット(FOUP)
52、53 カセット内壁面(ターゲット)
54 追加設置された目標物(ターゲット)
60 センサユニット
61 垂直スルービームセンサ
62 水平スルービームセンサ

Claims (9)

  1. 先端部に手首軸が回転自在に設けられたロボットアームと、前記手首軸に取り付けられたエンドエフェクタと、前記ロボットアームを変位駆動するアーム駆動手段と、前記手首軸を回転駆動する手首軸駆動手段と、前記アーム駆動手段及び前記手首軸駆動手段を制御するロボット制御手段と、を備え、
    前記ロボット制御手段は、前記アーム駆動手段及び前記手首軸駆動手段を駆動して前記エンドエフェクタを所定の実位置に移動させ、前記エンドエフェクタが前記所定の実位置に到達した時点での前記ロボットアームの姿勢及び前記手首軸の角度位置を検出し、その検出結果に基づいて前記所定の実位置に対応する計測位置を算出し、前記計測位置を記憶し、異なる時点において取得された複数の前記計測位置の時系列データに基づいて前記ロボットの状態を判定するように構成されていることを特徴とするロボット。
  2. 前記所定の実位置にはターゲットが配置されており、前記ロボット制御手段は、前記アーム駆動手段を制御して前記エンドエフェクタを前記ターゲットに接触させ、前記エンドエフェクタと前記ターゲットとの接触により前記手首軸が角変位を開始した時点での前記ロボットアームの姿勢及び前記手首軸の角度位置を検出し、その検出結果に基づいて前記計測位置を算出するように構成されている請求項1記載のロボット。
  3. 前記ターゲットは、前記ロボットにより搬送される基板を取り扱う装置の一部である請求項2記載のロボット。
  4. 前記エンドエフェクタの特定部位を検出することにより、前記エンドエフェクタが前記所定の実位置に到達したことを検出するセンサユニットを更に備える請求項1記載のロボット。
  5. 前記手首軸駆動手段は、前記手首軸を回転駆動するモータと、前記モータに設けられたエンコーダと、を含み、
    前記ロボット制御手段は、前記手首軸の角度位置を前記エンコーダの位置により検出するように構成されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載のロボット。
  6. 前記ロボット制御手段は、複数の前記所定の実位置についての複数の前記計測位置を算出して記憶するように構成されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載のロボット。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のロボットを制御する方法であって、
    前記ロボット制御手段により前記エンドエフェクタを前記所定の実位置に移動させる工程と、
    前記エンドエフェクタが前記所定の実位置に到達した時点での前記ロボットアームの姿勢及び前記手首軸の角度位置を検出する工程と、
    前記検出する工程により得られた前記検出結果に基づいて前記所定の実位置に対応する前記計測位置を算出する工程と、
    前記計測位置を記憶する工程と、
    異なる時点において取得された複数の前記計測位置の時系列データに基づいて前記ロボットの状態を判定する工程と、を備えたことを特徴とするロボットの制御方法。
  8. 前記判定する工程において、前記計測位置を予め設定された標準値と比較してその偏差量を算出し、前記偏差量が予め設定された許容範囲を超えている場合にはエラー信号を発信する請求項7記載のロボットの制御方法。
  9. 前記判定する工程において、前記計測位置が前記標準値からずれているが、その偏差量が前記許容範囲を超えていない場合には、前記偏差量に基づいて前記ロボットの制御指令値を補正する請求項8記載のロボットの制御方法。
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