JP2010188803A - アームレスト - Google Patents

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Abstract

【課題】側突時の衝撃吸収性能とアームレストとしての強度とを両立させ、かつ軽量化と触感の良さも満足させる。
【解決手段】芯材1に表裏を貫通する複数の菱形状の空間12を区画するハニカム形状のリブ11を形成し、リブ11の断面形状を上に凸の断面湾曲形状とした。リブ11のアーチ形状効果によって上方からの荷重を受けることができ、リブ11の数を少なくしてもアームレストとしての強度を確保することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車のドアトリムなどに固定されて使用されるアームレストに関するものである。
自動車室内には、芯材と芯材を被覆する表皮材とからなるアームレストが、例えばドアトリムから突出して設けられている。このアームレストは、上面に肘をかけたりすることで乗員の身体を安定して保持可能とするものであり、強度を確保するための樹脂製の芯材と、触感を高めるための表皮材とから形成されている。
ところで近年、車両に衝撃が加わった際に人体を保護するために、内装品に衝撃吸収機能を付与することが行われている。アームレストも例外ではなく、過大な荷重が加わった場合に芯材が変形して衝撃を吸収する必要がある。例えば実開平07−015416号公報には、芯材にV溝を形成とともに、V溝に衝撃荷重を集中させる突起を形成したアームレストが提案されている。このアームレストによれば、側突時など側方から過大な荷重が加わった際にV溝で芯材が座屈することで衝撃を吸収することができ、人体を保護することができる。
ところがV溝などの脆弱部を形成した芯材では、上面から過大な荷重が作用した場合に脆弱部で芯材が破断する恐れがあり、アームレストとしての強度と側突時の衝撃吸収性能とをバランスさせるのが難しかった。
そこで特開平09−277863号公報あるいは特開平09−175242号公報などには、下方向へ延びるリブによって複数の菱形状の空間を区画した芯材をもつアームレストが提案されている。このアームレストによれば、側突時には菱形状の空間の面積が縮小する方向へリブが座屈することで衝撃を吸収することができる。またリブによって上下方向の荷重に対する強度も確保することができる。
実開平07−015416号公報 特開平09−277863号公報 特開平09−175242号公報
ところが下方向へ延びるリブによって複数の菱形状の空間を区画した芯材をもつアームレストにおいて、菱形状の空間が上下方向で芯材を貫通している場合には、リブの端面で上方からの荷重を受けることになる。そのためリブの形成密度が低いとアームレストとしての強度に不足するため、リブの形成密度を高めたり、リブの厚さを厚くする必要があり、そうすると重量が増大するという問題があった。また芯材に表皮材を積層しても、表皮材の表面からリブの存在が感触されるため触感が悪いという不具合もある。
一方、特許文献2に記載されたように、菱形状の空間を覆う薄肉部を形成した芯材の場合には、薄肉部によって触感が損なわれるのを防止することができる。しかし衝撃吸収時には、薄肉部によってリブの座屈が損なわれないように設計する必要があり、また薄肉部によって重量が増大するという問題もあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、下方向へ延びるリブによって複数の菱形状の空間を区画した芯材をもつアームレストにおいて、側突時の衝撃吸収性能とアームレストとしての強度とが両立し、かつ軽量化と触感の良さも満足するアームレストとすることを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する本発明のアームレストの特徴は、樹脂製で略長尺板状の芯材と芯材に積層された表皮材とからなるアームレストであって、芯材は枠部と、枠部の内周側に枠部と一体に形成され表裏を貫通する複数の菱形状の空間を区画するハニカム形状の複数のリブとを有し、各々のリブは上に凸の断面湾曲形状をなすことにある。
表皮材は表皮層とクッション層とからなり、クッション層は芯材と別体に形成されていることが望ましい。この場合、クッション層は発泡型により成形されていることが望ましく、表皮層と一体成形されて表皮層と接合されていることが望ましい。さらに、クッション層の硬さにもよるが、一般的にはクッション層の厚みが前記菱形状の空間の対角線のうち短い側の対角線の長さの1/2倍以上であることが望ましい。
本発明のアームレストによれば、表裏を貫通する複数の菱形状の空間を区画するハニカム形状のリブを有しているので、側突時などの衝撃によって菱形状の空間を狭めるようにリブが座屈することで、従来と同様に衝撃を吸収することができる。そしてリブが上に凸の断面湾曲形状をなしているので、そのアーチ形状効果によって上方からの荷重を受けることができ、リブの数を少なくしても(菱形状の空間の面積を大きくしても)アームレストとしての強度を確保することができる。またリブは断面湾曲形状であるので裏面側が中空状となり、リブの数を少なくすることができることと相まって、大幅な軽量化を図ることができる。
そして表皮材を表皮層とクッション層とから構成し、クッション層を芯材と別体に形成すれば、側突時にクッション層自体がリブの補強材として機能してしまうようなことがなくなり、衝撃吸収特性が損なわれることがない。したがって芯材の形状設計によってのみ衝撃吸収性能を設計することができ、設計精度が向上する。また芯材とクッション層を容易に分離できるので、芯材のリサイクルも容易である。
さらにクッション層が発泡型により成形されていることにより、芯材の配置に合わせた自由な形状にすることができると共に、芯材との接触部分のクッション層表面に形成されたインテグラルスキンによりクッション層の耐久性がUPする。また表皮層と一体成形されて表皮層と接合されている構造の表皮材とすれば、クッション層の成形時に表皮層を所定形状に賦形できるので、凹意匠などを容易に形成することができ意匠の自由度が向上する。また表皮層が配置される型面への離型剤の塗布が不要となるので成形工数を低減することができ、表皮材を芯材と積層する際の工数も低減できる。
また従来技術に開示された下方へ延びるリブは板状であるため、仮に上端を面取りしたとしても曲率半径が小さいものとなってしまう。しかし本発明のアームレストによれば、リブの幅寸法を大きくすることができるためリブ上面の曲率半径を大きくすることができ、内突規制値を十分に満足することができる。
本発明の一実施例に係るアームレストを取り付けたドアトリムの斜視図である。 本発明の一実施例に係るアームレストの断面図である。 本発明の一実施例に係るアームレストに用いた芯材の斜視図である。 本発明の一実施例に係るアームレストに用いた芯材の要部拡大断面図である。 本発明の一実施例に係るアームレストの製造方法を示す説明断面図である。 本発明の一実施例に係るアームレストの他の態様を示す断面図である。 本発明の一実施例に係るアームレストの他の態様を示す断面図である。 本発明の第2の実施例に係るアームレストを取り付けたドアトリムの斜視図である。 本発明の第2の実施例に係るアームレストの製造方法を示す説明断面図である。
本発明のアームレストは、芯材と表皮材とから構成される。このうち芯材は、アームレストとしての強度を付与するとともに衝撃吸収性能を付与するものであり、各種の硬質樹脂から射出成形などによって形成されている。
芯材は人体肘部の長さ程度の略長尺板状をなし、全体の外形を規定する枠部と、枠部の内周側に一体に形成され表裏を貫通する複数の菱形状の空間を区画するハニカム形状の複数のリブと、を有している。そして各々のリブは、上に凸の断面湾曲形状をなしている。したがって側突時などにアームレストに対して側方から衝撃荷重が加えられると、先ず逆U字形状の幅を狭めるようにリブが弾性変形し、次いで菱形状の空間を狭めるようにリブ全体が弾性変形する。衝撃荷重が小さい場合には、これらの弾性変形によって衝撃を吸収することができる。衝撃荷重がこれらの弾性変形による吸収エネルギーを超える場合には、菱形状の空間を狭めるようにリブが座屈することで衝撃荷重が吸収される。
樹脂種、リブの形状、厚さ、ピッチ(菱形状空間の数や大きさに対応)などの設計は、目的とする衝撃荷重によって種々選択される。リブの断面湾曲形状としては、例えば円柱の側面状の表面(断面半円形状)とすることができる。断面半円形状とすることで、そのアーチ効果によって上方からの荷重に対する強度が高まり、リブの壁厚を薄くしてもアームレストとしての強度を確保することができる。したがって大幅な芯材の軽量化を図ることができる。
なおアームレストとしての強度をさらに高める場合には、断面半円形状の両端から一対の脚部がさらに裏面側へ延びる断面逆U字形状としてもよいし、断面半円形状又は断面逆U字形状の裏面側に突出しリブと平行に延びる副リブを形成することもできる。
表皮材は芯材を覆ってアームレストとしての意匠と触感を付与するものであり、表皮層のみでもよいが、表皮層と発泡型により成形されたクッション層とからなるものを用いることが望ましい。表皮層は、織布、不織布、皮革、合成皮革、軟質樹脂などから形成することができる。またクッション層は、発泡ウレタン、発泡ポリオレフィンなどから形成することができる。
表皮材と芯材とを積層することで、アームレストが製造される。例えば芯材と表皮層とを発泡成形型内に配置し、クッション層を一体成形すれば、表皮層と芯材とが一体に接合されたクッション層を有するアームレストを製造することができる。しかしこの場合には、芯材が発泡樹脂と接着されていることにより側突時に芯材が発泡樹脂自体で補強されることになり衝撃吸収特性が変化してしまう。
そこでクッション層を芯材と別体に形成し、後から積層して一体化することが望ましい。このようにすることで、芯材の形状設計によってのみ衝撃吸収性能を設計することができ、設計精度が向上する。また芯材とクッション層を容易に分離できるので、芯材のリサイクルも容易となる。さらにクッション層を発泡型により成形されたモールド品とすることにより、芯材とクッション層が接着されていなくても芯材の形状にフィットさせることができると共にゴツゴツ感のない好ましい触感を確保することができる。さらに芯材との接触部分のクッション層表面に形成されたインテグラルスキンによりクッション層の耐久性がUPする。
この場合には、表皮層とクッション層とをそれぞれ別体に形成し、クッション層の表面に表皮層を積層して一体化することもできる。しかしこの場合には、表皮層の表面に凹形状の意匠を形成することが一般には困難である。クッション層に予め凹形状の意匠を形成しておき、クッション層の裏面側から真空吸引などすれば表皮層にも凹形状の意匠を形成することができるが、工程が増加するという問題がある。
そこでクッション層の成形時に、発泡成形型の型面に沿うように表皮層を配置してクッション層を一体発泡成形することが望ましい。このようにすることで表皮層の表面に凹形状の意匠を容易に形成することができる。また表皮層が配置される型面には離型剤を塗布する必要がないので、成形工数も低減できる。
クッション層の厚さや硬度は、芯材のリブの形状に応じて種々選択することができるが、表皮層の表面から押圧した場合にリブ及び菱形状の空間の存在が知覚できない程度に設計することが望ましい。例えばクッション層の厚さを、菱形状の空間の対角線のうち短い側の対角線の長さの1/2倍以上とすれば、上方から押圧した際にクッション層が菱形状の空間に入り込むのを防止することができ、ゴツゴツした触感が知覚されるのを防止することができる。またクッション層の硬度をC硬度20〜65としても、リブや菱形状の空間の存在を知覚することなくクッション層による弾性が損なわれるのを防止することができる。
以下、図面を参照しながら実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
図1に本実施例のアームレスト 100を備えた自動車ドアの要部斜視図を、図2に本実施例のアームレスト 100の断面図を、図3に本実施例のアームレスト 100に用いた芯材1の斜視図を示す。このアームレストは、ポリプロピレンから射出成形により形成された芯材1と、表皮材2とから構成され、ドアトリム 200に固定されている。
芯材1は、枠部10と枠部10で囲まれた内周側に形成されたハニカム形状の複数のリブ11とを有し、複数のリブ11で区画された複数の菱形状の空間12を有している。枠部10の車両外方側には複数のボス13が外方に向かって突出形成され、車室内側には複数の爪部14が下方に向かって突出形成されている。リブ11は、図2に示すように上に凸の断面半円形状に形成されている。また図4に拡大して示すように、リブ11の壁厚さ(t)は 1.5mmであり、高さ(H)は4mmであり、互いに平行なリブ11どうしのピッチ(L)は25mmに設計されている。
この芯材1は、厚さ 1.5mmの平板形状をなし一部にV溝を形成した従来の芯材に比べて重量が約86%となり、約14%軽量化されている。
表皮材2は、発泡型により成形された発泡ウレタン製のクッション層20と、熱可塑性エラストマー製の表皮層21とからなり、図5に示すように、芯材1の表面にクッション層20が積層され、クッション層20の表面に表皮層21が積層されている。クッション層20と表皮層21とは接着剤によって一体的に接合され、表皮層21の周縁部が芯材1を巻き込んでタッカーなどで芯材1に固定されている。クッション層20の厚さは12mmであり、空間12の二つの対角線のうち短い方の対角線の長さ(約20mm)の1/2倍以上の厚さに設計されている。なおクッション層20の硬度は、C型硬度で35°である。
このように形成されたアームレスト 100は、ドアトリム 200に形成された水平な係合穴 201にボス13が挿入され、ドアトリム 200に形成された垂直な係合穴 202に爪部14が係合することで、ドアトリム 200に固定されている。
本実施例のアームレストによれば、側突などで人体から大きな衝撃が加わった場合には、先ず断面半円形状の径を狭めるようにリブ11が弾性変形し、次いで菱形状の空間12を狭めるように複数のリブ11が弾性変形する。衝撃荷重が小さい場合には、これらの弾性変形によって衝撃を吸収することができる。衝撃荷重がこれらの弾性変形による吸収エネルギーを超える場合には、菱形状の空間12を狭めるように複数のリブ11が座屈することで衝撃荷重が吸収される。
そして乗員などからの荷重が上方から加わった際には、リブ11の断面形状が断面半円形状であるため、そのアーチ形状効果によってリブ11の投影面積が少なくても荷重を支えることができ、芯材1の破損が防止される。またクッション層20は、厚さが十分であるため上方から押圧しても菱形状の空間12に入り込むことがなく、リブ11及び菱形状の空間12によるゴツゴツ感を知覚することがないので、触感に優れている。さらに芯材1は従来に比べて約14%軽量化されているので、燃費の向上にもつながる。
さらに本実施例のアームレスト 100によれば、表皮材2のクッション層20と芯材1とが別体に形成してあることにより、芯材1を表皮材2と容易に分離できるので、芯材1のリサイクルが容易である。
なお本実施例のアームレスト 100において、上方から加わる荷重に対する強度をさらに増大するには、図6に示すように、リブ11の裏面側にリブ11と平行に延びる平板状リブ15を形成すればよい。あるいは図7に示すように、リブ11の両端部を下方に延長した延長部16を形成して断面逆U字形状としてもよい。
図8に本実施例のアームレスト 300を備えた自動車ドアの要部斜視図を、図9にアームレスト 300の製造方法を示す。このアームレスト 300は、上表面に凹形状の意匠部 301を有すること以外は実施例1と同様である。
このアームレスト 300は、先ず表皮層30を発泡成形型の型面に配置した状態でクッション層31を一体発泡成形して表皮材3を形成する。このとき表皮層30が配置される型面には離型剤を塗布する必要が無いので、成形工数を低減することができ離型剤の使用量も低減できる。そして型面に形成された突条によって表皮層30には意匠部 301が形成され、クッション層31によってその形状が固定される。得られた表皮材3は実施例1と同様の芯材1と積層され、表皮層30の周縁部が芯材1と固定されることでアームレスト 300が製造される。
したがって本実施例のアームレスト 300によれば、凹形状の意匠部 301を有する形状であっても、その凹形状がシャープに再現されるため、意匠性の自由度が向上する。また実施例1と同様に芯材1を表皮材3と容易に分離できるので、芯材1のリサイクルが容易である。
本発明のアームレストは、ドアトリムに固定して用いられるばかりでなく、シートの肘掛けに固定したりして用いることもできる。また自動車ばかりでなく、航空機や列車、船舶などに用いることもできる。
1:芯材
2:表皮材
10:枠部
11:リブ
12:菱形状の空間

Claims (5)

  1. 樹脂製で略長尺板状の芯材と該芯材に積層された表皮材とからなるアームレストであって、
    該芯材は枠部と、該枠部の内周側に該枠部と一体に形成され表裏を貫通する複数の菱形状の空間を区画するハニカム形状の複数のリブとを有し、各々の該リブは上に凸の断面湾曲形状をなすことを特徴とするアームレスト。
  2. 前記表皮材は表皮層とクッション層とからなり、該クッション層は前記芯材と別体に形成されている請求項1に記載のアームレスト。
  3. 前記クッション層は発泡型により成形されている請求項2に記載のアームレスト。
  4. 前記クッション層は前記表皮層と一体成形されて前記表皮層と接合されている請求項2に記載のアームレスト。
  5. 前記クッション層の厚みが前記菱形状の空間の対角線のうち短い側の対角線の長さの1/2倍以上である請求項2又は請求項3に記載のアームレスト。
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