JP2010181727A - 反射防止ハードコートフィルムの製造方法、反射防止ハードコートフィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

反射防止ハードコートフィルムの製造方法、反射防止ハードコートフィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】各層の塗布ムラ、各層の界面の密着性、被接触媒体へのシリコーン成分の転写、耐擦傷性、防汚性の観点で優れた反射防止ハードコートフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】硬化性化合物と、該硬化性化合物100質量部に対して、0.01〜5質量部の反応性シリコーンとを含有するハードコート層形成用組成物を塗布する工程、低屈折率層形成用組成物を塗布する工程、前記ハードコート層に含まれる反応性シリコーンを低屈折率層形成用組成物の表面にブリードアウトさせる工程、及び低屈折率層形成用組成物を硬化させて、前記反応性シリコーンを低屈折率層にアンカリングさせる工程、を含む反射防止ハードコートフィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止ハードコートフィルムの製造方法、反射防止ハードコートフィルム、偏光板、及び画像表示装置に関する。
光学フィルムの一種である反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置において、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、ディスプレイの表面に配置される。
反射防止フィルムに塗布ムラがある場合、該反射防止フィルムを搭載した画像表示装置の表示品位を著しく低下させるため、塗布ムラは極力少なく、良好な面状であることが強く望まれる。
また、液晶表示装置、タッチパネルディスプレイなどの画像表示面上に、ほこりや指紋がつかない、又はついたとしても簡単にふき取れるといった、防汚性の高さも良好な面状と同時に求められている。
塗布ムラを減少させるために塗布膜の表面張力を低下する目的で、シリコーン系レベリング剤やフッ素系レベリング剤などのレベリング剤が一般に用いられる。ところが、面状改良のためにこれらのレベリング剤を含有する第1の硬化層上に、さらに第2の硬化層を形成する場合、第1の硬化層表面に存在するレベリング剤は様々な問題を引き起こす。例えば、第2の硬化層形成後にも第1の硬化層表面にレベリング剤が存在する場合には、このレベリング剤は第1の硬化層と第2の硬化層の界面をブロックし、第1の硬化層と第2の硬化層を繋ぐ結合が形成されず、密着不良の問題を引き起こす。また第2の硬化層を塗布した際のハジキが発生しやすい。一方、第2の硬化層形成時、レベリング剤が第2の硬化層形成液で抽出される場合、上記の密着不良やハジキの問題は回避されうるが、抽出されたレベリング剤は、第2の硬化層上にブリードアウトし、第2の硬化層に接触する媒体へのレベリング剤成分の転写、製造ラインの汚染等が予期される。また、これらを抑制するために第1の硬化層中のレベリング剤を少なくすると、第1の硬化層で満足な塗布面状が得られなくなる。
特許文献1には、フッ素系レベリング剤を含有したハードコート層表面にコロナ処理などの親水化処理を施した後に機能性層を積層することで機能性層の塗布ムラを防止する方法が記載されている。コロナ処理などで親水化できるのは第1の硬化層が充分にレベリング剤のフルオロアルキル基などの疎水性基に覆われていない部分が親水化される場合と、フルオロアルキル基が切断して親水化する場合が考えられる。フルオロアルキル基に覆われていない場合は、第1の硬化層形成時充分なレベリング能が期待できない。また、フルオロアルキル基が切断して親水化する場合は切断したフルオロアルキル基には親媒性基を有さないため、第2の硬化層用塗布液への分散性が悪く、この化合物が第2の硬化層の面状に及ぼす悪影響が懸念される。
特許文献2では、ハードコート層に(メタ)アクリレート基を有する反応性シリコーンを含有し、低屈折率層にもシロキサン成分を含有させている。これらハードコート層の反応性シリコーンと、低屈折率層のシロキサン成分を界面で結合させる事によって、ハードコート層と低屈折率層の界面での密着性を向上させて、その結果、低屈折率層がハードコート層との界面で剥離するのを防止する提案がなされている。しかしながら、この様に密着性を向上させるために、界面で反応性シリコーンを結合させた場合、低屈折率層塗布時のハジキ等が発生しやすく、良質な面状を確保する事ができない事が分かった。
また、反射防止ハードコート層の防汚性を向上させる方法として、シリコンオイルやフッ素ポリマーを低屈折率層表面に塗布することにより、表面の防汚性(撥水・撥油性)を向上させる方法が提案されている。しかしながら、この方法には、防汚剤を表面に塗布するのみであるため、防汚剤がすぐにとれてしまい、防汚性の効果が長続きしない、つまり防汚耐久性に劣る、という欠点があった(特許文献3)。低屈折率層に架橋型のシリコーン系防汚剤を用いる例が提案されているが、低屈折率層に添加された防汚剤が空気界面に固定されていても、ハードコート層のレベリング剤が低屈折率層の表面にブリードアウトしてしまうと、レベリング剤の転写によって製造ラインの汚染等の問題が発生する事が有る事が分かった(特許文献4)。
この様な背景から、良好な面状を確保し、優れた防汚性を維持し、そして低屈折率層表面の成分が転写しないハードコート反射防止フィルムが強く望まれている。
特開2003−326649号公報 特開2006−240292号公報 特開2000−121804号公報 特開2008−106190号公報
本発明は、透明プラスチック基材上に、ハードコート層及び低屈折率層をこの順で有する反射防止ハードコートフィルムにおいて、各層の塗布ムラが少なく、各層の界面の密着性が良好で、被接触媒体へのシリコーン成分の転写が少なく、かつ耐擦傷性及び防汚性に優れる反射防止ハードコートフィルムの製造方法を提供することを目的とする。また、該製造方法により製造された反射防止ハードコートフィルム、該反射防止ハードコートフィルムを有する偏光板及び画像表示装置を提供することも目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、ハードコート層のレベリング剤として特定の反応性シリコーンを用い、該レベリング剤を低屈折率層の前記透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面にブリードアウトさせ、かつ低屈折率層中に固定することによって上記目的が達成されることを見出した。すなわち本発明は下記のとおりである。
1.
透明プラスチックフィルム基材上に、ハードコート層、及び低屈折率層をこの順で有する反射防止ハードコートフィルムの製造方法であって、
硬化性化合物と、該硬化性化合物100質量部に対して、0.01〜5質量部のエチレン性不飽和基を有する反応性シリコーンとを含有するハードコート層形成用組成物を塗布する工程、
前記ハードコート層形成用組成物を硬化させてハードコート層を形成する工程、
低屈折率層形成用組成物を塗布する工程、
前記ハードコート層に含まれる前記反応性シリコーンを前記低屈折率層形成用組成物の前記透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面にブリードアウトさせる工程、及び
前記低屈折率層形成用組成物を硬化させて、低屈折率層を形成するとともに、前記反応性シリコーンを低屈折率層にアンカリングさせる工程、を含む反射防止ハードコートフィルムの製造方法。
2.
前記ハードコート層形成用組成物の硬化が、酸素濃度が10体積%〜23体積%の雰囲気下で活性エネルギー線を用いて行われ、前記低屈折率層形成用組成物の硬化が、酸素濃度が4%体積以下の雰囲気下で活性エネルギー線を用いて行われる、上記1に記載の反射防止ハードコートフィルムの製造方法。
3.
前記反応性シリコーンが、下記一般式(2)で表される構造を含む共重合体である上記1又は2に記載の反射防止ハードコートフィルムの製造方法。
Figure 2010181727
{一般式(2)中、X31はポリシロキサン構造を含む構成単位を表す。Y31は任意のビニルモノマーに基づく構成単位を表し、1種でも複数種でもよい。L31は単結合又は2価の連結基を表し、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。x、y、zは各構成単位の組成比(モル%)を表し、10≦x<100、0≦y≦89、1≦z≦50、x+y+z=100を満たす値を表す。}
4.
前記低屈折率層形成用組成物が、平均粒径1〜150nmのケイ素酸化物を主成分とする無機微粒子と、活性エネルギー線硬化性樹脂とを含む、上記1〜3のいずれかに記載の反射防止ハードコートフィルムの製造方法。
5.
前記硬化性樹脂の少なくとも30質量%が1分子中に重合性官能基を4つ以上有する化合物である、上記4に記載の反射防止ハードコートフィルムの製造方法。
6.
上記1〜5のいずれかに記載の製造方法により製造された反射防止ハードコートフィルム。
7.
前記ハードコート層が、透光性樹脂と光拡散性粒子とを含有する、上記6に記載の反射防止ハードコートフィルム。
8.
偏光膜の両面に保護フィルムを有する偏光板であって、上記6又は7に記載の反射防止ハードコートフィルムを該保護フィルムの少なくとも一方として有する偏光板。
9.
上記6若しくは7に記載の反射防止ハードコートフィルム、又は上記8に記載の偏光板を、ディスプレイの表面に有する画像表示装置。
本発明によれば、透明プラスチック基材上に、ハードコート層及び低屈折率層をこの順で有する反射防止ハードコートフィルムであって、各層の塗布ムラが少なく、各層の界面の密着性が良好で、被接触媒体へのシリコーン成分の転写が少なく、かつ耐擦傷性及び防汚性に優れる反射防止ハードコートフィルムを提供することができる。また、該反射防止ハードコートフィルムを有する偏光板及び画像表示装置を提供することができる。
以下、本発明に関してさらに詳細に説明する。
なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は、「数値1以上〜数値2以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレートおよびメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
本発明は、透明プラスチックフィルム基材上に、ハードコート層、及び低屈折率層をこの順で有する反射防止ハードコートフィルムの製造方法であって、
硬化性化合物と、該硬化性化合物100質量部に対して、0.01〜5質量部のエチレン性不飽和基を有する反応性シリコーンとを含有するハードコート層形成用組成物を塗布する工程、
前記ハードコート層形成用組成物を硬化させてハードコート層を形成する工程、
低屈折率層形成用組成物を塗布する工程、
前記ハードコート層に含まれる前記反応性シリコーンを前記低屈折率層形成用組成物の前記透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面にブリードアウトさせる工程、及び
前記低屈折率層形成用組成物を硬化させて、低屈折率層を形成するとともに、前記反応性シリコーンを低屈折率層にアンカリングさせる工程、を含む反射防止ハードコートフィルムの製造方法、及び該製造方法によって製造された反射防止ハードコートフィルムに関するものである。
前記反応性シリコーンが表面へブリードアウトするとは、表面へのしみ出しを意味する。表面へしみ出した反応性シリコーンは、表面に均一に分布していてもよく、海島構造を形成していても良い。
<反射防止ハードコートフィルムの層構成>
本発明の反射防止ハードコートフィルムは、透明プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に、少なくとも、ハードコート層及び低屈折率層をこの順で、各々少なくとも1層有する。また本発明では、ハードコート層の表面が凹凸形状を有していてもよい。
また透明プラスチックフィルム基材とそれよりも表面側の層の間に設けても良い層として、帯電防止層(ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、防湿層等が挙げられる。
<ハードコート層>
ハードコート層は、少なくとも、硬化性化合物と、該硬化性化合物100質量部に対して、0.01〜5質量部のエチレン性不飽和基を有する反応性シリコーンとを含有するハードコート層形成用組成物により形成される。
硬化性化合物に対する反応性シリコーンの量は0.01〜5質量部であり、0.01質量部より少ないとハードコート層形成用組成物塗布時のレベリング性が十分でなく、塗布ムラ発生の原因となる。また、反応性シリコーンは低屈折率層表面にブリードアウトされた後に、防汚性を付与する素材として働くため、添加量が0.01質量部よりも少ないと防汚性が十分ではない。また、5質量部よりも多いと低屈折率層形成用組成物塗布時にレベリング剤が低屈折率層に十分に抽出されず、ハードコート層と低屈折率層の界面に残ることによって密着不良や低屈折率層のハジキを発生してしまうため好ましくない。
ハードコート層は防眩性を付与する目的で少なくとも1種の透光性樹脂と少なくとも1種の光拡散性粒子を含有することが好ましく、ハードコート層の平均膜厚は4.5〜20μmが好ましい。平均膜厚が4.5μm以上であると、耐傷擦性が悪化しないため好ましい。また、膜厚が20μm以下であると、カールや材料コストの観点から好ましい。
ハードコート層形成用組成物中の反応性シリコーンを低屈折率層の前記透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面にブリードアウトさせるために、ハードコート層を40℃〜100℃で30秒〜5分間乾燥し、その後乾燥後の塗工層に酸素濃度10〜23体積%で活性エネルギー線により硬化させることが好ましい。活性エネルギー線としては、紫外線、電離放射線、赤外線などの電磁波、又は電子線などが挙げられるが、紫外線、電離放射線、又は電子線がより好ましく、紫外線がさらに好ましい。
ハードコート層の乾燥温度はより好ましくは40〜80℃、更に好ましくは50〜70℃である。酸素濃度はより好ましくは、酸素濃度12〜22体積%、さらに好ましくは、酸素濃度18〜21体積%である。一般に、樹脂層の硬膜は、樹脂層を満遍なく硬化するために、酸素濃度2体積%以下で硬化する方法が用いられるが、この方法を用いると反応性シリコーンはハードコート層界面で固定され、低屈折率層形成用組成物塗布時にハジキ等の問題を発生させる。一方、酸素濃度10〜23体積%の高い酸素濃度でハードコート層を硬化することで、ハードコート層表面に偏在した反応性シリコーンを意図的に硬化させないようにすることができる。それによって、その後低屈折率層形成用組成物を塗布した際に、反応性シリコーンを低屈折率層の前記透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面へブリードアウトさせることが可能となる。
低屈折率層の前記透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面へブリードアウトした反応性シリコーンは、低屈折率層を、好ましくは酸素濃度4体積%以下、より好ましくは酸素濃度0.01〜2体積%、さらに好ましくは酸素濃度0.01〜0.5体積%で硬化させることによって、反応性シリコーンに結合した残りの部位を低屈折率層中にアンカリングすることが可能である。
ハードコート層中の反応性シリコーンを前記透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面にブリードアウトさせる方法としては、上記の様にハードコート層と低屈折率層硬化時の酸素濃度を調整する以外に、ハードコート層にオルガノシロキサン系、メラミン系、ポリシラザン系等の熱硬化性樹脂を用い、低屈折率層に紫外線硬化性の樹脂を用いる方法もある。両層の硬化方法を変える事によって、反応性シリコーンをハードコート層に固定させる事無く、前記透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面にブリードアウトする事ができる。然しながら、ハードコート層と低屈折率層の密着性の観点から、ハードコート層、低屈折率層ともに紫外線で硬化する方法がより好ましく用いられる。
また、一般に二層以上の層を積層する場合、各層の塗布液に夫々レベリング剤を入れる必要があるが、本発明では、ハードコート層に入れた反応性シリコーンが層間を移動し、低屈折率層塗布時にもレベリング剤として機能するため、ハードコート層にのみ反応性シリコーンを添加すれば良いことも特徴である。
酸素濃度が10体積%よりも小さいと、低屈折率層の透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面に存在する反応性シリコーンの硬化が十分進んでしまい、低屈折率層塗布時の密着不良やハジキの原因となる。また、酸素濃度が23体積%より大きいとハードコート層自体の硬膜性が確保できなくなるため好ましく無く、酸素濃度を大気濃度以上にする必要は無い。
硬化に用いる紫外線照射装置については、特に制限は無く、例えば高圧水銀ランプ、キセノン水銀ランプ、メタルハライドランプ、ヒュージョンランプ等を用いた公知の紫外線照射装置を使用することができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は10mJ/cm〜350mJ/cmが好ましく、更に好ましくは、20mJ/cm〜300mJ/cmであり、特に好ましくは、30mJ/cm〜250mJ/cmである。
照射光量が10mJ/cmより小さいとハードコート層全体の硬化が十分で無く、透明プラスチック基材との密着性が悪化してしまう傾向がある。一方、照射光量が350mJ/cmより大きいと反応性シリコーンがハードコート層表面で固定されてしまうため、低屈折率層塗布時の密着不良やハジキの原因となる傾向がある。
電子線照射装置については特に制限はなく、加速電圧は通常80〜300kVであり、好ましくは100〜250、より好ましくは150〜200である。
本発明では、ハードコート層に含まれる未反応の硬化性化合物を含有したまま低屈折率層形成用組成物を塗布し、その後に更に硬化を進めることが好ましい。
低屈折率層形成用組成物を塗布する前のハードコート層の硬化性化合物の重合率は、10〜80%が好ましく、より好ましくは20〜70%、さらに好ましくは30〜60%である。上記範囲に重合率を調節することで、ハードコート層と低屈折率層の間の界面密着強化が十分に達成できる。重合率の測定は、高分子分析ハンドブック(日本分析化学会高分子分析懇談会編)に記載されている方法を用いることができる。具体的には、例えば(メタ)アクロイルオキシ基による重合反応の場合には、塗布済みのハードコート層中の(メタ)アクロイルオキシ基の炭素―炭素二重結合(C=C)起因の810cm−1付近の赤外吸収ピーク面積Aとアシル基(C=O)起因の1720cm−1付近の赤外吸収ピーク面積Bを重合反応前後で測定し、[(重合後のA/B)/(重合前のA/B)]*100により二重結合の消失度を算出し、これを重合率(%)とする。
(エチレン性不飽和基を有する反応性シリコーン)
本発明のハードコート層形成用組成物に含まれる反応性シリコーンは、ハードコート層形成用組成物塗布時にレベリング剤として機能し、その後低屈折率層形成用組成物塗布時に前記透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面にブリードアウトされ、そこで固定されることによって防汚性付与剤として機能する特徴を持つ。
シリコーン化合物は塗工時には塗工液の表面張力を効率的に下げ、基材に対する濡れ性、均質塗工性に対して有効に働く、また、シリコーン化合物はその表面エネルギーが低いために、塗膜表面の表面エネルギーを低下させるという駆動力により、塗工された塗膜の透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面側に偏在化することが一般的に知られている。
本発明では、低屈折率層の透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面に効果的に偏在させるために、下記の化合物が好ましく用いられる。具体的には主鎖に下記一般式(1)で表されるポリシロキサン構造を有する構成単位、及び側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位を含む共重合体(A){以下、単にポリシロキサン構造含有共重合体(A)ともいう}が好ましく用いられる。
Figure 2010181727
一般式(1)中、R11、R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換又は未置換のアルキル基、又はアリール基を表す。アルキル基としては炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、未置換のアルキル基の例としてメチル基、エチル基等が挙げられ、置換アルキル基の例としてはトリフルオロメチル基が挙げられる。アリール基としては炭素数6〜20が好ましく、例としてフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これらの中でもメチル基及びフェニル基が好ましく、特に好ましくはメチル基である。pは10〜500の整数を表わし、好ましくは50〜300であり、特に好ましくは100〜250である。
ポリシロキサン構造含有共重合体(A)は、添加量を適宜調節することにより、シロキサン成分の導入量を制御できる。さらにシロキサンの表面偏在性及びエチレン性不飽和基の存在により、シロキサン部位を表面に偏析させ、且つ、エチレン性不飽和基を低屈折率層の不飽和基と化学的に結合・固定化(アンカリング)させる事ができる。
シロキサン部位を表面に偏析させる事によって防汚性が付与され、エチレン性不飽和基を低屈折率層の不飽和基と化学的に結合させる事によって、防汚性の持続と防汚剤の転写を防止する事が可能となる。
ポリシロキサン構造含有共重合体(A)は、下記一般式(2)で表される共重合体であることが好ましい。
Figure 2010181727
一般式(2)中、X31はポリシロキサン構造を含む構成単位を表す。Y31は任意のビニルモノマーに基づく構成単位を表し、1種でも複数種でもよい。L31は単結合又は2価の連結基を表し、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。x、y、zは各構成単位の組成比(モル%)を表し、10≦x<100、0≦y≦89、1≦z≦50、x+y+z=100を満たす値を表す。
[ポリシロキサン構造を有する構成単位]
31としては、例えば前記一般式(1)で表されるポリシロキサン構造が挙げられる。ポリシロキサン構造を有する構成単位を以下、「単位(X)」ともいう。単位(X)を有する共重合体の合成法としては、従来よりいくつかの方法が提案されている。
例えば、J.C.Saamらは“Macromolecules”,3巻、1頁(1970年)において、アニオン重合法によりスチレン−ジメチルシロキサンブロック共重合体を得たことを報告している(以下、この方法をアニオン重合法と呼ぶ)。
また、手塚育志らは“Makromol.Chem.,Rapid Commun.”,5巻、559頁(1984年)において、官能基を有するプレポリマー同士のカップリング反応により、酢酸ビニル−ジメチルシロキサンブロック共重合体を得たことを報告している(以下、この方法をプレポリマー法と呼ぶ)。
さらに、井上弘らは「高分子学会予稿集」、34巻、293頁(1984年)において、ラジカル重合開始能を有するアゾ基含有ポリシロキサンアミドによるラジカル重合により、メチルメタクリレート−ジメチルシロキサンブロック共重合体を得たことを報告している(以下、この方法を高分子開始剤法と呼ぶ)。
しかし、上記アニオン重合法やプレポリマー法では、反応に適応できるビニル基単量体が限られており、反応工程が多段階になったり、反応条件が工業的に利用するには困難になったりしうる。工業的にブロック共重合体を製造するためには、ラジカル重合を用いて合成することが可能で、多くのビニル型単量体に適用でき、反応工程が少ないことが好ましい。
以上のような観点から、本発明で用いられるポリシロキサン構造含有共重合体(A)は高分子開始剤法で製造されることが好ましい。このような高分子開始剤は、例えばアゾ基、ペルオキシ基等のラジカル発生可能な基を有するポリシロキサン化合物である。このような開始剤は、例えば特公平6−104711号公報、特開平6−93100号公報等に記載の方法により合成できる。
(高分子開始剤の好適例)
こうした高分子開始剤のうち好ましいものの例を以下に示すが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
Figure 2010181727
Figure 2010181727
Figure 2010181727
Figure 2010181727
Figure 2010181727
[側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位]
ポリシロキサン構造含有共重合体(A)は、側鎖にエチレン性不飽和基を含有する構成単位(以下、「単位(Z)」ともいう)を含む。該単位(Z)を有することにより、架橋が可能となり、被接触媒体への転写を防ぐという効果が得られる。
前記一般式(2)中、L31は単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、直鎖でも、分岐構造、または環構造を有していてもよく、酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。L31は好ましくは炭素数1〜6の2価の連結基であり、より好ましくは炭素数2〜4の2価の連結基である。
ポリシロキサン構造含有共重合体(A)への(メタ)アクリロイル基の導入法は、特に限定されるものではないが、例えば:
(1)水酸基、アミノ基等の求核基を有する共重合体を合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、
(2)上記求核基を有する共重合体に、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、
(3)上記求核基を有する共重合体にメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、
(4)エポキシ基を有する共重合体を合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、
(5)カルボキシル基を有する共重合体にグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、
(6)3−クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法、
などが挙げられる。
これらの中でも、特に水酸基を含有する共重合体に対して、(1)又は(2)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。共重合体への(メタ)アクリロイル基の導入では、導入量を調整することにより、共重合体の水酸基を完全に(メタ)アクリロイル基で置換することも、水酸基を一部残して(メタ)アクリロイル基で置換することもできる。水酸基以外の官能基を有する共重合体に対しても、同様の導入が可能である。
ポリシロキサン構造含有共重合体(A)において、単位(Z)の組成比を高めれば、皮膜強度は向上するが屈折率も高くなる。単位(Z)の組成比は、任意のビニルモノマーに基づく構成単位の導入量によって変えることができる。ポリシロキサン構造含有共重合体(A)において、単位(Z)は、1〜50モル%を占めることが好ましく、1〜40モル%を占めることがより好ましく、1〜30モル%を占めることがさらに好ましい。
以下、単位(Z)の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2010181727
[任意のビニルモノマーに基づく構成単位]
前記一般式(2)で表されるポリシロキサン構造含有共重合体(A)は、透明プラスチックフィルム基材への密着性、溶媒への溶解性、他の塗布液組成物との相溶性、透明性等種々の観点から、上述した構成単位以外にも、他の任意のビニルモノマーに基づく構成単位(Y31:以下、「単位(Y)」ともいう)を有してもよい。
単位(Y)を構成する単量体の例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができる。
任意のビニルモノマーに基づく構成単位を構成する単量体の例としては、他に含フッ素ビニルモノマーを挙げることができる。
含フッ素ビニルモノマーに基づく構成単位の好ましい例として、下記一般式(3)で表される構成単位及び下記一般式(4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2010181727
Figure 2010181727
一般式(3)及び(4)中、Rf31は炭素数1〜5のペルフルオロアルキル基を表す。またRf32は炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜15の直鎖、分岐又は脂環構造を有する含フッ素アルキル基を表し、エーテル結合を有していてもよい。
一般式(3)及び一般式(4)で表される構成単位は、いずれも含フッ素ビニルモノマーに基づく構成単位であり、具体的な含フッ素ビニルモノマーの例としては、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオリド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)類{例えばペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)}、ペルフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類{例えばペルフルオロ(プロポキシプロピルビニルエーテル)}を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上を併用することができる。
溶解性、透明性、入手性等の観点から、特に好ましくはヘキサフルオロプロピレン単独、又は、ヘキサフルオロプロピレンとペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)類もしくはペルフルオロ(アルコキシアルキルビニルエーテル)類の併用である。
以下に、一般式(3)で表される構成単位の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2010181727
以下に一般式(4)で表される構成単位の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2010181727
各構成単位の組成比(モル%)は、10≦x<100、0≦y≦89、1≦z≦50、x+y+z=100を満たすように選択される。
ポリシロキサン構造含有共重合体(A)中、ポリシロキサン構造を有する構成単位(X)は素材に十分な耐擦傷性を付与し、かつ透明性、防汚耐久性を付与するための構成単位であり、単位(X)の組成比(モル%)を表すxは、30≦x<100であることが好ましく、50≦x<100であることがより好ましい。
ポリシロキサン構造含有共重合体(A)中、側鎖にエチレン性不飽和基を含む構成単位である(メタ)アクリロイル基を有する重合単位(Z)の導入量は、単位(X)の比率が低くなりすぎて、十分な耐擦傷性、防汚耐久性、透明性が得られにくくなることがないような範囲で適宜選択することが好ましい。そのため、単位(Z)の好ましい組成比(モル%)zの範囲は、1≦z≦40であり、より好ましくは1≦z≦30である。
ポリシロキサン構造含有共重合体(A)中、単位(X)及び単位(Z)以外の単位(Y)は、透明プラスチックフィルム基材への密着性、溶媒への溶解性、他の塗布液組成物との相溶性、透明性等種々の性能を付与するために適宜導入してもよいが、単位(Y)の導入量は、単位(X)の比率が低くなりすぎて、十分な耐擦傷性、防汚性、透明性が得られにくくなることがないような範囲で適宜選択することが好ましい。そのため、単位(Y)の好ましい組成比(モル%)yの範囲は、0≦y≦40であり、より好ましくは0≦y≦15である。ポリシロキサン構造含有共重合体(A)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法で測定した質量平均分子量(Mw)は10〜10が好ましく、より好ましくは10〜10、更に好ましくは3×10〜6×10である。
表1に、ポリシロキサン構造含有共重合体(A)の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2010181727
なお、表1中の略語は以下を表す。
MMA:メチルメタクリレート由来の構成単位
n−BuMA:n−ブチルメタクリレート由来の構成単位
X:単位(X)
Y:単位(Y)
Z:単位(Z)
x:単位(X)の組成比(モル%)
y:単位(Y)の組成比(モル%)
z:単位(Z)の組成比(モル%)
ハードコート層形成用組成物中、エチレン性不飽和基を有する反応性シリコーンは、硬化性化合物100質量部に対して、0.01〜5質量部含有される。反応性シリコーンが硬化性化合物100質量部に対して0.01質量部未満であると、防汚性が十分ではないために好ましくなく、5質量部より多いと転写性が悪化するため、好ましくない。
好ましくは、反応性シリコーンは硬化性化合物100質量部に対して、0.05〜3質量部含有され、より好ましくは0.1〜1質量部含有される。
(硬化性化合物)
ハードコート層は、少なくとも、前記反応性シリコーンと硬化性化合物とを含むハードコート層形成用組成物を硬化して形成される。硬化性化合物を硬化して得られる硬化樹脂は透光性樹脂であることが好ましい。硬化樹脂は、飽和炭化水素鎖又はポリエーテル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーであることがさらに好ましい。また、架橋構造を有することが好ましい。
飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。
バインダーポリマーをより高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含む高屈折率モノマーや、フルオレン骨格を分子内に有するモノマー等を選択することもできる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル〔例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート〕、前記のエステルのエチレンオキサイド変性体やカプロラクトン変性体、ビニルベンゼン及びその誘導体〔例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン〕、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。前記モノマーは2種以上併用してもよい。
高屈折率モノマーの具体例としては、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート類、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4'−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
ポリエーテル鎖を主鎖として有するバインダーポリマーは、多官能エポキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポキシ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりに又はそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光重合開始剤あるいは熱重合開始剤の存在下、活性エネルギー線の照射又は加熱により行うことができる。熱重合開始剤としては公知のものが使用できる。
硬化性化合物は、ハードコート層形成用組成物の固形分中、50質量%〜99質量%含有されることが好ましく、80質量%〜95質量%含有されることがより好ましい。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
ボレート塩の例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
活性ハロゲン類の例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。
無機錯体の例にはビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光開裂型の光重合開始剤としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,819、907、1870(CGI−403/Irg184=7/3混合開始剤、500,369,1173,2959,4265,4263など)、OXE01)等、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等が好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、硬化性化合物100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトン及びチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
(光拡散性粒子)
ハードコート層には、防眩性、光拡散性を付与する目的で少なくとも1種の光拡散性粒子をさらに含有することが好ましい。
光拡散性粒子の平均粒径は1〜15μmであることが好ましい。より好ましくは3.0〜10.0μmである。平均粒径が1μm未満であると、光の散乱角度分布が広角にまで広がるため、ディスプレイの文字ボケを引き起こしたりする傾向がある。一方、15μmを超えると、ハードコート層の膜厚を厚くする必要が生じ、カールが大きくなる、素材コストが上昇してしまう、等の問題が生じる傾向がある。
光拡散性粒子の具体例としては、例えばポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子(樹脂ビーズ)が好ましく挙げられる。なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた光拡散性粒子の屈折率に合わせて硬化樹脂の屈折率を調整することにより、好ましい内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを調整することができる。具体的には、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分とした硬化樹脂(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100質量%である架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる光拡散性粒子の組合せが好ましく、特に前記硬化樹脂と架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる光拡散性粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
光拡散性粒子の粒径分布は狭いほど好ましい。粒子の粒径分布を示すS値は下記式で表され、2.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0以下、特に好ましくは0.7以下である。
S=[D(0.9)−D(0.1)]/D(0.5)
D(0.1):体積換算粒径の積算値の10%値、
D(0.5):体積換算粒径の積算値の50%値、
D(0.9):体積換算粒径の積算値の90%値。
また、粒子径の異なる2種以上の光拡散性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の光拡散性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の光拡散性粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
光拡散性粒子は、ハードコート層の全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合されることが好ましい。より好ましくは5〜20質量%である。上記範囲であれば、光拡散性が十分であり、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題も生じにくい。
ハードコート層における硬化樹脂(硬化性化合物を硬化させたもの)と光拡散性粒子の屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、硬化樹脂及び光拡散性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また、硬化樹脂と光拡散性粒子との屈折率の差(光拡散性粒子の屈折率−硬化樹脂の屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。上記範囲であれば、文字ボケ、暗室下コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じにくい。
硬化樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。光拡散性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に光拡散性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
(その他の高分子化合物)
ハードコート層形成用組成物には、上記した以外の高分子化合物を含有してもよい。高分子化合物を添加することで、硬化収縮を小さくしたり、ハードコート層形成用組成物の粘度調整を行うことができる。
高分子化合物は、ハードコート層形成用組成物に添加する時点で既に重合体を形成している。該高分子化合物としては、例えばセルロースエステル類(例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースナイトレート等)、ウレタンアクリレート類、ポリエステルアクリレート類、(メタ)アクリル酸エステル類(例えば、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/(メタ)アクリル酸共重合体、ポリメタクリル酸メチル等)、ポリスチレン等の樹脂が好ましく用いられる。
高分子化合物は、硬化収縮抑制、ハードコート層形成用組成物の粘度増加などの観点から、ハードコート層形成用組成物中の硬化性化合物に対して、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%の範囲で含有することが好ましい。また、高分子化合物の分子量は質量平均で0.3万〜40万が好ましく、0.5万〜30万がより好ましく、0.5万〜20万がさらに好ましい。
(無機フィラー)
ハードコート層には、屈折率の調整、膜強度の調整、硬化収縮減少、さらに低屈折率層の反射率低減の目的に応じて、無機フィラー使用することもできる。例えば、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する酸化物からなり、一次粒子の平均粒径が、一般に0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下1nm以上である微細な高屈折率無機フィラーを含有することも好ましい。
光拡散性粒子との屈折率差を調整するために、硬化樹脂の屈折率を低くする必要が生じた場合は、無機フィラーとして、シリカ微粒子、中空シリカ微粒子等の微細な低屈折率無機フィラーを用いることができる。好ましい粒径は、前記の微細な高屈折率無機フィラーと同じである。
無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
無機フィラーの添加量は、ハードコート層の全質量の10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜80質量%であり、特に好ましくは30〜75質量%である。
なお、無機フィラーは、粒径が光の波長よりも十分短いために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質の性質を有する。
(有機溶媒)
ハードコート層形成用組成物には、有機溶媒を添加することができる。
有機溶媒としては、例えばアルコール系では、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、イソアミルアルコール、1−ペンタノール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール等、ケトン系では、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等、エステル系では、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸n−アミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酢酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル等、エーテル、アセタール系では、1,4ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルフラン、テトラヒドロピラン、ジエチルアセタール等、炭化水素系では、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、リグロイン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ジビニルベンゼン等、ハロゲン炭化水素系では、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、1,1,1−トリクロルエタン、1,1,2−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラクロルエチレン、1,1,1,2−テトラクロルエタン等、多価アルコール及びその誘導体系では、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキシレングリコール、1,5−ペンタンジオール、グリセリンモノアセテート、グリセリンエーテル類、1,2,6−ヘキサントリオール等、脂肪酸系では、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、絡酸、イソ絡酸、イソ吉草酸、乳酸等、窒素化合物系では、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、アセトニトリル等、イオウ化合物系では、ジメチルスルホキシド等、が挙げられる。
<低屈折率層>
低屈折率層は、含フッ素化合物を含有することが好ましい。含フッ素化合物を主体とする低屈折率層は最外層として保護層又は防汚層として機能することができる。ここで、「含フッ素化合物を主体とする」とは、低屈折率層の中に含まれる構成成分のうち、含フッ素化合物の質量比が最も大きいことを意味し、含フッ素化合物の含有率が低屈折率層の全質量に対し50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上含まれることがより好ましい。
含フッ素化合物を有する低屈折率層は、架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物の架橋又は重合反応により形成することが好ましく、該架橋又は重合性の官能基は電離放射線硬化性の官能基であることが好ましい。以下、低屈折率層に含まれる含フッ素化合物について記載する。
(含フッ素化合物)
低屈折率層に含まれる含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47、さらに好ましくは1.38〜1.45である。
含フッ素化合物としては、含フッ素ポリマー、含フッ素シラン化合物、含フッ素界面活性剤、含フッ素エーテルなどが挙げられる。
含フッ素ポリマーとしては、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの架橋又は重合反応により合成されたものが挙げられる。フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの例には、フルオロオレフィン(例、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、フッ素化ビニルエーテル及びフッ素置換アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルが含まれる。
含フッ素ポリマーとしてフッ素原子を含む繰り返し構造単位とフッ素原子を含まない繰り返し構造単位からなる共重合体も用いることができる。
上記共重合体は、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーとフッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることができる。
フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーとしては、オレフィン(例、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル(例、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等)、メタクリル酸エステル(例、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン及びその誘導体(例、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル(例、メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル(例、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド(例、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド及びアクリロニトリルが挙げられる。
含フッ素シラン化合物としては、パーフルオロアルキル基を含むシラン化合物などが挙げられる。
含フッ素界面活性剤は、疎水性部分を構成する炭化水素の水素原子の一部又は全部が、フッ素原子により置換されているもので、その親水性部分はアニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性のいずれであってもよい。
含フッ素エーテルは、一般に潤滑剤として使用されている化合物である。含フッ素エーテルとしては、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
低屈折率層の含フッ素化合物としては、架橋又は重合構造が導入された含フッ素ポリマーが特に好ましい。架橋又は重合構造が導入された含フッ素ポリマーは、架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物を架橋又は重合させることにより得られる。
架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物は、架橋又は重合性の官能基を有さない含フッ素化合物に、架橋又は重合性の官能基を側鎖として導入することにより得ることができる。架橋又は重合性の官能基としては、光(好ましくは紫外線)照射、電子線(EB)照射あるいは加熱などにより反応して含フッ素ポリマーが架橋又は重合構造を有するようになる官能基であることが好ましい。架橋又は重合性の官能基としては、(メタ)アクリロイル、イソシアナート、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロール及び活性メチレン等の基が挙げられる。架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物として、市販品を用いてもよい。
低屈折率層の含フッ素化合物は、含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位及び側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位をからなる共重合体を主成分として含有することが好ましい。該共重合体由来の成分は低屈折率層の全質量に対し50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。以下に、低屈折率層に用いられるのに好ましい上記共重合体について説明する。
含フッ素ビニルモノマーとしてはフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(商品名、大阪有機化学工業(株)製)やM−2020(商品名、ダイキン工業(株)製)等)、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
共重合体のフッ素含率が20〜60質量%となるように含フッ素ビニルモノマーを導入することが好ましく、より好ましくは25〜55質量%であり、特に好ましくは30〜50質量%である。
上記共重合体は(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位を有する。(メタ)アクリロイル基の導入法は特に限定されるものではないが、例えば、(i)水酸基、アミノ基等の求核基を有するポリマーを合成した後に、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸無水物、(メタ)アクリル酸とメタンスルホン酸の混合酸無水物等を作用させる方法、(ii)上記求核基を有するポリマーに、硫酸等の触媒存在下、(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(iii)上記求核基を有するポリマーにメタクリロイルオキシプロピルイソシアネート等のイソシアネート基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(iv)エポキシ基を有するポリマーを合成した後に(メタ)アクリル酸を作用させる方法、(v)カルボキシル基を有するポリマーにグリシジルメタクリレート等のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物を作用させる方法、(vi)3−クロロプロピオン酸エステル部位を有するビニルモノマーを重合させた後で脱塩化水素を行う方法などが挙げられる。これらの中で本発明では特に水酸基を含有するポリマーに対して(i)又は(ii)の手法によって(メタ)アクリロイル基を導入することが好ましい。
側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位は、上記共重合体中に5〜90質量%を占めることが好ましく、30〜70質量%を占めることがより好ましく、40〜60質量%を占めることが特に好ましい。
上記共重合体には、上記含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位及び側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位以外に、透明基材など下層への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜他のビニルモノマーを共重合させることもできる。これらのビニルモノマーは目的に応じて複数を組み合わせてもよく、共重合体中の0〜65モル%の範囲で導入されていることが好ましく、より好ましくは0〜40モル%、特に好ましくは0〜30モル%である。
併用可能なビニルモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2‐ヒドロキシエチル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、スチレン誘導体(スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、p−メトキシスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等)、アクリルアミド類(N,N−ジメチルアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類(N,N−ジメチルメタクリルアミド)、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。
本発明に用いられる含フッ素ビニルモノマーから導かれる繰返し単位及び側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する繰返し単位からなる共重合体の好ましい形態として、下記一般式(5)で表されるものが挙げられる。
Figure 2010181727
一般式(5)中、Lは炭素数1〜10の連結基を表し、より好ましくは炭素数1〜6の連結基であり、特に好ましくは炭素数2〜4の連結基であり、直鎖、分岐、環構造を有していてもよく、O、N、Sから選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。
好ましい例としては、*−(CH−O−**、*−(CH−NH−**、*−(CH−O−**、*−(CH−O−**、*−(CH−O−(CH−O−**、−CONH−(CH−O−**、*−CHCH(OH)CH−O−**、*−CHCHOCONH(CH−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0又は1を表す。
一般式(5)中、Xは水素原子又はメチル基を表す。硬化反応性の観点から、より好ましくは水素原子である。
一般式(5)中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表し、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、透明プラスチックフィルム基材など下層への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていてもよい。
好ましい例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸及びその誘導体等を挙げることができるが、より好ましくはビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であり、特に好ましくはビニルエーテル誘導体である。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表し、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65を満たす値を表す。好ましくは、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20であり、特に好ましくは40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10である。
上記共重合体のより好ましい形態として下記一般式(6)で表されるものが挙げられる。
Figure 2010181727
一般式(6)中、X、x、yはそれぞれ一般式(5)におけるX、x、yと同義であり、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表し、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表し、単一組成であっても複数組成によって構成されていてもよい。例としては、前記一般式(5)におけるAの例として説明したものが挙げられる。
z1及びz2はそれぞれの繰返し単位のモル%を表し、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たす値を表す。それぞれ0≦z1≦30、0≦z2≦10であることが好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが特に好ましい。
一般式(6)で表される共重合体としては、40≦x≦60、30≦y≦60、z2=0を満たすものが特に好ましい。
一般式(5)又は一般式(6)で表される共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分とヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。
本発明で有用な共重合体の好ましい例として、特開2004−45462号公報の[0043]〜[0047]に記載されたものが挙げられる。また、それらの共重合体の合成法も該公報に詳しく記載されている。
また、本発明に用いられる共重合体の合成は、上記以外の種々の重合方法、例えば溶液重合、沈澱重合、懸濁重合、沈殿重合、塊状重合、乳化重合によって水酸基含有重合体等の前駆体を合成した後、前記高分子反応によって(メタ)アクリロイル基を導入することによって行なうこともできる。重合反応は回分式、半連続式、連続式等の公知の操作で行なうことができる。
重合の開始方法はラジカル開始剤を用いる方法、光又は放射線を照射する方法等がある。これらの重合方法、重合の開始方法は、例えば鶴田禎二「高分子合成方法」改定版(日刊工業新聞社刊、1971)や大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊、124〜154頁に記載されている。
上記重合方法のうち、特にラジカル開始剤を用いた溶液重合法が好ましい。溶液重合法で用いられる溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールのような種々の有機溶剤の単独又は2種以上の混合物でもよいし、水との混合溶媒としてもよい。
重合温度は生成するポリマーの分子量、開始剤の種類などと関連して設定する必要があり0℃以下から100℃以上まで可能であるが、50〜100℃の範囲で重合を行うことが好ましい。
反応圧力は、適宜選定可能であるが、通常は、1〜100kg/cm2、特に、1〜30kg/cm2程度が望ましい。反応時間は、5〜30時間程度である。
得られたポリマーの再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
(含フッ素化合物以外のバインダー)
低屈折率層を形成する電離放射線硬化性樹脂の少なくとも30質量%が1分子中に重合性官能基を4つ以上有する化合物であることが好ましい。これは、ハードコート層形成用組成物に含まれている反応性シリコーンが、低屈折率層の透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面にブリードアウトした際に、該表面で固定し易くするためである。
これにより、シリコーンの接触物への転写が少なくなり、優れた防汚性を保持することができる。また、重合性官能基数が増えることによってハードコート層との密着性も向上する。特に、本発明においては、反応性シリコーンを低屈折率層の透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面にブリードアウトさせるために、ハードコート層表面の硬膜度を意図的に下げているため、重合性官能基を4つ以上有する化合物を低屈折率層に含有させることはハードコート層と低屈折率層の密着性向上のために非常に有効である。
低屈折率層を作製するのに用いる組成物は、塗料の形態をとることが好ましく、含フッ素化合物を主体とし、必要に応じて含フッ素化合物以外のバインダー、各種添加剤及びラジカル重合開始剤を適当な溶剤に溶解して作製されることが好ましい。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが0.01〜60質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜50質量%、特に好ましくは1%〜20質量%程度である。
低屈折率層形成用組成物は、平均粒径1〜150nmのケイ素酸化物を主成分とする無機微粒子と、活性エネルギー線硬化性樹脂とを含むことが好ましい。
低屈折率層は、目的に応じて充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)、オルガノシラン化合物及びその誘導体、バインダー、界面活性剤等の添加剤を含有することができる。特に、充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)を添加することは好ましい。
以下に、低屈折率層に用いる好ましい充填剤について記載する。
(低屈折率層の好ましい充填剤)
充填剤(例えば、無機微粒子や有機微粒子等)は、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)を改良する点で、添加することが好ましい。低屈折率層に添加する充填剤としては無機微粒子が好ましく、中でも屈折率が低い二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)などが好ましい。特に好ましいのは二酸化珪素(シリカ)である。
充填剤の一次粒子の質量平均粒径は、1〜150nmであることが好ましく、1〜100nmであることがさらに好ましく、1〜80nmであることが最も好ましい。低屈折率層において充填剤は、より微細に分散されていることが好ましい。充填剤の形状は米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、短繊維状、リング状(中空状)、あるいは不定形状であることが好ましい。特に好ましいのは、球形状、不定形状、中空状である。充填剤は、結晶質、非晶質のいずれでも良い。
充填剤の平均粒径は、低屈折率層の膜厚に対し20〜100%が好ましく、より好ましくは30〜80%、特に好ましくは30%〜50%である。
充填剤は、分散液中又は塗料中で、分散安定化を図るために、あるいは低屈折率層の構成成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。カップリング剤による表面処理が特に好ましい。カップリング剤としては、アルコキシ化合物(例、チタネートカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。特に、シランカップリング剤処理が有効である。
充填剤の表面処理は、低屈折率層の塗料の調製前にあらかじめ表面処理を実施しておくことが好ましいが、カップリング剤による表面処理の場合、塗料の調製時に塗料中にカップリング剤を添加して実施することも好ましい。
充填剤は、媒体(溶媒など)中に予め分散されていることが好ましい。
充填剤の添加量は、低屈折率層の全質量に対し5〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜50質量%、特に好ましくは20〜40質量%である。少なすぎると物理強度(耐擦傷性など)の改良効果が減り、多すぎると低屈折率層が白濁することがある。
低屈折率層に添加する充填剤が二酸化珪素微粒子の場合、中空の二酸化珪素微粒子を用いることが特に好ましい。
中空のシリカ微粒子は屈折率が1.17〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.17〜1.35、最もに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(1)で表される空隙率xは、好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。
数式(1)
x=(4πa3/3)/(4πb3/3)×100
中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.17以上の低屈折率の粒子が好ましい。
なお、これら中空シリカ粒子の屈折率はアッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定をおこなった。
中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611号公報や特開2002−79616号公報に記載されている。
中空シリカの塗布量は、1mg/m2〜100mg/m2が好ましく、より好ましくは5mg/m2〜80mg/m2、更に好ましくは10mg/m2〜60mg/m2である。少なすぎると、低屈折率化の効果や耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する。
中空シリカの平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、空腔部の割合が減り屈折率の低下が見込めず、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明においては、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上80nm以下、最も好ましくは40nm以上60nm以下である。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コスト及び保持剤効果の点で好ましい。
低屈折率層は、上記含フッ素化合物、さらに必要に応じて、上記充填剤を溶媒に溶解、又は、分散した塗料を塗布することにより作製することが好ましい。
好ましい溶媒としては、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、水などを挙げることができる。
特に好ましい溶媒としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、エステル類であり、最も好ましい溶媒としては、ケトン類である。ケトン類の中でも、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。溶媒には、ケトン系溶媒の含有量が塗料に含まれる全溶媒の10質量%以上であることが好ましい。好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
2種類以上の溶剤を併用することもできる。
架橋又は重合性の官能基を有する含フッ素化合物であれば、低屈折率層の塗布と同時又は塗布後に、含フッ素化合物を架橋又は重合反応させ、低屈折率層を作製することが好ましい。
含フッ素化合物が、ラジカルで架橋又は重合する官能基を有していれば、ラジカル重合開始剤、特に光ラジカル重合開始剤を用いて架橋又は重合反応させることが好ましい。また、カチオンで架橋又は重合する官能基を有していれば、カチオン重合開始剤、特に光カチオン重合開始剤を用いて架橋又は重合反応させることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては熱の作用によりラジカルを発生するもの、あるいは光の作用によりラジカルを発生するものが好ましい。特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。光ラジカル重合開始剤は前記帯電防止層の項に記載のものが好ましく用いられる。
光ラジカル重合開始剤は、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましくこれについては、高薄一弘著「最新UV硬化技術」((株)技術情報協会、159頁、1991年)に記載されている。
光重合開始剤は、含フッ素化合物100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
さらには、これらの光重合開始剤と併用して光増感剤も好ましく用いることができ、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーのケトン及びチオキサントンを挙げることができる。
低屈折率層には、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)、低屈折率層と隣接する層との密着性を改良する点で、バインダー、特に活性エネルギー線硬化性樹脂を添加することが好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、紫外線、電離放射線、赤外線などの電磁波、又は電子線などにより硬化する樹脂が挙げられるが、紫外線、電離放射線、又は電子線により硬化する樹脂がより好ましく、紫外線により硬化する樹脂がさらに好ましい。
含フッ素化合物が、架橋又は重合性の官能基を有する化合物であれば、バインダーは含フッ素化合物と架橋又は重合する官能基を有するバインダーであることが好ましい。
特に、含フッ素化合物が、光架橋又は光重合性の官能基を有する化合物であれば、バインダーとして光架橋又は光重合性の官能基を有する多官能モノマーであることが好ましい。
1分子中に4個以上の重合性基を有する多官能モノマーの具体例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。また、該多官能モノマーは、単独でも、二種類以上を併用してもよい。
低屈折率層は、含フッ素化合物、必要に応じてその他の成分を溶解あるいは分散させた塗料を、塗布と同時又は塗布後に、光照射、電子線線照射、加熱処理などを実施して、架橋又は重合反応させ、作製することが好ましい。
紫外線照射の場合、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
低屈折率層は、酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で活性エネルギー線照射により硬化することが好ましい。活性エネルギー線としては、紫外線、電離放射線、赤外線などの電磁波、又は電子線などが挙げられるが、紫外線、電離放射線、又は電子線がより好ましく、紫外線がさらに好ましい。
低屈折率層を酸素濃度が4体積%以下の雰囲気で作製することにより、ハードコート層からブリードアウトしてきた反応性シリコーンを低屈折率層の透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面で固定する事ができ、優れた防汚性を維持することが可能になる。それ以外にも、低屈折率層の物理強度(耐擦傷性など)、耐薬品性、耐候性、更には、ハードコート層と低屈折率層と隣接する層との接着性を改良することができる。
好ましくは酸素濃度が3体積%以下、更に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が1体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下の雰囲気である。
酸素濃度を4体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
酸素濃度が4体積%より大きいと、反応性シリコーンが低屈折率層表面に固定できず、転写性や防汚性が悪化してしまう。
また、反応性シリコーンをブリードアウトさせるには、低屈折率層形成用組成物を塗布後、5秒〜60秒間室温で放置し、その後40℃〜120℃の温度で1分〜5分乾燥することが好ましい。室温での放置時間を5秒以上にする事で、反応性シリコーンが十分にブリードアウトするため好ましい。また、60秒以内にする事が生産性の観点で好ましい。乾燥温度は40℃以上にする事が生産性の観点から好ましく、120℃以下にする事でフィルムのカールを低減できるために好ましい。
低屈折率層の膜厚は30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜150nm、特に好ましくは60〜120nmである。
低屈折率層は反射防止ハードコートフィルムの物理強度を改良するために、表面の動摩擦係数が0.25以下であることが好ましい。ここで記載した動摩擦係数は、直径5mmのステンレス剛球に0.98Nの荷重をかけ、速度60cm/分で表面を移動させたときの、表面と直径5mmのステンレス剛球の間の動摩擦係数をいう。好ましくは0.17以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
また、反射防止ハードコートフィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90゜以上であることが好ましい。更に好ましくは95゜以上であり、特に好ましくは100゜以上である。
また、低屈折率層の表面の水に対する接触角は後述する鹸化処理の前後で変わらないことが望ましく、鹸化処理の前後で変化量が10°以内であることが好ましく、特に好ましくは5°以内である。
低屈折率層のヘイズは、低いほど好ましい。3%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下である。
低屈折率層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
低屈折率層には、前記の成分以外に、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤、などを添加することもできる。
<透明プラスチックフィルム基材>
本発明の反射防止ハードコートフィルムの支持体である、透明プラスチックフィルム基材を形成するポリマーとしては、セルロースアシレート(例、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、代表的には富士フイルム(株)製TAC−TD80U,TD80UFなど)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR(株)製)、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン(株)製)、(メタ)アクリル系樹脂(アクリペットVRL20A:商品名、三菱レイヨン(株)製、特開2004−70296号公報や特開2006−171464号公報記載の環構造含有アクリル系樹脂)などが挙げられる。このうちトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、が好ましく、特にトリアセチルセルロースが好ましい。
本発明の反射防止ハードコートフィルムを液晶表示装置に用いる場合、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置する。また、本発明の反射防止ハードコートフィルムと偏光板を組み合わせてもよい。透明プラスチックフィルム基材がトリアセチルセルロースの場合は偏光板の偏光子を保護する保護フィルムとしてトリアセチルセルロースが用いられるため、本発明の反射防止ハードコートフィルムをそのまま保護フィルムに用いることがコストの観点で好ましい。
本発明の反射防止ハードコートフィルムは、片面に粘着層を設ける等してディスプレイの最表面に配置したり、そのまま偏光板用保護フィルムとして使用される場合には、十分に接着させるためには透明プラスチックフィルム基材上に最外層を形成した後、鹸化処理を実施することが好ましい。鹸化処理は、公知の手法、例えば、アルカリ液の中に該フィルムを適切な時間浸漬して実施される。アルカリ液に浸漬した後は、該フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面が親水化される。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする偏光膜との接着性を改良するのに特に有効である。また、親水化された表面は、空気中の塵埃が付着しにくくなるため、偏光膜と接着させる際に偏光膜と反射防止ハードコートフィルムの間に塵埃が入りにくく、塵埃による点欠陥を防止するのに有効である。鹸化処理は、最外層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が40゜以下になるように実施することが好ましい。更に好ましくは30゜以下、特に好ましくは20゜以下である。
<偏光板>
偏光板は、偏光膜の表側及び裏側の両面を保護する2枚の保護フィルムで主に構成される。本発明の反射防止ハードコートフィルムは、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。本発明の反射防止ハードコートフィルムが保護フィルムを兼ねることで、偏光板の製造コストを低減できる。また、本発明の反射防止ハードコートフィルムを最表層に使用することにより、外光の映り込み等が防止され、耐傷性、防汚性等も優れた偏光板とすることができる。
<画像表示装置>
本発明の反射防止ハードコートフィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)、表面電界ディスプレイ(SED)のような画像表示装置に適用することができる。特に好ましくは液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)に用いられる。本発明の反射防止ハードコートフィルムは透明支持体を有しているので、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いられる。
本発明の反射防止ハードコートフィルムは、偏光膜の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
〔各層用塗布液の作製〕
[ハードコート層形成用組成物]
各成分を表2に示す組成で調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層形成用組成物である塗布液HC−1〜HC−10を調製した。
また、HC−8では非反応性シリコーンとして、ポリジメチルシロキサンKF−96H(信越化学株)製)を用いた。
また、HC−11ではポリシラザン系熱硬化型塗料組成物(クラリアントジャパン(株)製、商品名;ポリシラザンL110)の固形分比に対して0.1質量部の反応性シリコーンP−1を添加して熱硬化型のハードコート用塗布液を作成した。
Figure 2010181727
光拡散性粒子を除くハードコート層のバインダーの屈折率はアッベ屈折計で直接測定した。また、光拡散性粒子の屈折率は、ヨウ化メチレン、1,2−ジブロモプロパン、n―ヘキサンから選ばれる任意の屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に光拡散性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定した。
硬化後の樹脂の屈折率は下記の通りであった。
PET−30 1.530
ビスコート360 1.500
[低屈折率層用塗布液]
低屈折率層用塗布液(L−1)の組成
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー(A−1) 3.9g
シリカ分散液A(22%) 25.0g
イルガキュア127 0.2g
ビスコート360 0.4g
MEK 100.0g
MIBK 45.5g
低屈折率層用塗布液(L−2)の組成
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー(A−1) 1.0g
シリカ分散液A(22%) 25.0g
イルガキュア127 0.2g
DPHA 3.3g
MEK 100.0g
MIBK 45.5g
上記で使用した化合物を以下に示す。
PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製];
ビスコート360:トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート[大阪有機化学工業(株)社製];
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、日本化薬(株)製;
光拡散性粒子:所望の平均粒径、屈折率を有する光拡散性粒子[いずれも積水化学(株)製]をポリトロン分散機にて10000rpmで20分間分散したMIBK分散液
イルガキュア127:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製];
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー(A−1):特開2005−89536号公報製造例3に記載のフッ素ポリマー(A−1);
上記低屈折率層用塗布液(L−1)および(L−2)は孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して塗布液を調製した。上記塗布液を塗布硬化してなる低屈折率層の硬化後の屈折率はL−1は1.360、L−2は1.450であった。
(シリカ分散液A)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616号公報の調製例4に準じサイズを変更して作成)500gに、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)10g、及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.0g加え混合した後に、イオン交換水を3gを加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.0gを添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し22質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液Aのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.0質量%であった。
[実施例1〜9、比較例1〜8]
ハードコート層の塗設
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態から巻き出して、表3に示す塗布液を使用し特開2006−122889号公報実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに表3に示す酸素濃度、照射量で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、紫外線を照射して塗布層を硬化させ巻き取った。各ハードコート層の膜厚は表3の値になるように塗布量を調整した。
また、実施例9では紫外線照射はせずに、熱でハードコート層を硬化させた。
低屈折率層の塗設
上記ハードコート層を塗設したトリアセチルセルロースフィルムを再び巻き出して、上記低屈折率層用塗布液を前記のスロットダイを用いたダイコート法で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、室温で10秒間放置し、さらに90℃で75秒乾燥の後、窒素パージ下酸素濃度0.1%で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量240mJ/cmの紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、実施例1〜9及び比較例1〜6の反射防止ハードコートフィルムを作製した。比較例7、8には低屈折率層は塗設しなかった。
(反射防止ハードコートフィルムの鹸化処理)
低屈折率層塗設後、以下の処理を行った。
1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を調製し、55℃に保温した。0.01mol/Lの希硫酸水溶液を調製し、35℃に保温した。作製した反射防止ハードコートフィルムを上記の水酸化ナトリウム水溶液に2分間浸漬した後、水に浸漬し水酸化ナトリウム水溶液を十分に洗い流した。次いで、上記の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流した。最後に試料を120℃で十分に乾燥させた。このようにして、鹸化処理済み反射防止ハードコートフィルムを作製した。
(反射防止ハードコートフィルムの評価)
(1)面状
試料の低屈折率層側の表面を目視にて観察し評価した。
◎:スジや欠陥が全く認識されない。
○:スジや欠陥はうっすらと認識可能だが、気にならない。
×:スジや欠陥が目立つ。
(2)防汚性
防汚性の評価として、試料を温度25℃、60%RHで2時間調湿した後、試料の低屈折率層側の表面に「マジックインキ」(商品名)を付着させてから、それをクリーニングクロスで拭き取ったときの状態を目視にて観察して、以下のように評価した。
◎:「マジックインキ」の跡が完全に拭き取れる。
○:「マジックインキ」の跡がわずかに見える。
△:「マジックインキ」の跡が少し見える。
×:「マジックインキ」の跡がほとんど拭き取れない。
(3)密着性
サンシャインウエザーメーター“S−80”{スガ試験機(株)製}を用いて、サンシャインカーボンアーク灯、60%RH、200時間の露光後の試料を、温度25℃、60%RHの条件で2時間調湿した。各試料の低屈折率層を有する側の表面に、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて、合計100個の正方形の升目を刻み、その面に日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ“No.31B”を貼りつけた。30分経時した後に、垂直方向にテープを素早く引き剥がし、剥がれた升目の数を数えた。同じ密着性評価を3回行って平均をとり、下記4段階の基準で評価した。
◎:100升において剥がれが全く認められなかった。
○:100升において1〜2升の剥がれが認められた。
○’:100升において3〜5升の剥がれが認められた。
△:100升において6〜10升の剥がれが認められた(許容範囲内)。
×:100升において11升以上の剥がれが認められた。
(4)耐擦傷性 スチールウール耐性
ラビングテスターを用いて、以下の条件で各試料の擦りテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH、
擦り材:試料と接触するテスターの擦り先端部(1cm×1cm)にスチールウール“No.0000”{(株)日本スチールウール製}を巻いて、動かないようバンド固定した。その上で下記条件の往復擦り運動を与えた。
移動距離(片道):13cm、擦り速度:13cm/秒、
荷重:200g/cm2
先端部接触面積:1cm×1cm、
擦り回数:10往復。
擦り終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、擦り部分の傷を目視にて、以下の基準で評価した。
○:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△:弱い傷が見える。
△×:中程度の傷が見える。
×:一目見ただけで分かる傷がある。
(5)耐擦傷性 消しゴム擦り耐傷性
ラビングテスターを用いて、以下の条件で各試料の擦りテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH
擦り材:試料と接触するテスターの擦り先端部(1cm×1cm)にプラスチック消しゴム{(株)トンボ鉛筆製“MONO”}を固定した。
移動距離(片道):4cm、
擦り速度:2cm/秒、
荷重:500g/cm2
先端部接触面積:1cm×1cm、
擦り回数:100往復。
擦り終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、擦り部分の傷を、以下の基準で評価した。
○:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△:弱い傷が見える。
△×:中程度の傷が見える。
×:一目見ただけで分かる傷がある。
××:一面膜が傷ついている。
(6)被接触媒体へのシリコーン成分の転写性
80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF(商品名)、富士フイルム(株)製)と試料を貼り合わせ2kg/mの荷重をかけて25℃で24時間放置した後、トリアセチルセルロースフィルム表面に転写したSiの量をESCAを用いて測定し、Si/Cの面積比を指標とした。なお転写試験前のトリアセチルセルロースフィルム表面のSi/C値は0であった。
反応性シリコーンが低屈折率層中にアンカリングしているかどうかは転写性によって評価した。反応性シリコーンが低屈折率層中にアンカリングしていると転写を防止する事ができる。
◎:Si/Cが0.03より小さい
○:Si/Cが0.03以上0.05以下
×:Si/Cが0.05より大きい
(7)反応性シリコーンのブリードアウト性
反応性シリコーンの低屈折率層の透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面へのブリードアウト性は、TOF−SIMSを用いて試料表面、及び低屈折率層の断面を切削し、ハードコート層と低屈折率層の界面を測定し、ハードコート層中に添加した反応性シリコーンが低屈折率層表面にブリードアウトしているか否かを評価した。
○:ブリードアウトしている
×:ブリードアウトしていない
各反射防止ハードコートフィルム試料の評価結果を表3に示す。
Figure 2010181727
[実施例10〜18、比較例9〜16]
(偏光板の作製)
1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと中和、水洗した、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)と、実施例1〜8及び比較例1〜8における各試料(鹸化処理済み)に、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させ、延伸して作製した偏光子の両面を接着、保護して偏光板を作製した。
(液晶表示装置の作製)
VA型液晶表示装置(LC−37GS10、シャープ(株)製)に設けられている偏光板及び位相差膜を剥がし、代わりに上記で作製した偏光板を透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けて、実施例10〜18、及び比較例9〜16の液晶表示装置を作製した。なお、反射防止ハードコートフィルムが視認側になるように貼り付けた。
上記ようにして作製された実施例の偏光板及び画像表示装置は、比較例に比べ、スジやムラの無い優れた面状、耐傷擦性、及び密着性を示した。また、背景の映りこみが極めて少なく、表示品位が非常に高く、防汚性に優れた表示装置が得られた。

Claims (9)

  1. 透明プラスチックフィルム基材上に、ハードコート層、及び低屈折率層をこの順で有する反射防止ハードコートフィルムの製造方法であって、
    硬化性化合物と、該硬化性化合物100質量部に対して、0.01〜5質量部のエチレン性不飽和基を有する反応性シリコーンとを含有するハードコート層形成用組成物を塗布する工程、
    前記ハードコート層形成用組成物を硬化させてハードコート層を形成する工程、
    低屈折率層形成用組成物を塗布する工程、
    前記ハードコート層に含まれる前記反応性シリコーンを前記低屈折率層形成用組成物の前記透明プラスチックフィルム基材とは反対側の表面にブリードアウトさせる工程、及び
    前記低屈折率層形成用組成物を硬化させて、低屈折率層を形成するとともに、前記反応性シリコーンを低屈折率層にアンカリングさせる工程、を含む反射防止ハードコートフィルムの製造方法。
  2. 前記ハードコート層形成用組成物の硬化が、酸素濃度が10体積%〜23体積%の雰囲気下で活性エネルギー線を用いて行われ、前記低屈折率層形成用組成物の硬化が、酸素濃度が4%体積以下の雰囲気下で活性エネルギー線を用いて行われる、請求項1に記載の反射防止ハードコートフィルムの製造方法。
  3. 前記反応性シリコーンが、下記一般式(2)で表される構造を含む共重合体である請求項1又は2に記載の反射防止ハードコートフィルムの製造方法。
    Figure 2010181727
    {一般式(2)中、X31はポリシロキサン構造を含む構成単位を表す。Y31は任意のビニルモノマーに基づく構成単位を表し、1種でも複数種でもよい。L31は単結合又は2価の連結基を表し、R31及びR32は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。x、y、zは各構成単位の組成比(モル%)を表し、10≦x<100、0≦y≦89、1≦z≦50、x+y+z=100を満たす値を表す。}
  4. 前記低屈折率層形成用組成物が、平均粒径1〜150nmのケイ素酸化物を主成分とする無機微粒子と、活性エネルギー線硬化性樹脂とを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止ハードコートフィルムの製造方法。
  5. 前記硬化性樹脂の少なくとも30質量%が1分子中に重合性官能基を4つ以上有する化合物である、請求項4に記載の反射防止ハードコートフィルムの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により製造された反射防止ハードコートフィルム。
  7. 前記ハードコート層が、透光性樹脂と光拡散性粒子とを含有する、請求項6に記載の反射防止ハードコートフィルム。
  8. 偏光膜の両面に保護フィルムを有する偏光板であって、請求項6又は7に記載の反射防止ハードコートフィルムを該保護フィルムの少なくとも一方として有する偏光板。
  9. 請求項6若しくは7に記載の反射防止ハードコートフィルム、又は請求項8に記載の偏光板を、ディスプレイの表面に有する画像表示装置。
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