JP2010175932A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子写真感光体に使用可能な堆積膜の形成において、良質な堆積膜の形成及び画像欠陥の低減が可能な堆積膜の形成方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、減圧可能な反応容器内に導電性基体を設置し、反応容器内に供給した原料ガスを高周波電力によって分解し、導電性基体上に珪素を母体とする非単結晶膜を形成する電子写真感光体の製造方法であって、導電性基体表面に接する第一の層が、原料ガスの供給比率および供給量が一定であると共に高周波電力の印加条件が異なる3つの領域からなり、3つの領域が、導電性基体の側から、前期領域、変化領域、および後期領域からなり、前期領域に供給される高周波電力が、後期領域に供給される高周波電力よりも低い事を特徴とする電子写真感光体の製造方法である事を特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、特に電子写真感光体に用いられる堆積膜の製造方法に関するものである。
従来、電子写真感光体、半導体デバイス、画像入力ラインセンサー、撮影デバイス、光起電力デバイスを形成するための真空処理方法には、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、プラズマエッチング法等が知られている。そのための装置も数多く実用化されている。
例えば、プラズマCVD法を用いた堆積膜形成方法、つまり、高周波電力のグロー放電により原料ガスのプラズマを生成し、その分解種を基板上に堆積させることによって堆積膜を形成する方法がある。プラズマCVD法を用いた場合、例えば、原料ガスにシランガスを用いることで、アモルファスシリコン(以下「a−Si」とも記す)薄膜の形成が可能であることが知られており、その製造装置も各種提案されている。
このような堆積膜形成装置により高品質な堆積膜の形成が行われているが、更なる品質向上のためにプラズマ形成方法に関する改良が進められている。
例えば、特許文献1には、導電性基体上に電荷注入阻止層、光導電層を順次積層したa−Si電子写真感光体を、電化注入阻止層を形成した後にパワー又は温度を連続的に変化させる電子写真感光体の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、被形成面上に形成された炭素を主成分とする被膜を形成する際にパワーを連続的又は段階的に変化させる事で被膜の表面に向って硬度を高める技術が開示されている。
更に、特許文献3には、電荷注入阻止層と光導電層を有する電子写真感光体の製造方法において、光導電層作成時にガス流量、放電電力及び反応容器内の圧力変動を所定の範囲内で変化する光受容部材の製造方法が開示されている。
更に、特許文献4には、基体上に電荷注入阻止層と光導電層とがこの順に形成された電子写真感光体を、電荷注入阻止層と光導電層との高周波電力の印加条件を変える堆積膜形成方法が開示されている。特許文献4では第1の高周波電力値P1で第1層(電荷注入阻止層)を形成し、変化層で第1高周波電力値P1から第2高周波電力値P2に変化させ、第2層(光導電層)を第2高周波電力値P2で積層構造の堆積膜を形成している。ここで電力がP1<P2で変化層中に基板温度の極小値を持つ堆積膜形成方法が開示されている。
特開平6−273958号公報 特開平7−102377号公報 特開平8−179536号公報 特開2004−124143号公報
上述した従来の真空処理方法、真空処理装置によれば、良好な堆積膜形成、即ち真空処理を行うことができる。
しかしながら、真空処理を用いて生産された製品の品質に対する市場の要求レベルは日々高まっており、より高品質の製品が生産可能な真空処理方法、真空処理装置が求められるようになっている。
近年その普及が目覚しいデジタル電子写真装置やカラー電子写真装置においては、文字原稿のみならず、写真、絵、デザイン画のコピーも頻繁に成される。
そのため、画像上に白点或いは黒点の画像欠陥を引き起こす堆積膜の構造欠陥については、従来以上の低減が求められている。
このような構造欠陥は、特許文献4に開示されている堆積膜が十分な密着性を保持していない場合、形成途中で反応容器内の部品より、はがれが発生し、生成されたダストが感光体表面に付着してしまう場合がある。
また、堆積膜形成前の基体上に付着したダストや異物を起源として堆積膜が異常成長したものがある。更に、放電開始時に異常放電の影響により反応容器内の部材が溶融し基体上に付着した溶融物を起源として堆積膜が異常成長したものがある。
そのため、特許文献4に開示された堆積膜形成方法がある。更に、成膜前の基体を洗浄し、クリーンルームの様にダスト管理された環境で反応容器内に運搬することにより、堆積膜形成前の基体上にダストや異物が付着することを極力避けるようにしてきた。
しかし、放電開始時に異常放電の影響により反応容器内の部材が溶融し基体上に付着した溶融物を起源として堆積膜が異常成長する画像欠陥に関しては、まだ抑制できていないのが現状である。
従って、本発明は、放電開始時の異常放電を抑制することで、画像欠陥を低減し、製品品質および良品率の向上を達成する事を目的としている。
上記目的を達成するため、本発明は、減圧可能な反応容器内に導電性基体を設置し、反応容器内に供給した原料ガスを高周波電力によって分解し、導電性基体上に珪素を母体とする非単結晶膜を形成する電子写真感光体の製造方法であって、
導電性基体表面に接する第一の層が、原料ガスの供給比率および供給量が一定であると共に高周波電力の印加条件が異なる3つの領域からなり、
3つの領域が、導電性基体の側から、前期領域、変化領域、および後期領域からなり、
前期領域に供給される高周波電力が、後期領域に供給される高周波電力よりも低い事を特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
本発明によれば、画像欠陥の改善を図り、製品品質および良品率の向上を達成することのできる、電子写真感光体の製造方法を提供することが可能となる。
本発明者等は導電性基体表面に接する第一の層の形成工程における高周波電力の印加電力と異常放電の関係について鋭意検討を行った。
その結果、第一の層の形成時に印加する高周波電力を高くするに従いプラズマが局在化し異常放電の発生が顕著である事が判明した。
逆に第一の層の形成時に印加する高周波電力を低くするに従いプラズマの均一性が得られ、異常放電の発生が抑制される事が分かった。
更に、第一の層を形成する反応容器内の内部圧力(以下「内圧」とも記す)と異常放電の関係について検討した。その結果、第一の層を形成する放電開始時に反応容器内の内圧を50.0Pa以下の低圧にするに従い良好な電気特性が得られるが、これに反しプラズマが局在化し異常放電が発生する傾向である事が判明した。
また、放電開始時の異常放電は、高周波電力が1〜20MHzのRF帯(代表的には13.56MHz)のプラズマを用いた場合、特に顕著に見られる。
上記RF帯のプラズマは、プラズマ放電が安定する内圧が数十Pa〜数百Paであるが30.0Paを下回るとプラズマ放電が不安定となりプラズマ放電を維持できない場合がある。
この異常放電の発生は高周波電力の印加を開始する放電開始時が顕著であるが堆積膜の形成によって反応容器内部のプラズマに曝される領域に堆積膜や堆積膜形成により生成するポリシランが堆積される事により異常放電は収束する事が判明した。
以上の結果から、第一の層を形成する放電開始時の内圧が50.0Pa以下の条件であっても異常放電を抑制する事が可能な方法を見出した。即ち、プラズマに曝される反応容器内部に所定量の堆積膜やポリシランからなる副生成物が堆積する間の高周波電力を低く設定することでプラズマを安定させればよいことがわかった。
しかし、高周波電力が低い状態で堆積膜を形成すると堆積膜の電気特性が低減する傾向であるため堆積膜の良好な電気特性を維持したまま放電開始時の異常放電を抑制できる条件を更に検討した。
その結果、反応容器内に堆積膜やポリシランが無い状態で、導電性基体上に堆積膜を形成する工程、即ち、導電性基体表面に接する第一の層に、高周波電力の印加条件が異なる3つの領域を設ければよいことが判明した。
高周波電力の印加条件が異なる3つの領域は、導電性基体表面側から順に、前期領域、変化領域、および、後期領域からなっている。前期領域と後期領域とは一定の高周波電力が印加される。後期領域は第一の層が最適な電気特性が得られる高周波電力とし、前期領域は後期領域よりも低い高周波電力に設定することが好ましい。変化領域は、前期領域で印加される高周波電力から後期領域に印加される高周波電力まで高周波電力が変化する遷移領域である。
導電性基体表面に接する前期領域の膜厚は、0.10μm以上、3.00μm以下である事が好ましい。
前期領域の膜厚が0.10μmを下回ると異常放電の抑制効果が十分に得られない場合があり、前期領域の膜厚が3.00μmを超えると所望の堆積膜の電気特性が得られない場合がある。
また、変化領域で高周波電力を変化させる時間は60sec以上、180sec以下が好ましい。高周波電力の変化時間が60secを下回ると堆積膜の急激な応力変化により、ガス導入管や基体支持体の表面に形成した堆積膜が剥れ、飛散する場合がある。また、内圧変化時間が180secを越えると堆積膜の電気特性が低下する場合があることが判明した。
前期領域は、内圧が50.0Pa以下の時に以下の条件が好ましい。具体的には、電極の単位面積当りに印加する高周波電力がシラン系ガス流量に対して4.0×10-5W/cm2/ml/min(normal)以上、1.0×10-4W/cm2/ml/min(normal)以下の範囲が好ましい。
電極の単位面積当りに印加する高周波電力がシラン系ガス流量に対して4.0×10-5W/cm2/ml/min(normal)を下回ると堆積膜の電気特性が低減する場合がある。また、1.1×10-4W/cm2/ml/min(normal)を越えると異常放電の抑制効果が十分に得られない場合がある。
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は堆積膜の第一の層を形成する際の高周波電力印加条件と、原料ガスの総ガス流量の関係を示す模式図である。横軸は、第一の層の領域を示し、縦軸は高周波電力及び原料ガスの総ガス流量を示している。原料ガスは、供給比率と原料ガスの供給量、即ち、総ガス流量が、一定で、高周波電力のみが変化することを示している。
図2(a)、(b)、(c)、および、(d)は高周波電力印加領域の変化領域における高周波電力の変化パターンを示す模式図であり、図2(a)は直線的な変化パターンを示す。また、図2(b)は段階的な変化パターンを示し、更に図2(c)、(d)は曲線的な変化パターンを示す模式図である。
図3は本発明に用いたアモルファスシリコン感光体製造装置の一例を示した概略図である。
この装置は大別すると、堆積装置3100、原料ガスの供給装置3200、減圧可能な反応容器3110内を減圧する為の排気装置(図示せず)から構成されている。堆積装置3100中の反応容器3110内にはアース(図示せず)に接続された導電性基体3112が上下2段に設置され、導電性基体3112の加熱用ヒーター3113、原料ガス導入管3114が設置されている。更に高周波電源3120が高周波マッチングボックス3115を介して反応容器3110に接続されている。
原料ガス供給装置3200には、バルブ3231〜3236を設けたSiH4、H2、CH4、NO、B26、CF4等の原料ガスボンベ3221〜3226が設置されている。
各ボンベは、圧力調整器3261〜3266とバルブ3241〜3246、3251〜3256及びマスフローコントローラー3211〜3216、更に補助バルブ3260を介して反応容器3110内の原料ガス導入管3114に接続されている。
導電性基体3112は導電性の基体支持体3123の上に設置されることによってアース(図示せず)に接続される。
図4は、本発明により作成される珪素を母体とする非単結晶膜を用いた電子写真感光体の層構成を説明するための模式的構成図である。
図4(a)は、基体401の上に電荷注入阻止層404、光導電層402、表面層403がこの順に積層された電子写真感光体であり、基体401表面と接する第一の層が電荷注入阻止層404である事を示している。また、光導電層402は少なくとも水素原子を含むa−Siからなり、表面層403は少なくとも炭素原子を含むa−SiCからなる。
図4(b)は本発明による機能分離型の電子写真感光体を説明する模式図であり基体401の上に光導電層402、表面層403がこの順に積層された電子写真感光体である。光導電層402は水素を含むa−Siからなり電荷輸送層405及び電荷発生層406に機能分離されている。ここで電荷輸送層405と電荷発生層406の位置関係は如何なる物であってもよく機能分離を組成変化により行う場合には、その組成変化が連続的であっても良い。
図4(b)では基体401表面に接する第一の層を電荷輸送層405とした場合の電子写真感光体を示す。
次に図3の装置を用いて、図4(a)に示した層構成の電子写真感光体を作成する場合の概略を以下に説明する。
反応容器3110内に導電性基体3112を上下2段に設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器3110内を排気する。続いて導電性基体加熱用ヒーター3113により導電性基体3112の温度を20℃〜500℃の所定の温度に制御する。
次に、原料ガスを反応容器3110内に流入させるにはガスボンベのバルブ3231〜3236、反応容器のリークバルブ3117が閉じられている事を確認する。また、流入バルブ3241〜3246、流出バルブ3251〜3256、補助バルブ3260が開かれている事を確認し、メインバルブ3118を開いて反応容器3110及びガス供給配管3116を排気する。
その後、真空計3119の読みが0.7Paになった時点で補助バルブ3260、流出バルブ3251〜3256を閉じる。その後ガスボンベ3221〜3226より各ガスをバルブ3231〜3236を開いて導入し圧力調整器3261〜3266により各ガス圧を所定の圧力に調整する。次に流入バルブ3241〜3246を徐々に開けて各ガスをマスフローコントローラー3211〜3216内に導入する。
以上の手順によって成膜準備を完了した後、導電性基体3112上に、第一の層である電荷注入阻止層の形成を行う。
即ち、導電性基体3112が所定の温度になったところで、各流出バルブ3251〜3256のうちの必要なものと補助バルブ3260とを徐々に開く。そして各ガスボンベ3221〜3226から所定の原料ガスを、原料ガス導入管3114を介して反応容器3110内に導入する。
次に、各マスフローコントローラー3211〜3216によって、各原料ガスが所定の流量になる様に調整する。その際、反応容器3110内の圧力が所定の圧力になる様に、真空計3119を見ながらメインバルブ3118の開口を調整する。
反応容器3110内の圧力が安定したところで、高周波電源3120から、発振周波数が13.56MHzの高周波電力を、高周波マッチングボックス3115を通じてカソード電極3111に印加して高周波グロー放電を生起させる。
この放電エネルギーによって反応容器3110内に導入させた各原料ガスが分解され、導電性基体3112上に珪素原子を主成分とする電荷注入阻止層が堆積される。
この第一の層である電荷注入阻止層の形成は、原料ガスの総ガス流量と内圧とが一定の状態で高周波電源3120の出力を調整し図1に示す様に高周波電力を変化させて、所定の膜厚まで形成すればよい。
上記高周波電力の変化方法としては、高周波電源3120の出力を調整して連続的又は段階的に変化させる方法がある。
また図1に示した変化領域の高周波電力の変化パターンとしては、図2(a)、(b)、(c)、および、(d)に示した連続的又は段階的な変化パターンが実施可能である。
なお、真空計3119を設置する部分の圧力と反応容器3110内部の圧力が異なる場合は、予め内圧差を測定し、校正した値に基づき反応容器3110内部の圧力を制御すればよい。
この様にして第一の層である電荷注入阻止層を形成した後、光導電層の形成に必要な原料ガスに切り換へ、光導電層を形成する。光導電層が所定の膜厚に達したところで、高周波電力の供給を止め、各流出バルブ3251〜3256を閉じて反応容器3110への各原料ガスの流入を止め、光導電層の形成を終える。但し、電荷注入阻止層を設けずに第一の層が光導電層である場合も同様に図1に示した高周波電力の変化を実行すればよい。
上記光導電層上に表面層を形成する場合は、反応容器3110内に残留する光導電層形成時の原料ガスを排気した後、表面層に必要な原料ガスに切り換へ反応容器3110内に流す。
反応容器3110内の圧力が所定の圧力になる様に、真空計3119を見ながらメインバルブ3118の開口を調整する。
反応容器3110内の圧力が安定したところで、高周波電源3120から、発振周波数が13.56MHzの高周波電力を、高周波マッチングボックス3115を通じてカソード電極3111に印加して高周波グロー放電を生起させ、表面層を形成すればよい。
(実施例1)
図3に示す構成の装置を用い、発振周波数が13.56MHzの高周波電力を直径230mm、長さ940mmの円筒状カソード電極3111に供給した。この様にして上下2段に設置した直径84mm、長さ381mmの円筒状アルミニウムシリンダーからなる導電性基体3112上に、表1に示す条件で電子写真感光体を作製した。
本実施例では、第一の層である電荷注入阻止層に印加する高周波電力は図1に示す前期領域では高周波電力を110W(4.0×10-5W/cm2/ml/min(normal))に設定した。また、後期領域の高周波電力は400Wとした。変化領域では高周波電力が110Wから400Wへ変化する変化時間は90secとし、図2に示した(a)のパターンで変化させた。
更に前期領域で形成する膜厚を0.05μm、0.10μm、0.80μm、1.50μm、3.00μm、3.20μmの6条件で12本の電子写真感光体を作成した。
Figure 2010175932
(比較例1)
実施例1と同様、図3に示す構成の装置を用い、発振周波数が13.56MHzの高周波電力を直径320mm、長さ940mmの円筒状カソード電極3111に供給した。この様にして、上下2段に設置した直径84mm、長さ381mmの円筒状アルミニウムシリンダー上に、表1に示す条件で電子写真感光体2本を作製した。
本比較例では、第一の層である電荷注入阻止層に印加する高周波電力は図1に示す3つの高周波電力印加領域に分けずに実施例1の後期領域と同じ高周波電力の設定で400W一定とした。
作成した電子写真感光体上下2本に対し残電、画像欠陥数を実施例1と同様の方法で評価した。
作製した実施例1の12本の電子写真感光体と比較例1の電子写真感光体とを電子写真装置(主帯電電流及び各光学系の光量が調整可能に改造したキヤノン製iRC5870)にセットして残留電位、画像欠陥の評価及び総合評価を行った。
結果を表2に示す。
(残留電位評価)
残留電位(残電)の測定は、電子写真装置の現像器位置にセットした表面電位計(TREK社のModel 344)の電位センサーにより像露光(波長655nmの半導体レーザー)を照射しない状態での電子写真感光体の表面電位を測定する。
次に、表面電位を測定しながら電子写真感光体の表面電位が400V(暗電位)になるように主帯電器の電流値を調整する。
その後、像露光(波長655nmの半導体レーザー)を1.2μJ/cm2の光量で照射した時の電子写真感光体の表面電位を残電とした。
測定場所は電子写真感光体上下2本のそれぞれに対し長手方向の中心から、奥側130mm、奥側90mm、中心、手前側90mm、手前側130mmの5箇所で測定し、電子写真感光体2本分の残電の平均値を求め、電子写真感光体の残電とした。
残電の評価は、比較例1の残電を1.0とした相対比較である。従って、数値が小さいほど残電が良好である事を示す。
(画像欠陥評価)
電子写真装置の現像器位置にセットした表面電位計(TREK社のModel 344)の電位センサーにより像露光(波長655nmの半導体レーザー)を照射しない状態での感光体の表面電位を測定する。次に電子写真感光体の表面電位が400V(暗電位)になるように主帯電器の電流値を調整した後、A3サイズに全面ベタ黒の画像を出力する。
次にA3サイズの全面ベタ黒画像の電子写真感光体一周分に相当する画像領域内に発生しているφ0.3mm以上の白点状の画像欠陥をカウントし電子写真感光体上下2本分の平均を画像欠陥数とした。
実施例1及び比較例1の評価結果を表2に示す。画像欠陥の評価は、比較例1の画像欠陥数を100とした相対比較である。従って、数値が小さいほど画像欠陥が少なく、良好である事を示す。
(総合評価)
総合評価は以下に示す残留電位の得点と画像欠陥の得点の合計点で評価した。
A:6点(特に効果が認められるレベル)
B:5点、4点(効果が認められるレベル)
C:3点、2点(効果が無く従来と同等のレベル)
残留電位の相対評価で得られた値を以下の得点とした。
2.6未満・・・3点
2.6以上5.0未満・・・2点
5.0以上・・・1点
画像欠陥の相対評価で得られた値を以下の得点とした。
50未満・・・3点
50以上80未満・・・2点
80以上100未満・・・1点
100以上・・・0点
Figure 2010175932
以上の結果から、前期領域で形成する膜厚は0.10μm以上3.00μm以下の範囲が特に効果的であり電子写真感光体の特性を維持したまま画像欠陥の少ない電子写真感光体が得られることが判明した。
(実施例2)
図3に示す構成の装置を用い、発振周波数が13.56MHzの高周波電力を直径230mm、長さ940mmの円筒状カソード電極3111に供給した。この様にして、上下2段に設置した直径84mm、長さ381mmの円筒状アルミニウムシリンダー上に、表1に示す条件で電子写真感光体を作製した。
本実施例では、実施例1と同様に第一の層である電荷注入阻止層に印加する高周波電力は図1に示す前期領域では高周波電力を110W(4.0×10-5W/cm2/ml/min(normal))に設定し、膜厚を1.00μmとした。また、後期領域の高周波電力は400Wとした。
更に変化領域は図2に示した(a)のパターンとし、変化領域の高周波電力を110Wから400Wへ変化させる変化時間を50sec、60sec、120sec、180sec、190secの5つの条件で変化させた10本の電子写真感光体を作成した。
作成した10本の電子写真感光体に対し残電、画像欠陥数の評価を実施例1と同様の方法で行った。
実施例2の評価結果を表3に示す。
Figure 2010175932
以上の結果、前期領域の高周波電力から後期領域の高周波電力に変化させる変化時間が60secを下回ると基体支持体及びガス導入管表面の膜剥れの影響により、画像欠陥が多くなる場合があった。また、180secを越えると残電が大きくなる傾向であった。よって高周波電力の変化時間は60sec以上180sec以下の範囲が特に効果的であり電子写真感光体の特性を維持したまま画像欠陥の少ない電子写真感光体が得られることが判明した。
(実施例3)
図3に示す構成の装置を用い、発振周波数が13.56MHzの高周波電力を直径230mm、長さ940mmの円筒状カソード電極3111に供給した。この様にして、上下2段に設置した直径84mm、長さ381mmの円筒状アルミニウムシリンダー上に、表1に示す条件で電子写真感光体を作製した。
本実施例では、実施例1と同様に第一の層である電荷注入阻止層に印加する高周波電力は図1に示す前期領域では高周波電力を82W、110W、163W、217W、295W、300Wの6条件に設定し、膜厚を1.00μmとした。変化領域では前期領域の高周波電力から400Wへ変化する変化時間は90secとし、図2に示した(a)のパターンで変化させた。
この6条件で12本の電子写真感光体を作成した。
作製した12本の電子写真感光体に対し残電、画像欠陥数の評価を実施例1と同様の方法で行った。
実施例3の評価結果を表4に示す。
Figure 2010175932
以上の結果、電子写真感光体の特性を維持したまま画像欠陥の少ない電子写真感光体が得られることが判明した。また、前期領域は電極の単位面積当りに印加する高周波電力がシラン系ガス流量に対して4.0×10-5W/cm2/ml/min(normal)以上、1.0×10-4W/cm2/ml/min(normal)以下の範囲が特に効果的であった。
(実施例4)
図3に示す構成の装置を用い、発振周波数が13.56MHzの高周波電力を直径230mm、長さ940mmの円筒状カソード電極3111に供給した。この様にして、上下2段に設置した直径84mm、長さ381mmの円筒状アルミニウムシリンダー上に、表1に示す条件で電子写真感光体を作製した。
本実施例では、実施例1と同様に第一の層である電荷注入阻止層に印加する高周波電力は第一の層である電荷注入阻止層に印加する高周波電力は図1に示す前期領域では高周波電力を295W(1.0×10-4W/cm2/ml/min(normal))に設定し、前期領域で形成する膜厚を1.00μmとした。
更に変化領域の高周波電力を295Wから400Wへ変化させる変化時間は90secで図2に示した(a)、(b)、(c)、および、(d)の4パターンで変化させた8本の電子写真感光体を作成した。
なお、図2(b)は高周波電力を35W間隔で295Wから400Wへ3段階で変化させた。
また、図2(c)は90secの変化時間で18sec毎に高周波電力を295W→337W→365W→381W→393W→400Wと連続的に変化させた。
更に、図2(d)は90secの変化時間で18sec毎に高周波電力を295W→302W→314W→330W→358W→400Wと連続的に変化させた。
作成した8本の電子写真感光体に対し残電、画像欠陥数の評価を実施例1と同様の方法で行った。
実施例4の評価結果を表5に示す。
Figure 2010175932
以上の結果から、前期領域の高周波電力から後期領域の高周波電力に連続的又は段階的に変化させる事により電子写真感光体の特性を維持したまま画像欠陥の少ない電子写真感光体が得られることが判明した。
(実施例5)
図3に示す構成の装置を用い、発振周波数が13.56MHzの高周波電力を直径230mm、長さ940mmの円筒状カソード電極3111に供給した。この様にして、上下2段に設置した直径84mm、長さ381mmの円筒状アルミニウムシリンダー上に、表6に示す条件で電子写真感光体を作製した。
本実施例では、第一の層である電荷輸送層に印加する高周波電力は図1に示す前期領域では高周波電力を136W(4.0×10-5W/cm2/ml/min(normal))に設定し、前期領域の膜厚を1.00μmとした。
また、後期領域の高周波電力は500Wとした。変化領域で高周波電力が136Wからから400Wへ変化する変化時間は90secとし、図2に示した(a)のパターンで変化させた。但し、電荷輸送層の内圧は30.0Pa、40.0Pa、50.0Paの3条件で6本の電子写真感光体を作成した。
作成した6本の電子写真感光体に対し残電、画像欠陥数の評価を実施例1と同様の方法で行った。
実施例5の評価結果を表7に示す。
Figure 2010175932
Figure 2010175932
以上の結果から、導電性基体上に50Pa以下の内圧で堆積する第一の層が、光導電層であっても放電初期の高周波電力を前期領域から後期領域に変化させる事により電子写真感光体の特性を維持したまま画像欠陥の少ない電子写真感光体が得られることが判明した。
(実施例6)
図3に示す構成の装置を用い、表1の条件で発振周波数が13.56MHzの高周波電力を円筒状カソード電極3111に供給し、上下2段に設置した直径108mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダーからなる導電性基体3112上に、電子写真感光体を作製した。但し、円筒状カソード電極3111は直径230mm、長さ940mmと直径258mm、長さ940mmの2種類を使用した。
本実施例では、第一の層である電荷注入阻止層に印加する高周波電力は図1に示す前期領域では高周波電力を4.0×10-5W/cm2/ml/min(normal)の条件に設定し、膜厚を1μmとした。また、変化領域では後期領域の高周波電力は前期領域の高周波電力から後期領域の高周波電力へ変化する変化時間は90secとし、図2に示した(a)のパターンで変化させた。
直径230mm、長さ940mmのカソード電極の場合、前期領域の高周波電力は110W、後期領域の高周波電力は400Wであった。直径258mm、長さ940mmのカソード電極の場合、前期領域の高周波電力は122W、後期領域の高周波電力は400Wであった。
この条件で、8本の電子写真感光体を作成した。
作製した8本の電子写真感光体を電子写真装置(主帯電電流及び各光学系の光量が調整可能に改造したキヤノン製iR105)にセットして残留電位、画像欠陥の評価及び総合評価を実施例1と同様の方法で行った。
実施例6の評価結果を表8に示す。
Figure 2010175932
以上の結果から、カソード電極及び導電性基体のサイズに関わらず、放電初期の高周波電力を前期領域から後期領域に変化させる事により、電子写真感光体の特性を維持したまま画像欠陥の少ない電子写真感光体が得られる事が判明した。
本発明の第一の層を形成時における高周波電力の印加パターン及び、原料ガスの総ガス流量の関係を示す模式図である。 本発明の変化領域における高周波電力の変化パターンを示す模式図である。 本発明に係わるPCVD法を適用可能な電子写真感光体製造装置の概略断面図。 本発明に係わる電子写真感光体の一例を示す層構成の概略断面図。
3100 堆積装置
3110 反応容器
3111 カソード電極
3112 導電性基体
3113 基体加熱用ヒーター
3114 原料ガス導入管
3115 高周波マッチングボックス
3116 ガス配管
3117 リークバルブ
3118 メインバルブ
3119 真空計
3120 高周波電源
3121 絶縁材料
3122 排気管
3123 基体支持体
3200 ガス供給装置
3211〜3216 マスフローコントローラー
3221〜3226 ボンベ
3231〜3236 バルブ
3241〜3246 流入バルブ
3251〜3256 流出バルブ
3260 補助バルブ
3261〜3266 圧力調整器
401 導電性基体
402 光導電層
403 表面層
404 電荷注入阻止層
405 電荷輸送層
406 電荷発生層

Claims (4)

  1. 減圧可能な反応容器内に導電性基体を設置し、前記反応容器内に供給した原料ガスを高周波電力によって分解し、前記導電性基体の上に珪素を母体とする非単結晶膜を形成する電子写真感光体の製造方法であって、
    前記導電性基体の表面に接する第一の層が、前記原料ガスの供給比率および供給量が一定であり、且つ、高周波電力の印加条件が異なる3つの領域からなり、
    前記3つの領域が、前記導電性基体の側から、前期領域、変化領域、および後期領域からなり、
    前記前期領域に供給される前記高周波電力が、前記後期領域に供給される前記高周波電力よりも低い事を特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記前期領域で形成される前記非単結晶膜の膜厚が0.10μm以上、3.00μm以下である事を特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記変化領域で前記高周波電力を変化させる時間が60sec以上、180sec以下である事を特徴とする請求項1から2の何れかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記前期領域の、内圧が50.0Pa以下の時に電極の単位面積当りに印加する高周波電力がシラン系ガス流量に対して4.0×10-5W/cm2/ml/min(normal)以上、1.0×10-4W/cm2/ml/min(normal)以下である事を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
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