JP2006126473A - 堆積膜形成方法および電子写真感光体 - Google Patents

堆積膜形成方法および電子写真感光体 Download PDF

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Abstract

【課題】構造欠陥の低減と膜特性向上を両立させ歩留まりを向上させる。
【解決手段】シリコン原子と炭素原子とを主構成原子として含有する非晶質材料で構成される第1層、シリコン原子を主構成原子とし水素原子またはハロゲン原子の少なくとも一方を含有する非晶質材料で構成される第2層とをプラズマCVD法により形成する際、シリコン原子を含有する第1原料ガスと炭素原子を含有する第2原料ガスとを各々第1設定流量で供給しながら反応容器内の圧力を第1設定圧力に設定して第1層を形成し、続いて、少なくとも第2原料ガスの流量を第1設定流量よりも低流量の第2設定流量へと変化させながら、第2原料ガスの流量低下に伴う反応容器内の圧力低下を補償する圧力調整を行い、第1層側から第2層側に向かって炭素原子含有量が減少する変化層の形成を経て第2層を連続的に形成する方法。
【選択図】図1

Description

本発明は半導体デバイス、電子写真感光体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、光起電力デバイス等を作製する堆積膜形成方法、および、本発明の堆積膜形成方法を使用して製造された電子写真感光体に関する。
従来、半導体デバイス、電子写真感光体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、光起電力デバイス等を作製する真空処理方法として、プラズマCVD法、反応性スパッタ法、熱CVD法、光CVD法等の処理方法が知られており、なかでもプラズマCVD法を用いた多くの装置・方法が実用化されている。プラズマCVD法を用いた堆積膜形成方法は、内部を減圧できる反応容器内に導入された原料ガスをグロー放電中で分解し、原料ガスに含まれる原子を基体上に堆積させ堆積膜を形成する方法であり、例えば、原料ガスにSiH4を用いることで水素化アモルファスシリコン(以降、a-Si:Hと略記)堆積膜を形成することができる。堆積膜の形成装置における歩留まり損失の多くは、堆積膜の膜質低下や膜質の不均一性が原因とする場合と、または構造欠陥の発生が原因とする場合がある。特に堆積膜の構造欠陥は各工程中において基体に付着したダストに起因することが多い。ダストが基体に付着すると付着したダストを基点に堆積膜が異常成長し、この異常成長が堆積膜の構造欠陥となる。電子写真感光体の場合、このような構造欠陥が発生すると、構造欠陥部分に局所的な電気特性の異常が生じ、電子写真プロセスで形成する画像上にも画像欠陥として現れるため、歩留まりが低下してしまう。
このような構造欠陥の原因となるダストとしては、基体の投入工程において反応炉内に存在するダストと、プラズマ処理中に発生する新たなダストが考えられる。前者の対策としては基体投入工程時に反応炉内のクリーン度を管理することが重要である。一方、後者は、プラズマ処理中に基体以外の反応炉内部品上にも堆積膜が形成され、こうした堆積膜が処理中に剥離することによって発生する膜片や、プラズマ処理中に気相反応で生成される微粒子などが考えられ、それらのダストを発生させない対策、あるいは、発生しても基体に付着させない対策が必要である。真空処理中の反応容器内におけるダスト発生を低減する方法として、放電空間に面する部材の表面粗さを所定範囲にすることによって、反応容器内での堆積膜の剥離を効果的に抑制し、堆積膜の異常成長を抑制できる真空処理装置及び方法が提案されている。例えば、容器と、容器内で放電を発生させるための電力導入手段と、容器内にガスを供給するためのガス導入手段と、を有する真空処理装置において、放電空間に面する部材の表面が、
(1)十点平均粗さ(Rz)が5μm以上200μm以下の範囲であり且つ、
(2)局部山頂の平均間隔(S)が5μm以上100μm以下の範囲
とする真空処理装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、存在するダストが基体に付着することを低減する方法として、プラズマ処理前および処理中に反応容器内に存在するダストを低減するための熱泳動現象を利用したダスト低減装置およびダスト低減方法が提案されている。例えば、化学気相成長装置において、反応室内壁を反応ガスの温度以上で、ウエハを保持、加熱するステージの温度以下に加熱保持し、反応室内壁とステージの間の半導体ウエハを取り囲む位置に反応室内壁温度以下に保持されるリングを設け、反応室内で反応ガスの気相反応により生じる反応生成物をそのリングに熱泳動によって付着させる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
上記装置・方法によって、プラズマ処理中に発生するダスト数を低減することができ、更に、発生したダストが基体に付着することを低減することができるが、積層構造の堆積膜を形成する場合には、形成した第1層から第2層の形成へ移行する層変化部分の形成時に、上記方法を用いても堆積膜に微細な構造欠陥が現われる場合があった。特に、電子写真装置に対する市場の要求レベルは日々高まっており、印刷並の高画質を実現していくために、これまで問題とならなかったレベルの微小な構造欠陥に起因する画像欠陥を低減することが要請されている。このような要請に応えるために、従来にも増して反応容器内の条件を高度に制御できる堆積膜形成方法が要請されている。
特登録3483494号公報 特開平3−82020号公報
本発明の目的は、プラズマCVD法により形成された第1層上に積層される第2層を形成して堆積膜を形成する際、第1層の形成から第2層への形成への移行時の反応容器内へ供給される原料ガスの変動に伴う反応容器内の状態の制御を図り、形成する堆積膜の均質化を図ると共に、ダストに起因する堆積膜に生じる微細な構造欠陥の発生を抑制することができ、歩留まりを向上させることができる堆積膜形成方法や、この堆積膜形成方法を使用して製造することにより高画質な画像を得ることができる電子写真感光体を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、積層構造を有する堆積膜を形成する際に、第1層の形成から第2層への形成への移行時の層変化層部分形成時の原料ガス供給量の変化に伴う反応容器内の圧力の変化が堆積膜形成中の微粒子の挙動に強く影響していることを見い出し、原料ガスの供給量変化に伴う反応容器内の圧力の変化変動を制御することによって、構造欠陥の発生を低減できることの知見を得た。更に、第1層の原料ガスのうち、第2層の形成においてその流量を減少、若しくは供給しない原料ガスについて、反応容器内への流量を第2層形成のための流量(第2層形成において供給しない場合は、流量は0となる。)へ漸減させる際に、反応容器内の圧力の調整を行ない、反応容器内への流量を第2層形成の流量に設定して、層変化部分形成終了時から、更に所定時間経過後に、反応容器内の圧力を第2層の形成の第2設定圧力にすることによって、プラズマ状態の安定化を図り、膜の均質化との両立を図ることができることの知見を得た。
すなわち、本発明は、少なくともシリコン原子と炭素原子とを主構成原子として含有する非晶質材料で構成される第1層をプラズマCVD法により形成し、第1層の上に、シリコン原子を主構成原子とし水素原子またはハロゲン原子の少なくとも一方を含有する非晶質材料で構成される第2層をプラズマCVD法により形成する際、
減圧可能な反応容器内に基板を設置し、反応容器内にシリコン原子を含有する第1原料ガスと炭素原子を含有する第2原料ガスとを各々第1設定流量で供給しながら反応容器内の圧力を第1設定圧力に設定し第1層を形成し、続いて、少なくとも第2原料ガスの流量を第1設定流量よりも低流量の第2設定流量へと変化させながら、第2原料ガスの流量低下に伴う反応容器内の圧力低下を補償する圧力調整を行い、第1層側から第2層側に向かって炭素原子含有量が減少する変化層の形成を経て第2層を連続的に形成し、更に、第2原料ガスの流量を第2設定流量に設定した後に反応容器内の圧力を第1設定圧力よりも低圧力の第2設定圧力に変更することを特徴とする堆積膜形成方法に関する。
本発明の堆積膜形成方法は、プラズマCVD法により形成された第1層上に積層される第2層を形成して堆積膜を形成する際、変化層形成中の第1層の形成から第2層の形成への移行時の反応容器内の圧力変動、を低減することにより変化層形成中のプラズマ状態が安定し、反応容器内に浮遊するダストが基体に付着するのを抑制し、ダストに起因する堆積膜に生じる微細な構造欠陥の発生を低減することができる。更に、第2原料ガスの流量が第2設定流量に設定された後で反応容器内の圧力を第2設定圧力に変更することによって、第1層の形成から第2層の形成への移行時の反応容器内のプラズマ状態の安定化により、第1層から第2層への移行への変化層や第2層の膜質を向上することができ、構造欠陥の低減ならびに堆積膜の均質化による光電特性の向上を図ることができ、歩留まりを向上させることができる。これを使用した本発明の電子写真感光体においては、高画質な画像を得ることができる。
本発明の堆積膜形成方法は、少なくともシリコン原子と炭素原子とを主構成原子として含有する非晶質材料で構成される第1層をプラズマCVD法により形成し、前記第1層の上に、シリコン原子を主構成原子とし水素原子またはハロゲン原子の少なくとも一方を含有する非晶質材料で構成される第2層をプラズマCVD法により形成する際、減圧可能な反応容器内に基板を設置し、前記反応容器内にシリコン原子を含有する第1原料ガスと炭素原子を含有する第2原料ガスとを各々第1設定流量で供給しながら前記反応容器内の圧力を第1設定圧力に設定して前記第1層を形成し、続いて、少なくとも前記第2原料ガスの流量を前記第1設定流量よりも低流量の第2設定量へと変化させながら、前記第2原料ガスの流量低下に伴う前記反応容器内の圧力低下を補償する圧力調整を行い、前記第1層側から前記第2層側に向かって炭素原子含有量が減少する変化層の形成を経て第2層を連続的に形成し、更に、前記第2原料ガスの流量を第2設定流量に設定した後に前記反応容器内の圧力を前記第1設定圧力より低圧力の第2設定圧力に変更する方法であれば、特に制限されるものではないが、かかる方法を実施するための堆積膜形成装置の一例として、図1に示すa−Si:H系電子写真感光体の堆積膜形成装置を挙げることができる。図1に示す堆積膜形成装置は同時に6本のa−Si:H系電子写真感光体を製造することができるプラズマ処理装置であり、図1はその縦断面図を示し、図2は図1に示すプラズマ処理装置のA−B横断面図を示している。
図1、図2に示すプラズマ処理装置は、大まかに、堆積膜形成装置500、ガス供給システム502、高周波電源503、真空ポンプ504から構成されている。堆積膜形成装置500は、減圧可能な反応容器501、反応容器501内同一円周上等間隔に設置された基体支持体506、駆動装置514の駆動力を伝達し基体支持体506を自転させる回転軸シャフト507、円筒状基体505および基体支持体506を加熱するための発熱体515、反応容器501に加熱ガスや原料ガスを導入するガス供給手段であるガス管509、反応容器501内を減圧するための真空ポンプ504を接続する排気配管518および排気口519、反応容器501内に導入された原料ガスをプラズマに励起するために高周波電源503から供給する高周波電力を反応容器501内へ導入する高周波電極512、高周波電極512から放出される電磁波がプラズマ処理装置外に漏れることを遮蔽するシールド容器508等から構成されている。上記発熱体515としては、円筒状基体505、基体支持体506を加熱可能なものならば特に制限はなく、例えば、シース状ヒータの巻き付けヒータ、板状ヒータ、セラミックヒータ等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱輻射ランプ発熱体、液体、気体等を媒体とした熱交換手段による発熱体が挙げられるを用いることができる。なお、図1の装置ではシース状ヒータの巻き付けヒータを用いている。
上記プラズマ処理装置の反応容器501は円筒状で、反応容器501の上面および下面は基本的に平面で閉塞された構造になっている。なお、上下面は高周波電力を遮蔽するために導電性の材質で構成されている。導電性の材質は加工性、耐久性、コストの面から、アルミニウム合金あるいはステンレスが好適である。一方、側面部は外部に設けられた高周波電極512から放射される電磁波が反応容器501内を透過するために、少なくとも一部を誘電体で構成し、その誘電体の材質にはアルミナ、二酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ジルコン、コンジェラート、ジルコン−コンジェラート、酸化珪素、酸化ベリリウムマイカ系セラミック等を用いることが好ましい。中でも加工性、耐久性に加え、高周波電力の吸収がより少ないという点からアルミナがより好適な材料である。なお、反応容器501内の堆積膜が付着する部材の表面は堆積膜の密着性を向上させるために、JIS B0601(1994)に準じて測定される十点平均粗さRz(JIS)が5μm以上200μm以下の範囲とすることが好ましい。十点平均粗さRz(JIS)を上記範囲にする方法として、ブラスト処理、あるいはプラズマ溶射処理などが挙げられる。なお、プラズマ溶射処理を施す場合、導電性の部材には、アルミニウム、ニッケル、ステンレスがその好適な材質として挙げられ、誘電体材料の部材には、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ジルコン、コンジェラート、ジルコン−コンジェラート、酸化珪素、酸化ベリリウムマイカ系セラミックがその好適な材質として挙げられる。
上記プラズマ処理装置に設けられるガス供給システム502は、処理に用いる加熱ガスや原料ガス、例えばSiH4、SiF4、GeH4、H2、B26、PH3、CH4、NO、Ar、He、N2等をマスフローコントローラー等により所定流量で供給可能な構成となっており、ガス管509を通じて加熱ガスや原料ガスが反応容器501内へ供給される構成となっている。また、高周波電源503は、整合回路511、電力分岐板510を介して反応容器501外に設置された6本の棒状の高周波電極512に高周波電力を供給できるようになっている。なお、電力分岐板510、高周波電極512ならびに反応容器501はシールド容器508内に収納され、反応装置外への電磁波の漏洩を防止している。また、反応容器501の排気口519にはコンダクタンスバルブ513を介して真空ポンプ504が接続され、反応容器501内が真空ポンプ504によって所望圧力まで真空引きが行える構成であり、ガス供給システム502より所望の原料ガスを所定流量で反応容器内へ供給しながら、コンダクタンスバルブ513等を操作することによって、反応容器501内を所望圧力に調整することが可能な構成となっている。
本発明の堆積膜形成方法を、図1の上記プラズマ処理装置を用いてa−Si:H系電子写真感光体の製造を一例として以下に説明する。a−Si:H系電子写真感光体の作製製造は、大まかに、基体の切削・洗浄を行う前処理工程、基体をプラズマ処理装置の反応容器に投入する投入工程、基体を加熱する加熱工程、基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成工程、堆積膜形成後、基体をプラズマ処理装置から取り出す搬出工程、プラズマ処理装置のクリーニングを行う後処理工程の順に行われるが、以下に電子写真感光体の製造において本発明の堆積膜形成方法に関係する投入工程から、基体を加熱する加熱工程および本発明の堆積膜形成方法が適用される第1層である電荷注入阻止層および第2層である光導電層を形成する堆積膜形成工程について説明する。
まず、少なくともプラズマ処理装置の反応容器に基体を投入する工程は、必要十分なクリーン度に保持されたクリーンルームあるいはクリーンブースにおいて行う。前処置工程を施した円筒状基体505を反応容器501内の基体支持体506に設置し、真空ポンプ504により反応容器501内を所望の圧力まで排気する。このとき、排気によって反応容器501内のダストを巻き上げないように、通常よりも遅い排気速度で所望圧力まで排気するとなお好ましい。排気速度の調整は、コンダクタンスバルブ513による排気コンダクタンスの調整や、排気速度の異なる真空ポンプの切り替え、真空ポンプの回転周波数の変更等が挙げられる。
続く加熱工程では、ガス供給システム502よりガス管509を通じて加熱ガスを反応容器501内に導入する。加熱ガスは反応性が低く、円筒状基体505や反応容器501内の部品に悪影響を及ぼさず、加熱工程終了後の堆積膜形成工程へ影響を及ぼさないガス種であることが好ましく、さらに、加熱ガスは熱伝導率が高く、コスト的に安価なガスであることが好ましい。このようなガス種として、H2、He、N2、Arを用いることができる。加熱ガスの反応容器への供給が所定流量に達した時点で、コンダクタンスバルブ513の開度を調整し、あるいは、真空ポンプ504の排気速度を調整して、反応容器501内を所定圧力に設定する。
一方、円筒状基体505は発熱体515により加熱され、円筒状基体505と反応容器内が所望温度に加熱・制御可能となった時点で、加熱ガスの供給を停止し、真空ポンプ504によって、反応容器501内の加熱ガスを十分排気する。
加熱ガスの排気終了後、堆積膜形成工程では、基体上に第1層である電荷注入阻止層および第2層である光導電層を形成する。第1層を形成するには、ガス供給システム502よりガス管509を通じて、電荷注入阻止層形成に用いるガス種であるシリコン原子を含有する第1原料ガスと炭素原子を含有する第2原料ガスを各々第1設定流量で反応容器501内に供給し、必要に応じて、荷電制御用の原料ガスや希釈用ガスなどのその他のガスを同時に供給する。コンダクタンスバルブ513の開度を調整することによって反応容器501内を第1設定圧力に設定する。なお、第1原料ガスとしてSiH4、Si26、SiF4等を用いることができ、第2原料ガスとしてCH4、C24、C22等を用いることができる。また、その他荷電制御用の原料ガスとしてPH3、B26等を用いることができ、希釈用ガスとしてH2、He、Ar等を用いることができる。反応容器501内の圧力が第1設定圧力に達した時点で、高周波電源503より整合回路511、電力分岐板510を介して複数の高周波電極512に高周波電力を印加して反応容器501内に原料ガスのプラズマを生成し、円筒状基体505上に電荷注入阻止層を形成する。なお、反応容器を印加する高周波電力の発振周波数としては、気相反応によるダストの発生を抑制するために比較的低圧力で反応容器内を安定したプラズマ状態に維持するために、30MHz以上450MHz以下の範囲が好ましい。反応容器を印加する高周波電力の発振周波数が30MHz以上であると、放電の安定性および堆積膜の均一性を維持することができ、また、発振周波数が450MHz以下であると、反応容器内に高周波電力を均一に供給することができ、処理の均一性を保つ上で好ましい。
なお、上記のような高周波電力の発振周波数を用いる場合には、電荷注入阻止層の形成時の設定圧力を7.0Pa以下、更に、1.5Pa以上に設定することが好ましい。7.0Pa以下の圧力で堆積膜の形成を行うことにより、気相中での反応が抑制され、微粒子の生成が抑制されるため、気相中で生成された微粒子が基体に付着することによって、生じる構造欠陥の発生が低減される。一方、1.5Pa以上の圧力で堆積膜形成を行うことにより、堆積膜形成に充分な印加電力が得られ均一な処理がなされ、反応容器内の重力方向下側においても構造欠陥が十分に抑制できる。また、電荷注入阻止層形成中、基体温度は所定温度範囲に制御することが好ましい。電荷注入阻止層形成時の基体温度は、基体と電荷注入阻止層との密着性および電荷注入阻止層の膜特性を両立させる上で、150〜300℃の範囲が好ましく、より好ましくは150〜250℃の範囲である。
予め設定した電荷注入阻止層形成時間に到達し電荷注入阻止層が所望の膜厚に到達した時点で、第2原料ガスの反応容器内への流量を第1設定流量よりも低流量の第2設定流量へと変化させ、基体側から表面側に向かって炭素含有濃度が減少する変化層を形成する。このとき、第2原料ガスの流量低下に伴う反応容器内の圧力の低下を補償するように圧力調整を行う。圧力調整は、反応容器内の圧力の変動が大きく変動しないように制御できる方法であれば特に制限はないが、具体的な方法として、排気装置の排気速度調整、排気コンダクタンスの調整、あるいは、第2原料ガス以外のガス流量を増加させて調整する方法等、これらの一つまたは組み合わせた方法を挙げることができる。例えば、排気速度調整は、排気ポンプの回転周波数の変更や、排気速度の異なるポンプの切り替え等により行なうことができる。また、排気コンダクタンスの調整は、排気ラインに設置したコンダクタンスバルブの開度調整や、排気コンダクタンスの異なる排気ラインの切り替え等により行なうことができる。また、第2原料ガス以外のガス、例えば、第1原料ガスなど他の原料ガスや希釈ガスの流量を増加させて、第2原料ガスの流量低下に伴う反応容器内に生じる圧力の変動幅を低減することができる。以上のような圧力調整によって、電荷注入阻止層から光導電層への移行領域である変化層形成中、反応容器内に生じる圧力の変動量を第1設定圧力の±30%以内に制御することが好ましい。変化層形成中の反応容器内の圧力変動が第1設定圧力の±30%以内であれば、プラズマの安定性を維持することができる。不安定なプラズマ状態に起因するダストの発生、あるいはダストの付着が抑制されダストに起因する構造欠陥の発生が抑制され、更に安定したプラズマにより原料ガスのプラズマが安定して供給され、堆積膜の均質化を図ることができる。このような圧力の調整を行ないながら第2原料ガスの流量を漸減させ第1設定流量より低流量の第2設定流量への設定が終了することにより変化層が形成される。
上記変化層の形成を経て、続いて第2層である光導電層を、シリコン原子を含有する第1原料ガスと水素原子および/またはハロゲン原子の少なくとも一方を含有する原料ガスを反応容器内へ供給して形成する。光導電層の形成において第2設定圧力に設定する方法としては、反応容器内の圧力が要求される圧力に制御できればいずれの方法でもよく、具体的には、排気装置の排気速度調整、排気コンダクタンスの調整等が挙げられる。あるいは、変化層形成時、圧力補償のため供給した第2原料ガス以外のガス流量を低減することも有効である。なお、第2設定圧力への変更は、第2原料ガスの流量が第2設定流量に設定された後であればいつの時点で行なうかについては特に制限はないが、第1原料ガス、第2原料ガスに加えて水素原子および/またはハロゲン原子を含有する原料ガスの流量が安定した状態になってから変更することが好ましく、第2原料ガスが第2設定流量に設定された時点から、第2原料ガスの流量を前記第1設定流量よりも低流量の第2設定流量へと変化するのに要した時間の10%以上の時間が経過した後で第2設定圧力に変更することがより好ましい。このように原料ガスの流量が一定となった後、所定時間経過後に圧力の設定の変更がなされることにより、第2層の膜質を均質なものとすることができる。
また、電荷注入阻止層を形成するときの印加電力と光導電層を形成するときの印加電力が異なる場合、印加電力を変更するタイミングは堆積膜の密着性等に悪影響を及ぼさないタイミングで行うことが好ましい。例えば変化層形成と並行して、または、変化層形成以降、光導電層の形成時に印加電力を変化させることが好ましい。印加電力の変化は連続的であっても、段階的不連続であってもよいが、印加電力の上昇は反応容器内のプラズマに接する基体および部品の温度を上昇させるため、これらの温度がオーバーシュートしない程度の上昇率で印加電力を変化させることが好ましい。また、逆にヒータ等との制御バランスを考慮して不要に基体や部品温度が下がり過ぎないような上昇率で印加電力を変化させることが好ましい。
光導電層形成中、第1層との密着性と膜特性を両立させる上で、基体温度を所定温度範囲に制御することができる。光導電層形成時の基体温度は、150〜300℃の範囲、より好ましくは、180〜250℃の範囲である。
このように形成される光導電層は、感光体の特性を満足させるために十分な膜厚を有することが好ましく、形成する積層堆積膜の密着性と生産性を両立させるために、第1層である電荷注入阻止層の層厚の5倍以上(電荷注入層は、光導電層のそれに対して20%以下の層厚を有する。)であることが好ましい。
光導電層が所望の膜厚に到達、あるいは、予め設定した光導電層形成時間に到達した後、高周波電力の供給を停止し、光導電層の形成を終了する。
光導電層形成後、光導電層上に表面層を形成してもよい。表面層の形成は、反応容器501内の温度、圧力などを、表面層形成条件にして、高周波電源503より整合回路511を介して高周波電極512に高周波電力を印加して原料ガスのプラズマを生成し、光導電層上に表面層を形成することができる。表面層が所望の膜厚に到達、あるいは、予め設定した表面層形成時間に到達した時点で、高周波電力の供給を停止し、原料ガスの供給も停止してa−Si:H系電子写真感光体の形成を終了する。
本発明の堆積膜形成方法が適用される電子写真感光体の製造においては、基体上に第3層である密着層を形成した上で上記第1層、第2層を形成することが好ましい。かかる第3層を形成するには、反応容器内に少なくともシリコン原子を含有する第1原料ガスと、窒素原子を含有する第3原料ガスとを各々第3設定流量で供給しながら反応容器内の圧力を第3設定圧力に設定し、上記プラズマ処理装置を用いて、シリコン原子と窒素原子を主構成原子として含有する非晶質材料で構成される第3層を形成することができる。この第3層の形成時の反応容器内の圧力として設定される第3設定圧力は、上述の第1層形成時の設定圧力である第1設定圧力に対して±30%以内であることが好ましい。また、原料ガスとして使用されるシリコン原子を含有する第1原料ガスは、シリコン原子を含有し、プラズマCVD法に適用できるものであれば、上述の第1層などの形成に使用する第1原料ガスと同種のガスに限らず、異種の第1原料ガスであってもよい。かかる原料ガスのプラズマを生成する高周波電力の発振周波数が30MHzから450MHzであることが好ましい。
このようにして製造される本発明の電子写真感光体は、図3(a)の模式断面図に、一例を示すように、導電性の基体701上に第1層である電荷注入阻止層702、変化層705、第2層である光導電層703、表面層704が順に積層された構成を有する。電荷注入阻止層702はシリコン原子と炭素原子を主構成原子として含有する非晶質材料で構成され、基体701と堆積膜との密着性を向上させている。なお、電荷注入阻止層中に含有される炭素原子量はシリコン原子と炭素原子の総数に対して15atm%以上85atm%以下の範囲であることが好ましく、第1原料ガスにSiH4、第2原料ガスにCH4を用いて形成された場合、その流量比率が2:1〜1:10の範囲であると光導電層への電荷の注入を阻止し充分な帯電能を有するものとすることができる。電荷注入阻止層702と光導電層703の間には、キャリアの移動性や機械的な密着性を向上する目的で炭素原子の含有量が表面側に向かって減少する変化層705が備えられる。変化層は、変化層の形成時において炭素原子を含有する原料ガスの流量が電荷注入阻止層から光導電層形成時の流量へ漸減するのに伴い、圧力の調整が行なわれることにより反応容器内に生じる圧力の変動が抑制されるため、不安定な状態のプラズマに起因するダストの発生がなく、構造欠陥が抑制され且つ均質の膜質を有する。また、光導電層703はシリコン原子を母体とし主構成原子として水素原子またはハロゲン原子の少なくとも一方を含有する非晶質材料で構成され、電子写真感光体の電気特性を有する。
また、このような本発明の方法を電子写真感光体の形成に用いる場合において、感光体の特性を満足させるために第2層の膜厚を十分な厚さで形成することが好ましく、形成する積層堆積膜の密着性と生産性を両立させるために、第1層の膜厚が第2層の膜厚の20%以下であることが好ましい。そのためには、電荷注入阻止層や光導電層を形成する際に、荷電制御用の原料ガスや希釈用ガスを必要に応じて供給することができる。
また、本発明の電子写真感光体としては、図3(b)に示すように、導電性の基体701上に第3層である密着層706、電荷注入阻止層702、変化層705、光導電層703、表面層704が順に積層された構成であってもよい。密着層706はシリコン原子と窒素原子を主構成原子として含有する非晶質材料で構成され、基体701と堆積膜との密着性をさらに向上させることができる。
さらに、図示してはないが、光導電層703と表面層704の間にキャリアの移動性、光の透過性や機械的な密着性を改善する目的として変化層を設けたものでも、また、他のa−Si:H系電子写真感光体の層構成として、光導電層703を電荷発生層と電荷輸送層の2層に機能分離した感光体や、光導電層703と表面層704の間に上部電荷注入阻止層を積層させて負帯電極性の感光体を形成することもできる。
以上、a−Si:H系電子写真感光体の製造方法を一例に本発明の堆積膜形成方法について説明したが、同様の積層構造の堆積膜を形成する場合に適用することができる。また、本発明の堆積膜形成方法は数十μm程度の厚さを必要とする積層構造の堆積膜を形成する場合に特に有効であり、電子写真感光体の形成に特に適しているものの、電子写真感光体のみならず、半導体デバイス、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、光起電力デバイス等他の堆積膜形成においても適用することができる。
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
本実施例では図1、2に示すプラズマ処理装置を用いて、図3(a)に示す層構成のa−Si:H系電子写真感光体を以下の手順により作製した。まず、投入工程において、切削・脱脂洗浄した直径80mm、長さ358mmのアルミニウムを主原料とする円筒状基体505を基体支持体506に設置し、真空ポンプ504によって反応容器501内を50Pa以下まで真空引きを行った。加熱工程では、駆動装置514により回転軸シャフト507を介して基体支持体506及び基体支持体506に積載された円筒状基体505を2rpmで自転させながら、加熱用ガスとしてHeガスを500ml/min.(nomal)で反応容器501に供給すると同時に真空ポンプ504で排気しながら、反応容器501内の圧力を250Paに維持し、発熱体515によって、120分で200℃に加熱・制御した。加熱工程終了後、反応容器501内を1Pa以下まで減圧した後、表1に示す条件で電荷注入阻止層、変化層、光導電層を連続放電によって形成し、その後、表面層の形成を行い、図3(a)に示す層構成のa−Si:H系電子写真感光体を作製した。変化層形成近傍における原料ガス供給量、反応圧力、コンダクタンスバルブ開度、印加電力を図4に示すように変化させた。高周波電源503の発振周波数は105MHzを選択した。
Figure 2006126473
搬出工程では、反応容器501内を1Pa以下まで一旦減圧した後、ガス管509よりArガスを供給して複数回パージを行った後、ガス管509より冷却ガスとしてHeガスを反応容器501内に供給し反応容器501の反応圧力を1×103Paとして円筒状基体505を自然冷却した。円筒状基体505の温度が十分下がったら、冷却用のHeガスを一旦排気した後、ガス管509よりN2ガスを供給し、反応容器501を大気圧に戻し反応容器501より円筒状基体505を取り出した。
[比較例1]
実施例1と同じ装置を用いて、表2に示す条件とし、実施例1と同様にして、図3(a)に示す層構成のa−Si:H系電子写真感光体を作製した。図6に示すように変化層形成付近における原料ガス供給量、印加電力は、実施例1と同じ条件で、変化させ、コンダクタンスバルブ開度は実施例1の条件とは異なる一定の開度で行い、反応圧力の変化のさせかたを実施例1とは変えた。
Figure 2006126473
実施例1および比較例1で作製したa−Si:H系電子写真感光体の周方向の特性について「帯電能」、「残留電位」、「構造欠陥数」について、以下の具体的方法で評価した。
(帯電能)
電子写真感光体の帯電能は、電子写真感光体を本テスト用に改造したキヤノン製の複写機iR5000(以下、iR5000改造機という。)に設置し、iR5000改造機の主帯電器に一定電流を流したときの現像器位置での感光体表面の暗部電位を測定した。帯電能測定は電子写真感光体の軸方向中心位置で感光体周方向にわたって行い、その平均値を表示した。数値が高いほど良好である。
(残留電位)
電子写真感光体の残留電位は、電子写真感光体をiR5000改造機に設置し、iR5000改造機の主帯電器に電流を流し、表面電位の平均値を設定値に帯電させ、像露光器位置で一定光量を照射した際の現像器位置での感光体表面の電位を測定した。残留電位測定は電子写真感光体の軸方向中心位置で感光体周方向にわたって行い、その平均値を表示した。数値が低いほど良好である。
(構造欠陥数)
電子写真感光体の表面を顕微鏡で観察し、一定面積にある直径10μm以上の構造欠陥を数えた。数値が小さいほど良好である。
評価の結果、比較例1に比べ、実施例1で作製した電子写真感光体は「帯電能」、「残留電位」ともに変化はなかったが、「構造欠陥数」は全領域で50%程度少なくなり、本発明の優れた効果が確認できた。
[実施例2]
実施例1と同じ装置を用いて、表3の条件で、高周波電源503の発振周波数を50MHzとした他は実施例1と同様にして、図3(a)に示す層構成のa−Si:H系電子写真感光体を作製した。図5に示すように変化層形成付近における原料ガス供給量、反応圧力、コンダクタンスバルブ開度、印加電力を変化させた。
Figure 2006126473
[実施例3]
実施例2と同じ装置を用いて、表4の条件で、密着層706を設けたことと、光導電層作成時の圧力を実施例2とは異なるようにした以外は実施例2同様にして、図3(b)に示す層構成のa−Si:H系電子写真感光体を作製した。変化層形成付近における原料ガス流量、反応圧力、コンダクタンスバルブ開度、印加電力、高周波電源の発振周波数も実施例2と同様の条件で行なった。
Figure 2006126473
[比較例2]
表5の条件とした他は実施例2と同様にしてa−Si:H系電子写真感光体を作製した。また、変化層形成付近における原料ガス供給量、反応圧力、コンダクタンスバルブ開度、印加電力を図7に示したように変化させた。本比較例と実施例2の違いは、光導電層形成中にコンダクタンスブルブの開度調整を行わず、光導電層全域を2.5Pa一定で形成した点である。
Figure 2006126473
実施例2、実施例3及び比較例2で作製したa−Si:H系電子写真感光体についての帯電能、残留電位、構造欠陥数について、実施例1と同様の方法で測定し、評価を行った。比較例2で作製したa−Si:H系電子写真感光体を基準として評価を行った。
評価の結果、比較例2に比べ、実施例2及び3で作製した電子写真感光体は「構造欠陥数」についてはほとんど変わらなかったが、実施例2で作製した電子写真感光体は「帯電能」が150%に向上し、「残留電位」は20%に改善された。また、実施例3で作製した電子写真感光体は「帯電能」が150%に向上し、「残留電位」は25%に改善され、本発明の優れた効果が確認された。
[実施例4]
第1設定圧力を1.0Pa〜10.0Paで6種のa−Si:H系電子写真感光体を作製した。変化層形成中の圧力変動は各設定圧力の±30%以内に制御した他は実施例2と同じ条件で作製した。
実施例4で作製した感光体について、構造欠陥数について実施例1と同様の方法で測定し、第1設定圧力を10.0Paとして作製した実施例4−6の感光体を基準として評価を行った。
「構造欠陥数」が実施例4−6に比べ、50%未満の場合をA、50%以上80%未満の場合をB、80%以上100%未満のものをC、同等の場合をDとして評価した。
「構造欠陥の分布」は、感光体軸方向について10mm毎に「構造欠陥数」を数え、その最大値と最小値の比率を求めた。その比率が、実施例4−6に比べ、50%未満の場合をA、50%以上80%未満の場合をB、80%以上100%未満のものをC、同等又はやや劣るが実用上問題がない場合をDとして評価した。
また、a−Si:H系電子写真感光体形成後の反応容器内部を目視で観察し、反応容器内部品からの膜剥がれ、粉体の生成状況を確認し、特に問題がないものをA、膜剥がれの発生、または、粉体の生成が少しでも確認されたものをB、膜剥がれの発生、または、粉体の生成が明らかだが実用上問題ないものをCとした。その結果を表6に示す。
Figure 2006126473
評価の結果、第1設定圧力を1.0Paに設定した実施例4−1のa−Si:H系電子写真感光体は、他のa−Si:H系電子写真感光体に比べて、反応容器の重力方向下側で構造欠陥数が多く、構造欠陥の分布の評価がやや劣った。また、第1設定圧力を10.0Paに設定した実施例4−6のa−Si:H系電子写真感光体を作製した際、反応容器内には気相反応の跡と思われる微粒子生成物の付着が確認できた。また作製されたa−Si:H系電子写真感光体は、実用上問題はないが構造欠陥数が他のa−Si:H系電子写真感光体に比べて、増加傾向であった。実施例4で作製したa−Si:H系電子写真感光体は、いずれも十分に構造欠陥が低減し、処理均一性にも問題はなく、本発明の効果が確認されたが、特に実施例4−2〜4−5のa−Si:H系電子写真感光体が実施例4−6のa−Si:H系電子写真感光体より良い結果であった。
[実施例5]
第2層である光導電層の形成中に行うコンダクタンスバルブの開度調整を種々変更して、第2設定圧力を0.6Pa〜2.0Paで4種のa−Si:H系電子写真感光体を作製した。それ以外の条件は、実施例2と同じ条件で作製した。
実施例5で作製した感光体について、帯電能、残留電位、構造欠陥数について実施例1と同様の方法で測定し、比較例2で作製した感光体を基準として評価を行った。
「帯電能」は、比較例2に比べ、150%以上の場合をA、100%以上150%未満のものをB、80%以上100%未満の場合をC、80%未満の場合をDとした。
「残留電位」は、比較例2に比べ、20%未満の場合をA、20%以上50%未満の場合をB、50%以上100%未満のものをC、100%以上の場合をDとした。
「構造欠陥数」に関しては、比較例2に比べ、80%未満の場合をA、80%以上110%未満の場合をB、110%以上150%未満のものをC、150%以上の場合をDとした。評価結果を表7に示す。
Figure 2006126473
評価の結果、第2設定圧力を1.0Pa以下に設定した場合に特に帯電能は向上し、残留電位は低下し本発明の効果が確認された。
本発明の堆積膜形成方法を実施するための一例のプラズマ処理装置を示す概略構成図である。 図1のプラズマ処理装置を示す概略構成図のA−Bにおける横断面図である。 (a)本発明の電子写真感光体の一例の層構成を示す概略断面図である。(b)本発明の電子写真感光体の一例の層構成を示す概略断面図である。 (a)本発明の堆積膜形成方法の実施例1の変化層近傍形成の原料ガス流量を示す図である。(b)本発明の堆積膜形成方法の実施例1の変化層近傍形成の反応圧力を示す図である。(c)本発明の堆積膜形成方法の実施例1の変化層近傍形成のコンダクタンスバルブ開度を示す図である。(d)本発明の堆積膜形成方法の実施例1の変化層近傍形成の印加電力を示す図である。 (a)本発明の堆積膜形成方法の実施例2の変化層近傍形成の原料ガス流量を示す図である。(b)本発明の堆積膜形成方法の実施例2の変化層近傍形成の反応圧力を示す図である。(c)本発明の堆積膜形成方法の実施例2の変化層近傍形成のコンダクタンスバルブ開度を示す図である。(d)本発明の堆積膜形成方法の実施例2の変化層近傍形成の印加電力を示す図である。 (a)比較例1の変化層近傍形成の原料ガス流量を示す図である。(b)比較例1の変化層近傍形成の反応圧力を示す図である。(c)比較例1の変化層近傍形成のコンダクタンスバルブ開度を示す図である。(d)比較例1の変化層近傍形成の印加電力を示す図である。 (a)比較例2の変化層近傍形成の原料ガス流量を示す図である。(b)比較例2の変化層近傍形成の反応圧力を示す図である。(c)比較例2の変化層近傍形成のコンダクタンスバルブ開度を示す図である。(d)比較例2の変化層近傍形成の印加電力を示す図である。
符号の説明
500・・・堆積膜形成装置
501・・・反応容器
502・・・ガス供給システム
503・・・高周波電源
504・・・真空ポンプ
505・・・円筒状基体
506・・・基体支持体
507・・・回転軸シャフト
508・・・シールド容器
509・・・ガス供給手段
510・・・電力分岐板
511・・・整合回路
512・・・高周波電極
513・・・コンダクタンスバルブ
514・・・回転駆動装置
515・・・発熱体
516・・・減速ギヤ
517・・・同軸ケーブル
518・・・排気配管
519・・・排気口
520・・・プラズマ漏れ防止体
701・・・基体
702・・・電荷注入阻止層
703・・・光導電層
704・・・表面層
705・・・変化層
706・・・密着層

Claims (12)

  1. 少なくともシリコン原子と炭素原子とを主構成原子として含有する非晶質材料で構成される第1層をプラズマCVD法により形成し、前記第1層の上に、シリコン原子を主構成原子とし水素原子またはハロゲン原子の少なくとも一方を含有する非晶質材料で構成される第2層をプラズマCVD法により形成する際、
    減圧可能な反応容器内に基板を設置し、前記反応容器内にシリコン原子を含有する第1原料ガスと炭素原子を含有する第2原料ガスとを各々第1設定流量で供給しながら前記反応容器内の圧力を第1設定圧力に設定し第1層を形成し、続いて、少なくとも前記第2原料ガスの流量を前記第1設定流量よりも低流量の第2設定流量へと変化させながら、前記第2原料ガスの流量低下に伴う前記反応容器内の圧力低下を補償する圧力調整を行い、前記第1層側から前記第2層側に向かって炭素原子含有量が減少する変化層の形成を経て前記第2層を連続的に形成し、更に、前記第2原料ガスの流量を第2設定流量に設定した後に前記反応容器内の圧力を前記第1設定圧力よりも低圧力の第2設定圧力に変更することを特徴とする堆積膜形成方法。
  2. 前記第2原料ガスの流量低下に伴う反応容器内の圧力低下を補償する圧力調整が、排気装置の排気速度、排気コンダクタンス、または、前記第2原料ガス以外のガス流量のうち、少なくとも一つを変化させることによることを特徴とする請求項1に記載の堆積膜形成方法。
  3. 前記第2原料ガスの流量低下に伴う反応容器内の圧力低下を補償する圧力調整が、反応容器内の圧力の変動を前記第1設定圧力に対して±30%以内とすることを特徴とする請求項1または2に記載の堆積膜形成方法。
  4. 反応容器内の圧力を第1設定圧力より低圧力の第2設定圧力に変更するのが、前記第2原料ガスの流量を前記第2設定流量に設定完了した時点から、第2原料ガスの流量を前記第1設定流量よりも低量の第2設定流量へと変化するのに要した時間の10%以上の時間の経過後であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の堆積膜形成方法。
  5. 前記反応容器内に少なくともシリコン原子を含有する前記第1原料ガスと、窒素原子を含有する第3原料ガスとを各々第3設定流量で供給しながら前記反応容器内の圧力を第3設定圧力に設定し、プラズマCVD法によって、シリコン原子と窒素原子を主構成原子として含有する非晶質材料で構成される第3層を形成した後、前記第3層の上に、請求項1〜4のいずれかに記載の方法によって、前記第1層および前記第2層を形成することを特徴とする堆積膜形成方法。
  6. 前記第3設定圧力が、前記第1設定圧力に対して±30%以内の圧力であることを特徴とする請求項5に記載の堆積膜形成方法。
  7. プラズマCVD法において、原料ガスのプラズマを生成するための高周波電力の発振周波数が30MHzから450MHzであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の堆積膜形成方法。
  8. 前記第1設定圧力が7.0Pa以下であることを特徴とする請求項7に記載の堆積膜形成方法。
  9. 前記第1設定圧力が1.5Pa以上であることを特徴とする請求項7または8に記載の堆積膜形成方法。
  10. 前記第2設定圧力が1.0Pa以下であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の堆積膜形成方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の堆積膜形成方法を用いて製造されたことを特徴とする電子写真感光体。
  12. 前記第1層の膜厚が前記第2層の膜厚に対して20%以下の膜厚を有することを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体。
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