JP2006009040A - 堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法 - Google Patents

堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高周波電力によって生起されたプラズマを用いた堆積膜形成において、異常成長の発生を低減すること。
【解決手段】堆積膜形成装置は、内部を減圧可能な反応容器101を有し、反応容器101内には、原料ガスを供給するガス供給手段110が設けられ、複数の円筒状基体105が同一円周上に等間隔に配置され、反応容器101の外に、高周波電力導入手段102が配置されており、原料ガスを高周波電力によって励起、解離させることによって、円筒状基体105上に堆積膜が形成される。この堆積膜形成装置には、同一円周上に配置された円筒状基体105に囲まれた領域の内部に、アースに落とされ冷却された導電性の円筒状部材111が設置されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、基体上に堆積膜を形成する装置及び方法に関する。取り分け機能性膜、特に半導体デバイス、電子写真用感光体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、光起電力デバイス等の作製に用いる堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法に関する。
従来、半導体デバイス、電子写真用感光体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、光起電力デバイス、その他各種エレクトロニクス素子、光学素子等の形成に用いる堆積膜形成方法として、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、プラズマエッチング法等、高周波電力によって生起されたプラズマを用いた方法が多数知られており、そのための装置も実用に付されている。
例えばプラズマCVD法、即ち、原料ガスを高周波グロー放電により分解し、基板上に薄膜状の堆積膜を形成する方法は好適な堆積膜形成方法として実用化されており、例えば電子写真用アモルファスシリコン(以下、「a−Si」とも表記する)堆積膜の形成等に利用され、そのための装置も各種提案されている。
特に、VHF帯の高周波電力を用いたプラズマCVD(以下、「VHF−PCVD」とも略記する)法が注目を浴びており、このVHF−PCVD法を用いた各種堆積膜形成装置の開発が積極的に進められている。これは、VHF−PCVD法では、堆積膜の堆積速度が比較的速く、又、高品質な堆積膜が得られるため、製品の低コスト化、高品質化を同時に達成し得るものと期待されるためである。そして、このVHF−PCVD法を用いて、特に、a−Si系電子写真用の複数の感光体を同時に形成でき、高い生産性が得られる堆積膜形成装置の開発が進められている。
このような堆積膜形成装置としては、例えば、反応容器の一部を誘電体部材とし、カソード電極を反応容器の外側に複数配置することで、大面積の領域で均質な高周波放電を容易に発生させることができ、大面積基体へのプラズマ処理を均一且つ高速に行うことを可能とした装置が、例えば、特許文献1等に開示されている。
このような堆積膜形成装置の一例として、図4に模式的な構成図を示す。図4(a)は概略断面図、図4(b)は図4(a)の切断線A−A’に沿う概略断面図である。
同図に示すように、この堆積膜形成装置の反応容器201は円筒状の誘電体部材201(a)と上蓋201(b)から成っている。反応容器201の下部には排気配管209が接続され、排気配管209の他端は不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)に接続されている。反応容器201の中心部を取り囲むように、堆積膜の形成される複数の円筒状基体205が、その軸線が互いに平行になるように同一円周上に配置されている。複数の円筒状基体205は、基体加熱用ヒーター207を内蔵した基体支持体206によって各々保持されている。
そして、反応容器201内には、SiH4 、GeH4 、H2、CH4 、B2 6、PH3 、Ar、He等のガスボンベから成る不図示のガス供給装置に接続されたガス供給手段210が配置されており、反応容器201の外には、高周波電力導入手段202が設置されている。高周波電力導入手段202には、高周波電源203がマッチングボックス204と高周波電力分岐手段212を介して接続されている。更に、基体支持体206、従って、円筒状基体205は各々の回転機構208によって回転可能になっている。
特開平9−310181号公報
上述のような従来の堆積膜形成装置及び方法によって、膜堆積速度の向上による基体処理時間の短縮、同時処理可能基体数の増加、堆積膜特性の均一性・再現性の向上が達成され、生産コストの安い、実用的な特性と均一性を持つ電子写真感光体を得ることが可能になっている。又、この生産においては、真空反応容器内の清掃を厳格に行うことによって、欠陥の発生が或る程度抑えられた電子写真感光体を得ることが可能である。
しかしながら、これらの堆積膜を用いた製品に対する市場の要求レベルは日々高まっており、この要求に応えるべく、より高品質の堆積膜を形成する方法、装置が求められるようになっている。
即ち、例えば、近年、急激に需要が広がっているカラー複写機においては、これまで以上に画像欠陥に対する要求が厳しい。ところが、電子写真用感光体のように大面積で比較的厚い堆積膜を有することが要求される製品においては、その感光体の製造工程が長時間に渡るために製造工程中にダストが発生し易く、且つ、堆積面の面積が広いため、自ずとダストが付着する確率が高くなってしまう傾向がある。このようにダストが付着していると、それに起因して堆積膜の異常成長が発生し、この異常成長は、その堆積膜を有する感光体を用いた電子写真プロセスにおける画像欠陥の発生に直結するため、極力なくすことが必要となってきている。
このように、光学的及び電気的諸特性の要求を満足し、且つ、電子写真プロセスによる画像形成に用いた際に画像欠陥が少ない堆積膜を速い膜堆積速度で、且つ、高収率で得るためには、改善すべき問題が残存している。
上記の感光体の製造工程で発生する堆積膜の異常成長とは次のようなものである。
a−Si膜は、基体表面に数μmオーダーのダストが付着していた場合、成膜中にそのダストを核として異常成長が起こり、所謂「球状突起」が成長してしまうという性質を持っている。球状この突起はダストを起点とした円錐形を逆転させた形をしており、正常堆積部分と球状突起部分の界面では局在準位が非常に多いために低抵抗化し、帯電電荷が界面を通って基体側に抜けてしまう。このため、球状この突起のある部分は、そのa−Si膜を有する感光体用いた電子写真プロセスによる形成画像上では、べた黒画像を形成した場合で白い点となって現れる(反転現像の場合はべた白画像に黒い点となって現れる)。この所謂「ポチ」と呼ばれる画像欠陥は、それに対する規格が年々厳しくなっており、大きさによってはA3用紙に数個存在していても不良として扱われることがある。更に、カラー複写機に搭載される場合には更に規格が厳しくなり、A3用紙に1個存在していても不良とされる場合がある。
この球状突起は、ダストを起点として形成されるため、その発生を防止するために、使用する基体は成膜前に精密に洗浄され、基体を成膜装置に設置する工程における作業は、全てクリーンルーム或は真空下で行われる。このようにして、成膜開始前に基体上に付着しているダストが極力少なくなるように努力が払われてきており、効果を上げている。
しかし、球状突起の発生原因は、成膜開始前に基体上に付着したダストのみではない。
即ち、a−Si感光体を製造する場合、要求される膜厚が数μm〜数10μmと非常に厚いため、成膜時間は数時間から数十時間に及び、この間に、a−Si膜は基体のみではなく、反応炉壁や反応炉内の構造物にも堆積する。これらの炉壁、構造物は、基体のように、良好に堆積膜が形成されるように管理された表面や温度を有していないため、場合によっては、これらの炉壁や構造物に堆積する堆積膜の密着力が弱く、長時間に渡る成膜中に膜剥がれを起こす場合がある。このような堆積膜が、成膜中に僅かでも剥がれると、それがダストとなり、堆積膜形成中の感光体表面に付着し、これが起点となって球状突起堆積膜にの異常成長が発生して、突起が生じてしまう。従って、高い歩留まりを維持するためには、成膜前の基体の管理のみならず、成膜中における成膜容器内での膜剥がれの防止についても慎重な管理が必要とされ、このことが、a−Si感光体の製造を難しいものにしている。
本発明の目的は、上述のような従来の堆積膜形成、特に電子写真感光体の作製における諸問題、具体的には球状突起の発生を、従って、電子写真感光体において球状突起に起因する画像欠陥の発生を、堆積膜の電気的特性を犠牲にすることなく克服して、安価に安定して歩留まり良く製造を行うことができ、良好な特性の堆積膜を形成可能であり、その堆積膜を有する、高画質の使い易い電子写真感光体を製造可能な堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法を提供することにある。
本発明者等は上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、複数の円筒状基体を同一円周上に等間隔に配置し、高周波電力導入手段を反応容器の外部に配置して高周波電力を導入することで、良好な特性を有する堆積膜を基体上に形成することが可能な堆積膜形成装置及び方法において、更に、同一円周上に配置された円筒状基体に囲まれた領域の内部に、アースに落とされ、冷却された導電性の円筒状部材を設置することによって大幅に球状突起の発生を減らすことが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
即ち、本発明の堆積膜形成装置は、少なくとも一部が誘電体部材で構成された減圧可能な反応容器と、反応容器の内部に同一円周上に配置された複数の円筒状基体及び原料ガス導入手段と、反応容器の外部に配置された複数の高周波電力導入手段とを有し、高周波電力導入手段に高周波電力を印加し、反応容器内にグロー放電を発生させることにより、反応容器内に導入された原料ガスを分解し、複数の円筒状基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成装置において、円筒状基体が配置される配置円内に、導電性を有する接地された円筒状部材を有し、前記円筒状部材が冷却手段を有することを特徴とし、本発明の堆積膜形成方法はこのような堆積膜形成装置を用いることを特徴とする。
本発明によれば、複数の基体上に、良好な特性を有する堆積膜を均一に再現性良く、速い膜堆積速度で形成できると同時に、球状突起に起因する画像欠陥を極めて少なくすることが可能である。
上記の効果が得られる、本発明の実施態様に関して、以下、より詳細に説明する。
本発明者等は、複数の円筒状基体を同一円周上に等間隔に配置し、高周波電力導入手段を反応容器の外部に配置した堆積膜形成装置において、堆積膜の密着性を向上させて膜剥がれによるダストの発生を低減する方法を検討したところ、円筒状基体の周りの構成が非対称となっていることに気がついた。この非対称性は、大雑把に言って、円筒状基体の配置円の内側と外側との間の非対称性であり、内側と外側で膜の密着性や応力等が異なっている可能性が考えられた。
そこで、この非対称性がどのような影響を及ぼしているかを確認するために、円筒状基体を静止状態にして成膜を行い、円筒状基体の周方向の球状突起の分布を調べた。
すると、やはり球状突起は周方向に均等に発生しているのではなく、円筒状基体の配置円の外側よりも内側に多く発生していることが判明した。つまり、このような形態の堆積膜形成装置において球状突起の発生を抑え、カラー複写機での使用にも耐えるレベルまで画像欠陥を低減するためには、主に、この内側の球状突起を低減する必要があることが判明した。
円筒状基体の配置円の内側で球状突起が多く発生する理由は、現在はっきりとは分かっていないが、堆積膜形成装置の構造を見たとき、円筒状基体が並んだ円周の外側は堆積膜形成装置の炉壁が面しているのに対して、内側には炉壁はなく、このような空間の構造の違いが原因となって、付着した堆積膜の膜応力に差が発生し、密着性に影響を与えているのだろうと想像している。
これに対して、複数の円筒状基体の内部空間に、本発明におけるように円筒状部材を設置した堆積膜形成装置において、円筒状基体の周方向におけるの球状突起数の分布を調べたところ、円筒状基体の配置円の内側で球状突起の発生率が減少しており、球状突起数の分布は周方向でほぼ均等になっていることが判明した。これは、複数の円筒状基体の配置円の内側の空間に設置した円筒状部材が、内側で炉壁に相当する働きをし、擬似的ながら内側と外側の構造が対称になったためではないかと考えている。
円筒状部材は、炉壁と同様の誘電体材料にした場合、炉壁〜円筒状基体間の距離と円筒状基体〜円筒状部材の距離をほぼ等しくした時に球状突起の低減効果が最も良く現れた。しかし、この場合、副作用として、円筒状部材にも堆積膜が付着するため、円筒状基体に堆積する膜の堆積速度が若干低下してしまう現象が現れた。そこで、本発明者等は球状突起発生の低減効果と堆積速度の維持とを両立することができる構成について更に検討した。
その結果、円筒状部材の材質を誘電体材料から導電性材料(例えば金属材料)に変更し、且つ、その円筒状部材を接地することによって、球状突起数の低減効果を維持しながら円筒状部材の直径を小さくすることが可能であることが判明した。一方、堆積速度は、円筒状部材の直径を小さくすることによって大幅に向上することが確認され、或る程度以下の大きさにすれば、堆積速度の低下を、実質、無視し得る程度にまで改善できることが確認された。
上記のように、本発明の構成である円筒状部材を設置することで球状突起数低減に更に大きな改善効果が確認された。更に検討を進めたところ、円筒状部材を冷却し円筒状基体との温度差を大きくすることで、円筒状基体の配置円の外側よりも内側に多く発生している球状突起を更に低減させることが確認された。これは、反応空間の中央部に位置する円筒状部材を冷却することで、円筒状部材からの膜剥がれの低減によるダストの減少と、円筒状基体と円筒状部材の温度勾配が大きくなり、処理空間内に漂う微粒子がより低温の円筒状基体側に引き付けられた効果によるものであると本発明者等は考えている。
微粒子の熱泳動による移動は、特開平,−82020号公報にも記載されているように、温度の高い側から温度の低い側に微粒子が温度勾配により移動する効果である。
図4に示す従来のプラズマ処理装置では、ダストが多いと考えられる同一円周上に配置された円筒状基体の内側に冷却機構を設けることは困難であったが、本発明のプラズマ処理装置においては冷却機構を導入することが非常に容易で且つ低コストで行える。
又、円筒状部材を冷却することで、プラズマ処理中の円筒状基体の温度が低下する効果が確認された。本発明のプラズマ処理装置(図1)や従来例のプラズマ処理装置(図4)において、導入パワーが高いほど良質な堆積膜を得られる。又、導入パワーが高いほど、円筒状基体付近のプラズマ電位が高くなるので、ダストがつきにくい状態が可能になる。
しかしながら、パワーを入れ過ぎると、プラズマ密度が高くなり、円筒状基体の温度が高くなり過ぎ、膜剥がれ等の問題が生じる。そこで、この円筒状部材の冷却による円筒状基体の温度低下の効果を用いると、高パワーを導入した際の基体温度上昇を抑えることができるため、欠陥の少ない高特性な堆積膜が得られることが確認できた。
基体の温度上昇の問題は、高パワー導入や堆積速度の向上の際に生じる問題であり、円筒状基体の冷却がその温度上昇を抑え、プラズマ処理条件のラチチュードが広がった。
同じような技術で、基体支持体を冷却する方法も開示されているが、その方法では、熱泳動によるダスト低減が、本発明ほど効果が達成できない。
又、本発明において堆積速度を低下させず、且つ、球状突起の発生を抑止するための十分な抑止効果を得るためには、円筒状部材の直径を或る特定の範囲にする必要がある。即ち、円筒状部材の直径を、複数の円筒状基体に囲まれた空間内の、各円筒状基体に内接する内接円の直径(即ち、複数の円筒状基体の中心軸を結ぶ円の直径から円筒状基体の直径を引いた値)に対して0.1倍〜0.8倍、更に好ましくは0.2倍〜0.5倍とした場合に、球状突起発生抑止効果と堆積速度維持を両立させることができることが判明した。
又、円筒状部材の長さは、長過ぎると端部で異常放電が発生し易くなり、又、短過ぎると本発明の球状突起発生抑止効果が得られにくくなるため、重要なパラメーターである。本発明においては、円筒状部材の長さを、堆積膜形成装置の反応容器の高さに対して0.5倍〜0.98倍にするのが最適であることが確認された。
本発明は、以上の経緯によって完成されたものである。
本発明によれば、複数の円筒状基体を同一円周上に等間隔に配置し、高周波電力導入手段を反応容器の外部に配置して高周波電力を導入することで、基体上に良好な特性を有する堆積膜を形成することができる堆積膜装置及び方法において、更に、同一円周上に配置された円筒状基体に囲まれた領域の内部に、アースに落とされた導電性の円筒状部材を設置し、前記円筒状部材を冷却することで、堆積膜の電気的特性を犠牲にすることなく、球状突起の発生を大幅に減らすことが可能である。この際、同時に、堆積膜形成時間の短縮、原料ガス利用効率の向上を達成することが可能であり、従って、生産コストを低く抑えることができる。
以下、図面を用いて本発明の堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法について詳細に説明する。
図1は本発明の堆積膜形成装置及び方法を用いて、複数の電子写真用感光体、即ち電子写真用光受容部材を同時に形成できる、生産性の極めて高い装置の一例を模式的に示している。図1(a)は概略断面図、図1(b)は図1(a)の切断線A−A’に沿う概略断面図である。
図1に示す堆積膜形成装置は、円筒状の誘電体部材101(a)と上蓋101(b)から成る、内部を減圧可能な反応容器101を有している。反応容器101の下部には排気配管109が接続され、排気配管109の他端は不図示の排気装置(例えば真空ポンプ)に接続されている。反応容器101の中心部を取り囲むように、堆積膜を形成される複数の円筒状基体105が、その軸線が互いに平行になるように同一円周上に配置されている。複数の円筒状基体105は、基体加熱用ヒーター107を内蔵した基体支持体106によって各々保持されている。そして、反応容器101内には、SiH4 、GeH4 、H2、CH4 、B2 6、PH3 、Ar、He等のガスボンベからなる不図示のガス供給装置に接続されたガス供給手段110が配置されており、反応容器101の外には高周波電力導入手段102が設置されている。高周波電力導入手段102には、高周波電源103がマッチングボックス104と高周波電力分岐手段112を介して接続されている。更に、基体支持体106、従って、円筒状基体105は回転機構108によってそれぞれ回転可能になっている。
このように、図1に示す堆積膜製造装置は、原料ガスが分解される成膜空間を反応容器101により円柱状の領域に制限し、この円柱状成膜空間の中心軸が円筒状基体105の配置円の中心を通る構成とし、更に、円筒状基体105の配置円外に設置した高周波電力導入手段102を反応容器101の外部に位置させることによって、原料ガスの利用効率を高くし、同時に、形成される堆積膜中の欠陥の発生を低減することができる構成となっている。
そして、反応容器101内の概略中央には、導電性材料から成る円筒状部材111が設けられている。この円筒状部材111の材質は、導電性材料なら何でも使用できるが、アルミニウム、鉄、ステンレス、金、銀、銅、ニッケル、クロム、チタン等の金属材料を用いた場合、加工が容易で耐久性が高く、又、再利用の利便性等の点でも好ましい。又、これらの材料中の2種以上から成る複合材料等も好適に用いることができる。
図5に示すように円筒状部材111の内部は、冷却媒体が循環できるように構成されている。冷却方法としては、水冷、空冷等が必要に応じて用いられる。又、円筒状部材111の温度を特に制御したい場合には、温度制御された冷却媒体を使用することが好ましい。
円筒状部材111の表面の少なくとも一部は、算術平均粗さ(Ra)が1μm以上20μm以下の範囲であることが好ましい。これは、Raを1μm以上とすることでa−Si堆積膜との接触面積が増加し、密着性が良好になるためである。一方、Raが大き過ぎると逆にダストを取り込み易くなり、これが吐き出されて、球状突起の原因になってしまうことがある。よって、Raは1μm以上20μm以下の範囲であることが好ましい。
更に、円筒状部材111の表面は、Raを上記の範囲内にすると同時に平均傾斜角(θa)を9度以上20度以下の範囲に制御することが好ましい。ここで、平均傾斜角(θa)とは、図2に示すように測定曲線の局部傾斜の絶対値を合計し、平均した値(Δa)の逆正接(θa=tan−1Δa)で表される指標である。このθaは、表面粗さの傾きに相当する指標であり、これを9〜20度の範囲とすることにより、表面の凹凸が深くなり、堆積膜との密着性がより向上する。
又、Raを上記の範囲内にすると同時に局部山頂の平均間隔(S)を30μm以上100μm以下の範囲にすることも好ましい。このSは、凹凸の凸部の間隔に相当する指標であり、この値を30〜100μmとすることにより、やはり表面の凹凸が深くなり、堆積膜との密着性がより向上する。
更に、Raとθa及びSを全て上記の範囲内にすることによって、特に、堆積膜との密着性が顕著に向上することが本発明者の実験によって明らかとなった。これは、Ra、θa、Sを一定の範囲にすることで円筒状部材111と堆積膜との接触面積がより最適な範囲になり、部材に堆積する膜の応力が緩和され易い状態になって密着性が増すためであると考えている。
本実施の形態における表面粗さの測定は、JIS B0601−1994に基づき、 Surftest SJ−400(株式会社ミツトヨ社製)を用い、カットオフ0. 8mm、基準長さ0. 8mm、評価長さ4mmとして測定を行った。
円筒状部材111の表面粗さは、ブラスト加工を行ったり、溶射材で被覆したりすることによって上記の範囲に制御することができる。ブラスト加工や溶射は、コスト面から、表面粗さの制御性の高さから、又、コーティング対象物の大きさ・形状の制限を受けにくいことから好ましいプロセスである。
溶射の具体的方法としては、特に制限はないが、例えばプラズマ溶射、減圧プラズマ溶射、高速フレーム溶射、低温溶射等のコーティング法を用いて、円筒状部材111の表面をコーティングすることができる。具体的な溶射材料としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、二酸化チタン、鉄等が挙げられる。円筒状部材111の表面を被覆する溶射材の厚さは、特に制限はないが、耐久性及び均一性を増すため、又、製造コストの面から、1μm〜1mmとするのが好ましく、10μm〜500μmとするのがより好ましい。
本実施の形態の堆積膜形成装置101では、円筒状部材111は電気的に接地することが必要である。接地することによって、高周波電力導入手段102に対して擬似的な対向電極的な作用をしているものと推測される。しかし、円筒状部材111は、例えば円筒状部材111用に別の高周波電源を用意したり、1台の高周波電源103から高周波電力導入手段102と円筒状部材111に出力を分岐して整合を取ったりといったコストや手間を掛けることなく、接地するだけで充分に本発明の効果、即ち円筒状基体105上における堆積速度を低下させることなく、球状突起の発生を抑制する効果を得ることができる。このため、円筒状部材111の設置には、堆積膜形成装置101自体のコスト、更には、電子写真感光体の製造コストの増大を殆ど招くことがない。
本発明においては、グロー放電発生用の高周波電力の周波数が50〜450MHzの範囲にある場合に、画像欠陥の低減効果が特に高くなる。これは、50MHzよりも低い周波数領域においては、プラズマが安定して生成可能な圧力が急激に高まることに起因していると思われる。本発明者等の検討によれば、例えば周波数が13.56MHzの場合には、プラズマが安定して生成可能な圧力は、周波数が50MHz以上の場合と比べ約1桁から半桁高いことが確認されている。このような高い圧力においては、成膜空間中においてポリシラン等のパーティクルが生じ易く、このパーティクルが堆積膜中に取り込まれると球状突起を発生させ易くなる。これに対して、高周波電力の周波数を50MHz以上とした場合には、プラズマ生成圧力を充分低くすることができるため、パーティクルの発生確率は激減し、この場合に、更に、本発明による膜剥がれに起因する球状突起の発生を抑止する効果が得られることによって、円筒状基体全周にわたって良好な堆積膜が形成されるものと考えられる。
又、450MHzよりも高い周波数領域においては、プラズマの均一性の低下により450MHz以下の場合と比べて膜特性の均一性が低下してしまう。このように膜特性の均一性が低下すると、同時に膜の応力にもむらが生じ、応力に差がある領域間の境界付近で膜剥がれが生じ易くなり、このために、堆積膜に欠陥が生じ易くなる。周波数が450MHzよりも高い周波数領域においては、電力導入手段近傍での電力の吸収が大きく、ここで電子の生成が最も頻繁になされるため、プラズマが不均一になり易く、このプラズマの不均一性が堆積膜の特性むらに繋がり易い。450MHz以下の周波数においては、電力導入手段近傍での極端な電力吸収が生じにくいため、プラズマの均一性、更には膜特性の均一性が高くなる。
又、本実施の形態における高周波電源103としては、装置に適した高周波電力を発生することができれば如何なるものでも好適に使用できる。更に、高周波電源103の出力変動率に特に制限はない。
本実施の形態におけるマッチングボックス104としては、高周波電源103と負荷の整合を取ることができるものであれば如何なる構成のものでも好適に使用できる。又、整合を取る方式としては、自動的に調整される方式のものが、製造時の煩雑さを避けることができ好適であるが、手動で調整する方式のものを用いても本発明の効果には影響は全く生じない。又、マッチングボックス104を配置する位置に関しては、整合が取れる範囲においてどこに設置しても何ら問題はないが、マッチングボックス104から高周波電力導入手段102までの配線のインダクタンスをできるだけ小さくするような配置とした方が、広い負荷条件で整合を取ることが可能になるため望ましい。
高周波電力導入手段102及び高周波電力分岐手段112の材質としては、銅、アルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレス等が、熱伝導が良く、電気伝導も良いので好適である。これらの材料中の2種以上から成る複合材料なども好適に用いることができる。
高周波電力導入手段102は、円筒状基体105の配置円と同心の円上に等間隔に配置するのが好ましい。高周波電力導入手段102の数としては、図1(b)に示す例のように、円筒状基体105と同数とするのが好ましいが、円筒状基体105の1/2とするのも好ましい構成である。高周波電力導入手段102の数を円筒状基体105の1/2とする場合には、各高周波電力導入手段102を、それに近接する2つの円筒状基体105との距離が等しくなるよう配置するのが最適である。複数の高周波電力導入手段102への電力の供給は、例えば、1つの高周波電源103からマッチングボックス104を介した後、電力供給路を高周波電力分岐手段112で分岐させて行うことができる。
又、例えば、1つの高周波電源103から電力供給路を高周波電力分岐手段112で分岐させた後、複数のマッチングボックスを介して電力供給を行っても良く、或は、個々の高周波電力導入手段102毎に別個の高周波電源及びマッチングボックスを設けても良いが、全ての高周波電力導入手段102から導入される高周波電力の周波数が完全に一致するという点、装置コストの点、装置の大きさの点から、1つの高周波電源から全ての高周波電力導入手段102に電力を供給する構成とすることが好ましい。
高周波電力導入手段102としては、棒状、筒状、球状、板状等のカソード電極や、同軸構造体の外部導体に開口部を設けそこから電力を供給する手段等を用いることができる。
本実施の形態における反応容器101の誘電体部材101(a)の材料としては、セラミックス材料が好ましく、具体的には、アルミナ、ジルコニア、ムライト、コージュライト、炭化珪素、チッ化ホウ素、チッ化アルミ、チッ化珪素等の少なくとも1つ以上を含む材料によって構成するのが、堆積膜の密着性が高くなり、球状突起発生防止のために有効であるので好ましい。これらの中でも、アルミナ、チッ化ホウ素、チッ化アルミは誘電正接や絶縁抵抗等の電気特性に優れ、高周波電力の吸収が少ないことからより好ましい。
又、電子写真用感光体を作製する場合、その形状は、加工の容易さから円筒形状が好ましいが、必要に応じて楕円形、多角形形状としても良く、作製する部材に応じて形状を選択すれば良い。
反応容器101の誘電体部材101(a)表面の少なくとも一部は、堆積膜の密着性を高めて球状突起発生抑止効果を増すために、算術平均粗さ(Ra)が1μm以上20μm以下の範囲であることが好ましい。又、Raを上記の範囲内にすると同時に平均傾斜角(θa)を9度以上20度以下の範囲に制御し、或は、Raを上記の範囲内にすると同時に局部山頂の平均間隔(S)を30μm以上100μm以下の範囲にすることがより好ましい。更に、Ra、θa、Sを全て上記の範囲内にすることで特に顕著に画像欠陥改善効果が得られる。
反応容器101の上蓋101(b)の材質としては、銅、アルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレス等の材料が、導電性で熱伝導が良いので好適である。これらの材料中の2種以上から成る複合材料等も好適に用いることができる。
円筒状基体105は、作製する製品の使用目的に応じて相応の材質とすることができる。このような材質としは、銅、アルミニウム、金、銀、白金、鉛、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタン、ステンレスが、電気伝導が良好であるため好適である。更に、これらの材料中の2種以上から成る複合材料も耐熱性が向上するために望ましい。
基体加熱用ヒーター107は真空仕様の発熱体であれば良く、具体例としては、シース状ヒーター、板状ヒーター、セラミックヒーター、カーボンヒーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とした熱交換手段としての発熱体等が挙げられる。基体加熱用ヒーター107の表面材料としては、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属類、セラミック、耐熱性高分子樹脂等を使用することができる。
図1の堆積膜形成装置を用いた堆積膜の形成は、例えば、概略以下のようにして行われる。
先ず、基体ホルダー106に保持した円筒状基体105を反応容器101内に設置し、不図示の排気装置により排気口109を通して反応容器101内を排気する。続いて、発熱体107により円筒状基体105を所定の温度に加熱・制御する。
円筒状基体105が所定の温度となったところで、ガス供給手段110を介して、原料ガスを反応容器101内に導入する。原料ガスの流量が設定流量となり、又、反応容器101内の圧力が安定したのを確認した後、高周波電源103からマッチングボックス104を介して高周波電力導入手段102へ所定の高周波電力を供給する。供給された高周波電力によって、反応容器101内にグロー放電が生起し、原料ガスは励起・解離されて、円筒状基体105上に堆積膜が形成される。そして、所望の膜厚の堆積膜を形成した後、高周波電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して堆積膜の形成を終える。
多層構造の堆積膜を形成する場合には、同様の操作を複数回繰り返す。この場合、各層間においては、上述したように1つの層の形成が終了した時点で一旦放電を完全に停止し、次層のガス流量、圧力に設定を変更した後、再度放電を生起して次層の形成を行っても良く、或は、1つの層の形成終了後、一定時間の間に、ガス流量、圧力、高周波電力を次層の設定値に徐々に変化させることにより連続的に複数層を形成しても良い。この際、各層を形成する間に、一旦、反応容器101内の残留ガスを充分真空引きすることが、層と層の間で異なるガス種を使う場合の汚染の心配がなくなるため好ましい。
堆積膜の形成中、必要に応じて円筒状基体105を回転機構108により所定の速度で回転させても良い。又、円筒状部材111は、処理条件に応じて冷却条件を変化させても良い。
以上のような本実施形態の堆積膜形成方法を用いることによって、例えば図3に示すようなa−Si系電子写真用光受容部材を形成可能である。
図3(a)に示す電子写真用感光体1200は、支持体1201の上に、水素原子又はハロゲン原子を構成要素として含むアモルファスシリコン(以下「a−Si:H,X」とも表記する)を有する、光導電性を有する光導電層1202が設けられて構成されている。
図3(b)に示す電子写真用感光体1210は、支持体1201の上に、a−Si:H,Xから成り、光導電性を有する光導電層1202と、アモルファスシリコン系(又はアモルファス炭素系)の表面層1203が設けられて構成されている。
図3(c)に示す電子写真用感光体1220は、支持体1201の上に、アモルファスシリコン系電荷注入阻止層1204と、a−Si:H,Xからなり光導電性を有する光導電層1202と、アモルファスシリコン系(又はアモルファス炭素系)の表面層1203が設けられて構成されている。
図3(d)に示す電子写真用感光体1230では、支持体1201の上に、光導電層1212が設けられている。この光導電層1202は、a−Si:H,Xから成る電荷発生層1205と電荷輸送層1206とから成っており、その上にアモルファスシリコン系(又はアモルファス炭素系)の表面層1203が設けられている。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。
図1に示す堆積膜形成装置を用い、円筒状基体105としての、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー上に、前述のような堆積膜形成方法で、高周波電源103の発振周波数を50MHzとして表1に示す条件に従ってa−Si堆積膜を形成し、電子写真感光体を作製した。
円筒状部材111の材質はステンレス製とし、直径は、円筒状基体105に囲まれた領域内の、各円筒状基体105に内接する内接円の直径の0.3倍、長さは、反応容器101の高さの0.8倍とした。円筒状部材111の表面は、ブラスト加工により、Ra=4.1μm、θa=14度、S=50μmとした。円筒状部材111は約18℃の冷却水の循環により常時水冷を行った。
Figure 2006009040
<比較例1>
図1に示す堆積膜形成装置を用い、円筒状基体105としての、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー上に、前述のような堆積膜形成方法で、高周波電源103の発振周波数を50MHzとして表1に示す条件に従ってa−Si堆積膜を形成し、電子写真感光体を作製した。
円筒状部材111の材質はステンレス製とし、直径は、円筒状基体105に囲まれた領域内の、各円筒状基体105に内接する内接円の直径の0.3倍、長さは、反応容器101の高さの0.8倍とした。円筒状部材111の表面は、ブラスト加工により、Ra=4.1μm、θa=14度、S=50μmとした。尚、円筒状部材111は冷却していない。
<比較例2>
図4に示す堆積膜形成装置を用い、実施例1と同様にして表1の条件でa−Si感光体を作製した。従って、本比較例では、円筒状部材を設けない他は、実施例1と全く同様の条件で成膜を行った。
次に、実施例1、比較例1、比較例2で作成したa−Si電子写真感光体を下記の方法で評価した。
実施例1、比較例1、比較例2共にプラズマ処理中の基体温度が各々等しくなるように、図1及び図4に示す基体加熱ヒーター107,207の出力を調整している。
[突起数]
得られた感光体の表面を光学顕微鏡で観察した。そして、20μm以上の大きさの球状突起の数を数え、10cm2当たりの個数を調べた。
得られた結果は、比較例2での値を100%とした場合の相対比較で、以下のようにランク付けした。
☆ … 20%未満
◎ … 20%以上30%未満
○〜◎ … 30%以上50%未満
○ … 50%以上70%未満
△〜○ … 70%以上95%未満
△ … 比較例2と同等95%以上105%未満
× … 105%以上に増加
[画像欠陥]
電子写真装置として、本テスト用に改造したキヤノン社製複写機iR5000を用い、これに、実施例、比較例で作製した電子写真用感光体を設置し、プロセススピード265mm/sec、前露光(波長660nmのLED)光量41x・s、主帯電器の電流値1000μAの条件にて画像形成を行い、A3サイズの黒原稿の複写を行った。こうして得られた画像を観察し、突起に起因する直径0. 3mm以上の白ポチの個数を数えた。
得られた結果は、比較例2での値を100%とした場合の相対比較で、以下のようにランク付けした。
☆ … 20%未満
◎ … 20%以上30%未満
○〜◎ … 30%以上50%未満
○ … 50%以上70%未満
△〜○ … 70%以上95%未満
△ … 比較例2と同等95%以上105%未満
× … 105%以上に増加
[帯電能]
電子写真装置の主帯電器に一定の電流(例えば1000μA)を流し、現像器位置にセットした表面電位計(TREK社Model344)の電位センサーにより暗部電位を測定した。従って、暗部電位が大きいほど帯電能が良好であることを意味する。
帯電能測定は感光体母線方向の全領域にわたって行い、その平均値を測定結果とした。
帯電能の評価結果は、比較例2の結果を基準として、以下のようにランク付けした。
☆ … 30%以上の良化
◎ … 20%以上30%未満の良化
○〜◎ … 15%以上20%未満の良化
○ … 10%以上15%未満の良化
△〜○ … 5%以上10%未満の良化
△ … 比較例2と同等5%未満の良化
× … 悪化
[感度]
現像器位置での暗部電位が一定値(例えば450V)となるように主帯電器電流を調整した後、原稿として反射濃度0.1以下の所定の白紙を用い、現像器位置での明部電位が所定の値となるように像露光(波長655nmの半導体レーザー)を調整した際の像露光量により評価を行った。従って、像露光量が少ないほど感度が良好であることを意味する。感度測定は感光体母線方向の全領域に亘って行い、その平均値を測定結果とした。従って、数値が小さいほど良好である。感度の評価結果は、比較例2の結果を基準として、以下のようにランク付けした。
☆ … 50%以上の良化
◎ … 40%以上50%未満の良化
○〜◎ … 30%以上40%未満の良化
○ … 20%以上30%未満の良化
△〜○ … 10%以上20%未満の良化
△ … 比較例2と同等10%未満の良化
× … 悪化
[光メモリー]
現像器位置における暗部電位が所定の値となるように主帯電器の電流値を調整した後、所定の白紙を原稿とした際の明部電位が所定の値となるよう像露光光量を調整した。
この状態で、キヤノン社製ゴーストテストチャート(部品番号:FY9−9040)に反射濃度1.1、直径5mmの黒丸を貼り付けたものを原稿台に置き、その上にキヤノン製中間調チャートを重ねておいた際のコピー画像において、中間調コピー上に認められる、ゴーステストトチャートの直径5mmの黒丸の反射濃度と中間調部分の反射濃度との差を測定することにより評価を行った。この光メモリーの測定は、感光体母線方向の全領域にわたって行い、その平均値を測定結果とした。従って、数値が小さいほど良好である。光メモリーの評価結果は、比較例2の結果を基準として以下のようにランク付けした。
☆ … 50%以上の良化
◎ … 40%以上50%未満の良化
○〜◎ … 30%以上40%未満の良化
○ … 20%以上30%未満の良化
△〜○ … 10%以上20%未満の良化
△ … 比較例2と同等10%未満の良化
× … 悪化
実施例1、比較例1、比較例2の評価結果を表2に示す。表2に示すように、比較例1、比較例2の結果から、複数の円筒状基体に囲まれた領域の中央に円筒状部材を設けることによって、突起数、画像欠陥が大幅に減少することが分かる。又、予期しなかった効果であるが、実施例1によれば、帯電能、感度、光メモリーといった、電子写真感光体の特性に関しても、比較例2に比べて改善が見られることが判明した。そして、実施例1のように、円筒状部材を冷却した場合において、突起数、画像欠陥が更に減少することが判明した。
Figure 2006009040
図1に示す堆積膜形成装置を用い、 円筒状基体105としての、
直径80mm、 長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー上に、高周波電源103の発振周波数を105MHzとして表3に示す条件に従い、前述のような堆積膜形成方法でa−Si堆積膜を形成し、電子写真感光体を作製した。
Figure 2006009040
本実施例では、円筒状部材111はニッケル製とし、その直径を、円筒状基体105に囲まれた領域内の、各円筒状基体105に内接する内接円の直径の0.05倍〜0.85倍となるように変化させた。円筒状部材111の長さは反応容器101の高さの0.9倍とした。
それぞれの円筒状部材111の表面粗さは、ニッケル材の溶射によりRa=6.7μm、θa=11度、S=78μmに調整した。円筒状部材111は約18℃の冷却水の循環により常時水冷を行った。
そして、上記の方法で得られた電子写真感光体に対して、実施例1と同様の評価を行った。更に、堆積速度を以下の方法で評価した。
[堆積速度]
成膜の終わった電子写真感光体の総膜厚を測定した。測定は、電子写真感光体の中央部分を渦電流式膜厚計(株式会社フィッシャーインストルメンツ製 FISCHERSCOPE MMS )を用いて行った。そして、得られた膜厚をトータルの成膜時間で割ることにより堆積速度を算出した。評価結果は、比較例1の電子写真感光体の堆積速度を100%としたときの相対値で表す。
実施例2の結果を表4に示す。表4から分かるように、円筒状部材の直径に関しては、複数の円筒状基体105に囲まれた領域内の、各円筒状基体105に内接する内接円の直径に対して0.1〜0.8倍とした時に、突起及び画像欠陥の発生が特に大きく低減されることが分かる。又、この範囲内で円筒状部材の直径を小さくしていくと、特性は良好なまま保たれ、且つ、堆積速度が速くなっていく。特に、0.5倍以下の範囲では比較例2とほぼ同等の堆積速度が得られており、非常に好ましい結果である。
Figure 2006009040
図1に示す堆積膜形成装置を用い、円筒状基体105としての、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー上に、高周波電源103の発振周波数を105MHzと60MHzの重畳周波数として表5に示す条件に従い、前述のような堆積膜形成方法でa−Si堆積膜を形成し、電子写真感光体を作製した。
Figure 2006009040
本実施例では、円筒状部材111はアルミニウム製とし、その長さを、反応容器111の高さの0.45倍〜0.99倍となるように変化させた。円筒状部材111の直径は、円筒状基体105に囲まれた領域内の、各円筒状基体105に内接する内接円の直径の0.8倍とし、それぞれの円筒状部材105の表面粗さは、ステンレス材の溶射によりRa=6.8μm、θa=14度、S=78μmに調整した。円筒状部材111は約18℃の冷却水の循環により常時水冷を行った。
実施例3の結果を比較例2と比較した結果を表6に示す。表6の結果から分かるように、円筒状部材111の長さを反応容器101の高さの0.5〜0.98倍にすることによって本発明の効果が顕著に現れることが分かる。0.99倍にした場合に特性が若干悪くなっているのは、円筒状部材111と反応容器101の上部との間に放電が集中したためと考えられる。
Figure 2006009040
図1に示す堆積膜形成装置を用い、円筒状基体105としての、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー上に、表7に示す条件に従い、前述のような堆積膜形成方法でa−Si堆積膜を形成し、電子写真感光体を作製した。円筒状部材111はSUS製とし、その直径は、円筒状基体105に囲まれた領域内の、各円筒状基体105に内接する内接円の直径の0.4倍、長さは、反応容器101の高さの0.85倍とした。円筒状部材111の表面は、ブラスト加工により、Ra=2.6μm、θa=9度、S=30μmとした。円筒状部材111は約18℃の水の循環により常時水冷を行った。
本実施例では、高周波電源103の発振周波数を45MHz〜500MHzの間で変化させ、又、単周波数だけでなく、重畳周波数も用いた。
Figure 2006009040
実施例4の結果を表8に示す。表8から分かるように、高周波電力の周波数に関しては、50〜450MHzの範囲とすることによって、単周波数でも重畳周波数でも、より顕著に本発明の効果を得られることが分かる。
Figure 2006009040
図1に示す堆積膜形成装置を用い、円筒状基体105としての、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー上に、表7に示す条件に従い、前述のような堆積膜形成方法でa−Si堆積膜を形成し、電子写真感光体を作製した。円筒状部材111はステンレス製とし、その直径は、円筒状基体105に囲まれた領域内の、各円筒状基体105に内接する内接円の直径の0.5倍、高さは、反応容器101の高さの0.6倍とした。高周波電源103の発振周波数は100MHzと350MHzの重畳周波数とした。
本実施例では、円筒状部材111の表面をブラスト加工して、その算術平均粗さRa、平均傾斜角θa、局部山頂の平均間隔Sを様々に変化させた。円筒状部材111は約18℃の冷却水の循環により常時水冷を行った。
実施例5の結果を表9に示す。表9の結果から分かるように、円筒状部材111の表面粗さに関しては、Raを1〜20μm、θaを9〜20度、Sを30〜100μmの範囲とすることによって、より顕著に突起数及び画像欠陥について低減効果が得られることが分かる。
Figure 2006009040
図1に示す堆積膜形成装置を用い、円筒状基体105としての、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー上に、表7に示す条件に従い、前述のような堆積膜形成方法でa−Si堆積膜を形成し、電子写真感光体を作製した。円筒状部材111はステンレス製とし、その直径は、円筒状基体105に囲まれた領域内の、各円筒状基体105に内接する内接円の直径の0.5倍、高さは、反応容器101の高さの0.6倍とした。高周波電源103の発振周波数は100MHzと350MHzの重畳周波数とした。
本実施例では、円筒状部材111の表面をアルミニウム材、ニッケル材、ステンレス材、二酸化チタン材の4種類の材料を用いた溶射により、算術平均粗さRa、平均傾斜角θa、局部山頂の平均間隔Sをそれぞれの材料ごとに実施例5と同様に変化させた。円筒状部材111は約18℃の冷却水の循環により常時水冷を行った。
得られた電子写真感光体に対して実施例5と同様に評価を行ったところ、アルミニウム材、ニッケル材、ステンレス材、二酸化チタン材、何れの材料においても表9と全く同様の結果が得られた。このことから、円筒状部材111の表面を荒らす手法としては溶射も好適に使用可能であることが判明した。
本発明の実施形態の堆積膜形成装置を示す模式的な構成図である。 平均傾斜角(θa)の定義を説明するための模式図である。 本発明により形成可能な電子写真用光受容部材の層構成の一例を示す図である。 VHF帯の周波数を用いた従来のVHFプラズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置の一例を示す模式的な構成図である。 本発明の実施形態の堆積膜形成装置の円筒状部材111の冷却機構の一例を示す概要図である。
符号の説明
101,201 反応容器
101(a),201(a) 誘電体部材
101(b),201(b) 上蓋
102,202 高周波電力導入手段
103,203 高周波電源
104,204 マッチングボックス
105,205 円筒状基体
106,206 基体支持体
107,207 基体加熱用ヒーター
108,208 回転機構
109,209 排気配管
110,210 ガス供給手段
111 円筒状部材
111−1 冷媒導入部
111−2 冷媒排出部
111−3 円筒状部材内部(冷媒で満たされている)
1200,1210,1220,1230 電子写真用感光体
1201 支持体
1202,1212 光導電層
1203 表面層
1204 電荷注入阻止層
1205 電荷発生層
1206 電荷輸送層

Claims (15)

  1. 少なくとも一部が誘電体部材で構成された減圧可能な反応容器と、該反応容器内部に同一円周上に配置された複数の円筒状基体および原料ガス導入手段と、前記反応容器の外部に配置された複数の高周波電力導入手段とを有し、該高周波電力導入手段に高周波電力を印加し、前記反応容器内にグロー放電を発生させることによって、前記反応容器内に前記原料ガス導入手段を介して導入された原料ガスを分解し、複数の前記円筒状基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成装置において、
    導電性を有する接地された円筒状部材を前記円筒状基体が配置される配置円内に有し、前記円筒状部材を冷却する手段を有することを特徴とする堆積膜形成装置。
  2. 前記円筒状部材は、前記円筒状基体の配置円の中央に設置されていることを特徴とする請求項1記載の堆積膜形成装置。
  3. 前記円筒状部材の直径が、複数の前記円筒状基体に囲まれた空間内の前記各円筒状基体に内接する内接円の直径の0.1倍〜0.8倍であることを特徴とする請求項1又は2記載の堆積膜形成装置。
  4. 前記円筒状部材の長さが前記反応容器の高さの0.5倍〜0.98倍であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の堆積膜形成装置。
  5. 前記円筒状部材の表面の少なくとも一部は、算術平均粗さRaが1μm以上20μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の堆積膜形成装置。
  6. 前記円筒状部材の表面の少なくとも一部は、平均傾斜角θaが9度以上20度以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の堆積膜形成装置。
  7. 前記円筒状部材の表面の少なくとも一部は、局部山頂の平均間隔Sが30μm以上100μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の堆積膜形成装置。
  8. 前記導電性を有する円筒状部材の表面粗さが、ブラスト加工によって調整されていることを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の堆積膜形成装置。
  9. 前記導電性を有する円筒状部材の表面粗さが溶射加工によって調整されていることを特徴とする請求項5〜7の何れかに記載の堆積膜形成装置。
  10. 前記溶射加工に用いられる溶射材が、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、二酸化チタンの何れか、又は、これらのうちから選択されるの2つ以上の材料から成る複合材料であることを特徴とする請求項9記載の堆積膜形成装置。
  11. 前記高周波電力導入手段は、複数の前記円筒状基体の配置円と中心が一致する同心円上に等間隔で設置されていることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の堆積膜形成装置。
  12. 前記高周波電力の周波数が50〜450MHzの範囲にあることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の堆積膜形成装置。
  13. 複数の前記円筒状基体上に形成される堆積膜が、シリコン原子を母材とした非単結晶材料であることを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の堆積膜形成装置。
  14. 電子写真感光体の製造に用いられることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の堆積膜形成装置。
  15. 請求項1〜14の何れかに記載の堆積膜形成装置を用いた堆積膜形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2007072814A1 (ja) * 2005-12-19 2009-05-28 日本電信電話株式会社 端末識別方法、認証方法、認証システム、サーバ、端末、無線基地局、プログラムおよび記録媒体

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JPWO2007072814A1 (ja) * 2005-12-19 2009-05-28 日本電信電話株式会社 端末識別方法、認証方法、認証システム、サーバ、端末、無線基地局、プログラムおよび記録媒体

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