JP2005163165A - 堆積膜形成装置および堆積膜形成方法 - Google Patents

堆積膜形成装置および堆積膜形成方法 Download PDF

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崇志 大塚
Yoshio Seki
好雄 瀬木
Tetsuya Karaki
哲也 唐木
Junichiro Hashizume
淳一郎 橋爪
Tatsuji Okamura
竜次 岡村
Nobufumi Tsuchida
伸史 土田
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Abstract

【課題】 減圧可能な反応容器中に複数の円筒状基体を設置し、該反応容器中に供給した原料ガスを高周波電力導入手段から導入された高周波電力により分解し、該円筒状基体上に堆積膜を形成する堆積膜の形成において、堆積膜特性と生産性に優れた堆積膜形成装置、堆積膜形成方法を提供すること、とくに電子写真感光体の堆積膜形成においては画像欠陥の発生を低減可能な堆積膜形成装置、堆積膜形成方法を提供すること。
【解決手段】 少なくとも一部が誘電体部材で構成された減圧可能な反応容器と、該反応容器内部に配置された複数の円筒状基体および原料ガス導入手段と、該反応容器外部に配置された複数の高周波電極を有し、該高周波電極に高周波電力を印加し、該反応容器内にグロー放電を発生させることにより、該反応容器内に導入された原料ガスを分解し、該複数の円筒状基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成装置において、隣接する前記円筒状基体同士間にある空間の少なくとも一部分を仕切る板状部材を設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は円筒状基体上に堆積膜、とりわけ機能性堆積膜、特に半導体デバイス、電子写真用光受容部材、画像入力用ラインセンサ、撮像デバイス、光起電力デバイス等に用いる、アモルファス半導体を形成するプラズマCVD法による堆積膜形成装置および堆積膜形成方法に関する。
従来、半導体デバイス、電子写真用感光体、画像入力用ラインセンサ、撮像デバイス、光起電力デバイス、その他各種エレクトロニクス素子、光学素子等に用いる素子部材として、アモルファスシリコン、例えば水素または/及びハロゲン(例えばフッ素、塩素等)で補償されたアモルファスシリコンのような非単結晶質の堆積膜またはダイヤモンド薄膜のような結晶質の堆積膜が提案され、その中のいくつかは実用に付されている。そして、こうした堆積膜は、プラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流、または高周波、あるいはマイクロ波によるグロー放電によって分解し、ガラス、石英、耐熱性合成樹脂フイルム、ステンレス、アルミニウムなどの円筒状基体上に堆積膜を形成する方法により形成され、そのための装置も各種提案されている。
なかでも、VHF帯の高周波電力を用いたVHFプラズマCVD(以下「VHF−PCVD」と略記する。)法を用いた各種堆積膜形成の開発が積極的に進められている。これは、VHF−PCVD法では膜堆積速度が速く、また高品質な堆積膜が得られるため、製品の低コスト化、高品質化を同時に達成し得るものと期待されるためである。また、複数の電子写真用光受容部材を同時に形成でき、生産性の極めて高い堆積膜形成装置の開発も進められている。そのような装置のひとつとして、円筒状基体を同一円周上に等間隔で配置し、高周波電力を該円筒状基体の配置円外から導入する構成としたことで、配置円外のみならず配置円内にも十分な密度をもったプラズマが生成可能とした装置・方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
特開平11−92932号公報
上記の従来の方法及び装置により、比較的良好な堆積膜が形成される。しかしながら、これら堆積膜を用いた製品に対する市場の要求レベルは日々高まっており、この要求に応えるべく、より高品質の堆積膜が求められるようになっている。
例えば、電子写真装置の場合、コピースピードの向上、電子写真装置の小型化、低価格化の要求は非常に強く、これらを実現するためには感光体特性、具体的には帯電能、感度等の向上および感光体生産コストの低下が不可欠となっている。また、近年その普及が目覚しいデジタル電子写真装置やカラー電子写真装置においては、文字原稿のみならず、写真、絵、デザイン画等のコピーも頻繁に為されるため、画像濃度むら低減、光メモリー低減等の感光体特性の向上も従来以上に強く求められるようになっている。さらに、コピー画像上に白い点を発生させるいわゆる白ポチや、逆に黒い点を発生させるいわゆる黒ポチといった画像欠陥の低減に対する要求レベルが非常に高まっており、これに対応可能な電子写真装置の提供が急務となっている。
例えば堆積膜形成装置において内部に配置された部材に付着していたダストや堆積膜の剥離(膜剥れ)などの異物が存在すると、感光体上に「球状突起」と呼ばれる異常成長が発生する。上記の画像欠陥はこの「球状突起」が原因となっており、これらの異常成長を低減できる堆積膜形成装置、堆積膜形成方法の実現が強く求められている。球状突起は、長期にわたって画像形成を繰り返すと、コピー画像上に白ポチや、逆に黒ポチというような画像不良を発生させる原因となることがある。
このような状況下において、前述従来の堆積膜形成装置、堆積膜形成方法においても、堆積膜特性の向上、堆積膜形成コストの低下に関して、まだ改善の余地が残されているのが現状である。
そこで本発明は上記課題の解決を目的とするものである。即ち、本発明の目的は、減圧可能な反応容器中に複数の円筒状基体を設置し、該反応容器中に供給した原料ガスを高周波電力導入手段から導入された高周波電力により分解し、該円筒状基体上に堆積膜を形成する堆積膜の形成において、堆積膜特性と生産性に優れた堆積膜形成装置、堆積膜形成方法を提供すること、とくに電子写真感光体の堆積膜形成においては画像欠陥の発生を低減可能な堆積膜形成装置、堆積膜形成方法を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、
まず、堆積膜形成装置・堆積膜形成方法において、隣接する前記円筒状基体同士間にある空間の少なくとも一部分を仕切る板状部材を配置することが堆積膜特性に大きな影響を及ぼすという知見を得て、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、少なくとも一部が誘電体部材で構成された減圧可能な反応容器と、該反応容器内部に配置された複数の円筒状基体および原料ガス導入手段と、該反応容器外部に配置された複数の高周波電極を有し、該高周波電極に高周波電力を印加し、該反応容器内にグロー放電を発生させることにより、該反応容器内に導入された原料ガスを分解し、該複数の円筒状基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成装置において、
隣接する前記円筒状基体同士間にある空間の少なくとも一部分を仕切る板状部材を有することを特徴とする堆積膜形成装置および堆積膜形成方法に関する。
本発明によれば、複数の基体上に良好な特性を有する堆積膜を高い膜堆積速度で形成可能である。
以上説明したように本発明によれば、反応容器の概略中央に、仕切り板部材を配置することで、複数の円筒状基体上に基体上に良好な特性を有する堆積膜を高い膜堆積速度で形成可能とした。とくに電子写真感光体の堆積膜形成においては画像欠陥の発生の原因となる感光体上の球状突起と呼ばれる異常成長を低減させることが可能になる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1(A)は本発明の一実施形態である堆積膜形成装置の概略縦断面図であり、図1(B)は図1(A)の切断線A−A’に沿う概略横断面図である。
堆積膜形成装置は、真空気密構造をなしている円筒状の反応容器101(a)を有しており、この反応容器101の下面には排気管109が配置されており、排気管109の一瑞は不図示の排気装置、例えば真空ポンプに接続されている。堆積膜形成装置101には高周波電力導入手段102が設置され、高周波電源103より出力された高周波電力は、マッチングボックス104を経て、少なくとも一部が絶縁性材料で構成された反応容器の壁面101(a)を介して成膜空間内に供給される。
成膜空間内には、堆積膜が形成される複数の円筒状基体105が同一円周上に配置されている。各円筒状基体105は回転軸によって保持され、発熱体107によって加熱が可能になっている。モータ(不図示)により、ギア108を介して回転軸を回転させ、円筒状基体105がその母線方向中心軸のまわりを自転するようになる機構を必要に応じて設けるものであってもよい。原料ガス供給手投110は、成膜空間内に所望の原料ガスを供給する。
また少なくとも一部が絶縁性材料で構成された反応容器の壁面101(a)の材質は、上述したように少なくとも一部が絶縁性材料で構成されており、具体的な絶縁性材料としては、アルミナ、二酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ジルコン、コージェライト、ジルコン−コージェライト、酸化珪素、酸化ベリリウムマイカ系セラミックス等が挙げられる。これらのうち、高周波電力の吸収が少ないという点から、特にアルミナや窒化アルミニウムが好適である。
111は、円筒状部材で、反応容器のほぼ中央に配置されている。114は隣接する円筒状基体同士を仕切る板状部材である。円筒状部材111の表面から放射状に突き出るように固定される。
円筒状基体同士を仕切る板状部材114の大きさについて、その高さは円筒状基体と同程度でよい。どちらかといえば円筒状基体より長いことが好ましい。その厚みに特に限定はないが、強度的に問題や、作成の容易さや、扱いやすさなどから5mmから20mm程度が良い。
その突き出す量は、相対する円筒状基体の半分程度を仕切る程度から、
完全に仕切るまでの間とすることが好ましい。本特許の効果は、相対する円筒状基体のすべてを完全に仕切る必要はないが、円筒状基体同士の最近接部を仕切ることが好ましく、
また、その最近接部付近から内側を仕切ることの効果が高い。
円筒状基体同士を仕切る板状部材114の材質は少なくとも一部が絶縁性材料で構成されており、具体的な絶縁性材料としては、アルミナ、二酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ジルコン、コージェライト、ジルコン−コージェライト、酸化珪素、酸化ベリリウムマイカ系セラミックス等が挙げられる。これらのうち、高周波電力の吸収が少ないという点から、特にアルミナや窒化アルミニウムが好適である。
円筒状基体同士を仕切る板状部材114の表面は、膜の密着性を向上し、膜剥れを防止し、成膜中のダストを抑制する目的から、表面状態を制御することが好ましい。例えば、表面粗さが算術平均粗さ(Ra)が1μm以上20μm以下の範囲であることが好ましい。これは、Raを1μm以上とすることでa−Si堆積膜との接触面積が増加し、密着性に良好な影響を及ぼすからである。一方、Raが大き過ぎると逆にダストを取り込みやすくなり、これが吐き出された際に球状突起の核になってしまうことがある。よって、Raは1μm以上20μm以下の範囲であることが好ましい。
さらに、円筒状基体同士を仕切る板状部材114の表面は、Raを上記の範囲内にして平均傾斜角(θa)が9度以上20度以下の範囲にした場合、或いは、Raを上記の範囲内にして局部山頂の平均間隔(S)が30μm以上100μm以下の範囲にした場合に本発明の効果がより顕著になり、Raを上記の範囲内にしてθa、且つ、Sを上記の範囲内にすると特に本発明の効果が顕著になることが本発明者の実験によって明らかとなった。これは、Raに加えてθa、Sを一定の範囲にすることで部材と堆積膜との接触面積をより最適な範囲にでき、部材に堆積する膜の応力が緩和されやすい状態になって密着性が増したためであると考えている。なお、本発明で用いた表面粗さの測定はJIS B0601−1994に基づき、Surftest SJ−400(株式会社ミツトヨ)を用いカットオフ0.8mm、基準長さ0.8mm、評価長さ4mmとして測定を行った。なお、平均傾斜角(θa)とは図3に示すように測定曲線の局部傾斜の絶対値を合計し、平均した値(Δa)の逆正接(θa=tan−1Δa)で表される。
また、表面を荒らす場合には、ブラスト加工を行ったり、溶射材で被覆すれば良い。ブラスト加工や溶射は、コスト面から、あるいは表面粗さの制御性の高さや、コーティング対象物の大きさ・形状の制限を受けにくいため好ましい。
溶射の具体的手段に特に制限はないが、例えばプラズマ溶射、減圧プラズマ溶射、高速フレーム溶射、低温溶射などのコーティング法により表面をコーティングしてもよい。具体的な溶射材料としては、アルミニウム、ステンレス、鉄、ニッケル、二酸化チタン等が挙げられる。円筒状部材の表面を被覆する溶射材の厚さは特に制限はないが、耐久性および均一性を増すため、また、製造コストの面から1μm〜1mmが好ましく、10μm〜500μmがより好ましい。
円筒状部材111の直径は、反応容器の内壁101(a)から円筒状基体105間の距離と、円筒状部材111から円筒状基体105までの距離とがほぼ等しくなることが好ましいが、そうではない場合でも効果を発揮する。
円筒状部材の材質は円筒状基体同士を仕切る板状部材114と同様で良いが金属材料の場合、アルミニウム、鉄、ステンレス、金、銀、銅、ニッケル、クロムなどが挙げられる。また表面処理においても円筒状基体同士を仕切る板状部材114と同様に何らかの方法で表面状態の制御が行われることが好ましい。
113は、反応容器中央に配置される円筒状金属部材を支える台座である。
上述した装置を用いた堆積膜の形成は、例えば以下のようにして行われる。
まず、反応容器101内に円筒状基体105を設置し、排気装置により排気管109を介して反応空間内を排気する。続いて、発熱体107により円筒状基体105を所定の温度となるように加熱・制御する。
次に、円筒状基体105が所定の温度となったところで、原料ガス供給手段110を介して、原料ガスを反応空間内に導入する。原料ガスの流量が設定流量となり、また、反応空間内の圧力が安定したのを確認した後、高周波電源103からマッチングボックス104を介して高周波電力導入手段102へと所定の高周波電力を供給する。供給された高周波電力によって、反応空間内にグロー放電が生起され、原料ガスは励起解離して円筒状基体105上に堆積膜が形成される。
所望の膜厚の形成が行なわれた後、高周波電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して堆積膜の形成を終える。多層構造の堆積膜を形成する場合には、同様の操作を複数回繰り返す。あるいは、1つの層の形成終了後、一定時間でガス流量、圧力、高周波電力を次層の設定値に徐々に変化させることにより連続的に複数層を形成しても良い。堆積膜形成中、必要に応じて、回転軸を介して円筒状基体105を所定の速度で回転させてもよい。
本実施形態に用いられる基体については、円筒状の形状の物が一般的に使用されるが、複数の基体を円筒状に組み合わせたものでもよい。円筒状基体105としては導電性であっても、また電気絶縁性であってもよい。
円筒状基体105の端部には、円筒状基体105の母線方向の特性を均一にするために、その端部を延長するような位置に、補助基体106を設けても良い。
円筒状基体105の温度は、層設計にしたがって適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合100〜350℃とするのが望ましい。
円筒状基体105の周方向の膜特性を均一にするために、円筒状基体105を回転させながら膜形成を行なうことが好ましい。
本実施形態では、原料ガスの分解は、上述したように高周波電力導入手段102に高周波電力を印加する。本実施形態に使用できる高周波電力の周波数は特に制限はないが、安定した堆積膜形成が容易なことから、50〜450MHzの周波数範囲が本実施形態には好適である。高周波の波形は、いずれのものでも差し支えないが、サイン波、矩形波等が適する。
反応容器101内のガス圧は適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合0.013〜1300Pa、好ましくは0.067〜670Pa、最適には0.13〜130Paとするのが好ましい。
本実施形態においては、Si供給用のガスと希釈ガスとの混合比、堆積膜を形成するための円筒状基体105の温度、反応容器101内のガス圧、放電電力、温度制御ガスの流量など、上述した条件が挙げられるが、これらの条件は通常は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性を有する電子写真用感光体を形成すべく相互的、かつ有機的関連性に基づいて最適値を決めるのが望ましい。
本発明においては、堆積膜特性と生産性に優れた堆積膜形成装置、堆積膜形成方法を提供することが可能となる。特に堆積膜上に発生する「球状突起」と呼ばれる異常成長の低減が可能となる。
これらの理由は、現在のところ完全には解明されていないものの、概略以下のようなものによるのではないかと推察される。
堆積膜形成装置の構造上、円筒状基体の配置円の外側には炉壁が面しているのに対して配置円の中心側すなわち、反応容器の中央側、とくに中央に相対した面には、大きく空間が広がっている。われわれは、球状突起問題が、円筒状基体の配置円の中心側により多く発生していることを見出し、複数の円筒状基体を同一円周上に等間隔に配置した堆積膜形成装置においては、円筒状基体を取り巻く条件の円筒状基体の配置円の中心側に広がる空間が問題の発生要因の一つと推察して本発明を完成させるに至った。
本発明の堆積膜形成装置および方法によれば、
隣接する円筒状基体同士間にある空間の少なくとも一部分を仕切る板状部材を配置し、中心側に広がる空間を制限することで、内部側での球状突起の発生率を低減することを可能とした。そして、より均一性の高い成膜を可能とした。
また、本発明においては、さらに以下のような構成・方法により、さらに顕著な効果を得ることができる。各々について詳述する。
円筒状基体同士間にある空間の少なくとも一部分を仕切る板状部材が、反応容器の概略中央に配置する円筒状部材から放射線状に突き出した板状部材により構成されることで、隣接する円筒状基体同士間にある空間の少なくとも一部分を仕切る板状部材を反応容器内に配置し、取り扱うことを容易に行うことができる。
空間を仕切る板状部材の少なくとも一部が誘電体部材で構成され、空間を仕切る板状部材の少なくともその表面の一部の表面状態を制御することで、円筒状金属部材から、異常成長の原因となる膜剥れ等のダストの発生を防止することができる。
とくにその表面の粗さが、算術平均粗さ(Ra)が1μm以上20μm以下の範囲である場合、平均傾斜角(θa)が9度以上20度以下の範囲である場合、局部山頂の平均間隔(S)が30μm以上100μm以下の範囲でである場合にその効果は顕著である。
また、円筒状金属部材について、その表面温度を制御する手段を有し、内部から加熱や冷却する等その温度を制御することで同様に異常の原因となる膜剥れを防止することができる。
また、前記高周波電極に印加する高周波電力の発振周波数が50〜450MHzの範囲とすることが好ましい。50MHzよりも低い周波数領域においては、プラズマが安定して生成可能な圧力が高くなり、成膜空間中においてポリシラン等のパーティクルが生じ易く、これらに起因した球状突起を発生させやすくなる場合がある。また、450MHzよりも高い周波数領域においては、電力導入手段近傍での電力の吸収が大きいなど、プラズマ不均一を生じ易く、堆積膜の特性むらを生じさせる場合がある。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、各実施例および各比較例では上述の実施形態で説明した堆積膜形成装置を用いた。
(実施例1)
図1に示す堆積膜形成装置を用い、直径80mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダー105上に、高周波電源103の発振周波数を50MHzとして表1に示す条件に従い、前述の堆積膜形成方法でa−Si堆積膜から成る電子写真感光体を形成した。
円筒状部材は直径80mmの表面にニッケル材の溶射したNi製とし、仕切り板はブラスト処理で表面を荒らしたアルミナセラミック製の厚さ12mmの板を円筒状部材に整形された溝に固定したものを使用した。仕切り板の大きさは高さ450mmとし、中央から180mm突き出す大きさとした。
Figure 2005163165
(実施例2)
本実施例では図2に示す堆積膜形成装置を用い、その他の成膜条件は実施例1と同様に表1の条件でa−Si感光体の形成を行った。
本実施例で使用した成膜装置で、実施例1で使用した装置のような円筒状の部材は使用せず、仕切り板のみを底板部に垂直に支持する支持部材を用いて、配置したものである。仕切り板はアルミナを溶射することで表面を荒らしたアルミナセラミック製の厚さ12mmの板を使用し六枚の板を中央部に隙間のないように図2の(b)に示すように配置した。仕切り板の大きさは幅180mm高さ500mmとした。
(比較例1)
本比較例では仕切り板部材を設けないこと以外、その他の成膜条件は実施例1及び実施例2と同様にして表1の条件でa−Si感光体の形成を行った。
実施例1、実施例2、及び比較例1で作成したa−Si電子写真感光体は、下記の方法で評価を行った。
(球状突起数)
得られた感光体の表面を光学顕微鏡で観察した。そして、20μm以上の大きさの球状突起の数を数え、10cm2当たりの個数を調べた。得られた結果は、比較例1での値を100%とした場合の相対比較でランク付けを行った。
◎ … 30%未満
○〜◎ … 30%以上50%未満
○ … 50%以上70%未満
△〜○ … 70%以上95%未満
△ … 95%以上105%未満
× … 105%以上に増加
(画像欠陥)
一次帯電器としてコロナ放電を採用し、また、クリーナーにクリーニングブレードを具える電子写真装置に、本実施例で作製した電子写真用感光体を装着して画像形成を行った。具体的には、キヤノン製複写機iR5000(プロセススピード265mm/sec)をベースに実験用に改造した複写機を試験用電子写真装置として用い黒原稿を複写した。こうして得られた画像を観察し、直径0.3mm以上の球状突起に起因する白ポチの個数を数えた。
得られた結果は、比較例1での値を100%とした場合の相対比較でランク付けを行った。
◎ … 30%未満
○〜◎ … 30%以上50%未満
○ … 50%以上70%未満
△〜○ … 70%以上95%未満
△ … 95%以上105%未満
× … 105%以上に増加
(帯電能)
複写機の主帯電器に一定の電流(例えば1000μA)を流したときの現像器位置での暗部電位を測定する。したがって、暗部電位が大きいほど帯電能が良好であることを示す。帯電能測定は感光体母線方向全領域に渡っておこない、その平均値とした。
(感度)
現像器位置での暗部電位が一定値(例えば450V)となるよう主帯電器電流を調整した後、原稿に反射濃度0.1以下の所定の白紙を用い、現像器位置での明部電位が所定の値となるよう調整した際の像露光量により評価する。したがって、像露光量が少ないほど感度が良好であることを示す。感度測定は感光体母線方向全領域に渡って行ない、その平均値とした。したがって、数値が小さいほど良好である。
(光メモリー)
現像器位置における暗部電位が所定の値となるように主帯電器の電流値を調整した後、所定の白紙を原稿とした際の明部電位が所定の値となるよう像露光光量を調整する。この状態でキヤノン製ゴーストテストチャート(部品番号:FY9−9040)に反射濃度1.1、直径5mmの黒丸を貼り付けたものを原稿台に置き、その上にキヤノン製中間調チャートを重ねておいた際のコピー画像において、中間調コピー上に認められるゴーストチャートの直径5mmの黒丸の反射濃度と中間調部分の反射濃度との差を測定することにより行った。光メモリーの測定は、感光体母線方向全領域にわたって行い、その平均値とした。したがって、数値が小さいほど良好である。
帯電能、感度、光メモリーの評価結果は、比較例1の結果を基準とした。
◎ … 40%以上の良化
○〜◎ … 30%以上40%未満の良化
○ … 20%以上30%未満の良化
△〜○ … 10%以上20%未満の良化
△ … 10%未満の良化
× … 悪化
実施例1、実施例2、比較例1の評価結果を表2に示す。表2から分かるように、複数の円筒状基体に囲まれた領域の中央に円筒状部材を設けることによって球状突起、画像欠陥が大幅に改善されることが分かる。また、予期しなかった効果であるが、帯電能、感度、光メモリーといった電子写真感光体の特性に関しても改善が見られることが判明した。
Figure 2005163165
本発明の堆積膜形成装置の一例を示す模式図であり、(a)は縦断面、(b)は横断面である。 本発明の堆積膜形成装置の一例を示す模式図であり、(a)は縦断面、(b)は横断面である。
符号の説明
101:反応容器
102:高周波電極
103:高周波電源
104:マッチングボックス
105:円筒状基体
106:基体支持体
107:基体加熱用ヒーター
108:回転機構
109:排気配管
110:ガス供給手段
111:円筒状部材
112:高周波電力分岐手段
113:円筒状金属部材台座
114:板状部材

Claims (7)

  1. 少なくとも一部が誘電体部材で構成された減圧可能な反応容器と、該反応容器内部に配置された複数の円筒状基体および原料ガス導入手段と、該反応容器外部に配置された複数の高周波電極を有し、該高周波電極に高周波電力を印加し、該反応容器内にグロー放電を発生させることにより、該反応容器内に導入された原料ガスを分解し、該複数の円筒状基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成装置において、
    隣接する前記円筒状基体同士間にある空間の少なくとも一部分を仕切る板状部材を有することを特徴とする堆積膜形成装置。
  2. 前記空間を仕切る板状部材が、
    反応容器の概略中央に配置する円筒状部材から放射線状に突き出した板状部材により構成されることを特徴とする請求項1に記載の堆積膜形成装置。
  3. 前記空間を仕切る板状部材の少なくとも一部が誘電体部材で構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の堆積膜形成装置。
  4. 前記空間を仕切る板状部材の少なくともその表面の一部に溶射層をもつことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の堆積膜形成装置。
  5. 前記堆積膜形成装置において前記高周波電極に印加する高周波電力の発振周波数が50〜450MHzの範囲であることを特徴とする請求項1乃至は請求項4に記載の堆積膜形成装置。
  6. 前記堆積膜形成装置において堆積される堆積膜が非晶質であることことを特徴とする請求項1乃至は請求項5に記載の堆積膜形成装置。
  7. 上記請求項1乃至は請求項6に記載の堆積膜形成装置を用いて前記円筒状基体上に堆積膜を形成する堆積膜形成方法。
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