JP2000054146A - 堆積膜形成方法及び堆積膜形成装置 - Google Patents

堆積膜形成方法及び堆積膜形成装置

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JP2000054146A
JP2000054146A JP10223028A JP22302898A JP2000054146A JP 2000054146 A JP2000054146 A JP 2000054146A JP 10223028 A JP10223028 A JP 10223028A JP 22302898 A JP22302898 A JP 22302898A JP 2000054146 A JP2000054146 A JP 2000054146A
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rod
shaped electrode
reaction vessel
cylindrical
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JP10223028A
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English (en)
Inventor
Kazuto Hosoi
一人 細井
Kazuyoshi Akiyama
和敬 秋山
Toshiyasu Shirasago
寿康 白砂
Hitoshi Murayama
仁 村山
Daisuke Tazawa
大介 田澤
Takashi Otsuka
崇志 大塚
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Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 堆積される膜質が大幅に改善され、膜特性の
優れた堆積膜を均一に再現性よく形成し、歩留りを飛躍
的に向上させて量産を行うことのできる堆積膜、特に機
能性堆積膜の堆積膜形成方法を提供する。 【解決手段】 高周波プラズマCVD法による堆積膜形
成において、高周波電力導入手段より周波数が50〜4
50MHzの高周波電力を導入し、高周波電力導入手段
は、表面に堆積すべき円筒状基体の軸方向にほぼ平行に
配置した棒状電極を使用し、近設した原料ガス導入管か
ら棒状電極方向に向けて原料ガスを供給しながら堆積膜
形成を行うことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に、機能性
堆積膜例えば、半導体デバイス、電子写真感光体、光起
電力デバイス等に用いるアモルファス半導体等を形成す
るための堆積膜形成装置(プラズマCVD装置等)、及
び堆積膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体デバイス、電子写真感光
体、光起電力デバイス、またその他各種エレクトロニク
ス素子等に用いる堆積膜形成方法として、真空蒸着法、
スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD
法、光CVD法、プラズマCVD法等、多数知られてお
り、そのための装置も実用に供されている。
【0003】中でもプラズマCVD法、すなわち、原料
ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放電
により分解し、基板上に薄膜状の堆積膜を形成する方法
は好適なものとして、水素化アモルファスシリコン(以
下、「a−Si:H」と表記する)堆積膜の形成等、現
在実用化が非常に進んでおり、そのための装置も各種提
案されている。
【0004】例えば、図3は電源としてVHF帯の高周
波を用いたVHFプラズマCVD法による堆積膜形成装
置、具体的には電子写真感光体の製造装置の一例を示す
模式的な構成図である。図3(A)は縦断面図、図3
(B)は横断面図である。
【0005】この装置を大別すると、反応容器301、
原料ガス供給装置380、反応容器301内に減圧にす
るための排気系(図示せず)から構成されている。排気
系は反応容器301の側面に排気口が一体的に形成さ
れ、排気口の他端は排気装置(図示せず)に接続されて
いる。反応容器301内に堆積膜の形成される円筒状基
体305が、基体ホルダー311に保持され設置されて
いる。原料ガスは、反応容器301内の原料ガス分布が
均一となるよう原料ガス導入管306の左右から供給さ
れる。各円筒状基体305は回転軸308によって保持
され、発熱体307によって加熱されるようになってい
る。モータ309を駆動すると、減速ギア310を介し
て回転軸308が回転し、円筒状基体305がその母線
方向中心軸のまわりを自転するようになっている。VH
F電力は、VHF電源304よりマッチングボックス3
03を経て電極より成膜空間に供給される。この際、円
筒状基体305は回転軸308を通してアース電位に維
持されている。
【0006】原料ガス供給装置380は、SiH4 ,G
eH2 ,H2 ,CH4 ,B26 ,PH3 等の原料ガス
のボンベ321〜326とバルブ331〜336及びマ
スフローコントローラ311〜316から構成され、各
原料ガスのボンベは補助バルブ370を介して反応容器
内の原料ガス導入管306に接続されている。
【0007】このような従来の堆積膜形成装置を用いた
堆積膜の形成は、概略以下のような手順により行うこと
ができる。
【0008】まず、反応容器301内に基体ホルダー3
11に保持された円筒状基体305を設置し、不図示の
排気装置(例えば真空ポンプ)により反応容器301内
を排気する。続いて、発熱体307により円筒状基体3
05の温度を200〜450℃の所定の温度に制御す
る。
【0009】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器301
に流入させるには、ガスボンベのバルブ331〜336
が閉じられていることを確認し、また、流入バルブ34
1〜346、流出バルブ351〜356、補助バルブ3
70が開かれていることを確認して、まず排気バルブ
(図示せず)を開いて反応容器301を排気する。
【0010】次に真空計(図示せず)の読みが約6.7
×10-4Paになった時点で補助バルブ370、流出バ
ルブ351〜356を閉じる。その後、ガスボンベ32
1〜326より各ガスを各ガスボンベバルブ331〜3
36を開いて導入し、圧力調整器361〜366より各
ガス圧を約2Kg/cm2 に調整する。次に、流入バル
ブ341〜346を徐々に開けて、各ガスをマスフロー
コントローラ311〜316内に導入する。以上のよう
にして成膜の準備が完了した後、以下の手順で各層の形
成を行う。
【0011】円筒状基体305が所定の温度になったと
ころで流出バルブ351〜356のうちの必要なものお
よび補助バルブ370を徐々に開き、ガスボンベ321
〜326から所定のガスを原料ガス導入管306を介し
て反応容器301内に導入する。次にマスフローコント
ローラ311〜316によって各原料ガスが所定の流量
になるように調整する。その際、反応容器301内の圧
力が1.3×102 Pa以下の所定の圧力になるように
真空計(図示せず)を見ながら排気バルブ(図示せず)
の開口を調整する。内圧が安定したところで、VHF電
源304を所望の電力に設定して、マッチングボックス
303、棒状電極302を通じて反応容器301内にV
HF電力を導入し、グロー放電を生起させる。この放電
エネルギーによって反応容器301内に導入された原料
ガスが分解され、円筒状基体305上に所定のシリコン
を主成分とする堆積膜が形成される。所望の膜厚の形成
が行われた後、高周波電力の供給を止め、流出バルブ3
51〜356を閉じて反応容器301へのガスの流入を
止め、堆積膜の形成を終える。
【0012】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の感光層を形成することができる。
多層膜の形成においては、1つの層の形成終了後一定時
間で高周波電力、ガス流量、圧力を次層の設定値に徐々
に変化させることにより連続的に複数層を形成してもよ
い。
【0013】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブ351〜356はすべて閉じられてい
ることは言うまでもなく、また、それぞれのガスが反応
容器301内、流出バルブ351〜356から反応容器
301に至る配管内に残留することを避けるために、流
出バルブ351〜356を閉じ、補助バルブ370を開
き、さらに排気バルブ(図示せず)を全開にして系内を
一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。また堆
積膜形成中は、モーター309を駆動させ、減速ギヤー
310を介して回転軸308を回転させ円筒状基体30
5を回転させることにより、円筒状基体305の表面全
周にわたって堆積膜が形成される。
【0014】このようにして、電子写真感光体のような
大面積を有する堆積膜を形成する場合、良質な堆積膜を
形成するために原料ガスの吹き出し法が重要であり、そ
のための形成方法及び形成装置も各種提案されている。
【0015】例えば、特開昭58−32413号公報に
は、ガス導入手段兼用の円筒状電極においても、原料ガ
ス導入管用ガス管を使用した場合においても、ガス放出
孔の向きを原料ガスが一定方向に回転するように設定す
ることにより、膜厚の均一性を改善する技術が開示され
ている。
【0016】特開昭59−213439号公報には、円
筒状電極とガス導入手段とを兼用にし、該電極の壁面に
ガス放出孔を配置することにより、原料ガスを均一に放
電空間内部に放出し、膜厚、膜質のばらつきを改善する
技術が開示されている。
【0017】特開昭63−44477号公報には、同様
のガス導入手段兼用の円筒状電極において、電極壁面の
ガス放出孔の開口率を0.1〜2.0%範囲に設定する
ことにより、画像欠陥の原因となるパイル状突起を抑制
する技術が開示されている。これらの技術により電子写
真用感光体の膜質が向上し、それに伴って歩留りも向上
してきた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の堆積膜形成
方法及び装置により、良好なa−Si感光体が形成され
るが、総合的な特性向上を図る上でさらに改良される余
地が存在するのが実情である。特に、電子写真装置の高
速化は急速に進んでおり、電子写真感光体においては電
気特性のさらなる向上が求められている。また、電子写
真装置の画像特性向上のために電子写真装置内の光学露
光装置、現像装置、転写装置等の改良がなされた結果、
電子写真感光体においても従来以上の画像特性の向上が
求められるようになった。
【0019】さらに、近年では複写機本体の高性能化が
進み、デジタル機やカラー機の普及に伴いメモリー等の
さらなる画像性の向上が求められるようになった。一
方、複写機の小型化、プリンターとしての光受容部材の
需要が増加し、従来よりも小径な電子写真感光体の需要
が増大しており、径が小さくなることに対応できる製造
装置の開発も望まれている。
【0020】電子写真感光体作製技術においては、これ
まであまり問題にならなかった微小な画像欠陥の発生を
抑制することが必要となり、さらに膜特性を向上し、膜
厚、膜質の均一性を常に再現性よく維持する技術が強く
求められている。
【0021】そこで、本発明は、膜特性を大幅に向上
し、さらに膜厚、膜質の均一性を常に再現性よく形成
し、画像欠陥の発生を抑制し、歩留りを飛躍的に向上さ
せて量産を行うことのできる堆積膜、特に機能性堆積膜
(例えば、半導体デバイス、電子写真感光体、光起電力
デバイス等に用いるアモルファス半導体)等を形成する
ための堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法を提供するこ
とを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明は次のようである。
【0023】1.真空気密可能な反応容器と、該反応容
器内に基体ホルダーにより保持された円筒状基体と、該
円筒状基体の軸方向にほぼ平行に設けられた原料ガス導
入管と、該反応容器内に周波数が50〜450MHzの
高周波電力を導入することにより該反応容器内にグロー
放電を生起する高周波電力導入手段とからなる堆積膜形
成装置を用い、該円筒状基体上に堆積膜を形成する堆積
膜形成方法において、前記高周波電力導入手段は、前記
円筒状基体の軸方向にほぼ平行に配置した棒状電極を使
用し、前記原料ガス導入管から近設した該棒状電極方向
に向けて原料ガスを供給しながら堆積膜形成を行うこと
を特徴とする堆積膜形成方法。
【0024】2.前記円筒状基体が前記反応容器の中心
部に1基設けられ、前記棒状電極が、該円筒状基体の軸
と同軸の仮想の円筒の母線上に複数個等間隔に設けら
れ、各棒状電極にはそれぞれ1ケ以上の原料ガス導入管
が近設されていることを特徴とする上記1に記載の堆積
膜形成方法。
【0025】3.前記棒状電極が、前記反応容器の中心
部に1基設けられ、前記円筒状基体が前記反応容器中に
複数配置され、それらの軸が、仮想の円筒上の等間隔の
母線を形成し、この際該円筒の軸と、該棒状電極の軸が
一致するように配設され、かつ、1ケ以上の原料ガス導
入管が該棒状電極に近設されていることを特徴とする上
記1に記載の堆積膜形成方法。
【0026】4.前記複数の円筒状基体と同軸で、かつ
直径のより大きい仮想の円筒の母線を軸とした等間隔の
複数の棒状電極をさらに有し、各棒状電極にそれぞれ1
ケ以上の原料ガス導入管が近設されていることを特徴と
する上記3に記載の堆積膜形成方法。
【0027】5.前記複数の円筒状基体が、前記反応容
器の内部に設けられた非導電性材料で構成された円筒状
壁面の内側に配設され、該壁面と前記反応容器内壁との
間に形成される空間にさらに複数の電極が配置されてい
ることを特徴とする上記3に記載の堆積膜形成方法。
【0028】6.前記原料ガス導入管が、前記近設した
棒状電極と、40ないし100mm離れていることを特
徴とする上記1ないし5に記載の堆積膜形成方法。
【0029】7.前記原料ガス導入管のガス放出孔の内
径d2が0.5〜2.0mm、ガス放出孔の間隔d3が
20〜80mmであることを特徴とする上記1ないし6
に記載の堆積膜形成方法。
【0030】8.真空気密可能な反応容器と、該反応容
器内に基体ホルダーにより保持された円筒状基体と、該
円筒状基体の軸方向にほぼ平行に設けられた原料ガス導
入管と、該反応容器内に周波数が50〜450MHzの
高周波電力を導入することにより該反応容器内にグロー
放電を生起する高周波電力導入手段とからなる堆積膜形
成装置において、前記高周波電力導入手段として、前記
円筒状基体の軸方向にほぼ平行に棒状電極を配置し、前
記原料ガス導入管を、近設した該棒状電極方向に向けて
原料ガスを供給するごとく配設してなる堆積膜形成装
置。
【0031】9.前記円筒状基体が前記反応容器の中心
部に1基設けられ、前記棒状電極が、該円筒状基体の軸
と同軸の仮想の円筒の母線上に複数個等間隔に設けら
れ、各棒状電極にはそれぞれ1ケ以上の原料ガス導入管
が近設されていることを特徴とする上記8に記載の堆積
膜形成装置。
【0032】10.前記棒状電極が、前記反応容器の中
心部に1基設けられ、前記円筒状基体が前記反応容器中
に複数配置され、それらの軸が、仮想の円筒上の等間隔
の母線を形成し、この際該円筒の軸と前記棒状電極の軸
が一致するように配設され、かつ、1ケ以上の原料ガス
導入管が該棒状電極に近設されていることを特徴とする
上記8に記載の堆積膜形成装置。
【0033】11.前記複数の円筒状基体と同軸で、か
つ直径のより大きい仮想の円筒の母線を軸とした等間隔
の複数の棒状電極をさらに有し、各棒状電極にそれぞれ
1ケ以上の原料ガス導入管が近設されていることを特徴
とする上記10に記載の堆積膜形成装置。
【0034】12.前記複数の円筒状基体が、前記反応
容器の内部に設けられた非導電性材料で構成された円筒
状壁面の内側に配設され、該壁面と前記反応容器内壁と
の間に形成される空間にさらに複数の電極が配置されて
いることを特徴とする上記10に記載の堆積膜形成装
置。
【0035】13.前記原料ガス導入管が、前記近設し
た棒状電極と、40ないし100mm離れていることを
特徴とする上記8ないし12に記載の堆積膜形成装置。
【0036】14.前記原料ガス導入管のガス放出孔の
内径d2が0.5〜2.0mm、ガス放出孔の間隔d3
が20〜80mmの範囲であることを特徴とする上記8
ないし13に記載の堆積膜形成装置。
【0037】
【発明の実施の形態】本発明者らは、従来の堆積膜形成
装置における前述の課題を克服して、上記の本発明の目
的を達成すべく鋭意研究を行った結果、複数の原料ガス
導入管から棒状電極方向へ向けて原料ガスを供給するこ
とにより、堆積される膜質が大幅に改善され、さらには
原料ガス導入管のガス放出孔及び設置位置を最適化する
ことにより、堆積膜の膜厚、膜質ともに均一にし、画像
欠陥を抑制可能であることを見出し、本発明を完成させ
るに至った。
【0038】本発明の構成によれば、高周波電力導入手
段として、形状が棒状の電極を使用し、高周波電力とし
て50〜450MHzのVHF電力を導入し、原料ガス
導入管から隣接する棒状電極方向に向けて原料ガスを供
給することにより、棒状電極付近の電子エネルギーが高
い領域で原料ガスが分解されることにより、良質の堆積
膜を形成することが可能となる。VHFはRFに比べプ
ラズマ中での減衰が大きい。そのため活性種のエネルギ
ー分布は、電極からの距離に依存しやすいと考えられ、
棒状電極からの距離が離れるに伴い高エネルギーを備え
た活性種が得られる割合が減少する。そのため常に原料
ガスを棒状電極に供給するためには、原料ガス導入管と
隣接する棒状電極との距離が40〜100mmの範囲を
満たしながら、さらにはガス放出孔の内径が0.5〜
2.0mm、ガス放出孔の間隔が20〜80mmの範囲
を満たすことが好ましい。ここでガス放出孔は、円筒状
基体の母線方向長さ以上にわたって分布している。原料
ガス導入管と棒状電極との距離が狭いと電極表面から膜
片が剥がれ飛び、その一部が円筒状基体上に付着し球状
突起が発生する。また原料ガス導入管と棒状電極との距
離が広いと原料ガスは放射線状に拡散し棒状電極へ原料
ガスを効率よく供給することが困難となる。ガス放出孔
の内径が小さすぎると前述と同様に棒状電極表面からの
膜剥がれにより球状突起が発生するためガス放出孔の内
径は0.5mm以上が好ましい。またガス放出孔の内径
が大きすぎるとガス孔から放出した原料ガスは放射線状
に拡散してしまい棒状電極へ原料ガスを供給することが
困難となる。そのためガス放出孔の内径は2.0mm以
下が好ましい。ガス放出孔の間隔が大きいとガス放出孔
位置に応じた膜厚むらが生じ、間隔が小さいと原料ガス
導入方向に応じた膜厚むらが生じてしまう。そこでガス
放出孔の間隔は、20〜80mmの間隔を満たすことが
好ましい。
【0039】このように、本発明の堆積膜形成装置を用
いることで、堆積される膜質を大幅に向上し、球状突起
の生成を抑制し、堆積膜を均一に形成することが可能と
なる。
【0040】以下、図面を用いて本発明を詳しく説明す
る。
【0041】図1は本発明に用いることができるa−S
i系感光体製造装置の一例を示した概略図である。図1
(A)は縦断面図、図1(B)は横断面図である。
【0042】反応容器101の側面には排気口が形成さ
れ、排気口の他端は不図示の排気装置に接続されてい
る。堆積膜の形成される円筒状基体105は、回転軸1
08によって保持され、モータ109を駆動すると、減
速ギア110を介して回転軸108が回転し、円筒状基
体105は回転軸のまわりを自転するようになってい
る。また、円筒状基体105は発熱体107によって加
熱可能となっている。
【0043】本発明において使用される原料ガス導入管
106は、図1(B)において棒状電極102の径の大
きい同心円上に1対1で設置されている。この原料ガス
導入管の側壁には、図2に示すように、複数のガス放出
孔が設けられている。さらに各原料ガス導入管206は
棒状電極202と40〜100mmの範囲を満たす距離
に設置され、複数のガス放出孔は棒状電極方向202を
向いている。
【0044】本発明においては、ガス放出孔の内径d2
は0.5〜2.0mm、ガス放出孔の間隔d3が20〜
80mmの範囲を満たした原料ガス導入管206を使用
している。
【0045】原料ガス導入管106の材質としては、例
えばアルミナ、二酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化
ホウ素、ジルコン、コージェライト、ジルコンコージェ
ライト、酸化珪素、酸化ベリリウムマイカ系セラミック
ス、石英ガラス、パイレックイスガラス等が挙げられ
る。またこれらの単独で用いてもよいし、組み合わせて
もよい。
【0046】原料ガス導入管106の形状としては、特
に制限はなく、円筒状でも多角形の筒状でもよい。これ
らのうち原料ガス管表面からの膜剥がれ防止の観点か
ら、可能な限り曲面により構成されていることが好まし
い。
【0047】本発明において、円筒状基体105の軸と
同軸の仮想の円筒の母線の位置に高周波電力導入手段1
02が設置され、高周波電源104より出力された高周
波電力は、マッチングボックス103を経て電力供給路
を分岐させて複数の高周波電力導入手段102より成膜
空間内に供給される。高周波電力導入手段102の形状
としては特に制限はないが、高周波電力導入手段102
からの膜剥がれの防止の観点から、可能な限り曲面によ
り構成されていることが好ましい。
【0048】高周波電力供給手段102の表面は、膜の
密着性を向上し、膜剥がれを防止し、成膜中のダストを
抑制する目的から、粗面化されていることが望ましい。
粗面化の具体的な程度としては、2.5mmを基準とす
る10点平均粗さ(Rz)で5μm以上200μm以下
の範囲が好ましい。
【0049】さらに、膜の密着性向上の観点から、高周
波電力導入手段102の表面はセラミックス材で被覆さ
れていることが効果的である。被覆の具体的手段に特に
制限はないが、例えばCVD法、溶射等の表面コーティ
ング法により、高周波電力導入手段102の表面をコー
ティングしてもよい。コーティング法の中でも溶射は、
コスト面から、あるいはコーティング対象物の大きさ・
形状の制限を受けにくいため好ましい。具体的なセラミ
ックス材料としては、アルミナ、二酸化チタン、窒化ア
ルミニウム、窒化ホウ素、ジルコン、コージェライト、
ジルコン−コージェライト、酸化珪素、酸化ベリリウム
マイカ系セラミックス等が挙げられる。高周波電力導入
手段の表面を被覆するセラミックス材の厚さは特に制限
はないが、耐久性及び均一性を増すため、また、高周波
電力吸収量、製造コストの面から1μm〜10mmが好
ましく、10μm〜5mmがより好ましい。
【0050】また、高周波電力導入手段102に加熱ま
たは冷却手段を設けることにより、高周波電力導入手段
102表面における膜の密着性をさらに高め、より効果
的に膜剥がれの防止を達成できる。この場合、高周波電
力導入手段102を加熱するか、冷却するかは、堆積す
る膜材料、堆積条件に応じて適宜決定する。具体的な加
熱手段としては、発熱体であれば特に制限はない。具体
的にはシース状ヒーターの巻付けヒーター、板状ヒータ
ー、セラミックヒーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲン
ランプ、赤外線ランプ等の熱輻射ランプ発熱体、液体、
気体等を媒体とした熱交換手段による発熱体等が挙げら
れる。具体的な冷却手段としては、吸熱体であれば特に
制限はない。例えば、液体・気体等の冷却媒体として流
すことができる冷却コイル、冷却板、冷却筒等が挙げら
れる。
【0051】本発明において使用される円筒状基体10
5としては、導電性でも電気絶縁性であってもよい。導
電性基体としてはAl,Cr,Mo,Au,In,N
b,Te,V,Ti,Pt,Pd,Fe等の金属、及び
これらの合金、例えばステンレス等が挙げられる。ま
た、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、
セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリスチレン、ポリアミド等の合成樹脂のフィルム
またはシート、ガラス、セラミック等の電気絶縁性基体
の少なくとも光受容層を形成する側の表面を導電処理し
た基体も用いることができる。
【0052】円筒状基体105の形状は平滑表面あるい
は凹凸表面の円筒状であることができ、その厚さは、所
望通りの電子写真感光体を形成し得るように適宜決定す
るが、電子写真用感光体としての可撓性が要求される場
合には、円筒状基体としての機能が充分発揮できる範囲
内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、
円筒状基体は製造上及び取り扱い上、機械的強度等の点
から通常は10μm以上とされる。
【0053】特にレーザー光等の可干渉性光を用いて像
記録を行う場合には、可視画像において現れる、いわゆ
る干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消するた
めに、基体の表面に凹凸を設けてもよい。基体の表面に
設けられる凹凸は、特開昭60−168156号公報、
同60−178457号公報、同60−225854号
公報等に記載された公知の方法により作成される。
【0054】また、レーザー光等の可干渉光を用いた場
合の干渉縞模様による画像不良をより効果的に解消する
別の方法として、基体の表面に複数の球状痕跡窪みによ
る凹凸形状を設けてもよい。すなわち、基体の表面が電
子写真感光体に要求される解像力よりも微少な凹凸を有
し、しかもこの凹凸は、複数の球状痕跡窪みによるもの
である。基体の表面に設けられる複数の球状痕跡窪みに
よる凹凸は、特開昭61−231561号公報に記載さ
れた公知の方法により作成される。
【0055】反応容器101の形状に関しては、どのよ
うな形状のものであっても本発明の効果は得られるが、
原料ガスが分解される成膜空間が、円柱状領域に制限さ
れることが好ましい。この場合、必ずしも反応容器10
1そのものが円筒状である必要はなく、例えば、横断面
が多角形状の反応容器内に円筒状の成膜空間壁を設けて
もよい。成膜空間を円柱状領域に制限するに際しては、
円柱状成膜空間の中心軸が円筒状基体と同軸であるよう
にする。このような成膜空間壁の表面は、膜剥がれ防止
のため、高周波電力導入手段の表面と同様に、粗面化、
セラミックスによる被覆、加熱・冷却を行うことが効果
的である。
【0056】このような装置を用いた堆積膜の形成は、
例えば概略以下のようにして行われる。まず、円筒状基
体105を反応容器101内に設置し、不図示の排気装
置により排気口を通して反応容器内を排気する。続い
て、発熱体107により円筒状基体105を所定の温度
に加熱・制御する。
【0057】円筒状基体105が所定の温度となったと
ころで、原料ガス導入管106を介して、原料ガスを反
応容器101内に導入する。原料ガスの流量が設定流量
となり、また、反応容器101内の圧力が安定したのを
確認した後、高周波電源104よりマッチングボックス
103を介して棒状電極102へ所定の高周波電力を供
給する。供給された高周波電力によって、反応容器10
1内にグロー放電が生起し、原料ガスは励起解離して円
筒状基体105上に堆積膜が形成される。
【0058】本発明の堆積膜形成装置を用いて、グロー
放電法によって堆積膜を形成するには、基本的にはシリ
コン原子(Si)を供給し得るSi供給用の原料ガス
と、水素原子(H)を供給し得るH供給用の原料ガスま
たは/及びハロゲン原子(X)を供給し得るX供給用の
原料ガスを、反応容器101内に所望のガス状態で導入
して、この反応容器101内にグロー放電を生起させ、
円筒状基体105上にSi:H,Xからなる層を形成す
ればよい。
【0059】本発明において使用されるSi供給用ガス
となり得る物質としては、SiH4,Si26 ,Si3
8 ,Si410等のガス状態の、またはガス化し得
る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるものとし
て挙げられ、さらに層作成時の取り扱いやすさ、Si供
給効率のよさ等の点でSiH4 ,Si26 が好ましい
ものとして挙げられる。
【0060】そして、形成される堆積膜中に水素原子を
構造的に導入し、水素原子の導入割合の制御を一層容易
になるように、これらのガスにさらにH2 または/及び
Heあるいは水素原子を含む珪素化合物ガスも所望量混
合して層形成することが必要である。また、各ガスは単
独種のみでなく所定の混合比で複数混合しても差し支え
ないものである。
【0061】本発明において使用されるハロゲン原子供
給用の原料ガスとして有効なのは、例えばハロゲンガ
ス、ハロゲン化物、ハロゲンを含むハロゲン間化合物、
ハロゲンで置換されたシラン誘導体等のガス状のまたは
ガス化し得るハロゲン化合物が好ましく挙げられる。ま
た、さらにはシリコン原子とハロゲン原子とを構成要素
とするガス状のまたはガス化し得る、ハロゲン原子を含
む水素化珪素化合物も有効なものとして挙げることがで
きる。本発明において好適に使用し得るハロゲン化合物
としては、具体的には弗素ガス(F2 ),BrF,Cl
F,ClF3 ,BrF3 ,BrF5 ,IF3 ,IF7
のハロゲン間化合物を挙げることができる。ハロゲン原
子を含む珪素化合物、いわゆるハロゲン原子で置換され
たシラン誘導体としては、具体的には、例えばSiF
4 ,Si26 等の弗化珪素が好ましいものとして挙げ
ることができる。
【0062】堆積膜中に含有される水素原子または/及
びハロゲン原子の量を制御するには、例えば基体の温
度、水素原子または/及びハロゲン原子を含有させるた
めに使用される原料物質の反応容器101内へ導入する
量、放電電力等を制御すればよい。
【0063】本発明においては、堆積膜には必要に応じ
て伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。
伝導性を制御する原子は、堆積膜中に万遍なく均一に分
布した状態で含有されてもよいし、あるいは膜厚方向に
は不均一な分布状態で含有している部分があってもよ
い。
【0064】前記伝導性を制御する原子としては、半導
体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、
p型伝導特性を与える周期律表第III b族に属する原子
(以後「第III b族原子」と略記する)またはn型伝導
特性を与える周期律表第Vb族に属する原子(以後「第
Vb族原子)と略記する)を用いることができる。
【0065】第III b族原子としては、具体的には、硼
素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、
インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特に
B,Al,Gaが好適である。第Vb族原子としては、
具体的には燐(P)、砒素(As)、アンチモン(S
b),ビスマス(Bi)等があり、特にP,Asが好適
である。
【0066】堆積膜に含有される伝導性を制御する原子
の含有量としては、好ましくは1×10-2〜1×104
原子ppm、より好ましくは5×10-2〜5×103
子ppm、最適には1×10-1〜1×103 原子ppm
が望ましい。
【0067】伝導性を制御する原子、例えば、第III b
族原子あるいは第Vb族原子を構造的に導入するには、
層形成の際に、第III b族原子導入用の原料物質あるい
は第Vb族原子導入用の原料物質をガス状態で反応容器
中に、堆積膜を形成するための他のガスとともに導入し
てやればよい。第III b族原子導入用の原料物質あるい
は第III b族原子導入用の原料物質となり得るものとし
ては、常温常圧でガス状のまたは、少なくとも層形成条
件下で容易にガス化し得るものが採用されるのが望まし
い。そのような第III b族原子導入用の原料物質として
具体的には、硼素原子導入用としては、B26 ,B4
10,B59 ,B511,B610,B612,B6
14等の水素化硼素、BF3 ,BCl3 ,BBr3 等の
ハロゲン化硼素等が挙げられる。この他、AlCl3
GaCl3 ,Ga(CH33 ,InCl3 ,TlCl
3 等も挙げることができる。
【0068】第Vb族原子導入用の原料物質として有効
に使用されるのは、燐原子導入用としては、PH3 ,P
24 等の水素化燐、PH4 I,PF3 ,PF5 ,PC
3,PCl5 ,PBr3 ,PBr5 ,PI3 等のハロ
ゲン化燐が挙げられる。この他、AsH3 ,AsF3
AsCl3 ,AsBr3 ,AsF5 ,SbH3 ,SbF
3 ,SbF5 ,SbCl3 ,SbCl5 ,BiH3 ,B
iCl3 ,BiBr3等も第Vb族原子導入用の出発物
質の有効なものとして挙げることができる。これらの伝
導性を制御する原子導入用の原料物質を必要に応じてH
2 及び/またはHeにより希釈して使用してもよい。
【0069】本発明の目的を達成し、所望の膜特性を有
する堆積膜を形成するには、Si供給用のガスと希釈ガ
スとの混合比、反応容器内のガス圧、放電電力ならびに
基体温度を適宜設定することが必要である。希釈ガスと
して使用するH2 及び/またはHeの流量は、層設計に
したがって適宜最適範囲が選択されるが、Si供給用ガ
スに対しH2 及び/またはHeを、通常の場合1〜20
倍、好ましくは4〜15倍、最適には5〜10倍の範囲
に制御することが望ましい。
【0070】所望の膜厚の形成が行われた後、高周波電
力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して堆積
膜の形成を終える。多層構造の堆積膜を形成する場合に
は、同様の操作を複数回繰り返す。この場合、各層間に
おいては、上述したように1つの層の形成が終了した時
点で、一旦放電を完全に停止し、次層のガス流量、圧力
に設定が変更された後、再度放電を生起して次層の形成
を行ってもよいし、あるいは、1つの層の形成終了後一
定時間でガス流量、圧力、高周波電力を次層の設定値に
徐々に変化させることにより連続的に複数層を形成して
もよい。
【0071】以上の説明は図1、図2及び図3の横断面
図から明らかなように円筒基体が反応容器の中心部にあ
り、円筒基体と同心円上に複数の棒状電極が配置された
装置に関するものであったが、円筒基体と棒状電極につ
いて、この逆の配置も当然考えられる。
【0072】すなわち、図4に示すように、その横断面
図によって説明すれば、棒状電極が反応容器の中心部に
あり、その棒状電極と同心円上に、複数の円筒基体が配
置されている装置、図5、図6に示すように、図4の配
置にさらに棒状電極が、円筒基体の配置された同心円よ
りも径の大きい同心円に複数個配置されている装置、及
び図4において反応容器内に円筒基体を囲むような非導
電性材料で構成された壁を作り、その壁と反応容器との
間の空間に棒状電極を配置する図7のような構造の装置
もある。
【0073】本発明において、上記の同一円周上に設置
される円筒状基体105の数には特に制限はないが、一
般的に、円筒状基体105の数を多くするに伴って、装
置の大型化、必要とする高周波電源容量の増大をもたら
すため、これらの点を考慮して適宜決定される。
【0074】さらに本発明においては、円筒状基体を同
一円周上に配置し、円筒状基体の配置円の内部及び外部
の両方に設置した複数の棒状電極より高周波電力を供給
することにより、円筒状基体全周にわたってプラズマ密
度が均一化され膜特性の向上及び膜特性の均一性が向上
した効果を得ることができる。
【0075】図5には配置円の外部と内部に502A,
502Bからなる複数の高周波電力導入手段502が設
置されている装置が示されている。502Aは、円筒状
基体の配置円内に設置された第1の棒状電極であり、高
周波電源504Aより出力された高周波電力が、マッチ
ングボックス503Aを経て、第1の棒状電極502A
より成膜空間となる反応容器501へ供給される。50
2Bは、円筒状基体505の配置円外に設置された複数
の第2の棒状電極の一つであり、高周波電源504Bよ
り出力された高周波電力が、マッチングボックス503
Bを経て電力供給路を分岐させて複数の第2の棒状電極
502Bより成膜空間となる反応容器501へ供給され
る。
【0076】複数の高周波電力導入手段への電力の供給
は、一つの高周波電源504Bからマッチングボックス
503Bを介した後、電力供給路を分岐させて行うこと
ができる。また、例えば、一つの高周波電源から電力供
給路を分岐させた後、複数のマッチングボックスを介し
て電力供給を行ってもよく、さらには、例えば、個々の
高周波電力導入手段ごとに別個の高周波電源、マッチク
ングボックスを設けてもよいが、全ての高周波電力導入
手段から導入される高周波電力の周波数が完全に一致す
るという点、装置コストの点、装置の大きさの点から、
一つの高周波電源から全ての高周波電力導入手段に電力
供給されることが望ましい。
【0077】また本発明において、第1の棒状電極50
2A及び第2の棒状電極502Bへの高周波電力の供給
は、高周波電源504よりマッチングボックス503を
介した後、電力供給路を分岐して第1の棒状電極502
A及び第2の棒状電極502Bへ電力供給することも可
能である。しかしながら、制御性の点から、独立した2
つの高周波電源504A,504B及びマッチングボッ
クス503A,503Bを用いる等の手段により、各々
独立に電力制御可能であることが好ましい。またこの場
合、円筒状基体の配置円外に設置された第1の棒状電極
から導入される高周波電力の発振源と円筒状基体の配置
円内に設置された第2の棒状電極から導入される高周波
電力の発振源を同一とすることがさらに好ましい。
【0078】図5に示した装置においては、2つの独立
した高周波電力制御が必要となるが、この高周波電力導
入の手順は、第1の棒状電極502Aからの導入電力を
所定の値に設定した後、第2の棒状電極502Bからの
導入電力を所定の値に設定してもよいし、この逆の手順
により行ってもよい。また、第1の棒状電極502Aか
らの導入電力と第2の棒状電極502Bからの導入電力
を同時並行的に所定の値に設定してもよい。
【0079】さらに本発明において、図7に示すよう
に、原料ガスが分解される成膜空間を少なくとも一部が
非導電性材料で構成された円筒状壁面712により円柱
状領域に制限し、円柱状成膜空間の中心軸が円筒状基体
配置円の中心を通る構成とし、さらに、円筒状基体70
5の配置円外に設置された第2の電極702Bを円柱状
壁面外部に位置させることにより、原料ガスの利用効率
が向上し、同時に、形成される堆積膜中の欠陥が抑制可
能となる。具体的な非導電性材料としては、アルミナ、
二酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ジルコ
ン、コージェライト、ジルコン−コージェライト、酸化
珪素、酸化ベリリウムマイカ系セラミックス等が挙げら
れる。これらのうち、高周波電力の吸収が少ないという
点から、特にアルミナが好適である。
【0080】本発明においては、高周波電力の周波数は
特に制限はないが、発明者の実験によれば、周波数が5
0MHz未満の場合は、条件によっては放電が不安定と
なり、堆積膜の形成条件に制限が生じる場合があった。
さらに放電の不安定が原因と考えられる特性の不均一が
発生した。また450MHzより大きいと、高周波電力
の伝送特性が悪化し、場合によってグロー放電を発生さ
せること自体が困難になることもあった。さらに、伝送
特性の悪化による電力導入側と逆側での特性の不均一が
発生した。したがって50MHz〜450MHzの周波
数範囲が本発明には最適である。
【0081】高周波の波形は、いずれものもでも差し支
えないが、サイン波、矩形波等が適する。
【0082】本発明においては、堆積膜を形成するため
の基体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した
範囲が挙げられるが、これらの条件は通常は独立的に別
々に決められるものではなく、所望の特性を有する電子
写真用感光体を形成すべく相互的かつ有機的関連性に基
づいて最適値を決めるのが望ましい。
【0083】
【実施例】以下、実施例により、本発明についてさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定され
るものではない。
【0084】実施例1 図1に示した堆積膜形成装置を用い、長さ358mm、
外径φ80mmの鏡面加工を施したAl製シリンダー
(円筒状基体)上に、高周波電源の発振周波数を105
MHzとして表1に示す条件で電子写真感光体を作製し
た。
【0085】
【表1】 本例においては、図2に示すように原料ガス導入管20
6はガス放出孔の内径d2=1.0mm、ガス放出孔の
間隔d3=30mmのAl23 製を使用し、ガス放出
孔を隣接する棒状電極202方向に向け、原料ガス導入
管206と隣接する棒状電極202との距離を変化させ
た。原料ガス導入管206は、円筒状基体205を中心
として同一円周上に配置した。
【0086】このようにして作製した電子写真感光体
を、本テスト用に改造されたキャノン製の複写機NP6
750に設置し、感光体の特性評価を行った。評価項目
は、「帯電能」、「ゴーストメモリー」、「画像欠陥」
の3点とし、以下のような具体的評価方法により各項目
の評価を行った。 「帯電能」複写機の主帯電器に、一定電流を流したとき
の現像器位置での暗部表面電位を、表面電位計により測
定する。このときの値をもって、帯電能とする。したが
って、暗部電位が大きいほど帯電能が良好であることを
示す。帯電能測定は感光体母線方向全領域にわたって行
い、その中で最低暗部電位により評価した。 「ゴーストメモリー」現像器位置における暗部電位が所
定の値となるよう、主帯電器の電流値を調整した後、所
定の白紙を原稿とした際の暗部電位が所定の値となるよ
う像露光光量を調節する。この状態でキャノン製ゴース
トテストチャート(部品番号:FY9−9040)に反
射濃度1.1、直径φ5mmの黒丸を貼り付けたものを
原稿台の画像先端部に置き、その上にキャノン製中間調
チャート(部品番号:FY9−9042)を重ねて置い
た際のコピー画像において、中間調コピー上に認められ
るゴーストチャートの直径φ5mmの黒丸の反射濃度と
中間調部分の反射濃度との差を測定することにより行っ
た。したがって、数値が小さいほど良好である。ゴース
トメモリー測定は感光体母線方向全領域にわたって行
い、その中の最大反射濃度差により評価した。 「画像欠陥」キャノン製全面黒チャート(部品番号:F
Y9−9073)を原稿台に置き、コピーしたときに得
られたコピー画像の同一面積内にある直径0.2mm以
上の白点を数え、その数により評価した。したがって数
値が小さいほど良好である。
【0087】評価結果を表2に示す。表2においては、
後述する比較例1で作成したときの値を100として、
相対比較を行った。
【0088】
【表2】 表2から明らかなように、d1=40〜100mmの範
囲においてはいずれも良好な結果が得られた。
【0089】比較例1 図3に示した堆積膜形成装置を用い、実施例1と同様に
して表1に示す条件で電子写真感光体を作製した。
【0090】なお本比較例においては、原料ガス導入管
306と隣接する棒状電極302との距離d1=50m
mとし、円筒状基体305を中心として同一円周上に3
本の原料ガス導入管306を配置し、原料ガス導入管3
06の左右から原料ガスを隣接する棒状電極302方向
に向けずに供給し、電子写真感光体を作製した。原料ガ
ス導入管306は、ガス放出孔の内径d2=1.5m
m、ガス放出孔の間隔d3=200mmのAl23
を使用した。
【0091】得られた電子写真感光体について、実施例
1と同様に評価した。
【0092】実施例2 図1に示した堆積膜形成装置を用い、長さ358mm、
外径φ80mmの鏡面加工を施したAl製シリンダー
(円筒状基体)上に、高周波電源の発振周波数を105
MHzとして表1に示す条件で電子写真感光体を作製し
た。
【0093】本実施例においては、図2に示すように原
料ガス導入管206と隣接する棒状電極202との距離
d1=50mmとし、円筒状基体205を中心として同
一円周上に3本原料ガス導入管を配置し、ガス放出孔を
隣接する棒状電極203に向けた。原料ガス導入管20
6は、ガス放出孔の間隔d3=30mmのAl23
を使用し、ガス放出孔の内径d2を変化させた。
【0094】このように実施例2で作製した電子写真感
光体を、本テスト用に改造されたキャノン製複写機NP
6750に設置し、感光体の特性評価を行った。評価項
目は、「帯電能」、「ゴーストメモリー」、「画像欠
陥」の3点とし、各項目の評価を行った。
【0095】得られた結果を表3に示す。表3において
は、比較例1で作製した電子写真感光体による評価を1
00として、相対比較を行った。
【0096】
【表3】 表3から明らかなように、原料ガス導入管206におい
てガス放出孔の内径d2=0.5〜2.0の範囲で良好
な結果が得られた。
【0097】実施例3 図1に示した堆積膜形成装置を用い、長さ358mm、
外径φ80mmの鏡面加工を施したAl製シリンダー
(円筒状基体)上に、高周波電源の発振周波数を105
MHzとして表1に示す条件で電子写真感光体を作製し
た。
【0098】本実施例においては、図2に示すように原
料ガス導入管206と隣接する棒状電極202との距離
d1=50mmとし、円筒状基体205を中心として同
一円周上に3本原料ガス導入管206を配置し、ガス放
出孔を隣接する棒状電極203に向けた。原料ガス導入
管206は、ガス放出孔の内径d2=1.0mmのAl
23 製を使用し、ガス放出孔の間隔d3を変化させ
た。
【0099】このように実施例3で作製した電子写真感
光体について、「母線方向膜厚むら」、「画像濃度む
ら」の2項目を以下の評価方法で評価した。 「母線方向膜厚むら」電子写真感光体の母線方向に沿っ
て、堆積膜の膜厚で測定し、膜厚の最高値と最低値の差
により評価した。評価結果は全感光体の平均値とした。
したがって、数値の小さいほど良好である。 「画像濃度むら」電子写真装置(キャノン製 NP67
50をテスト用に改造)に電子写真感光体を設置し、現
像器位置での暗部電位が一定値となるよう主帯電器電流
を調整した後、原稿に反射濃度0.01以下の所定の白
紙を用い、現像器位置での明部電位が所定の値となるよ
う像露光光量を調節した。次いでキャノン製中間調チャ
ート(部品番号:FY9−9042)を原稿台に置き、
コピーしたとき得られたコピー画像上全領域における反
射濃度の最高値と最低値の差により評価した。評価結果
は全感光体の平均値とした。したがって、数値の小さい
ほど良好である。
【0100】評価結果を表4に示す。表4においては、
比較例1で作製した電子写真感光体による評価を100
として相対比較を行った。
【0101】
【表4】 表4から明らかなように、原料ガス導入管においてガス
放出孔の間隔d3=20〜80mmの範囲で良好な結果
が得られることがわかった。
【0102】実施例4 図1に示した堆積膜形成装置を用い、長さ358mm、
外径φ80mmの鏡面加工を施したAl製シリンダー
(円筒状基体)上に、表1に示す条件で電子写真感光体
を作製した。
【0103】本実施例においては、図2に示すように原
料ガス導入管206と隣接する棒状電極202との距離
d1=50mmとし、円筒状基体205を中心として同
一円周上に3本の原料ガス導入管206を配置した。ま
た該原料ガス導入管206は、ガス放出孔の内径d2=
1.0mm、ガス放出孔の間隔d3=30mmのAl 2
3 製を使用し、ガス放出孔を隣接する棒状電極202
方向に向けて高周波電源の発振周波数を変化させて実験
を行った。
【0104】このように作製した電子写真感光体を、本
テキスト用に改造されたキャノン製の複写機NP675
0に設置し、感光体の特性評価を行った。評価項目は、
「帯電能」、「ゴーストメモリー」の2点とし、各項目
の評価を行った。
【0105】評価結果を表5に示す。表5においては、
周波数が13.56MHzで作製した電子写真感光体に
よる評価を100として相対比較を行った。
【0106】
【表5】 表5から明らかなように、50〜450MHzの範囲に
おいていずれも良好な結果が得られた。
【0107】実施例5 図1に示した堆積膜形成装置を用い、長さ358mm、
外径φ80mmの鏡面加工を施したAlシリンダー(円
筒状基体)上に、表6に示す条件で電子写真感光体を作
製した。
【0108】
【表6】 高周波電力導入手段は、外径φ20mmのステンレス製
の棒状電極を使用した。高周波電力の周波数は105M
Hzを用いた。本実施例においては、原料ガス導入管1
06と隣接する棒状電極102との距離d1=50mm
とし、円筒状基体105を中心として同一円周上に3本
の原料ガス導入管106を配置した。また該原料ガス導
入管106は、ガス放出孔の内径d2=1.0mm、ガ
ス放出孔の間隔d3=30mmのAl23 製を使用
し、ガス放出孔を隣接する棒状電極106方向に向け
た。
【0109】得られた電子写真感光体を、実施例1で説
明した評価項目「帯電能」および「ゴーストメモリ
ー」、実施例3で説明した評価項目「画像濃度むら」の
3項目について評価し、次に述べる比較例2の電子写真
感光体の評価を100として相対比較を表7に示した。
【0110】比較例2 図3に示した堆積膜形成装置を用い、実施例5と同様に
して表6に示す条件で電子写真感光体を作製した。なお
本比較例においては、原料ガス導入管306と隣接する
棒状電極302との距離d1=50mmとし、円筒状基
体305を中心として同一円周上に3本の原料ガス導入
管306を配置し、原料ガス導入管306の左右から原
料ガスを隣接する棒状電極302方向に向けずに供給し
電子写真感光体を作製した。原料ガス導入管306は、
ガス放出孔の内径d2=1.5mm、ガス放出孔の間隔
d3=200mmのAl23 製を使用した。
【0111】
【表7】 表7から明らかなように、ガス放出孔を棒状電極へ向け
た本発明の堆積膜形成装置を用いることで、帯電能、ゴ
ーストメモリー、画像濃度むらとも良好な結果が得ら
れ、また帯電能、ゴーストメモリーの電子写真特性を大
幅に向上させることができた。
【0112】実施例6 図4に示した堆積膜形成装置を用い、長さ358mm、
外径φ80mmの鏡面加工を施したAlシリンダー(円
筒状基体)上に、表8に示す条件で電子写真感光体を作
製した。
【0113】
【表8】 高周波電力導入手段は、外径φ20mmのステンレス製
の棒状電極を使用した。高周波電力の周波数は105M
Hzを用いた。円筒状基体405は棒状電極402を中
心に同一円周上に複数本設置している。
【0114】本実施例においては、原料ガス導入管40
6と隣接する棒状電極402との距離d1=50mmと
し、円筒状基体405を中心として同一円周上に3本の
原料ガス導入管406を配置した。また該原料ガス導入
管406は、ガス放出孔の内径d2=1.0mm、ガス
放出孔の間隔d3=30mmのAl23 製を使用し、
ガス放出孔を隣接する棒状電極406方向に向けた。
【0115】得られた電子写真感光体を、実施例5と同
じ3項目ついて、次に述べる比較例3の電子写真感光体
の評価を100として、相対比較し、結果を表9に示し
た。
【0116】比較例3 図4に示した堆積膜形成装置を用い、実施例2と同様に
して表8に示す条件で電子写真感光体を作製した。ただ
し、原料ガス導入管406は、ガス放出孔の内径d2=
1.5mm、ガス放出孔の間隔d3=200mmのAl
23 製を使用し、原料ガス導入管406の左右から原
料ガスを隣接する棒状電極402方向に向けずに供給し
電子写真感光体を作製した。
【0117】
【表9】 表9から明らかなように、図4に示す本発明を用いた装
置構成を用いることで、帯電能、ゴーストメモリー、画
像濃度むらとも良好な結果が得られ、また帯電能、ゴー
ストメモリーの電子写真特性を大幅に向上させることが
できた。
【0118】実施例7 図5に示した堆積膜形成装置を用い、長さ358mm、
外径φ80mmの鏡面加工を施したAlシリンダー(円
筒状基体)上に、表10に示す条件で電子写真感光体を
作製した。
【0119】
【表10】 高周波電力導入手段は、外径φ20mmのステンレス製
の棒状電極を使用した。高周波電力の周波数は105M
Hzを用いた。原料ガス導入管506及び棒状電極50
2Aを円筒状基体505の同一円周内に配置する以外
は、同一円周外に複数の原料ガス導入管506B、棒状
電極502Bをそれぞれ同一円周上に等間隔で配置し
た。原料ガス導入管506A,Bと隣接する棒状電極5
02A,Bとの距離は全てd1=50mmに配置した。
また該原料ガス導入管506A,Bは、ガス放出孔の内
径d2=1.0mm、ガス放出孔の間隔d3=30mm
のAl 23 製を使用し、ガス放出孔を隣接する棒状電
極502A,B方向に向けた。
【0120】得られた電子写真感光体を、実施例5と同
じ3項目について、次に述べる比較例4で得られた電子
写真感光体の評価を100として、相対比較し、結果を
表11に示した。
【0121】比較例4 図5に示した堆積膜形成装置を用い、実施例7と同様に
して表10に示す条件で電子写真感光体を作製した。た
だし、原料ガス導入管506は、ガス放出孔の内径d2
=1.5mm、ガス放出孔の間隔d3=200mmのA
23 製を使用し、原料ガス導入管506の左右から
原料ガスを隣接する棒状電極502方向に向けずに供給
し電子写真感光体を作製した。
【0122】
【表11】 表11から明らかなように、図5に示す本発明を用いた
装置構成を用いることで、帯電能、ゴーストメモリー、
画像濃度むらとも良好な結果が得られ、また帯電能、ゴ
ーストメモリーの電子写真特性を大幅に向上させること
ができた。
【0123】実施例8 図6に示した堆積膜形成装置を用い、長さ358mm、
外径φ80mmの鏡面加工を施したAlシリンダー(円
筒状基体)上に、表12に示す条件で電子写真感光体を
作製した。
【0124】
【表12】 高周波電力導入手段は、外径φ20mmのステンレス製
の棒状電極を使用した。高周波電力の周波数は105M
Hzを用いた。円筒状基体の配置円内の中心に棒状電極
602A、棒状電極602Aを中心として原料ガス導入
管606Aを同一円周上に3本配置した。原料ガス導入
管606Aと隣接する棒状電極602Aとの距離はすべ
てd1=50mmに配置した。またこの原料ガス導入管
606Aは、ガス放出孔の内径d2=1.0mm、ガス
放出孔の間隔d3=30mmのAl23 製を使用し、
ガス放出孔を隣接する棒状電極602方向に向けた。
【0125】さらに本実施例では、円筒状基体の配置円
外にも複数の原料ガス導入管606B、棒状電極602
Bをそれぞれ同一円周上に等間隔で配置した。原料ガス
導入管606bと隣接する棒状電極602Bとの距離は
すべてd1=100mmに配置した。また、原料ガス導
入管606Bは、ガス放出孔の内径d2=1.0mm、
ガス放出孔の間隔d3=50mmとし、隣接する2つの
棒状電極602B方向へ原料ガスを吹き出し可能なもの
を使用した。
【0126】このようにして作製した電子写真感光体
を、実施例5と同じ3項目について、前述の比較例4で
作製した電子写真感光体の評価を100として、相対比
較を行い、結果を表13に示した。
【0127】
【表13】 表13から明らかなように、図6に示す本発明を用いた
装置構成を用いることで、帯電能、ゴーストメモリー、
画像濃度むらとも良好な結果が得られ、また帯電能、ゴ
ーストメモリーの電子写真特性を大幅に向上させること
ができた。
【0128】実施例9 図7に示した堆積膜形成装置を用い、長さ358mm、
外径φ80mmの鏡面加工を施したAlシリンダー(円
筒状基体)上に、表14に示す条件で電子写真感光体を
作製した。
【0129】
【表14】 高周波電力導入手段は、外径φ20mmのステンレス製
の棒状電極を使用した、高周波電源の周波数105MH
zを用いた。原料ガスが分解される成膜空間は、円筒状
壁面712により、円筒状基体705を内包する円柱状
領域に制限されている。その円柱状領域は、中心軸が円
筒状基体配置円の中心を通っている。円筒状壁面712
はAl23 製円筒からなっており、内面はブラスト加
工により表面粗さ2.5mmを基準長とするRzで20
μmとした。
【0130】棒状電極702Aは円筒状基体の配置円内
の中心、原料ガス導入管706Aは棒状電極702Aを
中心として同一円周上に3本配置した。原料ガス導入管
706Aと隣接する棒状電極702Aとの距離はすべて
d1=50mmに配置した。また、原料ガス導入管70
6Aは、ガス放出孔の内径d2=1.0mm、ガス放出
孔の間隔d3=30mmのAl23 製を使用し、ガス
放出孔を隣接する棒状電極702A方向に向けた。さら
に本実施例では、円筒状基体の配置円外にも複数の棒状
電極702Bをそれぞれ同一円周上に等間隔で配置し
た。
【0131】このようにして作製した電子写真感光体
を、実施例5と同じ3項目について、感光体の特性評価
を行った。評価項目は、「帯電能」、「ゴーストメモリ
ー」、「画像濃度むら」の3点とし、各項目の評価を行
った。
【0132】結果を表15に示した。表15において
は、次に述べる比較例5で作製した電子写真感光体の評
価を100として、相対比較で示した。
【0133】比較例5 図7に示した堆積膜形成装置を用い、実施例9と同様に
して表14に示す条件で電子写真感光体を作製した。た
だし、原料ガス導入管706は、ガス放出孔の内径d2
=1.5mm、ガス放出孔の間隔d3=200mmのA
23 製を使用し、原料ガス導入管706の左右から
原料ガスを隣接する棒状電極702方向に向けずに供給
し、電子写真感光体を作製した。
【0134】
【表15】表15 表15から明らかなように、図7に示す本発明を用いた
装置構成を用いることで、帯電能、ゴーストメモリー、
画像濃度むらとも良好な結果が得られ、また帯電能、ゴ
ーストメモリーの電子写真特性を大幅に向上させること
ができた。
【0135】
【発明の効果】本発明は、以上のように、堆積膜の形成
において反応容器内における原料ガス導入管のガス放出
孔を隣接する棒状電極方向へ向けて原料ガスを供給する
ことにより堆積される膜質が大幅に改善され、膜特性の
優れた堆積膜を均一にし、画像欠陥を抑制し、安定して
形成することが可能となる。また、本発明によると多様
化する電子写真感光体に対応し、容易に、かつ量産化を
行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の堆積膜形成装置の一例を示す模式図
で、(A)は縦断面図、(B)は横断面図である。
【図2】図1の1部拡大図である。
【図3】従来の堆積膜形成装置の一例を示す模式図で、
(A)は縦断面図、(B)は横断面図である。
【図4】本発明の堆積膜形成装置の一例を示す模式図
で、(A)縦断面図、(B)は横断面図である。
【図5】本発明の堆積膜形成装置の一例を示す模式図
で、(A)縦断面図、(B)は横断面図である。
【図6】本発明の堆積膜形成装置の一例を示す模式図
で、(A)縦断面図、(B)は横断面図である。
【図7】本発明の堆積膜形成装置の一例を示す模式図
で、(A)縦断面図、(B)は横断面図である。
【符号の説明】
101、201、301、401、501、601、7
01 反応容器 102、202、302、402、502A,B、60
2A,B、702A,B 電極 103、303、403、503A,B、603A,
B、703A,B マッチングボックス 104、304、404、504A,B、604A,
B、704A,B 電源 105、305、405、505、605、705
円筒状基体 106、206、306、406、506A,B、60
6A,B、706原料ガス導入管 107、307、407、507、607、707
加熱手段 108、308、408、508、608、708
基体回転軸 109、309、409、509、609、709
モーター 110、310、410、510、610、710
減速ギア 111、311、411、511、611、711
基体ホルダー 311〜316 マスフローコントローラー 321〜326 原料ガスボンベ 331〜336 原料ガスボンベバルブ 341〜346 ガス流入バルブ 351〜356 ガス流出バルブ 361〜366 圧力調整器 370 補助バルブ 380 原料ガス供給装置 712 円筒状壁面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白砂 寿康 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 村山 仁 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 田澤 大介 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 大塚 崇志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 DA23 EA25 EA30 4K029 AA27 BA35 BB10 BD08 CA00 DA05 DA06 4K030 AA06 AA10 AA17 BA30 CA02 CA16 EA05 EA06 FA03 JA18 KA15 LA17

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空気密可能な反応容器と、該反応容器
    内に基体ホルダーにより保持された円筒状基体と、該円
    筒状基体の軸方向にほぼ平行に設けられた原料ガス導入
    管と、該反応容器内に周波数が50〜450MHzの高
    周波電力を導入することにより該反応容器内にグロー放
    電を生起する高周波電力導入手段とからなる堆積膜形成
    装置を用い、該円筒状基体上に堆積膜を形成する堆積膜
    形成方法において、前記高周波電力導入手段は、前記円
    筒状基体の軸方向にほぼ平行に配置した棒状電極を使用
    し、前記原料ガス導入管から近設した該棒状電極方向に
    向けて原料ガスを供給しながら堆積膜形成を行うことを
    特徴とする堆積膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記円筒状基体が前記反応容器の中心部
    に1基設けられ、前記棒状電極が、該円筒状基体の軸と
    同軸の仮想の円筒の母線上に複数個等間隔に設けられ、
    各棒状電極にはそれぞれ1ケ以上の原料ガス導入管が近
    設されていることを特徴とする請求項1に記載の堆積膜
    形成方法。
  3. 【請求項3】 前記棒状電極が、前記反応容器の中心部
    に1基設けられ、前記円筒状基体が前記反応容器中に複
    数配置され、それらの軸が、仮想の円筒上の等間隔の母
    線を形成し、この際該円筒の軸と、該棒状電極の軸が一
    致するように配設され、かつ、1ケ以上の原料ガス導入
    管が該棒状電極に近設されていることを特徴とする請求
    項1に記載の堆積膜形成方法。
  4. 【請求項4】 前記複数の円筒状基体と同軸で、かつ直
    径のより大きい仮想の円筒の母線を軸とした等間隔の複
    数の棒状電極をさらに有し、各棒状電極にそれぞれ1ケ
    以上の原料ガス導入管が近設されていることを特徴とす
    る請求項3に記載の堆積膜形成方法。
  5. 【請求項5】 前記複数の円筒状基体が、前記反応容器
    の内部に設けられた非導電性材料で構成された円筒状壁
    面の内側に配設され、該壁面と前記反応容器内壁との間
    に形成される空間にさらに複数の電極が配置されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の堆積膜形成方法。
  6. 【請求項6】 前記原料ガス導入管が、前記近設した棒
    状電極と、40ないし100mm離れていることを特徴
    とする請求項1ないし5に記載の堆積膜形成方法。
  7. 【請求項7】 前記原料ガス導入管のガス放出孔の内径
    d2が0.5〜2.0mm、ガス放出孔の間隔d3が2
    0〜80mmの範囲であることを特徴とする請求項1な
    いし6に記載の堆積膜形成方法。
  8. 【請求項8】 真空気密可能な反応容器と、該反応容器
    内に基体ホルダーにより保持された円筒状基体と、該円
    筒状基体の軸方向にほぼ平行に設けられた原料ガス導入
    管と、該反応容器内に周波数が50〜450MHzの高
    周波電力を導入することにより該反応容器内にグロー放
    電を生起する高周波電力導入手段とからなる堆積膜形成
    装置において、前記高周波電力導入手段として、前記円
    筒状基体の軸方向にほぼ平行に棒状電極を配置し、前記
    原料ガス導入管を、近設した該棒状電極方向に向けて原
    料ガスを供給するごとく配設してなる堆積膜形成装置。
  9. 【請求項9】 前記円筒状基体が前記反応容器の中心部
    に1基設けられ、前記棒状電極が、該円筒状基体の軸と
    同軸の仮想の円筒の母線上に複数個等間隔に設けられ、
    各棒状電極にはそれぞれ1ケ以上の原料ガス導入管が近
    設されていることを特徴とする請求項8に記載の堆積膜
    形成装置。
  10. 【請求項10】 前記棒状電極が、前記反応容器の中心
    部に1基設けられ、前記円筒状基体が前記反応容器中に
    複数配置され、それらの軸が、仮想の円筒上の等間隔の
    母線を形成し、この際該円筒の軸と前記棒状電極の軸が
    一致するように配設され、かつ、1ケ以上の原料ガス導
    入管が該棒状電極に近設されていることを特徴とする請
    求項8に記載の堆積膜形成装置。
  11. 【請求項11】 前記複数の円筒状基体と同軸で、かつ
    直径のより大きい仮想の円筒の母線を軸とした等間隔の
    複数の棒状電極をさらに有し、各棒状電極にそれぞれ1
    ケ以上の原料ガス導入管が近設されていることを特徴と
    する請求項10に記載の堆積膜形成装置。
  12. 【請求項12】 前記複数の円筒状基体が、前記反応容
    器の内部に設けられた非導電性材料で構成された円筒状
    壁面の内側に配設され、該壁面と前記反応容器内壁との
    間に形成される空間にさらに複数の電極が配置されてい
    ることを特徴とする請求項10に記載の堆積膜形成装
    置。
  13. 【請求項13】 前記原料ガス導入管が、前記近設した
    棒状電極と、40ないし100mm離れていることを特
    徴とする請求項8ないし12に記載の堆積膜形成装置。
  14. 【請求項14】 前記原料ガス導入管のガス放出孔の内
    径d2が0.5〜2.0mm、ガス放出孔の間隔d3が
    20〜80mmの範囲であることを特徴とする請求項8
    ないし13に記載の堆積膜形成装置。
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