JP2001314755A - 真空処理方法及び真空処理装置 - Google Patents

真空処理方法及び真空処理装置

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JP2001314755A
JP2001314755A JP2000140677A JP2000140677A JP2001314755A JP 2001314755 A JP2001314755 A JP 2001314755A JP 2000140677 A JP2000140677 A JP 2000140677A JP 2000140677 A JP2000140677 A JP 2000140677A JP 2001314755 A JP2001314755 A JP 2001314755A
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frequency power
vacuum processing
heating
frequency
vacuum
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JP2000140677A
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English (en)
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Hitoshi Murayama
仁 村山
Tatsuyuki Aoike
達行 青池
Toshiyasu Shirasago
寿康 白砂
Kazuto Hosoi
一人 細井
Daisuke Tazawa
大介 田澤
Kazuyoshi Akiyama
和敬 秋山
Takashi Otsuka
崇志 大塚
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Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】真空処理主工程の前後の工程をも含めた総合的
検地から改善を図り、真空処理特性、製品品質および良
品率の向上を図る。 【解決手段】基体110が格納される減圧可能な反応容
器101と、第1の高周波電力を供給する成膜用高周波
電源107と、第1の高周波電力より周波数の低い第2
の高周波電力を供給する加熱用高周波電源117と、非
成膜性のガスおよび所定の原料ガスを供給するためのガ
ス供給管112とを少なくとも有する。反応容器101
内に供給された非成膜性のガス中に第2の高周波電力に
よるプラズマが生起されて被処理物が加熱されるととも
に、反応容器101内に供給された所定の原料ガス中に
第1の高周波電力によるプラズマが生起されて被処理物
に真空処理が施される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被処理物に堆積膜
形成、エッチング、改質等の工程を含む真空処理を施
す、真空処理方法および真空処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体デバイス、電子写真用感光
体、画像入力用ラインセンサー、撮像デバイス、光起電
力デバイス、その他各種エレクトロニクス素子や光学素
子などの形成に用いる真空処理方法として、真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラ
ズマエッチング法等の多数の手法が知られており、それ
らの方法を用いた装置も実用化されている。例えば、真
空処理方法の一つであるプラズマCVD法、すなわち原
料ガスを直流または高周波あるいはマイクロ波グロー放
電により分解して基板上に薄膜状の堆積膜を形成する方
法は、好適な堆積膜形成手段として実用化されており、
例えば電子写真用水素化アモルファスシリコン(以下、
「a−Si:H」と表記する。)堆積膜の形成等に利用
され、そのための装置も各種提案されている。
【0003】プラズマCVD法による堆積膜形成装置の
一例として、図2にRF帯周波数の電源を用いたRFプ
ラズマCVD法(以下、「RF−CVD」と略す。)に
よる堆積膜形成装置を示す。この堆積膜形成装置は、例
えば電子写真用光受容部材を形成する装置であって、堆
積装置2100、原料ガス供給装置2200、堆積装置
2100に備えられた反応容器2101内を減圧するた
めの排気装置(不図示)から構成されている。
【0004】反応容器2101内には、円筒状基体21
12、この円筒状基体2112を支持する、基板加熱用
ヒータが内蔵された基体支持体2113、原料ガス導入
管2114が設置されている。反応容器2101の一部
にカソード電極2111が形成されており、このカソー
ド電極2111に高周波マッチングボックス2115が
接続されている。カソード電極2111は碍子2120
によってアース電位と絶縁されており、このカソード電
極2111と、基体支持体2113を通してアース電位
に維持されたアノード電極を兼ねる円筒状基体2112
との間に高周波電圧が印加されるようになっている。
【0005】原料ガス供給装置2200は、原料ガス
(SiH4、GeH4、H2、CH4、B 26、PH3等)
を供給するボンベ2221〜2226とバルブ2231
〜2236、2241〜2246、2251〜2256
およびマスフローコントローラー2211〜2216か
ら構成されている。各ボンベ2221〜2226は、バ
ルブ2260を介して反応容器2101内のガス導入管
2114に連結されている。
【0006】この堆積膜形成装置では、以下のようにし
て堆積膜の形成が行われる。
【0007】まず、反応容器2101内に円筒状基体2
112を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポン
プ)により反応容器2101内を排気する。続いて、基
体支持体2113に内蔵された基体加熱用ヒータにより
円筒状基体2112の温度を所定の温度(200℃乃至
350℃)に維持する。
【0008】円筒状基体2112が所定の温度に維持さ
れると、次いで、堆積膜形成用の原料ガスを反応容器2
101に流入させる準備を行う。この準備では、ガスボ
ンベのバルブ2231〜2236、反応容器2101の
リークバルブ2117を閉じ、流入バルブ2241〜2
246、流出バルブ2251〜2256、補助バルブ2
260を開けた状態として、まず、メインバルブ211
8を開いて反応容器2101内およびガス配管2116
内を排気する。そして、真空計2119の値が約1×1
-3Paになった時点で補助バルブ2260、流出バル
ブ2251〜2256を閉じる。その後、バルブ223
1〜2236を開いてガスボンベ2221〜2226か
ら各ガスを導入し、圧力調整器2261〜2266にて
各ガス圧が2Kg/cm2になるように調整する。ガス
圧調整後、流入バルブ2241〜2246を徐々に開け
て各ガスをマスフローコントローラー2211〜221
6内に導入する。
【0009】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層を形成する。
【0010】円筒状基体2112が所定の温度になった
ところで、流出バルブ2251〜2256のうち必要な
ものおよび補助バルブ2260を徐々に開き、ガスボン
ベ2221〜2226から所定のガスをガス導入管21
14を介して反応容器2101内に導入する。次いで、
マスフローコントローラー2211〜2216によって
各原料ガスが所定の流量になるように調整するととも
に、真空計2119を見ながら反応容器2101内の圧
力が所定値になるようにメインバルブ2118の開口度
を調整する。
【0011】反応容器2101の内圧が安定したところ
で、周波数13.56MHzのRF電源(不図示)から
所望の電力が供給されるように設定して、反応容器21
01内にRF電力を供給する。このRF電力の供給は、
高周波マッチングボックス2115、カソード2111
を通じて行われ、円筒状基体2112がアノードとして
作用することで反応容器2101内にグロー放電が生起
される。この放電エネルギーによって反応容器2101
内に導入された原料ガスが分解され、結果、円筒状基体
2112上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜が形
成される。所望の膜厚になったところで、RF電力の供
給を止めるとともに、流出バルブを閉じて反応容器21
01内への原料ガスの流入を止めて堆積膜の形成を終え
る。
【0012】以上の操作を繰り返すことによって、所望
の多層構造の光受容層を形成することができる。なお、
各層の形成にあたっては、必要なガス以外の流出バルブ
はすべて閉じておく必要がある。また、各原料ガスが反
応容器2101内や流出バルブ2251〜2256から
反応容器2101に至る配管内に残留することを避ける
ために、流出バルブ2251〜2256を閉じ、補助バ
ルブ2260を開いた状態として、メインバルブ211
8を全開にして系内を一旦高真空に排気する操作を必要
に応じて行う。
【0013】上述した堆積膜形成装置において、層形成
を行っている間、駆動装置(不図示)によって円筒状基
体2112を所定の速度で回転させるようにすること
で、膜形成の均一化を図ることができる。また、ガスの
種類およびバルブ操作は、各層の作成条件にしたがって
変更が加えられることは言うまでもない。
【0014】以上説明したRFプラズマCVD法による
堆積膜形成装置の他、最近では、VHF帯の高周波電力
を用いたVHFプラズマCVD(以下、「VHF−PC
VD」と略記する)法が注目を浴びており、これを用い
た各種堆積膜形成装置の開発も積極的に進められてい
る。特に、VHF−PCVD法は、膜堆積速度が速く、
また高品質な堆積膜が得られるため、製品の低コスト
化、高品質化を同時に達成し得るものとして期待されて
いる。
【0015】VHF−PCVD法による堆積膜形成装置
の一例として、図3に、複数の電子写真用光受容部材を
同時に形成することができる、生産性の極めて高い堆積
膜形成装置を示す。図3(a)は概略断面図、図3
(b)は図3(a)のA−A’断面図である。
【0016】反応容器301の側面には排気管311が
一体的に設けられており、その排気管311の他端は不
図示の排気装置に連結されている。反応容器301内の
中心部にはカソード電極302が設けられており、この
カソード電極302を囲むように、堆積膜が形成される
6本の円筒状基体305が互いに平行になるように配置
される。各円筒状基体305は、それぞれ回転軸308
によって保持され、基体の内側から発熱体307によっ
て加熱されるようになっている。回転軸308の一端に
は減速ギア310が設けられており、この減速ギア31
0を介してモータ309から回転軸308へ駆動力が伝
達される。モータ309を駆動すると、回転軸308が
回転し、円筒状基体305がその母線方向中心軸のまわ
りを自転する。
【0017】原料ガス供給部312は、反応容器301
内へ原料ガスを供給する。カソード電極302は、マッ
チングボックス304を介してVHF電源303と接続
されており、VHF電源303から所定の大きさのRF
電力の供給が可能になっている。各円筒状基体305
は、回転軸308を通してアース電位に維持されてお
り、RF電力供給の際には、各円筒状基体305がアノ
ード電極として作用する。
【0018】この堆積膜形成装置では、以下のようにし
て堆積膜の形成が行われる。
【0019】まず、反応容器301内に円筒状基体30
5を設置し、排気管311を通して不図示の排気装置に
より反応容器301内を排気する。続いて、発熱体30
7により円筒状基体305を所定の温度(例えば200
〜300℃程度)に加熱して維持する。
【0020】円筒状基体305が所定の温度に維持され
たところで、原料ガス供給部312を介して反応容器3
01内に原料ガスを導入する。原料ガスの流量が設定流
量となり、反応容器301内の圧力が安定した状態とな
ったところで、高周波電源303からマッチングボック
ス304を介してカソード電極302へ所定のVHF電
力を供給する。このようにしてVHF電力が供給される
と、反応容器301内にグロー放電が生起され、その放
電エネルギーにより原料ガスが励起解離され、結果、円
筒状基体305上に堆積膜が形成される。堆積膜が所望
の膜厚になったところで、VHF電力の供給を止め、原
料ガスの供給を停止して堆積膜の形成を終える。
【0021】以上の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層を形成することができ
る。
【0022】なお、堆積膜形成中にモータ309を駆動
して円筒状基体305を所定の速度で回転させること
で、円筒状基体305の表面全周に渡って均一な堆積膜
を形成することができる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の真空処
理方法、真空処理装置によれば、良好な堆積膜形成、即
ち真空処理を行うことができる。しかしながら、真空処
理を用いる製品の品質に対する市場の要求レベルは日々
高まっており、この要求に応えるべく、より高品質の製
品が生産可能な真空処理方法、真空処理装置が求められ
るようになっている。
【0024】例えば、プラズマCVD法、プラズマCV
D装置を用いた電子写真用感光体作製の場合、電子写真
装置のコピースピード向上、装置の小型化および低価格
化等に対する市場の要求は非常に高く、それらの要求を
実現するためには、感光体特性(具体的には帯電能、感
度等)の向上、あるいは生産時の良品率向上が不可欠な
ものとなっている。また、近年その普及が目覚しいデジ
タル電子写真装置やカラー電子写真装置においては、文
字原稿のみならず、写真、絵、デザイン画等のコピーも
頻繁になされるため、感光体の光メモリー低減も従来以
上に強く求められるようになっている。このような感光
体特性の向上を目指し、電子写真用感光体の形成条件や
積層構成の最適化もなされているが、同時に、電子写真
用感光体を形成する装置および方法の改善も強く求めら
れている。
【0025】このような状況下において、真空処理方
法、真空処理装置においても、まだ改善の余地が残され
ているのが現状である。例えば、これまでの真空処理方
法や真空処理装置の改善は、膜堆積工程・改質工程等の
真空処理主工程を中心に進められており、この主工程に
先立ってなされる基板加熱等の前工程や、主工程の後に
なされる基板冷却等の後工程、あるいはそれら工程を総
合的に捉えた真空処理工程については、まだまだ改善す
べき点が多く残されている。
【0026】例えば、真空処理主工程に先立ってなされ
る基板加熱に関しては、単に基板を所定の温度に昇温す
ればよいという考え方が一般的であった。このため、基
板加熱工程における改善は、温度制御の高精度化、昇温
時間の短縮化、装置の低コスト化をいかに図るか、とい
った観点からなされたものが多く、処理特性向上という
観点からの基板加熱方法や基板加熱機構の改善、さらに
はそれら基板加熱方法、基板加熱機構と真空処理主工程
との適合性の改善についてはまだ多くの改善点が残され
ている。
【0027】このように、真空処理主工程のみならず、
その前工程、後工程を含め、総合的検地から、真空処理
方法、真空処理装置を改善し、真空処理特性の向上を図
ることは、製品の品質の向上、良品率の向上によるコス
ト低下を達成することを可能とし、現在の市場での要求
に応えていく上で必要不可欠なものとなっている。
【0028】本発明の目的は、上記課題を解決し、真空
処理主工程のみならず、その前後の工程をも含めた総合
的検地から改善を図り、真空処理特性、製品品質および
良品率の向上によるコスト低下を達成することのでき
る、真空処理方法および真空処理装置を提供することに
ある。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、真空処理主工
程に先立ってなされる基板加熱工程において、真空処理
の際に用いるプラズマ生起のための高周波電力より周波
数の低い高周波電力によりプラズマを生起して、そのプ
ラズマエネルギーにより基板を加熱することで、上記目
的を達成することが可能であるという知見を得、本発明
を完成させるに至った。
【0030】すなわち、本発明の真空処理方法は、非成
膜性のガス中に所定の周波数の高周波電力によるプラズ
マを生起させて被処理物を所定の温度まで加熱する加熱
工程と、前記加熱工程後に、所定の原料ガス中に前記高
周波電力より周波数の高い高周波電力によるプラズマを
生起させて前記被処理物に真空処理を施す真空処理工程
とを少なくとも含むことを特徴とする。
【0031】また、本発明の真空処理装置は、被処理物
が格納される減圧可能な真空格納手段と、前記真空格納
手段に第1の高周波電力および該電力より周波数の低い
第2の高周波電力を供給する高周波電力供給手段と、前
記真空格納手段内に非成膜性のガスおよび所定の原料ガ
スを供給するガス供給手段とを少なくとも有し、前記真
空格納手段内に供給された非成膜性のガス中に前記第2
の高周波電力によるプラズマが生起されて前記被処理物
が加熱されるとともに、前記真空格納手段内に供給され
た所定の原料ガス中に前記第1の高周波電力によるプラ
ズマが生起されて前記被処理物が真空処理されるように
構成されていることを特徴とする。
【0032】(作用)従来、基板の加熱源としてプラズ
マを用いる方法は、例えば特開平1-298173号公報に開示
されている。そしてその公報には、プラズマ加熱法によ
り、高精度な基板(被処理物)温度コントロールの実
現、基板(被処理物)加熱工程の時間短縮、装置の低コ
スト化、堆積膜の構造欠陥低減等のメリットが得られる
ことが示されている。しかしながら、このプラズマ加熱
に関する技術においては、基板加熱工程と真空処理主工
程を総合的に捉えた技術改善までは踏み込まれていなか
った。
【0033】本発明においては、上記の従来のプラズマ
加熱技術に加えて、さらに、基板加熱工程と真空処理主
工程を総合的に捉え、加熱時に用いる高周波電力の周波
数を真空処理時に用いる高周波電力の周波数よりも低く
するようになっている。このような本発明において、そ
の効果は概略以下のような作用によるものと推察され
る。
【0034】高周波プラズマにおいて、プラズマ電位
と、被処理物である基体、チャンバー壁等のアノードと
して作用する部分との直流的電位差(以下、「バイア
ス」と称す)は、プラズマを生起する高周波電力の周波
数によって変化し、一般にその周波数が低いほどバイア
スは大きくなる。したがって、加熱時に用いる高周波電
力の周波数を真空処理時に用いる高周波電力の周波数よ
りも低くした場合は、真空処理時よりも加熱時の方がバ
イアスが大きくなり、またアノードとして作用するチャ
ンバー壁面等へのイオンの衝突エネルギーも大きくな
る。
【0035】一方、チャンバー壁面等には、吸着水分な
どの真空処理時に不純物として混入し得る物質(不純物
源)が付着(または吸着)している場合が多い。不純物
源は、プラズマに曝されるとイオンによる衝突によって
壁面から空間中に叩き出される。その量は、衝突イオン
のエネルギー、即ちバイアスに依存し、バイアスが大き
くなるほど不純物叩き出し量は増加する。
【0036】これらのことから、加熱時に用いる高周波
電力の周波数が真空処理時の高周波電力の周波数よりも
低くなるように構成された本発明においては、不純物源
は加熱工程中にその多くが空間中に叩き出され、排気ガ
スとともに系外へ排出される。真空処理中は、加熱時に
比べてバイアスが小さく、さらには残留不純物源も減少
しているため、真空処理空間中、被処理物中への不純物
の混入が低く抑えられる。このように本発明によれば、
真空処理中の不純物混入の影響を小さくすることができ
るので、不純物の混入による真空処理特性の低下を招く
ことはないものと考えられる。
【0037】また、高周波電力の周波数を低くした場合
は、高周波電力の周波数を高くした場合と比べて、プラ
ズマの均一性を維持しながら、プラズマ生成空間の圧力
を高くすることが可能である。プラズマに曝されて昇温
した部分からのガスによる熱伝導によってプラズマに曝
されていない部分が昇温されるが、その昇温は、高圧力
の場合の方が低圧力の場合よりも大きくなる。この昇温
によっても吸着水分は壁面から離脱することになる。本
発明によれば、加熱時に用いる高周波電力の周波数は真
空処理時の高周波電力の周波数よりも低くなっているの
で、加熱時の圧力を真空処理時の圧力よりも高くするこ
とができ、これにより、加熱時に不純物の多くを排出
し、真空処理時の不純物混入を低く抑えることが可能と
なるものと考えられる。
【0038】以上のような作用により、不純物混入量を
低く抑え、良好な特性を安定して得ることが可能となる
ものと考えられる。
【0039】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0040】図1は、本発明の真空処理方法を適用する
真空処理装置の一実施形態を示す図で、(a)は概略断
面図、(b)は(a)の切断線A−A’に沿う概略断面
図である。
【0041】反応容器101は減圧可能な容器であっ
て、その容器内の中心部には基体110を支持するため
の回転軸114が設けられ、さらにこの回転軸114の
まわりに4つの高周波電極106が設けられている。こ
れら回転軸114および高周波電極106は互いに平行
に配置されている。回転軸114の一端にはギア116
が設けられており、このギア116を介してモータ11
5の駆動力が伝達され、回転軸114が回転する。
【0042】さらに、反応容器101には、加熱用ガス
および真空処理用ガスを供給するためのガス供給管11
2、外部の排気装置(不図示)と連結された排気口11
3が設けられている。ガス供給管112から反応容器1
01内に導入されたガスを、排気口113を介して排気
装置(不図示)により排気することができる。
【0043】各高周波電極106はそれぞれ電力分割用
容器102に接続されており、さらにこの電力分割用容
器102が電力切替部119を介して2系統の電力供給
ラインに接続されている。一方の電力供給ラインは、加
熱用高周波電源117と加熱用マッチングボックス11
8からなり、加熱時に高周波電力を供給する。もう一方
の電力供給ラインは、成膜用高周波電源107と成膜用
マッチングボックス108からなり、成膜時に高周波電
力を供給する。電力切替部119が、これら2系統の電
力供給ラインの切り替えを行い、電力分割用容器102
が、その電力分割用容器102によって接続された電力
供給ラインから供給される高周波電力を分割して各高周
波電極106へそれぞれ供給する。加熱用高周波電源1
17から供給される高周波電力は、成膜用高周波電源1
07から供給される高周波電力の周波数より低く設定さ
れている。
【0044】次に、この真空処理装置を用いて電子写真
感光体を形成する場合の手順について説明する。
【0045】まず、反応容器101内の回転軸114に
基体110をセットし、不図示の排気装置(例えば真空
ポンプ)を用いて排気口113より反応容器101内を
排気する。続いて、ガス供給管112から実質的に非成
膜性の加熱用ガスを反応容器101内に供給する。この
ときの反応容器101内の圧力は、排気口113と排気
装置の間に設けられた圧力調整バルブ(不図示)の開口
度を調節することにより行う。
【0046】反応容器101内に供給される加熱用ガス
の流量が設定流量となり、かつ、反応容器101内の圧
力が所定の値で安定した状態となると、続いて、電力切
替部119により加熱用高周波電源117側のラインへ
切り替えられた後、加熱用高周波電源117から高周波
電力を供給する。高周波電力は加熱用高周波電源117
から加熱用マッチングボックス118、電力切替部11
9を介して電力分割用容器102に供給され、この電力
分割用容器102にてその供給された電力が分割されて
各高周波電極106へ供給される。このとき、成膜用高
周波電源107および成膜用マッチングボックス108
は各高周波電極106と電気的に切り離されている。こ
のようにして反応容器101内に供給された高周波電力
によって、反応容器101内ではプラズマが生起され、
このプラズマのエネルギーによって基体110が加熱さ
れる。
【0047】上記の加熱の際の反応容器101内の圧
力、高周波電力、高周波電力の周波数、ガスの種類など
の条件は、基板加熱温度および加熱時間などに応じて適
宜選択すればいよい。ただし、高周波電力の周波数は真
空処理時の高周波電力の周波数よりも低く設定する必要
がある。また、反応容器101内の圧力は、真空処理中
における、プラズマに曝されない部分からの不純物の混
入を抑制する、という観点から、可能な限り高い圧力と
することが好ましいが、一般的に圧力を高くするに伴っ
てプラズマ均一性が低下することから、基体の温度が不
均一にならないように条件設定の際に注意する必要があ
る。ガスの種類に関しては、取り扱いの容易さ、コス
ト、基体へのダメージ等を考慮すると、H2、He、A
r、N2などのガスを用いることが望ましく、その場
合、2つ以上の混合ガスを用いてもよい。特に、これら
のガスのうち、H2、Heは熱伝導性に優れているた
め、真空処理中のプラズマに曝されない部分からの不純
物の混入を抑制する、という観点からこれらのガスを用
いることが特に望ましい。
【0048】基体110が所望の温度まで加熱された時
点で、高周波電力の供給を停止し、続いて加熱用ガスの
供給を停止する。その後、ガス供給管112を介して真
空処理用原料ガスを反応容器101内へ供給する。原料
ガスの流量が設定流量となり、かつ、反応容器101内
の圧力が所定の値で安定した状態となると、続いて、電
力切替部119により成膜用高周波電源107側のライ
ンへ切り替えた後、成膜用高周波電源107から高周波
電力を供給する。ライン切替が行われると、成膜用高周
波電源107から成膜用マッチングボックス108、電
力切替部119を介して電力分割用容器102に高周波
電力が供給され、さらに電力分割用容器102にてその
供給された電力が分割されて各高周波電極16へ供給さ
れる。このとき、加熱用高周波電源117および加熱用
マッチングボックス118は各高周波電極106と電気
的に切り離されている。このようにして反応容器101
内に供給された高周波電力によって、反応容器101内
の原料ガスがプラズマ化され、基体110上に堆積膜が
形成される。基体110上に形成される堆積膜が所望の
膜厚になったところで、成膜用高周波電源107からの
高周波電力の供給を停止するとともに、原料ガスの供給
を停止して堆積膜の形成を終える。
【0049】多層構造の堆積膜を形成する場合には、同
様の操作を複数回繰り返す。その場合、各層間におい
て、1つの層の形成が終了した時点で一旦放電を完全に
停止し、次層形成のためのガス流量、圧力の設定がなさ
れた後に、再度放電を生起して成膜を行うようにしても
良いし、あるいは、1つの層の形成終了後、一定時間で
ガス流量、圧力、高周波電力を次層形成のための設定値
に徐々に変化させることにより連続的に複数の層を形成
するようにしてもよい。
【0050】以上説明したように、本発明の真空処理方
法は、被処理物である基体に真空処理(成膜処理)を施
す前に、非成膜性のガス中に真空処理(成膜処理)時に
用いる高周波電力の周波数よりも低い周波数の高周波電
力によるプラズマを生起させ、そのプラズマエネルギー
により被処理物を加熱することを特徴とする。加熱時に
用いる高周波電力の周波数は、真空処理(成膜処理)時
に用いる高周波電力の周波数よりも低くなるように設定
する必要があり、特に加熱時の高周波電力としてRF帯
(1MHz〜30MHz)の高周波電力を用い、真空処
理時の高周波電力としてVHF(50MHz〜450M
Hz)の高周波電力を用いることが、より顕著な効果を
得る上で好ましい。このような高周波電力の周波数設定
がより顕著な効果をもたらす原因については、現在のと
ころ定かではないが、RF帯からVHF帯への高周波電
力の周波数変化によるプラズマバイアスの変化が顕著な
ことによると考えられる。
【0051】なお、図1に示した例では、加熱用高周波
電源と成膜用高周波電源の2つ高周波電源が設けられて
いるが、周波数可変電源を用いて、1つの電源から加熱
用高周波電力と真空処理用高周波電力を供給することも
できる。この場合、加熱時と真空処理時で高周波電力の
周波数を変えることになるが、その際、加熱時の高周波
電力の周波数が真空処理時の高周波電力の周波数よりも
低くなるように設定することはいうまでもない。
【0052】また、本発明の真空処理方法が適用される
装置は図1に示した構成に限定されるものではなく、種
々の装置に適用することができる。例えば、反応容器を
加熱ステージに設置して被処理物を加熱した後、反応容
器を加熱ステージから真空処理ステージに移して被処理
物に真空処理を施すといった装置において、加熱ステー
ジと真空処理ステージで別々に高周波電源を備えるよう
にして、それら電源の周波数を上記の範囲となるように
設定してもよい。また、加熱用容器内において被処理物
を加熱した後、被処理物を真空処理容器へ移して真空処
理を施す装置においても、各容器毎に別々に高周波電源
を備えるようにして、それら電源の周波数を上記の範囲
となるように設定してもよい。
【0053】以下、実施例により本発明をさらに詳しく
説明するが、ここに挙げる実施例の構成、手順および条
件は一例であって、本発明の範囲を制限するものではな
い。
【0054】(実施例1)本実施例では、前述の図1の
真空処理装置を用い、被処理物(基体110)に直径8
0mm、長さ358mmの円筒状アルミニウムシリンダ
ーを用いた。高周波電極106は、直径20mmのSU
S製円柱の外周部を内径21mm、外径24mmのアル
ミナ製パイプにより覆った構造とし、これを円筒状アル
ミニウムシリンダー(基体110)を取り囲むように同
一円周上に等間隔で4本配置した。アルミナ製パイプ
は、ブラスト加工により表面粗さを、2.5mmを基準
長とするRzで20μmとした。
【0055】ガス供給管112は、内径10mm、外径
13mmのアルミナ製パイプで、端部が封止され、パイ
プの所定の箇所に原料ガスを供給するための直径1.2
mmのガス噴出口が設けられ構造とした。このようなガ
ス供給管112を、円筒状アルミニウムシリンダー(基
体110)を取り囲むように同一円周上に等間隔で4本
配置した。各ガス供給管112の位置は、それぞれ高周
波電極106に対して周方向に45度ずれるようにし
た。また、各ガス供給管112の表面は、ブラスト加工
により、表面粗さを2.5mmを基準長とするRzで2
0μmとした。
【0056】加熱用高周波電源117の発振周波数を1
3.56MHz(RF帯)とし、成膜用高周波電源10
7の発振周波数を105MHz(VHF帯)として、表
1に示す加熱条件(実施例1の欄)および表2に示す成
膜条件で10ロットの電子写真用感光体を以下のように
して作製した。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】まず、基体ホルダー(不図示)に固定され
た円筒状アルミニウムシリンダー(基体110)を反応
容器101内の回転軸114に設置する。その後、不図
示の排気装置により排気口113を通して反応容器10
1内を排気する。続いて、モータ115を駆動させ、円
筒状アルミニウムシリンダー(基体110)を10rp
mの速度で回転させ、さらに、ガス供給管112により
反応容器101内に500sccmのHeを供給した
後、不図示の圧力調整バルブにより反応容器101内の
圧力を60(Pa)となるように調整する。その後、加
熱用高周波電源117側から高周波電力が供給されるよ
うに電力切替部119を切り替える。
【0060】上記のようにして基体加熱工程の準備が整
ったところで、加熱用高周波電源117の出力電力を1
000Wに設定して高周波電力の供給を開始する。この
加熱用高周波電源117からの高周波電力は、加熱用マ
ッチングボックス118、電力分割用容器106を介し
て各高周波電極106に供給され、各高周波電極106
から高周波電力が放射される。この高周波電力の放射に
より、反応容器101内にHeプラズマが生起されて円
筒状アルミニウムシリンダー(基体110)が加熱され
る。このHeプラズマによる加熱処理は、円筒状アルミ
ニウムシリンダー(基体110)の表面温度が270℃
まで昇温し、その温度で安定するまで行う。
【0061】円筒状アルミニウムシリンダー(基体11
0)の表面温度が270℃で安定したところで、加熱用
高周波電源117からの高周波電力の供給およびHeガ
スの供給を停止し、その後、反応容器101を排気口1
13を通して不図示の排気装置により排気する。続い
て、反応容器101内に表1に示した電荷注入阻止層形
成に用いる原料ガスをガス供給管112を通て導入する
と同時に、成膜用高周波電源107側から高周波電力が
供給されるように電力切替部119を切り替える。
【0062】原料ガスの流量が設定流量となり、反応容
器101内の圧力が安定したところで、成膜用高周波電
源107の出力電力を800Wに設定して高周波電力の
供給を開始する。この成膜用高周波電源107からの高
周波電力は、成膜用マッチングボックス108、電力分
割用容器106を介して各高周波電極106に供給さ
れ、各高周波電極106から高周波電力が放射される。
この高周波電力の放射により、反応容器101内の原料
ガスが励起解離し、結果、円筒状アルミニウムシリンダ
ー(基体110)表面に電荷注入阻止層が形成される。
【0063】所定の膜厚になったところで、成膜用高周
波電源107からの高周波電力の供給および原料ガスの
供給を止めて電荷注入阻止層の形成を終える。同様の操
作を複数回繰り返すことによって、光導電層、表面層を
順次形成する。
【0064】(実施例2)加熱用高周波電源117の発
振周波数を80MHz(VHF帯)とし、加熱時の圧力
を15Paとした以外は上述の実施例1と同様(表1の
加熱条件(実施例2)を参照)にして、表2の成膜条件
で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる感光体を
10ロット作製した。圧力を15Paとしたのは、プラ
ズマの均一性を維持するためである。
【0065】(比較例1)加熱用高周波電源117の発
振周波数を105MHz(VHF帯)とし、加熱時の圧
力を15Paとした以外は上述の実施例1と同様(表1
の加熱条件(比較例1)を参照)にして、表2の成膜条
件で電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる感光体
を10ロット作製した。圧力を15Paとしたのは、プ
ラズマの均一性を維持するためである。
【0066】以上の実施例1、2および比較例1で作製
されたa−Si感光体(各10本)を評価用に改造され
たキヤノン社製の複写機(NP−6750)にセットし
て、感光体の特性評価を行った。評価項目は、以下に述
べる「感度」、「残留電位」、「光メモリー」、「帯電
能」、「特性ばらつき」の5つである。
【0067】(1)感度 現像器位置での暗部電位が一定値となるように主帯電器
の電流を調整した後、原稿に反射濃度が0.1以下の白
紙を用いて、現像器位置での明部電位が所定の値となる
ように像露光光量を調整する。この際の像露光光量に基
づいて感光体を評価する。この評価では、像露光光量が
少ないほど感度が良好であることを示す。感度測定は、
感光体母線方向の全領域に渡って行うこととし、その中
の最大像露光光量により評価する。全感光体について感
度測定を行い、その平均値をとって感度評価を行う。こ
の感度評価では、その数値が小さいものほどより良好な
ものであることを示す。
【0068】(2)残留電位 現像器位置での暗部電位が一定値となるように主帯電器
の電流を調整した後、感光体表面での像露光光量が1.
5lux・secとなるよう調整する。この際の現像器位置に
おける感光体表面電位に基づいて感光体を評価する。こ
の評価では、残留電位が低いほど感光体として良好であ
ることを示す。残留電位測定は、感光体母線方向全領域
に渡って行うこととし、その中の最大残留電位により評
価する。この残留電位評価では、その数値が小さいもの
ほどより良好なものであることを示す。
【0069】(3)光メモリー 現像器位置における暗部電位が所定値となるよう主帯電
器の電流を調整した後、所定の反射濃度を有する白紙を
原稿として用いて、明部電位が所定の値となるよう像露
光光量を調整する。続いて、キヤノン社製のゴーストテ
キストチャート(部品番号:FY9−9040)に反射
濃度1.1、直径5mmの黒丸を貼り付けたものを原稿
台に置き、さらにその上にキヤノン社製の中間調チャー
トを重ねた状態でコピー画像をとり、そのコピー画像の
中間調領域において認められる上記ゴーストチャートの
直径5mmの黒丸の反射濃度と中間調部分の反射濃度と
の差を測定することにより感光体の評価を行う。この光
メモリー測定は、感光体母線方向全領域にわたって行う
こととし、その中の最大反射濃度により評価する。全感
光体について光メモリー測定を行い、その平均値をとっ
て光メモリー評価を行う。この光メモリー評価では、そ
の数値が小さいものほどより良好なものであることを示
す。
【0070】(4)特性ばらつき 上述の感度、残留電位、光メモリーの3つの評価項目に
ついて、各々の評価における全感光体の評価結果の最大
値・最小値を求めて(最大値)/(最小値)の値を求め
る。3項目のうち、この値が最大のものを特性ばらつき
の値とする。この特性ばらつき評価では、数値が小さい
ものほどより良好なものであることを示す。
【0071】以上の評価項目に基づいて、前述の実施例
1、2のものと比較例1のものとを比較評価した結果を
表3に示す。この表3の評価結果は、比較例1のものに
対して実施例1,2のものがどれだけ良化したかを示し
たものである。
【0072】
【表3】
【0073】表3の評価結果から分かるように、「感
度」、「残留電位」、「光メモリー」、「特性ばらつ
き」のいずれの項目においても、実施例1、2のものは
比較例1のものより良化されている。特に、加熱用高周
波電力の周波数をRF帯である13.56MHzとした
実施例1と比較例1の間には顕著な差が認められた。こ
のように、本発明の真空処理方法によれば、感光体の
「感度」、「残留電位」、「光メモリー」、「特性ばら
つき」の改善効果を得ることができ、特に加熱用高周波
電力の周波数をRF帯とし、成膜用高周波電力の周波数
をVHF帯とすることでより顕著な改善効果を得ること
ができる。
【0074】また、実施例1、2で作製された電子写真
感光体を用いて形成された電子写真画像は、画像流れ
(トナー流れ)等のない、極めて良質なものであった。
【0075】(実施例3)図4は、本発明の真空処理方
法を適用する真空処理装置の他の実施形態を示す図で、
(a)は概略断面図、(b)は(a)の切断線A−A’
に沿う概略断面図である。本実施例では、この図4に示
された真空処理装置を用いる。
【0076】反応容器401は減圧可能なアルミ製円筒
状容器であって、その底面には、排気装置(不図示)に
連結された排気口411が同一円周上に等間隔で3つ設
けられ、さらにガス供給装置(不図示)に連結されたガ
ス供給管412が同一円周上に等間隔で3つ設けられて
いる。反応容器401の底面にはさらに、被処理物であ
る円筒状基体405を支持するための回転軸408が同
一円周上に等間隔で6つ設けられている。これら回転軸
408は、互いに並行に配置されており、軸の一端にギ
ア410が設けられている。このギア410を介してモ
ータ409から駆動力が伝達されることにより回転軸4
08が回転し、回転軸408に支持された円筒状基体4
05がその母線方向中心軸のまわりを自転する。
【0077】反応容器401は円筒状壁面414が内包
されており、上記の排気口411、ガス供給管412お
よび回転軸408に支持された円筒状基体405がその
円筒状壁面414によって仕切られた内側の空間内に納
まるようになっている。この円筒状壁面414によって
仕切られた内側の円柱状空間が成膜空間であり、この空
間の円柱中心軸がちょうど反応容器401の中心となる
ように設けられている。円筒状壁面414の内面は、ブ
ラスト加工により表面粗さを、2.5mmを基準長とす
るRzで20μmとしてある。
【0078】反応容器401内にはさらに、直径20m
mのSUS製円柱よりなる高周波電極402が同一円周
上に等間隔で6つ設けられている。各高周波電極402
は、円筒状壁面414の外面から30mmの間隔を隔て
配置されており、円筒状壁面414によって仕切られた
外側の空間にちょうど納まるようになっている。また、
各高周波電極402はそれぞれマッチングボックス40
4を介して高周波電源403に接続されており、高周波
電極402から出力された高周波電力が各高周波電極4
02から円筒状壁面414によって仕切られた成膜空間
へ供給されるようになっている。
【0079】高周波電源403は、出力高周波電力の周
波数を可変でき、具体的には100MHz〜250MH
zの範囲で出力高周波電力の周波数を設定することがで
きる。ここでは、加熱時の高周波電源403の周波数が
150MHz(VHF帯)とされ、成膜時の高周波電源
403の周波数が250MHz(VHF帯)とされる。
【0080】反応容器401は、高周波電極402から
供給される高周波電力が容器外部へ洩れないようにシー
ルドする役目も果たす。反応容器401内に設けられた
ガス供給管412は、内径10mm、外径13mmのア
ルミ製パイプで、端部が封止され、パイプの所定の箇所
に原料ガスを供給するための直径1.2mmのガス噴出
口が設けられている。ガス供給管412の表面は、ブラ
スト加工により表面粗さを、2.5mmを基準長とする
Rzで20μmとしてある。このガス供給管412から
円筒状壁面414によって仕切られた成膜空間へ所望の
原料ガスを供給することができる。高周波電極402、
回転軸408、排気口411、ガス供給管412は互い
に並行に配置されており、それぞれの配置円の中心は反
応容器401の中心軸と一致する。
【0081】本実施例では、以上のように構成された真
空処理装置を用いて、表4に示す加熱条件(実施例3の
欄)および表5に示す成膜条件で10ロットの電子写真
用感光体を以下のようにして作製した。
【0082】まず、基体ホルダー(不図示)に固定され
た円筒状基体405を反応容器401内の回転軸408
にセットする。その後、排気装置(不図示)により排気
口411を通して円筒状壁面414で囲まれた成膜空間
を排気する。続いて、モータ409を駆動させて円筒状
基体405を10rpmの速度で回転させ、さらに、円
筒状壁面414で囲まれた成膜空間内にガス供給管41
2からH2を500sccm供給した後、不図示の圧力
調整バルブにより反応容器401内の圧力が4(Pa)
となるように調整する。その後、高周波電源403の発
振周波数を150MHzに設定する。
【0083】上記のようにして基体加熱工程の準備が整
ったところで、高周波電源403の出力電力を1200
Wに設定して高周波電力の供給を開始する。この高周波
電源403からの高周波電力は、マッチングボックス4
04を介して各高周波電極402へ供給され、各高周波
電極402から高周波電力が放射される。この高周波電
力の放射により反応容器401内にH2プラズマが生起
され、結果、円筒状基体405が加熱される。このH2
プラズマによる加熱処理は、円筒状基体405の表面温
度が260℃まで昇温し、その温度で安定するまで行
う。
【0084】円筒状基体405の表面温度が260℃で
安定したところで、高周波電源403からの高周波電力
の供給およびH2ガスの供給を停止し、その後、成膜空
間を排気口411を通して不図示の排気装置により排気
する。続いて、反応容器401内に表5に示した電荷注
入阻止層形成に用いる原料ガスをガス供給管412を通
して導入すると同時に、高周波電源403の発振周波数
を250MHzに設定する。
【0085】原料ガスの流量が設定流量となり、成膜空
間の圧力が安定したところで、高周波電源403の出力
電力を1200Wに設定して高周波電力の供給を開始す
る。この高周波電源403からの高周波電力は、マッチ
ングボックス404を介して各高周波電極402に供給
される。各高周波電極402から高周波電力が放射され
ると、反応容器401内の原料ガスが励起解離し、結
果、円筒状基体405表面に電荷注入阻止層が形成され
る。
【0086】電荷注入阻止層が所定の膜厚になったとこ
ろで、高周波電源403からの高周波電力の供給および
原料ガスの供給を止めて電荷注入阻止層の形成を終え
る。同様の操作を複数回繰り返すことによって、光導電
層、表面層を順次形成する。
【0087】(比較例2)基体加熱時における高周波電
源403の発振周波数を250MHz(VHF帯)とす
る以外は上述の実施例3と同様(表4の加熱条件(比較
例1)を参照)にして、表5の成膜条件で電荷注入阻止
層、光導電層、表面層からなる感光体を10ロット作製
した。
【0088】以上の実施例3および比較例2で作製され
たa−Si感光体(各10本)について、評価用に改造
されたキヤノン社製の複写機(NP−6030)を用い
て前述した評価項目に関する感光体の特性評価を行っ
た。以下の表6は、その評価結果を示すもので、比較例
2のものに対して実施例3のものがどれだけ良化したか
を示してある。
【0089】
【表4】
【0090】
【表5】
【0091】
【表6】
【0092】表6に示した評価結果から分かるように、
「感度」、「残留電位」、「光メモリー」、「特性ばら
つき」のいずれの項目においても、実施例3のものは比
較例2のものより良化されている。よって、実施例3の
真空処理の手順および条件によっても感光体の「感
度」、「残留電位」、「光メモリー」、「特性ばらつ
き」の改善効果を得ることができる。
【0093】また、実施例3で作製された電子写真感光
体を用いて形成された電子写真画像は、画像流れ(トナ
ー流れ)等のない、極めて良質なものであった。
【0094】(実施例4)図5は、本発明の真空処理方
法を適用する真空処理装置の他の実施形態を示す図で、
(a)は加熱ステージの概略構成図、(b)は成膜ステ
ージの概略構成図である。
【0095】図5(a)および(b)に示すように、本
実施例で用いられる真空処理装置は、反応容器部501
と、加熱ステージ510および成膜ステージ515の2
つのステージとから構成される。
【0096】反応容器部501は、減圧可能な反応容器
502が可動台車505上に設けられ、加熱ステージ5
10と成膜ステージ515の間を移動できるように構成
されている。反応容器502の所定部には、所定部に排
気バルブ503が設けられた排気配管が取り付けられて
おり、この排気配管の端部に排気接続部504が設けら
れている。
【0097】加熱ステージ510は、加熱用排気部50
6、加熱用高周波電源507、加熱用マッチングボック
ス508からなる。加熱用排気部506は、排気接続部
504を介して反応容器502に連結可能に構成されて
おり、不図示の排気装置によって反応容器502内を所
望の圧力に減圧する。加熱用高周波電源507は、被処
理物である基板を加熱する際に反応容器502に高周波
電力を供給するもので、その発振周波数は13.56M
Hz(RF帯)である。加熱用マッチングボックス50
8は電力伝送路509を介して反応容器502と接続可
能に構成されており、加熱用高周波電源507から出力
された高周波電力がこの加熱用マッチングボックス50
8を介して反応容器502内へ供給される。
【0098】成膜ステージ515は、成膜用排気部51
1、成膜用高周波電源512、成膜用マッチングボック
ス513からなる。成膜用排気部511は、排気接続部
504を介して反応容器502に連結可能に構成されて
おり、不図示の排気装置によって反応容器502内を所
望の圧力に減圧する。成膜用高周波電源512は、被処
理物である基板に対して成膜を行う際に反応容器502
に高周波電力を供給するもので、その発振周波数は27
MHz(RF帯)である。成膜用マッチングボックス5
13は電力伝送路514を介して反応容器502と接続
可能に構成されており、成膜用高周波電源512から出
力された高周波電力がこの成膜用マッチングボックス5
13を介して反応容器502内へ供給される。
【0099】図6に、反応容器502の具体的な構成例
を示す。この反応容器502は、容器の中心部に基体支
持体603を有し、この基体支持体603上にホルダー
610によって保持された円筒状基体602が設置され
る。反応容器502の一部はカソード電極605とされ
おり、このカソード電極605は碍子606によりアー
ス電位と絶縁されている。このカソード電極605と、
基体支持体603を通してアース電位に維持された、ア
ノード電極を兼ねる円筒状基体602との間で高周波電
圧の印加が可能になっている。
【0100】反応容器502内にはさらに、ガス配管6
08と連結されたガス導入管604が設けられており、
所望のガスを容器内へ導入できるようになっている。ま
た、反応容器502の所定部には排気口609が設けら
れており、この排気口609が上述の排気バルブ503
が設けられた排気配管601と連結されている。
【0101】本実施例では、以上のように構成された真
空処理装置を用いて、表7に示す加熱条件(実施例4の
欄)および表8に示す成膜条件で10ロットの電子写真
用感光体を以下のようにして作製した。
【0102】
【表7】
【0103】
【表8】
【0104】まず、ホルダー610に保持された円筒状
基体602を反応容器502内の基体支持体603上に
設置する。その後、反応容器502の排気接続部504
を加熱ステージ510の加熱用排気部506の所定の位
置に取り付けて、排気バルブ503を開いて反応容器5
02内を排気するとともに、反応容器502の電力伝送
路接続部607と電力伝送路509とを接続する。
【0105】反応容器502内が十分に排気されたとこ
ろで、反応容器502内にガス供給管604を通じてA
rを500sccmだけ導入し、さらに、不図示の圧力
調整バルブにより反応容器502内の圧力が60(P
a)となるように調整する。ガス流量、反応容器502
内の圧力が安定したところで、加熱用高周波電源507
の出力を400(W)に設定して高周波電力の供給を開
始する。加熱用高周波電源507から出力された高周波
電力は、加熱用マッチングボックス508、電力伝送路
509、電力伝送路接続部607を介してカソード電極
605に供給され、このカソード電極605から高周波
電力が放射される。この高周波電力の放射により反応容
器502内にArプラズマが生起され、結果、円筒状基
体602が加熱される。このArプラズマによる加熱処
理は、円筒状基体602の表面温度が260℃まで昇温
し、その温度で安定するまで行う。
【0106】円筒状基体602の表面温度が260℃で
安定したところで、加熱用高周波電源507からの高周
波電力の供給およびArガスの供給を停止し、その後、
排気口609を通じて反応容器502内を加熱用排気部
506により排気する。排気後、排気バルブ503を閉
じて排気接続部504を加熱用排気部506から取り外
すとともに、電力伝送路接続部607から電力伝送路5
09を取り外して反応容器502を加熱ステージから切
り離す。
【0107】続いて、反応容器502を成膜ステージ5
15へ移動し、反応容器502の排気接続部504を成
膜用排気部511の所定の位置に取り付けて、排気バル
ブ503を開いて反応容器502内を再度排気するとと
もに、反応容器502の電力伝送路接続部607と電力
伝送路514とを接続する。
【0108】上記のようにして成膜処理の準備が完了し
たとことで、反応容器502内に、表8に示した電荷注
入阻止層形成に必要な原料ガスをガス供給管604を通
じて導入し、さらに、不図示の圧力調整バルブにより反
応容器502内の圧力が46(Pa)となるように調整
する。
【0109】ガス流量、反応容器502内の圧力が安定
したところで、成膜用高周波電源512の出力を200
(W)に設定して高周波電力の供給を開始する。成膜用
高周波電源512から出力された高周波電力は、成膜用
マッチングボックス513、電力伝送路514、電力伝
送路接続部607を介してカソード電極605に供給さ
れ、このカソード電極605から高周波電力が放射され
る。この高周波電力の放射により、反応容器502内に
導入された原料ガスが解離分離され、結果、円筒状基体
602の表面に電荷注入阻止層が形成される。
【0110】所定の膜厚になったところで、成膜用高周
波電源512からの高周波電力の供給および原料ガスの
供給を止めて電荷注入阻止層の形成を終える。同様の操
作を複数回繰り返すことによって、光導電層、表面層を
順次形成する。
【0111】(比較例3)加熱用高周波電源507の発
振周波数を27MHz(RF帯)とする以外は上述の実
施例4と同様(表7の加熱条件(比較例3)を参照)に
して、表8の成膜条件で電荷注入阻止層、光導電層、表
面層からなる感光体を10ロット作製した。
【0112】以上の実施例4および比較例3で作製され
たa−Si感光体(各10本)について、評価用に改造
されたキヤノン社製の複写機(NP−6085)を用い
て前述した評価項目に関する感光体の特性評価を行っ
た。以下の表6は、その評価結果を示すもので、比較例
3のものに対して実施例4のものがどれだけ良化したか
を示してある。
【0113】
【表9】
【0114】上記の表9に示した評価結果から分かるよ
うに、「感度」、「残留電位」、「光メモリー」、「特
性ばらつき」のいずれの項目においても、実施例4のも
のは比較例3のものより良化されている。よって、実施
例4の真空処理の手順および条件によっても感光体の
「感度」、「残留電位」、「光メモリー」、「特性ばら
つき」の改善効果を得ることができる。
【0115】また、実施例4で作製された電子写真感光
体を用いて形成された電子写真画像は、画像流れ(トナ
ー流れ)等のない、極めて良質なものであった。
【0116】(実施例5)図7は、本発明の真空処理方
法を適用する真空処理装置の他の実施形態を示す図であ
る。本実施例では、この真空処理装置を用いた。この図
7に示された真空処理装置は、基体投入炉701、加熱
炉702、成膜炉703および搬送炉704からなる。
【0117】基体投入炉701は、被処理物である基体
が投入される基体投入容器705を有する。基体投入容
器705は、排気バルブ708を備える排気配管を通し
て排気装置707と連結されており、この排気装置70
7によって所望の圧力まで減圧することができる。基体
投入容器705はさらに、ゲートバルブ706を介して
搬送炉704と連結されており、その連結部を排気する
ための排気装置709が排気バルブ710を備える排気
配管を通してゲートバルブ706と連結されている。
【0118】加熱炉702は、搬送炉704から搬送さ
れてくる基体が格納される加熱容器711を有する。加
熱容器711は、排気バルブ714を備える排気配管を
通して排気装置713と連結されており、この排気装置
713によって所望の圧力まで減圧することができる。
加熱容器711はさらに、ゲートバルブ712を介して
搬送炉704と連結されており、その連結部を排気する
ための排気装置715が排気バルブ716を備える排気
配管を通してゲートバルブ712と連結されている。ま
た、この加熱容器711は、前述の図6に示した容器と
同様の構成のもので、加熱用高周波電源718から出力
された高周波電力が加熱用マッチングボックス717を
介して容器内に供給されるよになっており、容器内でプ
ラズマの生起が可能になっている。
【0119】成膜炉703は、搬送炉704から搬送さ
れてくる基体が格納される成膜容器719を有する。成
膜容器719は、排気バルブ722を備える排気配管を
通して排気装置721と連結されており、この排気装置
721によって所望の圧力まで減圧することができる。
成膜容器719はさらに、ゲートバルブ720を介して
搬送炉704と連結されており、その連結部を排気する
ための排気装置723が排気バルブ724を備える排気
配管を通してゲートバルブ720と連結されている。ま
た、この成膜容器719は、前述の図6に示した容器と
同様の構成のもので、成膜用高周波電源726から出力
された高周波電力が成膜用マッチングボックス725を
介して容器内に供給されるよになっており、容器内でプ
ラズマの生起が可能になっている。
【0120】搬送炉704は、搬送容器727とゲート
バルブ728からなり、基体投入炉701、加熱炉70
2、成膜炉703との間を移動することができる。ゲー
トバルブ728は、基体投入炉701、加熱炉702、
成膜炉703の各炉のゲートバルブ706、712、7
20と連結可能で、このゲートバルブ728を通して任
意の炉に基体を搬送することができる。
【0121】本実施例では、以上のように構成された真
空処理装置を用いて、表10に示す加熱条件(実施例5
の欄)および表11に示す成膜条件で10ロットの電子
写真用感光体を以下のようにして作製した。なお、被処
理物の基体としては、直径80mm、長さ358mmの
円筒状アルミニウムシリンダーを用いた。
【0122】
【表10】
【0123】
【表11】
【0124】まず、ホルダーに保持された円筒状基体を
基体投入容器705内に設置し、排気バルブ708を開
いて排気装置707により基体投入容器705内を排気
する。この排気処理の際、ゲートバルブ706および排
気バルブ710は閉じておく。
【0125】基体投入容器705内が真空排気されたと
ころで、搬送炉704を基体投入炉701上へ移動し、
ゲートバルブ728を基体投入炉701のゲートバルブ
706と連結させる。この際、搬送容器727内は、排
気装置(不図示)により真空排気されているものとす
る。
【0126】ゲートバルブ706、728が連結される
と、続いて排気バルブ710を開いて排気装置709に
よりそれらのゲートバルブ706、728の間の連結部
を真空排気する。続いて、排気バルブ708、710を
閉じた後、ゲートバルブ706、728を開いて、ホル
ダーに保持された円筒状基体を基体投入容器705内か
ら搬送容器727内へ移動する。円筒状基体を搬送容器
727内に格納した後、ゲートバルブ706、728を
閉じ、搬送炉704と基体投入炉701との連結を解除
する。
【0127】続いて、加熱炉702の排気バルブ714
を開いて加熱容器711内を排気装置713により真空
排気する。その後、内部に円筒状基体が格納された搬送
炉704を加熱炉702上へ移動し、ゲートバルブ72
8を加熱炉702のゲートバルブ712と連結させる。
連結後、排気バルブ716を開いて排気装置715によ
りそれらのゲートバルブ712、728の間の連結部を
真空排気する。続いて、排気バルブ714、716を閉
じた後、ゲートバルブ712、728を開いて、ホルダ
ーに保持された円筒状基体を搬送容器727内から加熱
容器711内へ移動する。円筒状基体を加熱容器711
内に格納した後、ゲートバルブ712、728を閉じ、
搬送炉704と加熱炉702との連結を解除する。
【0128】連結解除後、排気バルブ714を開いて排
気装置713により加熱容器711内を排気する。加熱
容器711内が十分に排気されたところで、排気バルブ
714を閉じて、不図示のガス供給管を通して加熱用の
2ガスを加熱容器711内に導入し、さらに、不図示
の圧力調整バルブにより加熱容器711内の圧力が60
(Pa)となるように調整する。
【0129】ガス流量、加熱容器711内の圧力が安定
したところで、加熱用高周波電源718の出力を500
(W)に設定して高周波電力の供給を開始する。加熱用
高周波電源718から出力された高周波電力は、加熱用
マッチングボックス717を介して加熱容器711内へ
供給されて放射される。この高周波電力の放射により加
熱容器711内にN2プラズマが生起され、結果、円筒
状基体が加熱される。このN2プラズマによる加熱処理
は、円筒状基体の表面温度が260℃まで昇温し、その
温度で安定するまで行う。
【0130】円筒状基体の表面温度が260℃で安定し
たところで、加熱用高周波電源718からの高周波電力
の供給およびN2ガスの供給を停止し、その後、排気バ
ルブ714を開いて加熱容器711内を排気装置713
により真空排気する。真空排気されたところで、搬送炉
704を加熱炉702上へ移動して、再びゲートバルブ
728を加熱炉702のゲートバルブ712と連結させ
た後、排気バルブ716を開いて排気装置715により
それらのゲートバルブ712、728の間の連結部を真
空排気する。続いて、排気バルブ714、716を閉じ
た後、ゲートバルブ712、728を開いて、ホルダー
に保持された円筒状基体を加熱容器711内から搬送容
器727内へ移動する。円筒状基体を搬送容器727内
に格納した後、ゲートバルブ712、728を閉じ、搬
送炉704と加熱炉702との連結を解除する。
【0131】続いて、成膜炉702の排気バルブ722
を開いて成膜容器719内を排気装置721により真空
排気する。その後、内部に円筒状基体が格納された搬送
炉704を成膜炉703上へ移動し、ゲートバルブ72
8を成膜炉703のゲートバルブ720と連結させる。
連結後、排気バルブ724を開いて排気装置723によ
りそれらのゲートバルブ720、728の間の連結部を
真空排気する。続いて、排気バルブ722、724を閉
じた後、ゲートバルブ720、728を開いて、ホルダ
ーに保持された円筒状基体を搬送容器727内から成膜
容器719内へ移動する。円筒状基体を成膜容器719
内に格納した後、ゲートバルブ720、728を閉じ、
搬送炉704と成膜炉703との連結を解除する。
【0132】連結解除後、排気バルブ722を開いて排
気装置721により成膜容器719内を排気する。成膜
容器719内が十分に排気されたところで、排気バルブ
722を閉じて、表11に示した電荷注入阻止層形成に
必要な原料ガスを不図示のガス供給管を通じて成膜容器
719内へ導入し、さらに、不図示の圧力調整バルブに
より成膜容器719内の圧力が70(Pa)となるよう
に調整する。
【0133】ガス流量、成膜容器719内の圧力が安定
したところで、成膜用高周波電源726の出力を100
(W)に設定して高周波電力の供給を開始する。成膜用
高周波電源726から出力された高周波電力は、成膜用
マッチングボックス725を介して成膜容器719内へ
供給されて放射される。この高周波電力の放射により成
膜容器719内にプラズマが生起されて容器内の原料ガ
スが解離分離され、結果、円筒状基体の表面に電荷注入
阻止層が形成される。所定の膜厚になったところで、成
膜用高周波電源726からの高周波電力の供給および原
料ガスの供給を止めて電荷注入阻止層の形成を終える。
同様の操作を複数回繰り返すことによって、光導電層
(第一層領域、変化領域、第二層領域)、表面層を順次
形成する。その際の成膜条件は、表11に示すとおりで
ある。
【0134】(比較例4)加熱用高周波電源718の発
振周波数を27MHz(RF帯)とする以外は上述の実
施例5と同様(表10の加熱条件(比較例4)を参照)
にして、表11の成膜条件で電荷注入阻止層、光導電層
(第一層領域、変化領域、第二層領域)、表面層からな
る感光体を10ロット作製した。
【0135】以上の実施例5および比較例4で作製され
たa−Si感光体(各10本)について、評価用に改造
されたキヤノン社製の複写機(NP−6750)を用い
て前述した評価項目に関する感光体の特性評価を行っ
た。以下の表12は、その評価結果を示すもので、比較
例3のものに対して実施例4のものがどれだけ良化した
かを示してある。
【0136】
【表12】
【0137】上記の表12に示した評価結果から分かる
ように、「残留電位」および「光メモリー」において実
施例5と比較例4の間に明確な差が認められ、本発明の
効果が確認された。
【0138】また、実施例5で作製された電子写真感光
体を用いて形成された電子写真画像は、画像流れ(トナ
ー流れ)等のない、極めて良質なものであった。
【0139】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
真空処理時の不純物の混入を低減することができるの
で、大幅な真空処理特性の向上を図ることができるとと
もに、真空処理特性のばらつき低減による良品率の向上
を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の真空処理方法を適用する真空処理装置
の一実施形態を示す図で、(a)は概略断面図、(b)
は(a)の切断線A−A’に沿う概略断面図である。
【図2】従来のプラズマCVD法による堆積膜形成装置
の一例を示す構成図である。
【図3】従来のVHF−PCVD法による堆積膜形成装
置の一例を示す構成図である。
【図4】本発明の真空処理方法を適用する真空処理装置
の他の実施形態を示す図で、(a)は概略断面図、
(b)は(a)の切断線A−A’に沿う概略断面図であ
る。
【図5】本発明の真空処理方法を適用する真空処理装置
の他の実施形態を示す図で、(a)は加熱ステージの概
略構成図、(b)は成膜ステージの概略構成図である。
【図6】図5に示す反応容器の具体的な構成を示す図で
ある。
【図7】本発明の真空処理方法を適用する真空処理装置
の他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
101、301、401、502、2111 反応容器 102 電力分割用容器 106、303、402 高周波電極 107、512、726 成膜用高周波電源 108、513、725 成膜用マッチングボックス 110、405 基体 112、412 ガス供給管 113、411、609 排気口 114、308、408 回転軸 115、309、409 モータ 116 ギア 117、507、718 加熱用高周波電源 118、508、717 加熱用マッチングボックス 302、605 カソード電極 304、404、2115 マッチングボックス 305、2112 円筒状基体 307 発熱体 310、401 減速ギア 311、601 排気管 312 原料ガス供給部 403 高周波電源 414、602 円筒状壁面 501 反応容器部 503、708、710、714、716、722、7
24 排気バルブ 504 排気接続部 505 可動台車 506 加熱用排気部 509 電力伝送路 510 加熱ステージ 511 成膜用排気部 514 電力伝送路 515 成膜ステージ 603 基体支持体 604、2114 原料ガス導入管 606 碍子 607 電力伝送路接続部 608 ガス配管 610 ホルダー 701 基体投入炉 702 加熱炉 703 成膜炉 704 搬送炉 705 基体投入容器 706、712、720 ゲートバルブ 707、709、713、715、721、723 排
気装置 711 加熱容器 719 成膜容器 2100 堆積装置 2113 支持体加熱用ヒータ 2116 原料ガス配管 2117 反応容器リークバルブ 2118 メイン排気バルブ 2119 真空計 2200 原料ガス供給装置 2211〜2216 マスフローコントローラー 2221〜2226 原料ガスボンベ 2231〜2236 原料ガスボンベバルブ 2241〜2246 ガス流入バルブ 2251〜2256 ガス流入バルブ 2261〜2266 圧力調整器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05H 1/46 H05H 1/46 L (72)発明者 白砂 寿康 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 細井 一人 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 田澤 大介 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 秋山 和敬 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 大塚 崇志 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 DA00 EA24 4G075 AA24 BC04 BC06 CA02 CA16 CA25 CA47 CA65 CA66 EB01 EB41 ED01 FB02 FC20 4K030 AA06 AA10 AA17 BA30 CA02 CA16 DA02 FA03 JA09 JA18 KA30 LA17 5F045 AA08 AB04 AC01 AD06 AE17 AE19 AF10 BB08 CA16 DP25 DP28 EB09 EE14 EF03 EF08 EF11 EH04 EH08 EH19 EK01 HA25

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非成膜性のガス中に所定の周波数の高周
    波電力によるプラズマを生起させて被処理物を所定の温
    度まで加熱する加熱工程と、 前記加熱工程後に、所定の原料ガス中に前記高周波電力
    より周波数の高い高周波電力によるプラズマを生起させ
    て前記被処理物に真空処理を施す真空処理工程とを少な
    くとも含むことを特徴とする真空処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の真空処理方法におい
    て、 前記加熱工程で用いられる高周波電力の周波数がRF帯
    であり、前記真空処理工程で用いられる高周波電力の周
    波数がVHF帯であることを特徴とする真空処理方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の真空処理方法
    において、 前記加熱工程で用いられる非成膜性のガスが、H2、H
    e、Ar、N2のいずれかのガスまたはこれらのうちの
    2つ以上の混合ガスであることを特徴とする真空処理方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1から3のいずれか1項に記載の
    真空処理方法において、 前記真空処理工程のプラズマ生起を所定の圧力で行い、
    前記加熱工程のプラズマ生起を前記真空処理工程におけ
    るプラズマ生起の圧力より高い圧力で行うことを特徴と
    する真空処理方法。
  5. 【請求項5】 被処理物が格納される減圧可能な真空格
    納手段と、 前記真空格納手段に第1の高周波電力および該電力より
    周波数の低い第2の高周波電力を供給する高周波電力供
    給手段と、 前記真空格納手段内に非成膜性のガスおよび所定の原料
    ガスを供給するガス供給手段とを少なくとも有し、 前記真空格納手段内に供給された非成膜性のガス中に前
    記第2の高周波電力によるプラズマが生起されて前記被
    処理物が加熱されるとともに、前記真空格納手段内に供
    給された所定の原料ガス中に前記第1の高周波電力によ
    るプラズマが生起されて前記被処理物が真空処理される
    ように構成されていることを特徴とする真空処理装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の真空処理装置におい
    て、 前記第1の高周波電力の周波数がVHF帯であり、前記
    第2の高周波電力の周波数がRF帯であることを特徴と
    する真空処理装置。
  7. 【請求項7】 請求項5または6に記載の真空処理装置
    において、 前記第1の高周波電力による真空処理が行われる真空処
    理ステージと、 前記第2の高周波電力による加熱が行われる加熱ステー
    ジとを有し、 前記真空格納手段が前記加熱ステージおよび真空処理ス
    テージに脱着可能に構成されていることを特徴とする真
    空処理装置。
  8. 【請求項8】 請求項5または6に記載の真空処理装置
    において、 前記真空格納手段は、前記第1の高周波電力による真空
    処理が行われる真空容器と、前記第2の高周波電力によ
    る加熱が行われる加熱容器とからなり、これら容器間で
    前記被処理物の移送が可能に構成されていることを特徴
    とする真空処理装置。
  9. 【請求項9】 請求項5または6に記載の真空処理装置
    において、 前記高周波電力供給手段が周波数可変電源であることを
    特徴とする真空処理装置。
  10. 【請求項10】 請求項5または6に記載の真空処理装
    置において、 前記高周波電力供給手段は、第1の高周波電力を供給す
    る第1の高周波電源と、第2の高周波電力を供給する第
    2の高周波電源とを備えることを特徴とする真空処理装
    置。
  11. 【請求項11】 請求項5または6に記載の真空処理装
    置において、 前記真空格納手段は、円筒状壁面が内包された円筒状容
    器よりなり、円筒状壁面によって仕切られた内側の空間
    内で前記加熱および真空処理が行われるように構成され
    ていることを特徴とする真空処理装置。
  12. 【請求項12】 請求項5から11のいずれか1項に記
    載の真空処理装置において、 前記非成膜性のガスが、H2、He、Ar、N2のいずれ
    かのガスまたはこれらのうちの2つ以上の混合ガスであ
    ることを特徴とする真空処理装置。
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JP (1) JP2001314755A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102489165B1 (ko) * 2022-06-24 2023-01-18 한정훈 유해가스 처리용 가열장치

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KR102489165B1 (ko) * 2022-06-24 2023-01-18 한정훈 유해가스 처리용 가열장치

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