JP2003024772A - プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置およびプラズマ処理方法

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JP2003024772A
JP2003024772A JP2001213824A JP2001213824A JP2003024772A JP 2003024772 A JP2003024772 A JP 2003024772A JP 2001213824 A JP2001213824 A JP 2001213824A JP 2001213824 A JP2001213824 A JP 2001213824A JP 2003024772 A JP2003024772 A JP 2003024772A
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power
frequency
plasma processing
high frequency
processing apparatus
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JP2001213824A
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English (en)
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Nobufumi Tsuchida
伸史 土田
Daisuke Tazawa
大介 田澤
Yukihiro Abe
幸裕 阿部
Kazuyoshi Akiyama
和敬 秋山
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大面積の基体上に、膜厚、膜質共に極めて均
一な高品質の堆積膜を高速で形成する。 【解決手段】 反応容器101内に設けられた高周波電
極102の一端側には、高周波電源103、111がマ
ッチングボックス104、112を介してそれぞれ接続
され、他端側には、接地している整合回路が接続されて
いる。各高周波電源103、111からは、異なる周波
数のVHF電力がマッチングボックス104、112を
経て高周波電極102に同時に供給される。この際、周
波数の組み合わせに応じて定在波の節位置を高周波電極
102上全領域においてずらし、節の重なりが起こらな
いように整合回路106により適切に調整しておく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高周波電力によって
生起されたプラズマを用いた堆積膜形成、エッチング
等、半導体デバイス、電子写真用感光体、画像入力用ラ
インセンサ、撮影デバイス、光起電力デバイス等の形成
に用いるプラズマ処理装置、プラズマ処理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体デバイス、電子写真用感光
体、画像入力用ラインセンサ、撮影デバイス、光起電力
デバイス、その他各種エレクトロニクス素子、光学素子
等の形成に用いる真空処理方法として、プラズマCVD
法、イオンプレーティング法、プラズマエッチング法
等、高周波電力によって生起されたプラズマを用いた方
法が多数知られており、そのための装置も実用に付され
ている。
【0003】例えばプラズマCVD法、すなわち、原料
ガスを高周波グロー放電により分解し、基板上に薄膜状
の堆積膜を形成する方法は好適な堆積膜形成手段として
実用化されており、例えば電子写真用水素化アモルファ
スシリコン(以下、「a−Si:H」と表記する)堆積
膜の形成等に利用され、そのための装置も各種提案され
ている。
【0004】このような堆積膜の形成装置および形成方
法は概略以下のようなものである。
【0005】図8は電源としてRF帯の周波数を用いた
RFプラズマCVD法(以後「RF−PCVD」と略記
する)による堆積膜形成装置、具体的には電子写真用光
受容部材の形成装置の一例を示す模式的な構成図であ
る。図8に示す形成装置の構成は以下の通りである。
【0006】この装置は大別すると、堆積装置210
0、原料ガスの供給装置2200、反応容器2101内
を減圧にするための排気装置(図示せず)から構成され
ている。堆積装置2100中の反応容器2101内には
円筒状基体2112、基体加熱用ヒータを内蔵した基体
支持体2113、原料ガス導入管2114が設置され、
さらに高周波マッチングボックス2115が反応容器2
101の一部を構成する高周波電極2111に接続され
ている。カソード電極2111は碍子2120によりア
ース電位と絶縁され、基体支持体2113を通してアー
ス電位に維持されアノード電極を兼ねた円筒状基体21
12との間に高周波電圧が印加可能となっている。
【0007】原料ガス供給装置2200は、SiH4
GeH4、H2、CH4、B26、PH 3等の原料ガスのボ
ンベ2221〜2226とバルブ2231〜2236、
2241〜2246、2251〜2256およびマスフ
ローコントローラ2211〜2216から構成され、各
原料ガスのボンベはバルブ2260介して反応容器21
01内のガス導入管2114に接続されている。
【0008】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行なうことができる。
【0009】まず、反応容器2101内に円筒状基体2
112を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポン
プ)により反応容器2101内を排気する。続いて、基
体支持体2113に内蔵された基体加熱用ヒータにより
円筒状基体2112の温度を200℃ないし350℃の
所定の温度に制御する。
【0010】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器210
1に流入させるには、ガスボンベのバルブ2231〜2
236、反応容器のリークバルブ2117が閉じられて
いることを確認し、また、流入バルブ2241〜224
6、流出バルブ2251〜2256、補助バルブ226
0が開かれていることを確認して、まずメインバルブ2
118を開いて反応容器2101およびガス配管内21
16を排気する。
【0011】次に真空計2119の読みが約1×10-1
Pa以下になった時点で補助バルブ2260、流出バル
ブ2251〜2256を閉じる。
【0012】その後、ガスボンベ2221〜2226よ
り各ガスをバルブ2231〜2236を開いて導入し、
圧力調整器2261〜2266により各ガス圧を約0.
2MPaに調整する。次に、流入バルブ2241〜22
46を徐々に開けて、各ガスをマスフローコントローラ
2211〜2216内に導入する。
【0013】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層の形成を行う。
【0014】円筒状基体2112が所定の温度になった
ところで流出バルブ2251〜2256のうちの必要な
ものおよび補助バルブ2260を徐々に開き、ガスボン
ベ2221〜2226から所定のガスをガス導入管21
14を介して反応容器2101内に導入する。次にマス
フローコントローラ2211〜2216によって各原料
ガスが所定の流量になるように調整する。その際、反応
容器2101内の圧力が所定の値になるように真空計2
119を見ながらメインバルブ2118の開口を調整す
る。内圧が安定したところで、周波数13.56MHz
のRF電源(不図示)を所望の電力に設定して、高周波
マッチングボックス2115、カソード2111を通じ
て反応容器2101内にRF電力を導入し、円筒状基体
2112をアノードとして作用させてグロー放電を生起
させる。この放電エネルギによって反応容器内に導入さ
れた原料ガスが分解され、円筒状基体2112上に所定
のシリコンを主成分とする堆積膜が形成されるところと
なる。所望の膜厚の形成が行われた後、RF電力の供給
を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの流入を
止め、堆積膜の形成を終える。
【0015】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0016】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うま
でもなく、また、それぞれのガスが反応容器2101
内、流出バルブ2251〜2256から反応容器210
1に至る配管内に残留することを避けるために、流出バ
ルブ2251〜2256を閉じ、補助バルブ2260を
開き、さらにメインバルブ2118を全開にして系内を
一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行う。
【0017】膜形成の均一化を図るために、層形成を行
なっている間は、円筒状基体2112を駆動装置(不図
示)によって所定の速度で回転させることも有効であ
る。
【0018】さらに、上述のガス種およびバルブ操作は
各々の層の作成条件にしたがって変更が加えられること
は言うまでもない。
【0019】このような、上記従来のRF帯の周波数を
用いたRFプラズマCVD法による堆積膜形成装置、形
成方法に加え、近年、VHF帯の高周波電力を用いたV
HFプラズマCVD(以後「VHF−PCVD」と略記
する)法が注目を浴びており、これを用いた各種堆積膜
形成の開発も積極的に進められている。これはVHF−
PCVD法では膜堆積速度が速く、また高品質な堆積膜
が得られるため、製品の低コスト化、高品質化を同時に
達成し得るものと期待されるためである。例えば特開平
6−287760号公報にはa−Si系電子写真用光受
容部材形成に用いうる装置および方法が開示されてい
る。また、複数の電子写真用光受容部材を同時に形成で
き、生産性の極めて高い図9に示すような堆積膜形成装
置の開発も進められている。
【0020】図9(a)は概略断面図、図9(b)は図
9(a)の切断線A−A’に沿う概略断面図である。反
応容器301の下部には排気管309が接続されてお
り、排気管309の他端は不図示の排気装置に接続され
ている。反応容器301の中心部を取り囲むように、堆
積膜の形成される6本の円筒状基体305が互いに平行
になるように配置されている。各円筒状基体305は回
転機構308によって保持され、発熱体307によって
加熱されるようになっている。回転機構308によっ
て、円筒状基体305はその母線方向中心軸のまわりを
自転可能なようになっている。
【0021】反応容器301内には原料ガスが原料ガス
供給手段310により供給される。VHF電力はVHF
電源303よりマッチングボックス304を経て高周波
電極302より反応容器301内に供給される。この
際、回転機構308を通してアース電位に維持された円
筒状基体305がアノード電極として作用する。また、
反応容器301外に出ている高周波電極302はアース
シールド306によって覆われている。
【0022】このような装置を用いた堆積膜形成は概略
以下のような手順により行なうことができる。
【0023】まず、反応容器301内に円筒状基体30
5を設置し、不図示の排気装置により排気管309を通
して反応容器301内を排気する。続いて、発熱体30
7により円筒状基体305を200℃〜300℃程度の
所定の温度に加熱・制御する。
【0024】円筒状基体305が所定の温度となったと
ころで、原料ガス供給手段310を介して、原料ガスを
反応容器301内に導入する。原料ガスの流量が設定流
量となり、また、反応容器301内の圧力が安定したの
を確認した後、高周波電源303よりマッチングボック
ス304を介して高周波電極302へ所定のVHF電力
を供給する。これにより、反応容器301内にVHF電
力が導入され、反応容器301内にグロー放電が生起
し、原料ガスは励起解離して円筒状基体305上に堆積
膜が形成される。
【0025】所望の膜厚の形成が行なわれた後、VHF
電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して堆
積膜の形成を終える。同様の操作を複数回繰り返すこと
によって、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0026】堆積膜形成中、円筒状基体305を回転機
構308により所定の速度で回転させることにより、円
筒状基体表面全周に渡って均一な堆積膜が形成される。
【0027】一方、特開昭60−160620号公報に
は、10MHz以上の高周波電力と1MHz以下の低周
波電力を同一電極に供給することにより、高いエッチン
グ速度とすぐれた残留物除去が達成できるプラズマリア
クタ装置が開示されている。さらに、特開平10−16
8575号公報には、高周波電力導入手段の両端部に静
電容量を調節する手段を備えることで、高周波電力の放
射を均一化し、画像濃度ムラの発生をおさえ、きわめて
高品質な感光体を生産効率よく、安価に形成する装置・
方法が開示されている。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法および
装置により、良好な堆積膜形成、すなわちプラズマ処理
がなされる。しかしながら、このようなプラズマ処理方
法、プラズマ処理装置を用いた製品に対する市場の要求
レベルは日々高まっており、この要求に応えるべく、よ
り高品質の製品が低コストで生産可能なプラズマ処理方
法、プラズマ処理装置が求められるようになっている。
【0029】例えば、電子写真用感光体の場合、電子写
真装置のプロセススピード向上、装置の小型化、低価格
化等の市場の要求は非常に高くなっている。また、近年
その普及が目覚しいデジタル電子写真装置やカラー電子
写真装置においては、文字原稿のみならず、写真、絵、
デザイン画等のコピーも頻繁になされるため、コピー画
像の濃度むら低減に対する要求レベルは非常に高まって
おり、大面積の基体上に膜厚、膜質共に均一な膜を形成
することが求められている。
【0030】このような特性向上を目指した技術的検討
は、さまざまな面からなされているが、その中でも電子
写真用感光体特性の均一性向上は不可避の課題であり、
その課題解決のため、プラズマ処理特性の均一性向上が
実現可能な電子写真用感光体形成装置、電子写真用感光
体形成方法の実現が強く求められている。
【0031】このようなプラズマ処理特性の均一性向上
に対する要求は、上述した電子写真用感光体のように、
製品個々が大面積である場合に限ったものではなく、製
品個々の面積が比較的小さい場合においても、例えば生
産コストの低減といった観点から強く求められているも
のである。これは、生産性向上のため複数の被処理物を
同時に真空処理する場合、真空処理特性の不均一性によ
って、同一ロット内でも被処理物ごとに処理特性が異な
ってしまい、要求レベルの処理特性が得られない被処理
物が生じてしまう結果、生産時の良品率を低下させてし
まうためである。
【0032】このように、プラズマ処理特性の均一性向
上が可能なプラズマ処理装置、プラズマ処理方法は、製
品の特性向上のみならず、生産コストの低減といった観
点からも強く求められている。
【0033】このような状況下において、プラズマ処理
方法、半導体装置の製造方法においても、未だ改善の余
地が残されているのが現状である。
【0034】すでに述べたように、VHF帯、あるいは
その近傍の周波数の高周波電力を用いてプラズマを生成
し真空処理を施すことにより、真空処理速度の向上、真
空処理特性の向上が達成可能であり、鋭意研究がなされ
ている。しかしながら、このような周波数帯の高周波電
力を用いた場合、真空処理容器中での高周波電力の波長
が真空処理容器、高周波電極、基板、あるいは基板ホル
ダー等と同程度の長さとなり、真空処理容器中で高周波
電力が定在波を形成してしまう。この定在波によって真
空処理容器中では場所ごとに電力の強弱が生じ、プラズ
マ特性が異なってしまう。この結果、真空処理特性の均
一性を広い範囲で得ることは難しかった。
【0035】このような問題を解決するための手段とし
て、複数の異なる周波数の高周波電力を反応容器中に同
時に供給することが考えられる。これによって、反応容
器中には各々の周波数に応じた、異なる波長の定在波が
複数形成されることとなるが、これらは同時に供給され
ているので、これら複数の定在波が合成され、結果とし
て明確な定在波が形成されなくなる。このような考えに
基づけば、異なる複数の高周波電力の周波数はどのよう
な値であっても定在波抑制効果は得られる。
【0036】しかし、本発明者らがある処理条件におい
て複数の異なる周波数の高周波電力を反応容器中に同時
に供給して実験を行ったところ、周波数の組み合わせに
よっては定在波抑制効果が得られないために処理特性の
均一性を広い範囲で得られず、近年要求されている均一
性レベルを得ることが難しい場合があった。
【0037】そこで、本発明は上記課題の解決を目的と
するものである。すなわち、反応容器中に被処理物を設
置し、該反応容器中に供給した原料ガスを高周波電力に
より分解してプラズマを形成し、該被処理物に処理を施
すプラズマ処理装置および方法において、処理速度の向
上、処理特性の向上を達成し、さらには処理特性の均一
性を極めて高いレベルとし、また、処理コストの低減が
可能なプラズマ処理装置および方法を提供することにあ
る。
【0038】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成すべく鋭意検討を行った結果、同一電極に複数の高
周波電力を供給し、電極の高周波電力給電点とは反対側
の先端部に整合回路を介して接地する手段を設け、その
整合回路のインピーダンスを適切に調整した際に均一化
効果が顕著に向上することを見出した。そして、処理速
度の向上、処理特性の向上、処理特性の均一性向上、処
理コストの低減が同時に実現可能であることを見出し、
本発明を完成させるに至った。
【0039】すなわち、本発明は、減圧可能な反応容器
内の被処理物支持手段に被処理物を設置し、反応容器中
に導入したガスを分解してプラズマを形成し、被処理物
を処理するプラズマ処理装置において、それぞれ周波数
が異なる複数の高周波電力が印加される、少なくとも1
つの高周波電極と、高周波電極の一端側に電気的に接続
されているインピーダンス整合手段と、高周波電極の他
端側に電気的に接続され、かつ、接地している整合回路
とを有し、複数の高周波電力が、インピーダンス整合手
段を介して、同一の高周波電極に略同時に印加されるこ
とを特徴とする。
【0040】このような本発明によれば、高い処理速度
を維持しながら、処理特性の向上、処理コストの低減を
実現し、同時に処理特性の均一性を著しく向上させるこ
とが可能である。
【0041】本発明者らは、2種類の高周波電力を供給
できるように図9に示した装置に高周波電源311、マ
ッチングボックス312を取り付けた図5に示した装置
を用い、ある処理条件において異なる周波数の高周波電
力を反応容器中に同時に供給する実験を行った。その結
果、組み合わせる周波数によっては近年要求されている
均一性レベルを広い範囲で得られない場合があった。こ
の原因としては、本発明者らは以下のように考えた。
【0042】図6及び図7はあるプラズマ処理条件にお
いて周波数を変化させた時に生じる高周波電極上の定在
波を示したものであり、縦軸は電界強度、横軸は高周波
電極先端部を0とした軸方向位置を表している。そし
て、図6(a)、図7(a)は高周波電極先端部を開放
端にした場合、図6(b)、図7(b)は高周波電極先
端部を閉端にした場合を示している。
【0043】図5に示した装置においては高周波電極の
先端部は開放端になっており、例えば周波数105MH
zと70MHzでは図6(a)に示すように、図中の横
軸の範囲内では節の重なりが現れていない。一方、例え
ば周波数105MHzと63MHzでは図7(a)に示
すように、図中の横軸の範囲内で節の重なりが現れる。
すなわち、図中の横軸の範囲内で処理が行われると、周
波数105MHzと63MHzでは節の重なりが現れ、
この節の部分に起因して真空処理容器中では場所ごとに
電力の強弱が生じ、プラズマ特性が異なってしまう。こ
の結果、近年要求されている均一性レベルを広い範囲で
得られない場合が生じる。
【0044】一方、高周波電極先端部を閉端にした場
合、105MHzと63MHzでは図7(b)に示すよ
うに、図中の横軸の範囲内では節の重なりが現れていな
い。そして、周波数105MHzと70MHzでは、図
6(b)に示すように、図中の横軸の範囲内で節の重な
りが現れる。
【0045】以上のことから、ある周波数の組み合わせ
で節の重なりが現れていても、高周波電極先端部の位相
を変化させれば、節の重なりが現れないようにできるこ
とが分かる。すなわち、高周波電極の先端部で、周波数
の組み合わせに応じて節の重なりが起こらないように高
周波電力の位相を変化させれば近年要求されている均一
性レベルを被処理物のより広い範囲で得られると考え
た。そこで、本発明者らは高周波電極における高周波電
力給電点の反対側の先端部に整合回路を介して接地する
手段を設け、該整合回路のインピーダンスを適切に調整
して高周波電力の位相を変化させ、周波数の組み合わせ
に応じて定在波の節位置を高周波電極上全領域において
ずらし、節の重なりが起こらないようにして被処理物を
処理したところ、近年要求されている均一性レベルを被
処理物のより広い範囲で得られることが明らかとなり、
周波数の組み合わせの選択自由度が向上できることが分
かった。そしてその結果、プラズマ状態の質を適切に変
化させることができる範囲を広げることが可能になった
り、より整合性が取り易い周波数を選択できるといった
メリットが得られる場合もある。
【0046】なお、高周波電極上における高周波電力の
波長は、たとえば周知のプローブ法を用いて知ることが
できる。具体的には、まず、反応容器中にプローブを挿
入した状態でプラズマを生成する。この際、高周波電力
は単一の周波数とする。この状態でプローブ位置を反応
容器中の高周波電極上付近で移動し、反応容器中の電子
密度、電子温度の分布を測定する。プラズマ生成条件
が、供給する高周波電力の増加に伴って電子密度が増加
するいわゆるパワーリミット条件の場合には、電子密度
において高周波電力定在波に応じた分布が測定される。
電子密度が最も低いところが定在波の節位置に相当し、
電子密度が最も高いところが定在波の腹位置に相当す
る。この定在波の節位置、腹位置から定在波の波長が求
められ、その波長を2倍することによって供給した高周
波電力の高周波電極上における波長を知ることができ
る。プラズマ生成条件が、供給する原料ガス量の増加に
伴って電子密度が増加するいわゆるフローリミット条件
の場合には、電子温度において高周波電力定在波に応じ
た分布が測定される。電子温度の最も低いところが定在
波の節位置に相当し、電子温度が最も高いところが定在
波の腹位置に相当する。この定在波の節位置、腹位置か
ら定在波の波長が求められ、その波長を2倍することに
よって供給した高周波電力の高周波電極上における波長
を知ることができる。
【0047】このような反応容器中での高周波電力の波
長を知る手段としては、プローブ法のほかにもマイクロ
波法、光計測法等、周知のプラズマ診断法を用いること
も可能である。また、何らかの理由によって、これらプ
ラズマ診断法によって、明確な定在波節位置、腹位置が
特定できない場合には、プラズマ診断によって得られた
プラズマ特性から、数値計算によって反応容器中での高
周波電力の波長を知ることが可能である。
【0048】また、本発明においては、このような真空
処理容器中への高周波電力の供給は、同一電極から行う
必要がある。各々異なった周波数の高周波電力を各々別
の電極から供給した場合、電極上では電極ごとに供給高
周波電力の周波数に依存した波長の定在波が生じてしま
う。この結果、電極近傍のプラズマ特性は、この定在波
に応じた分布形状をもってしまい、生成活性種の種類・
比率や、電極に入射するイオンのエネルギが位置によっ
て異なってしまうため、電極上および/または電極付近
に付着する膜の構造が電極上の定在波に依存して異なっ
てしまう。このため、膜構造そのもの、あるいは、近傍
膜との内部応力の違いに起因して、それらの付着膜が剥
れやすい部分が生じ、剥れた膜が被処理物上に付着して
欠陥を生じやすくなってしまう。
【0049】本発明では、このような問題を回避するた
めに、周波数の異なる複数の高周波電力を同一電極に供
給する。このようにすることにより、電極上においても
定在波は抑制され、上述したような問題が効果的に抑制
される。
【0050】また、本発明においては、定在波抑制効果
が得られさえすれば、用いる高周波電力の周波数の種類
に関しては特に制限されるものではないが、一定の周波
数範囲の高周波電力を一定の電力値割合で組み合わせた
場合に最適となり、特に、第1の高周波電力と第2の高
周波電力は、速い堆積速度を期待できる周波数範囲で、
しかも共に同一の活性種を生成できる関係にある周波数
範囲であり、それらの電力バランスを適切に設定される
ことが最も望ましい。
【0051】そしてさらに適切な周波数と電力値を持っ
た第3、第4の高周波電力を重ねることで、場合によっ
てはさらに定在波抑制効果を高めたり、他の効果(たと
えばバイアス効果)を得ることも可能である。しかし本
発明の基本的な考え方、作用を示す上で、まず2つの異
なる周波数を用いた場合から以下で説明する。
【0052】具体的には、第1、第2の高周波電力の望
ましい周波数(第1の高周波電力の周波数f1、第2の
高周波電力の周波数f2、f2<f1)については、下限
としては10MHz以上、より好ましくは30MHz以
上の範囲とすることで、堆積速度の点で好ましい。一
方、上限としては250MHz以下にすることで重畳効
果が有効に得られるため、好ましい。これは、250M
Hzより大きくすると、電力の進行方向での減衰が顕著
となり、異なる周波数の高周波電力との減衰率のずれが
顕著となってしまい、十分な均一化効果が得られなくな
ってしまうためである。
【0053】2つの高周波電力の電力値の割合の範囲に
関しては、第1の高周波電力の電力値をP1、第2の高
周波電力の電力値をP2とすると、2つの高周波電力の
合計の電力値(P1+P2)に対するP2の値が、0.
1以上0.9以下が望ましい。つまり、P2の割合が小
さくなると、P1のみの場合に近づき、定在波抑制効果
は小さくなる。逆にP2の割合が大きくなりすぎると、
同様にP2単独の場合に近くなり、効果が小さくなる。
実験的事実から、少なくとも一方の高周波電力が、2つ
の合計電力に対して10%以上にすることで、定在波抑
制効果が顕著に得られることが判った。また、さらに好
ましくはP2/(P1+P2)を0.2以上0.7以下
にすることが最も望ましいことも実験から明らかとなっ
た。
【0054】以上のように2つの高周波電力を組み合わ
せた場合に本発明の効果は十分に得られるが、さらに第
3の高周波電力を組み合わせることも可能である。第3
の高周波電力の範囲としては、第1、第2の高周波電力
が適切な範囲に設定されている限りにおいては特に限定
はないが、以下のように考えることができる。
【0055】第3の高周波電力(電力P3、周波数f3
とする)が、10MHz以上250MHz以下の範囲に
ある場合には、第1の高周波電力(P1、f1)、第2
の高周波電力(P2、f2)を組合わせた場合と同様の
メカニズムが期待できる。このとき、P1〜P3の中
で、電力値の上位2つをP1、P2と再定義すれば、P
3は最も電力値が低いことになる。この場合には、P3
によるマッチング不整合が起こりにくく、かつP3によ
る定在波抑制効果が加わるため、P1、P2を組合わせ
た際よりもさらにムラが抑制される場合があり、好まし
い。
【0056】一方、例えば真空処理中のバイアス効果を
高めるために、本発明の範囲外、例えば数十kHz〜数
百kHz程度の周波数の高周波電力を同時に供給しても
よい。このように、さらなる電力を供給する場合には、
その電力を加えることで真空処理特性の均一性が損なわ
れない程度の電力とする必要がある。
【0057】また、本発明においては、必要に応じて真
空処理中に複数の異なる周波数の高周波電力の比率を変
化させることで、より顕著な効果を得ることができる。
特に、同一基体に長時間の真空処理を実施する場合、例
えば膜厚の大きな堆積膜形成を実施する場合等において
は、基体への堆積膜の形成と共に、電極表面や、基体支
持手段表面に膜が堆積する等の要因により、処理の経過
と共に定在波を抑制するための高周波電力の電力比の最
適条件が変化することが考えられる、よって、必要に応
じて真空処理中に電力比を変化させることが好ましい。
また、複数の層領域を形成する積層デバイスの場合に
は、層領域によって必要とされる機能が異なるため、必
然的に層領域の組成が異なり、そのために層領域によっ
て均一性と膜質とを両立する高周波電力の電力比の最適
条件が異なることが考えられる。よって、必要に応じて
真空処理中に電力比を変化させることが好ましい。
【0058】また、本発明においては、反応容器内に導
入される総電力値を大きくすることができ、十分な定在
波抑制効果を維持した状態で、堆積膜形成速度および堆
積膜の品質をさらに向上させることが可能となるため、
複数の異なる周波数の高周波電力を一旦合成した後に分
岐し、複数のプラズマ発生用電極に印加することが好ま
しい。
【0059】また、本発明においては、各高周波電極へ
の電力分岐が均一化し、各高周波電極から放出される高
周波電力も均一となり真空処理の均一性を向上すること
が可能となり、さらには真空処理装置のコストを削減で
きると共に、装置のメンテナンス性、および、操作性向
上が可能となるため、複数の異なる周波数の高周波電力
を一旦合成した後に分岐して複数の電極各々に印加する
手段が平板状の電力分岐板であることが好ましい。
【0060】また、本発明においては、電力分岐板の主
面の面積は真空処理特性の均一性、安定性の面から電力
分岐板に接続される複数の高周波電極の接続点を全て内
包できる最小の凸多角形の面積以上、かつ、複数の電極
の接続点を全て内包できる最小円面積の1.21倍以下
の範囲にすることが好ましい。
【0061】また、本発明においては、電力分岐板の厚
さ方向への伝送の影響や機械的、熱的強度を保持するこ
とを考慮して、電力分岐板の厚さは、電力分岐板に接続
される全ての高周波電極の給電部を内包できる最小円の
直径に対し、0.2〜10%であることが好ましい。
【0062】また、本発明においては、電力分岐板の材
質として、ある程度抵抗値の低い金属材料が好ましく、
また、機械的、熱的強度、さらに作業性、装置作製時の
加工性、コスト面の点からも、アルミニウム、ステンレ
ス、銅、真鍮のうち少なくとも一つを主材料とすること
が好ましい。
【0063】また、本発明においては、電力分岐板上の
高周波電力の伝播が等方的になり安定させるために、高
周波電源から電力分岐板に高周波電力を印加する給電点
は電力分岐板のほぼ中心とすることが望ましい。さら
に、電力分岐板の形状が対称性のある形であるほど、高
周波電力が給電点から安定して伝播するので電力分岐板
の形状は円形、または、正多角形であることが真空処理
特性の均一化に効果的である。また、給電点から各高周
波電極までの伝送経路のインピーダンスが等価になり、
各高周波電極への分岐均一性が向上すると考えられるの
で、高周波電極の接続位置は、給電点を中心とした同一
円周上等間隔な位置であることが望ましい。
【0064】また、本発明においては、高周波電力を分
岐した後、複数の高周波電極各々の給電側に配置したイ
ンピーダンス補助整合手段を介して、複数の高周波電極
に印加することで、より顕著な定在波抑制効果を得るこ
とができ好ましい。その理由は定かではないが、以下の
ように考えている。
【0065】異なる周波数の高周波電力を一旦合成した
後に、複数の電極に分割して高周波電力を印加する場
合、必然的に高周波電力の分岐点と各電極間の伝送経路
が長くなり、その間のL成分による高周波電力の減衰が
より大きくなると考えられる。その結果、周波数によっ
て高周波電力の減衰率が異なるために、減衰率のずれの
影響が顕著となる場合があり、十分な定在波抑制効果が
得られない場合があると考えられる。しかし、高周波電
極の各々の給電点側にインピーダンス補助整合手段を配
置することによって、L成分をキャンセルすることがで
き、その結果、より顕著な定在波抑制効果を得ることが
できると考えている。
【0066】また、本発明に使用するインピーダンス補
助整合手段としては、インピーダンス可変のLC回路ま
たは容量固定のコンデンサの何れを使用してもよいが、
取り扱いが簡易な点を考慮すると容量固定のコンデンサ
を用いた方が便利である。
【0067】また、本発明においては、真空処理が堆積
膜形成である場合に特に顕著な効果を得ることが可能で
ある。本発明においては、反応容器内の全領域の電界分
布を均一化するため、堆積膜が付着する全領域にわたっ
て局所的な膜構造の変化が効果的に抑制される。この結
果、内部応力の局所的変化に起因する膜剥れが効果的に
抑制され、剥れた膜が被処理物上へ付着することによっ
て生じる被処理物上の欠陥が大幅に低減されるからであ
る。
【0068】また、本発明においては、真空処理方法が
電子写真感光体形成の場合に、より効果的である。電子
写真用感光体は大面積の堆積膜形成が必要であり、さら
にその全領域にわたって構造欠陥が存在しない必要があ
る。一方、電子写真用感光体形成では一般的に数十μm
もの厚さの堆積膜形成を行うため、真空処理装置容器壁
面への膜付着が多く、壁面付着膜の膜剥れを生じやす
い。さらには、構造欠陥が生じた場合、電子写真用感光
体では他のデバイスのように、構造欠陥の存在する部分
のみを不良として扱い、他の領域は良品として扱うとい
ったことができず、大面積にわたって形成した全堆積膜
が不良となってしまう。このため、電子写真用感光体形
成においては、構造欠陥が生じた際のコストへの影響は
非常に高く、本発明によって構造欠陥をも効果的に抑制
することは生産コスト低減の上で極めて効果的となる。
【0069】また、本発明においては、被処理物が棒状
のプラズマ発生用高周波電極から高周波電力を真空処理
容器中に供給することでより顕著な効果を得ることがで
きる。このような実質的に一次元として扱うことが可能
な電極形状においては、電力が進行方向に対して横方向
に回り込むことが実質的にないので、横方向への回りこ
みによる二次的な定在波が生じず、顕著な効果が得られ
るのではないかと推察している。
【0070】また、本発明においては、複数のプラズマ
発生用高周波電極が、少なくとも一部分を誘電体部材で
構成された反応容器の外に設置することでより顕著な効
果を得ることができる。その理由は定かではないが、以
下のように考えている。
【0071】複数のプラズマ発生用電極が真空処理空間
内部にある場合、ある電極の周囲の真空処理空間には、
基体以外にも、他の電極やアースシールドとなる反応容
器外壁等の導電性部材が必然的に存在することになる。
そのため、複数の異なる周波数の高周波電力を電極に印
加する場合、高周波電力の周波数の違いによって、反応
容器内でのプラズマの広がり方に違いが生じ、プラズマ
に空間的なむらが生じる場合があると考えられる。その
ために十分な定在波抑制効果が得られないのではないか
と考えられる。しかし、高周波電極を反応容器の外に設
置することにより、真空処理空間における導電性部材を
極力減らすことができ、その結果、プラズマの空間的な
むらを発生させることなく、顕著な効果が得られるので
はないかと推察している。
【0072】また、本発明においては、プラズマ発生用
高周波電極を一つの場合は反応容器の中央に複数の場合
は、同一円周上に配置することで、より顕著な効果を得
ることができる。その理由は定かではないが、電極が一
つの場合は反応容器の中央に配置することで複数の被処
理物への距離を極力等しくすることができるため本発明
の効果を顕著にすることができるのではないかと推察し
ている。また、電極が複数の場合、同一円周上に配置す
ることにより、高周波電力の分岐点から各々の高周波電
極の距離を極力等しくすることができる。それにより、
ある特定の電極に極端に偏って電力が分岐することがな
いため、異常放電なく総電力を大きくした場合において
も本発明の効果を顕著にすることができるのではないか
と推察している。
【0073】また、プラズマ発生用高周波電極のプラズ
マへの寄与を均一にすることを考慮すると、反応容器を
円筒状にすることが好ましい。さらに、プラズマ発生用
高周波電極が複数の場合は、反応容器と同一の中心軸で
ある円周上に各々のプラズマ発生用高周波電極を等間隔
で配置することがより好ましい。
【0074】また、本発明においては、生産性の面で基
体支持手段を複数設置してもよい。ただし、複数の基体
支持手段を設置する場合においては、各々のプラズマ発
生用高周波電極と各々の基体支持手段が、反応容器と同
一の中心軸である円周上にそれぞれ等間隔に配置される
ことでより顕著な効果を得ることができる。さらに、反
応容器を円筒状にすることがより好ましい。これは、基
体支持手段、反応容器、プラズマ発生用高周波電極の位
置関係を極力対称とすることにより、それぞれの基体支
持手段上において同様の定在波抑制効果を得ることがで
きるためと推察される。
【0075】また、本発明においては、被処理物が円筒
状の場合により顕著な効果を得ることができる。これ
は、被処理物が円筒状、または円柱状の場合、被処理物
上の高周波電力の反射端は被処理物の両端に限定される
ことによるものと推測される。多くの反射端が存在し、
それに応じた多くの定在波が生じる場合に比べ、定在波
の腹での電界強度が高く、他の周波数の電力によって生
じる定在波の節、すなわち電界強度の低い部分を効果的
に補うことが可能となるためと推測される。
【0076】また、本発明においては、電極上を含め反
応容器内の全領域の電界分布を均一化するため、従来の
ように、原料ガスに分布を持たせて反応容器内の電界分
布の不均一を補うというような手法をとる必要がなく、
原料ガス導入手段の数を極力減らすことが可能となる。
よって、装置コストおよび取り扱い性の面を考慮する
と、反応容器内へのガス導入手段の数は一つであること
がより好ましい。ただし、ガス導入手段を一つにした場
合においては、反応容器内のガス分布と基体支持手段、
反応容器、プラズマ発生用高周波電極の位置関係を極力
対称とすることにより、より顕著な本発明の効果が得ら
れると推察されるため、ガス導入手段は反応容器中央に
配置することがより好ましい。
【0077】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0078】図1は本発明に用いることができるa−S
i系感光体製造装置の一例を示した概略図である。図1
(a)は概略断面図、図1(b)は図1(a)の切断線
A−A’に沿う概略断面図である。反応容器101の底
面には排気管109が一体的に形成され、排気管109
の他端は不図示の排気装置に接続されている。反応容器
101の中心部を取り囲むように、堆積膜の形成される
6本の円筒状基体105が互いに平行になるように配置
されている。各円筒状基体105は回転軸機構108に
よって保持され、発熱体107によって加熱されるよう
になっている。回転軸機構108を駆動すると、円筒状
基体105がその母線方向中心軸のまわりを自転するよ
うになっている。
【0079】反応容器101内には原料ガスが原料ガス
供給手段110より供給される。また、二つのVHF帯
の高周波電源103、111より異なる周波数のVHF
電力がマッチングボックス104、112を経て高周波
電極102に同時に供給され、高周波電極102より反
応容器101内にそれら高周波電力が供給される。この
際、周波数の組み合わせに応じて定在波の節位置を高周
波電極102上全領域においてずらし、節の重なりが起
こらないように整合回路106により適切に調整してお
く。
【0080】整合回路106は静電容量および/または
インダクタンスを変化させて定在波の節位置を高周波電
極上全領域においてずらし、節の重なりが起こらないよ
うに位相制御することが可能であれば特に制限はない。
簡単には単に容量固定のコンデンサ、例えばセラミック
スコンデンサ等一般に市販されているコンデンサやセラ
ッミクス等の絶縁部材を挟んでアースに接続するように
しても本発明の効果は得ることは可能であるが、様々な
処理条件に迅速に対応するためには可変コンデンサ、可
変コイル、可変直列LC回路、可変並列LC回路を用い
た方が好適である。
【0081】また、この際、回転軸機構108を通して
アース電位に維持された円筒状基体105はアノード電
極として作用する。
【0082】高周波電源103、111は各々の電力
値、周波数をそれぞれP1、f1、P2、f2としたと
き、10MHz≦f2<f1≦250MHzであり、か
つ、P1、P2の関係が0.1≦P2/(P1+P2)
≦0.9であることを満たすことが可能である電源を用
いる。
【0083】なお、図1においては、上記範囲を満たす
二つの異なる周波数の高周波電力を出力可能な二つの電
源を用いているが、本発明においては二つ以上の異なる
周波数の高周波電力が供給可能であればよく、高周波電
源が三つ以上であってもよい。また、あらかじめ複数の
周波数を合成した高周波電力が出力可能な電源を用いた
場合には、電源の数は一つであってもかまわない。しか
し、各々の高周波電源に各々インピーダンス整合手段を
設ける方が、複数の周波数を合成した高周波電力が出力
可能な電源一つに一つのインピーダンス整合手段を設け
るよりも出力の安定性を考慮すると好ましい。いずれに
しても、少なくとも二つの異なる周波数の高周波電力を
同一電極に供給可能な構成であればよい。三つ以上の異
なる周波数の高周波電力を用いる場合には、少なくとも
以下の条件(a)〜(c)を全て満たす2つの高周波電
力を含むことで本発明の効果は得られる。
【0084】すなわち、2つの高周波電力の電力値、周
波数をそれぞれP1、f1、P2、f2としたとき、 (a)10MHz≦f2<f1≦250MHzである。
【0085】(b)P1、P2が、上記(a)の周波数
範囲における電力値の上位2つである。
【0086】(c)P1、P2の関係が0.1≦P2/
(P1+P2)≦0.9である。とすることが可能な構
成とする。
【0087】高周波電極102の表面は、膜の密着性を
向上し、膜剥れを防止し、成膜中のダストを抑制する目
的から、粗面化されていることが望ましい。粗面化の具
体的な程度としては、2.5mmを基準とする10点平
均粗さ(Rz)で5μm以上200μm以下の範囲が好
ましい。
【0088】さらに、膜の密着性向上の観点から、高周
波電極102の表面はセラミックス材で被覆されている
ことが効果的である。被覆の具体的手段に特に制限はな
いが、例えばCVD法、溶射等の表面コーティング法に
より、表面をコーティングしてもよい。コーティング法
の中でも溶射は、コスト面から、あるいはコーティング
対象物の大きさ・形状の制限を受けにくいため好まし
い。具体的なセラミックス材料としては、アルミナ、二
酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ジルコ
ン、コージェライト、ジルコン−コージェライト、酸化
珪素、酸化ベリリウムマイカ系セラミックス等が挙げら
れる。高周波電極102の表面を被覆するセラミックス
材の厚さは特に制限はないが、耐久性および均一性を増
すため、また、高周波電力吸収量、製造コストの面から
1μm〜10mmが好ましく、10μm〜5mmがより
好ましい。
【0089】また、高周波電極102に加熱または冷却
手段を設けることにより、高周波電極102表面におけ
る膜の密着性をさらに高め、より効果的に膜剥れの防止
を達成できる。この場合、高周波電力導入手段102を
加熱するか、冷却するかは、堆積する膜材料、堆積条件
に応じて適宜決定する。具体的な加熱手段としては、発
熱体であれば特に制限はない。具体的にはシース状ヒー
タの巻付けヒータ、板状ヒータ、セラミックヒータ等の
電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ランプ等の熱
輻射ランプ発熱体、液体、気体等を媒体とした熱交換手
段による発熱体等が挙げられる。具体的な冷却手段とし
ては、吸熱体であれば特に制限はない。例えば、液体・
気体等を冷却媒体として流すことができる冷却コイル、
冷却板、冷却筒等が挙げられる。
【0090】このような装置を用いた堆積膜形成は概略
以下のような手順により行うことができる。
【0091】まず、反応容器101内に円筒状基体10
5を設置し、不図示の排気装置により排気管109を通
して反応容器101内を排気する。続いて、発熱体10
7により円筒状基体105を200℃〜300℃程度の
所定の温度に加熱・制御する。
【0092】円筒状基体105が所定の温度となったと
ころで、原料ガス供給手段110を介して、原料ガスを
反応容器101内に導入する。例えば、アモルファスシ
リコン感光体の作製には、SiH4、H2、B26、PH
3、CH4、NO等の各原料ガスを用いる。原料ガスの流
量が設定流量となり、また、反応容器101内の圧力が
安定したのを確認した後、VHF帯の高周波電源10
3、111は各々の電力値、周波数をそれぞれP1、f
1、P2、f2としたとき、10MHz≦f2<f1≦
250MHzであり、かつ、P1、P2の関係が0.1
≦P2/(P1+P2)≦0.9であることを満たす高
周波電力を高周波電源103、111よりマッチングボ
ックス104、112を介して高周波電極102へ供給
する。この際、周波数の組み合わせに応じて定在波の節
位置を高周波電極上全領域においてずらし、節の重なり
が起こらないように整合回路106により適切に調整し
ておく。これにより、反応容器101内に二つの異なる
周波数の高周波電力が導入され、反応容器101内にグ
ロー放電が生起し、原料ガスは励起解離して円筒状基体
105上に堆積膜が形成される。
【0093】所望の膜厚の形成が行なわれた後、高周波
電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して堆
積膜の形成を終える。同様の操作を複数回繰り返すこと
によって、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0094】堆積膜形成中、回転軸機構108により円
筒状基体105を所定の速度で回転させることにより、
円筒状基体表面全周に渡って堆積膜が形成される。
【0095】また、本発明においては図2に示すよう
に、周波数の異なる高周波電力を一旦合成し、その後分
岐して複数の電極に各々に印加する構成とすることによ
り本発明の効果をより顕著なものにすることができる。
図2(a)は概略断面図、図2(b)は図2(a)の切
断線A−A’に沿う概略断面図、図2(c)および図2
(d)は図2(a)の切断線B−B’に沿う概略断面図
である。高周波電力分岐手段413は図2(c)のよう
に単に各高周波電極402に接続しても本発明の効果は
得られるが、図2(d)のように平板状の分岐板(本例
では円形)を用いることで本発明の効果をさらに顕著な
ものにすることができる。
【0096】また、本発明においては図3に示すよう
に、高周波電極502を少なくとも一部が誘電体部材5
14で構成された反応容器の外に設置することにより本
発明の効果をより顕著なものにすることができる。
【0097】誘電体部材514内側の表面性としては特
に制限がないが、膜剥れ防止の観点から、粗面化されて
いることが望ましく、具体的には、2.5mmを基準と
する10点平均粗さ(Rz)で5μm以上200μm以
下の範囲が好ましい。また、誘電体部材の材料としては
セラミックス材料が好ましく、具体的には、アルミナ、
ジルコニア、ムライト、コージュライト、炭化珪素、チ
ッ化ホウ素、チッ化アルミ等が上げられるが、これらの
中でも、アルミナ、チッ化ホウ素、チッ化アルミは誘電
正接や絶縁抵抗等の電気特性にすぐれ、高周波電力の吸
収が少ないことからより好ましい。
【0098】図3(a)は概略断面図、図3(b)は図
3(a)の切断線A−A’に沿う概略断面図、図3
(c)および(d)は図3(a)の切断線B−B’に沿
う概略断面図である。高周波電力分岐手段513は図3
(c)のように単に各高周波電極502に接続しても本
発明の効果は得られるが、図3(d)のように平板状の
分岐板(本例では円形)を用いることで本発明の効果を
さらに顕著なものにすることができる。
【0099】また、本発明においては図4に示すよう
に、原料ガス供給手段610を一つにすることが可能で
ある。
【0100】原料ガス供給手段610としては、膜厚む
ら防止の観点から、基体と平行に設置されていることが
好ましい。さらには、膜剥れ防止の観点から、原料ガス
導入手段の表面は粗面化されていることが望ましく、具
体的には、2.5mmを基準とする10点平均粗さ(R
z)で5μm以上200μm以下の範囲が好ましい。
【0101】図4(a)は概略断面図、図4(b)は図
4(a)の切断線A−A’に沿う概略断面図、図4
(c)および(d)は図4(a)の切断線B−B’に沿
う概略断面図である。高周波電力分岐手段613は図4
(c)のように単に各高周波電極602に接続しても本
発明の効果は得られるが、図4(d)のように平板状の
分岐板(本例では円形)を用いることで本発明の効果を
さらに顕著なものにすることができる。
【0102】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるもので
はない。 (第1の実施例)図1に示す構成の装置を用い、円筒状
基体105としてアルミニウム製の直径108mm、長
さ358mmのものを2本軸方向に重ね、円筒状基体1
05上に、表1に示すように高周波電源周波数250M
Hzと150MHz、250MHzと125MHzの条
件で円筒状基体105上から順に電荷注入阻止層、光導
電層、表面層からなる電子写真用感光体を作製した。
【0103】なお、事前に表1に示す条件において反応
容器中における単一周波数(本例では250MHzおよ
び150MHz、125MHz)の高周波電極上におけ
る波長は、プローブ法を用いて行い算出した。そして、
電子写真用感光体を作製する際には定在波の節位置を高
周波電極上全領域においてずらし、節の重なりが起こら
ないように整合回路106を調整した。その際、整合回
路106としては、直列のLC回路を用いた。 (第1の比較例)表1において高周波電源周波数が25
0MHzと125MHzの条件で、整合回路106を持
たない図5に示す構成の装置を用いた以外は、第1の実
施例と同じ条件で円筒状基体305上から順に電荷注入
阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を
作製した。
【0104】このようにして第1の実施例、第1の比較
例で作製した感光体を、本テスト用に改造したキヤノン
製複写機GP−605に設置して特性評価を行なった。
【0105】その際、プロセススピード300mm/s
ec、前露光(波長680nmのLED)光量4lx・
s、帯電器の電流値1000μAの条件にて電子写真装
置の帯電器位置にセットした表面電位計(TREK社M
odel344)の電位センサにより感光体の表面電位
を測定し、それを帯電能とした。
【0106】そして、上述の条件において表面電位が4
00V(暗電位)になるように帯電器の電流値を調整し
た後、像露光(波長660nmのレーザ)を照射し像露
光光源の光量を調整して、表面電位が50V(明電位)
となるようにし、そのときの露光量を感度とした。
【0107】また、上述の条件において暗電位になるよ
うに帯電器の電流値を調整した後明電位となるような露
光量の像露光を照射し、再度帯電器の電流値はそののま
まで像露光を照射せずに測定した表面電位と暗電位との
差を光メモリとした。
【0108】これらの、帯電能、感度、光メモリ各々に
ついては母線方向全域にわたって測定し平均値で評価し
た。そして、平均値に対する最大値と最小値の差の比を
帯電能、感度、光メモリ各々の母線方向むらとして評価
した。
【0109】評価は第1の比較例の場合の結果を基準と
し、以下のような5段階評価とした。
【0110】A:35%以上の良化 B:25%以上35%未満の良化 C:15%以上25%未満の良化 D:15%未満の良化 E:同等 第1の実施例および第1の比較例の評価結果を表2に示
す。表2から明らかなようにいずれの項目においても、
第1の実施例のほうが第1の比較例よりも良好な結果を
得ることができた。
【0111】また、第1の実施例において作製された電
子写真感光体を用いて形成された画像は、ゴーストや画
像濃度むら、画像欠陥、画像流れ等のない極めて良好な
ものであった。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】 (第2の実施例)図2に示す構成の装置を用いた以外
は、第1の実施例と同様にして円筒状基体405上に、
表1に示す条件で円筒状基体405上から順に電荷注入
阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を
作製した。ただし本実施例では、表1において光導電層
の250MHz電力を2000W、150MHzまたは
125MHz電力を2000Wとし、高周波電力分岐手
段413としてはアルミニウム製で図2(c)に示すよ
うに、60度間隔の方向に分岐した形状をしたもの、又
は図2(d)に示すように、円形のものを用いた。 (第2の比較例)表1において光導電層の250MHz
電力を2000W、125MHz電力を2000Wと
し、図2に示す構成の装置において、高周波電力分岐手
段413としてはアルミニウム製で図2(c)に示した
ように、60度間隔の方向に分岐した形状をしたものを
用い、高周波電極402の先端部の整合回路406を外
し、図5と同様に各高周波電極402の先端部をアース
シールドで覆った構造にした以外は、第2の実施例と同
じ条件で円筒状基体405上から順に電荷注入阻止層、
光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を作製し
た。
【0114】第2の実施例および第2の比較例で作製し
た電子写真用感光体を第2の比較例の結果を基準とし第
1の実施例および第1の比較例と同様に評価した結果を
表3に示す。表3から明らかなように、いずれの項目に
おいても第2の実施例のほうが第2の比較例よりも良好
な結果を得ることができた。
【0115】また、第2の実施例において作製された電
子写真感光体を用いて形成された画像は、ゴーストや画
像濃度むら、画像欠陥、画像流れ等のない極めて良好な
ものであった。
【0116】
【表3】 (第3の実施例)図3に示す構成の装置を用いた以外
は、第1の実施例と同様にして円筒状基体505上に、
表1に示す条件で円筒状基体505上から順に電荷注入
阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を
作製した。ただし本実施例では、表1において光導電層
の250MHz電力を2000W、150MHzまたは
125MHz電力を1500Wとし、高周波電力分岐手
段513としてはアルミニウム製で図3(c)に示すよ
うに、60度間隔の方向に分岐した形状をしたもの、又
は図3(d)に示すように、円形のものを用いた。 (第3の比較例)表1において光導電層の250MHz
電力を2000W、125MHz電力を1500Wと
し、図3に示す構成の装置において、高周波電力分岐手
段513としてはアルミニウム製で図3(c)に示した
ように、60度間隔の方向に分岐した形状をしたものを
用い、高周波電極502の先端部の整合回路506を外
し、図5と同様に各高周波電極502の先端部をアース
シールドで覆った構造にした以外は、第3の実施例と同
じ条件で円筒状基体505上から順に電荷注入阻止層、
光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を作製し
た。
【0117】第3の実施例および第3の比較例で作製し
た電子写真用感光体を第3の比較例の結果を基準とし第
1の実施例および第1の比較例と同様に評価した結果を
表4に示す。表4から明らかなように、いずれの項目に
おいても第3の実施例のほうが第3の比較例よりも良好
な結果を得ることができた。
【0118】また、第3の実施例において作製された電
子写真感光体を用いて形成された画像は、ゴーストや画
像濃度むら、画像欠陥、画像流れ等のない極めて良好な
ものであった。
【0119】
【表4】 (第4の実施例)図4に示す構成の装置を用いた以外
は、第1の実施例と同様にして円筒状基体605上に、
表1に示す条件で円筒状基体605上から順に電荷注入
阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を
作製した。ただし本実施例では、表1において光導電層
の250MHz電力を2000W、150MHzまたは
125MHz電力を1500Wとし、高周波電力分岐手
段613としてはアルミニウム製で図4(c)に示すよ
うに、60度間隔の方向に分岐した形状をしたもの、又
は図4(d)に示すように、円形のものを用いた。 (第4の比較例)表1において光導電層の250MHz
電力を2000W、125MHz電力を1500Wと
し、図4に示す構成の装置において、高周波電力分岐手
段613としてはアルミニウム製で図4(c)に示した
ように、60度間隔の方向に分岐した形状をしたものを
用い、高周波電極602の先端部の整合回路606を外
し、図5と同様に各高周波電極602の先端部をアース
シールドで覆った構造にした以外は、第4の実施例と同
じ条件で円筒状基体605上から順に電荷注入阻止層、
光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を作製し
た。
【0120】第4の実施例および第4の比較例で作製し
た電子写真用感光体を第4の比較例の結果を基準とし第
1の実施例および第1の比較例と同様に評価した結果を
表5に示す。表5から明らかなように、いずれの項目に
おいても第4の実施例のほうが第4の比較例よりも良好
な結果を得ることができた。
【0121】また、第4の実施例において作製された電
子写真感光体を用いて形成された画像は、ゴーストや画
像濃度むら、画像欠陥、画像流れ等のない極めて良好な
ものであった。
【0122】
【表5】 (第5の実施例)図4に示す構成の装置を用いた以外
は、第1の実施例と同様にして円筒状基体605上に、
表1に示す条件で円筒状基体605上から順に電荷注入
阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を
作製した。ただし本実施例では、表1において光導電層
の250MHz電力を2000W→1500W、150
MHzまたは125MHz電力を2000W→2500
Wと総電力4000Wのまま変化させ、高周波電力分岐
手段613としてはアルミニウム製で図4(c)に示す
ように、60度間隔の方向に分岐した形状をしたもの、
又は図4(d)に示すように、円形のものを用い、各高
周波電極602を接続する際に、コンデンサを介して接
続する構成とした。 (第5の比較例)表1において光導電層の250MHz
電力を2000W→1500W、125MHz電力を2
000W→2500Wと総電力4000Wのまま変化さ
せ、図4に示す構成の装置において、高周波電力分岐手
段613としてはアルミニウム製で図4(c)に示した
ように、60度間隔の方向に分岐した形状をしたものを
用い、各高周波電極602を接続する際に、コンデンサ
ーを介して接続する構成とし、高周波電極602の先端
部の整合回路606を外し、図5と同様に高周波電極6
02の先端部をアースシールドで覆った構造にした以外
は、第5の実施例と同じ条件で円筒状基体605上から
順に電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写
真用感光体を作製した。
【0123】第5の実施例および第5の比較例で作製し
た電子写真用感光体を第5の比較例の結果を基準とし、
第1の実施例および第1の比較例と同様に評価した結果
を表6に示す。表6から明らかなように、いずれの項目
においても第5の実施例のほうが第5の比較例よりも良
好な結果を得ることができた。
【0124】また、第5の実施例で作製された電子写真
感光体を用いて形成された画像は、ゴーストや画像濃度
むら、画像欠陥、画像流れ等のない極めて良好なもので
あった。
【0125】
【表6】 (第6の実施例)図1に示す構成の装置を用い、円筒状
基体105としてアルミニウム製の直径108mm、長
さ358mmのものを2本軸方向に重ね、円筒状基体1
05上に、表7に示す条件で円筒状基体105上から順
に電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真
用感光体を作製した。なお、事前に表7に示す条件にお
いて反応容器中における単一周波数(本例では150M
Hzおよび70MHz)の高周波電極上における波長
は、プローブ法を用いて行い算出した。そして、電子写
真用感光体を作製する際には定在波の節位置を高周波電
極上全領域においてずらし、節の重なりが起こらないよ
うに整合回路106を調整した。その際、整合回路10
6としては、並列のLC回路を用いた。
【0126】上述の各実施例と同様に特性評価を行った
ところ上述の各実施例と同様に良好な結果が得られた。
また、作製された電子写真感光体を用いて形成された画
像は、ゴーストや画像濃度むら、画像欠陥、画像流れ等
のない極めて良好なものであった。
【0127】
【表7】 (第7の実施例)第5の実施例において、整合回路60
6としてコンデンサまたはコイルを用い、表8に示す条
件とした以外は同様にして円筒状基体605上から順に
電荷注入阻止層、光導電層、表面層からなる電子写真用
感光体を作製した。
【0128】上述の各実施例と同様に特性評価を行った
ところ上述の各実施例と同様に良好な結果が得られた。
また、作製された電子写真感光体を用いて形成された画
像は、ゴーストや画像濃度むら、画像欠陥、画像流れ等
のない極めて良好なものであった。
【0129】
【表8】 (第8の実施例)図1に示す構成の装置を用いて、第1
の実施例と同様にして円筒状基体105上に、表9に示
す条件で円筒状基体105上から順に電荷注入阻止層、
光導電層、表面層からなる電子写真用感光体を作製し
た。なお本実施例では、二つの高周波電源103、11
1に加えて不図示の高周波電源として周波数300kH
zのものをマッチングボックスを介さずに直接高周波電
極102に給電した。また、整合回路106としては、
並列のLC回路を用いた。
【0130】上述の各実施例と同様に特性評価を行った
ところ上述の各実施例と同様に良好な結果が得られた。
また、作製された電子写真感光体を用いて形成された画
像は、ゴーストや画像濃度むら、画像欠陥、画像流れ等
のない極めて良好なものであった。
【0131】
【表9】
【0132】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、高
周波電力によって生起されたプラズマを用いて基体上に
真空処理を施すプラズマ処理装置、プラズマ処理方法に
おいて、処理特性の均一性向上が可能となり、製品品質
の向上、良品率向上による生産コスト低下が達成可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマ処理方法に用いることができ
る装置の一実施形態を示した模式的な構成図である。
【図2】本発明のプラズマ処理方法に用いることができ
る装置の他の実施形態を示した模式的な構成図である。
【図3】本発明のプラズマ処理方法に用いることができ
る装置の他の実施形態を示した模式的な構成図である。
【図4】本発明のプラズマ処理方法に用いることができ
る装置の他の実施形態を示した模式的な構成図である。
【図5】VHF帯の周波数を用いたVHFプラズマCV
D法による電子写真用光受容部材の製造装置の一例を示
した模式的な構成図である。
【図6】周波数を変化させた時に生じる高周波電極上の
定在波の一例を示したグラフである。
【図7】周波数を変化させた時に生じる高周波電極上の
定在波の他の例を示したグラフである。
【図8】従来の、RF帯の周波数を用いたRFプラズマ
CVD法による電子写真用光受容部材の製造装置の一例
を示した模式的な構成図である。
【図9】従来の、VHF帯の周波数を用いたVHFプラ
ズマCVD法による電子写真用光受容部材の製造装置の
一例を示した模式的な構成図である。
【符号の説明】
101、301、401、501、601 反応容器 102、302、402、502、602 高周波電
極 103、111、303、311、403、411、5
03、511、603、611 高周波電源 104、112、304、312、404、412、5
04、512、604、612 マッチングボックス 105、305、405、505、605 円筒状基
体 106、、406、506、606 整合回路 306 アースシールド 107、307、407、507、607 発熱体 108、308、408、508、608 回転軸機
構 109、309、409、509、609 排気管 110、310、410、510、610 原料ガス
供給手段 413、513、613 高周波電力分岐手段 514、614 誘電体部材 2100 堆積装置 2101 反応容器 2111 高周波電極 2112 円筒状基体 2113 基体支持体 2114 原料ガス導入管 2115 マッチングボックス 2116 原料ガス配管 2117 反応容器リークバルブ 2118 メイン排気バルブ 2119 真空計 2200 原料ガス供給装置 2211〜2216 マスフローコントローラ 2221〜2226 原料ガスボンベ 2231〜2236 原料ガスボンベバルブ 2241〜2246 ガス流入バルブ 2251〜2256 ガス流出バルブ 2261〜2266 圧力調整器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 幸裕 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 秋山 和敬 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 DA00 EA24 4G075 AA24 AA30 AA61 BC01 BC04 BC06 CA02 CA25 CA47 DA02 EA01 EA06 EB01 EB21 EC06 EC21 EC25 ED01 ED06 ED08 EE02 FB02 FC07 FC15 4K030 AA06 AA17 BA30 CA02 CA16 FA01 JA16 JA18 KA05 KA30 LA17 5F045 AA08 AB04 AC01 CA16 DP25 EH15 EH19

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 減圧可能な反応容器内の被処理物支持手
    段に被処理物を設置し、前記反応容器中に導入したガス
    を分解してプラズマを形成し、前記被処理物を処理する
    プラズマ処理装置において、 それぞれ周波数が異なる複数の高周波電力が印加され
    る、少なくとも1つの高周波電極と、 前記高周波電極の一端側に電気的に接続されているイン
    ピーダンス整合手段と、 前記高周波電極の他端側に電気的に接続され、かつ、接
    地している整合回路とを有し、前記複数の高周波電力
    が、前記インピーダンス整合手段を介して、同一の前記
    高周波電極に略同時に印加されることを特徴とするプラ
    ズマ処理装置。
  2. 【請求項2】 前記整合回路が、静電容量および/また
    はインダクタンスを変化させる手段を有する請求項1に
    記載のプラズマ処理装置。
  3. 【請求項3】 前記周波数の異なる各高周波電力を合成
    する合成手段と、前記合成手段によって合成された前記
    高周波電力を分岐して、分岐された前記高周波電力を前
    記各高周波電極に印加する分岐手段とを有する請求項1
    または2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 【請求項4】 前記分岐手段が平板状の電力分岐板であ
    る請求項3に記載のプラズマ処理装置。
  5. 【請求項5】 前記電力分岐板の主面の面積が、前記電
    力分岐板にそれぞれ電気的に接続される前記各高周波電
    極の各接続点を全て内包できる最小の凸多角形の面積以
    上、かつ、前記各接続点を全て内包できる最小円面積の
    1.21倍以下の範囲である請求項4に記載のプラズマ
    処理装置。
  6. 【請求項6】 前記電力分岐板の厚さが、前記電力分岐
    板に電気的に接続される全ての前記各給電部を内包でき
    る最小円の直径に対して0.2〜10%の厚さである請
    求項4または5に記載のプラズマ処理装置。
  7. 【請求項7】 前記電力分岐板が、アルミニウム、ステ
    ンレス、銅、真鍮からなる群より選ばれる1つの材料を
    主材料とする請求項4ないし6のいずれか1項に記載の
    プラズマ処理装置。
  8. 【請求項8】 前記電力分岐板が円形であり、前記円形
    の前記電力分岐板の略中心が給電点である請求項4ない
    し7のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  9. 【請求項9】 前記電力分岐板が多角形であり、前記多
    角形の前記電力分岐板の略中心が給電点である請求項4
    ないし7のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  10. 【請求項10】 前記インピーダンス整合手段が、前記
    電力分岐板と、前記各高周波電極に前記各高周波電力を
    供給する電源との間に設けられ、前記インピーダンス整
    合手段とは異なる複数のインピーダンス補助整合手段
    が、前記電力分岐板と前記各高周波電極との間にそれぞ
    れ設けられている請求項3ないし9のいずれか1項に記
    載のプラズマ処理装置。
  11. 【請求項11】 前記各インピーダンス補助整合手段が
    容量可変でないコンデンサである請求項10に記載のプ
    ラズマ処理装置。
  12. 【請求項12】 前記高周波電極が棒状である請求項1
    ないし11のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  13. 【請求項13】 1本の前記高周波電極が前記反応容器
    の中央に設けられている請求項1ないし12のいずれか
    1項に記載のプラズマ処理装置。
  14. 【請求項14】 前記各高周波電極が、前記中央の高周
    波電極を中心とした同一円周上に等間隔で配置されてい
    る請求項1ないし12のいずれか1項に記載のプラズマ
    処理装置。
  15. 【請求項15】 前記各高周波電極の少なくとも一部分
    が、誘電体部材で構成された前記反応容器の外に設置さ
    れている請求項1ないし12、14のいずれか1項に記
    載のプラズマ処理装置。
  16. 【請求項16】 前記反応容器と同一の中心軸を有する
    円周上に、複数の前記被処理物支持手段が等間隔で配置
    されている請求項1ないし15のいずれか1項に記載の
    プラズマ処理装置。
  17. 【請求項17】 円筒状の前記被処理物を支持可能な前
    記被処理物支持手段が設けられている請求項1ないし1
    6のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  18. 【請求項18】 前記反応容器内にガスを導入するガス
    導入手段が前記反応容器の中心に設けられており、前記
    各高周波電極が、前記ガス導入手段を中心とした同一円
    周上に等間隔で配置されている請求項1ないし17のい
    ずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
  19. 【請求項19】 減圧可能な反応容器中に被処理物を設
    置し、該反応容器中に導入したガスを高周波電極に高周
    波電力を印可して分解することでプラズマを形成し、前
    記被処理物を処理するプラズマ処理方法において、 一端側にはインピーダンス整合手段が電気的に接続さ
    れ、他端側には接地している整合回路が電気的に接続さ
    れている、少なくとも1つの前記高周波電極を設置し、 それぞれ周波数が異なる複数の高周波電力を、前記イン
    ピーダンス整合手段を介して、同一の前記高周波電極に
    略同時に印加する工程と、 前記整合回路のインピーダンスを調整して前記被処理物
    を処理する工程とを含むことを特徴とするプラズマ処理
    方法。
  20. 【請求項20】前記複数の高周波電力は周波数が10M
    Hz以上250MHz以下の高周波電力を少なくとも2
    つ含み、該周波数範囲内にある高周波電力が有する電力
    値の中で最も大きい電力値と次に大きい電力値を有する
    高周波電力について、そのうち周波数の高い方の高周波
    電力の電力値をP1、周波数の低い方の高周波電力の電
    力値をP2としたとき、前記電力値P1、P2が、 0.1≦P2/(P1+P2)≦0.9 の条件を満たす請求項19に記載のプラズマ処理方法。
  21. 【請求項21】 前記被処理物の処理中に前記高周波電
    力の電力値の比率を変える工程を含む請求項19または
    20に記載のプラズマ処理方法。
  22. 【請求項22】 前記各高周波電力を一旦合成する工程
    と、 前記合成された高周波電力を分岐して、複数の前記高周
    波電極の各々に印加する分岐工程とを含む請求項19な
    いし21のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。
  23. 【請求項23】 前記分岐工程で、前記合成された高周
    波電力を、平板状の電力分岐板を介して前記各高周波電
    極に印加する請求項22に記載のプラズマ処理方法。
  24. 【請求項24】 前記電力分岐板と、前記各高周波電極
    に前記各高周波電力を供給する電源との間に設けられた
    前記インピーダンス整合手段とは異なる、前記電力分岐
    板と前記各高周波電極との間にそれぞれ設けられたイン
    ピーダンス補助整合手段を介して、前記各高周波電力に
    前記高周波電力を印加する工程を含む請求項19ないし
    23のいずれか1項に記載のプラズマ処理方法。
  25. 【請求項25】 前記インピーダンス補助整合回路とし
    て、容量可変でないコンデンサを用意する工程を含む請
    求項24に記載のプラズマ処理方法。
  26. 【請求項26】 前記被処理物上に堆積膜を形成する工
    程を含む請求項19ないし25のいずれか1項に記載の
    プラズマ処理方法。
  27. 【請求項27】 前記被処理物上に堆積膜を形成するこ
    とにより、電子写真用感光体を形成する工程を含む請求
    項19ないし26のいずれか1項に記載のプラズマ処理
    方法。
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