JP2003049277A - プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置 - Google Patents

プラズマ処理方法及びプラズマ処理装置

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JP2003049277A
JP2003049277A JP2001237644A JP2001237644A JP2003049277A JP 2003049277 A JP2003049277 A JP 2003049277A JP 2001237644 A JP2001237644 A JP 2001237644A JP 2001237644 A JP2001237644 A JP 2001237644A JP 2003049277 A JP2003049277 A JP 2003049277A
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frequency power
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Toshiyasu Shirasago
寿康 白砂
Hiroaki Niino
博明 新納
Hitoshi Murayama
仁 村山
Makoto Aoki
誠 青木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラズマ処理速度の向上、プラズマ処理特性
の向上を、再現性良く安定して達成可能とし、また、プ
ラズマ処理コストの低減が可能なプラズマ処理方法およ
びプラズマ処理装置を提供する。 【解決手段】 反応容器140内に被処理物を配置し、
少なくとも2つの異なる周波数の高周波電力150−
1、150−2を同一の高周波電極に同時に供給し、そ
の高周波電極より反応容器140内に導入された高周波
電力によってプラズマを形成して被処理物を処理するプ
ラズマ処理方法において、少なくとも2つの異なる周波
数の高周波の伝送経路の温度をモニターし、その温度を
参照して伝送経路上の温度変化が緩やかになるように高
周波電力の整合調整を行い、被処理物を処理することを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマ処理方法
に関し、特に半導体デバイスとしての電子写真感光体、
画像入力用ラインセンサー、撮像素子、光起力素子等に
有用な結晶質または非単結晶質の機能性堆積膜を好適に
形成し得るプラズマCVD法による半導体装置の処理方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体デバイス、電子写真感光
体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、光起電
力デバイス、その他各種エレクトロニクス素子、光学素
子等の形成に用いる真空処理方法としては、真空蒸着
法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラ
ズマエッチング法等の多数の方法が知られており、その
ための装置も実用化されている。例えばプラズマCVD
法、すなわち、原料ガスを直流または高周波グロー放電
により分解し、基体上に薄膜状の堆積膜を形成する方法
は、好適な堆積膜形成手段として実用化されており、例
えば水素化アモルファスシリコン(以下、「a−Si:
H」と表記する)堆積膜の形成等に利用され、そのため
の装置も各種提案されている。このような堆積膜の形成
装置及び形成方法は概略以下のようなものである。図3
は、RF帯の高周波電力を用いたプラズマCVD法(以
後「RF −PCVD」と略記する)による堆積膜形成
装置、具体的には電子写真感光体の形成装置の一例を示
す模式的な構成図である。図3に示す形成装置の構成は
以下の通りである。この装置は大別すると、堆積装置3
01、原料ガス供給装置302、反応容器340内を減
圧にするための排気装置330から構成されている。反
応容器340はAl製のカソード電極311、碍子30
5、蓋306から成り、高周波シールド307で全体が
囲われている。堆積装置301中の反応容器340内に
は円筒状基体310、基体加熱用ヒータ316、原料ガ
ス導入管315が設置され、更に高周波整合器351が
反応容器340の一部を構成するカソード電極311に
接続されている。カソード電極311は碍子305によ
りアース電位と絶縁され、アース電位に維持されアノー
ド電極を兼ねた円筒状基体310との間に高周波電圧が
印加可能となっている。原料ガス供給装置302は、S
iH4、H2、CH4、B2H6、PH3等の原料ガス
のボンベ(図示せず)とバルブ(図示せず)およびマス
フローコントローラ(図示せず)から構成され、各原料
ガスのボンベは補助バルブ326介して反応容器340
内のガス導入管315に接続されている。この装置を用
いた堆積膜の形成は、例えば以下のように行うことがで
きる。まず、反応容器340内に円筒状基体310を基
体ホルダ312に装着した状態で設置し、排気装置33
0(例えば真空ポンプ)により反応容器340内を排気
する。続いて、基体加熱用ヒーター316により円筒状
基体310の温度を200℃乃至350℃の所定の温度
に加熱して制御する。
【0003】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器340
に流入させるには、ガスボンベのバルブが閉じられてい
ることを確認し、叉、補助バルブ326が開かれている
ことを確認して、まずメインバルブ331を開いて反応
容器340およびガス配管327内を排気する。次に真
空計342の読みが約0.1Paになった時点で補助バ
ルブ326を閉じる。その後、ガスボンベ(図示せず)
より各ガスを導入し、各ガスをマスフローコントローラ
ー(図示せず)に導入する。以上のようにして成膜の準
備が完了した後、以下の手順で各層の形成を行う。円筒
状基体310が所定の温度になったところで補助バルブ
326を徐々に開き、ガスボンベ(図示せず)からガス
導入管315を介して所定のガスを反応容器340内に
導入する。次にマスフローコントローラー(図示せず)
によって各原料ガスが所定の流量になるように調整す
る。その際、反応容器340内の圧力が所定の値になる
ように真空計342を見ながらメインバルブ331の開
口を調整する。内圧が安定したところで、周波数13.
56MHzのRF電源350を所望の電力に設定して、
高周波整合器351、カソード電極311を通じて反応
容器340内にRF電力を導入し、円筒状基体310を
アノードとして作用させてグロー放電を生起させる。こ
の放電エネルギーによって反応容器内に導入された原料
ガスが分解され、円筒状基体310上にシリコンを主成
分とする所定の堆積膜が形成されるところとなる。所望
の膜厚の形成が行われた後、RF電力の供給を止め、ま
た反応容器へのガスの流入を止め、堆積膜の形成を終え
る。同様の操作を複数回繰り返すことによって、所望の
多層構造の光受容層が形成される。また、膜形成の均一
化を図るために、層形成を行なっている間は、円筒状基
体310を駆動装置328によって所定の速度で回転さ
せることも有効である。さらに、上述のガス種およびバ
ルブ操作はそれぞれの層の作成条件にしたがって変更が
加えられることは言うまでもない。このような、RFプ
ラズマCVD法に加え、VHF帯の高周波電力を用いた
プラズマCVD(以後「VHF−PCVD」と略記す
る)法が注目を浴びており、これを用いた各種堆積膜の
開発も積極的に進められている。VHF−PCVD法で
は膜堆積速度が速く、また高品質な堆積膜が得られるた
め、製品の低コスト化、高品質化を同時に達成し得るも
のと期待されるためである。例えば、特開平6−287
760号公報には、a−Si系電子写真感光体の形成に
用いられる装置及び方法が開示されている。また、複数
の電子写真用光受容部材を同時に形成でき、生産性の極
めて高い図4に示すような堆積膜形成装置の開発も進め
られている。図4(a)は該装置の模式的断面図、図4
(b)はその装置の切断線X−Xにおける模式的横断面
図である。この装置は大別すると、堆積装置401、原
料ガス供給装置402、 反応容器440内を減圧にす
るための排気装置430から構成されている。反応容器
440は例えばアルミナセラミックスからなる誘電体の
反応壁404、下部プレート405、上蓋406から成
り、高周波シールド407で全体が囲われている。反応
壁404と高周波シールドとの間には棒状の高周波導入
用カソード電極411が複数設置されている。堆積装置
401中の反応容器440内には円筒状基体410、基
体加熱用ヒーター416、原料ガス導入管415が設置
されている。また、複数のカソード電極411は反応容
器440の上部空間で集結し、高周波整合器451、高
周波電源450に接続されている。各カソード電極41
1は絶縁体408によりアース電位と絶縁されている。
このような装置を用いた堆積膜形成は概略以下のような
手順により行うことができる。まず、反応容器440内
の基体ホルダ412に円筒状基体410を設置し、排気
装置430により排気管413を通して反応容器440
内を排気する。続いて、基体加熱ヒーター416により
円筒状基体410を150℃〜300℃程度の所定の温
度に加熱して制御する。円筒状基体410が所定の温度
となったところで、原料ガス導入管415を介して、原
料ガスを反応容器440内に導入する。原料ガスの流量
が設定流量となり、また、反応容器440内の圧力が安
定したのを確認した後、高周波電源450より高周波整
合器451を介して高周波導入用カソード電極411へ
所定のVHF電力を供給する。これにより、反応容器4
40内に誘電体からなる反応壁404を透過したVHF
電力が導入され、反応容器440内にグロー放電が生起
し、原料ガスは励起解離して円筒状基体410上に堆積
膜が形成される。所望の膜厚の形成した後、VHF電力
の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して堆積膜
の形成を終える。同様の操作を複数回繰り返すことによ
って、所望の多層構造の光受容層が形成される。堆積膜
の形成中、円筒状基体410を駆動装置428により所
定の速度で回転させることにより、円筒状基体表面全周
に渉って均一な堆積膜が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法及び装
置により、良好なプラズマ処理がなされる。しかしなが
ら、このようなプラズマ処理を用いた製品に対する市場
の要求レベルは日々高まっており、この要求に応えるべ
く、より高品質化、低コスト化が実現可能なプラズマ処
理方法ならびにプラズマ処理装置が求められるようにな
っている。例えば、電子写真装置の場合、コピースピー
ドの向上、高画質化、低価格化の要求は非常に強く、こ
れらを実現するためには感光体特性、具体的には帯電
能、感度等の向上、画像上に白点あるいは黒点で現れる
感光体中の構造欠陥に起因する画像欠陥の抑制、及び感
光体生産コストの低下が不可欠となっている。また、近
年その普及が目覚しいデジタル電子写真装置、カラー電
子写真装置においては、文字原稿のみならず、写真、
絵、デザイン画等のコピーも頻繁になされるため、画像
濃度むらの低減が従来以上に強く求められるようになっ
ている。このような感光体特性の向上、感光体生産コス
トの低下を目指し、堆積膜積層構成の最適化等もなされ
ているが、同時に、プラズマ処理方法の面での改善も強
く望まれている。このような状況下において、前述の従
来のプラズマ処理方法においても、プラズマ処理特性の
向上、プラズマ処理コストの低下に関して、まだ改善の
余地が残されているのが現状である。
【0005】このような問題を解決するための手段とし
て、例えば、特開平7−74159号公報には、基板側
の電極に60MHzの高周波電力と400KHzの低周
波電力を重ね合わせて供給し、低周波電力の電力値を変
化させることによりセルフバイアス電圧を制御して、エ
ッチングレートを上げかつパーティクル発生を低減した
プラズマ処理方法・装置が開示されている。特開昭62
−188783号公報には、低周波交流(20Hz〜1
MHz)と高周波交流(1MHz〜100GHz)とを
重畳した変調周波電力を電極に供給することにより、ヒ
ーターが不要であって成膜速度を速くし、基体上にアモ
ルファス半導体層を積層形成する静電潜像担持体の製造
方法が開示されている。特開平11−343575号公
報には、高周波導入用電極の温度を検知し、検知したそ
の温度を参照して高周波電力を制御することにより、再
現性良く堆積膜形成が可能な堆積膜形成方法及び堆積膜
形成装置が開示されている。しかしながら、本発明者ら
は、上記の開示された技術を用いてプラズマ処理に関す
る実験を行った結果、確かにプラズマ処理特性は向上で
きるものの、プラズマ処理の再現性、安定性に改良の余
地があることが明らかとなった。本発明は上記課題の解
決を目的とするものである。即ち、反応容器中に被処理
物を設置し、その反応容器中に供給した原料ガスを高周
波電力により分解し、その被処理物に処理を施すプラズ
マ処理方法において、プラズマ処理速度の向上、プラズ
マ処理特性の向上を再現性良く、安定して達成可能と
し、また、プラズマ処理コストの低減が可能なプラズマ
処理方法およびプラズマ処理装置を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のプラズマ処理方
法は、反応容器内にプラズマ処理の対象となる被処理物
を配置し、少なくとも2つの異なる周波数の高周波電力
を同一の高周波電極に同時に供給し、その高周波電極よ
りその反応容器内に導入された高周波電力によってプラ
ズマを形成して被処理物を処理するプラズマ処理方法に
おいて、少なくとも2つの異なる周波数の高周波電力の
伝送経路の温度をモニターし、その温度を参照して伝送
経路上の温度変化が緩やかになるように高周波電力の整
合調整を行って、被処理物を処理することを特徴とす
る。
【0007】少なくも2つの異なる周波数の高周波電力
の、それぞれの整合回路内の伝送経路の温度をモニター
し、その温度を参照して高周波電力の整合調整を行って
被処理物を処理することが好ましく、高周波電力の伝送
経路の温度のモニターは、伝送経路の複数の位置で行わ
れることが好ましい。
【0008】また、複数の高周波電力は周波数が10M
Hz以上250MHz以下の高周波電力を少なくとも二
つ含み、その周波数範囲内にある高周波電力が有する電
力値の中で最も大きい電力値と次に大きい電力値を有す
る高周波電力について、そのうち周波数の高い方の高周
波電力の電力値をP1、周波数の低い方の高周波電力の
電力値をP2としたとき、電力値P1、P2が 0.1≦P2/(P1+P2)≦0.9 の条件を満たすことが好ましい。
【0009】さらに、少なくも2つの異なる周波数の高
周波電力は、一つのシールドボックス内にそれぞれの整
合回路が設けられた高周波整合器を介して反応容器に供
給されることが好ましい。
【0010】本発明のプラズマ処理装置は、反応容器内
にプラズマ処理の対象となる被処理物を配置する手段、
少なくとも2つの異なる周波数の高周波電力を同一の高
周波電極に同時に供給する手段を有し、その高周波電極
よりその反応容器内に導入された高周波電力によってプ
ラズマが形成されて被処理物が処理されるプラズマ処理
装置において、さらに、少なくとも2つの異なる周波数
の高周波電力の伝送経路の温度を検知する手段と、その
温度を検知する手段からの信号を参照して伝送経路上の
温度変化が緩やかになるように高周波電力の整合調整を
行う手段とを有することを特徴とする。
【0011】温度を検知する手段が、少なくも2つの異
なる周波数の高周波電力の、それぞれの整合回路内の伝
送経路に設けられていることが好ましく、温度を検知す
る手段は、伝送経路の複数の位置に設置されていること
が好ましい。
【0012】また、少なくも2つの異なる周波数の高周
波電力のそれぞれの整合回路が、一つのシールドボック
ス内に設けられていることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記の本発明の目
的を達成すべく鋭意検討を行った結果、反応容器内に被
処理物を配置し、少なくとも2つの異なる周波数の高周
波を同一の高周波電極に同時に供給し、その高周波電極
よりその反応容器内に導入された高周波によってプラズ
マを形成して被処理物を処理するプラズマ処理方法にお
いて、その少なくとも2つの異なる周波数の高周波の伝
送経路の温度をモニターし、その温度を参照して伝送経
路上の温度変化が緩やかになるように高周波の整合調整
を行うことで、再現性が良く、安定したプラズマ処理を
実施することが可能であることを見出し、本発明を完成
させるに至った。
【0014】本発明において、真空処理容器中への高周
波電力の供給は、同一電極から行う必要がある。それぞ
れ異なった周波数の高周波電力をそれぞれ別の電極から
供給した場合、電極上では電極ごとに供給高周波電力の
周波数に依存した波長の定在波が生じてしまう。この結
果、電極近傍のプラズマ特性は、この定在波に応じた分
布形状をもってしまい、生成活性種の種類・比率や、電
極に入射するイオンのエネルギーが位置によって異なっ
てしまうため、電極近傍上に付着する膜の構造が位置に
依存して異なってしまう。このため、膜構造そのもの、
あるいは、近傍膜との内部応力の違いに起因して、電極
近傍上では付着膜が剥れやすい部分が生じてしまい、剥
れた膜が被処理物上に付着して欠陥を生じやすくなって
しまう。本発明では、このような問題を回避するため
に、周波数の異なる複数の高周波電力を同一電極に供給
する。このようにすることにより、電極近傍上において
も定在波は抑制され、上述したような問題が効果的に抑
制される。このように、周波数の異なる複数の高周波電
力を同一電極に供給する場合、前述の特開平11−34
3575号公報に開示されているような電極の温度を検
知し高周波電力を制御する方法においては、どの周波数
の高周波電力を制御すればよいのか判断が出来ず、充分
な再現性が得られない場合が発生する。そこで、本発明
者らは伝送経路上の各点の温度をモニターしながらプラ
ズマ処理を実施したところ以下のような現象が発生する
ことが判った。まず実際にプラズマ処理を実施する場合
の高周波電源及び高周波整合器を中心としたプラズマ処
理装置全体の模式的構成図を図1に示す。図中符号15
0−1、150−2は高周波電源で、150−1は周波
数f1用で150−2は周波数f2用となっている。1
51−1、151−2は高周波整合器で151−1は周
波数f1の高周波電力用、151−2は周波数f2の高
周波電力用となっている。140はプラズマ処理が行わ
れる反応容器であり、例えば図4の反応容器440が用
いられる。高周波電源150−1、150−2からは、
入射電力、反射電力の値がわかるように方向性結合器1
50cから電力モニター部150dに信号が出され、モ
ニター部の表示を見ることで、入射電力、反射電力は判
り、その差(入射電力―反射電力)で高周波電力が判る
ようになっている。高周波電力は、電源の出力部に接続
された、50オームの特性インピーダンスの同軸ケーブ
ルを通り、フィルター153−1、153−2、高周波
整合器151−1、151−2を介し反応容器140に
達する。フィルター153−1は、高周波f1用の電源
150−1側に高周波f2が達するのを防ぐ機能を有し
ている。同様にフィルター153−2は、高周波f2用
の電源150−2側に高周波f1が達するのを防ぐ機能
を有している。高周波整合器151−1、151−2は
図のように例えばT型の回路構成からなり、パラレル、
およびシリーズに可変コンデンサーが挿入されている。
可変コンデンサーはモーターにより容量が可変となって
おり、モーターは外部の制御回路により制御される。本
発明の伝送経路とは、高周波の電源150−1、150
−2から反応容器140内の高周波導入用電極(図示せ
ず)までをいう。160は温度測定器で光ファイバー温
度計を伝送経路に接触させている。伝送経路の温度変化
は光ファイバーに接続された温度モニター160aによ
り検知できる。伝送経路の温度モニター個所として、 1)フィルター153−1、153−2それぞれの出口
側(高周波整合器側図中a、b)、 2)高周波整合器151−1、151−2内のパラレル
に挿入されている可変コンデンサーのアース側(図中
c、d)、 3)高周波整合器151−1、151−2内のシリーズ
に挿入されている可変コンデンサーの出口側(反応容器
側図中e、f)、 4)高周波f1と高周波f2が合わさる点(図中g)、 の7点をモニターした。さらに反応容器として図4の4
40を用い、高周波導入カソード電極411の温度変化
もモニターした。温度の測定は、全て光ファイバー温度
計を各点に接触させて行った。本発明者らは、2つの高
周波電力を各々入射電力(Pf1、Pf2)で供給し、
それぞれの反射電力(Pr1、Pr2)がモニターにお
いて最小になるよう高周波整合器内の可変コンデンサー
を調整したところ、次のような現象が発生することが判
った。高周波f1の反射電力Pr1を入射電力Pf1に
対し略0%になるよう高周波整合器151−1内の可変
コンデンサーを調整したところ、高周波f2用の整合器
151−2内の温度上昇が顕著となった。そこで、高周
波整合器151−2内の可変コンデンサーを調整したと
ころ、反射電力Pr1は入射電力Pf1に対し数%発生
したが、高周波整合器151−2内の昇温は緩やかにな
った。一方そのとき高周波導入用電極411の温度は可
変コンデンサー調整前に比べ上昇した。次に高周波f2
の反射電力Pr2を入射電力Pf2に対し略0%になる
よう高周波整合器151−2内の可変コンデンサーを調
整したところ、高周波整合器151−1及び高周波整合
器151−2内の温度上昇が顕著となった。そこで高周
波整合器151−1および151−2内の可変コンデン
サーを調整したところ、反射電力Pr1、Pr2は入射
電力Pf1、Pf2に対し5%ほど発生したが、高周波
整合器内の昇温は緩やかになった。一方、高周波導入用
電極411の温度は可変コンデンサー調整前に比べ上昇
した。そこで、本発明者らは伝送経路上の温度変化が緩
やかになるよう、高周波整合器内の可変コンデンサーで
高周波の整合調整をおこない、プラズマ処理を行ったと
ころ、再現性が向上し、さらにプラズマ処理特性も向上
することが判った。この原因に関しては定かではない
が、本発明者らは以下のように考える。2つの異なる周
波数f1、f2の高周波を一つの電極に導入する場合、
まず高周波f1の電源から見て負荷となるのはプラズマ
処理を行う反応容器はもちろんであるが、さらに周波数
f2の高周波整合器も負荷となり得ると考えられる。そ
のため、電源側の反射電力のモニターを最小にしても、
反応容器側で高周波電力の大部分が消費されているとは
限らず高周波整合器側で高周波電力の一部が消費されて
しまう場合が発生する。この場合、例えば反応容器側の
インピーダンスが変化した場合、高周波整合器側により
高周波電力が伝送し易くなり、その結果、反応容器で消
費されるべき高周波電力も変化してしまい再現性が充分
得られなくなってしまうのではないかと考えられる。反
応容器のインピーダンスの変化は、プラズマ処理により
反応容器を構成する部材の温度が変化し、それ自身の形
状が変化すること、または他の部材との相対的な位置関
係が変化することにより起こってしまう。更にプラズマ
処理として堆積膜の形成を行った場合には、さらに部材
表面に堆積する堆積膜により部材の表面抵抗や容量等が
変化し、よりインピーダンスの変化が大きくなると考え
られる。
【0015】一方、本発明のように、伝送経路の温度を
モニターし、その温度を参照し高周波の整合調整を行う
ことは、伝送経路上の高周波のロスを管理および制御す
ることであり、その結果反応容器側への高周波の伝送が
安定して、良好な再現性が得られると考えられる。ま
た、反応容器側のインピーダンスの変化に対しても、反
応容器側へ高周波電力を安定して伝送することが可能と
なるので、プラズマ処理の再現性が向上し、さらにプラ
ズマが安定して形成されるのでプラズマ処理特性が向上
すると考えられる。
【0016】また、伝送経路の温度変化を小さくするこ
とは、伝送経路上での電力ロスを少なくすることなの
で、反応容器直前の高周波導入用電極に充分高周波が伝
送され、高周波導入用電極の温度上昇が顕著になってき
たと考えられる。以上のような本発明の効果は、供給す
る2つの入射電力を変化させたり、プラズマ処理の条件
や、プラズマ処理容器の形状を変化させ負荷側のインピ
ーダンスを変化させても、同様に得られた。本発明にお
いては、少なくとも2つの異なる周波数の高周波の伝送
経路の温度をモニターし、その温度を参照して高周波の
整合調整を行うものであるが、プラズマ処理毎に温度を
モニターし、高周波の整合調整を実施してもよいが、プ
ラズマ処理条件が同一の処理を繰り返し実施する場合
は、一度プラズマ処理中の温度変化をモニターして高周
波の整合調整を実施したら、その際の制御条件(反射電
力、高周波整合器内の可変コンデンサー容量等)を参考
にしその後は温度モニターを省略し同一処理を行っても
再現性良くプラズマ処理が可能である。後者の方が、プ
ラズマ処理装置が多数存在する場合には、温度モニター
手段等が少数(1セット)ですむため、コスト的に好ま
しい。高周波の整合調整の仕方は、単位時間内での伝送
経路の温度変化が、測定個所、プラズマ処理条件、測定
時の伝送経路の温度、の条件によりあらかじめ決められ
た範囲内になるよう、高周波整合器により調整する。高
周波整合器の調整の仕方としては、特に制限は無く、温
度変化をモニターしながら手動で高周波整合器を調整し
てもよいし、また、温度変化を制御回路に信号として取
り込み、予め決められた範囲内になるよう自動で制御し
てもよい。また、前述のように一度プラズマ処理中の温
度変化をモニターし反射電力を調整したら、その際の制
御条件(反射電力、高周波整合器内の可変コンデンサー
容量等)をメモリーしておき、温度モニターを省略しメ
モリーした制御条件で高周波整合器を調整してもよい。
温度モニターの方法は接触式、非接触式いずれの方法で
も問題なく、例えば光ファイバー温度計、白金温度計、
サーミスタ、熱電対、放射温度計等が利用可能である。
【0017】温度モニターする場所は高周波電源から高
周波導入用電極までの伝送経路上ならどこでもよいが、
高周波整合器内の伝送経路上に設けるほうが好ましい。
これは、高周波整合器はそれ自身が高周波に対する負荷
となり高周波電力が消費され易いから、この温度を制御
することが、特に再現性向上のために効果的である。温
度モニター個所は何箇所でもよいが、測定個所が複数あ
るほうが、高周波電力の伝送経路上の消費を精密にモニ
ター可能であり、反射電力の調整の精度が向上してプラ
ズマ処理の再現性向上により効果的である。
【0018】本発明において、高周波導入用電極には周
波数の異なる複数の高周波電力を供給することが必要で
あるが、高周波導入用電極に供給する高周波電力は2つ
であれば充分に効果が得られる。異なる複数の周波数を
供給することにより、単独の周波数でプラズマ処理を行
う場合に発生する、定在波による電力の強弱が原因と考
えられるプラズマ処理の不均一性が抑制される。
【0019】本発明において、複数の高周波電力の関
係、即ち、周波数ならびに電力比率は実際に真空処理特
性の均一性を確認しながら決定すればよいが、それぞれ
の高周波の周波数の差があまりにも小さいと実質的に同
一周波数の高周波電力を印加した場合と同等となってし
まい定在波の抑制効果が得られなくなってしまう。ま
た、その差が大きすぎると、周波数が小さい方の高周波
電力の高周波電界定在波の波長が、周波数が大きい方の
高周波電力の高周波電界定在波の波長に対してあまりに
も大きすぎて、これもまた十分な定在波抑制効果が得ら
れない。本発明においては、高周波導入用電極に供給す
る複数の高周波電力は、周波数が10MHz以上250
MHz以下の高周波電力を少なくとも2つ含むことが本
発明の効果を得る上で好ましい。上記周波数が10MH
zより低くなると、高速な処理速度を得ることが困難に
なる。より好ましくは30MHz以上とすることが堆積
速度の点で好ましい。
【0020】一方周波数が250MHzよりも高くなる
と、高周波電力の進行方向への減衰が顕著となって、周
波数の異なる高周波電力との減衰率のずれが顕著となっ
てしまい、十分な均一化効果が得られなくなってしま
う。よって250MHz以下にすることが重畳効果が有
効に得られるので好ましい。また、高周波導入用電極に
供給する高周波電力の電力比率に関しては、上記の周波
数の2つの高周波電力を供給する場合、第1の高周波電
力をP1、これより周波数の低い第2の高周波電力をP
2としたときに、電力の総和(P1+P2)に対する第
2の高周波電力P2の比率を0.1以上0.9以下の範
囲とすることが、本発明の効果を得る上で好ましい。第
2の高周波電力が電力の総和に対してこの範囲よりも小
さいと、高周波電界は第1の高周波電力に起因する成分
が支配的となってしまい定在波抑制効果がみられない。
一方、第2の高周波電力を大きくするに従って、第2の
高周波電力が反応容器中での原料ガス分解に及ぼす影響
が高まり、第2の高周波電力を単独で用いた場合に近く
なり、定在波抑制効果が小さくなる。したがって、少な
くとも一方の高周波電力が、2つの合計電力に対して1
0%以上にすることが定在波抑制効果を確実に得るうえ
で必要である。
【0021】以上のように2つの高周波電力を組み合わ
せた場合に本発明の効果は十分に得られるが、さらに第
3の高周波電力を組み合わせることも可能である。第3
の高周波電力の範囲としては、第1、第2の高周波電力
が適切な範囲に設定されている限りにおいては特に制限
はないが、以下のようにすることができる。第3の高周
波電力(電力P3、周波数f3とする)が、10MHz
以上250MHz以下の範囲にある場合には、第1の高
周波電力(P1、f1)、第2の高周波電力(P2、f
2)を組合わせた場合と同様のメカニズムが期待でき
る。このとき、P1〜P3の中で、電力値の上位2つを
P1、P2と再定義すれば、P3は最も電力値が低いこ
とになる。この場合には、P3によるマッチング不整合
が起こりにくく、且つP3による定在波抑制効果が加わ
るため、P1、P2を組合わせた際よりもさらにムラが
抑制される場合があり、好ましい。一方、例えば真空処
理中のバイアス効果を高めるために、本発明の範囲外、
例えば数十kHz〜数百kHz程度の周波数の高周波電
力を同時に供給してもよい。このように、更なる電力を
供給する場合には、その電力を加えることで真空処理特
性の均一性が損なわれない程度の電力とする必要があ
る。
【0022】本発明は、前述したa−Siやa−SiC
以外の薄膜の作成や、ポリシリコン等のエッチング、表
面酸化又は表面窒化等の表面改質等にも使用することが
可能である。例えば、本発明の方法をエッチングに適用
した場合、均一なプラズマによって均一なエッチング処
理が進行するので、下地材料を削ったり、被エッチング
材が残ってしまうことのない良質なエッチングが再現性
良く可能となる。
【0023】さらに本発明の構成は、電子写真感光体な
らびにその製造の場合により効果的である。電子写真感
光体は、比較的厚膜のため、長時間の堆積膜形成を行う
必要があり、かつ大面積の基体への堆積膜形成が必要で
ある。そして、その全領域にわたって構造欠陥が存在し
ない必要がある。そのため本発明によれば、基体上に膜
厚、膜質共に均一で良好な特性の堆積膜を安定して得る
ことができるためデバイス特性の向上ならびに生産性の
向上にともなうコスト低減の上できわめて効果的であ
る。また、本発明の構成は、電子写真感光体のみならず
光起電力素子用のような大型の基体に対して大きな効果
を発揮するが、基体が大きくなくても、高周波導入用電
極の大きさに対して相対的に短い波長の高周波を使用す
る場合には大きな効果を発揮する。また、本発明の構成
において、少なくも2つの異なる周波数の高周波は、一
つのシールドボックス内にそれぞれの整合回路が設けら
れた高周波整合器を介し反応容器に供給されることほう
が好ましい。図2は、整合回路を一つのシールドボック
ス内に設けた場合の高周波電源及び高周波整合器を中心
としたプラズマ処理装置全体の模式的構成図である。こ
れは、整合回路を図1の様に、各周波数電源に対し各々
個別に設けるより、図2の様に、一つのシールドボック
ス内に設けるほうが、整合回路から反応容器までの距離
を短くできるため、伝送経路上の電力ロスを低減でき
る。さらに、複数の周波数を用い、一つの電極に電力を
供給する場合、前述のように、一つの電源から見て、反
応容器と、もう一方の電源の整合回路とが負荷となる。
よって、前述の反応容器までの伝送経路を短くできる効
果と、もう一方の電源の整合回路までの伝送経路を短く
できる効果が有り、その相乗効果により、伝送経路内の
電力ロスによるプラズマ処理の不安定性が大幅に改善で
きるためと考えられる。この効果は特に、プラズマ処理
に使用する電源の周波数が比較的高周波の場合に効果が
より顕著となる。
【0024】
【実施例】以下、実施例により、本発明について更に詳
細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定される
ものではない。
【0025】〔実施例1、実施例2及び比較例1〕図1
に示したプラズマ処理装置の構成で、反応容器として
は、図4に示した電子写真用光受容部材の形成装置を用
い、長さ358mm、外径φ 108mmの鏡面加工を
施したAl製シリンダー(円筒状基体)上にa−Si:
H膜を主とする電子写真用光受容部材を作製した。電子
写真用光受容部材の形成条件としては表1の条件を用い
た。
【0026】(実施例1)本実施例においては、発振周
波数として、100MHz(f1)と50MHz(f
2)の2種類の周波数の高周波電力をカソードに供給し
た。また、高周波整合器151−1、150−2に設置
されている2個の可変コンデンサー間に光ファイバー温
度計(ラクストロン社、光ファイバー温度計プローブS
IW−5)を設置し高周波整合器内の伝送経路の温度を
モニターし、プラズマ処理開始後の温度変化が予め決定
した所定の温度変化になるよう、高周波整合器により高
周波の整合調整を行い、電子写真用光受容部材を作成し
た。
【0027】(比較例1)本比較例では、伝送経路の温
度のモニターは行わず、入射電力に対する反射電力の比
率を略0%となるように反射電力を調整した以外は実施
例1と同様にして電子写真用光受容部材を作成した。
【0028】(実施例2)図2に示したプラズマ処理の
構成とした以外は実施例1と同様にして電子写真用光受
容部材を作製した。温度測定は、図中に示したように、
高周波整合器のa、bの2箇所で行った。
【0029】実施例1、2及び比較例1では、それぞれ
電子写真用光受容部材を連続して10回作成した。
【0030】作製した電子写真用光受容部材を本テスト
用に改造したキヤノン製複写機GP−605に設置して
「感度」「感度のロット再現性」に関し以下の方法で評
価した。
【0031】「感度」プロセススピード300mm/s
ec、前露光(波長680nmのLED)光量4lx・
s、像露光(波長660nmのレーザー)をOFFした
条件で、電子写真装置の帯電器位置にセットした表面電
位計(TREK社 Model344)の電位センサー
により電子写真用光受容部材の表面電位が400Vにな
るように帯電器の電流を調整する。その後、像露光を照
射し、像露光光源の光量を調整して、表面電位が50V
となるようにし、そのときの露光量を測定する。電子写
真用光受容部材の軸方向に20mm間隔で測定し、各点
での平均を算出し感度とした。10回の各ロットとも測
定し、その平均をもって感度とした。
【0032】「感度のロット再現性」前述の感度に関
し、10回の各ロットの最大値と最小値の差をもって、
感度のロット再現性とした。得られた結果を、表2に示
す。なお表2においては比較例1で得られた結果を基準
とした相対評価で示した。表2から明らかなように、本
発明のように伝送経路の温度変化をモニターし、該モニ
ターを参照して高周波の反射電力を調整してプラズマ処
理を行うことで、処理の再現性、安定性がより向上し、
さらにプラズマ処理特性も向上することが判った。これ
は、プラズマ処理が安定したことにより、プラズマ処理
特性が向上したと考えられる。一方、異なる周波数の高
周波を、一つのシールドボックス内にそれぞれの整合回
路が設けられた高周波整合器を介し反応容器に供給する
ことで、より再現性の点で好ましいことが判った。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】〔実施例3、実施例4及び比較例1〕図2
に示したプラズマ処理の構成で、反応容器としては、図
5に示した電子写真用光受容部材の形成装置を用い、長
さ358mm、外径φ 30mmの鏡面加工を施したA
l製シリンダー(円筒状基体)上にa−Si:H膜を主
とする電子写真用光受容部材を作製した。図5は円筒状
基体が同心円状に複数等間隔で配置されたプラズマ処理
装置の模式的構造図であり、図5のプラズマ処理装置
は、図4と比較し円筒状基体510が同心円状に8本等
間隔で配置され、高周波導入用カソード電極511がシ
リンダー間に位置するように8本設置され、原料ガス導
入管515が反応容器の中心に1本配置されていること
が特徴となっている。電子写真用光受容部材の形成方法
は、前述の図4の装置を用いた場合と同様である。電子
写真用光受容部材の形成条件としては表3の条件を用い
た。
【0036】(実施例3)本実施例においては、発振周
波数として、100MHz(f1)と60MHz(f
2)の2種類の周波数の高周波電力を高周波導入用電極
に供給した。また、光ファイバー温度計を図2中に示し
たように高周波整合器のa〜eの各点に接触させ、温度
変化をモニターした。そして、プラズマ処理開始後の各
点の温度変化が予め決定した所定の温度変化になるよ
う、高周波整合器により高周波の整合調整を実施し、電
子写真用光受容部材を連続して15回作成した。
【0037】(実施例4)本実施例においては、実施例
3と同様に伝送経路の温度変化をモニターし、該温度モ
ニターを参照してプラズマ処理開始後の各点の温度変化
が予め決定した所定の温度変化になるよう、高周波整合
器により高周波の整合調整を実施し電子写真用光受容部
材を作成した。このとき、プラズマ処理中の高周波整合
器による高周波の整合調整条件をメモリーした。つぎ
に、メモリーした情報に従い高周波整合器により高周波
の整合調整を実施し、電子写真用光受容部材を連続し1
4回作成、合計で15回作成した。
【0038】(比較例2)本比較例では、伝送経路の温
度モニターを行わず、各周波数の入射電力に対する反射
電力の比率を略0%に常時維持しプラズマ処理を行った
以外は実施例3と同様に電子写真用光受容部材を連続し
15回作成した。このようにして作製した感光体を、本
テスト用に改造したキヤノン製複写機GP−405に設
置して「感度」、「感度ロット再現性」、「8本ムラ」
の特性評価を行なった。
【0039】「感度」、「8本むら」プロセススピード
200mm/sec、前露光(波長680nmのLE
D)光量4lx・s、像露光(波長660nmのレーザ
ー)をOFFした条件で、電子写真装置の帯電器位置に
セットした表面電位計(TREK社 Model34
4)の電位センサーにより電子写真用光受容部材の表面
電位が400Vになるように帯電器の電流を調整する。
その後、像露光を照射し、像露光光源の光量を調整し
て、表面電位が50Vとなるようにし、そのときの露光
量を測定する。電子写真用光受容部材の軸方向に20m
m間隔で測定し、各点での平均を算出した。これを、1
ロットの8本全てで測定し、その平均をもって感度とし
た。また8本の最大値と最小値の差をもって8本むらと
した。得られた結果を、表4に示す。なお表4において
は比較例2で得られた結果を基準とした相対評価で示し
た。表4から明らかなように、本発明のように伝送経路
の温度をモニターし、その温度を参照し高周波の反射電
力を調整しプラズマ処理を行うことで、処理の均一性が
より向上することが判った。さらに、プラズマ処理特性
も向上することが判った。これは、プラズマ処理が安定
したことにより、均一性およびプラズマ処理特性が向上
したと考えられる。また、一度伝送経路の温度変化を参
照し、高周波の反射電力の調整が決定されれば、同一条
件のプラズマ処理ならば、常時伝送経路の温度をモニタ
ーする必要は無く、決定された反射電力の調整に従えば
均一性良くプラズマ処理が実施可能であることが判っ
た。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】(実施例5)図1に示したプラズマ処理の構
成で、反応容器としては、図4に示した電子写真用光受
容部材の形成装置を用い、長さ358mm、外径φ 1
08mmの鏡面加工を施したAl製シリンダー(円筒状
基体)上にa−Si:H膜を主とする電子写真用光受容
部材を作製した。
【0043】本実施例においては、発振周波数として、
f1は105MHzに固定し、f2を30MHz、40
MHz、50MHz、60MHz、70MHzと変化さ
せて、電子写真用光受容部材をそれぞれ作製した。それ
以外は、実施例1と同様の条件で電子写真用光受容部材
を作製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果、
各条件とも実施例1同様、良好なプラズマ処理特性が得
られ、かつ良好なプラズマ処理の再現性が得られた。
【0044】(実施例6)図1に示したプラズマ処理の
構成で、反応容器としては、図4に示した電子写真用光
受容部材の形成装置を用い、長さ358mm、外径φ
108mmの鏡面加工を施したAl製シリンダー(円筒
状基体)上にa−Si:H膜を主とする電子写真用光受
容部材を作製した。
【0045】本実施例においては、電力比率(P2/
(P1+P2))を0.1、0.3、0.5、0.7、
0.9と変化させて電子写真用光受容部材をそれぞれ作
製した。発振周波数として、f1は105MHz、f2
は60MHzとした。それ以外は、実施例1と同様の条
件で電子写真用光受容部材を作製し、実施例1と同様の
評価を行った。その結果、各条件とも実施例1同様、良
好なプラズマ処理特性が得られ、かつ良好なプラズマ処
理の再現性が得られた。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、プラズ
マ処理特性の向上が再現性良く、安定して達成可能とな
る。その結果、プラズマ処理コストの低減が可能となる
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実際にプラズマ処理を実施する場合の高周波電
源及び高周波整合器を中心としたプラズマ処理装置全体
の模式的構成図である。
【図2】整合回路を一つのシールドボックス内に設けた
場合の高周波電源及び高周波整合器を中心としたプラズ
マ処理装置全体の模式的構成図である。
【図3】堆積膜形成装置の一例を示した模式的な構成図
である。
【図4】堆積膜形成装置の一例を示した模式的な構成図
である。(a)は部分断面正面図である。(b)は
(a)のX−X断面の断面図である。
【図5】堆積膜形成装置の一例を示した模式的な構成図
である。(a)は部分断面正面図である。(b)は
(a)のX−X断面の断面図である。
【符号の説明】
140、240、340、440、540 反応容器 150−1、150−2、250−1、250−2、3
50、450、550高周波電源 150a、250a、 アンプ 150b、250b、 サ−キュレータ 150c、250c 方向性結合器 150d、250d 電力モニター部 150e、250e ダミーロード 151−1、151−2、252、351、451、5
51高周波整合器 153−1、153−2、253−1、253−2
フィルタ 160 温度測定器 160a 温度モニター 301、401、501 堆積装置 302、402、502 原料ガス供給装置 305 碍子 306 蓋 307、407、507 高周波シールド 310、410、510 円筒状支持体 311、411、511 カソード電極 312、412、512 基体ホルダ 316、416、516 基体加熱用ヒータ 315、415、515 ガス導入管 320、 420、 520 原料ガス供給装置 326、426、526 補助バルブ 327 ガス配管 328、428、538 駆動装置 330、430、530 排気装置 331、431、531 メインバルブ 342 真空計 404、504 反応壁 405 下部プレート 406 上蓋 408、508 絶縁体 413 排気管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村山 仁 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 青木 誠 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 4K030 FA03 JA10 JA16 JA18 KA12 KA30 KA39 LA16 LA17 5F045 AB04 AC01 AC19 EH15 EH19 GB05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応容器内にプラズマ処理の対象となる
    被処理物を配置し、少なくとも2つの異なる周波数の高
    周波電力を同一の高周波電極に同時に供給し、該高周波
    電極より該反応容器内に導入された高周波電力によって
    プラズマを形成して前記被処理物を処理するプラズマ処
    理方法において、 少なくとも2つの異なる周波数の前記高周波電力の伝送
    経路の温度をモニターし、該温度を参照して前記伝送経
    路上の温度変化が緩やかになるように前記高周波電力の
    整合調整を行って、前記被処理物を処理することを特徴
    とするプラズマ処理方法。
  2. 【請求項2】 少なくも2つの異なる周波数の前記高周
    波電力の、それぞれの整合回路内の伝送経路の温度をモ
    ニターし、該温度を参照して前記高周波電力の整合調整
    を行って被処理物を処理する、請求項1に記載のプラズ
    マ処理方法。
  3. 【請求項3】 前記高周波電力の伝送経路の温度のモニ
    ターは、伝送経路の複数の位置で行われる、請求項1ま
    たは請求項2に記載のプラズマ処理方法。
  4. 【請求項4】 前記複数の高周波電力は周波数が10M
    Hz以上250MHz以下の高周波電力を少なくとも二
    つ含み、該周波数範囲内にある高周波電力が有する電力
    値の中で最も大きい電力値と次に大きい電力値を有する
    高周波電力について、そのうち周波数の高い方の高周波
    電力の電力値をP1、周波数の低い方の高周波電力の電
    力値をP2としたとき、前記電力値P1、P2が 0.1≦P2/(P1+P2)≦0.9 の条件を満たす、請求項1から請求項3のいずれか1項
    に記載の真空処理方法。
  5. 【請求項5】 少なくも2つの異なる周波数の前記高周
    波電力は、一つのシールドボックス内にそれぞれの整合
    回路が設けられた高周波整合器を介して反応容器に供給
    される、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の
    プラズマ処理方法。
  6. 【請求項6】 反応容器内にプラズマ処理の対象となる
    被処理物を配置する手段、少なくとも2つの異なる周波
    数の高周波電力を同一の高周波電極に同時に供給する手
    段を有し、該高周波電極より該反応容器内に導入された
    前記高周波電力によってプラズマが形成されて被処理物
    が処理されるプラズマ処理装置において、 さらに、少なくとも2つの異なる周波数の前記高周波電
    力の伝送経路の温度を検知する手段と、該温度を検知す
    る手段からの信号を参照して前記伝送経路上の温度変化
    が緩やかになるように前記高周波電力の整合調整を行う
    手段とを有することを特徴とするプラズマ処理装置。
  7. 【請求項7】 前記温度を検知する手段が、少なくも2
    つの異なる周波数の前記高周波電力の、それぞれの整合
    回路内の伝送経路に設けられている、請求項6に記載の
    プラズマ処理装置。
  8. 【請求項8】 前記温度を検知する手段は、伝送経路の
    複数の位置に設置されている、請求項6または請求項7
    に記載のプラズマ処理装置。
  9. 【請求項9】 少なくも2つの異なる周波数の前記高周
    波電力のそれぞれの整合回路が、一つのシールドボック
    ス内に設けられている、請求項6から請求項8の何れか
    1項に記載のプラズマ処理装置。
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JP2007080811A (ja) * 2005-08-05 2007-03-29 Advanced Micro-Fabrication Equipment Inc Asia 真空反応室のrfマッチングネットワーク及びその配置方法
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