JP2002220670A - 真空処理方法 - Google Patents

真空処理方法

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JP2002220670A
JP2002220670A JP2001017010A JP2001017010A JP2002220670A JP 2002220670 A JP2002220670 A JP 2002220670A JP 2001017010 A JP2001017010 A JP 2001017010A JP 2001017010 A JP2001017010 A JP 2001017010A JP 2002220670 A JP2002220670 A JP 2002220670A
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frequency
power
reaction vessel
vacuum processing
powers
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JP2001017010A
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Toshiyasu Shirasago
寿康 白砂
Hitoshi Murayama
仁 村山
Makoto Aoki
誠 青木
Hiroaki Niino
博明 新納
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空処理速度を向上させ、真空処理特性を再
現性良く安定して達成可能とし、真空処理コストの低減
が可能な真空処理方法を提供する。 【解決手段】 反応容器140内に円筒状基体(不図
示)を設置し、反応容器140内に導入した原料ガス
を、周波数が互いに異なる複数の高周波電力をカソード
電極(不図示)を介して反応容器140内に供給するこ
とによって分解してプラズマを生成し、円筒状基体を処
理する。このとき、複数の高周波電力のうちの少なくと
も1つの高周波電力の入射電力に対する反射電力の比率
を所定の範囲内に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空処理方法に関
し、特に半導体デバイスとしての電子写真感光体、画像
入力用ラインセンサー、撮像素子、光起力素子等に有用
な結晶質または非単結晶質の機能性堆積膜を好適に形成
し得るプラズマCVD法による半導体装置の製造方法に
適用される真空処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体デバイス、電子写真感光
体、画像入力用ラインセンサー、撮影デバイス、光起電
力デバイス、その他各種エレクトロニクス素子、光学素
子等の形成に用いる真空処理方法として、真空蒸着法、
スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ
エッチング法等が多数知られており、そのための装置も
実用に付されている。例えばプラズマCVD法、すなわ
ち、原料ガスを直流または高周波グロー放電により分解
し、基体上に薄膜状の堆積膜を形成する方法は好適な堆
積膜形成手段として実用化されており、例えば水素化ア
モルファスシリコン(以下、「a−Si:H」と表記す
る。)堆積膜の形成等に利用され、そのための装置も各
種提案されている。
【0003】このような堆積膜の形成装置及び形成方法
は概略以下のようなものである。
【0004】図3は、RF帯の高周波電力を用いたプラ
ズマCVD法による堆積膜形成装置、具体的には電子写
真感光体の形成装置の一例を示す模式的な構成図であ
る。図3に示す形成装置の構成は以下の通りである。
【0005】この装置は大別すると、堆積装置301、
原料ガス供給装置302、反応容器340内を減圧する
ための排気装置330から構成されている。反応容器3
40はAl製のカソード電極304、碍子305、蓋3
06から成り、高周波シールド307で全体が囲われて
いる。堆積装置301中の反応容器340内には円筒状
基体310、基体加熱用ヒーター316、原料ガス導入
管315が設置され、更に高周波マッチングボックス3
51が反応容器340の一部を構成するカソード電極3
04に接続されている。カソード電極304は碍子30
5によりアース電位と絶縁され、アース電位に維持され
アノード電極を兼ねた円筒状基体310との間に高周波
電圧が印加可能となっている。
【0006】原料ガス供給装置302は、SiH4
2、CH4、B26、PH3等の原料ガスのボンベ(不
図示)とバルブ(不図示)およびマスフローコントロー
ラー(不図示)から構成され、各原料ガスのボンベは補
助バルブ326を介して反応容器304内のガス導入管
315に接続されている。
【0007】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行なうことができる。
【0008】まず、反応容器340内に円筒状基体31
0を基体ホルダー312に装着した状態で設置し、排気
装置330(例えば真空ポンプ)により反応容器340
内を排気する。続いて、基体加熱用ヒーター316によ
り円筒状基体310の温度を200℃乃至350℃の所
定の温度に制御する。
【0009】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器340
に流入させるには、ガスボンベのバルブが閉じられてい
ることを確認し、また、補助バルブ326が開かれてい
ることを確認して、まずメインバルブ331を開いて反
応容器340およびガス配管内327を排気する。
【0010】次に真空計342の読みが約0.1Paに
なった時点で補助バルブ326を閉じる。
【0011】その後、ガスボンベ(不図示)より各ガス
を導入し、各ガスをマスフローコントローラー(不図示)
に導入する。
【0012】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、以下の手順で各層の形成を行う。
【0013】円筒状基体310が所定の温度になったと
ころで補助バルブ326を徐々に開き、ガスボンベ(不
図示)からガス導入管315を介して所定のガスを反応
容器340内に導入する。次にマスフローコントローラ
ー(不図示)によって各原料ガスが所定の流量になるよう
に調整する。その際、反応容器340内の圧力が所定の
値になるように、真空計342を見ながらメインバルブ
331の開口量を調整する。内圧が安定したところで、
周波数13.56MHzのRF電源350を所望の電力
に設定して、高周波マッチングボックス351、カソー
ド電極304を通じて反応容器340内にRF電力を導
入し、円筒状基体310をアノードとして作用させてグ
ロー放電を生起させる。この放電エネルギーによって反
応容器340内に導入された原料ガスが分解され、円筒
状基体310上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜
が形成されるところとなる。所望の膜厚の形成が行われ
た後、RF電力の供給を止め、また反応容器へのガスの
流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0014】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0015】また、膜形成の均一化を図るために、層形
成を行なっている間は、円筒状基体310を駆動装置3
28によって所定の速度で回転させることも有効であ
る。
【0016】さらに、上述のガス種およびバルブ操作は
各々の層の作成条件にしたがって変更が加えられること
は言うまでもない。
【0017】このようなRFプラズマCVD法に加え、
VHF帯の高周波電力を用いたプラズマCVD(以後
「VHF−PCVD」と略記する。)法が注目を浴びて
おり、これを用いた各種堆積膜の開発も積極的に進めら
れている。
【0018】VHF−PCVD法では膜堆積速度が速
く、また高品質な堆積膜が得られるため、製品の低コス
ト化、高品質化を同時に達成し得るものと期待されるた
めである。
【0019】例えば、特開平6−287760号公報に
は、アモルファスシリコン系電子写真用感光体の形成に
用いられる装置および方法が開示されている。また、図
4に示すような堆積膜形成装置の開発も進められてい
る。
【0020】図4は他の堆積膜形成装置を示す図であ
り、同図(A)は該装置の概略断面図、同図(B)は同図
(A)のX−X線における概略横断面図である。
【0021】この装置は大別すると、堆積装置401、
原料ガス供給装置402、反応容器440内を減圧する
ための排気装置430から構成されている。反応容器4
40は例えばアルミナセラミックスからなる誘電体の反
応壁404、下部プレート405、上蓋406から成
り、高周波シールド407で全体が囲われている。反応
壁404と高周波シールド407との間には棒状のカソ
ード電極411が複数設置されている。堆積装置401
中の反応容器440内には円筒状基体410、基体加熱
用ヒーター416、原料ガス導入管415が設置されて
いる。また、複数のカソード電極411は反応容器44
0の上部空間で集結し、マッチングボックス451、高
周波電源450に接続されている。各カソード電極41
1は碍子408によりアース電位と絶縁されている。
【0022】このような装置を用いた堆積膜形成は、概
略以下のような手順により行なうことができる。
【0023】まず、反応容器440内に円筒状基体41
0を設置し、排気装置430により排気管を通して反応
容器440内を排気する。続いて、基体加熱ヒーター4
16により円筒状基体410を150℃〜300℃程度
の所定の温度に加熱・制御する。
【0024】円筒状基体410が所定の温度となったと
ころで、原料ガス導入管415を介して、原料ガスを反
応容器440内に導入する。原料ガスの流量が設定流量
となり、また、反応容器440内の圧力が安定したのを
確認した後、高周波電源450よりマッチングボックス
451を介してカソード電極411へ所定のVHF電力
を供給する。これにより、反応容器440内に誘電体か
らなる反応壁404を透過したVHF電力が導入され、
反応容器440内にグロー放電が生起し、原料ガスが励
起解離して円筒状基体410上に堆積膜が形成される。
【0025】堆積膜を所望の膜厚に形成した後、VHF
電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して堆
積膜の形成を終える。同様の操作を複数回繰り返すこと
によって、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0026】堆積膜の形成中、円筒状基体410をモー
タ428により所定の速度で回転させることにより、円
筒状基体410の表面全周にわたって均一な堆積膜が形
成される。
【0027】また、複数の電子写真用光受容部材を同時
に形成でき、生産性の極めて高い、図5に示すような堆
積膜形成装置の開発も進められている。
【0028】図5はさらに他の堆積膜形成装置を示す図
であり、同図(A)は該装置の概略断面図、同図(B)は同
図(A)のX−X線における概略横断面図である。
【0029】この装置は大別すると、堆積装置501、
原料ガス供給装置502、反応容器540内を減圧する
ための排気装置530から構成されている。反応容器5
40は例えばアルミナセラミックスからなる誘電体の反
応壁504、下部プレート505、上蓋506から成
り、高周波シールド507で全体が囲われている。反応
壁504と高周波シールド507との間には棒状のカソ
ード電極511が複数設置されている。堆積装置501
中の反応容器540内には円筒状基体510、基体加熱
用ヒーター516、原料ガス導入管515が設置されて
いる。また、複数のカソード電極511は反応容器44
0の上部空間で集結し、マッチングボックス551、高
周波電源550に接続されている。各カソード電極51
1は碍子508によりアース電位と絶縁されている。
【0030】図5に示す装置では、原料ガス導入管51
5が反応容器540の中心に配置され、8本の円筒状基
体510が原料ガス導入管515を中心とする円上に等
間隔に配置され、8本のカソード電極511が、8本の
円筒状基体510が成す円よりも大きな、原料ガス導入
管515を中心とする同心円上の、隣り合う円筒状基体
510の間の領域に等間隔に配置されている。
【0031】このような装置を用いた堆積膜形成は概略
以下のような手順により行なうことができる。
【0032】まず、反応容器540内に8本の円筒状基
体510を設置し、排気装置530により排気管を通し
て反応容器540内を排気する。続いて、基体加熱ヒー
ター516により円筒状基体510を150℃〜300
℃程度の所定の温度に加熱・制御する。
【0033】円筒状基体510が所定の温度となったと
ころで、原料ガス導入管515を介して、原料ガスを反
応容器540内に導入する。原料ガスの流量が設定流量
となり、また、反応容器540内の圧力が安定したのを
確認した後、高周波電源550よりマッチングボックス
551を介してカソード電極511へ所定のVHF電力
を供給する。これにより、反応容器540内に誘電体か
らなる反応壁504を透過したVHF電力が導入され、
反応容器540内にグロー放電が生起し、原料ガスが励
起解離して、8本の各円筒状基体510上に堆積膜が形
成される。
【0034】堆積膜を所望の膜厚に形成した後、VHF
電力の供給を止め、続いて原料ガスの供給を停止して堆
積膜の形成を終える。同様の操作を複数回繰り返すこと
によって、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0035】堆積膜の形成中、各円筒状基体510を駆
動装置520により所定の速度で回転させることによ
り、各円筒状基体510の表面全周にわたって均一な堆
積膜が形成される。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法および
装置により、良好な真空処理がなされる。しかしなが
ら、このような真空処理を用いた製品に対する市場の要
求レベルは日々高まっており、この要求に応えるべく、
より高品質化、低コスト化が実現可能な真空処理方法が
求められるようになっている。
【0037】例えば、電子写真装置の場合、コピースピ
ードの向上、高画質化、低価格化の要求は非常に強く、
これらを実現するためには感光体特性、具体的には帯電
能、感度等の向上、画像上に白点あるいは黒点で現れる
感光体中の構造欠陥に起因する画像欠陥の抑制、及び感
光体生産コストの低下が不可欠となっている。また、近
年その普及が目覚ましいデジタル電子写真装置、カラー
電子写真装置においては、文字原稿のみならず、写真、
絵、デザイン画等のコピーも頻繁に為されるため、画像
濃度むらの低減が従来以上に強く求められるようになっ
ている。
【0038】このような感光体特性の向上、感光体生産
コストの低下を目指し、堆積膜積層構成の最適化等も為
されているが、同時に、真空処理方法の面での改善も強
く望まれている。
【0039】このような状況下において、前述の従来の
真空処理方法においても、真空処理特性の向上、真空処
理コストの低下に関して、まだ改善の余地が残されてい
るのが現状である。
【0040】このような問題を解決するための手段とし
て、例えば、特開平7−74159号公報には、比較的
周波数が高い高周波電力(周波数60MHz)と比較的
周波数が低い高周波電力(周波数400kHz)とを重
ね合わせて基板側の電極に供給し、比較的周波数が低い
方の高周波電力の電力値を変化させることによりセルフ
バイアス電圧を制御して、エッチングレートを上げかつ
パーティクル発生を低減した真空処理方法・装置が開示
されている。
【0041】また、特開昭62−188783号公報に
は、比較的周波数が低い交流電力(20Hz〜1MH
z)と比較的周波数が高い交流電力(1MHz〜100
GHz)とを重畳させた変調周波電力を電極に供給する
ことにより、ヒーターが不要であって成膜速度を速く
し、基体上にアモルファス半導体層を積層形成する静電
潜像担持体の製造方法が開示されている。
【0042】しかしながら、本発明者らは、上記の開示
された技術を用いて真空処理に関する実験を行った結
果、確かに真空処理特性は向上できるものの、真空処理
の再現性、安定性に改良の余地があることが明らかとな
った。
【0043】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、その目的は、真空処理速度を向上させ、真空処
理特性を再現性良く安定して達成可能とし、真空処理コ
ストの低減が可能な真空処理方法を提供することにあ
る。
【0044】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の真空処理方法は、反応容器中に被処理物を
設置し、互いに異なる周波数を有する複数の高周波電力
を同一の高周波電極に同時に供給することにより、該高
周波電極から前記反応容器内に導入された高周波電力に
よって前記反応容器内にプラズマを生起させて前記被処
理物を処理する真空処理方法において、前記複数の高周
波電力のうちの少なくとも1つの高周波電力の入射電力
に対する反射電力の比率を所定の範囲内に設定すること
を特徴とする。
【0045】上記本発明のように構成された真空処理方
法によれば、高い真空処理速度を維持しながら、真空処
理特性を向上させ、真空処理特性を再現性良く安定して
達成し、真空処理コストの低減化を実現することが可能
である。
【0046】また、前記少なくとも1つの高周波電力の
入射電力に対する反射電力の比率を5〜30%の範囲内
に設定する構成としてもよい。この比率を5〜30%の
範囲とすることにより、反応容器のインピーダンスの僅
かな変化に対し、伝送経路、更に反応容器を含めた系が
鈍感となり、その結果、真空処理の安定性、再現性が向
上する。
【0047】さらに、前記複数の高周波電力は周波数が
10MHz以上250MHz以下の高周波電力を少なく
とも2つ含み、該周波数範囲内にある高周波電力が有す
る電力値の中で最も大きい電力値と次に大きい電力値を
有する高周波電力について、そのうち周波数の高い方の
高周波電力の周波数と電力値をそれぞれf1,P1と
し、周波数の低い方の高周波電力の周波数と電力値をそ
れぞれf2,P2としたとき、前記周波数f1,f2お
よび前記電力値P1,P2が、 (a)f2 < f1 (b)0.1 ≦ P2/(P1+P2) ≦ 0.9 の2つの条件(a)および(b)を満たす構成としても
よい。
【0048】さらには、前記複数の高周波電力を、1つ
のシールドボックス内に各々の前記高周波電力用の整合
回路が設けられた高周波整合器を介して前記反応容器内
に導入する構成としてもよい。これにより、整合回路か
ら負荷としての反応容器までの距離を短くでき、伝送系
の電力ロスを低減できるので、伝送経路内の電力ロスに
よる真空処理の不安定性が大幅に改善される。
【0049】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記の本発明の目
的を達成すべく鋭意検討を行った結果、反応容器中に被
処理物を設置し、互いに異なる周波数を有する複数の高
周波電力を同一の高周波電極に同時に供給することによ
り、高周波電極から反応容器内に導入された高周波電力
によって反応容器内にプラズマを生起させて被処理物を
処理する真空処理方法において、複数の高周波電力のう
ちの少なくとも1つの高周波電力の入射電力に対する反
射電力の比率を所定の範囲内に設定して被処理物を処理
することで、再現性が良く、安定して真空処理を実施す
ることが可能であることを見出した。
【0050】実際に真空処理を実施する場合の、高周波
電源および高周波整合器の一構成例を図1に示す。
【0051】図1に示す構成には、周波数f1用の高周
波電源150aと、周波数f2用の高周波電源150b
とが備えられている。高周波電源150aにはフィルタ
ー153aを介して高周波マッチングボックス151a
が接続され、高周波電源150bにはフィルター153
bを介して高周波マッチングボックス151bが接続さ
れており、両高周波マッチングボックス151a,15
1bは共に反応容器140内のカソード電極(不図示)
に接続されている。
【0052】各高周波電源150a,150bからは、
入射電力、反射電力の値がわかるように方向性結合器か
ら電力モニターに信号が出され、モニターの表示を見る
ことで、入射電力および反射電力の値が判り、その差
(入射電力−反射電力)から高周波電力の値が判るよう
になっている。高周波電力は、電源の出力部に接続され
た50Ωの特性インピーダンスの同軸ケーブルを通り、
フィルター153a,153b、高周波マッチングボッ
クス151a,151bを介して反応容器140に達す
る。
【0053】フィルター153aは、高周波f1用の電
源150a側に高周波f2が達するのを防ぐ機能を有し
ている。同様にフィルター153bは、高周波f2用の
電源150b側に高周波f1が達するのを防ぐ機能を有
している。
【0054】マッチングボックス151a,151b
は、図1のように例えばT型の回路構成からなり、パラ
レルおよびシリーズに可変コンデンサーが挿入されてい
る。可変コンデンサーはモーターにより容量が可変とな
っており、モーターは外部の制御回路により制御され
る。また、制御回路に前述の入射電力、反射電力の信号
を取り込むことで、オートマッチングを実施することが
可能となる。
【0055】真空処理の制御方法として周波数f1の高
周波電力および周波数f2の高周波電力の反射電力が最
小となるように、各マッチングボックス151a,15
1b内の可変コンデンサーを調整している。これによ
り、周波数f1および周波数f2の高周波電力の大部分
が反応容器内140に供給される。
【0056】本発明者らは、2つの高周波電力を各々入
射電力(Pf1,Pf2)で供給し、それぞれの反射電
力(Pr1,Pr2)がモニターにおいて最小になるよ
うにマッチングボックス151a,151b内の可変コ
ンデンサーを調整したところ、次のような現象が発生す
ることが判った。例えば、高周波電力(周波数f1)の
反射電力Pr1を入射電力Pf1に対して略0%になる
ように高周波マッチングボックス151a内の可変コン
デンサーを調整し、次に高周波電力(周波数f2)の反
射電力Pr2が小さくなるように高周波マッチングボッ
クス151b内の可変コンデンサーを調整していたとこ
ろ、高周波電力f2の反射電力Pr2が入射電力Pf2
の5%以上では、高周波電力(f2)の反射電力Pr2
は、高周波電力(f2)用の高周波マッチングボックス
151bの可変コンデンサーの容量の変化に応じて緩や
かに変化しており、また高周波電力(f1)の反射電力
Pr1も緩やかに変化していた。しかし、高周波電力
(f2)の反射電力Pr2が入射電力Pf2の略0%以
上5%未満の範囲においては、高周波電力(f2)用の
高周波マッチングボックス151bの可変コンデンサー
を僅かに変化させただけで高周波電力(f2)の反射電
力Pr2が急激に変化し、さらに高周波電力(f1)の
反射電力Pr1も敏感に変化することがわかった。
【0057】そこで、本発明者らは、各々の高周波電力
の入射電力に対する反射電力の比率を5%以上の領域と
し、その範囲で検討を行ったところ、高周波電力(f
2)の反射電力Pr2は、高周波電力(f2)用の高周
波マッチングボックス151bの可変コンデンサーの容
量の変化に応じて緩やかに変化していた。一方、高周波
電力(f1)の反射電力Pr1は僅かに変化しているだ
けで非常に安定していた。
【0058】このことから、本発明者らは、各々の高周
波電力の入射電力に対する反射電力の比率を5%以上に
なるよう制御して真空処理を行うことにより、再現性が
向上し、さらに真空処理特性も向上することが判った。
【0059】このメカニズムに関しては定かではない
が、本発明者らは以下のように考える。
【0060】2つの異なる周波数f1,f2の高周波電
力を1つの電極に導入する場合、まず高周波f1の電源
150aから見て負荷となるのは、真空処理を行う反応
容器140はもちろんであるが、さらに周波数f2用の
マッチングボックス151bも負荷とみなされる。同様
のことが高周波f2の電源150bにも言える。図1に
示す構成では、このように各々の電源150a,150
bから見て負荷が並列につながっており、かつその負荷
のうちの1つが共有するような複雑な伝送系になってい
る。このような系において、各々の高周波電力の入射電
力に対する反射電力の比率を0%近傍に調整でき且つ反
応容器140側に各々の高周波電力(f1,f2)の大
部分を供給できる整合条件は、単独の周波数で真空処理
を行う場合に比べ、例えば反応容器140のインピーダ
ンスの変化に対して極めて敏感と考えられる。
【0061】そのため、例えば負荷側に僅かな変動が発
生した場合、そのインピーダンスの変化により、上記の
ような整合条件が容易に崩れてしまうと考えられる。こ
の場合、負荷の変動の原因としては、1つは反応容器1
40のインピーダンスの変化が挙げられる。反応容器1
40のインピーダンスの変化は、反応容器140を構成
する部材の温度が真空処理により変化して、それ自身の
形状が変化すること、または他の部材との相対的な位置
関係が変化することにより起こってしまう。さらに、真
空処理として堆積膜の形成を行った場合には、さらに部
材表面に堆積する堆積膜により部材の表面抵抗や容量等
が変化し、よりインピーダンスの変化が大きくなると考
えられる。
【0062】このように、2つの異なる周波数の電力を
同一の電極に供給して真空処理を行う場合、反射電力を
入射電力に対して0%近傍に維持したまま真空処理を安
定して行うことは、生産性等の観点からやや難がある。
例えばオートマッチィング機構により反射電力を0%近
傍に維持したまま真空処理を維持することは可能となる
が、現状では、反射電力の変化をある程度検知して初め
てオートマッチィング回路が作動し、反射電力を0%近
傍に調整するため、安定して上記の整合条件を維持して
いるとは言い難い。
【0063】よって、本発明のように入射電力に対して
反射電力を5%以上にすることで、反応容器のインピー
ダンスの僅かな変化に対し、伝送経路、更に反応容器を
含めた系が鈍感となり、その結果、真空処理の安定性、
再現性が向上するものと考えられる。
【0064】以上のような現象は、供給する2つの入射
電力を変化させたり、真空処理の条件や、真空処理容器
に形状を変化させて負荷側のインピーダンスを変化させ
ても、同様に発生した。
【0065】一方、入射電力に対する反射電力の比率を
30%より大きくした場合、逆に真空処理の再現性、安
定性が充分に達成できない場合があることが判った。こ
れは、反射電力が大きいために伝送経路上で消費される
電力が大きくなり、反応容器140で実質的に消費され
る電力が正確に制御でき難くなるためと考えられる。
【0066】本発明において、反応容器140の真空処
理空間内への高周波電力の供給は、同一電極から行う必
要がある。各々異なった周波数の高周波電力を各々別の
電極から供給した場合、電極上では電極ごとに供給高周
波電力の周波数に依存した波長の定在波が生じてしま
う。この結果、電極近傍のプラズマ特性は、この定在波
に応じた分布形状をもってしまい、生成活性種の種類・
比率や、電極に入射するイオンのエネルギーが位置によ
って異なってしまうため、電極近傍上に付着する膜の構
造が位置に依存して異なってしまう。このため、膜構造
そのもの、あるいは、近傍膜との内部応力の違いに起因
して、電極近傍上では付着膜が剥れやすい部分が生じて
しまい、剥れた膜が被処理物上に付着して欠陥を生じや
すくなってしまう。
【0067】本発明では、このような問題を回避するた
めに、周波数の異なる複数の高周波電力を同一電極に供
給する。このようにすることにより、電極近傍上におい
ても定在波は抑制され、上述したような問題が効果的に
抑制される。
【0068】本発明において、カソード電極には周波数
の異なる複数の高周波電力を供給することが必要である
が、カソード電極に供給する高周波電力は2つであれば
充分に効果が得られる。異なる周波数の複数の高周波電
力を供給することにより、単独の周波数の高周波電力で
真空処理を行う場合に発生する、定在波による電力の強
弱が原因と考えられる真空処理の不均一性が抑制され
る。
【0069】本発明において、複数の高周波電力の関
係、即ち、周波数ならびに電力比率は実際に真空処理特
性の均一性を確認しながら決定すればよいが、それぞれ
の高周波電力の周波数の差があまりにも小さいと実質的
に同一周波数の高周波電力を印加した場合と同等となっ
てしまい定在波の抑制効果が得られなくなってしまう。
また、その差が大きすぎると、周波数が小さい方の高周
波電力の高周波電界定在波の波長が、周波数が大きい方
の高周波電力の高周波電界定在波の波長に対してあまり
にも大きすぎて、これもまた十分な定在波抑制効果が得
られない。
【0070】本発明においては、カソード電極に供給す
る複数の高周波波電力は、周波数が10MHz以上25
0MHz以下の高周波電力を少なくとも2つ含むことが
本発明の効果を得る上で好ましい。
【0071】上記周波数が10MHzより低くなると、
高速な処理速度を得ることが困難になる。より好ましく
は30MHz以上とすることが堆積速度の点で好まし
い。
【0072】一方、周波数が250MHzよりも高くな
ると、高周波電力の進行方向への減衰が顕著となって、
周波数の異なる高周波電力との減衰率のずれが顕著とな
ってしまい、十分な均一化効果が得られなくなってしま
う。よって250MHz以下にすることで重畳効果が有
効に得られるため、好ましい。
【0073】また、カソード電極に供給する高周波電力
の電力比率に関しては、上記周波数の2つの高周波電力
を供給する場合、高周波電力が有する電力値の中で最も
大きい電力値と次に大きい電力値を有する高周波電力に
ついて、そのうち周波数の高い方の高周波電力の周波数
と電力値をそれぞれf1,P1とし、周波数の低い方の
高周波電力の周波数と電力値をそれぞれf2、P2とし
たとき、前記周波数f1,f2および前記電力値P1,
P2が、 (a)f2 < f1 (b)0.1 ≦ P2/(P1+P2) ≦ 0.9 の2つの条件(a)および(b)を満たすことが、本発
明の効果を得る上で好ましい。
【0074】P2が電力の総和に対してこの範囲よりも
小さいと、高周波電界はP1に起因する成分が支配的と
なってしまい定在波抑制効果がみられない。一方、P2
を大きくするに従って、P2が反応容器140中での原
料ガス分解に及ぼす影響が高まり、P2を単独で用いた
場合に近くなり、定在波抑制効果が小さくなる。したが
って、少なくとも一方の高周波電力の値を、2つの合計
電力に対して10%以上にすることが定在波抑制効果を
確実に得る上で必要である。
【0075】以上のように2つの高周波電力を組み合わ
せた場合に本発明の効果は十分に得られるが、さらに第
3の高周波電力を組み合わせることも可能である。第3
の高周波電力の範囲としては、第1、第2の高周波電力
が適切な範囲に設定されている限りにおいては特に制限
はないが、以下のようにすることができる。
【0076】第3の高周波電力(電力値P3,周波数f
3)が、10MHz以上250MHz以下の範囲にある
場合には、第1の高周波電力(電力値P1,周波数f
1)、第2の高周波電力(電力値P2,周波数f2)を
組合わせた場合と同様のメカニズムが期待できる。この
とき、電力値P1〜P3の中で、電力値が最も大きいも
のをP1、その次に大きいものをP2と再定義すれば、
第3の高周波電力の電力値P3は電力値が最も低いもの
になる。この場合には、第3の高周波電力によるマッチ
ング不整合が起こりにくく、かつ第3の高周波電力によ
る定在波抑制効果が加わるため、第1および第2の高周
波電力を組合わせた場合よりもさらに「むら」が抑制さ
れる場合があり、好ましい。
【0077】一方、例えば真空処理中のバイアス効果を
高めるために、本発明の範囲外、例えば数十kHz〜数
百kHz程度の周波数の高周波電力を同時に供給しても
よい。このように更なる電力を供給する場合には、その
電力を加えることで真空処理特性の均一性が損なわれな
い程度の電力とする必要がある。
【0078】本発明は、前述したアモルファスシリコン
やアモルファスシリコンカーバイド以外の薄膜の作成
や、ポリシリコン等のエッチング、表面酸化又は表面窒
化等の表面改質等にも使用することが可能である。例え
ば、本発明の方法をエッチングに適用した場合、均一な
プラズマによって均一なエッチング処理が進行するの
で、下地材料を削ったり被エッチング材が残ってしまう
ことのない良質なエッチングが再現性良く可能となる。
【0079】さらに、本発明の構成は、電子写真感光体
ならびにその製造の場合により効果的である。電子写真
感光体は、比較的厚膜のため、長時間堆積膜形成を行う
必要があり、かつ大面積の基体への堆積膜形成が必要で
ある。そして、その全領域にわたって構造欠陥が存在し
ない必要ある。そのため本発明によれば、基体上に膜
厚、膜質共に均一で良好な特性の体積膜を安定して得る
ことができるためデバイス特性の向上ならびに生産性の
向上にともなうコスト低減の上できわめて効果的であ
る。
【0080】また、本発明の構成は、電子写真感光体の
みならず光起電力素子用のような大型の基体に対して大
きな効果を発揮するが、基体が大きくなくても、カソー
ド電極の大きさに対して相対的に短い波長の高周波を使
用する場合には大きな効果を発揮する。
【0081】また、本発明の構成において、少なくも2
つの異なる周波数の高周波は、1つのシールドボックス
内に各々の整合回路が設けられた高周波整合器を介して
反応容器に供給されることが好ましい。これは、整合回
路を図1の様に各周波数電源150a,150bに対し
て各々個別に設ける構成とするよりも、図2に示すよう
に1つのシールドボックス252内に設ける構成とした
方が、整合回路から負荷までの距離を短くでき、伝送系
の電力ロスを低減できるためである。複数の周波数の高
周波電力を用い、これらを1つの電源に供給する場合、
前述のように、1つの電源から見た場合に反応容器とも
う一方の電源の整合回路とが負荷となるため、図2に示
す構成とすることにより、反応容器までの伝送経路を短
くできる効果と、さらにもう一方の電源の整合回路まで
の伝送経路を短くできる効果とが得られ、これらの相乗
効果により、伝送経路内の電力ロスによる真空処理の不
安定性が大幅に改善できるためと考えられる。この効果
は特に、真空処理に使用する電源の周波数が比較的高周
波の場合に、より顕著となる。
【0082】
【実施例】以下、本発明の真空処理方法について実施例
により更に詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、
これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0083】まず、本発明により得られる効果を検証す
るために行った、実験例1および実験例2について説明
する。
【0084】<実験例1>本実験例では、図4に示した
構成の電子写真用光受容部材形成装置に図1に示した構
成の高周波電源および高周波整合器を適用させ、長さ3
58mm、外径φ108mmの鏡面加工を施した基体と
してのAl製シリンダーを反応容器内に配置し、以下の
手順で実験を行った。
【0085】反応容器内に流量が500ml/min
(normal)のSiH4を供給し、反応容器内の圧
力を1.1Paとした。また、高周波電源から、発振周
波数が100MHz(f1)で電力が1000W(P
1)の高周波電力と、発振周波数が50MHz(f2)
で電力が1000W(P2)の高周波電力との2種類の
高周波電力をカソード電極に供給し、反応容器内にプラ
ズマを生起させた。そして、それぞれの反射電力を変化
させて、各条件で3時間連続放電させた。各々の条件下
で反射電力が10W変化した場合に高周波整合器を調整
して反射電力を所定の値に戻し、3時間連続放電させ
た。そして、連続放電終了後に上記の高周波整合器の調
整回数を比較した。なお、各条件で実験を行うにあた
り、反応容器内に堆積している堆積膜はクリーニング手
段により除去した。
【0086】以上のような実験を各条件ごとに5回行
い、5回の高周波整合回路の調整回数の平均値、5回の
高周波整合回路の調整回数のばらつき(最大調整回数と
最小調整回数との差)を算出した。
【0087】これにより得られた結果を表1に示す。な
お、表1においては、入射電力に対する反射電力の比率
がf1,f2共に略0%で得られた結果を基準とした相
対評価で示している。
【0088】表1から明らかなように、本発明のように
入射電力に対する反射電力の比率を5%〜30%の範囲
に設定することで、真空処理中の反射電力の変動を抑制
可能であることが判る。また、変動の再現性も向上する
ことが判る。
【0089】
【表1】 <実験例2>本実験例では、高周波電力の発振周波数
(f1,f2)を変化させ、それぞれの発振周波数条件
で入射電力に対する反射電力の比率を略0%と9%とし
た以外は、実験例1と同様に実験およびその評価を行っ
た。
【0090】入射電力に対する反射電力の比率を9%と
したときに得られた結果を、表2に示す。なお、表2に
おいては、各周波数条件下で入射電力に対する反射電力
の比率がf1,f2共に略0%で得られた結果を基準と
した相対評価で示している。
【0091】表2から明らかなように、本発明のように
入射電力に対する反射電力の比率を5%〜30%の範囲
に設定することで、高周波電力の発振周波数を変化させ
ても真空処理中の反射電力の変動を抑制可能であること
が判る。また、変動の再現性も向上することが判る。
【0092】
【表2】 次に、本発明の実施例について説明する。
【0093】(実施例1)本実施例では、図4に示した
構成の電子写真用光受容部材形成装置に図1に示した構
成の高周波電源および高周波整合器を適用させ、長さ3
58mm、外径φ108mmの鏡面加工を施した円筒状
基体としてのAl製シリンダー上に、a−Si:H膜を
主とする電子写真用光受容部材を作製した。電子写真用
光受容部材の形成条件としては、以下の表3に示す条件
を用いた。
【0094】
【表3】 本実施例においては、発振周波数が100MHz(f
1)の高周波電力と、発振周波数が50MHz(f2)
の高周波電力との2種類の高周波電力をカソード電極に
供給した。また、周波数f1の高周波電力の入射電力を
Pf1、反射電力をPr1、電力をP1(Pf1−Pr
1)とし、周波数f2の高周波電力の入射電力をPf
2、反射電力をPr2、電力をP2(Pf2−Pr2)
としたとき、光導電層では2つの高周波電力の総和(P
1+P2)および2つの高周波電力の電力比率(P2/
(P1+P2))を一定とし、各高周波電力の入射電力
に対する反射電力の比率を5〜40%まで変化させて、
電子写真用光受容部材を作成した。
【0095】これに対し、比較例1として、各周波数の
高周波電力の入射電力に対する反射電力の比率を略0%
とした以外は実施例1と同様に電子写真用光受容部材を
作成した。
【0096】また、比較例2として、周波数f1の高周
波電力の入射電力に対する反射電力の比率を略0%、周
波数f2の高周波電力の入射電力に対する反射電力の比
率を10%とした以外は実施例1と同様に電子写真用光
受容部材を作成した。
【0097】なお、電子写真用光受容部材は、実施例
1、比較例1、比較例2ともに、それぞれ連続して1ロ
ット分の10個を作成した。
【0098】作製した電子写真用光受容部材を本テスト
用に改造したキヤノン製複写機GP−605に設置し
て、「感度」および「感度のロット再現性」に関して以
下の方法で評価した。
【0099】「感度」プロセススピード300mm/s
ec、前露光(波長680nmのLED)、光量4lx
・s、像露光(波長660nmのレーザー)をOFFに
した条件で、電子写真装置の帯電器位置にセットした表
面電位計(TREK社Model344)の電位センサ
ーにより電子写真用光受容部材の表面電位が400Vに
なるように帯電器の電流を調整する。その後、像露光を
照射し、像露光光源の光量を調整して、表面電位が50
Vとなるようにし、そのときの露光量を測定する。測定
は、電子写真用光受容部材の軸方向に20mm間隔で行
い、各点での平均を算出したものを感度とした。
【0100】「感度のロット再現性」上述の感度に関
し、1ロット分の10個の光受容部材についてそれぞれ
測定し、その最大値と最小値との差をもって、感度のロ
ット再現性とした。
【0101】得られた結果を表4に示す。なお、表4に
おいては、比較例1で得られた結果を基準とした相対評
価で示している。
【0102】
【表4】 (実施例2)表4から明らかなように、本発明のように
各高周波電力の入射電力に対する反射電力の比率を5%
以上の範囲に設定して真空処理を行うことで真空処理の
再現性が向上し、入射電力に対する反射電力の比率を5
%〜30%の範囲に設定することで安定性がより向上
し、さらに真空処理特性も向上することが判った。これ
は、真空処理が安定したことにより、真空処理特性が向
上したものと考えられる。
【0103】(実施例2)本実施例では、図4に示した
構成の電子写真用光受容部材形成装置に図2に示した構
成の高周波電源および高周波整合器を適用させ、各高周
波電力の入射電力に対する反射電力の比率を9%とした
以外は実施例1と同様に電子写真用光受容部材を作製し
た。本実施例において、電子写真用光受容部材を連続し
て10個作成した。
【0104】作製した電子写真用光受容部材を本テスト
用に改造したキヤノン製複写機GP−605に設置し
て、「感度」および「感度のロット再現性」に関して上
記と同じ方法で評価した。
【0105】得られた結果を表4に示す。なお、表4に
おいては、比較例1で得られた結果を基準とした相対評
価で示している。
【0106】表4から、本実施例によれば、実施例1に
ついて説明したように真空処理特性が向上することに加
えて、異なる周波数の高周波電力を、1つのシールドボ
ックス内に各々の高周波電力用の整合回路が設けられた
高周波整合器を介して反応容器内に供給することが、感
度のロット再現性の点でより好ましいことが判った。
【0107】(実施例3)本実験例では、図5に示した
構成の電子写真用光受容部材形成装置に図2に示した構
成の高周波電源および高周波整合器を適用させ、長さ3
58mm、外径φ108mmの鏡面加工を施した基体と
してのAl製シリンダー上に、a−Si:H膜を主とす
る電子写真用光受容部材を作製した。電子写真用光受容
部材の形成方法は、前述の図4に示した装置を用いた場
合と同様である。電子写真用光受容部材の形成条件とし
ては、表5に示す条件を用いた。
【0108】
【表5】 本実施例においては、発振周波数が100MHz(f
1)の高周波電力と、発振周波数が60MHz(f2)
の高周波電力との2種類の高周波電力をカソード電極に
供給した。また、周波数f1の高周波電力の入射電力を
Pf1、反射電力をPr1、電力をP1(Pf1−Pr
1)とし、周波数f2の高周波電力の入射電力をPf
2、反射電力をPr2、電力をP2(Pf2−Pr2)
としたとき、光導電層では2つの高周波電力の総和(P
1+P2)および2つの高周波電力の電力比率(P2/
(P1+P2))を一定とし、各高周波電力の入射電力
に対する反射電力の比率を各々10%として電子写真用
光受容部材を作成した。
【0109】これに対し、比較例3として、各高周波電
力の入射電力に対する反射電力の比率を略0%とした以
外は実施例3と同様に電子写真用光受容部材を作成し
た。
【0110】このようにして作製した感光体を、本テス
ト用に改造したキヤノン製複写機GP−215に設置し
て、以下の方法で「感度」および「8本むら」について
の特性評価を行なった。
【0111】「感度」および「8本むら」 プロセススピード200mm/sec、前露光(波長6
80nmのLED)光量4lx・s、像露光(波長66
0nmのレーザー)をOFFにした条件で、電子写真装
置の帯電器位置にセットした表面電位計(TREK社M
odel344)の電位センサーにより電子写真用光受
容部材の表面電位が400Vになるように帯電器の電流
を調整する。その後、像露光を照射し、像露光光源の光
量を調整して、表面電位が50Vとなるようにし、その
ときの露光量を測定する。測定は電子写真用光受容部材
の軸方向に20mm間隔で行い、各点での平均を算出し
た。これを1ロット分の8本の光受容部材の全てについ
て行い、その平均をもって「感度」とした。また、8本
の光受容部材の感度の最大値と最小値との差を持って
「8本むら」とした。
【0112】得られた結果を表6に示す。なお、表6に
おいては、比較例3で得られた結果を基準とした相対評
価で示した。
【0113】表6から明らかなように、本発明のように
各高周波電力の入射電力に対する反射電力の比率を5〜
30%の範囲に設定して真空処理を行うことで、真空処
理の安定性が向上し、さらに真空処理特性も向上するこ
とが判った。
【0114】
【表6】 (実施例4)本実施例では、図4に示した構成の電子写
真用光受容部材形成装置に図1に示した構成の高周波電
源および高周波整合器を適用させ、長さ358mm、外
径φ108mmの鏡面加工を施した円筒状基体としての
Al製シリンダー上に、a−Si:H膜を主とする電子
写真用光受容部材を作製した。
【0115】本実施例においては、互いに異なる周波数
(f1,f2)の高周波電力の発振周波数として、周波
数f1は105MHzに固定し、周波数f2を30MH
z、、40MHz、50MHz、60MHz、70MH
zと変化させて、電子写真用光受容部材をそれぞれ作製
した。また、各高周波電力の入射電力に対する反射電力
の比率は共に9%に固定した。それ以外は実施例1と同
様の条件で電子写真用光受容部材を作製し、実施例1と
同様の評価を行った。その結果、各条件とも実施例1と
同様に良好な真空処理特性が得られ、かつ良好な真空処
理の再現性が得られた。
【0116】(実施例5)本実施例では、図4に示した
構成の電子写真用光受容部材形成装置に図1に示した構
成の高周波電源および高周波整合器を適用させ、長さ3
58mm、外径φ108mmの鏡面加工を施した円筒状
基体としてのAl製シリンダー上に、a−Si:H膜を
主とする電子写真用光受容部材を作製した。
【0117】本実施例においては、周波数f1の高周波
電力の電力値P1と周波数f2の高周波電力の電力値P
2との電力総和(P1+P2)に対する電力値P2の電
力比率(P2/(P1+P2))を、0.1,0.3,
0.5,0.7,0.9と変化させて電子写真用光受容
部材をそれぞれ作製した。周波数f1は105MHzと
し、周波数f2は60MHzとした。また、各高周波電
力の入射電力に対する反射電力の比率は共に9%とし
た。それ以外は実施例1と同様の条件で電子写真用光受
容部材を作製し、実施例1と同様の評価を行った。その
結果、各条件とも実施例1と同様に良好な真空処理特性
が得られ、かつ良好な真空処理の再現性が得られた。
【0118】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の真空処理
方法は、高周波電極から反応容器内に導入する各高周波
電力の入射電力に対する反射電力の比率を所定の範囲内
に設定するので、高い真空処理速度を維持しながら、真
空処理特性を向上させ、真空処理特性を再現性良く安定
して達成し、真空処理コストの低減化を実現することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用される高周波電源および高周波整
合器の一構成例を示す図である。
【図2】本発明に適用される高周波電源および高周波整
合器の他の構成例を示す図である。
【図3】電子写真感光体の形成装置の一例を示す模式的
な構成図である。
【図4】電子写真感光体の形成装置の他の例を示す模式
的な構成図である。
【図5】電子写真感光体の形成装置のさらに他の例を示
す模式的な構成図である。
【符号の説明】
140,240 反応容器 150a,150b,250a,250b 高周波電
源 151a,151b,252 整合器 153a,153b,253a,253b フィルタ
ー 301,401,501 堆積装置 302,402,502 原料ガス供給装置 305,408,508 碍子 306 蓋 307,407,507 高周波シールド 310,410,510 円筒状基体 312,412,512 基体ホルダー 315,415,515 原料ガス導入管 316,416,516 基体加熱用ヒーター 326 補助バルブ 327 ガス配管 328,520 駆動装置 330,430,530 排気装置 331 メインバルブ 340,440,540 反応容器 342 真空計 350 RF電源 351 高周波マッチングボックス 404,504 反応壁 405,505 下部プレート 406 上蓋 411,511 カソード電極 450,550 高周波電源 451,551 マッチングボックス 428 モータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青木 誠 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 新納 博明 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H068 DA00 EA24 EA36 4K030 AA06 AA10 AA17 AA24 BA30 BA31 CA02 CA16 FA03 JA16 JA18 KA30 LA17 5F045 AA08 AB04 AB06 AC01 AD06 AE15 AF10 BB08 CA13 CA16 DP25 EH19

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応容器中に被処理物を設置し、互いに
    異なる周波数を有する複数の高周波電力を同一の高周波
    電極に同時に供給することにより、該高周波電極から前
    記反応容器内に導入された高周波電力によって前記反応
    容器内にプラズマを生起させて前記被処理物を処理する
    真空処理方法において、 前記複数の高周波電力のうちの少なくとも1つの高周波
    電力の入射電力に対する反射電力の比率を所定の範囲内
    に設定することを特徴とする真空処理方法。
  2. 【請求項2】 前記少なくとも1つの高周波電力の入射
    電力に対する反射電力の比率を5〜30%の範囲内に設
    定する、請求項1に記載の真空処理方法。
  3. 【請求項3】 前記複数の高周波電力は周波数が10M
    Hz以上250MHz以下の高周波電力を少なくとも2
    つ含み、該周波数範囲内にある高周波電力が有する電力
    値の中で最も大きい電力値と次に大きい電力値を有する
    高周波電力について、そのうち周波数の高い方の高周波
    電力の周波数と電力値をそれぞれf1,P1とし、周波
    数の低い方の高周波電力の周波数と電力値をそれぞれf
    2,P2としたとき、前記周波数f1,f2および前記
    電力値P1,P2が、 (a)f2 < f1 (b)0.1 ≦ P2/(P1+P2) ≦ 0.9 の2つの条件(a)および(b)を満たす、請求項1ま
    たは2に記載の真空処理方法。
  4. 【請求項4】 前記複数の高周波電力を、1つのシール
    ドボックス内に各々の前記高周波電力用の整合回路が設
    けられた高周波整合器を介して前記反応容器内に導入す
    る、請求項1から3のいずれか1項に記載の真空処理方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007080811A (ja) * 2005-08-05 2007-03-29 Advanced Micro-Fabrication Equipment Inc Asia 真空反応室のrfマッチングネットワーク及びその配置方法

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