JP5941365B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アモルファスシリコンで構成された電子写真感光体の製造方法に関する。
電子写真感光体は、一般的にアルミニウムまたはその合金からなる導電性の円筒状基体の外周面に、有機物系材料またはアモルファスシリコン(以下「a−Si」ともいう)などの無機材料からなる膜が形成されて製造される。これらの中でも、a−Si(例えば水素原子やハロゲン原子で補償されたa−Si)堆積膜が形成された電子写真感光体(以下「a−Si感光体」ともいう)は、高性能かつ高耐久性であり、広く実用化されている。ここで、ハロゲン原子とは、例えばフッ素原子や塩素原子などである。
円筒状基体の外周面にa−Si堆積膜を形成する方法としては、プラズマCVD法、すなわち、原料ガスを直流や高周波、マイクロ波グロー放電等によって分解し堆積膜を形成する気相成長法が、電子写真感光体の製造方法として実用化されている。
このa−Si感光体の高品質化のために、堆積膜の特性の均一化や、微小な画像欠陥の発生を抑制することが行われている。
例えば、円筒状基体の両端に円筒状基体と同一の外径を有する補助基体を配置して、補助基体の温度を制御することで堆積膜の特性の均一化を図る技術が開示されている(特許文献1参照)。
さらに、補助基体の外周面の表面粗さを所定の範囲にし、膜剥がれの低減および温度分布の改善を行うことで、堆積膜の特性の均一化および画像欠陥の低減を図る技術が開示されている(特許文献2参照)。
特開2000−073173号公報 特開2010−134056号公報
上記のような方策により、堆積膜の特性の均一性向上や画像欠陥の低減が達成され、実用的なa−Si感光体を得ることが可能になった。
しかしながら、電子写真感光体を用いた製品に対する市場の要求レベルは日々高まっており、この要求に応えるべく、より高品質の堆積膜が求められるようになっている。
すなわち、近年、急激に需要が広がっているカラー複写機においては、これまで以上に画像欠陥を低減することが要求される。ところが、a−Si感光体のように大面積で比較的厚い堆積膜が要求される製品においては、製造工程が長時間に渡るために製造工程中にダストが発生しやすく、且つ、大面積であるため、自ずとダストが付着する確率も高まる傾向がある。このダストに起因する堆積膜の異常成長は画像欠陥に直結するため、極力無くすことが必要となってきた。
a−Si感光体の製造工程で発生する堆積膜の異常成長とは次のようなものである。
a−Si感光体における堆積膜は円筒状基体の外周面に数μmオーダーのダストが付着した場合、堆積膜形成時にそのダストを核として異常成長、いわゆる「球状突起」が成長してしまうという性質を持っている。球状突起はダストを起点とした円錐形を逆転させた形をしており、正常堆積部分と球状突起部分の界面では局在準位が非常に多いために低抵抗化し、帯電電荷が界面を通って円筒状基体側に抜けてしまう。このため、球状突起のある部分は、画像上ではべた黒画像で白い点となって現れる(反転現像の場合はべた白画像に黒い点となって現れる)。このいわゆる「ポチ」と呼ばれる画像欠陥は年々規格が厳しくなっており、大きさによってはA3用紙に数個存在していても不良として扱われることがある。さらには、カラー複写機に搭載される場合にはさらに規格は厳しくなり、A3用紙に1個存在していても不良となる場合がある。
この球状突起は、ダストを起点としているため、そのダストの発生を抑制するために、種々の検討がなされてきている。
例えば、堆積膜形成前に、円筒状基体にダストが付着するのを防止するために、使用する円筒状基体は精密に洗浄され、堆積室内に設置する工程は全てクリーンルームあるいは真空下で作業が行われることにより、効果を上げてきた。
しかし、球状突起の発生原因は堆積膜形成前に付着したダストのみではない。a−Si感光体を製造する場合、要求される膜厚が数十μmと非常に厚いため、堆積膜形成時間は数時間から数十時間に及び、この間に、堆積膜は円筒状基体以外の補助基体や堆積室の壁、構造物にも堆積する。これらは、円筒状基体のように堆積膜形成時の温度が管理されておらず、円筒状基体の外周面の堆積膜のように膜質が一定ではないため、場所によっては膜剥がれを起こしやすく、膜剥がれがダストとなって堆積膜形成時の円筒状基体に付着する場合があった。特に補助基体からの膜剥がれは、円筒状基体に近いため、円筒状基体にダストが付着する確率が高く、画像欠陥への影響が大きい。
本発明の目的は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、画像欠陥を低減した高品質な電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
上述した目的を達成するため、本発明に係る電子写真感光体の製造方法は、円筒状基体ならびに該円筒状基体の上部および/または下部に設けられた補助基体を減圧可能な堆積室内に設置し、前記円筒状基体を内周側から加熱しながら、気相成長法により前記円筒状基体の外周面にアモルファスシリコンで構成された堆積膜を形成する堆積膜形成工程を有する電子写真感光体の製造方法において、
前記堆積膜形成工程における前記円筒状基体の端部と前記補助基体の外周面の温度差をΔTとし、前記円筒状基体および前記補助基体の外周面の表面粗さをJIS B0601:2001で規定される算術平均粗さRaでそれぞれR1およびR2としたとき
0.1×ΔT−5≦R2/R1≦0.35×ΔT+2
(ただし、R2/R1は1以上であり、ΔTは80℃以下である。)
の関係が成り立ち、
前記補助基体の外周面を軸方向に表面粗さが異なる複数の領域に分割したとき前記堆積膜形成工程における前記補助基体外周面の軸方向温度が前記補助基体内で相対的に高い領域は、その表面粗さ相対的に小さく、相対的に低い領域は、その表面粗さ相対的に大きことを特徴とする。
本発明によれば、補助基体の外周面の軸方向の表面粗さを、堆積膜形成時の補助基体の外周面の軸方向の温度分布に合わせて適正化することで、補助基体からの堆積膜の膜剥がれを抑制することが可能になる。これにより、画像欠陥を低減した高品質な電子写真感光体の製造が可能になる。
本発明の電子写真感光体の製造方法において使用可能な堆積膜形成装置の模式的な断面図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法において使用可能な堆積膜形成装置における、円筒状基体および補助基体の外周面の軸方向の温度分布を示す模式的な図である。 補助基体の外周面の表面粗さと膜の密着性の関係を示す図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法によって製造可能な電子写真感光体の層構成を模式的に示した断面図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法に対する比較例の、円筒状基体と補助基体の外周面の温度差と、補助基体の外周面の表面粗さの関係を示す図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法における、円筒状基体と補助基体の外周面の温度差と、補助基体の外周面の表面粗さの関係を示す図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法における、円筒状基体と補助基体の外周面の温度差と、補助基体の外周面の表面粗さの関係を示す図である。 本発明の電子写真感光体の製造方法における、円筒状基体と補助基体の外周面の温度差と、補助基体の外周面の表面粗さの関係を示す図である。
アモルファスシリコン(a−Si)感光体は、前述のようにプラズマCVD法のような気相成長法により製造されるが、堆積膜形成時のプラズマ状態(放電状態)は、感光体の諸特性を大きく左右する。
例えば高周波プラズマCVD法の場合、高周波電極である円筒状カソード電極と対向電極としての円筒状基体が同心円状に配置され、その間でプラズマを発生させて堆積膜形成を行う。このとき、例えば補助基体なしで円筒状基体のみを設置すると、円筒状基体の端部においては対向電極が消失するため、放電状態の乱れが生じてしまう。このため、円筒状基体の軸方向全体に渡って均一な膜を形成する目的で、通常、円筒状基体の上部および/または下部に補助基体を設けて放電均一化を図ることが一般的に行われる。
図1は、RF(Radio Frequency)PCVD(Plasma Chemical Vapor Deposition)法によって、a−Si感光体を製造するための堆積膜形成装置の一例を模式的に示した断面図である。堆積膜形成装置100は、プラズマ処理によって円筒状基体101の外周面に堆積膜を形成する装置である。堆積室106は、ゲート弁107、上碍子108、円筒状カソード電極109、下碍子110、底壁111により堆積室内を減圧可能に構成されている。
予め外周面を鏡面加工した円筒状基体101は、上部補助基体102、下部補助基体103とともに、基体ホルダ104に装着される。基体ホルダ104の上部は、堆積室106内へ搬入、搬出するための搬送機(不図示)が保持する保持部105が設けられている。そして、基体ホルダ104は、搬送機により堆積室106内部の受台112に、基体ホルダ104の下部を嵌め込むように載置される。なお、受台112には、不図示の回転装置が取り付けられ回転可能となっている。
堆積室106の内部には、基体ホルダ104を内部から加熱するヒータ113が設置され、円筒状基体101を内周側から加熱する。また、堆積膜形成時にヒータ113に堆積膜が付かないようにするため、基体ホルダ104は上部が閉じた円筒状になっている。
上述の理由により、ヒータ113の全長は、円筒状基体101と上部補助基体102、下部補助基体103を合わせた長さよりも短く、上部補助基体102の上部や下部補助基体103の下部にはヒータ113が対向していない構成となっている。さらに、基体ホルダ104の上端面からの放熱、基体ホルダ104下部から受台112へ熱伝導による熱の逃げがある。したがって、円筒状基体101と上部補助基体102、下部補助基体103の外周面の温度は、軸方向に均一にはなっていない。
図2は堆積膜形成時の円筒状基体101と上部補助基体102、下部補助基体103の外周面の軸方向の温度分布を示した図である。補助基体の円筒状基体101に近い側、つまり上部補助基体102の下部や下部補助基体103の上部は円筒状基体101に近い温度になっている。しかし、補助基体の円筒状基体101から遠い側、つまり上部補助基体102の上部や下部補助基体103の下部は上述の理由により、補助基体の円筒状基体101に近い側より温度が低くなっている。
電子写真感光体に用いられるようなa−Si堆積膜は、膜厚が数十μmもの厚さとなり、膜剥がれなく堆積させることは非常に難しい。このため、堆積膜の残留応力を調整することが常識となっている。一般的に、堆積膜の残留応力が一様に適度な圧縮応力を持つようにすると密着性がよいとされ、圧縮側に大きすぎたり、引張側になったり、一様でなく応力分布が生じたりすると膜剥がれが生じやすくなる。
堆積膜の残留応力には、主に堆積膜形成時に生じる膜応力、基体と堆積膜の熱膨張率の差による熱応力がある。例えば円筒状基体にアルミニウムを用いて、プラズマCVD法によりa−Si感光体を形成する場合は、アルミニウムとa−Si膜の熱膨張率差が大きいため、堆積膜の残留応力は熱応力が支配的になる。したがって、堆積膜の残留応力を好適に調整するには、堆積膜形成時の円筒状基体の外周面の温度を適切に設定する必要がある。
図2に示す上部補助基体102の下部や下部補助基体103の上部は、円筒状基体101の温度に近いため、堆積膜の残留応力は円筒状基体101に近く適度なものとなっている。しかし、上部補助基体102の上部や下部補助基体103の下部は、円筒状基体101から離れており、それらの温度は、円筒状基体101の温度から大きく低下する。これにより、補助基体内で軸方向に堆積膜の残留応力に分布が生じ、かつ適度な残留応力にならずに、補助基体の低温領域側で堆積膜の膜剥がれが生じる場合があった。上述の装置構成上の理由から、補助基体の外周面に温度分布が生じるのは避けられないため、温度分布に応じて生じる応力分布を緩和して膜剥がれを抑制する方策が課題となる。
上述のように、堆積膜形成時の応力分布を緩和して補助基体からの膜剥がれを抑制することが本発明の課題であるが、堆積膜形成後に堆積室106から取出した補助基体に膜剥がれが無ければ、堆積膜形成時には補助基体からの膜剥がれは起きていないと考える。その考えのもと、堆積膜形成後に補助基体の膜剥がれを無くすことを目指し、補助基体の外周面の表面粗さについて鋭意検討を行ったところ、図3の結果を得た。図3(a)は補助基体の外周面の表面粗さを変化させた時の、堆積膜形成時の補助基体の外周面の温度と堆積膜の密着性を示した図である。この中で、補助基体外周面の温度AおよびBは、図2の上部補助基体102の外周面で、円筒状基体に近い部分および円筒状基体から遠い部分の温度を示す。また、図3(b)および図3(c)は補助基体外周面の表面粗さと堆積膜の密着性を示した図で、図3(b)は補助基体の外周面の温度がAの場合、図3(c)は補助基体の外周面の温度がBの場合を示す。
一般的に、堆積膜の密着性を上げるためには、堆積膜が形成される部材の表面粗さを大きくすることが行われる。図3(a)でも補助基体の外周面の温度が十分低い場合はその傾向にあり、表面粗さを大きくする方がよい。しかし、a−Si感光体を製造するような補助基体の外周面の温度がある程度高い場合にはその傾向が異なった。
図3(b)に示す補助基体の外周面の温度がAの場合には、以下の傾向となった。
(1)密着性は極小値を持つ。
(2)極小値を境にして表面粗さを大きくしても、小さくしても密着性は向上する。
(3)表面粗さを増大させると密着性は向上していくが、徐々に効果は飽和していく。
(4)表面粗さを大きくする方向よりも、小さくする方向の方が密着性を高くできる。
以上の結果から、補助基体の外周面の温度が円筒状基体に近い場合は、補助基体の外周面の表面粗さを可能な限り小さくする、つまり、円筒状基体101の外周面と同じ鏡面加工をすることが、堆積膜の密着性向上の観点から最も効果的であることがわかった。
それに対し、図3(c)に示す補助基体の外周面の温度がBの場合には、上述の円筒状基体に近い温度の場合に対して、補助基体の外周面の表面粗さが鏡面加工よりもやや大きいところに密着性の最大値があることがわかった。つまり、補助基体の外周面の温度が低くなる部分は、補助基体の外周面を適度な表面粗さに制御することが、堆積膜の密着性向上の観点から最も効果的であることがわかった。
以上の結果から、補助基体外周面の軸方向の温度分布に応じて、補助基体の外周面の表面粗さを調整すれば、温度分布に応じて生じる応力分布を緩和して膜剥がれを抑制することが可能となる。
一般的に、a−Si堆積膜の密着性は、円筒状基体に対して最適化されている。したがって、補助基体の堆積膜の密着性を議論する場合、円筒状基体を基準として、補助基体の外周面の温度が何度下がった時に、円筒状基体の表面粗さに対して何倍にすればよいかを考えれば、いかなる製造条件であっても本発明の製造方法が適用できる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(補助基体)
上述の検討結果から、補助基体は、堆積膜形成時の軸方向の温度分布に応じて、外周面の表面粗さを調整するが、軸方向の温度分布は、円筒状基体から離れる方向で徐々に低下するため、温度低下に対応して、表面粗さを徐々に大きくするのが最も効果的である。表面粗さを徐々に大きくするには、例えば旋盤で切削加工する場合は、切削バイトの刃先の形状や切削条件を調整すると共に、切削バイトの送りスピードを変化させることで可能である。また、研磨加工を行う場合は、研磨部材の当接圧力、研磨処理時間を適宜変化させることで表面粗さを調整することが可能となる。また、補助基体の外周面の表面粗さの制御性や繰り返し再現性の向上の観点から、補助基体の外周面を、軸方向に複数の領域に分け、その領域の温度に応じて表面粗さを調整してもよい。
本発明では、補助基体を軸方向に表面粗さが異なる複数の領域に分割し、堆積膜形成時の補助基体外周面の軸方向温度が、補助基体内で相対的に高い領域の表面粗さを相対的に小さく、相対的に低い領域の表面粗さを相対的に大きく加工する。補助基体の外周面の表面粗さを複数に分割する方法は、一つの補助基体に複数の表面粗さ加工を施してもよく、補助基体を複数に分割してそれぞれの表面粗さを調整する加工を行った後に組み合わせてもよい。
本発明における補助基体は、円筒状基体の上部および/または下部に設けるため、着脱可能な形式となっていることが好ましい。また、円筒状基体の外周面と補助基体の外周面は略同一平面となっていることが好ましく、補助基体の外径寸法を円筒状基体の外径寸法と略同じとすることが好ましい。
補助基体の軸方向の長さは、長すぎると装置自体が大きくなってしまうためにコスト高となり好ましくない。逆に短すぎると、放電強度が不均一な部分の影響を円筒状基体自身が受けてしまうため均一な膜質、膜厚の堆積膜を形成することができなくなる。以上のようなことを考慮すると補助基体の軸方向の長さは、円筒状基体との軸方向長さの0.02〜2倍の範囲にあることが好ましい。
補助基体の材質は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタンやこれらの合金を用いることができる。補助基体の材質は、円筒状基体と同じ材質のものが一般的に用いられるが、必ずしも同じ材質である必要はない。例えば、銅は熱伝導率が高く、補助基体に用いた時に、円筒状基体から遠い側の端部の外周面温度の低下が抑制されるため、表面粗さを調整する範囲が小さくて済む分、加工が容易になり好ましい。本発明では、減圧下で堆積膜形成を行うため、銅の中でも無酸素銅を用いることが好ましい。
(円筒状基体)
円筒状基体の材質は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタンやこれらの合金を用いることができる。中でも、アルミニウムまたはその合金は、a−Si堆積膜の密着性が高く、加工性や製造コストに優れるなどの理由で、好ましい材料として挙げることが出来る。
さらに高精度な円筒状基体が要求される場合は、端部形状や外径寸法、外周面の形状を所定の値にするため、旋盤による切削加工が施される。本発明に用いる円筒状基体は、a−Si堆積膜の密着性が高く、感光体特性に優れるなどの理由により、外周面を旋盤で鏡面に切削加工したものが好適である。
(算術平均粗さRaの測定方法)
補助基体および円筒状基体の表面粗さは、算術平均粗さRa(JIS B0601:2001に規定)で評価した。Raは、次のようにして求められる。
本発明において算術平均粗さRaの測定は、JIS B0651:2001に準拠したフォームトレーサー SV−C4000S4(株式会社ミツトヨ)を用いて測定した。用いた触針の形状はJIS B0651:2001に従った。すなわち、先端形状は球状の先端をもつ円錐とし、先端半径2μm、円錐のテーパー角度60゜、測定力は0.75mNとした。
また、基準長さ、評価長さ、λs輪郭曲線フィルタ、λc輪郭曲線フィルタの設定はJIS B0633:2001、及びJIS B0651:2001に従った。なお、λs輪郭曲線フィルタは粗さ成分とそれより短い波長成分との境界を定義し、λc輪郭曲線フィルタは粗さ成分とうねり成分との境界を定義するフィルタを示す。具体的には、測定されるRaの値より表1のように決定した。
Figure 0005941365
なお、スキャン速度は0.1mm/sec、測定環境は気温25℃、湿度65%とした。その他、特に記載していない条件に関しては、全てJIS B0601:2001、JIS B0633:2001、及びJIS B0651:2001に基づいて行った。また、具体的なフォームトレーサー SV−C4000S4による測定手順は、全て装置付属の取扱説明書に従って行った。
(a−Si堆積膜の形成)
円筒状基体101の外周面に、図4に示すa−Si堆積膜401を形成することにより、a−Si感光体を製造することができる。図4は、a−Si感光体の層構成の一例を示す模式図である。図4において、堆積膜401は、円筒状基体101側から順に、電荷注入阻止層402、光導電層(感光層)403、表面層404で構成されている。
このa−Si堆積膜401の形成を、前述の図1に示す堆積膜形成装置100を用いて行う。
円筒状基体101は、上部補助基体102、下部補助基体103とともに、基体ホルダ104に装着され、堆積室106の内部の受台112の上に載置(設置)される。原料ガス導入管114は、円筒状基体101を取り囲むように複数本配設されており、その側面には、長手方向に沿って多数の細孔が設けられている。さらに、原料ガス導入管114には、原料ガス供給管117を介して不図示の原料ガス供給装置が接続されている。また、円筒状カソード電極109は、マッチングボックス115を介して高周波電源116に接続されている。
次に、堆積膜形成装置100を用いて、a−Si堆積膜を形成する一例を以下に示す。
まず、堆積室106のゲート弁107を開け、円筒状基体101および、上部補助基体102、下部補助基体103が装着された基体ホルダ104を不図示の搬送機を用いて、受台112の上に載置してゲート弁107を閉める。
次に、排気バルブ119を開いて堆積室106の内部を排気する。そして、真空計120の読みが1Pa以下になった時点で、加熱用の不活性ガス(例えばArガス)を原料ガス導入管114より堆積室106の内部に導入する。堆積室106の内部が所定の圧力になるように加熱用の不活性ガスのガス流量および不図示の排気装置の排気速度を調整する。その後、不図示の温度コントローラーを作動させて円筒状基体101をヒータ113により加熱し、円筒状基体101の外周面を所定の温度(例えば150℃〜350℃)に制御する。所定の温度に加熱されたところで、不活性ガスを徐々に止めると同時に、堆積膜形成用の原料ガスを原料ガス供給装置から不図示のミキシングパネルにより混合した後に堆積室106の内部に徐々に導入する。原料ガスとしては、例えば、SiH、Si、CH、C、NOなどの材料ガスや、B、PHなどのドーピングガス、H、He、Arなどの希釈ガスが挙げられる。次に、不図示のマスフローコントローラーによって、原料ガスが所定の流量になるように調整する。その際、堆積室106の内部が例えば0.1Pa〜数100Paの圧力を維持するよう真空計120を見ながら不図示の排気装置の排気速度を調整する。
以上の手順によって堆積膜形成のための準備を完了した後、円筒状基体101の外周面に堆積膜の形成を行う。堆積室106の内部の圧力が安定したのを確認後、高周波電源116を所定の電力に設定して高周波電力を円筒状カソード電極109に供給し、高周波グロー放電を生起させる。このとき、反射電力が最小となるようにマッチングボックス115を調整し、高周波の入射電力から反射電力を差し引いた値を所定の値に調整する。この放電エネルギーによって堆積室106の内部に導入された原料ガスが分解され、円筒状基体101の外周面に堆積膜が形成される。なお、堆積膜の形成を行っている間は、不図示のモータを運転し、円筒状基体101を所定の速度(例えば1rpm)で回転させる。
所定の膜厚の堆積膜が形成された後、高周波電力の供給を止め、堆積室106の内部への原料ガスの流入を止め、堆積室106の内部を一旦高真空に排気して堆積膜の形成を終える。上記のような操作を繰り返し行うことによって、所定の層構成のa−Si堆積膜を形成することができる。円筒状基体101の外周面にa−Si堆積膜を形成した後、ヒータ113による加熱を停止し、堆積室106の内部を、例えばArやNの如き不活性なガスを用いてパージ処理する。パージ処理完了後、堆積室106のゲート弁107を開け、a−Si堆積膜が形成された円筒状基体101および、上部補助基体102、下部補助基体103が装着された基体ホルダ104を不図示の搬送機を用いて堆積室106から取り出す。以上により、a−Si感光体が完成する。
以下実施例により、本発明の効果を具体的に説明するが、本発明は、これにより何ら限定されるものではない。
以下の実施例および比較例では、円筒状基体101には、外径寸法84mm、長さ381mm、肉厚3mmからなるアルミニウム合金製のものを用いた。また、上部補助基体102および下部補助基体103には、円筒状基体101と同じ材質で、外径寸法84mm、長さ120mm、肉厚3mmのものを用いた。円筒状基体101の外周面には、旋盤で、切削バイトに(株)東京ダイヤモンド工具製作所社製ミラクルダイヤモンドバイトを用いて鏡面加工(外周面の表面粗さRa=0.05μm)を施した。
そして、図1に示す堆積膜形成装置100を用い、円筒状基体101の外周面に、表2に示す堆積膜形成条件で、図4に示す層構成のa−Si堆積膜を形成して、a−Si感光体を作製した。
Figure 0005941365
表2の堆積膜形成条件の場合、上部補助基体102の上端と下部補助基体103の下端の外周面の温度は、どちらも円筒状基体101の端部より80℃低下した。また、上部補助基体102の上端から50mmと下部補助基体103の下端から50mmの外周面の温度は、どちらも円筒状基体101の端部より40℃低下した。
〔実施例1〕
上部補助基体102の外周面を、円筒状基体101から遠い側(上部補助基体の上側)の50mm、円筒状基体101側(上部補助基体の下側)の70mmの2つの領域に分ける。そして上側の外周面の表面粗さRaを円筒状基体101の3倍に、下側の外周面の表面粗さRaを円筒状基体101と同じにした。
同様の加工を下部補助基体103にも実施した。同様の加工とは、下部補助基体103の外周面を、円筒状基体101から遠い側(下部補助基体の下側)の50mm、円筒状基体101側(下部補助基体の上側)の70mmの2つの領域に分ける。そして下側の外周面の表面粗さRaを円筒状基体101の3倍に、上側の外周面の表面粗さRaを円筒状基体101と同じにした。
上述の加工は旋盤で行い、円筒状基体101の加工と同じ切削バイトを用い、刃先を当てる角度を調整して粗さの調整を行った。
これらの上部補助基体および下部補助基体を用いてa−Si感光体を10本作製し、堆積膜形成後の上部補助基体および下部補助基体の膜剥がれの確認とa−Si感光体の画像欠陥の評価を行った。評価はいずれも10本の平均値とした。
(補助基体の膜剥がれの確認)
堆積膜形成後の上部補助基体102および下部補助基体103の外観を、堆積室から取出し直後に目視で確認し、膜剥がれの有無を調べた。さらに堆積膜の密着性のラチチュードを確認するために、室温の純水に24時間浸けた後の膜剥がれの有無をチェックする過酷試験も行った。膜剥がれが有る場合は、剥がれ面積の大小を問わず、膜剥がれが見られる軸方向領域を調べた。結果を表3に示す。なお、上部補助基体102と下部補助基体103の結果はほぼ同じであったため、下部補助基体103の結果は省略する。
(画像欠陥の評価)
a−Si感光体をキヤノン(株)製複写機iRC6880Nに設置し、画像露光量を最小にして出力したA3サイズの画像を観察し、感光体1周分当たりの、直径0.10mm以上の白ポチ(画像欠陥の部分)の個数を数えた。
画像欠陥の評価は比較例1で得られた結果を100としたときの、相対評価で行い、評価結果を以下のようにランク付けした。この評価結果は、数字が小さいほど画像欠陥が少なく、良好であることを示す。
A ・・・ 70未満。
B ・・・ 70以上90未満。
C ・・・ 90以上110未満(変化無し)。
D ・・・ 110以上(悪化)。
得られた結果を表3に示す。
〔実施例2〕
実施例1に対し、上部補助基体102の上側および下部補助基体103の下側の領域の外周面の表面粗さRaを円筒状基体101の10倍にした。
この加工は、補助基体の外周面全面に旋盤で鏡面加工を施した後、表面粗さを大きくする領域を#1500のサンドペーパーで研磨して粗さを調整した。
それ以外は実施例1と同様に、a−Si感光体を10本作製して、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表3に示す。
〔実施例3〕
実施例1に対し、上部補助基体102の上側および下部補助基体103の下側の領域の外周面の表面粗さRaを円筒状基体101の15倍にした。
この加工は、補助基体の外周面全面に旋盤で鏡面加工を施した後、表面粗さを大きくする領域を#1000のサンドペーパーで研磨して粗さを調整した。
それ以外は実施例1と同様に、a−Si感光体を10本作製して、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表3に示す。
〔実施例4〕
実施例1の上部補助基体102の円筒状基体101から遠い側(上部補助基体の上側)の50mmの領域を、さらに20mm(上側)と30mmとに分ける。そして20mmの領域の外周面の表面粗さRaを円筒状基体101の10倍にした。この加工は、実施例3と同様に#1500のサンドペーパーで研磨して粗さを調整した。
同様の加工を下部補助基体103にも実施した。同様の加工とは、円筒状基体101から遠い側(下部補助基体の下側)の50mmの領域を、さらに30mmと20mm(下側)との2つの領域に分ける。そして20mmの領域の外周面の表面粗さRaを円筒状基体101の10倍にした。
それ以外は実施例1と同様に、a−Si感光体を10本作製して、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表3に示す。
〔実施例5〕
上部補助基体102を、長さが50mmと70mmとの2つに分割した。そして、長さが50mmのものの外周面に、#1500のサンドペーパーで研磨をして表面粗さRaを円筒状基体の10倍にした。また、長さ70mmのものの外周面は旋盤で鏡面加工した。これらの加工を施した後、50mmを上に、70mmを下(円筒状基体101側)に組み合わせて、上部補助基体102とした。
同様の加工を、長さが50mmと70mmとの2つに分割した下部補助基体103にも施し、70mmを上(円筒状基体101側)に、50mmを下に組み合わせて、下部補助基体103とした。
そして、実施例1と同様にa−Si感光体を10本作製して、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表3に示す。
〔実施例6〕
上部補助基体102の外周面を、下端(円筒状基体101側、表面粗さRaが円筒状基体101と同じ)から上端(表面粗さRaが円筒状基体101の10倍)へ表面粗さを連続的に変化させた。
同様の加工を下部補助基体103にも実施した。同様の加工とは、下部補助基体103の上端(円筒状基体101側、表面粗さRaが円筒状基体101と同じ)から下端(表面粗さRaが円筒状基体101の10倍)へ表面粗さを連続的に変化させた。
上述の加工は、補助基体の外周面全面に旋盤で鏡面加工を施した後、#1500のサンドペーパーで研磨して粗さを調整する際の、当接圧力を補助基体の軸方向で変化させて粗さを調整した。
これらの補助基体を用いてa−Si感光体を10本作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表3に示す。
〔比較例1〕
上部補助基体102および下部補助基体103の外周面には、旋盤で円筒状基体101と同じ鏡面加工を行った。したがって、外周面の表面粗さRaは円筒状基体101と同じである。
これらの補助基体を用いてa−Si感光体を10本作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表4に示す。
〔比較例2〕
比較例1に対し、上部補助基体102および下部補助基体103の外周面の表面粗さRaを円筒状基体101の2倍にした。この加工は旋盤で行い、円筒状基体101の加工と同じ切削バイトを用い、刃先を当てる角度を調整して粗さの調整を行った。
これらの補助基体を用いてa−Si感光体を10本作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表4に示す。
〔比較例3〕
比較例1に対し、上部補助基体102および下部補助基体103の外周面の表面粗さRaを円筒状基体101の3倍にした。この加工は旋盤で行い、円筒状基体101の加工と同じ切削バイトを用い、刃先を当てる角度を調整して粗さの調整を行った。
これらの補助基体を用いてa−Si感光体を10本作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表4に示す。
〔比較例4〕
比較例1に対し、上部補助基体102および下部補助基体103の外周面の表面粗さRaを円筒状基体101の10倍にした。この加工は、#1500のサンドペーパーで研磨し、粗さを調整した。
これらの補助基体を用いてa−Si感光体を10本作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表4に示す。
〔比較例5〕
比較例1に対し、上部補助基体102および下部補助基体103の外周面の表面粗さRaを円筒状基体101の15倍にした。この加工は、#1000のサンドペーパーで研磨し、粗さを調整した。
これらの補助基体を用いてa−Si感光体を10本作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表4に示す。
〔比較例6〕
比較例1に対し、上部補助基体102および下部補助基体103の外周面の表面粗さRaを円筒状基体101の20倍にした。この加工は、#800のサンドペーパーで研磨し、粗さを調整した。
これらの補助基体を用いてa−Si感光体を10本作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表4に示す。
〔比較例7〕
比較例1に対し、上部補助基体102および下部補助基体103の外周面の表面粗さRaを円筒状基体101の30倍にした。この加工は、#600のサンドペーパーで研磨し、粗さを調整した。
これらの補助基体を用いてa−Si感光体を10本作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表4に示す。
Figure 0005941365
Figure 0005941365
表3および表4から、各実施例は各比較例に対して画像欠陥が大きく良化した。つまり、従来の補助基体の外周面の表面粗さが均一なものに比べ、軸方向に複数の領域に分け、温度分布に応じて表面粗さを変化させることで、画像欠陥を大幅に低減できることがわかった。
各比較例を比べると、比較例1、2に対し、比較例3〜7の画像欠陥が悪化していることから、補助基体の円筒状基体に近い側の膜剥がれは、画像欠陥への影響が大きく、堆積膜形成時に円筒状基体に付着する確率が高いと言える。
これら表4に示す各比較例の結果から、堆積室から取出し直後に、補助基体に膜剥がれが見られない範囲の、補助基体の外周面の温度と表面粗さの関係が導き出せた。堆積膜形成時の円筒状基体の端部と補助基体の外周面の温度差をΔT、円筒状基体と補助基体の外周面の表面粗さをJIS B0601:2001で規定される算術平均粗さRaでそれぞれR1、R2とすると、図5の関係となった。図5は各比較例のΔTとR2/R1の関係を示した図で、図中の×は、堆積室から取出し直後に、各比較例の補助基体の剥がれ発生部と剥がれが見られない部分の境界部を示す。また、図中の○は、堆積室から取出し直後に、各比較例で膜剥がれが見られない部分を示す。
補助基体外周面の表面粗さが大きすぎると、補助基体の円筒状基体に近い側から膜剥がれが発生する。上部補助基体の円筒状基体側つまりΔT=0℃付近では、比較例2、3の結果から、R2/R1は2以下が良い。また、上部補助基体の円筒状基体から遠い側つまりΔT=80℃では、比較例7の結果から、R2/R1は30以下が良い。比較例4〜6を含め、堆積室から取出し直後に、膜剥がれが見られない補助基体の外周面の表面粗さの上限は次の関係になる。
R2/R1≦(30−2)/80×ΔT+2=0.35×ΔT+2
また、補助基体外周面の表面粗さが小さすぎると、補助基体の円筒状基体から遠い側から膜剥がれが発生する。比較例1から、R2/R1が1のとき、ΔT=63℃から膜剥がれが発生するが、ΔT=60℃の部分は発生しない。また、比較例2、3の結果から、ΔT=80℃では、R2/R1は3以上が良い。比較例4〜6を含め、堆積室から取出し直後に、膜剥がれが見られない補助基体の外周面の表面粗さの下限は次の関係になる。
(3−1)/(80−60)×(ΔT−60)+1=0.1×ΔT−5≦R2/R1
したがって、堆積室から取出し直後に、補助基体の膜剥がれが見られない補助基体の外周面の温度と表面粗さの関係は以下となる。
0.1×ΔT−5≦R2/R1≦0.35×ΔT+2
但し、R2/R1は1以上、ΔTは80℃以下 式(1)
従来の補助基体の外周面の表面粗さが均一なものでは、式(1)を成り立たせることが困難で、各比較例では補助基体に膜剥がれが発生した。しかし、本発明の、補助基体の外周面の軸方向の温度分布に応じて、補助基体の外周面の表面粗さを調整することで、式(1)の関係を成り立たせることができる。各実施例のΔTとR2/R1の関係を図に示すと、実施例1、2、3、5は図6、実施例4は図7、実施例6は図8となる。
各実施例を比べると、画像欠陥は良好で、堆積室から取出し直後は補助基体の膜剥がれは見られなかった。過酷試験として行った水浸け24時間後には、実施例1〜5ではわずかに膜剥がれが発生したが、実施例6は膜剥がれが発生しなかった。このことから、実施例6、つまり補助基体の外周面の温度分布に応じて表面粗さを連続的に変化させるのが最も効果的であり、堆積膜形成条件の変更や堆積膜を更に厚くする場合においても膜剥がれが起きにくく、ラチチュードが最も広くなることがわかった。
以上の結果から、補助基体の外周面の軸方向の温度分布に応じて、補助基体の外周面の表面粗さを調整することで、感光体の画像欠陥が低減されるという本発明の効果が確認された。
101‥‥円筒状基体
102‥‥上部補助基体
103‥‥下部補助基体
104‥‥基体ホルダ
112‥‥受台
113‥‥ヒータ

Claims (4)

  1. 円筒状基体ならびに該円筒状基体の上部および/または下部に設けられた補助基体を減圧可能な堆積室内に設置し、前記円筒状基体を内周側から加熱しながら、気相成長法により前記円筒状基体の外周面にアモルファスシリコンで構成された堆積膜を形成する堆積膜形成工程を有する電子写真感光体の製造方法において、
    前記堆積膜形成工程における前記円筒状基体の端部と前記補助基体の外周面の温度差をΔTとし、前記円筒状基体および前記補助基体の外周面の表面粗さをJIS B0601:2001で規定される算術平均粗さRaでそれぞれR1およびR2としたとき
    0.1×ΔT−5≦R2/R1≦0.35×ΔT+2
    (ただし、R2/R1は1以上であり、ΔTは80℃以下である。)
    の関係が成り立
    前記補助基体の外周面を軸方向に表面粗さが異なる複数の領域に分割したとき前記堆積膜形成工程における前記補助基体外周面の軸方向温度が前記補助基体内で相対的に高い領域は、その表面粗さ相対的に小さく、相対的に低い領域は、その表面粗さ相対的に大き
    ことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記補助基体の外周面の表面粗さ、軸方向に連続的に変化している請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 記表面粗さが相対的に大きい領域、研磨部材で研磨加工された領域である請求項1または2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 前記補助基体の材質が無酸素銅である請求項13のいずれか項に記載の電子写真感光体の製造方法。
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