以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の課題を解決するのに必須の構成要件であるとは限らない。
〔実施形態1〕
図1に、本発明に係る実施形態1における角度検出装置としてのレゾルバーの構成例の斜視図を示す。図1では、ステーター巻線等の配線の図示を省略している。なお、図1では、レゾルバーが、8個のステーターティースを有し、1相励磁2相出力型のレゾルバーを例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図2に、図1のステーターの分解斜視図を示す。図2において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態1におけるレゾルバー100は、ステーター(固定子)200と、ローター(回転子)300とを含む。レゾルバー100は、いわゆるインナーローター型の角度検出装置である。即ち、ステーター200の内側にローター300が設けられ、ローター300の外周側の面と対向した状態で、ローター300の回転角度に応じて、ステーター200に設けられたステーター巻線を構成する検出巻線からの信号が変化するようになっている。
ステーター200は、磁性材料からなる環(リング)状の平板250により構成され、平板250に複数のステーターティースが設けられている。これらのステーターティースは、平板250の平板面に対して交差するように設けられている。図1では、ステーター200は、折り曲げ加工等により平板面に対して同一面側に略垂直に起こされた8個のステーターティース(突極部)210a、210b、210c、210d、210e、210f、210g、210hを有する。ステーターティース210a〜210hは、プレス加工により予め平板250に形成された後に、折り曲げプレス加工(広義には折り曲げ加工)により、平板250の面に対して略垂直となるように起こされている。これらのステーターティースは、環状の平板250の内側(内径側)の縁部に形成され、各ステーターティースの面のうち少なくともローター300と対向する面は平面ではなく、ローター300の回転軸の方向に沿って見たときに、環状の平板250の内径側に位置する点を中心とする円弧の一部となるように形成されている。
また、ステーター200には、平板250に装着可能に構成された環状の絶縁キャップ400が装着される。絶縁キャップ400は、ステーター200のステーターティース210a〜210hの位置に合わせて設けられた複数のボビン410a、410b、410c、410d、410e、410f、410g、410hが一体に形成されている。各ボビンは、ステーターティース挿入孔を有し、当該ボビンに対応するステーターティースが該ステーターティース挿入孔に挿入されると共に、その外側にステーター巻線が巻回される。複数のボビン410a〜410hを構成する各ボビンのステーターティース挿入孔の向きは、ローター300の回転軸の向きである。
また、絶縁キャップ400は、複数のボビン410a〜410hを構成する各ボビンの外側に巻回されるステーター巻線と電気的に接続される端子ピンが設けられるコネクター部(コネクターユニット)450を含み、複数のボビン410a〜410hとコネクター部450とが一体に形成される。このコネクター部450には、端子ピン挿入孔461〜466が設けられており、端子ピン挿入孔461〜466には、ステーター巻線と電気的に接続される導電材からなる端子ピン471〜476がそれぞれ挿入される。ステーター巻線には、端子ピン471〜476のいずれかを介して外部から励磁信号が印加されると共に、端子ピン471〜476のいずれかを介して外部に検出信号を出力する。このように、ステーター巻線と電気的に接続される端子ピンが設けられるコネクター部を、複数のボビンと共に一体に形成するようにしたので、ステーター巻線を確実に固定させて、ステーター巻線の緩み等によって生じる特性の変化に起因した信頼性の低下を防止することができるようになる。また、ステーター巻線に入力又は出力される信号を印加するための端子ピンを、絶縁キャップに簡単に取り付けることができるようになる。
更に、絶縁キャップ400は、複数の渡りピン480a、480b、480c、480d、480e、480f、480gを含み、複数のボビン410a〜410h、コネクター部450及び複数の渡りピン480a〜480gが一体に形成されている。複数の渡りピン480a〜480gを構成する各渡りピンは、2つのボビンの間において、環状の絶縁キャップ400上に形成されている。なお、ボビン410a、410hの間には、渡りピンが形成されていない。各渡りピンは、2つのボビンの間に設けられた円柱状の形状を有し、一方のボビンの外側に巻回されるステーター巻線と電気的に接続される導線が、渡りピンにおいて張力を持たせた状態で掛けられて、他方のボビンの外側に巻回されるステーター巻線と電気的に接続される。これにより、2つのボビンの距離が長くなっても共振し難くなる上に、ステーター巻線の巻き数を半ターン単位で調整できるようになる。ここで、導線に張力を持たせ易くし、且つその状態をできるだけ長く維持させるために、渡りピンは、ローター300の回転軸の向きと同じ向きの部分を有することが望ましい。
即ち、絶縁キャップ400は、複数のボビンを構成する第1のボビン及び第2のボビンの間に設けられた渡りピンを含むことができる。更に、この渡りピンは、ローター300の回転軸の向きと同じ向きの巻線経由部を含み、第1のボビンの外側に巻回される第1のステーター巻線と第2のボビンの外側に巻回される第2のステーター巻線とを電気的に接続する導線が、巻線経由部において張力を持たせた状態で掛けられる。なお、巻線経由部は、ローター300の回転軸の向きと同じ向きであるものに限定されない。
このような絶縁キャップ400をステーター200の平板250に装着することにより、ステーター200とステーター巻線とが電気的に絶縁される。これにより、ステーター巻線により構成されるコイルの絶縁破壊を防止できる。このような絶縁キャップ400は、PBT(Poly-butylene-terephtalate:ポリブチレンテレフタレート)又はPPT(Polypropylene terephtalate:ポリプロピレンテレフタレート)等の絶縁性の樹脂(絶縁材)を用いた塑性加工により形成される。
なお、ステーター200を構成する平板250には、その半径方向よりその円周方向に長い複数の取り付け孔が形成されている。図示しない固定部材をこれらの取り付け孔を通して、レゾルバー100を固定するための固定板に取り付けられるように構成されている。このように平板250の円周方向に長くなるように取り付け孔を形成することで、ローター300の回転方向に対しレゾルバー100の固定位置の微調整を容易に行うことができるようになる。
ローター300は、磁性材料からなり、ステーター200に対して回転自在に設けられている。より具体的には、ローター300は、ローター300の回転軸回りの回転によりステーター200の各ステーターティースとの間のギャップパーミアンスが変化するようにステーター200に対して回転可能に設けられる。例えば、ローター300の軸倍角が「2」であり、所与の半径の円周線を基準に、該円周線の1周につき、平面視において外径側の外形輪郭線を2周期で変化する形状を有している。そして、平板250に対して起こされたステーターティースの内側(内径側、内周側)の面と対向するローター300の外周側の面が、ローター300の1回転につき2周期でギャップパーミアンスが変化するようになっている。
次に、ローター300の回転によって検出巻線から出力される検出信号を取り出すためのステーター巻線について説明する。ステーター巻線は、励磁巻線と検出巻線とから構成され、励磁巻線により励磁した状態で、ステーター200に対するローター300の回転により、検出巻線の信号が変化する。
図3(A)、図3(B)に、ステーター200のステーターティースに設けられるステーター巻線の説明図を示す。図3(A)は、ステーター巻線を構成する励磁巻線の説明図を表す。図3(B)は、ステーター巻線を構成する検出巻線の説明図を表す。図3(A)、図3(B)は、図1のローター300の回転軸方向にレゾルバー100を見た平面図であり、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図3(A)では、励磁巻線の巻き方向を模式的に示し、図3(B)では、検出巻線の巻き方向を模式的に示す。実際には、各ボビンのステーター巻線を電気的に接続する場合、各ステーター巻線間を接続する導線は、その間に形成された渡りピンを経由させる。
励磁巻線は、図3(A)に示すように、隣接するステーターティースの巻線方向が互いに反対方向となるように設けられる。各ステーターティースに設けられる励磁巻線は、例えばコイル巻線とすることができる。このような励磁巻線と電気的に接続される端子ピンR1、R2間に、励磁信号が与えられる。端子ピンR1、R2は、図1又は図2の端子ピン471〜476のいずれかに割り当てられる。
また、図3(B)に示すように、2相の検出信号を得るために、検出巻線は2組の巻線部材からなる。2相の検出信号の第1相(例えばSIN相)の検出信号を得るための検出巻線は、例えばステーターティース210aから反時計回りにステーターティース210gまで、1つおきに各ステーターティースに巻回される。一方、2相の検出信号の第2相(例えばCOS相)の検出信号を得るための検出用の巻線部材は、例えばステーターティース210bから反時計回りにステーターティース210hまで、1つおきに各ステーターティースに巻回される。第1相の検出信号は、端子ピンS1、S3間の信号として検出され、第2相の検出信号は、端子ピンS2、S4間の信号として検出される。各ステーターティースに設けられる検出巻線は、例えばコイル巻線とすることができる。端子ピンS1〜S4は、図1又は図2の端子ピン471〜476のいずれかに割り当てられる。
このように、ステーターティース210a、210c、210e、210gがステーターティース挿入孔に挿入されるボビン410a、410c、410e、410gのそれぞれの外側には、励磁巻線及び第1相(SIN相)の検出巻線が巻回される。ステーターティース210b、210d、210f、210hがステーターティース挿入孔に挿入されるボビン410b、410d、410f、410hのそれぞれの外側には、励磁巻線及び第2相(COS相)の検出巻線が巻回される。
なお、実施形態1では、励磁巻線の巻き方向は、図3(A)に示す方向に限定されるものではない。また、実施形態1では、検出巻線の巻き方向は、図3(B)に示す方向に限定されるものではない。
以上のような構成を有するレゾルバー100では、ステーター200に対するローター300の回転によって、次のような磁気回路が形成される。
図4に、図1のレゾルバー100の上面図を示す。図4は、図1のローター300の回転軸方向にレゾルバー100を見た平面図であり、図1又は図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図4では、説明の便宜上、絶縁キャップ400の図示を省略すると共に、ステーター200に対してローター300が回転状態のときのある時刻における磁束の向きを模式的に示している。また、図4において、巻線磁芯としての各ステーターティースを通る磁束の向きを模式的に示している。
絶縁キャップ400を介してステーター200のステーターティースにステーター巻線が設けられており、ローター300が回転すると、ローター300を介して隣接するステーターティース間で磁気回路が形成される。実施形態1では、図4に示すように、隣接するステーターティースを通る磁束の向きが反対方向となるようにステーター巻線が設けられているため、ローター300の回転によって、各ステーターティースとの間のギャップパーミアンスの変化に応じて、各ステーターティースに巻回されるステーター巻線に発生する電流もまた変化し、例えば検出巻線に発生する電流波形を正弦波状にすることができる。
以上のような構成を有するレゾルバー100において、磁性材料からなるステーター200の平板250は、積層電磁鋼板、普通鋼であるSPCC(1枚の鋼板)又は機械構造用炭素鋼であるS45CやS10C(1枚の鋼板)、或いは1枚の電磁鋼板(珪素鋼板)又は複数枚が積層された電磁鋼板により構成されることが望ましい。SPCC(Steel Plate Cold Commercial)は、JIS G3141に規定される冷間圧延鋼板及び鋼帯である。S45Cは、JIS G 4051で規定される機械構造用炭素鋼鋼材で、0.45%程度の炭素を含有している。S10Cは、JIS G 4051で規定される機械構造用炭素鋼鋼材で、0.10%程度の炭素を含有している。
次に、実施形態1における絶縁キャップ400の詳細な構成例について説明する。絶縁キャップ400は、図1において、ステーター200のステーターティースの設置位置に合わせて環状に構成されている。そこで、実施形態1では、絶縁キャップ400は、1又は複数のステーターティース挿入孔を有する複数のボビンユニットが連結部を介して直線状に連接された状態で成形され、その両端部を繋ぎ合わせることで環状に形成される。
図5に、実施形態1における絶縁キャップ400の斜視図を示す。図5は、両端部が連結される前の絶縁キャップ400の斜視図を表す。図5において、図1又は図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図6に、実施形態1における絶縁キャップ400の斜視図を示す。図6は、両端部が連結された後の絶縁キャップ400の斜視図を表す。図6において、図1又は図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態1における絶縁キャップ400は、複数のボビンユニットを有し、各ボビンユニット同士は連結部を介して一繋ぎされて連接され、その両端のユニットを連結した状態でステーター200に装着可能に構成される。各ボビンユニットには、1又は複数のボビンが設けられ、各ボビンはステーターティース挿入孔を有する。絶縁キャップ400は、複数のボビンユニットが連結部を介して連接された状態で、絶縁性の樹脂(絶縁材)を用いた塑性加工により形成されることが望ましい。
実施形態1では、図5に示すように、絶縁キャップ400のコネクター部450は、2つのコネクターユニット452、454に分割され、一繋ぎされた複数のボビンユニットの両端に各コネクターユニットが連結される。そして、絶縁キャップ400は、各ボビンユニットが1つのボビンを有するボビンユニット460a〜460hを有し、各ボビンユニット同士は連結部において連結されている。なお、図5では、コネクターユニット452とボビンユニット460aとが一体に形成され、コネクターユニット454とボビンユニット460hとが一体に形成される。コネクターユニット452は、端子ピン挿入孔464〜466を有し、コネクターユニット454は、端子ピン挿入孔461〜463を有する。
ボビンユニット460a〜460hの各ボビンユニットには、ボビン410a〜410hの各ボビンが設けられている。また、ボビンユニット460a〜460gの各ボビンユニットには、渡りピン480a〜480gの各渡りピンが設けられている。
実施形態1では、コネクターユニット452、454を繋ぎ合わせることで、一繋ぎされたボビンユニット460a〜460hを環状に配置させて、図6に示すような絶縁キャップ400を形成させる。こうすることで、予め絶縁キャップを形成しておくことが可能となり、生産効率の向上やコストダウンを図ることが可能となる。更に、環状のまま絶縁キャップを形成する場合に比べて、ボビンの形状が複雑になっても、絶縁キャップ400の金型の形状が簡素化でき、かつ、製造工程も簡略化できるようになる。
なお、図5では、各ボビンユニットに、1つのボビンが設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各ボビンユニットに複数のボビンが設けられていてもよい。また、図5のボビンユニットに、1つもボビンが設けられないボビンユニットが含まれていてもよい。
図7に、図5の絶縁キャップ400の一部を拡大した斜視図を示す。図7において、図5と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図7は、ボビンユニット460f〜460hの部分を表すが、他のボビンユニットも同様である。
図8に、図5の絶縁キャップ400の連結部の構成例の斜視図を示す。図8において、図5と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図8は、ボビンユニット460f、460gの連結部を表すが、他のボビンユニットの連結部も同様である。
図9に、図8の連結部の説明図を示す。図9において、図8と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図9では、環状に形成する前のボビンユニット460gを波線で表し、環状に形成した後のボビンユニット460gを実線で表している。図9は、ボビンユニット460f、460gの連結部を表すが、他のボビンユニットの連結部も同様である。
図7に示すように、各ボビンユニット間に設けられる連結部は、両ボビンユニットと同じ絶縁材料からなり、両ボビンユニットに接続された状態で一体に形成される。より具体的には、両ボビンユニットは、連結部により蝶着され、回動自在に設けられる。即ち、連結部は、ヒンジ部として機能し、両ボビンユニットが、連結部に接続された状態で、両ボビンユニットの連結方向と交差する方向の軸回りに回動可能に設けられる。従って、蝶着された両ボビンユニットを回動させることで、図6に示すような環状の絶縁キャップ400を形成させることができる。
また、図6に示すように、連結部470fに接続されるボビンユニット460f、460gの端部492(端面)f、492gは、互いに密着可能な形状に加工されている。これにより、図9に示すように、両ボビンユニット460f、460gを回動させたときに図6に示すような環状に正確に形成できるようになる。
また、図8に示す絶縁キャップ400は、ステーター200に装着された状態で、ローター300の回転軸方向のズレを低減できる構造を有していることが望ましい。
図10(A)、図10(B)に、図5のコネクターユニット452、454の端面の構造の一例を模式的に示す。図10(A)は、コネクターユニット452、454の端面の構造を模式的に表す斜視図である。図10(B)は、コネクターユニット452、454を嵌合させたときの端面構造を模式的に表す断面図である。図10(A)、図10(B)において、図5と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態1における絶縁キャップ400は、図10(A)、図10(B)に示すように、コネクターユニット452、454の端面が、互いに嵌合可能な凹凸面である。こうすることで、図5の絶縁キャップ400を図8に示すように環状に形成したとき、コネクターユニット452、454の端面における嵌合により、D1方向のズレをほぼ無くすことができるようになる。これにより、ステーター200への絶縁キャップ400の装着状態が安定化される。
なお、絶縁キャップ400を構成するコネクターユニット452、454の端面の構造は、図10(A)、図10(B)に示すものに限定されるものではない。
図11(A)、図11(B)に、図5のコネクターユニット452、454の端面の構造の他の例を模式的に示す。図11(A)は、コネクターユニット452、454の端面の構造を模式的に表す斜視図である。図11(B)は、コネクターユニット452、454を嵌合させたときの端面構造を模式的に表す断面図である。図11(A)、図11(B)において、図5と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
この場合においても、絶縁キャップ400は、図11(A)、図11(B)に示すように、コネクターユニット452、454の端面が、互いに嵌合可能な凹凸面である。こうすることで、図5の絶縁キャップ400を図8に示すように環状に形成したとき、コネクターユニット452、454が端面における嵌合により、D2方向のズレを低減できるようになる。
更に、絶縁キャップ400は、ステーター200(又はステーター200の平板250)の縁部に係止する1又は複数の係止部を含み、これらの係止部によりステーター200に装着可能に構成されていることが望ましい。
図12に、図6の絶縁キャップ400を裏面から見た斜視図を示す。図12において、図6と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
絶縁キャップ400は、コネクター部450を平板250に固定するための係止部432、434と、複数のボビンが形成される固定部を平板250の内径側の縁部に固定するための係止部490a、490b、490c、490d、490e、490f、490gを含む。これらの係止部は、絶縁キャップ400が平板250に取り付けられた際に、突起した部分が平板250の縁部に係止するようになっており、いわゆる爪構造によって係止部の機能が実現されている。
また、係止部490a〜490gを構成する各係止部は、図5の互いに隣接する2つのボビンユニットの裏側に構成された2つの係止部が密着した状態で構成される。従って、係止部490a〜490gを構成する各係止部は、図8に示すように環状に形成された状態で平板250の縁部に係止するようになっている。
図13に、図12の係止部の説明図を示す。図13は、平板250の縁部に係止する係止部432の断面構造の一例を表すが、他の係止部も同様である。
図14に、実施形態1におけるステーター200の裏面から見た斜視図を示す。図14において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図13に示すように、絶縁キャップ400のコネクター部450が、平板250の第1の面PL1側から装着されて係止部432が平板250の第2の面PL2側に突出した際、係止部432が平板250の縁部の第2の面PL2側で係止するようになっている。絶縁キャップ400が有するすべての係止部は、図13と同様に、平板250に係止するようになっている。
その結果、実施形態1では、ステーター200の平板250の内径側の縁部に、絶縁キャップ400の係止部490a〜490gが係止することで、ステーター200の平板250に絶縁キャップ400が装着される。
次に、上記のような構成を有する実施形態1におけるレゾルバー100の製造方法について説明する。
図15に、実施形態1におけるレゾルバー100の製造方法の一例のフロー図を表す。例えば、レゾルバー100の製造装置が図15に示すフローに従って各工程の処理を実行する。
実施形態1におけるレゾルバー100は、まず、ステーター形状加工工程においてステーター200の形状を加工した(ステップS10)後に、折り曲げプレス加工工程(折り曲げ工程)において、平板状のステーター200のステーターティースを折り曲げて、複数のステーターティースが平板面に対して起こされる(ステップS12)。
そして、絶縁キャップ取り付け工程として、図5に示すように予め塑性加工により複数のボビンユニットが連接されて形成された絶縁キャップ400を、図6に示すように環状に形成した状態で、ステップS12で折り曲げられた各ステーターティースをそのステーターティース挿入孔に挿入させて、ステーター200に装着する(ステップS14)。続いて、巻線部材取り付け工程として、ステップS12で起こされたステーターティース210a〜210hの各ステーターティースを巻線磁芯として、絶縁キャップ400の各ボビンを介して各ステーターティースの外側に巻線部材が設けられる(ステップS16)。
即ち、ステップS10のステーター形状加工工程では、ステップS12の折り曲げプレス加工を行うために、プレス加工により、普通鋼であるSPCC、機械構造用炭素鋼であるS45C又は電磁鋼板を材質とする環状の磁性材料からなる平板の内径側の縁部にステーターティース210a〜210hが形成されて、ステーター200の形状が形成される。そして、ステップS12では、折り曲げプレス加工により、ステップS10において形成された複数のステーターティースを起こすように加工される。この結果、ステーターティース210a〜210hは、ステーター200の平板面に対してほぼ垂直となるように起こされる。
ステップS14では、こうして起こされたステーターティースのそれぞれが、絶縁キャップ400が有するボビンに設けられたステーターティース挿入孔に挿入され、一繋ぎされて形成された絶縁キャップ400が環状に形成された状態でステーター200に装着される。その後、ステップS16では、各ステーターティースの先端部を支持する支持部の周囲に励磁用の巻線部材及び検出用の巻線部材が設けられる。
次に、別工程で、ローター300がプレス加工により形成される。実施形態1では、ローター300は、環状の平板であるが、平面視において外径側の外形輪郭線が2周期で変化する形状を有している。そして、ローター取り付け工程として、ローター300が、ステーター200に対して回転自在となるように、ステーター200の内径側に設けられる(ステップS18)。より具体的には、ローター取り付け工程において、ローター300は、ローター300の回転軸回りの回転によりローター300の外側とステーター200の各ステーターティースとの間のギャップパーミアンスが変化するようにステーター200に対して回転可能に設けられる。以上のように、図1に示すような実施形態1におけるレゾルバー100が製造される。
以上説明したように、実施形態1によれば、絶縁キャップの取り付け工程が簡素化され、巻線部材の取り付けが容易となって、生産効率の向上やコストダウンを可能とする絶縁キャップ及びこの絶縁キャップが適用されたレゾルバーを提供できるようになる。
実施形態1では、上記の実施形態1におけるレゾルバー100からの2相の検出信号に基づいて、回転角度に対応したデジタルデータを出力することができる。
図16に、実施形態1における角度検出システムの構成例の機能ブロック図を示す。なお、図16では、レゾルバー100の外部にR/D変換器が設けられているが、レゾルバー100がR/D変換器を内蔵してもよい。
実施形態1における角度検出システム600は、上記のレゾルバー100と、R/D変換器(広義には変換器、変換装置)500とを含む。レゾルバー100は、ステーター及び該ステーターに対して回転可能に設けられたローターを含み、1相の励磁信号R1、R2により励磁された状態で、ステーターに対するローターの回転角度に応じた2相の検出信号S1〜S4を出力する。R/D変換器500は、レゾルバー100に対する励磁信号R1、R2を生成すると共に、レゾルバー100からの2相の検出信号S1〜S4に対応したデジタル信号を生成し、シリアルデータ又はパラレルデータとして出力する。
R/D変換器500の出力値であるシリアルデータ又はパラレルデータが、後段の処理回路に出力され、この処理回路は、角度検出システム600からのシリアルデータ又はパラレルデータに対応した処理を実行することで、ステーターに対するローターの回転角度に応じた処理を実現できるようになる。
なお、R/D変換器500の構成及び処理の内容に、本発明が限定されるものではない。本発明に係るR/D変換器は、レゾルバー100からの信号をデジタル信号(デジタル値)に変換するものであればよい。
〔実施形態2〕
本発明に係る絶縁キャップの構成は、実施形態1における絶縁キャップ400の構成に限定されるものではない。
図17に、本発明に係る実施形態2におけるレゾルバーの構成例の斜視図を示す。図17では、ステーター巻線等の配線の図示を省略し、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図17では、レゾルバーが、8個のステーターティースを有し、1相励磁2相出力型のレゾルバーを例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施形態2におけるレゾルバー700が実施形態1におけるレゾルバー100と異なる点は、ステーター200に代えてステーター750が設けられる点である。ここで、ステーター750がステーター200と異なる点は、絶縁キャップ400に代えて絶縁キャップ800が設けられる点である。即ち、ステーター750には、平板250に装着可能に構成された環状の絶縁キャップ800が装着される。絶縁キャップ800は、ステーター750のステーターティース210a〜210hの位置に合わせて設けられた複数のボビン410a、410b、410c、410d、410e、410f、410g、410hが一体に形成されている。各ボビンは、ステーターティース挿入孔を有し、当該ボビンに対応するステーターティースが該ステーターティース挿入孔に挿入されると共に、その外側にステーター巻線が巻回される。複数のボビン410a〜410hを構成する各ボビンのステーターティース挿入孔の向きは、ローター300の回転軸の向きである。
また、絶縁キャップ800は、複数のボビン410a〜410hを構成する各ボビンの外側に巻回されるステーター巻線と電気的に接続される端子ピンが設けられるコネクター部(コネクターユニット)850を含み、複数のボビン410a〜410hとコネクター部850とが一体に形成される。コネクター部850には、端子ピン挿入孔461〜466が設けられており、端子ピン挿入孔461〜466には、ステーター巻線と電気的に接続される導電材からなる端子ピン471〜476がそれぞれ挿入される。
更に、実施形態1と同様に、絶縁キャップ800は、複数の渡りピン480a、480b、480c、480d、480e、480f、480gを含み、複数のボビン410a〜410h、コネクター部850及び複数の渡りピン480a〜480gが一体に形成されている。各渡りピンは、2つのボビンの間に設けられた円柱状の形状を有し、一方のボビンの外側に巻回されるステーター巻線と電気的に接続される導線が、渡りピンにおいて張力を持たせた状態で掛けられて、他方のボビンの外側に巻回されるステーター巻線と電気的に接続される。ここで、導線に張力を持たせ易くし、且つその状態をできるだけ長く維持させるために、渡りピンは、ローター300の回転軸の向きと同じ向きの部分を有することが望ましい。
即ち、絶縁キャップ800は、複数のボビンを構成する第1のボビン及び第2のボビンの間に設けられた渡りピンを含むことができる。更に、この渡りピンは、ローター300の回転軸の向きと同じ向きの巻線経由部を含み、第1のボビンの外側に巻回される第1のステーター巻線と第2のボビンの外側に巻回される第2のステーター巻線とを電気的に接続する導線が、巻線経由部において張力を持たせた状態で掛けられる。なお、巻線経由部は、ローター300の回転軸の向きと同じ向きであるものに限定されない。
このような絶縁キャップ800は、実施形態1と同様に、1又は複数のステーターティース挿入孔を有する複数のボビンユニットが連結部を介して直線状に連接された状態で成形され、その両端部を繋ぎ合わせることで環状に形成される。
図18に、実施形態2における絶縁キャップ800の斜視図を示す。図18は、両端部が連結される前の絶縁キャップ800の斜視図を表す。図18において、図5と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図19に、実施形態2における絶縁キャップ800の斜視図を示す。図19は、両端部が連結された後の絶縁キャップ800の斜視図を表す。図19において、図6と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
実施形態2における絶縁キャップ800は、複数のボビンユニットを有し、各ボビンユニット同士は連結部により一繋ぎされて連接され、その両端のユニットを連結した状態でステーター750に装着可能に構成される。各ボビンユニットには、1又は複数のボビンが設けられ、各ボビンはステーターティース挿入孔を有する。絶縁キャップ800は、複数のボビンユニットが連結部を介して連接された状態で、絶縁性の樹脂(絶縁材)を用いた塑性加工により形成されることが望ましい。
実施形態2では、図18に示すように、絶縁キャップ800のコネクター部850は、2つのコネクターユニット852、854に分割され、一繋ぎされた複数のボビンユニットの両端に各コネクターユニットが連結される。そして、絶縁キャップ800は、各ボビンユニットが1つのボビンを有するボビンユニット860a〜860hを有し、各ボビンユニット同士は連結部において連結されている。なお、図18では、コネクターユニット852とボビンユニット860aとが一体に形成され、コネクターユニット854とボビンユニット860hとが一体に形成される。コネクターユニット852は、端子ピン挿入孔464〜466を有し、コネクターユニット854は、端子ピン挿入孔461〜463を有する。
ボビンユニット860a〜860hの各ボビンユニットには、ボビン410a〜410hの各ボビンが設けられている。また、ボビンユニット860a〜860gの各ボビンユニットには、渡りピン480a〜480gの各渡りピンが設けられている。
実施形態2では、実施形態1と同様に、コネクターユニット852、854を繋ぎ合わせることで、一繋ぎされたボビンユニット860a〜860hを環状に配置させて、図19に示すような絶縁キャップ800を形成させる。こうすることで、環状のまま絶縁キャップを形成する場合に比べて、ボビンの形状が複雑になっても、絶縁キャップ800の金型の形状が簡素化でき、かつ、製造工程も簡略化できるようになる。
なお、図18では、各ボビンユニットに、1つのボビンが設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各ボビンユニットに複数のボビンが設けられていてもよい。また、図18のボビンユニットに、1つもボビンが設けられないボビンユニットが含まれていてもよい。
図20に、図18の絶縁キャップ800の一部を拡大した斜視図を示す。図20において、図18と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図20は、ボビンユニット860f〜860hの部分を表すが、他のボビンユニットも同様である。
図21に、図18の絶縁キャップ800の連結部の構成例の斜視図を示す。図21において、図18と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図21は、ボビンユニット860f、860gの連結部を表すが、他のボビンユニットの連結部も同様である。
図22に、図21の連結部の説明図を示す。図22において、図21と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図22では、環状に形成する前のボビンユニット860gを波線で表し、環状に形成した後のボビンユニット860gを実線で表している。図22は、ボビンユニット860f、860gの連結部を表すが、他のボビンユニットの連結部も同様である。
図20に示すように、各ボビンユニット間に設けられる連結部は、両ボビンユニットと同じ絶縁材料からなり、両ボビンユニットに接続された状態で一体に形成される。より具体的には、両ボビンユニットは、連結部により蝶着され、回動自在に設けられる。即ち、連結部は、ヒンジ部として機能し、両ボビンユニットが、連結部に接続された状態で、両ボビンユニットの連結方向と交差する方向の軸回りに回動可能に設けられる。従って、蝶着された両ボビンユニットを回動させることで、図19に示すような環状の絶縁キャップ800を形成させることができる。
また、図21に示すように、連結部870fに接続されるボビンユニット860f、860gの端部は、その端部同士を密着したときに中空部が形成される形状に加工され、残りの部分は互いに密着可能な形状に加工されている。絶縁キャップ800が絶縁キャップ400と異なる点は、連結部により蝶着された両ボビンユニット同士を密着したときに中空部が形成される点であり、その他の構成は絶縁キャップ400と共通である。これにより、図22に示すように、両ボビンユニット860f、860gを回動させたときに、両ボビンユニットの位置に決めに融通性を与えて、図19に示すような環状に形成できるようになる。
なお、実施形態2においても、実施形態1と同様に、コネクターユニット852、854の端面が、互いに嵌合可能な凹凸面であることが望ましい。また、絶縁キャップ800は、実施形態1と同様に、ステーター750(又はステーター750の平板250)の縁部に係止する1又は複数の係止部を含み、これらの係止部によりステーター750に装着可能に構成されていることが望ましい。
実施形態2におけるレゾルバー700は、実施形態1と同様のフローで製造できるため、詳細な説明を省略する。また、図16において、レゾルバー100に代えて実施形態2におけるレゾルバー700を設けてもよい。
〔具体的なシステム構成例〕
上記の各実施形態におけるレゾルバーは、例えば、車載用のモーター又は発電機の角度検出器として搭載されたり、産業機器用のモーター又は発電機の角度検出器として搭載されたりする。以下では、このような角度検出器として上記の各実施形態におけるレゾルバーが適用される角度検出システムの具体的な構成例について説明する。
図23(A)、図23(B)に、上記の各実施形態におけるレゾルバーが適用されるシステムの具体的な構成例を示す。図23(A)は、ハイブリッド車両のモーター及び発電機の回転位置を検出するハイブリッドエンジンシステムの構成例を表す。図23(B)は、車両の操舵装置におけるステアリング操作を補助する電動式のパワーステアリングシステムの構成例を表す。
図23(A)に示すハイブリッドエンジンシステム1200は、エンジン1210、モーター1220、発電機1230、バッテリー1240、インバーター装置1250、動力分配装置1260、ディファレンシャルギヤ1270及び駆動輪1280、1290を有し、図示しない制御システムによって制御される。エンジン1210は、ガソリンエンジンであり、クランク軸1212を回転駆動する。モーター1220及び発電機1230には、インバーター装置1250を介してバッテリー1240が接続されており、バッテリー1240からの電力供給を受けて駆動軸1222を回転駆動する。一方、発電機1230は、回転軸1232の回転により発生させた起電力をインバーター装置1250を介してバッテリー1240に充電することができる。動力分配装置1260には、クランク軸1212、駆動軸1222及び回転軸1232が機械的に結合されている。動力分配装置1260は、これら3軸のうちの2軸の動力に応じて残りの1軸の回転数、トルクが決定される特性を有し、例えばクランク軸1212の動力を、回転軸1232に出力する動力やモーター1220との間でやり取りされる動力に分配する。
動力分配装置1260からの動力が伝達され、駆動軸1222に結合される動力伝達ギヤ1272は、ディファレンシャルギヤ1270に結合されており、動力伝達ギヤ1272からの動力は、駆動軸1282を介して駆動輪1280、1290に伝達される。
このようなハイブリッドエンジンシステム1200において、モーター1220の駆動軸1222にローターが取り付けられるレゾルバー1202と、発電機1230の回転軸1232にローターが取り付けられるレゾルバー1204とが設けられる。レゾルバー1202は、モーター1220の駆動軸1222の回転位置(回転角度)を検出し、その検出結果を図示しない制御システムに出力する。レゾルバー1204は、発電機1230の回転軸1232の回転位置(回転角度)を検出し、その検出結果を図示しない制御システムに出力する。図示しない制御システムは、レゾルバー1202、1204からの検出結果に基づいて、例えばエンジン1210の回転角加速度を決定してエンジン1210を制御する。
レゾルバー1202、1204の少なくとも1つは、上記のいずれかの実施形態におけるレゾルバーが採用される。
これによって、例えばハイブリッド車両が低速時及び停止時には、エンジン1210を停止し、バッテリー1240、インバーター装置1250及びモーター1220により駆動輪1280、1290に動力を伝達させ、それ以外ではエンジン1210及びモーター1220の両方で駆動輪1280、1290に動力を伝達させることができる。そして、減速時や制御時には、駆動輪が1280、1290の駆動によって発電機1230の回転軸を回転させて制動エネルギーを電力に変換して、インバーター装置1250を介してバッテリー1240に充電させる。
なお、ハイブリッドエンジンシステム1200の構成は、図23(A)に示す構成に限定されるものではなく、上記の各実施形態におけるレゾルバーは種々の構成のハイブリッドエンジンシステムに適用できる。
図23(B)に示す電動式パワーステアリングシステム1300は、ステアリングホイール1310、ステアリング軸1320、ジョイント1330、ピニオン軸1340、操舵軸1350、モーター1360を有する。ステアリング軸1320の先端に固定されたステアリングホイール1310を回転させると、ジョイント1330を介してピニオン軸1340を回転させる。ピニオン軸1340の回転力は、操舵軸1350の軸線方向の往復動に変換され、図示しない操舵輪の転蛇角を変化させる。この操舵軸1350にはモーター1360が同軸状に結合されており、ステアリングホイール1310の回転による操舵軸1350の往復動を補助するようにモーター1360が駆動力を与えるようになっている。
このような電動式パワーステアリングシステム1300において、モーター1360の駆動軸にローターが取り付けられるレゾルバー1370が設けられる。レゾルバー1370は、モーター1360の駆動軸の回転位置(回転角度)を検出し、その検出結果を図示しない制御システムに出力する。図示しない制御システムは、レゾルバー1370からの検出結果に基づいて、例えばステアリングホイール1310の回転方向を検出し、その方向の回転力を補助するようにモーター1360を制御する。
レゾルバー1370は、上記のいずれかの実施形態におけるレゾルバーが採用される。
なお、電動式パワーステアリングシステム1300の構成は、図23(B)に示す構成に限定されるものではなく、上記の各実施形態におけるレゾルバーは種々の構成の電動式パワーステアリングシステムに適用できる。
また、上記の各実施形態におけるレゾルバーは、上記のシステムに適用されるものに限定されず、産業機器やその他の種々のシステムに適用できることは言うまでもない。
以上、本発明に係る絶縁キャップ及びレゾルバーを上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
(1)上記の各実施形態では、本発明に係るレゾルバーが、1相励磁2相出力型であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記の各実施形態におけるレゾルバーが、励磁信号が1相以外の相を有する信号であったり、検出信号が2相以外の相を有する信号であったりしてもよい。
(2)上記の各実施形態では、磁性材料からなるステーターの材質が普通鋼、機械構造用炭素鋼鋼材や電磁鋼板であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
(3)上記の各実施形態では、ステーターが8個のステーターティースを有するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ステーターが有するステーターティースが、10個、12個又は14個であってもよい。
(4)上記の各実施形態では、いわゆるインナーローター型の角度検出装置としてのレゾルバーを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明に係るレゾルバーが、いわゆるアウターローター型であってもよい。この場合、ステーターティースの外側(外径側、外周側)の面と対向するローターの内周側の面が、ローターの1回転につき3周期又は5周期でギャップパーミアンスが変化する。
(5)上記の各実施形態では、軸倍角「2」のローターを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば軸倍角「5」のローターであってもよい。この場合、環状の平板であるローターの形状が、所与の半径の円周線を基準に、該円周線の1周につき、平面視において外径側の外形輪郭線を5周期で変化する形状とするようにしてもよい。
(6)上記の各実施形態では、すべての係止部がステーターの平板の縁部に係止するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも1つの係止部が、ステーターの平板の縁部に係止するものであればよい。
(7)上記の各実施形態では、渡りピンが円柱状であるものとして説明したが、その構造に限定されるものではない。
(8)上記の各実施形態における絶縁キャップの材料に限定されるものではなく、絶縁キャップの材料は、絶縁材料であって、かつ、塑性変形可能な材料であればよい。