JP2008312276A - 電動機 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステータに対するロータの組立の自由度を高めるようにした電動機を提供する。
【解決手段】この電動機は永久磁石を有するロータの外側に配置されるステータ23を有しており、ステータ23は複数のステータセグメント25を円形に配置して形成される。ステータセグメント25に装着されるインシュレータ31にはヨークに対応させて配線支持部37a,37bが設けられている。配線支持部37aに並列に形成された保持溝41〜43にはU相、V相およびW相の3つの給電用のバスバー51〜53が挿入され、配線支持部37bに形成された保持溝44には中点接続用のバスバー54が挿入されている。それぞれのバスバー51〜54は断面が長方形であり、それぞれの長辺は回転軸と並行となっている。
【選択図】図8

Description

本発明は車両駆動用として用いられる電動機に関し、特に、コイル同士をバスバーによって結線するようにした三相交流式の同期電動機に関する。
車両の駆動源として電動機が搭載される車両には、電動機のみを駆動源として電動機の出力を駆動輪に伝達するようにした電気自動車と、動力源としてエンジンと電動機の両方を備えたハイブリッド車両とがある。ハイブリッド車両にはエンジンにより発電機を駆動してバッテリに充電し、バッテリを電源とする電動機の動力を駆動輪に伝達するようにしたタイプと、エンジンと電動機の両方の動力を駆動輪に伝達できるようにしたタイプとがある。
このような車両駆動用の電動機としては、三相交流式の同期電動機が使用されている。このタイプの電動機は永久磁石を有し回転軸が設けられるロータと、ロータを囲むようにロータの外側に配置される固定子鉄心つまりステータコアを備えたステータとを有している。ステータコアは環状ないし円筒形状のヨークとこれに一体に設けられ回転中心軸に向けて径方向に突出する複数のティースとを有し、それぞれのティースには固定子巻線つまりコイルが巻き付けられる。このタイプの電動機はコイルが回転しないので、ブラシと整流子が不要なブラシレスモータとなり、ロータの回転位置を検出してそれぞれのコイルへの通電が制御される。それぞれのコイルはU相、V相およびW相の3つのグループに分けられており、グループ毎に相互に120度の位相を持った単相交流であって電圧および周期が等しい電力がそれぞれのコイルに供給される。
コイルの巻線方式としては、コイルを少なくとも3つのスロットを渡らせるようにしてティースに巻き付けるようにした分布巻と、各々のティースに直接コイルを巻き付けるようにした集中巻とがある。集中巻はステータの端部から突出するコイル端の長さが短くなる等の利点があるので、車両駆動用には集中巻の電動機が多用されている。
車両駆動用に使用される電動機は、車載バッテリを電源としているので、バッテリからの直流をインバータにより所定周期の交流に変換して電動機の各コイルに電力が供給されることになる。コイルの結線方法は主にスター結線が採用されており、集中巻きされた各コイルの一端部は中点側端子を介して相互に接続され、各コイルの他端部は電源側端子を介して電源に接続される。
各中点側端子の接続と、各グループ毎の電源側端子の接続とをそれぞれワイヤにより行うことなく、環状のバスバーにより行うようにしている。バスバーとしては、それぞれのコイルの中点側端子に接続される中点接続用のバスバーと、それぞれのグループにおけるコイルの電源側端子に接続されるとともに電源に電気的に接続される三相分の電源接続用のバスバーとがステータに装着されることになる。特許文献1にはステータコアに取り付けられるインシュレータに、外周面が絶縁樹脂により被覆された三相分のバスバーを軸方向に積層してステータの一方の端部側に位置させて装着するようにした電動機が記載されている。
特開2001−25198号公報
上記従来の電動機においては、三相分の電源接続用のバスバーはステータの外周側つまりヨーク側に配置され、中点接続用のバスバーはステータの内周側に配置されている。ステータの内周側はコイルが巻き付けられるティースとなっており、ロータとステータとの間隙は小さく設定されているので、ステータの内周側にバスバーを配置すると、バスバーを支持する部材をステータの内周面からロータ側に張り出させる必要がある。
このため、それぞれのバスバーが装着される配線支持部が径方向に大型となるだけでなく、電動機の製造時にロータとステータとを組み合わせる際に、ロータのステータに対する組み付け方向がステータの一方側からに制限されることになり、組立の自由度が少ないという問題点がある。
本発明の目的はステータに対するロータの組立の自由度を高めるようにした電動機を提供することにある。
本発明の他の目的はステータの径方向寸法を小型化し得るようにした電動機を提供することにある。
本発明の電動機は、永久磁石を有し回転軸が設けられるロータと、当該ロータの外側に配置されコイルが設けられるステータとを有する電動機であって、それぞれ前記コイルが巻き付けられるティースが一体に設けられ円周方向に伸びるヨーク片を有する複数のステータセグメントを円形に配置して形成されるステータコアと、前記ステータコアの端面を覆う端面壁を有し、それぞれの前記ステータセグメントに装着されるインシュレータと、前記端面壁に前記ヨーク片に対応させて設けられるとともに保持溝が形成される配線支持部と、前記コイルの給電側端子に接続されるコイル接続端子と電源側の給電端子とが設けられ、それぞれ前記保持溝に挿入されるU相、V相およびW相の断面長方形の3つの給電用のバスバーと、前記コイルの中点側端子に接続されるコイル接続端子が設けられ、前記保持溝に挿入される断面長方形の中点用のバスバーとを有し、それぞれの前記バスバーの長辺は前記回転軸と並行であることを特徴とする。
本発明の電動機は、前記ステータセグメントの一方の端面を覆う端面壁の第1の配線支持部に相互に並行に3つの保持溝を形成し、前記ステータセグメントの他方の端面を覆う端面壁の第2の配線支持部に1つの保持溝を形成し、前記第1の配線支持部に形成された3つの前記保持溝にそれぞれ前記コイルの給電側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた給電用のバスバーを挿入し、前記第2の配線支持部に形成された1つの前記保持溝に前記コイルの中点側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた中点接続用のバスバーを挿入することを特徴とする。
本発明の電動機は、前記ステータセグメントの一方の端面を覆う端面壁の第1の配線支持部に相互に並行に3つの保持溝を形成し、前記ステータセグメントの他方の端面を覆う端面壁の第2の配線支持部に1つの保持溝を形成し、前記第1の配線支持部に形成された3つの前記保持溝にそれぞれ前記コイルの給電側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた2本給電用のバスバーと前記コイルの中点側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた中点接続用のバスバーとを挿入し、前記第2の配線支持部に形成された1つの前記保持溝に前記コイルの給電側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた給電用のバスバーを挿入することを特徴とする。
本発明の電動機は、前記ステータセグメントの一方の端面を覆う端面壁の第1の配線支持部に相互に並行に2つの保持溝を形成し、前記ステータセグメントの他方の端面を覆う端面壁の第2の配線支持部に相互に並行に2つの保持溝を形成し、前記第1の配線支持部に形成された2つの前記保持溝にそれぞれ前記コイルの給電側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた給電用のバスバーを挿入し、前記第2の配線支持部に形成された2つの前記保持溝に前記コイルの給電側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた給電用のバスバーと前記コイルの中点側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた中点接続用のバスバーとを挿入することを特徴とする。
本発明によれば、インシュレータにはステータコアのヨークに対応させて配線支持部が設けられており、配線支持部に形成された保持溝にバスバーを挿入するようにしたので、バスバーがステータの内周面から径方向内方に迫り出すことがないので、ロータとステータとを組み立てる際には、ロータをステータの軸方向のいずれの側からも挿入して組み立てることができる。これにより、ステータに対するロータの組立の自由度を高めることができる。
ステータの一方の端部側に3つのバスバーを配置し、他方の端部側に1つのバスバーを配置することにより、ステータの両端部にバスバーを分散して配置すると、ステータコアの径方向の寸法を小さくすることができる。ステータの両端部にバスバーを2つずつ配置すると、よりステータコアの径方向の寸法を小さくすることができる。このようにステータコアの径方向寸法を小さくすることによって電動機の小型化を達成することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である電動機の外観を示す斜視図であり、図2は図1の縦断面図であり、図3は図1の横断面図である。
この電動機は車両に搭載されて駆動輪に動力を伝達するために使用される三相交流式の同期電動機であり、車両に取り付けられるハウジング10を有している。図2に示すように、ハウジング10はほぼ円筒形状となったハウジング本体10aと、このハウジング本体10aの一端部に一体となって設けられハウジング本体10aの一端部を閉塞する端板部10bとを備えている。ハウジング本体10aは端板部10bが設けられた閉塞端部に対して反対側が開口され、開口端部にはカバー10cが図示しないボルトにより取り付けられるようになっており、開口端部はカバー10cにより閉塞される。端板部10bはハウジング本体10aの端部内周面に連なっており、端板部10bの径方向中心部には軸受11を支持する軸受取付部12が環状に設けられている。一方、カバー10cの径方向中心部には軸受13を支持する軸受取付部14が環状に設けられ、回転主軸15がそれぞれの軸受11,13により両端部で回転自在に支持されており、回転主軸15の先端部はカバー10cから外方に突出し、後端部は端板部10bにより覆われている。
ハウジング本体10aには、閉塞端部側に開口させて冷媒通路16が軸方向に伸びて形成されており、冷媒通路16はハウジング本体10aのカバー10c側の端部側で閉塞されている。ハウジング本体10aの端面には、冷媒通路16の開口端部を帯状に覆う環状の通路カバー17が装着され、通路カバー17には、図1に示すように冷媒流入口18と冷媒流出口19とが隣り合って取り付けられており、冷媒流入口18から流入した冷却液は冷媒通路16内を流れて電動機を冷却した後に冷媒流出口19から排出される。
ハウジング10は、図2に示すように、端板部10bが一体となったハウジング本体10aとカバー10cとにより形成されているが、ハウジング10の構造としては、これに限られず、円筒形状のハウジング本体10aの両端面にカバーを取り付けるようにするタイプがある。その場合には、ハウジング本体10aの右側の端面には、図2に示す端板部10bと通路カバー17とが一体となったカバーが取り付けられることになる。
回転主軸15には、図3に示すようにロータ21が設けられ、このロータ21には8つの永久磁石つまりマグネット22が設けられており、この電動機は8極の三相交流電動機となっている。ただし、ロータ21に10個の永久磁石を10個設けると、10極の電動機となる。ハウジング本体10aの内部には全体的にほぼ円筒形状の固定子つまりステータ23がロータ21の外周面を覆うように取り付けられており、ステータ23は電磁鋼板を積層して形成される固定鉄心つまりステータコア24を有している。
ステータコア24は図3に示すように12個のステータセグメント25により形成されており、1つのステータセグメント25は円周方向に伸びたヨーク片26とこれに対して回転主軸15に向けて横方向に突出してヨーク片26と一体となったティース27とを有するほぼT字型の鋼板製のコアシートを積層することにより形成される。コアシートを所定枚数積層することにより形成されるステータセグメント25は、図2において符号Mで示す軸方向寸法を有している。ステータコア24は12個のステータセグメント25をそれぞれのヨーク片26の円周方向両側の突き当て面で突き当ててヨーク片26を円形に配置することにより形成されており、全てのヨーク片26により円形のヨーク28が形成される。
ヨーク片26の円周方向の一方の端面には、図3に示すように凸部29aが設けられ、他方の端面には凹部29bが設けられている。したがって、ほぼT字形状にプレス加工により製造されたコアシートを所定枚数積層することによりブロック状に組み立てられる各々のステータセグメント25をヨーク片26の凸部29aと凹部29bとを嵌め合わせることにより円形のヨーク28を有するステータコア24が形成される。
図4はステータコアの図2における左端面を示す拡大正面図であり、図5(A)は1つのコイル組立体を示す正面図であり、図5(B)は図5(A)の右側面図であり、図6はインシュレータを示す分解斜視図であり、図7はコイル組立体相互間に装着される樹脂製のスペーサを示す斜視図であり、図8(A)は図4における8A−8A線に沿う拡大断面図であり、(B)はステータの変形例における(A)と同様の部分を示す断面図であり、図9は図4における9−9線に沿う拡大断面図である。
図5に示すように、それぞれのステータセグメント25にボビン状のインシュレータ31を装着し、インシュレータ31を介してティース27の外側にコイル32を巻き付けることにより1つのコイル組立体33が形成される。この電動機は図4に示すように12個のコイル組立体33を有しており、これらのコイル組立体33によりステータ23を組み立てる際には、コイル組立体33のヨーク片26の端面同士を突き合わせるとともに円周方向に隣り合うヨーク片26の凸部29aと凹部29bが嵌め合わせされる。この電動機は12個のコイル組立体33を有しており、ステータコア24は12個のティース27を有しているので、この電動機はスロット数が12となっている。ただし、スロット数はこれに限られることなく、必要とする出力特性等に応じてコイル組立体33の数つまりティース27の数を選択することによって18スロットや24スロットなどの他のスロット数に設定することができる。
図6に示すように、インシュレータ31はそれぞれ樹脂により成形される2つのインシュレータ半体31a,31bにより構成されている。一方のインシュレータ半体31aはステータセグメント25の軸方向一方側の端部、図2においては左側の端部から装着され、他方のインシュレータ半体31bはステータセグメント25の軸方向他方側の端部、図2において右側の端部から装着される。それぞれのインシュレータ半体31a,31bは、図2および図6に示すようにステータセグメント25の端面を覆う端面壁34a,34bと、ティース27の円周方向両側面を覆う側面壁35a,35bとを有している。側面壁35a,35bにはそれぞれに対してほぼ直角となってヨーク片26の内面を部分的に覆う外側フランジ36a,36bが一体となって連なっている。
端面壁34a,34bにはそれぞれ軸方向に突出して配線支持部37a,37bが設けられており、それぞれの配線支持部37a,37bはステータセグメント25のヨーク片26の位置に対応している。さらに、それぞれのインシュレータ半体31a,31bにおいては、それぞれの端面壁34a,34bと側面壁35a,35bの径方向内側部分に内側フランジ38a,38bが一体に連なって設けられている。このような形状の2つのインシュレータ半体31a,31bにより一対のボビン状のインシュレータ31が形成される。ステータコア24は12個のステータセグメント25により形成されるので、ステータコア24は12個のインシュレータ31を有している。
それぞれのステータセグメント25に両端部側からインシュレータ半体31a,31bを装着した状態のもとでインシュレータ半体31a,31bを介してティース27の外側にはコイル32が直接巻き付けられ、図5に示すように、1つのコイル組立体33が形成される。このように、ステータコア24を複数のステータセグメント25に分割された状態のもとでそれぞれのステータセグメント25のティース27にインシュレータ31を介してコイル32を巻き付けることにより各々のコイル組立体33が形成されるので、この電動機は分割コア型の集中巻となる。12個のコイル組立体33をヨーク片26の両端の凸部29aと凹部29bとを嵌め合わせることによって、全てのヨーク片26により円形のヨーク28が形成される。ヨーク片26を相互に突き当て面の部分で突き当てた状態のもとでヨーク片26相互を溶接接合すると、全てのヨーク片26が一体となった円形のヨーク28が形成される。
図5および図6に示すように、一方のインシュレータ半体31aの配線支持部37aには、3つの保持溝41〜43が相互に並行となって形成されている。それぞれの保持溝41〜43は、ヨーク片26の接線方向、つまりロータ21の回転中心軸の半径線に対して直角な方向を向いて真っ直ぐに伸びた直線溝となっている。これにより、12個のインシュレータ31に形成される直線溝によって、各々の配線支持部37aの間の部分が角部となった多角形の保持溝41〜43が同心状に並行に形成される。他方のインシュレータ半体31bの配線支持部37bには、1つの保持溝44が保持溝43の半径位置に対応して形成されている。この保持溝44も他の保持溝41〜43と同様に、ヨーク片26の接線方向を向いて真っ直ぐに伸びた直線溝となっており、12個のインシュレータ31に形成された直線溝によって、各々の配線支持部37bの間の部分が角部となった多角形の保持溝44が形成される。図示する場合にはコイル32の数が12個なので、全てのインシュレータ31により構成される保持溝41〜44により全体的に正12角形の保持溝が形成される。
円周方向に相互に隣り合う配線支持部37aの間には、図7に示す樹脂製の角部用のスペーサ45aが組み込まれるようになっている。図7に示すように、スペーサ45aは円周方向に向けて折れ曲がって伸びるとともに円周方向の両端部に薄肉部が設けられた4つの仕切り壁46〜49を有し、仕切り壁相互間には保持溝41〜43に対応してそれぞれに連通する3つの保持溝41〜43が形成されている。スペーサ45aはその薄肉部を配線支持部37aの円周方向の端部に重ねるようにしてコイル組立体33の配線支持部37aの相互間に組み込まれることになる。
図10はステータと電源接続用のバスバーを示す分解斜視図であり、コイルを取り除いた状態で示されている。図11は中点接続用のバスバーを示す斜視図であり、図12は3本の電源接続用のバスバーが同心状に配置された状態を示す正面図であり、図13(A)〜(C)は電源接続用のバスバーの展開図であり、図13(D)は図13(A)における13D−13D線に沿う断面図であり、図14はコイルの結線図である。
図10に示すように、それぞれの配線支持部37aの相互間にスペーサ45aを組み込むと、スペーサ45aを含めて配線支持部37aにより全体的に12角形となって配線を支持する環状部分が形成される。インシュレータ半体31bの配線支持部37bの相互間にも、図10に示すように、スペーサ45bが組み込まれるようになっており、このスペーサ45bには配線支持部37bの保持溝44に対応してこれに連通する保持溝が形成されている。ただし、スペーサ45aの部分を配線支持部37aに一体に形成するようにしても良く、配線支持部37bについてもスペーサ45bの部分を一体に形成するようにしても良い。
保持溝41〜43にはそれぞれ電源接続用のバスバー51〜53が挿入され、保持溝44には中点接続用のバスバー54が挿入される。図5においてコイル32の一方の端部は電源側端子32aとなっており、他方の端部は中点側端子32bとなっており、それぞれの端子32a,32bが伸ばされた状態で示されているが、両端部は折り曲げられて電源側端子32aは3つの電源側のバスバー51〜53のいずれかに接続され、中点側端子32bは中点接続用のバスバー54に接続されることになる。
それぞれのバスバー51〜54は、銅合金などの金属からなる所定長さの帯状の部材を折り曲げることにより形成され、それぞれ配線支持部37a,37bの保持溝41〜44に挿入される複数の直線部と直線部相互間の複数の折曲部とを有しており、折曲部はスペーサ45a,45bの保持溝41〜44に挿入される。図10および図12に示されるように、配線支持部37aに並行に形成された3つの保持溝41〜43のうち径方向最外側の保持溝41に挿入されるバスバー51はW相用となっており、その基端部には給電端子51wが設けられるとともにコイル32の電源側端子32aに接続されるコイル接続端子51cが所定の間隔毎に4つ設けられている。3つの保持溝41〜43のうち最内側の保持溝43に挿入されるバスバー53はV相用となっており、その基端部には給電端子53vが設けられるとともにコイル32の電源側端子32aに接続されるコイル接続端子53cが所定の間隔毎に4つ設けられている。同様に、中間の保持溝42に挿入されるU相用のバスバー52の基端部には、給電端子52uが設けられるとともにコイル32の電源側端子32aに接続されるコイル接続端子52cが所定の間隔毎に4つ設けられている。
図11に示す中点接続用のバスバー54は、配線支持部37bに形成された保持溝44に挿入されるようになっており、それぞれコイル32の中点側端子32bに接続される12個のコイル接続端子54cが設けられ、正12角形となっている。
それぞれのバスバー51〜54は、横断面形状が長方形となっており、その長辺が回転主軸15と並行となるようにして保持溝41〜44に挿入される。図8(A)に示すように電源接続用のバスバー51〜53はステータコア24の一端部側にヨーク28に対応して配置され、中点接続用のバスバー54はステータコア24の他端部側にヨーク28に対応して配置されているので、全てのバスバー51〜54をステータコア24の一方の端部側に配置する場合に比して、ステータコア24の径方向の寸法を短くすることができ、電動機を小型化することが可能となる。
しかも、それぞれの配線支持部37a,37bはステータセグメント25のヨーク片26の位置に対応して設けられているので、バスバー51〜54が挿入される配線支持部37a,37bはステータコア24の内周面よりも内方に迫り出していない。これにより、ステータコア24の内部にロータ21を組み込む際には、配線支持部37a,37bとロータ21との干渉を避けることができる。したがって、図2においてステータコア24の左側からロータ21を組み込む際には、ロータ21が配線支持部37aに干渉することがない。特に、前述したように、円筒形状のハウジング本体の両端にカバーを装着するようにしたタイプのハウジングを有する電動機においては、ロータ21をステータコア24の内部に図2における左側からと右側からのいずれからでも配線支持部37a,37bと干渉させることなく組み込むことができる。
上述したように、配線支持部37aの3つの保持溝41〜43には電源接続用のバスバー51〜53が挿入され、配線支持部37bの保持溝44に中点接続用のバスバー54が挿入されるようになっているが、ステータ23の形態としては、中点接続用のバスバー54を配線支持部37aの3つの保持溝41〜43のいずれかに挿入するようにしたタイプもある。その場合には、3つの電源接続用のバスバー51〜53のうちの2つと、中点接続用のバスバー54とが配線支持部37aに形成された保持溝41〜43に挿入され、他の1つのバスバーが配線支持部37bの保持溝44に挿入されることになる。
図8(B)はステータ23の変形例を示す断面図であり、このタイプのステータ23は配線支持部37aに2つの保持溝41,42が形成され、配線支持部37bにも同様に2つの保持溝43,44が形成されたタイプとなっている。したがって、4つのバスバー51〜54のうちいずれか2つが配線支持部37aの保持溝41,42に挿入され、他のいずれか2つが配線支持部37bの保持溝43,44に挿入されることになる。このように、ステータセグメント25の両端部に保持溝を2つずつ形成すると、図8(A)の場合よりもステータコア24の径方向の寸法を短くすることができ、電動機をより小型化することができる。
電源接続用のバスバー51〜53には、図13に示すように、それぞれ基端部側に給電端子51w,52u,53vが設けられており、金属板をプレス加工することによりそれぞれ図示する形状に打ち抜かれ、破線で示す部分で折り曲げるとともにコイル接続端子の部分を湾曲させることによって図10に示す形状に加工される。このように、それぞれの電源接続用のバスバー51〜53は、給電端子51w,52u,53vが基端部に設けられているので、長手方向の中央部にそれぞれの給電端子51w,52u,53vを設ける場合に比して、金属板からプレス加工により部品取りを行う際に、スクラップ部を少なくして歩留まり良く効率的にそれぞれのバスバー51〜53を製造することができる。
3本の電源接続用のバスバー51〜53は、図10および図12に示すように、それぞれ給電端子51w,52u,53vが設けられた基端部と先端部との間には開口部が設けられ、環状に連なったクローズ型ではなくオープン型となっており、それぞれの給電端子51w,52u,53vが隣り合うようにして保持溝41〜43に挿入される。最外側の保持溝41に挿入されるバスバー51と、最内側の保持溝43に挿入されるバスバー53は、それぞれの先端部が径方向に隣り合うようにして基端部から先端部に向けて図10において反時計方向に伸びている。これに対し、中間の保持溝42に挿入されるバスバー52は、基端部から先端部に向けて時計方向に伸びており、バスバー52の先端部が他の2つのバスバー51,53の基端部側となっている。
保持溝41よりも内側の保持溝42に挿入されるバスバー52は、その給電端子52uがこれよりも径方向外方のバスバー51の開口部を径方向に横切るようにその開口部に対応させて保持溝42に配置されている。同様に、保持溝41,42よりも内側の保持溝43に挿入されるバスバー53は、その給電端子53vがこれよりも径方向外方のバスバー51,52の開口部を径方向に横切るようにそれぞれの開口部に対応させて保持溝43に配置されている。したがって、バスバー51よりも内側となる2本のバスバー52,53はそれぞれ径方向外方のバスバーを跨がないように径方向に伸びているので、樹脂モールドによりバスバー51〜53を覆うように封止することなく、相互の電気的接続を回避することができ、簡単な構造で絶縁性を持たせることができる。しかも、それぞれのバスバー51〜54は多角形の保持溝41〜44に対応させて直線部と折曲部とを有しているので、バスバー51〜54を保持溝41〜44に挿入する際にインシュレータ31に対する位置決めを容易に行うことができ、組立能率を高めることができる。さらに、バスバー51〜54は円弧部を有していないので、それぞれのバスバー51〜54を円形とする場合に比して長さを短くすることができ、バスバー51〜54の材料費を低減することができる。さらにバスバー51〜53は、環状となっておらず開口部が設けられたオープン型となっているので、それぞれのバスバー51〜53をクローズ型とする場合に比して材料費を低減することができる。このようにバスバー51〜54の材料費を低減することができるので、ステータ23の製造コストを低減することができる。
図10および図12に示すように、中間の保持溝42に挿入されるバスバー52は、その先端部が他のバスバー51,53の基端部側となるように配置されているが、3つのバスバー51〜53をそれぞれの先端部が径方向に揃うように、それぞれのバスバー51〜53を基端部から先端部に向けて時計方向あるいは反時計方向に伸ばすようにしても良く、その場合にも径方向内側のバスバーの給電端子が外側のバスバーの開口部を径方向に横切るようにすることになる。
それぞれのバスバー51〜54には係合爪55が設けられている。係合爪55はバスバー51〜54にコの字形状のスリットを形成し、図13(D)に示すように係合爪55の先端部がバスバー51〜54の表面から突出するように折り曲げられており、係合爪55の先端はそれぞれのバスバー51〜54のコイル接続端子51c〜54cが設けられた側を向いている。したがって、それぞれのバスバー51〜54を保持溝41〜44に挿入すると、係合爪55は弾性により保持溝41〜44の内面に係合し、バスバー51〜54が保持溝41〜44から抜けることを防止できる。これにより、樹脂モールドによりバスバー51〜54を覆うことなく、バスバー51〜54の抜け止めを図ることができ、ステータ23の軽量化と低コスト化を達成することができる。図13に示すように、係合爪55はバスバー51〜54のそれぞれの直線部に設けられているが、バスバー51〜54に形成される係合爪55の数は任意の数とすることができる。
図9に示すように、ステータコア24の各ヨーク片26相互間の突き当て部に対応する部分はインシュレータ31の隙間に対応しておりインシュレータ31によって覆われておらず、各バスバー51〜54にはステータコア24の端面に露出する部分がある。それぞれのバスバー51〜54には各ヨーク片26の突き当て部に対応させて凹部56が形成されており、ヨーク片26と各バスバー51〜54の凹部56との間の間隔D1は、他の部分の間隔D0よりも大きく設定されている。これにより、インシュレータ31の隙間を介してステータコア24の端面に露出する部分の絶縁が確実に行われることになる。
図13に示すように、それぞれのバスバー51〜53の長さをL1〜L3とすると、径方向外側の保持溝に挿入されるバスバーはそれよりも内側の保持溝に挿入されるバスバーよりも長くなる。つまり、長さはL1>L2>L3となる。しかも、それぞれのバスバー51〜53に設けられた各コイル接続端子51c〜53c相互間の距離はバスバー51〜53によって相違しており、径方向外側のバスバーにおける各コイル接続端子51c〜53c相互間の距離がそれよりも内側のバスバーにおける端子相互間の距離よりも長くなる。例えば、コイル接続端子51c相互間の距離は、コイル接続端子52c相互間の距離よりも長い。そこで、外周側のバスバーの断面積はそれよりも内周側のバスバーの断面積よりも大きく設定されている。例えば、それぞれのバスバー51〜53の幅寸法を図13に示すようにB1〜B3とすると、それぞれの幅寸法はB1>B2>B3に設定されている。これにより、各コイル相互間における電気抵抗を均一化させることができ、回転主軸15を円滑に回転させることができる。図13に示すように、各コイル32間の電気抵抗均一化のために各バスバー51〜53により幅寸法B1〜B3を相違させているが、厚み寸法を相違させることによっても断面積を相違させることができる。
それぞれのバスバー51〜53は所定の長さの帯状の部材を折り曲げることにより形成され、それぞれの基端部に給電端子51w,52u,53vが設けられており、それぞれのコイル接続端子51c〜53cは基端部からの距離が相違することになる。したがって、図14に示すように、バスバー51のコイル接続端子51cに接続される4つのコイル32は相互に給電端子51wからの距離が相違しており、他のバスバー52,53についても同様である。そこで、それぞれのバスバー51〜53の断面積を給電端子51w,52u,53vからの距離に応じて相違させ、給電端子から離れた先端部側の断面積が基端部側の断面積よりも大きく設定されている。例えば、バスバー51の長手方向の位置に応じた幅寸法をB1a〜B1cとすると、B1a<B1b<B1cに設定されている。同様に、バスバー52についてもB2a<B2b<B2cに設定され、バスバー53についてもB3a<B3b<B3cに設定されている。これにより、各バスバー51〜53に接続されるコイル接続端子51c〜53cの給電端子51w,52u,53vからの距離が相違しても、各コイルと給電端子との間の電気抵抗を均一化させることができ、回転主軸15を円滑に回転させることができる。図13に示すように、各コイル32間の電気抵抗均一化のために各バスバー51〜53について、基端部から先端部に向かうに従って幅寸法を相違させているが、厚み寸法を相違させることによっても断面積を相違させることができる。
上述した電動機は電気自動車に搭載されて車両の駆動源として使用されるが、エンジンとともに車両に搭載されるハイブリッド車両の電動機としても使用することができる。このように電動機が車両の駆動用として使用される場合には、車載バッテリの直流をインバータにより所定の周波数の交流に変換してU相、V相およびW相を構成するそれぞれのコイル32に電力が供給される。電気自動車やハイブリッド車両に搭載される電動機は、バッテリ等の電源からの電力により車両を駆動するだけでなく、車両制動時の回生エネルギーを回収したり、エンジンにより駆動されてバッテリに充電したりするために発電機としての機能を有している。発電機として機能させるときには発生した交流はインバータにより直流に変換されてバッテリに充電される。
それぞれの電源接続用の給電端子51w,52u,53vは、図1に示すように、ハウジング10の外部に取り付けられた接続端子61〜63に接続されており、それぞれの接続端子61〜63は図示しないインバータにケーブルを介して接続されるようになっている。これらの接続端子61〜63に隣り合って温度センサの出力端子64がハウジング10に設けられており、冷媒通路16を流れる冷媒の温度を検出する温度センサの検出信号は出力端子64を介して図示しない制御部に送られる。図2に示すように、ハウジング10内には回転主軸15の回転角度を検出するためのレゾルバ65が設けられ、レゾルバ65に接続された信号線の出力端子66が図1に示すように端板部10bの外面に取り付けられている。レゾルバ65からの信号に基づいてロータ21の回転位置が検出され、制御部によってU相、V相およびW相の各コイル32に対する電流の切換が制御される。したがって、この電動機はブラシレス電動機となっている。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、上述した電動機は電気自動車に適用されるが、動力源として電動機とエンジンの両方を備えたハイブリッド車両にもこの電動機を適用することができる。また、図示するそれぞれのバスバー51〜54は多角形形状となっているが、それぞれを円形としても良く、その場合には配線支持部37a,37bに形成される保持溝41〜44は直線状ではなく円弧形状となる。
本発明の一実施の形態である電動機の外観を示す斜視図である。 図1の縦断面図である。 図1の横断面図である。 ステータの図2における左端面を示す拡大正面図である。 (A)は1つのコイル組立体を示す正面図であり、(B)は(A)の右側面図である。 インシュレータを示す分解斜視図である。 コイル組立体相互間に装着される樹脂製のスペーサを示す斜視図である。 (A)は図4における8A−8A線に沿う拡大断面図であり、(B)はステータの変形例における(A)と同様の部分を示す断面図である。 図4における9−9線に沿う拡大断面図である。 ステータコアと電源接続用のバスバーを示す分解斜視図である。 中点接続用のバスバーを示す斜視図である。 3本の電源接続用のバスバーが同心状に配置された状態を示す正面図である。 (A)〜(C)は電源接続用のバスバーを示す展開図であり、(D)は(A)における13D−13D線に沿う拡大断面図である。 コイルの結線図である。
符号の説明
10 ハウジング
10a ハウジング本体
15 回転主軸
21 ロータ
23 ステータ
24 ステータコア
25 ステータセグメント
26 ヨーク片
27 ティース
28 ヨーク
31 インシュレータ
32 コイル
32a 電源側端子
32b 中点側端子
33 コイル組立体
34a,34b 端面壁
37a,37b 配線支持部
41〜44 保持溝
45a,45b スペーサ
51〜54 バスバー
51c〜53c コイル接続端子
51w,52u,53v 給電端子
55 係合爪
56 凹部

Claims (4)

  1. 永久磁石を有し回転軸が設けられるロータと、当該ロータの外側に配置されコイルが設けられるステータとを有する電動機であって、
    それぞれ前記コイルが巻き付けられるティースが一体に設けられ円周方向に伸びるヨーク片を有する複数のステータセグメントを円形に配置して形成されるステータコアと、
    前記ステータコアの端面を覆う端面壁を有し、それぞれの前記ステータセグメントに装着されるインシュレータと、
    前記端面壁に前記ヨーク片に対応させて設けられるとともに保持溝が形成される配線支持部と、
    前記コイルの給電側端子に接続されるコイル接続端子と電源側の給電端子とが設けられ、それぞれ前記保持溝に挿入されるU相、V相およびW相の断面長方形の3つの給電用のバスバーと、
    前記コイルの中点側端子に接続されるコイル接続端子が設けられ、前記保持溝に挿入される断面長方形の中点用のバスバーとを有し、
    それぞれの前記バスバーの長辺は前記回転軸と並行であることを特徴とする電動機。
  2. 請求項1記載の電動機において、前記ステータセグメントの一方の端面を覆う端面壁の第1の配線支持部に相互に並行に3つの保持溝を形成し、前記ステータセグメントの他方の端面を覆う端面壁の第2の配線支持部に1つの保持溝を形成し、前記第1の配線支持部に形成された3つの前記保持溝にそれぞれ前記コイルの給電側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた給電用のバスバーを挿入し、前記第2の配線支持部に形成された1つの前記保持溝に前記コイルの中点側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた中点接続用のバスバーを挿入することを特徴とする電動機。
  3. 請求項1記載の電動機において、前記ステータセグメントの一方の端面を覆う端面壁の第1の配線支持部に相互に並行に3つの保持溝を形成し、前記ステータセグメントの他方の端面を覆う端面壁の第2の配線支持部に1つの保持溝を形成し、前記第1の配線支持部に形成された3つの前記保持溝にそれぞれ前記コイルの給電側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた2本給電用のバスバーと前記コイルの中点側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた中点接続用のバスバーとを挿入し、前記第2の配線支持部に形成された1つの前記保持溝に前記コイルの給電側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた給電用のバスバーを挿入することを特徴とする電動機。
  4. 請求項1記載の電動機において、前記ステータセグメントの一方の端面を覆う端面壁の第1の配線支持部に相互に並行に2つの保持溝を形成し、前記ステータセグメントの他方の端面を覆う端面壁の第2の配線支持部に相互に並行に2つの保持溝を形成し、前記第1の配線支持部に形成された2つの前記保持溝にそれぞれ前記コイルの給電側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた給電用のバスバーを挿入し、前記第2の配線支持部に形成された2つの前記保持溝に前記コイルの給電側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた給電用のバスバーと前記コイルの中点側端子に接続されるコイル接続端子が設けられた中点接続用のバスバーとを挿入することを特徴とする電動機。
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