JP2010172297A - 玄米麺の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】原料穀粉としてミネラル、ビタミン類を豊富に含む玄米粉のみを用いて製される麺類もしくは皮類と、その種の玄米食品の製造方法を提供する。
【解決手段】穀粉として米でん粉及び米糠を含む玄米粉のみを用い、その玄米粉に対して60〜100℃の熱湯を40〜55重量%加えて混練することにより生地とし、次いで前記生地を麺線状もしくは皮状に成形する。これにより、種々の麺料理として食することのできる麺類、あるいは餃子やシュウマイなどの具を包む皮類が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、玄米粉から作られる食品に係わり、特に麺料理に用いられる麺類、もしくは餃子やシュウマイの包皮として用いられる皮類、及びその製造方法に関する。
米はイネ科・イネ亜科・イネ属に属する一年生草本の穀類であり、形態などによって日本型米とインド型米に大別される。その多くは玄米を搗精して精白米とし、米飯用として供されている。
玄米は穀粒から籾殻を取り去ったもので、その組織は外側から果皮、種皮、糊粉層、でん粉貯蔵層(胚乳)、及び腹部下端にある胚芽からなっており、果皮から糊粉層までは糠層と呼ばれ、搗精により取り除かれる糠層及び胚芽が糠と呼ばれる。糠層は玄米全重量の5〜6%、胚芽は2〜3%で、全体の91〜92%は胚乳である。
又、玄米の成分は、固形分中約90%が胚乳に含まれる米でん粉であり、そのほか7〜8%のタンパク質、1.5〜2.5%の脂質、ビタミン、無機質としてリン、カリウム、マグネシウムなどを含む。タンパク質の主体はオリゼニンと称するグルテリンで、そのほかアルブミン、グロブリンを少量含む。ビタミンでは、B群が比較的多く、ビタミンEも含まれる。
以上のような成分は、でん粉を除いて糠(糠層及び胚芽)に多く含まれるので、糠を取り除いた精白米では、玄米に比べてでん粉以外の含量は低い。尚、米はでん粉の性質により粳(うるち)種と糯(もち)種に分類されるが、粳米でん粉はアミロースとアミロペクチンから構成され、その比率が約2:8であるのに対し、糯米でん粉はアミロペクチンのみからなる。
ここに、米の用途は上記の如く米飯用が大部分であるが、食品工業用として、酒類、味噌、米酢、和菓子、煎餅、並びに麺などの製造にも利用されている。
例えば、精白米を粉砕してなる粉(米粉)に、野草の抽出液を加えて混練することにより麺生地とし、これを麺線状に成形する製麺方法が知られている(特許文献1)。
又、小麦粉と発芽玄米粉末との混合粉末に食塩水を加えて混練し、これにより得られる麺生地を製麺したうどん及びその製造方法が知られている(特許文献2)。
特開平07−222562号公報 特開2008−301708号公報
しかし、米粉は精白米を粉砕したもので、大部分が米でん粉であるから、特許文献1のように米粉から製される麺を食しても種々の栄養素をバランスよく摂取することはできない。又、米でん粉は、水を加えて加熱するなどして糊化(α化)することができるが、米粉中のタンパク質は上記のようにオリゼニンが主体であるから、その種のタンパク質と米でん粉から構成される米粉に水を加えて捏ねても小麦粉のように弾力性、伸展性、靭性を有する生地を得られない。このため、米粉の生地を用いて製麺することは困難で、その生地を圧延したり、エクストルーダから麺線状に押し出したりしたとき、これが小片状に分裂してしまう。
この点、特許文献2のように、小麦粉を主原料として用いるものでは、小麦タンパク質の主体がグルテニンとグリアジンであり、水を加えて捏ねるとグルテニンとグリアジンが水和し、その両タンパク質が相互作用して三次元網状構造のグルテンを形成し、粘弾性、伸展性に富む強靭な生地が得られるので、その生地を用いて腰の強い麺を容易に製することができる。しかし、特許文献2は、小麦粉を主原料とする麺(うどん)であるから、小麦アレルギー疾患者は食することができないし、麺全体に含まれるミネラル、ビタミン類の割合は少ない。
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は原料穀粉としてミネラル、ビタミン類を豊富に含む玄米粉のみを用いて製される麺類もしくは皮類と、その種の玄米食品の製造方法を提供することにある。
本発明に係る玄米食品は、穀粉として米でん粉及び米糠を含む玄米粉のみを用いて製される麺類もしくは皮類であり、前記米でん粉が部分的にα化されていることを特徴とするものである。
又、本発明に係る玄米食品の製造方法は、穀粉として米でん粉及び米糠を含む玄米粉のみを用い、その玄米粉に対して40〜55重量%の湯を加えて混練することにより生地とし、次いで前記生地を麺線状もしくは皮状に成形することを特徴とする。
加えて、麺線状もしくは皮状に成形した生地を高温蒸気中に所定時間曝して表面側の米でん粉を優先的にα化することを特徴とする。又、玄米粉に加える湯として、70〜100℃の熱湯を用いることを特徴とする。更に、玄米粉として、粳種を用いることを特徴とする。
本発明に係る玄米食品は、穀粉として米でん粉及び米糠を含む玄米粉のみを用いて製される麺類もしくは皮類であり、米でん粉が部分的にα化されていることから、食用に際して複雑な調理操作、労力、時間を必要とせず、短時間の加熱処理をするだけで食することができ、しかもミネラルやビタミン類を豊富に含むから健康上好ましく、味もよい。
又、玄米粉に40〜55重量%の湯を加えて混練することにより、粘弾性、伸展性に富む生地を得られるので、これを麺線状、皮状に容易に成形することができ、成形中に小片状に分裂してしまうことがなく、腰のある良質の麺類、皮類を得ることができる。特に、玄米粉に加える湯として70〜100℃の熱湯を用いたり、玄米粉として粳種を用いたりすることにより、製麺化、製皮化により好適な生地を調製することができる。
加えて、麺線状もしくは皮状に成形した生地を高温蒸気中に所定時間曝して表面側の米でん粉を優先的にα化することにより、調理時間を短縮しながら食感、味の良い麺料理を提供することが可能になる。
本発明に係る玄米食品(茹でた麺)を示す写真 本発明に係る玄米食品(真空パックした半生麺)を示す写真
以下、本発明を詳しく説明する。係る玄米食品は、麺類もしくは皮類(麺皮)に属するものであり、麺類としては図1及び図2に示されるような細長い線形、あるいは図示せぬ偏平な帯形とされ、図示せぬ皮類では円形その他のシート状にして餃子、シュウマイ、春巻など具を包む外皮として用いられる。それらは、原料穀粉として、米でん粉及び米糠を含む玄米粉のみを用いて製されるものであり、実質的に玄米粉と水分のみから成り、つなぎやアルギン酸などの合成添加剤は含まない。
玄米粉は籾殻のみを取り去った粒状の玄米を粉砕したもので、その主成分は米でん粉である。そのほか、タンパク質、脂肪、無機質(ミネラル)、ビタミン類(特にビタミンB)を含んでいるが、それらの多くは米糠に含まれている。尚、使用する玄米は、日本型米でもインド型米でもよく、その中間型といわれるジャワ型米でもよい。又、係る玄米として、粳種と糯種のいずれを用いることもできるが、食感上の観点から本発明では粳種が用いられる。したがって、玄米粉中の米でん粉はアミロースとアミロペクチンから構成され、その含有比率が約2:8となっている。
ここに、でん粉はでんぷん粒の大きさや結晶構造が起源により異なり、X線回折パターンからA,B,Cの三種類に分けられる。米でん粉は粒形が3〜8μmの多角形で、各種でん粉のなかで最も小さく、その結晶構造はA形とされる。又、でん粉はその起源や水分量がα化(糊化)に大きな影響を及ぼす。例えば、馬鈴薯でん粉ではこれを2倍の冷水で練り、これに約4倍の沸騰水を加えて掻き回すだけで完全にα化することができるが、トウモロコシでん粉(コーンスターチ)に上記と同じ操作を適用しても完全にα化せず、その完全α化には煮沸することが必要となる。米でん粉は、α化開始温度が54〜60℃であり、その加水物を加熱することによりα化することができるが、このような方法では焦げを生じやすく、しかも米でん粉全体がα化してバッター(流動生地)状態となりやすいため、その製麺化、製皮化を行えなくなる。
このため、本発明では約70%の米でん粉を含む玄米粉に対し、40〜55重量%、より好ましくは45重量%前後の湯を加えて混練することにより生地(麺生地、麺皮生地)を調製するようにしている。これによれば、米でん粉を部分的にα化し、そのα化度を20〜30%にして製麺化および製皮化に最適な粘弾性、伸展性に富む生地(ドウ:こね生地)を得ることができる。尚、加える湯量が上記より少ないと全体に水分が行渡らず粉成分が残り、上記範囲より多く加えた場合には全体が糊状化、流動化し、製麺化や製皮化に不適なペースト(糊状生地)乃至はバッターとなる。又、湯の温度は米でん粉のα化開始温度よりも高い60〜100℃、現実的には85〜95℃であればよく、それより低温の湯では加えた直後に米でん粉のα化開始温度以下まで下がり、そのα化が不十分となって生地、麺のつながりが悪くなる。
ここに、玄米粉と湯の混練(湯練り)は、湯の温度が80〜100℃で開始され、最終的には50℃前後になる。係る混練時間は2〜3分であり、これにより米でん粉のα化度を生地全体で均一にすることができる。混練時間が上記より短いと生地全体でα化度が不均一となり安定した品質の麺類、皮類が得られなくなり、上記より長い時間の混練は品質に大きな変化がなく、生産効率上不要である。
そして、以上のようにして得た生地を麺線状に成形することにより、麺料理用の麺類を仕上げることができ、皮状に成形すれば餃子、シュウマイ、春巻、又はワンタン用の皮類を仕上げることができる。尚、麺類は公知のエクストルーダを用いて生地を麺線状に押し出すか、あるいはエクストルーダから押し出した生地を圧延し、これを麺線状に切断することにより成形することができる。又、皮類は製皮用のダイスを装着したエクストルーダに生地を通してシート状にし、これを所定形状に切断(打ち抜き等)することで成形することができる。
特に、麺線状、皮状に成形した生地は数分だけ加熱処理(茹でたり炒めたり)して食することができるが、好ましくは麺線状、皮状に成形した生地を高温蒸気中に所定時間曝す蒸煮処理を施して表面側の米でん粉を優先的にα化することが好ましく、これによれば表面側のα化度を内部より高くして、食感をよくすることができる。尚、蒸煮処理は80〜100℃の蒸気を用いて1〜5分程度行うことがよく、蒸気温、処理時間が上記以下では表面側のα化度が内部に比してそれほど上がらず、味や消化の点で大きな効果を得られず、上記範囲以上では全体が糊状化して所定の形状を維持し難くなり、食感も悪くなる。又、蒸煮処理は公知の蒸し器などを用いて定量ずつバッチ処理するようにしてもよいが、生産効率上の観点からは連続処理が好ましい。例えば、成形した生地をコンベヤに載せて移送しながら、これをトンネル状の蒸し器内に通すことにより蒸煮処理を連続的に行なうことができる。
因みに、蒸煮処理を施して得られる麺類、皮類は、水分を含んだ状態の下で放置、徐冷するとでん粉分子が老化して再びβ化してしまうが、蒸煮処理後直ちに冷凍すればβ化を遅延させることができ、急速乾燥して含水率を15%以下に維持すればβ化を抑えることができる。よって、本発明に係る麺類、皮類は、蒸煮処理を施すか否かに拘らず、市販品として冷凍もしくは急速乾燥することが好ましいが、冷凍や急速乾燥を行わずとも食べる直前に加熱処理することで米でん粉をすぐさまα化することができる。
日本型米うるち種の玄米粉100kgに、80℃の熱湯を50リットル(50kg)加え、3分間混練して粘弾性、伸展性を有する塊状の生地(ドウ)を得た。尚、生地の品温は約40℃、α化度は約22%(β−アミラーゼ−プルラナーゼ法による)であった。
次に、得られた生地をエクストルーダに投入し、そのノズル部から連続的に押し出して麺線状に成形し、これを約30cmに切断して直径約2mmの半生麺とした。
上記半生麺をそのまま茹で上げ(図1)、これにトマトベースのソースを絡めてパスタ風にして食したところ、適度の腰があり、食感、味ともに上々であった。因みに、茹で時間は5分としたが、麺は調理中にも湯で溶けず、多少の膨潤が認められた程度で原形を維持した。
実施例1の半生麺を茹でることなく図2のようにプラスチックの袋に入れて真空パックし、これを−20℃の下で2日間冷凍保存し、その後開封して解凍後、実施例1と同様にしてパスタ風麺料理を作った。その麺は実施例1と同様の腰を有し、食感、味ともに実施例1と遜色なく上々であった。
日本型米うるち種の玄米粉100kgに、90℃の熱湯を55リットル(55kg)加え、2分間混練した。これにより実施例1よりも柔軟な塊状の生地(ドウ)を得た。尚、生地の品温は約50℃、α化度は約28%であった。
次に、得られた生地をエクストルーダに投入し、そのノズル部から連続的に押し出して麺線状に成形し、これを約30cmに切断してキシメン風の偏平な半生麺とした。
上記半生麺をそのまま茹で上げ、これを別に作成したスープに入れ、ウドン風麺料理にして食したところ、適度の腰があり、食感、味ともに上々であった。因みに、本例においても茹で時間は5分としたが、麺は調理中にも湯で溶けず、多少の膨潤が認められた程度で原形を維持した。
実施例1の半生麺の表面側を優先的にα化する蒸煮処理として、同半生麺を蒸し器に入れ、約90℃の高温蒸気中に2分間曝した。これをそのまま食したところ、上記各実施例の茹で上げた麺に比べ、全体的に硬く歯応えのある食感であったが、表面は柔らかく滑らかであった。尚、麺の硬さ、食感は加熱時間により調整することができる。
以上、本発明について説明したが、係る麺類、皮類は、麺線状もしくは皮状に成形した生地を油で揚げて油揚げ麺としたり、凍結乾燥などの乾燥処理を施して乾麺としたりしてもよい。
本発明は、玄米粉から作られる食品に係わり、特に麺料理に用いられる麺類、もしくは餃子やシュウマイの包皮として用いられる皮類製造方法に関する。
米はイネ科・イネ亜科・イネ属に属する一年生草本の穀類であり、形態などによって日本型米とインド型米に大別される。その多くは玄米を搗精して精白米とし、米飯用として供されている。
玄米は穀粒から籾殻を取り去ったもので、その組織は外側から果皮、種皮、糊粉層、でん粉貯蔵層(胚乳)、及び腹部下端にある胚芽からなっており、果皮から糊粉層までは糠層と呼ばれ、搗精により取り除かれる糠層及び胚芽が糠と呼ばれる。糠層は玄米全重量の5〜6%、胚芽は2〜3%で、全体の91〜92%は胚乳である。
又、玄米の成分は、固形分中約90%が胚乳に含まれる米でん粉であり、そのほか7〜8%のタンパク質、1.5〜2.5%の脂質、ビタミン、無機質としてリン、カリウム、マグネシウムなどを含む。タンパク質の主体はオリゼニンと称するグルテリンで、そのほかアルブミン、グロブリンを少量含む。ビタミンでは、B群が比較的多く、ビタミンEも含まれる。
以上のような成分は、でん粉を除いて糠(糠層及び胚芽)に多く含まれるので、糠を取り除いた精白米では、玄米に比べてでん粉以外の含量は低い。尚、米はでん粉の性質により粳(うるち)種と糯(もち)種に分類されるが、粳米でん粉はアミロースとアミロペクチンから構成され、その比率が約2:8であるのに対し、糯米でん粉はアミロペクチンのみからなる。
ここに、米の用途は上記の如く米飯用が大部分であるが、食品工業用として、酒類、味噌、米酢、和菓子、煎餅、並びに麺などの製造にも利用されている。
例えば、精白米を粉砕してなる粉(米粉)に、野草の抽出液を加えて混練することにより麺生地とし、これを麺線状に成形する製麺方法が知られている(特許文献1)。
又、小麦粉と発芽玄米粉末との混合粉末に食塩水を加えて混練し、これにより得られる麺生地を製麺したうどん及びその製造方法が知られている(特許文献2)。
特開平07−222562号公報 特開2008−301708号公報
しかし、米粉は精白米を粉砕したもので、大部分が米でん粉であるから、特許文献1のように米粉から製造される麺を食しても種々の栄養素をバランスよく摂取することはできない。又、米でん粉は、水を加えて加熱するなどして糊化(α化)することができるが、米粉中のタンパク質は上記のようにオリゼニンが主体であるから、その種のタンパク質と米でん粉から構成される米粉に水を加えて捏ねても小麦粉のように弾力性、伸展性、靭性を有する生地を得られない。このため、米粉の生地を用いて製麺することは困難で、その生地を圧延したり、エクストルーダから麺線状に押し出したりしたとき、これが小片状に分裂してしまう。
この点、特許文献2のように、小麦粉を主原料として用いるものでは、小麦タンパク質の主体がグルテニンとグリアジンであり、水を加えて捏ねるとグルテニンとグリアジンが水和し、その両タンパク質が相互作用して三次元網状構造のグルテンを形成し、粘弾性、伸展性に富む強靭な生地が得られるので、その生地を用いて腰の強い麺を容易に製造することができる。しかし、特許文献2は、小麦粉を主原料とする麺(うどん)であるから、小麦アレルギー疾患者は食することができないし、麺全体に含まれるミネラル、ビタミン類の割合は少ない。
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は原料穀粉としてミネラル、ビタミン類を豊富に含む玄米粉のみを用いて麺類もしくは皮類を製造する玄米食品の製造方法を提供することにある。
本発明に係る玄米食品の製造方法は、穀粉として米でん粉及び米糠を含む粳種玄米粉のみを用い、その粳種玄米粉に対して60〜100℃の熱湯を40〜55重量%加えて混練することにより前記米でん粉のα化度を20〜30%とするドウを調製し、次いで前記ドウを麺線状もしくは皮状に成形することを特徴とする。
加えて、麺線状もしくは皮状に成形した生地を高温蒸気中に所定時間曝して表面側の米でん粉を優先的にα化することを特徴とする。
本発明に係る玄米食品は、穀粉として米でん粉及び米糠を含む玄米粉のみを用いて製造される麺類もしくは皮類であり、米でん粉が部分的にα化されていることから、食用に際して複雑な調理操作、労力、時間を必要とせず、短時間の加熱処理をするだけで食することができ、しかもミネラルやビタミン類を豊富に含むから健康上好ましく、味もよい。
又、玄米粉に40〜55重量%の湯を加えて混練することにより、粘弾性、伸展性に富む生地を得られるので、これを麺線状、皮状に容易に成形することができ、成形中に小片状に分裂してしまうことがなく、腰のある良質の麺類、皮類を得ることができる。特に、玄米粉に加える湯として60〜100℃の熱湯を用いたり、玄米粉として粳種を用いたりすることにより、製麺化、製皮化により好適な生地を調製することができる。
加えて、麺線状もしくは皮状に成形した生地を高温蒸気中に所定時間曝して表面側の米でん粉を優先的にα化することにより、調理時間を短縮しながら食感、味の良い麺料理を提供することが可能になる。
本発明に係る玄米食品(茹でた麺)を示す写真 本発明に係る玄米食品(真空パックした半生麺)を示す写真
以下、本発明を詳しく説明する。係る玄米食品は、麺類もしくは皮類(麺皮)に属するものであり、麺類としては図1及び図2に示されるような細長い線形、あるいは図示せぬ偏平な帯形とされ、図示せぬ皮類では円形その他のシート状にして餃子、シュウマイ、春巻など具を包む外皮として用いられる。それらは、原料穀粉として、米でん粉及び米糠を含む玄米粉のみを用いて製造されるものであり、実質的に玄米粉と水分のみから成り、つなぎやアルギン酸などの合成添加剤は含まない。
玄米粉は籾殻のみを取り去った粒状の玄米を粉砕したもので、その主成分は米でん粉である。そのほか、タンパク質、脂肪、無機質(ミネラル)、ビタミン類(特にビタミンB)を含んでいるが、それらの多くは米糠に含まれている。尚、使用する玄米は、日本型米でもインド型米でもよく、その中間型といわれるジャワ型米でもよい。又、係る玄米として、食感上の観点から本発明では粳種が用いられる。したがって、玄米粉中の米でん粉はアミロースとアミロペクチンから構成され、その含有比率が約2:8となっている。
ここに、でん粉はでんぷん粒の大きさや結晶構造が起源により異なり、X線回折パターンからA,B,Cの三種類に分けられる。米でん粉は粒形が3〜8μmの多角形で、各種でん粉のなかで最も小さく、その結晶構造はA形とされる。又、でん粉はその起源や水分量がα化(糊化)に大きな影響を及ぼす。例えば、馬鈴薯でん粉ではこれを2倍の冷水で練り、これに約4倍の沸騰水を加えて掻き回すだけで完全にα化することができるが、トウモロコシでん粉(コーンスターチ)に上記と同じ操作を適用しても完全にα化せず、その完全α化には煮沸することが必要となる。米でん粉は、α化開始温度が54〜60℃であり、その加水物を加熱することによりα化することができるが、このような方法では焦げを生じやすく、しかも米でん粉全体がα化してバッター(流動生地)状態となりやすいため、その製麺化、製皮化を行えなくなる。
このため、本発明では約70%の米でん粉を含む玄米粉に対し、40〜55重量%、より好ましくは45重量%前後の湯を加えて混練することにより生地(麺生地、麺皮生地)を調製するようにしている。これによれば、米でん粉を部分的にα化し、そのα化度を20〜30%にして製麺化および製皮化に最適な粘弾性、伸展性に富む生地(ドウ:こね生地)を得ることができる。尚、加える湯量が上記より少ないと全体に水分が行渡らず粉成分が残り、上記範囲より多く加えた場合には全体が糊状化、流動化し、製麺化や製皮化に不適なペースト(糊状生地)乃至はバッターとなる。又、湯の温度は米でん粉のα化開始温度よりも高い60〜100℃、現実的には85〜95℃であればよく、それより低温の湯では加えた直後に米でん粉のα化開始温度以下まで下がり、そのα化が不十分となって生地、麺のつながりが悪くなる。
ここに、玄米粉と湯の混練(湯練り)は、湯の温度が80〜100℃で開始され、最終的には50℃前後になる。係る混練時間は2〜3分であり、これにより米でん粉のα化度を生地全体で均一にすることができる。混練時間が上記より短いと生地全体でα化度が不均一となり安定した品質の麺類、皮類が得られなくなり、上記より長い時間の混練は品質に大きな変化がなく、生産効率上不要である。
そして、以上のようにして得た生地を麺線状に成形することにより、麺料理用の麺類を仕上げることができ、皮状に成形すれば餃子、シュウマイ、春巻、又はワンタン用の皮類を仕上げることができる。尚、麺類は公知のエクストルーダを用いて生地を麺線状に押し出すか、あるいはエクストルーダから押し出した生地を圧延し、これを麺線状に切断することにより成形することができる。又、皮類は製皮用のダイスを装着したエクストルーダに生地を通してシート状にし、これを所定形状に切断(打ち抜き等)することで成形することができる。
特に、麺線状、皮状に成形した生地は数分だけ加熱処理(茹でたり炒めたり)して食することができるが、好ましくは麺線状、皮状に成形した生地を高温蒸気中に所定時間曝す蒸煮処理を施して表面側の米でん粉を優先的にα化することが好ましく、これによれば表面側のα化度を内部より高くして、食感をよくすることができる。尚、蒸煮処理は80〜100℃の蒸気を用いて1〜5分程度行うことがよく、蒸気温、処理時間が上記以下では表面側のα化度が内部に比してそれほど上がらず、味や消化の点で大きな効果を得られず、上記範囲以上では全体が糊状化して所定の形状を維持し難くなり、食感も悪くなる。又、蒸煮処理は公知の蒸し器などを用いて定量ずつバッチ処理するようにしてもよいが、生産効率上の観点からは連続処理が好ましい。例えば、成形した生地をコンベヤに載せて移送しながら、これをトンネル状の蒸し器内に通すことにより蒸煮処理を連続的に行なうことができる。
因みに、蒸煮処理を施して得られる麺類、皮類は、水分を含んだ状態の下で放置、徐冷するとでん粉分子が老化して再びβ化してしまうが、蒸煮処理後直ちに冷凍すればβ化を遅延させることができ、急速乾燥して含水率を15%以下に維持すればβ化を抑えることができる。よって、本発明に係る麺類、皮類は、蒸煮処理を施すか否かに拘らず、市販品として冷凍もしくは急速乾燥することが好ましいが、冷凍や急速乾燥を行わずとも食べる直前に加熱処理することで米でん粉をすぐさまα化することができる。
日本型米うるち種の玄米粉100kgに、80℃の熱湯を50リットル(50kg)加え、3分間混練して粘弾性、伸展性を有する塊状の生地(ドウ)を得た。尚、生地の品温は約40℃、α化度は約22%(β−アミラーゼ−プルラナーゼ法による)であった。
次に、得られた生地をエクストルーダに投入し、そのノズル部から連続的に押し出して麺線状に成形し、これを約30cmに切断して直径約2mmの半生麺とした。
上記半生麺をそのまま茹で上げ(図1)、これにトマトベースのソースを絡めてパスタ風にして食したところ、適度の腰があり、食感、味ともに上々であった。因みに、茹で時間は5分としたが、麺は調理中にも湯で溶けず、多少の膨潤が認められた程度で原形を維持した。
実施例1の半生麺を茹でることなく図2のようにプラスチックの袋に入れて真空パックし、これを−20℃の下で2日間冷凍保存し、その後開封して解凍後、実施例1と同様にしてパスタ風麺料理を作った。その麺は実施例1と同様の腰を有し、食感、味ともに実施例1と遜色なく上々であった。
日本型米うるち種の玄米粉100kgに、90℃の熱湯を55リットル(55kg)加え、2分間混練した。これにより実施例1よりも柔軟な塊状の生地(ドウ)を得た。尚、生地の品温は約50℃、α化度は約28%であった。
次に、得られた生地をエクストルーダに投入し、そのノズル部から連続的に押し出して麺線状に成形し、これを約30cmに切断してキシメン風の偏平な半生麺とした。
上記半生麺をそのまま茹で上げ、これを別に作成したスープに入れ、ウドン風麺料理にして食したところ、適度の腰があり、食感、味ともに上々であった。因みに、本例においても茹で時間は5分としたが、麺は調理中にも湯で溶けず、多少の膨潤が認められた程度で原形を維持した。
実施例1の半生麺の表面側を優先的にα化する蒸煮処理として、同半生麺を蒸し器に入れ、約90℃の高温蒸気中に2分間曝した。これをそのまま食したところ、上記各実施例の茹で上げた麺に比べ、全体的に硬く歯応えのある食感であったが、表面は柔らかく滑らかであった。尚、麺の硬さ、食感は加熱時間により調整することができる。
以上、本発明について説明したが、係る麺類、皮類は、麺線状もしくは皮状に成形した生地を油で揚げて油揚げ麺としたり、凍結乾燥などの乾燥処理を施して乾麺としたりしてもよい。
本発明は、玄米粉から作られる食品に係わり、特に麺料理に用いられる麺類の製造方法に関する。
米はイネ科・イネ亜科・イネ属に属する一年生草本の穀類であり、形態などによって日本型米とインド型米に大別される。その多くは玄米を搗精して精白米とし、米飯用として供されている。
玄米は穀粒から籾殻を取り去ったもので、その組織は外側から果皮、種皮、糊粉層、でん粉貯蔵層(胚乳)、及び腹部下端にある胚芽からなっており、果皮から糊粉層までは糠層と呼ばれ、搗精により取り除かれる糠層及び胚芽が糠と呼ばれる。糠層は玄米全重量の5〜6%、胚芽は2〜3%で、全体の91〜92%は胚乳である。
又、玄米の成分は、固形分中約90%が胚乳に含まれる米でん粉であり、そのほか7〜8%のタンパク質、1.5〜2.5%の脂質、ビタミン、無機質としてリン、カリウム、マグネシウムなどを含む。タンパク質の主体はオリゼニンと称するグルテリンで、そのほかアルブミン、グロブリンを少量含む。ビタミンでは、B群が比較的多く、ビタミンEも含まれる。
以上のような成分は、でん粉を除いて糠(糠層及び胚芽)に多く含まれるので、糠を取り除いた精白米では、玄米に比べてでん粉以外の含量は低い。尚、米はでん粉の性質により粳(うるち)種と糯(もち)種に分類されるが、粳米でん粉はアミロースとアミロペクチンから構成され、その比率が約2:8であるのに対し、糯米でん粉はアミロペクチンのみからなる。
ここに、米の用途は上記の如く米飯用が大部分であるが、食品工業用として、酒類、味噌、米酢、和菓子、煎餅、並びに麺などの製造にも利用されている。
例えば、精白米を粉砕してなる粉(米粉)に、野草の抽出液を加えて混練することにより麺生地とし、これを麺線状に成形する製麺方法が知られている(特許文献1)。
又、小麦粉と発芽玄米粉末との混合粉末に食塩水を加えて混練し、これにより得られる麺生地を製麺したうどん及びその製造方法が知られている(特許文献2)。
特開平07−222562号公報 特開2008−301708号公報
しかし、米粉は精白米を粉砕したもので、大部分が米でん粉であるから、特許文献1のように米粉から製造される麺を食しても種々の栄養素をバランスよく摂取することはできない。又、米でん粉は、水を加えて加熱するなどして糊化(α化)することができるが、米粉中のタンパク質は上記のようにオリゼニンが主体であるから、その種のタンパク質と米でん粉から構成される米粉に水を加えて捏ねても小麦粉のように弾力性、伸展性、靭性を有する生地を得られない。このため、米粉の生地を用いて製麺することは困難で、その生地を圧延したり、エクストルーダから麺線状に押し出したりしたとき、これが小片状に分裂してしまう。
この点、特許文献2のように、小麦粉を主原料として用いるものでは、小麦タンパク質の主体がグルテニンとグリアジンであり、水を加えて捏ねるとグルテニンとグリアジンが水和し、その両タンパク質が相互作用して三次元網状構造のグルテンを形成し、粘弾性、伸展性に富む強靭な生地が得られるので、その生地を用いて腰の強い麺を容易に製造することができる。しかし、特許文献2は、小麦粉を主原料とする麺(うどん)であるから、小麦アレルギー疾患者は食することができないし、麺全体に含まれるミネラル、ビタミン類の割合は少ない。
本発明は以上のような事情に鑑みて成されたものであり、その目的は原料穀粉としてミネラル、ビタミン類を豊富に含む玄米粉のみを用いて麺類を製造する方法を提供することにある。
本発明に係る玄米麺の製造方法は、穀粉として米でん粉及び米糠を含む粳種玄米粉のみを用い、その粳種玄米粉に対して60〜100℃の熱湯を40〜55重量%加えて混練することにより前記米でん粉のα化度を20〜30%とするドウを調製し、次いで前記ドウを麺線状に成形することを特徴とする。
加えて、麺線状に成形した生地を高温蒸気中に所定時間曝して表面側の米でん粉を優先的にα化することを特徴とする。
本発明に係る玄米麺は、穀粉として米でん粉及び米糠を含む玄米粉のみを用いて製造される麺類であり、米でん粉が部分的にα化されていることから、食用に際して複雑な調理操作、労力、時間を必要とせず、短時間の加熱処理をするだけで食することができ、しかもミネラルやビタミン類を豊富に含むから健康上好ましく、味もよい。
又、玄米粉に40〜55重量%の湯を加えて混練することにより、粘弾性、伸展性に富む生地を得られるので、これを麺線状に容易に成形することができ、成形中に小片状に分裂してしまうことがなく、腰のある良質の麺類を得ることができる。特に、玄米粉に加える湯として60〜100℃の熱湯を用いたり、玄米粉として粳種を用いたりすることにより、製麺化により好適な生地を調製することができる。
加えて、麺線状に成形した生地を高温蒸気中に所定時間曝して表面側の米でん粉を優先的にα化することにより、調理時間を短縮しながら食感、味の良い麺料理を提供することが可能になる。
本発明に係る玄米麺(茹でた麺)を示す写真 本発明に係る玄米麺(真空パックした半生麺)を示す写真
以下、本発明を詳しく説明する。係る玄米麺は、図1及び図2に示されるような細長い線形、あるいは図示せぬ偏平な帯形とされる。これは、原料穀粉として、米でん粉及び米糠を含む玄米粉のみを用いて製造されるものであり、実質的に玄米粉と水分のみから成り、つなぎやアルギン酸などの合成添加剤は含まない。
玄米粉は籾殻のみを取り去った粒状の玄米を粉砕したもので、その主成分は米でん粉である。そのほか、タンパク質、脂肪、無機質(ミネラル)、ビタミン類(特にビタミンB1)を含んでいるが、それらの多くは米糠に含まれている。尚、使用する玄米は、日本型米でもインド型米でもよく、その中間型といわれるジャワ型米でもよい。又、係る玄米として、食感上の観点から本発明では粳種が用いられる。したがって、玄米粉中の米でん粉はアミロースとアミロペクチンから構成され、その含有比率が約2:8となっている。
ここに、でん粉はでんぷん粒の大きさや結晶構造が起源により異なり、X線回折パターンからA,B,Cの三種類に分けられる。米でん粉は粒形が3〜8μmの多角形で、各種でん粉のなかで最も小さく、その結晶構造はA形とされる。又、でん粉はその起源や水分量がα化(糊化)に大きな影響を及ぼす。例えば、馬鈴薯でん粉ではこれを2倍の冷水で練り、これに約4倍の沸騰水を加えて掻き回すだけで完全にα化することができるが、トウモロコシでん粉(コーンスターチ)に上記と同じ操作を適用しても完全にα化せず、その完全α化には煮沸することが必要となる。米でん粉は、α化開始温度が54〜60℃であり、その加水物を加熱することによりα化することができるが、このような方法では焦げを生じやすく、しかも米でん粉全体がα化してバッター(流動生地)状態となりやすいため、その製麺化を行えなくなる。
このため、本発明では約70%の米でん粉を含む玄米粉に対し、40〜55重量%、より好ましくは45重量%前後の湯を加えて混練することにより生地(麺生地)を調製するようにしている。これによれば、米でん粉を部分的にα化し、そのα化度を20〜30%にして製麺化に最適な粘弾性、伸展性に富む生地(ドウ:こね生地)を得ることができる。尚、加える湯量が上記より少ないと全体に水分が行渡らず粉成分が残り、上記範囲より多く加えた場合には全体が糊状化、流動化し、製麺化に不適なペースト(糊状生地)乃至はバッターとなる。又、湯の温度は米でん粉のα化開始温度よりも高い60〜100℃、現実的には85〜95℃であればよく、それより低温の湯では加えた直後に米でん粉のα化開始温度以下まで下がり、そのα化が不十分となって生地、麺のつながりが悪くなる。
ここに、玄米粉と湯の混練(湯練り)は、湯の温度が80〜100℃で開始され、最終的には50℃前後になる。係る混練時間は2〜3分であり、これにより米でん粉のα化度を生地全体で均一にすることができる。混練時間が上記より短いと生地全体でα化度が不均一となり安定した品質の麺類、皮類が得られなくなり、上記より長い時間の混練は品質に大きな変化がなく、生産効率上不要である。
そして、以上のようにして得た生地を麺線状に成形することにより、麺料理用の麺類を仕上げることができる。尚、麺類は公知のエクストルーダを用いて生地を麺線状に押し出すか、あるいはエクストルーダから押し出した生地を圧延し、これを麺線状に切断することにより成形することができる。
特に、麺線状に成形した生地は数分だけ加熱処理(茹でたり炒めたり)して食することができるが、好ましくは麺線状に成形した生地を高温蒸気中に所定時間曝す蒸煮処理を施して表面側の米でん粉を優先的にα化することが好ましく、これによれば表面側のα化度を内部より高くして、食感をよくすることができる。尚、蒸煮処理は80〜100℃の蒸気を用いて1〜5分程度行うことがよく、蒸気温、処理時間が上記以下では表面側のα化度が内部に比してそれほど上がらず、味や消化の点で大きな効果を得られず、上記範囲以上では全体が糊状化して所定の形状を維持し難くなり、食感も悪くなる。又、蒸煮処理は公知の蒸し器などを用いて定量ずつバッチ処理するようにしてもよいが、生産効率上の観点からは連続処理が好ましい。例えば、成形した生地をコンベヤに載せて移送しながら、これをトンネル状の蒸し器内に通すことにより蒸煮処理を連続的に行なうことができる。
因みに、蒸煮処理を施して得られる麺類は、水分を含んだ状態の下で放置、徐冷するとでん粉分子が老化して再びβ化してしまうが、蒸煮処理後直ちに冷凍すればβ化を遅延させることができ、急速乾燥して含水率を15%以下に維持すればβ化を抑えることができる。よって、本発明に係る麺類は、蒸煮処理を施すか否かに拘らず、市販品として冷凍もしくは急速乾燥することが好ましいが、冷凍や急速乾燥を行わずとも食べる直前に加熱処理することで米でん粉をすぐさまα化することができる。
日本型米うるち種の玄米粉100kgに、80℃の熱湯を50リットル(50kg)加え、3分間混練して粘弾性、伸展性を有する塊状の生地(ドウ)を得た。尚、生地の品温は約40℃、α化度は約22%(β−アミラーゼ−プルラナーゼ法による)であった。
次に、得られた生地をエクストルーダに投入し、そのノズル部から連続的に押し出して麺線状に成形し、これを約30cmに切断して直径約2mmの半生麺とした。
上記半生麺をそのまま茹で上げ(図1)、これにトマトベースのソースを絡めてパスタ風にして食したところ、適度の腰があり、食感、味ともに上々であった。因みに、茹で時間は5分としたが、麺は調理中にも湯で溶けず、多少の膨潤が認められた程度で原形を維持した。
実施例1の半生麺を茹でることなく図2のようにプラスチックの袋に入れて真空パックし、これを−20℃の下で2日間冷凍保存し、その後開封して解凍後、実施例1と同様にしてパスタ風麺料理を作った。その麺は実施例1と同様の腰を有し、食感、味ともに実施例1と遜色なく上々であった。
日本型米うるち種の玄米粉100kgに、90℃の熱湯を55リットル(55kg)加え、2分間混練した。これにより実施例1よりも柔軟な塊状の生地(ドウ)を得た。尚、生地の品温は約50℃、α化度は約28%であった。
次に、得られた生地をエクストルーダに投入し、そのノズル部から連続的に押し出して麺線状に成形し、これを約30cmに切断してキシメン風の偏平な半生麺とした。
上記半生麺をそのまま茹で上げ、これを別に作成したスープに入れ、ウドン風麺料理にして食したところ、適度の腰があり、食感、味ともに上々であった。因みに、本例においても茹で時間は5分としたが、麺は調理中にも湯で溶けず、多少の膨潤が認められた程度で原形を維持した。
実施例1の半生麺の表面側を優先的にα化する蒸煮処理として、同半生麺を蒸し器に入れ、約90℃の高温蒸気中に2分間曝した。これをそのまま食したところ、上記各実施例の茹で上げた麺に比べ、全体的に硬く歯応えのある食感であったが、表面は柔らかく滑らかであった。尚、麺の硬さ、食感は加熱時間により調整することができる。
以上、本発明について説明したが、係る麺類は、麺線状に成形した生地を油で揚げて油揚げ麺としたり、凍結乾燥などの乾燥処理を施して乾麺としたりしてもよい。

Claims (5)

  1. 穀粉として米でん粉及び米糠を含む玄米粉のみを用いて製される麺類もしくは皮類であり、前記米でん粉が部分的にα化されていることを特徴とする玄米食品。
  2. 穀粉として米でん粉及び米糠を含む玄米粉のみを用い、その玄米粉に対して40〜55重量%の湯を加えて混練することにより生地とし、次いで前記生地を麺線状もしくは皮状に成形することを特徴とすることを特徴とする玄米食品の製造方法。
  3. 麺線状もしくは皮状に成形した生地を高温蒸気中に所定時間曝して表面側の米でん粉を優先的にα化することを特徴とする請求項2記載の玄米食品の製造方法。
  4. 玄米粉に加える湯として、60〜100℃の熱湯を用いることを特徴とする請求項2、又は3記載の玄米食品の製造方法。
  5. 玄米粉として、粳種を用いることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の玄米食品の製造方法。
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