JP2010154928A - テープタイプ使い捨ておむつ - Google Patents

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Abstract

【課題】より効果的に消臭効果が発揮される吸収性物品を提供する。
【解決手段】上記課題は、背側部分Bの両側部にそれぞれ取り付けられたファスニングテープ130と、両ファスニングテープ130の間に設けられた、おむつ幅方向に弾性伸縮する背側伸縮シート70とを有し、両ファスニングテープ130を腹側部分Fにそれぞれ係止することによって装着する、テープタイプ使い捨ておむつにおいて、背側伸縮シート70に消臭剤を含有させることにより解決される。
【選択図】図11

Description

本発明は、テープタイプ使い捨ておむつに関するものである。
一般に、使い捨ておむつは、使用後に排泄物の付着面が内側となるように丸め若しくは折り畳み、サニタリーボックスやおむつ保管容器等の密閉性の高い保管容器に入れて一時保管し、容器内の貯留量がある程度に達したらゴミ袋に入れて廃棄するといった使用形態がとられている。使用後の吸収性物品からは排泄物の強い臭気が発生し、使用者に不快感をもたらす。排泄物の臭気を抑制する技術としては、ゼオライトを含む消臭シートをトップシートの内側に配置すること(特許文献1)や、吸収体を包むクレープ紙に消臭剤を含有させること(特許文献2)等が提案されている。
特開2001−046423号公報 特開2000−350745号公報
しかしながら、これら先行技術においては、いずれも主に装着時に発生する臭気を抑制するものであるため、消臭剤の使用量の割には使用後の消臭効果に乏しいという問題点があった。
そこで、本発明の主たる課題は、装着時だけでなく使用後の廃棄時においてもより効果的に消臭効果が発揮される吸収性物品を提供することにある。
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
前後方向中央よりも前側に延在する腹側部分と、前後方向中央よりも後側に延在する背側部分と、
背側部分の両側部にそれぞれ取り付けられたファスニングテープと、背側部分における両ファスニングテープの間に設けられた、おむつ幅方向に弾性伸縮する背側伸縮シートと、
身体側表面を形成する透液性トップシートと、外面側に位置する液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収要素とを有し、
両ファスニングテープを腹側部分にそれぞれ係止することによって装着する、テープタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記背側伸縮シートが消臭剤を含有している、
ことを特徴とする止着式使い捨ておむつ。
(作用効果)
テープタイプ使い捨ておむつは、廃棄時には表面シートが内側になるように且つファスニングテープを有する背側部分が外側となるように丸め若しくは折り畳んだ状態で、その外面に両ファスニングテープを固定する形態が広く採用されている。このような廃棄時状態においては、図11に示すように外面の略全体が両ファスニングテープ間の部分により覆われており、表面シートに付着した排泄物や吸収要素により吸収した排泄物から発生する臭気はこの部分を通り外部に放出される。よって、この両ファスニング間の部分に消臭剤を含有させると、おむつを丸めた若しくは折り畳んだ廃棄形態において、消臭シートが臭気の主たる通り道に位置するようになるため、より効果的に消臭効果が発揮される。また、おむつを丸めた若しくは折り畳んだ廃棄形態において、消臭シートがより外側に近く位置するため、例えば保管容器内の臭気等、当該物品の外部に存在する臭気に対しても消臭効果が発揮される利点もある。また、このような構成とすることにより、消臭シートをおむつの外面全体に設けなくても消臭効果が効果的に発揮されるため、コストパフォーマンスに優れるようにもなる。
しかも、本発明では、単に消臭剤を適所に含有させるだけでなく、ウエスト周りを弾力的に締め付けるための背側伸縮シートに含有させるため、別途専用の部材を設ける必要無く、最も適切な部位に消臭効果を付与することができる。それだけでなく、背側伸縮シートは排泄物に接触したり、覆われたりし難い所に位置しているため、臭気との接触が阻害され難い。加えて、背側伸縮シートにより両ファスニングテープ間の部分に皺が形成され、この皺の谷間が装着状態及び廃棄状態において臭気の通路となるため、他の部位に設ける場合と比べて消臭剤と臭気との接触効率にも優れるようになる。
<請求項2記載の発明>
前記背側伸縮シートは、両端部が前記ファスニングテープのおむつへの取り付け部分と重なる部位まで延在されており、かつ前記背側伸縮シートの前後方向寸法が前記ファスニングテープの前記取り付け部分の前後方向寸法よりも長い、請求項1記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
背側伸縮シートがこのような大きさで配置されていると、消臭剤を含有する背側伸縮シートの面積が十分なものとなり、優れた消臭効果が得られるため好ましい。
<請求項3記載の発明>
前記背側伸縮シートは、前記吸収要素と前記液不透過性シートとの間に位置している、請求項2記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このように、吸収要素と液不透過性シートとの間に設けることにより、廃棄状態において臭気発生源に対する通気性をより高くすることができ、消臭効果に優れたものとなる。しかも、前述したように、背側伸縮シートの位置は排泄物に接触したり、覆われたりし難い所であるため、吸収要素中やトップシート上の排泄物が消臭剤に対する臭気接触を妨げ難い。
<請求項4記載の発明>
前記液不透過性シートの透湿性が6000g/m2・24h以上である、請求項3記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
液不透過性シートの吸収要素側に背側伸縮シートを設ける場合、液不透過性シートの通気性が不十分であると、外部の臭気に対する消臭効果に乏しくなるだけでなく、内部臭気が背側伸縮シートを通り抜けにくくなり、内部臭気の消臭効果にも乏しくなる。よって、液不透過性シートは上記のように十分な透湿性を有しているのが好ましい。なお、透湿性はJIS K 7129(A法)により測定される値を意味する。
<請求項5記載の発明>
前記背側伸縮シートは、シート基材と、このシート基材に接着樹脂を介して固定された消臭剤粒子とを有するものである、請求項4記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
背側伸縮シートに消臭剤を含有させるにあたり、このように粒子状のものを接着樹脂を介して基材に固定した構造を採用すると、製造が容易になるとともに、消臭剤と臭気との接触効率を十分に確保できるためこのましい。
<請求項6記載の発明>
前記背側伸縮シートは、不織布または紙からなる通気性基材を前記シート基材とし、これに弾性伸縮部材をおむつ幅方向に沿って伸長した状態で固定してなるものである、請求項5記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
背側伸縮シートの基材がこのような通気性シートであると、基材自体が臭気吸着により若干の消臭効果を発揮できるとともに、基材の表面積が大きく通気性があることから臭気と消臭剤との接触確率が向上する。消臭効率を向上させるためには、シート基材はこのような特性を有しているのが好ましい。
<請求項7記載の発明>
前記消臭剤粒子及び接着樹脂を含むインクにより、前記シート基材にデザイン印刷が施されており、そのデザイン印刷がおむつの外面側から視認可能になっている、請求項5または6に記載の使い捨ておむつ。
(作用効果)
背側伸縮シートに消臭剤を含有させる際、このように消臭剤を含むインクを利用してデザイン印刷を施すことにより、製造が容易となるとともに、消臭剤の付与部が外観的に視認できるようになり、商品機能のアピール性に富むようになるため好ましい。
<請求項8記載の発明>
前記背側伸縮シートは、前記シート基材としての内面側シート基材と外面側シート基材との間に前記弾性伸縮部材が挟まれてなるものであり、且つこれら内面側シート基材、外面側シート基材及び弾性伸縮部材がおむつ幅方向に間欠的に固定されるとともに、これら固定部間に、内面側シート基材、外面側シート基材及び弾性伸縮部材が固定されていない隙間がおむつ幅方向と交差する方向に沿って連続的に形成されている、請求項5〜7のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
背側伸縮シートをこのような構造とすることにより、皺が襞状に整列して背側伸縮シート内に縦方向の臭気通路が形成され、臭気と消臭剤との接触効率が向上するため好ましい。
以上のとおり、本発明によれば、より効果的に消臭効果が発揮されるようになる、等の利点がもたらされる。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
<テープタイプ使い捨ておむつの実施形態>
以下の説明において、「前後方向」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向(縦方向)」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの腹側部分両側部と背側部分量側部を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に胴回り方向と直交する方向、換言すればウエスト開口部WO側と股間部側とを結ぶ方向を意味する。
図1〜図6は本発明に係るテープタイプ使い捨ておむつの一例を示している。図3及び図4は、図1における6−6線断面及び7−7線断面をそれぞれ示した図であり、図5及び図6は、図1における8−8線断面及び9−9線断面をそれぞれ示した図である。このテープタイプ使い捨ておむつは、幅方向中央に沿って下腹部から股間部を通り臀部までを覆うように延在する部分であって、且つ身体側表面を形成する透液性表面シートと、外面側に位置する液不透過性シートとの間に吸収要素50が介在する部分である吸収性本体部10と、この吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分である腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEとを有するものである。
また、このテープタイプ使い捨ておむつは、腹側Fの上縁F1側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の腹側サイドフラップ部FF,FFと、背側Bの上縁B1側部分の両側において、それぞれ股間部Cよりも幅方向外側まで延在する一対の背側サイドフラップ部BF,BFとを備えている。また、背側サイドフラップ部BF,BFには、係止部材としてのファスニングテープ130がそれぞれ設けられている。
より詳細には、吸収性本体部10ならびに背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの外面全体が外装シート12により形成されている。特に、吸収性本体部10においては、外装シート12の内面側に液不透過性シート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこの液不透過性シート11の内面側に吸収要素50、中間シート40、および表面シート30がこの順に積層されている。表面シート30および液不透過性シート11は図示例では長方形であり、吸収要素50よりも前後方向および幅方向において若干大きい寸法を有しており、表面シート30における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部と、液不透過性シート11における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されている。また液不透過性シート11は透湿性のポリエチレンフィルム等からなり、表面シート30よりも若干幅広に形成されている。
さらに、この吸収性本体部10の両側には、装着者の肌側に突出(起立)する側部バリヤーカフス60,60が設けられており、この側部バリヤーカフス60,60を形成するバリヤーシート62,62が、背側および腹側の各サイドフラップ部BF,FFの内面を含め、吸収性本体部10の幅方向外側の全体にわたり延在されている。
以下、各部の素材および特徴部分について順に説明する
(外装シート)
外装シート12は吸収要素50を支持し、着用者に装着するための部分である。外装シート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。
外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布12相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m2、特に15〜30g/m2のものが望ましい。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に液不透過性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この液不透過性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
(表面シート)
表面シート30は液透過性を有するものであれば足り、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、表面シート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、表面シート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
(中間シート)
表面シート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、表面シート30と吸収要素50との間に中間シート(セカンドシートもいわれる)40を設けることができる。この中間シート40は、排泄物を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した排泄物の吸収体からの逆戻りを防止し、表面シート30表面を肌触りを良くするものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、表面シート30と同様の素材を用いることができる。中間シート40は表面シート30に接合するのが好ましく、その接合にヒートエンボスや超音波溶着を用いる場合は、中間シート40の素材は表面シート30と同程度の融点をもつものが好ましい。また、便中の固形分を透過させることを考慮するならば中間シート40に用いる繊維の繊度は5.0〜7.0dtexであるのが好ましいが、表面シート30における液残りが多くなる。これに対して、中間シート40に用いる繊維の繊度が1.0〜2.0dtexであると、表面シート30の液残りは発生し難いが、便の固形分が透過し難くなる。よって、中間シート40に用いる不織布の繊維は繊度が2.0〜5.0dtex程度とするのが好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収要素50の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
(側部バリヤーカフス)
表面シート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)する側部バリヤーカフス60、60を設けるのは好ましい。
この側部バリヤーカフス60は、実質的に幅方向に連続するバリヤーシート62と、このバリヤーシート62に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材63とにより構成されている。このバリヤーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材は、図1及び図2に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
バリヤーシート62の内面は、表面シート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、液不透過性シート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装シート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されている。この固着部分のうち固着始端近傍の幅方向外側において、バリヤーシート62と外装シート12とが対向する部分のシート間に、前後方向に沿って糸ゴム等からなる脚周り弾性伸縮部材64がそれぞれ設けられている。
脚周りにおいては、側部バリヤーカフス60の固着始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部では表面シート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が糸ゴム63の収縮力により起立するようになる。おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム63の収縮力が作用するので、糸ゴム63の収縮力により側部バリヤーカフス60が起立して脚周りに密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
図示形態と異なり、バリヤーシート62の幅方向内側の部分における前後方向両端部を、幅方向外側の部分から幅方向内側に延在する基端側部分とこの基端側部分の幅方向中央側の端縁から身体側に折り返され幅方向外側に延在する先端側部分とを有する二つ折り状態で固定し、その間の部分を非固定の自由部分とすることもできる。
(吸収要素)
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56は、高吸収性ポリマー粒子を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、繊維の集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子が繊維の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子が繊維の集合体を通り抜けて包装シート58上にある形態も排除されるものではない。
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m2、特に10〜30g/m2のものが望ましい。
この包装シート58は、図3に示すように、吸収体56の全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包装するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包装シートの構成要素となる)。必要ならば、吸収体56を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
(ファスニングテープ)
図1及び図2に示されるように、ファスニングテープ130は、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材からなるファスニング基材130Cの基部がおむつに取り付けられており、おむつから突出する先端側部分に腹側に対する係止部として、メカニカルファスナーのフック材130Aが設けられている。フック材130Aはファスニング基材130Cに接着剤により剥離不能に接合されている。
乳幼児用おむつにおいては、ファスニングテープ130の取り付け部分の寸法のうち、おむつの幅方向の長さX1は10〜50mm、特に20〜40mmであるのが好ましく、前後方向長さY1は、20〜100mm、特に40〜80mmであるのが好ましい。また、ファスニングテープ130の先端側部分の寸法のうち、おむつの幅方向の長さは30〜80mm、特に40〜60mmであるのが好ましく、前後方向の長さ(高さ)は20〜70mm、特に25〜50mmであるのが好ましい。なお、ファスニングテープ130の一部または全部が例えば略テーパ形状をなし、前後方向長さや幅方向長さが一定でない場合は、上記数値範囲は平均値にて定める。ファスニングテープ130の形状は、矩形形状などの左右対称形状でもよいが、幅広の取り付け部分と細長状の先端側部分からなる凸型形状であると、先端側部分の摘み部が摘みやすく、かつ左右の基部間の張力が広範囲に作用するため、好ましい。フック材130Aは、その外面側に多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。フック材130Aに代えて、ファスニングテープ130の係止部として粘着材層を設けることもできる。
おむつの装着に際しては、背側サイドフラップ部BFを腹側サイドフラップ部FFの外側に重ねた状態で、ファスニングテープを腹側F外面の適所に係止する。ファスニングテープ130の係止箇所の位置及び寸法は任意に定めることができる。乳幼児用おむつにおいては、係止箇所は、前後方向20〜80mm、幅方向150〜300mmの矩形範囲とし、その上端縁と腹側上縁との高さ方向離間距離を0〜60mm、特に20〜50mmとし、かつ製品の幅方向中央とするのが好ましい。
ファスニングテープ130は、背側エンドフラップ部BEと吸収要素50の境界線上にファスニングテープ130の取り付け部分が重なるように取り付けられていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ130の取り付け部分間に働く張力により、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。また、ファスニングテープ130の取り付け部分が、おむつの背側端部(後端部)と離れすぎていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ130の取り付け部分間に働く張力がおむつの背側端部にまで及ばないため、おむつの背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすい。従って、背側エンドフラップBEの前後方向長さは、ファスニングテープ130の基部の前後方向長さと同じか又は短いことが好ましい。
(ターゲット印刷シート)
腹側Fにおけるファスニングテープ130の係止箇所には、係止を容易にするためのターゲット印刷を有するターゲット印刷シート74を設けるのが好ましい。ターゲット印刷シート74は、係止部がフック材130Aの場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなるシート基材の表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート基材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。ここで、ターゲット印刷は、シート基材に対して施すのが好ましい。
また、腹側Fにおけるファスニングテープ130の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合であって、ファスニングテープ130の係止部がフック材130Aの場合には、ターゲットテープ74を省略し、フック材130Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。この場合、ターゲット印刷シート74を外装シート12と液不透過性シート11との間に設けてもよい。
このような、ターゲット印刷シート74のシート基材にも後述する背側伸縮シート70と同様に消臭剤を含有させることができる。この場合、臭気を物理吸着する多孔質消臭粒子を、インクを接着手段としてターゲット印刷シート74のシート基材に接着するとよい。消臭粒子の種類や配合量、接着形態等については、背側伸縮シート70と同様とすることができる。
(エンドフラップ部)
エンドフラップ部は、吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分であり、前側の延出部分が腹側エンドフラップ部FEであり、後側の延出部分が背側エンドフラップ部BEである。
背側エンドフラップBEの前後方向長さは、前述の理由によりファスニングテープ130の取り付け部分の前後方向長さと同じか短い寸法とすることが好ましく、また、おむつ背側端部と吸収要素50とが近接しすぎると、吸収要素50の厚みとコシによりおむつ背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすいため、10mm以上とすることが好ましい。
腹側エンドフラップ部FE及び背側エンドフラップ部BEの前後方向長さは、おむつ全体の前後方向長さLの5〜20%程度とするのが好ましく、乳幼児用おむつにおいては、10〜60mm、特に20〜50mmとするのが適当である。
(背側伸縮シート)
図示形態では、両ファスニングテープ130間に、幅方向に弾性伸縮する帯状の背側伸縮シート70が設けられ、おむつ背側部におけるフィット性を向上させている。背側伸縮シート70の両端部は両ファスニングテープ130の取り付け部分と重なる部位まで延在されているのが好ましいが、幅方向中央側に離間していても良い。背側伸縮シート70の前後方向寸法は、ファスニングテープ130の取り付け部分の前後方向寸法と概ね同じにするのが適当であるが、±20%程度の寸法差はあってもよい。また、図示のように背側伸縮シート70が背側エンドフラップ部BEと吸収要素50の境界線と重なるように配置されていると、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。背側伸縮シート70は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から不織布や紙を用いるのが好ましい。この場合、伸縮不織布のような通気性を有するシート状弾性部材を用いることもできるが、図5に示すように、二枚の不織布等のシート基材71をホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせるとともに、両シート基材71間に有孔のシート状、網状、細長状(糸状又は紐状等)等の弾性伸縮部材72を幅方向に沿って伸張した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合におけるシート基材71としては、外装シート12と同様のものを用いることができる。弾性伸縮部材72の伸張率は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性伸縮部材72として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの間隔72dで5〜15本程度設けるのが好ましい。
また、図示のように弾性伸縮部材72の一部が吸収要素50を横断するように配置すると、吸収要素50のフィット性が向上するため好ましいが、この場合は、弾性伸縮部材72が吸収要素50と重なる部分の一部又は全部を、切断等の手段により収縮力が働かないようにすると、吸収要素50の背側端部が幅方向に縮まないため、フィット性がさらに向上する。
なお、弾性伸縮部材72は、シートの長手方向(おむつの幅方向)にシート基材71の全長にわたって固定されていてもよいが、おむつ本体への取り付け時の縮みやめくれ防止のため、シートの前後方向(おむつの幅方向)端部の5〜20mm程度の範囲においては、収縮力が働かないように、または弾性伸縮部材72が存在しないようにするとよい。
背側伸縮シート70は、図示形態では、液不透過性シート11の幅方向両側ではバリヤーシート62と外装シート12との間に挟まれ、且つ液不透過性シート11と重なる部位では、液不透過性シート11と吸収要素50との間に挟まれるように設けられているが、図7に示すように液不透過性シート11と外装シート12との間に設けても良いし、図8に示すように外装シート12の外面に設けても良く、また表面シート30と吸収要素50との間に設けてもよい。また、背側伸縮シート70は表面シート30の上に設けても良く、この場合、液不透過性シート11の幅方向両側ではバリヤーシート62の上に設けても良い。また、外装シート12を複数枚のシート基材を重ねて形成する場合には、背側伸縮シート70全体を、外装シート12のシート基材間に設けても良い。
(消臭剤)
背側伸縮シート70には全面又はその一部に消臭剤が含有される。テープタイプ使い捨ておむつは、身体にあてがった状態で、背側部分Bの両側部から突出するファスニングテープ130を腹側外面Fに止着することにより装着を行う。この装着状態においては、表面シート30に付着した排泄物や吸収体56により吸収した排泄物から発生する臭気は、背側エンドフラップ部BEを通り外部に放出される過程で、消臭剤と接触することにより消臭される。従って、装着時状態において優れた消臭効果を得るためには、背側伸縮シート70は液不透過性シート11に対して表面シート30側に配置すればよい。また、使用後は、ファスニングテープ130を一旦腹側外面から取り外しした後に、腹側部分Fと背側部分Bとを重ねて腹側部分Fが内側となるように股間部側から丸め若しくは折り畳み、しかる後、図11に示すように、背側部分Bの両側部のファスニングテープ130を丸めた若しくは折り畳んだおむつの両側から回しこみ外面に固定する。この廃棄時状態においては、図11に示すように外面の略全体が両ファスニングテープ130間の部分、つまり消臭剤を含有する背側伸縮シート70により覆われており、表面シート30に付着した排泄物や吸収体56により吸収した排泄物から発生する臭気はこの部分を通り外部に放出される過程で、消臭剤と接触することにより消臭される。またこの廃棄形態において、背側伸縮シート70はより外側に近く位置するため、例えば保管容器内の臭気等、当該物品の外部に存在する臭気に対しても消臭効果が発揮される。
したがって、廃棄状態において優れた消臭効果を得るためには、背側伸縮シート70は股間部側が吸収要素50と重なるよう配置すると共に、吸収要素50に対して外装シート12側の位置に配置すればよい。また、背側伸縮シート70の両端部が両ファスニングテープ130の取り付け部分と重なる部位まで延在されており、かつ背側伸縮シート70の前後方向寸法がファスニングテープ130の取り付け部分の前後方向寸法よりも長いと、消臭剤を含有する背側伸縮シート70の面積が十分なものとなり、優れた消臭効果が得られるため好ましい。
なお、本発明の主たる課題はより効果的に使用後の消臭効果を発揮することであるため、背側伸縮シート70は股間部側が吸収要素50と重なると共に、吸収要素50に対して外装シート12側の位置に配置されるのが特に好ましく、さらに装着時にも十分な消臭効果を発揮するために、背側伸縮シート70は液不透過性シート11に対して表面シート30側に配置されるのが好ましい。従って、背側伸縮シート70は、図示形態のように股間部側が吸収要素50と重なると共に、吸収要素50と液不透過性シート11との間に配置されるのが最も好ましい。
また、廃棄状態において特に高い消臭効果を得ようとする場合は、背側伸縮シート70とおむつ外面との間には、液不透過性シート11が介在されないほうが、保管容器内に漏出した臭気と接触して消臭しやすいため好ましい。従って、背側伸縮シート70は図示形態のように液不透過性シート11よりも幅広に形成し、背側伸縮シート70の背側サイドフラップ部BF側に液不透過性シート11からの食み出し部分を有するようにするのが好ましい。
背側伸縮シート70の食み出し部分の幅方向寸法は、背側伸縮シート70の幅方向寸法の20〜40%程度が適当である。同様に、図示しないが液不透過性シート11を外装シート12よりも前後方向長さが短いように形成し、少なくとも背側エンドフラップ部BEの背側端縁部には液不透過性シート11が配置されないようにして、背側伸縮シート70の背側エンドフラップBE側に液不透過性シート11からの食み出し部分を有するようにするのも好ましい。背側伸縮シート70の食み出し部分の前後方向寸法は、背側伸縮シート70の前後方向寸法の20〜40%程度が適当である。もちろん、図7に示すように液不透過性シート11と外装シート12との間に設けても良いし、図8に示すように外装シート12の外面に設けても良い。
しかも、背側伸縮シート70に消臭剤を含有させることによって、別途専用の部材を設ける必要無く、最も適切な部位に消臭効果を付与することができる上、背側伸縮シート70が排泄物に接触したり、覆われたりし難い所に位置しているため、臭気との接触が阻害され難い。加えて、図11に示すように背側伸縮シート70により両ファスニングテープ130間の部分に皺が形成され、この皺の谷間が廃棄状態において臭気の通路となるため、他の部位に設ける場合と比べて消臭剤と臭気との接触効率にも優れるようになる。
特に、背側伸縮シート70の構造として、内面側及び外面側シート基材71,71間に弾性伸縮部材72を挟持した構造を採用する場合、図9に示すように、内面側及び外面側シート基材71並びに弾性伸縮部材72が縦縞状等のパターンでおむつ幅方向に間欠的に固定されるとともに、これら固定部73間に、内面側及び外面側シート基材71並びに弾性伸縮部材72が固定されていない隙間74がおむつ幅方向と交差する方向に沿って連続的に形成されていると、皺が襞状に整列して臭気がこの隙間74を通過する過程で消臭剤と効率良く接触するようになるため好ましい。
背側伸縮シート70の寸法・形状は特に限定されないが、消臭機能を十分なものとするためには十分に面積を大きくするのが好ましく、例えば、背側伸縮シート70の幅70Xはおむつの全幅Xの23〜100%程度であるのが好ましく、背側伸縮シート70の長さ70Lはおむつ全長Lの15〜33%程度であるのが好ましい。また、背側伸縮シート70の形状はトリムロスが発生しない点では図示例のような矩形であるのが好ましいが、円形や楕円形、三角形、六角形等の幾何学形状、若しくはデザインの周囲に沿う形状にカットしても良い。
背側伸縮シート70は、消臭機能を有するシートである限り特に限定されないが、シート基材と、このシート基材に接着樹脂を介して固定された消臭剤粒子とを有するものが好適である。さらに、その消臭剤粒子の外面に接着樹脂により被覆されていない部分を有するものが特に好適である。もちろん、シート基材に消臭剤溶液を塗布あるいは含浸させて乾燥したものであってもよいし、シート基材を構成する材料自体が消臭性を有するもの、すなわち消臭性を有する樹脂からなるフィルムや、消臭性繊維からなる不織布や紙などの繊維集合体であってもよい。
背側伸縮シート70のシート基材としては、プラスチックフィルムや不織布、紙などを用いることができるが、嵩高く通気性の高い素材が好ましい。背側伸縮シート70のシート基材が通気性を有する繊維集合体、特にパルプ繊維を主原料とする紙であると、基材自体が臭気吸着により若干の消臭効果を発揮できるとともに、基材の表面積が大きく通気性があることから後述する消臭剤粒子と臭気との接触確率が向上し、消臭効率が向上する。プラスチックフィルムを用いる場合は、ムレ防止のため透湿性を有することが望ましい。不織布や紙は透湿性を有するため好ましく、後述するデザイン印刷を施す場合、不織布にあっては平滑性が高く印刷しやすいもの、紙にあっては強度が高くインクの滲み難いものを用いるのが好ましい。特に好ましいものとしては、目付け15〜35g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度のクレープ紙(薄葉紙)や、目付け10〜25g/m2程度、厚み0.1〜0.3mm程度の不織布(特にスパンボンド部の繊度が1.0〜3.0dtex程度のスパンボンド不織布やSMS不織布)を挙げることができる。クレープ紙を用いる場合は、クレープ率は5〜20%程度、特に5〜15%程度のものを用いるのが好ましい。クレープ率が20%以上であると、インクの定着量は大きくなるが滲みが生じてデザイン印刷には適さない。クレープ率が5%以下であるとインクが浸透しにくいため定着量が少ない。
消臭剤粒子は特に限定されないが、臭気を物理吸着(表面吸着)する立体構造、層状構造、あるいは多孔質構造を有するものが好適であり、物理吸着のみを行うものでも化学吸着機能を併せ持つものでも良い。消臭剤粒子の構成物質は活性炭、ゼオライト(三次元骨格構造をもつアルミノシリケート)粒子、ジルコニウムリン酸塩からなる層状構造粒子、ケイ酸塩からなる立体構造粒子、酸化亜鉛等、公知の消臭剤粒子を用いることができる。多孔質粒子の細孔径は、表面積の観点から、通常1〜10オングストローム、特に3〜10オングストロームであるのが好ましい。細孔径が大き過ぎると表面積減少により効果が低下し、小さすぎると分子径の大きな臭気発生物質の吸着能が低下する。同様に、嵩密度/真密度は0.1〜0.3程度が好ましい。このような多孔質消臭剤粒子は、特に吸収性物品の廃棄時に問題となる臭気成分、具体的にはアンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸等の吸着性能に優れる点で好ましい。
また、消臭剤粒子は臭気分子を化学的に吸着する金属イオンを含有するのが好ましい。例としては、粒子物質中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン等で置換してなる粒子を挙げることができ、より具体的にはゼオライト中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオンで置換してなる粒子(市販品としては(株)シナネンゼオミック社のゼオミック(登録商標))や、ジルコニウムリン酸塩中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銅イオンで置換してなる粒子(Zr3(PO4・Cu2+))、ケイ酸塩中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銅イオンで置換してなる粒子、酸化亜鉛粒子、ケイ酸塩中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を亜鉛イオンで置換してなる粒子等を例示することができる。一例として、銅イオンによる消臭(化学吸着)反応式を挙げると、次のとおりである。この場合、臭気分子と金属イオンとが配位結合し、錯イオンを形成する。
Cu2+ + H2S → H2S:Cu2+
消臭剤粒子に銀イオンが含有されている場合、湿度、太陽光、蛍光、Noxなどで黄色く変色するおそれがある。よって、消臭剤粒子として、粒子物質中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を銀イオンで置換してなる粒子を用いる場合、次の(イ)〜(ハ)の少なくとも一つの構成を採用するのが好ましい。
(イ)背側伸縮シート70における単位面積当たりの銀イオンの含有量を0.3mg/m2以下に抑える。これにより、変色の程度を抑えることができる。
(ロ)消臭剤粒子の接着手段として黄色の接着樹脂又はインクを用いたり、背側伸縮シート70のシート基材、あるいはこれと重なる液不透過性シート11又は外装シート12として黄色の素材を用いたりする。これにより、変色を目立ち難くすることができる。
(ハ)背側伸縮シート70のシート基材のJIS K7105に規定される全光線透過率が50%以下、特に40%以下とし、液不透過性シート11側面にのみ消臭剤粒子を付着させる。これにより、変色が製品外面からは目立ち難くなる。(ハ)の場合は、シートの目付けや地合いの調整により全光線透過率を低く抑えてもよいが、白色その他のインクを全面に印刷(下地印刷)することで全光線透過率を下げてもよい。
接着樹脂は、消臭剤粒子を背側伸縮シート70のシート基材に接着しうる限り特に限定されないが、ウレタン系樹脂(ポリウレタン樹脂)が好適である。このように通気性の高い接着樹脂を用いることにより、消臭剤粒子に対する臭気の接触効率が高くなり、より優れた消臭効果が発揮されるようになる。ウレタン系樹脂は、有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物とを反応させてウレタンプレポリマーを合成し、さらに鎖伸長剤、反応停止剤を反応させて得ることができる。ポリウレタン樹脂を合成するために利用可能な有機ジイソシアネート化合物としては、脂肪族ジイソシアネート化合物(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなど)、脂環族ジイソシアネート化合物(例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートなど)、芳香脂肪族ジイソシアネート化合物(キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど)、芳香族ジイソシアネート化合物(例えば、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど)を挙げる事ができる。
消臭剤粒子の外面に接着樹脂により被覆されていない部分を有する構造とするため、並びに消臭効果を十分なものとするため、及び製造を容易にするためには、消臭剤粒子の平均粒径(JIS K 1474−2007に規定されるメジアン径)は2.0〜8.0μm、特に2.0〜5.0μmであるのが好ましい。平均粒径が小さ過ぎると取り扱いが困難となり、平均粒径が大き過ぎると表面積の減少により消臭効果が低下する。従って、インクを塗布して乾燥した後の膜厚は、2.0μm未満であると接着樹脂の塗膜から前記消臭剤粒子の多くが露出するため好ましく、1.0〜1.5μm程度であると、消臭効果も十分なものとなるため特に好ましい。さらに、接着樹脂100重量部に対して消臭剤粒子を1〜20重量部含むのが好ましい。
背側伸縮シート70は、その表面側に位置する部材である吸収要素50及びトップシート30、並びに裏面側に位置する部材である液不透過性シート11に対してそれぞれ接着されている。この接着形態は適宜定めれば良いが、表面側部材及び裏面側部材の少なくとも一方に対しては背側伸縮シート70の少なくとも一部が離間して空間を形成するように、接着面積が背側伸縮シート70の面積の0〜70%程度、特に0〜20%程度となるように間欠的に接着するのが好ましい。具体的には、接着剤の塗布部分25Bを縞状(複数条平行に設ける形態)や格子状等にすることで接着剤の非塗布部分を形成することができる。このような非塗布部分を設けることで、背側伸縮シート70の表裏少なくとも一方側に臭気を一時的に保持する空間を形成し、臭気を効率良く背側伸縮シート70に接触させることができるようになり、消臭効果を高めることが可能となる。なお、接着剤の塗布部分には、カーテンスプレー、サミットスプレー、スパイラルスプレー等の塗布方式を用い、互いに交差する多数の繊維状あるいは糸状の接着剤により実質的に面状の塗布パターンを形成するのが好ましい。このような接着剤の塗布パターンは、接着面積が広いために接着強度に優れるとともに、繊維状あるいは糸状の接着剤同士の間は通気が妨げられないため、物品の通気性が大きく低下することがない。このような塗布パターンにおける接着剤の塗布目付けは、通常2〜8g/m2程度であり、繊維状あるいは糸状の接着剤1本の太さは0.02〜1mm程度である。
一方、臭気を外に逃がさないように、裏面側部材に対して背側伸縮シート70を密に(例えば接着面積が背側伸縮シート70の面積の80〜100%程度となるように)接着することもできる。この場合における接着においても、カーテンスプレー、サミットスプレー、スパイラルスプレー等の塗布方式を好適に用いることができる。
さらに、液不透過性シート11としては、通気性が高いもの、具体的には透湿性(JIS K 7129 A法)が6000g/m2・24h以上、特に6000〜12000g/m2・24hであるものを用いても、消臭性に優れるため臭気が気にならない。むしろ、液不透過性シート11の吸収要素50側に背側伸縮シート70を設ける場合であっても、外部の臭気が液不透過性シート11を効率良く透過して背側伸縮シート70に接触するようになるため好ましい。
他方、背側伸縮シート70の製造方法としては、消臭剤粒子、接着樹脂、及び溶媒を主成分とするインクを用い、シート基材上に形成されるインクの膜厚が消臭剤粒子の平均粒子径よりも薄くなるように、シート基材に印刷を行い、印刷部分に消臭剤粒子を含む背側伸縮シート70を得る手法が好適である。このようにして得られた背側伸縮シート70をおむつの製造ラインに供給し、所定部位に接着剤等により固定することで上述のおむつを得ることができる。
インクには、一般的な印刷インキや塗料で使用されている各種の無機顔料(例えば、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛など有色顔料、および、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルクなどの体質顔料など)や、有機顔料(例えば、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料など)を含有させることができる。
溶媒としては、消臭シート25に残留した場合にも人体への影響が少ないイソプロピルアルコール等のアルコール系あるいは酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系の有機溶媒が好適である。
また、消臭剤粒子の外面に接着樹脂により被覆されていない部分を有する構造とするため、並びに消臭効果を十分なものとするため、及び製造を容易にするためには、インクの配合としては、接着樹脂100重量部に対して、消臭剤を5〜20重量部及び溶媒を30〜70重量部とするのが好適である。インクにおける顔料の含有量とは、0.5〜50重量%の範囲で適宜調整するのが好ましく、2〜10重量%程度とするのが望ましい。インク塗布量(溶媒揮発前)は0.5〜3.0g/m2程度が好ましく、塗布乾燥後(溶媒揮発後)のインク膜厚が2.0μm未満となるようにするのが好ましい。特に、インク塗布量(溶媒揮発前)は1.0〜1.7g/m2程度としたときに、塗布乾燥後(溶媒揮発後)のインク膜厚が1.0〜1.5μm程度となるようにするのが好ましい。また、塗布乾燥後のインクの塗布量は、0.03〜0.15g/m2程度が好ましく、0.05〜0.10g/m2程度が特に好ましい。
背側伸縮シート70の製造に際しては、シート基材に接着樹脂を塗布した後に、接着樹脂上に消臭剤粒子を散布することも可能であるが、付着効率や付着力が不十分になり易く、連続製造には不向きである。これに対して、予め消臭剤を混合したインクを用いて印刷することは、極めて容易に連続製造できため好ましい。
また、この説明からも判るように、背側伸縮シート70にデザイン印刷を施すと、デザイン用のシートを省略したり、消臭剤付与部分を外観的に視認できるようにしたりできるため好ましい。デザイン印刷を施す場合、消臭剤粒子を混合したインクを用いて背側伸縮シート70のシート基材の表裏少なくとも一方の面にデザイン印刷を兼ねた消臭印刷を施しても良く、また、背側伸縮シート70のシート基材の表裏少なくとも一方の面にデザイン印刷を施すとともに、このデザインの印刷インクとは別のインク(色は透明または半透明であることが好ましい)に消臭剤粒子を混合したものを用いて背側伸縮シート70のシート基材の表裏少なくとも一方の面に消臭印刷を施しても良い。もちろん両者を組み合わせても良い。前者の場合、デザイン(柄等)印刷の形態により消臭剤粒子の含有部位や量が制約を受けるが、後者の場合にはそのような制約が無い。特に、物品外部からのデザインの視認性を向上するため、デザイン印刷を背側伸縮シート70の外装シート12側面に施し、臭気が効率よく消臭剤粒子と接触するよう、消臭剤粒子を含むインクによる印刷は吸収要素50側面に施すのが好ましい。また、このように印刷を施すことで、消臭剤粒子を含むインクによる消臭印刷とデザイン印刷とが干渉し合い、消臭効果やデザインの表現性を妨げることが無くなる。
背側伸縮シート70にデザイン印刷を施す場合、その外面側の部材全体(図示例では液不透過性シート11及び外装シート12)におけるJIS K 7105に規定される全光線透過率が40%以上、特に50%以上となっているのが好ましい。
印刷パターンは適宜定めることができる。図10は印刷パターン77の各種形態を示している。図10(a)に示す例は背側伸縮シート70の全体にわたるべた印刷パターン(消臭剤含有部分)77を採用したものであり、図10(b)に示す例は幅方向中央から外側に向かうにつれて幅が狭くなる縦縞状の印刷パターン77を採用したものであり、図10(c)に示す例はウエスト端側から股間側に向かうにつれて幅が狭くなる横縞状の印刷パターン77を採用したものである。
本発明は、テープタイプの使い捨ておむつに利用可能なものである。
テープタイプ使い捨ておむつの内面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 テープタイプ使い捨ておむつの外面を示す、おむつを展開した状態における平面図である。 図1の6−6線断面図である。 図1の7−7線断面図である。 図1の8−8線断面図である。 図1の9−9線断面図である。 他の形態を示す図1の8−8線断面相当の断面図である。 他の形態を示す図1の8−8線断面相当の断面図である。 背側伸縮シートの好適な形態を示す(a)平面図、及び(b)断面図である。 おむつを展開した状態における要部を示す概略平面図である。 廃棄状態のおむつを示す斜視図である。
符号の説明
11…液不透過性シート、12…外装シート、12r…折り返し部分、20…通気性補強シート、25…印刷シート、200…内装体、30…表面シート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…側部バリヤーカフス、62…バリヤーシート、70…背側伸縮シート。

Claims (8)

  1. 前後方向中央よりも前側に延在する腹側部分と、前後方向中央よりも後側に延在する背側部分と、
    背側部分の両側部にそれぞれ取り付けられたファスニングテープと、背側部分における両ファスニングテープの間に設けられた、おむつ幅方向に弾性伸縮する背側伸縮シートと、
    身体側表面を形成する透液性トップシートと、外面側に位置する液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収要素とを有し、
    両ファスニングテープを腹側部分にそれぞれ係止することによって装着する、テープタイプ使い捨ておむつにおいて、
    前記背側伸縮シートが消臭剤を含有している、
    ことを特徴とする止着式使い捨ておむつ。
  2. 前記背側伸縮シートは、両端部が前記ファスニングテープのおむつへの取り付け部分と重なる部位まで延在されており、かつ前記背側伸縮シートの前後方向寸法が前記ファスニングテープの前記取り付け部分の前後方向寸法よりも長い、請求項1記載の使い捨ておむつ。
  3. 前記背側伸縮シートは、前記吸収要素と前記液不透過性シートとの間に位置している、請求項2記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
  4. 前記液不透過性シートの透湿性が6000g/m2・24h以上である、請求項3記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
  5. 前記背側伸縮シートは、シート基材と、このシート基材に接着樹脂を介して固定された消臭剤粒子とを有するものである、請求項4記載の使い捨ておむつ。
  6. 前記背側伸縮シートは、不織布または紙からなる通気性基材を前記シート基材とし、これに弾性伸縮部材をおむつ幅方向に沿って伸長した状態で固定してなるものである、請求項5記載の使い捨ておむつ。
  7. 前記消臭剤粒子及び接着樹脂を含むインクにより、前記シート基材にデザイン印刷が施されており、そのデザイン印刷がおむつの外面側から視認可能になっている、請求項5または6に記載の使い捨ておむつ。
  8. 前記背側伸縮シートは、前記シート基材としての内面側シート基材と外面側シート基材との間に前記弾性伸縮部材が挟まれてなるものであり、且つこれら内面側シート基材、外面側シート基材及び弾性伸縮部材がおむつ幅方向に間欠的に固定されるとともに、これら固定部間に、内面側シート基材、外面側シート基材及び弾性伸縮部材が固定されていない隙間がおむつ幅方向と交差する方向に沿って連続的に形成されている、請求項5〜7のいずれか1項に記載のテープタイプ使い捨ておむつ。
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