WO2022145253A1 - 機能材含有シート、吸収性物品、機能材含有シートの製造方法、及び吸収性物品の製造方法 - Google Patents

Abstract

所定の機能を発揮し得る機能材を多く配置しながら、樹脂層に埋没する機能材を抑制して、当該機能を適切に発揮できるようにしつつ、当該機能の存在を使用者に認識可能に提示することが可能な機能材含有シート、その製造方法、及びその機能材含有シートを提供する。機能材含有シート１００は、シート部材１０１と、シート部材１０１の表面の所定領域に形成された樹脂層１０２と、樹脂層１０２に含まれている機能材粒子１０３と、を具備する。機能材粒子１０３の少なくとも一部は、樹脂層１０２の表面から外側へ突出し、樹脂層１０２は、着色されている。吸収性物品１は、互いに直交する長手方向Ｌ、幅方向Ｗ及び厚さ方向Ｔを備え、表面シート２と、裏面シート３と、表面シート２と裏面シート３との間に位置する吸収体４と、を備える。吸収性物品１は、少なくとも一枚の機能材含有シート１００を含む。

Description

機能材含有シート、吸収性物品、機能材含有シートの製造方法、及び吸収性物品の製造方法

　本発明は、機能材含有シート、吸収性物品、機能材含有シートの製造方法、及び吸収性物品の製造方法に関する。

　吸収機能とは異なる機能を発揮し得る機能材を含んだシート部材を備える吸収性物品が知られている。例えば、特許文献１には、消臭機能を発揮し得る消臭材を含んだクレープ紙を備える吸収性物品が開示されている。吸収性物品では、表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、吸収体がクレープ紙によって囲繞されている。吸収体の透液性表面シート側の面を覆うクレープ紙に、吸収性物品の長手方向に沿うとともに幅方向に間隔をあけた複数の線状パターン及び吸収性物品の長手方向及び幅方向に間隔をあけた複数のドット状パターンのいずれか又はこれらを組み合わせたパターンで、活性炭が配置されている。

特開２０１８－１３９７２１号公報

　特許文献１では、活性炭と溶剤等とが配合された塗布液をクレープ紙に印刷する方法で、活性炭をクレープ紙に配置している。このとき、活性炭は、複数の線状パターンや複数のドット状パターンで配置されているので、溶剤等で形成される樹脂層に埋没し難く、表面に露出し易い。しかし、その場合、活性炭が配置される領域は、平面視で、吸収体の領域の中の非常に狭い領域になる。そのため、配置される活性炭の量が非常に少なくなり、十分な消臭効果が得られなくなるおそれがある。そうかといって、活性炭が配置される領域を、平面視で、吸収体の領域の中の広い領域にすると、塗布液をクレープ紙にべた一面に塗ることになるので、活性炭が樹脂層に埋没し易く、表面に露出し難くなるおそれがあり、よって、活性炭の機能が十分に発揮されないおそれがある。

　特許文献１では、活性炭の黒色が目立たないように、活性炭が複数の線状パターンや複数のドット状パターンでクレープ紙に配置されている。しかし、使用者は、活性炭の色が目立たないと、活性炭の配置の有無を認識し難くなる。そうなると、気になる臭気を吸収して消臭してくれる活性炭が配置されているか否か使用者は確認できず、不安になり、当該製品の使用を敬遠するおそれもある。

　このようなことは、他の機能を発揮し得る他の機能材を含んだシート部材を備える吸収性物品についても当てはまる。

　所定の機能を発揮し得る機能材を多く配置しながら、樹脂層に埋没する機能材を抑制して、当該機能を適切に発揮できるようにしつつ、当該機能の存在を使用者に認識可能に提示することが可能な機能材含有シート、その製造方法、及びその機能材含有シートが望まれる。

　本発明の一態様の包装体は次の通りである。
　シート部材と、前記シート部材の表面の所定領域に形成された樹脂層と、前記樹脂層に含まれている機能材粒子と、を具備し、前記機能材粒子の少なくとも一部は、樹脂層の表面から外側へ突出し、前記樹脂層は、着色されている、機能材含有シート。

　本発明によれば、所定の機能を発揮し得る機能材を多く配置しながら、樹脂層に埋没する機能材を抑制して、当該機能を適切に発揮できるようにしつつ、当該機能の存在を使用者に認識可能に提示することが可能である。

本実施形態に係る機能材含有シートの拡大部分断面図である。 不織布の電子顕微鏡写真である。 実施形態に係る吸収性物品の機能材含有シートの一例を示す電子顕微鏡写真である。 実施形態に係る吸収性物品の機能材含有シートの別の例を示す電子顕微鏡写真である。 実施形態に係る吸収性物品を模式的に示す平面図である。 実施形態に係る吸収性物品の、図５に示すＶＩ－ＶＩ断面図である。 実施形態に係る吸収性物品の補強シートを示す平面図である。 実施形態の変形例に係る吸収性物品を模式的に示す平面図である。 実施形態の変形例に係る吸収性物品の補強シートを示す平面図である。

　本実施形態は、以下の態様に関する。

　［態様１］
　シート部材と、前記シート部材の表面の所定領域に形成された樹脂層と、前記樹脂層に含まれている機能材粒子と、を具備し、前記機能材粒子の少なくとも一部は、前記樹脂層の表面から外側へ突出し、前記樹脂層は、着色されている、機能材含有シート。
　本態様の機能材含有シートは、シート部材の表面の所定領域に形成され、機能材粒子を含む樹脂層を具備しており、機能材粒子の少なくとも一部は樹脂層の表面から外側へ突出し、樹脂層は着色されている。
　このように、機能材粒子の少なくとも一部が、樹脂層の表面から外側へ突出し、すなわち表面に露出しており、樹脂層に埋没していない。そのため、機能材粒子の機能を十分に発揮させることができる。このとき、樹脂層が、シート部材の表面の所定領域、すなわち平面方向に所定の広がりのある広い領域に形成されている。そのため、配置される機能材粒子の量を多くすることができ、機能材粒子の効果を十分に得ることができる。それに加えて、機能材粒子が広い領域に形成されているので、機能材含有シートの使用者に機能材粒子の色を知覚させ易くでき、機能材粒子の配置を認識させ易くできる。
　したがって、本態様の機能材含有シートにより、所定の機能を発揮し得る機能材粒子を多く配置しながら、樹脂層に埋没する機能材を抑制して、当該機能を適切に発揮できるようにしつつ、当該機能の存在を使用者に認識可能に提示することができる。

　［態様２］
　前記機能材粒子の平均粒径は、前記樹脂層の膜厚より大きい、態様１に記載の機能材含有シート。
　本態様の機能材含有シートでは、樹脂層に含まれる機能材粒子の平均粒径は、樹脂層の膜厚より大きい。それにより、機能材粒子を、樹脂層の表面から外側へより突出させ、すなわち表面により露出させることができる。すなわち、機能材粒子を、樹脂層により埋没させないようにすることができる。したがって、機能材粒子の機能を十分に発揮させることができる。

　［態様３］
　前記樹脂層における前記機能材粒子の含有率が０質量％よりも多く、１５質量％以下である、態様１又は２に記載の機能材含有シート。
　本態様の機能材含有シートでは、樹脂層における機能材粒子の含有率が０質量％よりも多く、１５質量％%以下である。そのため、樹脂層内に、機能材粒子を適切に分散させて配置することができ、樹脂層の表面から外側へより突出させ易くすることができる。機能材粒子の含有率が低過ぎると機能材粒子の効果を得難く、高過ぎると樹脂層内で分散し難くなり、ダマが生じ易く、よって脱落し易くなる。

　［態様４］
　前記シート部材は不織布で構成され、前記機能材粒子の平均粒径は、前記不織布を構成する繊維の平均繊維径よりも小さい、態様１乃至３のいずれか一項に記載の機能材含有シート。
　本態様の機能材含有シートでは、機能材粒子の平均粒径は、シート部材の不織布を構成する繊維の平均繊維径よりも小さい。そのため、シート部材の表面だけでなく、シート部材（不織布）内の繊維そのものの表面にも機能材粒子を担持させることができる。それにより、機能材粒子を広く分散させて、その効果をより発揮させることができる。

　［態様５］
　前記シート部材はフィルムからなり、前記機能材粒子の平均粒径は、０μｍより大きく、前記フィルムの厚み以下である、態様１乃至３のいずれか一項に記載の機能材含有シート。
　本態様の機能材含有シートでは、シート部材はフィルムからなり、機能材粒子の平均粒径は、０μｍより大きく、フィルムの厚み以下である。このように、平均粒径がフィルムの厚み以下であることで、機能材粒子をシート部材の表面に、樹脂層で保持し易くすることができ、より機能材の効果を得ることができると共に、機能材粒子がフィルムを突き破って穴を空けることを抑制できる。

　［態様６］
　前記樹脂層は、前記機能材粒子と同色系の顔料を含んでおり、前記顔料の平均粒径は、前記機能材粒子の平均粒径よりも小さい、態様１乃至５のいずれか一項に記載の機能材含有シート。
　本態様の機能材含有シートでは、樹脂層は機能材粒子と同色系の顔料を含んでおり、顔料の平均粒径は、機能材粒子の平均粒径よりも小さい。このように、樹脂層が機能材粒子と同色系の顔料を含むことで、使用者に機能材粒子の色をより知覚させ易くでき、機能材粒子の配置をより認識させ易くできる。それに加えて、機能材粒子が樹脂層の表面から外側へ突出した状態を保持し易くすることができる。

　［態様７］
　互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を備え、表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体と、を備える吸収性物品であって、少なくとも一枚の、態様１乃至６のいずれか一項に記載の機能材含有シートを含む、吸収性物品。
　本態様の吸収性物品は、上記された機能材含有シートを含んでいる。そのため、機能材含有シートにおける機能材粒子の機能を十分に発揮させることができる。このとき、樹脂層が、シート部材の表面の所定領域、すなわち平面方向に所定の広がりのある広い領域に形成されている。そのため、配置される機能材粒子の量を多くすることができ、機能材粒子の効果を十分に得ることができる。それに加えて、機能材粒子が広い領域に形成されているので、吸収性物品の使用者に機能材粒子の色を知覚させ易くでき、機能材粒子の配置を認識させ易くできる。
　したがって、本態様の吸収性物品により、所定の機能を発揮し得る機能材粒子を多く配置しながら、樹脂層に埋没する機能材を抑制して、当該機能を適切に発揮できるようにしつつ、当該機能の存在を使用者に認識可能に提示することができる。

　［態様８］
　前記吸収体は、吸収性コアと、前記吸収性コアを覆うコアラップと、を含み、前記機能材粒子は、消臭機能を有し、前記機能材含有シートは、前記表面シートと前記吸収性コアとの間に配置されている、態様７に記載の吸収性物品。
　本態様の吸収性物品では、機能材粒子が消臭機能を有しており、機能材含有シートが表面シートと吸収性コアとの間に配置されている。それにより、経血や尿などを吸収した吸収性コアから、吸収したものの腐敗等による悪臭成分が発生しても、機能材含有シートにより、直ちに消臭の効果を得ることができる。それと共に、機能材含有シートを表面シートで覆うことで、樹脂層の表面から外側へ突出した機能材粒子による凹凸で使用者が違和感を覚えることを抑制できる。

　［態様９］
　前記コアラップの少なくとも一部は、前記機能材含有シートである、態様８に記載の吸収性物品。
　本態様の吸収性物品では、コアラップの少なくとも一部が機能材含有シートである。それにより、経血や尿などを吸収した吸収性コアから、吸収したものの腐敗等を防ぎつつ、腐敗した場合に悪臭成分が発生しても、機能材含有シートにより、直ちに消臭の効果を得ることができる。

　［態様１０］
　前記表面シートは、前記機能材含有シートであり、前記機能材粒子は、消臭機能を有し、前記機能材粒子が突出する面が、前記吸収体側に向いている、態様７乃至９のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　本態様の吸収性物品では、表面シートは機能材含有シートであり、機能材粒子が突出する面が吸収体側に向いている。それにより、表面シートに残った経血や尿などの腐敗等よる悪臭成分が発生しても、機能材含有シートにより、直ちに消臭の効果を得ることができる。それと共に、機能材粒子が突出する面を吸収体側に向けることで、機能材粒子が直接肌に触れることを避け、機能材粒子で使用者が違和感を覚えることを抑制することができる。

　［態様１１］
　前記機能材含有シートに設けられた前記長手方向又は前記幅方向に延びる弾性部材を、更に含み、前記弾性部材によって収縮した前記機能材含有シートの凹となる表面が、前記機能材粒子が突出する面である、態様７乃至１０のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　本態様の吸収性物品では、機能材含有シートに対し厚み方向に設けられた長手方向又は幅方向に延びる弾性部材を、更に含み、弾性部材によって収縮した機能材含有シートの凹となる表面が、機能材粒子が突出する面である。それにより、機能材含有シートは収縮し凹となった表面に経血、尿、汗等が滞留した場合や、臭気が接した場合に、機能材粒子によって消臭の効果を得ることができる。

　［態様１２］
　前記吸収性物品は、前記長手方向の中央において前記幅方向の両側に延出する一対のウィング部、及び、前記長手方向の背側の端部において前記幅方向の両側に延出する一対のフラップ部の少なくとも一方を備え、前記機能材粒子は、消臭機能を有し、前記機能材含有シートは、前記一対のウィング部及び前記一対のフラップ部の少なくとも一方に配置されている、態様７乃至１１のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　本態様の吸収性物品では、機能材含有シートが一対のウィング部及び一対のフラップ部の少なくとも一方に配置されている。それにより、使用者の体の一部と触れて、汗や皮脂等の付着があり得るウィング部や後方フラップ部において、汗や皮脂等の腐敗等よる悪臭成分が発生しても、機能材含有シートにより、直ちに消臭の効果を得ることができる。

　［態様１３］
　前記吸収性物品は、少なくとも二箇所に前記機能材含有シートを有し、前記少なくとも二箇所の前記機能材含有シートにおける前記機能材粒子の前記樹脂層に対する含有率は互いに異なる、態様８乃至１２のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　本態様の吸収性物品では、少なくとも二箇所の機能材含有シートにおける機能材粒子の、樹脂層に対する含有率が互いに異なっている。そのため、吸収性物品の部分において生じ得る悪臭成分の量（及び種類）に応じて、機能材粒子の含有率を変えることにより、機能材粒子の消臭の効果を最大化することができる。

　［態様１４］
　前記吸収性物品は、圧搾部及びヒートシール部の少なくとも一方を有し、前記機能材含有シートの前記機能材粒子は、前記厚さ方向に前記圧搾部及び前記ヒートシール部の少なくとも一方と重なる、態様７乃至１３のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　本態様の吸収性物品では、機能材含有シートの機能材粒子は、厚さ方向に圧搾部及びヒートシール部の少なくとも一方と重なる。圧搾部及びヒートシール部では、資材が厚さ方向に潰される、又は、資材を構成する繊維の繊維間距離が広がるので、機能材粒子が露出し易くなる。それゆえ、機能材粒子の機能を発揮し易くすることができる。

　［態様１５］
　シート部材の表面に、機能材粒子を含む塗布液の印刷を行い、前記機能材粒子を含む樹脂層を備える機能材含有シートを製造する方法であって、前記印刷のための版の凹部の深さは、前記機能材粒子の平均粒径よりも大きい、方法。
　本態様の機能材含有シートを製造する方法では、シート部材の表面に、機能材粒子を含む塗布液を印刷するとき、印刷のための版の凹部の深さは、前記機能材粒子の平均粒径よりも大きくなっている。それゆえ、版の凹部に入る塗布液に、確実に機能材粒子を含ませた状態とすることができる。それにより、その後のその版を用いた印刷で、シート部材の表面に確実に機能材粒子を配置することができる。

　［態様１６］
　表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体と、を備える吸収性物品を製造する方法であって、態様１乃至１４のいずれか一項に記載の機能材含有シートを、前記表面シート、前記裏面シート、及び前記吸収体の少なくとも一つと、エンボス又はヒートシールで接合する工程を備える、方法。
　本態様の性物品を製造する方法では、表面シート、裏面シート、及び吸収体の少なくとも一つと、機能材含有シートと、をエンボス又はヒートシールで接合している。それゆえ、エンボス又はヒートシールにより、資材を厚さ方向に潰す、又は、資材を構成する繊維の繊維間距離を広げることができるので、機能材粒子を露出させることができる。それゆえ、機能材粒子の機能を発揮し易くすることができる。

　以下、実施形態に係る吸収性物品について説明する。

［機能材含有シート］
　図１に示す機能材含有シート１００は、シート部材１０１と、樹脂層１０２と、機能材粒子１０３とを備える。シート部材１０１は、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維からなるティッシュや不織布（例えば、エアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布等）、織布、編布などが挙げられる。

　シート部材１０１の構成繊維の種類も特に制限されず、例えば、パルプ繊維等のセルロース系繊維、熱可塑性樹脂繊維（例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等）に親水化処理を施した親水性繊維などの繊維が挙げられる。これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。シート部材１０１の構成繊維の平均繊維径は、例えば、１ｄｔｅｘ～１０ｄｔｅｘである。

　繊維の繊維径の測定は、次のようにして行うことができる。まず、測定対象のシート部材を液体窒素等で凍結させた後、任意の１０箇所から、所定長さ（例えば、５ｍｍ）の繊維を切り出し、該切り出した繊維の端部を、繊維の延びる方向に対して直角に切断する。その切断面を所定の拡大倍率で撮影し、得られた断面写真から繊維の繊維径（ｍｍ）を測定する。平均繊維径は、切り出した１０本の繊維の繊維径の平均値を採用する。シート部材１０１が不織布、織布、編布で構成されている場合、厚さは、例えば、０．１ｍｍ～５ｍｍである。

　シート部材１０１は、ポリエチレンやポリプロピレンで形成された合成樹脂フィルムでもよい。シート部材１０１を構成する合成樹脂フィルムの厚さは、例えば、５μｍ～１００μｍである。シート部材１０１の厚さは、大栄科学精器製作所製の厚さ測定器、ＦＳ－６０ＤＳ（プレッサーフートの直径：５０．５ｍｍ，測定圧：０．３ｋＰａ）を用いて測定することができる。なお、特定の部分についてシート部材１０１の厚さを決定する場合、同一の又は対応した形態を有する部分から、任意の５点の厚さを測定し、それらの平均を当該部分の厚さとすることが好ましい。

　シート部材１０１の外形形状や各種寸法、坪量等は、当該シート部材１０１が適用される吸収性物品の各種構成部材に応じた任意の外形形状や各種寸法、坪量等を採用することができる。例えば、シート部材１０１の坪量は、例えば、５ｇ／ｍ^２～１００ｇ／ｍ^２の範囲内の坪量が好ましく、５ｇ／ｍ^２～５０ｇ／ｍ^２の範囲内の坪量がより好ましく、１０ｇ／ｍ^２～３５ｇ／ｍ^２の範囲内の坪量が更に好ましい。

　坪量は以下の方法で測定される。まず、シート部材１０１から所定サイズ（例示：１０ｍｍ×１０ｍｍ）の３個の試料を切り出す。次いで、切り出された３個の試料の質量を直示天秤（例示：研精工業株式会社製　電子天秤ＨＦ－３００）で測定する。そして、３個の試料の質量の平均値からシート部材１０１の単位面積当たりの質量（ｇ／ｍ^２）を算出して、シート部材１０１の坪量とする。

　樹脂層１０２は、シート部材１０１の表面の少なくとも一部に設けられている。シート部材１０１が不織布、織布、編布で構成されている場合、シート部材１０１の構成繊維のそれぞれに樹脂層１０２が形成され得る。樹脂層１０２の膜厚は、例えば、０．５μｍ～２０μｍである。樹脂層１０２の膜厚は、次のようにして測定することができる。まず、機能材含有シート１００から試料を切り出す。次いで、当該試料の切断面を所定の拡大倍率で撮影し、得られた断面写真から樹脂層１０２の膜厚（μｍ）を測定する。樹脂層１０２は、特に限定されないが、疎水性樹脂でもよく、例えば、スチレン・アクリル酸系共重合体、アクリル酸系重合体、スチレン・マレイン酸系共重合体が例示される。樹脂層１０２は、着色されている。樹脂層１０２の着色に用いる着色剤は、特に限定されず、当分野において公知の任意の着色剤（例えば、顔料、染料等）を採用することができる。さらに、この着色剤による着色手段も特に限定されず、樹脂層１０２は、例えば、着色剤を機能性部材の構成成分に含有させることによって着色してもよい。樹脂層１０２は、着色されていることによって、着色源として視認可能に形成されている。シート部材１０１における樹脂層１０２が形成される範囲は、例えば、平面視にてシート部材１０１の面積の５０％以上、好ましくは８０％以上である。シート部材１０１に形成される樹脂層１０２の平面視における外郭は、例えば、円形、楕円形、多角形、これらの組み合わせでもよい。樹脂層が形成される部分は、用途によって適宜設定されるが、例えば、平面視にてシート部材１０１の中央部、端部、又は全部でもよい。

　機能材粒子１０３は、樹脂層１０２に含有されており、少なくとも一部が樹脂層１０２の表面から外側へ突出している。機能材粒子１０３が樹脂層１０２の表面から外側へ突出している高さは、例えば、１μｍ～１０μｍである。機能材粒子１０３が突出している高さは、樹脂層１０２が形成されたシート部材１０１の断面を電子顕微鏡で観察することによって、測定することができる。樹脂層１０２における機能材粒子１０３の含有率は、例えば、０質量％よりも多く１５質量％以下、好ましくは２質量％よりも多く７質量％以下である。

　機能材粒子１０３の粒径は、特に限定されないが、機能材粒子１０３の平均粒径が、樹脂層１０２の膜厚より大きいことが好ましい。機能材粒子１０３の平均粒径は、シート部材１０１が不織布である場合、当該不織布を構成する繊維の平均繊維径よりも小さいことが好ましい。機能材粒子１０３の平均粒径は、シート部材１０１がフィルムである場合、当該フィルムの厚み以下であることが好ましい。機能材粒子１０３の平均粒径は、例えば、１μｍ～３０μｍである。機能材粒子１０３の平均粒径や粒度分布の測定は、レーザー回折／散乱式粒度分布測定装置（例示：堀場製作所社製、ＬＡ－９２０）を用いて、以下の条件で測定される。

　・測定セル　：フローセル
　・粒子径基準：体積
　・分散媒体　：９０質量％のエタノール水溶液
　・透過率　　：７０～９０％
　・試料濃度　：０．１％
　機能材粒子１０３は、例えば、消臭剤及び抗菌剤である。消臭剤としての機能材粒子１０３は、より具体的には、活性炭、高吸水性ポリマー、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、多孔質ガラスなどが挙げられる。抗菌剤としての機能材粒子１０３は、ゼオライトやリン酸カルシウムなどの担体に銀イオンを担持させた粒子などが挙げられる。

　樹脂層１０２は、機能材粒子１０３の他に、上記着色剤として顔料を含んでもよい。顔料は、機能材粒子１０３と同色系であることが好ましい。機能材粒子１０３と同色系であるとは、例えば、消臭剤の場合は活性炭を想起する黒色や灰色や、高吸水性ポリマー、ゼオライト、シリカゲルを想起するより白色が該当する。白色に着色する場合、シート部材の白色に対し、白さをより強調するため、青めに補正してもよい。抗菌剤の場合は銀を想起する銀色が該当する。顔料の平均粒径は、機能材粒子１０３の平均粒径よりも小さい方が好ましく、例えば、０．１μｍ～３０μｍである。顔料の平均粒径は、機能材粒子１０３と同様の手法で測定することができる。色が「同系色」とは、色差ΔＥが５未満である。ただし、上記の色差は、以下のとおり測定される。
（１）Ｘ－Ｒｉｔｅ社製　Ｘ－Ｒｉｔｅ　ｅＸａｃｔ　Ｓｔａｎｄｅｒｄ（測定径：１．５ｍｍ）を準備する。
（２）サンプルの測定すべき部分のＣＩＥ　Ｌ*ａ*ｂ*座標を、位置を変えて１０点以上測定し、それらの平均値（［Ｌ1*，ａ1*，ｂ1*］）を算出する。
（３）サンプルの対比すべき部分のＬ*ａ*ｂ*座標を、位置を変えて１０点以上測定し、それらの平均値（［Ｌ2*，ａ2*，ｂ2*］）を算出する。
（４）色差ΔＥを、次の式：

により算出する。なお、測定に際しては、例えば、サンプルを有底筒状の容器に一定量入れ、同じ容積にし、表面を一定に保って測定することが好ましい。

　機能材含有シート１００は、シート部材１０１に、機能材粒子１０３を含有する塗布液を印刷することによって、形成することができる。塗布液は、機能材粒子１０３と、有機溶剤と、樹脂とを含む。樹脂は、疎水性であることが好ましい。塗布液のｐＨは、７～９であるのが好ましい。印刷は、例えばフレキソ印刷を適用することができる。フレキソ印刷は、図示しないが、インクパンと、アニロックスロールと、転写胴と、圧胴とを備える。アニロックスロールは、表面に複数の凹部を有し、表面がインクパン内の塗布液に浸かるように配置されている。アニロックスロールが回転することによって凹部に塗布液が充填される。アニロックスロールの凹部の深さは、機能材粒子１０３の平均粒径よりも大きい。転写胴は、アニロックスロールと接しており、アニロックスロールの凹部の塗布液がその表面に転写される。圧胴は、シート部材１０１を挟んで転写胴に外接しており、これによってシート部材１０１の表面に機能材粒子１０３を含む塗布液が印刷される。シート部材１０１上に印刷された塗布液は、有機溶剤が揮発して固化することによって、樹脂層１０２となる。疎水性の樹脂を含む塗布液によって得られた樹脂層１０２は、撥水性を発揮するので、排泄物を吸収した際に排泄物によって流されることを防止する。したがって、機能材含有シートは、排泄物を吸収した後もシート部材１０１上に機能材粒子１０３が留まるので、継続的に消臭効果が得られる。塗布液のｐＨ７～９であることによって、得られた樹脂層１０２は、機能材粒子がプラスに帯電するので、アニオン型の悪臭成分を吸着しやすくなる。

　図２は、樹脂層が形成されていない一般的な不織布の電子顕微鏡写真（１０００倍）である。シート部材１０１が不織布の場合、上記のようにして樹脂層が形成されることによって、図３（１０００倍の電子顕微鏡写真）に示すように、樹脂層は、不織布の繊維表面に樹脂層が形成され、当該樹脂層の表面から機能材粒子としての活性炭１０３が突出した機能材含有シートが得られる。なお、樹脂層は、不織布の繊維間にかけ渡されるように形成される場合もあり得、当該かけ渡された部分にも機能材粒子が存在する場合があり得る。シート部材がフィルムの場合、図４（５０００倍の電子顕微鏡写真）に示すように、フィルム表面に樹脂層が形成され、当該樹脂層の表面から機能材粒子としての活性炭１０３が突出した機能材含有シート１００が得られる。

　機能材含有シート１００は、シート部材１０１の表面の所定領域に形成され、機能材粒子１０３を含む樹脂層１０２を具備しており、機能材粒子１０３の少なくとも一部は樹脂層１０２の表面から外側へ突出し、樹脂層１０２は着色されている。

　このように、機能材粒子１０３の少なくとも一部が、樹脂層１０２の表面から外側へ突出し、すなわち表面に露出しており、樹脂層１０２に埋没していない。そのため、機能材粒子１０３の機能を十分に発揮させることができる。このとき、樹脂層１０２が、シート部材１０１の表面の所定領域、すなわち平面方向に所定の広がりのある広い領域に形成されている。そのため、配置される機能材粒子１０３の量を多くすることができ、機能材粒子１０３の効果を十分に得ることができる。それに加えて、機能材粒子１０３が広い領域に形成されているので、機能材含有シート１００の使用者に機能材粒子１０３の色を知覚させ易くでき、機能材粒子１０３の配置を認識させ易くできる。

　したがって、本態様の機能材含有シート１００により、所定の機能を発揮し得る機能材粒子１０３を多く配置しながら、樹脂層１０２に埋没する機能材を抑制して、当該機能を適切に発揮できるようにしつつ、当該機能の存在を使用者に認識可能に提示することができる。さらに、樹脂層１０２は、着色されていることによって、着用者から排泄された排泄物の色を隠すことができる。

　機能材含有シート１００では、樹脂層１０２に含まれる機能材粒子１０３の平均粒径は、樹脂層１０２の膜厚より大きいことが好ましい。それにより、機能材粒子１０３を、樹脂層１０２の表面から外側へより突出させ、すなわち表面により露出させることができる。すなわち、機能材粒子１０３を、樹脂層１０２により埋没させないようにすることができる。したがって、機能材粒子１０３の機能を十分に発揮させることができる。

　機能材含有シート１００では、樹脂層１０２における機能材粒子１０３の含有率が０質量％よりも多く、１５質量％以下である。そのため、樹脂層１０２内に、機能材粒子１０３を適切に分散させて配置することができ、樹脂層１０２の表面から外側へより突出させ易くすることができる。機能材粒子１０３の含有率が低過ぎると機能材粒子１０３の効果を得難く、高過ぎると樹脂層１０２内で分散し難くなり、ダマが生じ易く、よって脱落し易くなる。樹脂層１０２における機能材粒子１０３の含有率が０質量％よりも多く、７質量％以下であることによって、脱落をより確実に防止することができる。

　機能材含有シート１００では、機能材粒子１０３の平均粒径は、シート部材１０１が不織布で構成されている場合、当該不織布を構成する繊維の平均繊維径よりも小さい。そのため、シート部材１０１の表面だけでなく、不織布の繊維そのものの表面にも機能材粒子１０３を担持させることができる。それにより、機能材粒子１０３を広く分散させて、その効果をより発揮させることができる。

　機能材含有シート１００では、シート部材１０１はフィルムからなり、機能材粒子１０３の平均粒径は、０μｍより大きく、フィルムの厚み以下である。このように、平均粒径がフィルムの厚み以下であることで、機能材粒子１０３をシート部材１０１の表面に、樹脂層１０２で保持し易くすることができ、より機能材の効果を得ることができると共に、機能材粒子１０３がフィルムを突き破って穴を空けることを抑制できる。

　機能材含有シート１００では、樹脂層１０２は機能材粒子１０３と同色系の顔料を含んでおり、顔料の平均粒径は、機能材粒子１０３の平均粒径よりも小さい。このように、樹脂層１０２が機能材粒子１０３と同色系の顔料を含むことで、使用者に機能材粒子１０３の色をより知覚させ易くでき、機能材粒子１０３の配置をより認識させ易くできる。それに加えて、機能材粒子１０３が樹脂層１０２の表面から外側へ突出した状態を保持し易くすることができる。

　機能材含有シート１００を製造する方法では、シート部材１０１の表面に、機能材粒子１０３を含む塗布液を印刷するとき、アニロックスロールの凹部の深さは、前記機能材粒子１０３の平均粒径よりも大きくなっている。それゆえ、アニロックスロールの凹部に入る塗布液に、確実に機能材粒子１０３を含ませた状態とすることができる。それにより、その後のそのアニロックスロールから塗布液が転写された版を用いた印刷で、シート部材１０１の表面に確実に機能材粒子１０３を配置することができる。

［吸収性物品］
　以下、実施形態に係る吸収性物品について説明する。ただし、実施形態では生理用ナプキンを吸収性物品の例として説明する。吸収性物品の種類はこの例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲を逸脱しない限り、他の吸収性物品でもよい。他の吸収性物品としては、テープ型おむつ、パンツ型おむつ、失禁パッド、尿取りパッドなどが挙げられる。吸収性物品１は、表面シート２、吸収体４、裏面シート３を順に備える。図５に示すように、吸収性物品１は、平面視にて、吸収性物品１の長手方向Ｌの前方側端縁から後方側端縁にわたって延在するとともに、吸収性物品１の幅方向Ｗの一方側端縁近傍から他方側端縁近傍にわたって延在する、縦長の外形形状を有している。長手方向中心線ＣＬに近づく向き及び側をそれぞれ幅方向Ｗの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側をそれぞれ幅方向Ｗの外向き及び外側とする。幅方向中心線ＣＷに近づく向き及び側をそれぞれ長手方向Ｌの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側をそれぞれ長手方向Ｌの外向き及び外側とする。「肌側」及び「非肌側」とは吸収性物品１が装着者に装着されたときに、厚さ方向Ｔにおいて相対的に装着者の肌面に近い側及び遠い側をそれぞれ意味する。「平面視」とは長手方向Ｌ及び幅方向Ｗを含む平面に展開した状態の吸収性物品１を厚さ方向Ｔの上方側（肌側）から見ることをいう。図５において、向って上方を長手方向Ｌの前方側又は腹側とし、向って下方を長手方向Ｌの後方側又は背側とする。これらの定義は吸収性物品１だけでなく、吸収性物品１に配置された各資材にも共通に用いる。部材や構造や形状などが「長手方向Ｌに沿う」とは、部材等が長手方向Ｌに平行な場合だけでなく、部材等の長手方向Ｌの成分が、部材等の幅方向Ｗの成分よりも大きい場合も含んでいる。ある部材等のある方向（例示：長手方向Ｌ、幅方向Ｗ）の端部とは、その部材等の、その方向の端縁からその方向での全体の長さの１／４（好ましくは１／８）以下の寸法の範囲をいう。

　吸収性物品１は、長手方向Ｌの中央に、幅方向Ｗの両側から外側へ延出する一対のウィング部９を有してもよい。ウィング部９は、着用者の着衣の外面側に折り返しつつ一対のウィング部９を介して着衣の外面に張り付けることによって、着衣に固定される。吸収性物品１は、ウィング部９よりも長手方向Ｌの腹側及び背側に、幅方向Ｗの両側から幅方向Ｗの外側へ延出する部分を更に有してもよい。吸収性物品１は、表面シート２及び吸収体４が共に非肌側へ窪む複数の凹部１１を有してもよい。凹部１１は、凹部１１内に流れ込んだ着用者から排出された経血や尿等の排泄物を吸収体４の面方向に拡散することによって、排泄物を吸収体４のより広範な領域に均等に吸収させることができる。

　吸収性物品１は、肌側の表面にエンボス加工が施された第１の圧搾部１２及び一対の第２の圧搾部１３、１４を有してもよい。第１の圧搾部１２は、幅方向Ｗに互いに離間しつつ、長手方向Ｌに沿って環状に拡がっている。一対の第２の圧搾部１３、１４は、長手方向Ｌに互いに離間しつつ、第１の圧搾部１２内を吸収性物品１の幅方向Ｗにそれぞれ拡がっている。第１の圧搾部１２及び一対の第２の圧搾部１３、１４を有することによって、吸収性物品１が第１の圧搾部１２及び一対の第２の圧搾部１３、１４に沿って折れ曲がりやすくなる。その結果、着用者の動き又は姿勢に関わらず、吸収性物品１が着用者の肌に密着し続けることが可能となる。吸収性物品１は、外周にヒートシール加工によって表面シート２と裏面シート３を接合したヒートシール部を外周に有してもよい。

＜表面シート＞
　表面シート２は、図５に示すように、平面視にて、吸収性物品１の長手方向Ｌの前方側端縁から後方側端縁にわたって延在するとともに、吸収性物品１の幅方向Ｗの一方側端縁から他方側端縁にわたって延在しており、縦長の外形形状を有している。

　かかる表面シート２は、図６に示すように、吸収性物品１の厚さ方向Ｔにおいて相対的に肌側の位置に配置され、着用時に着用者の肌に当接し得る接触面、すなわち吸収性物品１の肌側の表面を形成するとともに、着用者から排出される排泄物を非肌側に透過させるように機能する、液透過性の不織布によって形成されている。

　本発明において表面シート２の外形形状は、このような態様のものに限定されず、吸収体４の肌側の表面を少なくとも中央領域において露出しないように覆うことができるものであれば、各種用途や使用態様等に応じた任意の形状及びサイズのものを採用することができる。

　本発明において表面シート２として用い得る不織布は、吸収性物品１の表面シート２として用い得る諸特性（例えば、液透過性（液はけ性）や肌触り、柔軟性、強度等）を有するものであれば特に制限されず、例えば、親水性繊維によって形成されたスパンボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布、ポイントボンド不織布等の不織布；熱可塑性樹脂繊維等の疎水性繊維によって形成された不織布の表面に親水化処理が施された不織布などの任意の不織布を採用することができる。不織布の構成繊維の種類も特に制限されず、例えば、セルロース系繊維や親水化処理を施した熱可塑性樹脂繊維などの親水性繊維を用いることができる。これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。

　不織布の構成繊維に用い得るセルロース系繊維としては、例えば、天然セルロース繊維（例えば、コットン等の植物繊維など）や再生セルロース繊維、精製セルロース繊維、半合成セルロース繊維などが挙げられる。

　不織布の構成繊維に用い得る熱可塑性樹脂繊維としては、例えば、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）等のポリエステル系樹脂、６－ナイロン等のポリアミド系樹脂などの公知の熱可塑性樹脂からなる繊維が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても、二種類以上の樹脂を併用してもよい。

　本発明において表面シート２を形成する不織布の構造は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、全体的に平坦なシート状構造を有していても、長手方向Ｌ又は幅方向Ｗに延びる複数の凸条部及び凹溝部を備えた凹凸構造（例えば、断面形状が波形となる凹凸構造や畝溝構造等）を有していてもよい。不織布がこのような凹凸構造を有する場合、当該凹凸構造における複数の凸条部の各々は、中実の内部構造を有していても、中空の内部構造を有していてもよい。

　表面シート２の厚みや坪量等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、所望の液透過性や肌触り、柔軟性、強度等に応じた任意の厚みや坪量等を採用することができる。

　表面シート２の少なくとも一部が上記機能材含有シートであってもよい。すなわち、表面シート２の少なくとも一部は、シート部材と、樹脂層と、樹脂層に含まれている機能材粒子とを備え、機能材粒子の少なくとも一部は、樹脂層の表面から外側へ突出し、樹脂層は、着色されている。機能材含有シートに含まれる機能材粒子は、消臭機能を含んでいる。機能材含有シートの樹脂層が形成された表面が、吸収体４側に配置される。すなわち、機能材粒子が樹脂層から突出している面が、吸収体４側に向いている。機能材粒子が突出する面が吸収体４側に向いていることにより、表面シート２に残った経血や尿などの腐敗等よる悪臭成分が発生しても、機能材含有シートにより、直ちに消臭の効果を得ることができる。それと共に、機能材粒子が突出する面を吸収体４側に向けることで、機能材粒子が直接肌に触れることを避け、機能材粒子で使用者が違和感を覚えることを抑制することができる。機能材含有シートである表面シートに複数の凹部１１が形成されている場合、排泄物と機能材粒子を含む樹脂層との接触面積が増えるので、より確実に消臭効果を得ることができる。凹部１１に排泄物が滞留した場合でも、機能材含有シートによって消臭効果を得ることができる。表面シート２における樹脂層が形成される範囲は、例えば、平面視にて表面シート２の面積の５０％以上、好ましくは８０％以上である。表面シート２に形成される樹脂層の平面視における外郭は、例えば、円形、楕円形、多角形、これらの組み合わせでもよい。樹脂層が形成される部分は、平面視にて、表面シート２の中央部分、長手方向Ｌ又は幅方向Ｗの両端部、及び全面でもよい。

＜中間シート＞
　表面シート２の非肌側には、所定の液拡散性及び液透過性を有する中間シート５が配置されていてもよい。中間シート５として用い得るシート部材は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、例えば、表面シート２と同様の不織布や、液拡散性を有する凹凸構造等を備えた公知の不織布や織布、これらが積層された複合シート、エアレイドパルプシートなどを用いることができる。中間シート５の厚みや坪量等は、所定の液透過性を有するもの（好ましくは、液拡散性及び液透過性の両方を有するもの）であれば特に制限されず、所望の吸収性能や柔軟性等に応じた任意の厚みや坪量等を採用することができる。

　中間シート５の少なくとも一部が上記機能材含有シートであってもよい。すなわち、中間シート５の少なくとも一部は、シート部材と、樹脂層と、樹脂層に含まれている機能材粒子とを備え、機能材粒子の少なくとも一部は、樹脂層の表面から外側へ突出し、樹脂層は、着色されている。機能材含有シートに含まれる機能材粒子は、消臭機能を含んでいる。これによって、経血や尿などを吸収した吸収性コアから、吸収したものの腐敗等による悪臭成分が発生しても、機能材含有シートにより、直ちに消臭の効果を得ることができる。中間シート５は表面シート２で覆われるので、樹脂層の表面から外側へ突出した機能材粒子による凹凸で使用者が違和感を覚えることを抑制できる。中間シート５における樹脂層が形成される範囲は、例えば、平面視にて中間シート５の面積の５０％以上、好ましくは８０％以上である。中間シート５に形成される樹脂層の平面視における外郭は、例えば、円形、楕円形、多角形、これらの組み合わせでもよい。樹脂層が形成される部分は、平面視にて、中間シート５の中央部分、長手方向Ｌ又は幅方向Ｗの両端部、及び全面でもよい。

＜サイドシート＞
　吸収性物品１は一対のサイドシート６を有してもよい。一対のサイドシート６は、図５に示すように、平面視にて、吸収性物品１の幅方向Ｗの両端部においてそれぞれ吸収性物品１の長手方向Ｌの前方側端縁から後方側端縁にわたって延在する、一対の帯状のシート部材によって形成されている。かかる一対のサイドシート６の各々は、吸収性物品１の厚さ方向Ｔにおいて、表面シート２の肌側の位置に配置され、図６に示すように、防漏壁１６を有する。防漏壁１６は、幅方向外方側の固定端部と、幅方向内方側の自由端部とを含む。固定端部は、幅方向外方側の端部であって、裏面シート３の肌側の表面に接合されている。自由端部は、幅方向内方側の端部であって、表面シート２などのいずれの構成部材とも接合されていない。

　防漏壁１６は、自由端部に長手方向Ｌに沿って延びる弾性部材１７としての糸ゴムを有してもよい。弾性部材１７は、吸収性物品１の着用時に当該一対の防漏壁１６を長手方向Ｌに収縮させて自由端部を起立させる。

　本発明においてサイドシート６として用い得る帯状のシート部材は、吸収性物品１のサイドシート６として用い得る諸特性（例えば、液不透過性や肌触り、柔軟性、強度等）を有するものであれば特に制限されず、例えば、後述する裏面シート３と同様の、疎水性不織布、疎水性の熱可塑性樹脂によって形成された有孔又は無孔の樹脂フィルム、及びこれらの積層体などを用いることができる。

　サイドシート６として用い得る帯状のシート部材の外形形状やサイズ、坪量、厚み等は、所定の防漏壁部を形成し得るものであれば特に制限されず、所望の液不透過性や肌触り、柔軟性、強度等に応じた任意の外形形状やサイズ、坪量、厚み等を採用することができる。

　サイドシート６の少なくとも一部が上記機能材含有シートであってもよい。すなわち、サイドシート６の少なくとも一部は、シート部材と、樹脂層と、樹脂層に含まれている機能材粒子とを備え、機能材粒子の少なくとも一部は、樹脂層の表面から外側へ突出し、樹脂層は、着色されている。サイドシート６は、弾性部材１７によって収縮した場合に凹凸が形成される。サイドシート６は、当該凹となった表面に樹脂層を有する。すなわち、上記凹となった表面が、機能材粒子が突出する面である。凹となった表面は、表面シートに対向する側の表面に限らず、表面シートに対向する側と反対側の表面を含む。それにより、機能材含有シートは収縮し凹となった表面に経血、尿、汗等が滞留した場合や、臭気が接した場合に、機能材粒子によって消臭の効果を得ることができる。防漏壁１６によって吸収された排泄物を覆うことによって、廃棄時に排泄物を覆い隠すことができるので、使用者に与える不快感を軽減することができる。サイドシート６における樹脂層が形成される範囲は、例えば、平面視にてサイドシート６の面積の５０％以上、好ましくは８０％以上である。サイドシート６に形成される樹脂層の平面視における外郭は、例えば、円形、楕円形、多角形、これらの組み合わせでもよい。樹脂層が形成される部分は、平面視にて、サイドシート６の幅方向Ｗの内側部分、中央部分、長手方向Ｌ又は幅方向Ｗの両端部、及び全面でもよい。

＜吸収体＞
　上述の吸収性物品１において、吸収体４は、図５に示すように、平面視にて、吸収性物品１の長手方向Ｌの前方側端縁近傍から長手方向Ｌの後方側端縁近傍にわたる長手方向Ｌの広範囲の領域に延在するとともに、吸収性物品１の幅方向Ｗの一方側端縁近傍から他方側端縁近傍にわたる幅方向Ｗの広範囲の領域に延在している。

　本発明において吸収体４の外形形状は、このような態様のものに限定されず、少なくとも長手方向長さが吸収性物品１の中央領域の長手方向長さ以上となる程度に長い縦長の形状のものであれば、各種用途や使用態様等に応じた任意の形状（例えば、長方形、楕円形、瓢箪形など）及びサイズのものを採用することができる。

　上述の吸収性物品１においては、吸収体４は、図６に示すように、吸収性物品１の厚さ方向Ｔにおいて表面シート２と裏面シート３との間に配置されて、表面シート２を透過してきた着用者の排泄物を吸収して保持し得る、所定の吸水性部材によって形成されている。具体的には、吸収体４は、高吸水性ポリマー（ＳＡＰ）や親水性繊維等の吸水性材料によって形成された吸収コア４ａと、当該吸収コア４ａを包む繊維シートからなるコアラップシート４ｂと、によって構成されている。

（吸収コア）
　上述の吸収性物品１において吸収コア４ａは、ＳＡＰや親水性繊維等の吸水性材料によって形成されており、親水性を有するコアラップシート４ｂで少なくとも一部、すなわち表面シート２側、裏面シート３側の少なくとも一方が覆われることにより、その形状が保持されている。

　本発明において吸収コア４ａを形成する吸水性材料は、排泄物を吸収して保持し得るものであれば特に制限されず、当分野において公知の吸水性材料を用いることができる。そのような吸水性材料としては、例えば、ＳＡＰや親水性繊維などが挙げられ、更に具体的には、アクリル酸ナトリウムコポリマー等の高吸水性ポリマー（ＳＡＰ）からなる粒状物；粉砕パルプ、コットン、レーヨン、アセテート等のセルロース系繊維；これらを任意に組み合わせた混合物などが挙げられる。

（コアラップシート）
　コアラップシート４ｂは、当分野において公知の親水性繊維シート（例えば、針葉樹晒クラフトパルプを主原料として形成された、坪量が１０．０ｇ／ｍ^２～１５．０ｇ／ｍ^２程度のティッシュ等）を用いることができる。

　コアラップシート４ｂの少なくとも一部、すなわち表面シート２側、裏面シート３側、又は表面シート２及び裏面シート３の両方が、上記機能材含有シートであってもよい。すなわち、コアラップシート４ｂは、シート部材と、樹脂層と、樹脂層に含まれている機能材粒子とを備え、機能材粒子の少なくとも一部は、樹脂層の表面から外側へ突出し、樹脂層は、着色されている。機能材含有シートに含まれる機能材粒子は、消臭機能を含んでいる。コアラップシート４ｂが、上記機能材含有シートであることにより、経血や尿などを吸収した吸収性コアから、吸収したものの腐敗等を防ぎつつ、腐敗した場合に悪臭成分が発生しても、機能材含有シートにより、直ちに消臭の効果を得ることができる。コアラップシート４ｂにおける樹脂層が形成される範囲は、例えば、平面視にてコアラップシート４ｂの面積の５０％以上、好ましくは８０％以上である。コアラップシート４ｂに形成される樹脂層の平面視における外郭は、例えば、円形、楕円形、多角形、これらの組み合わせでもよい。樹脂層が形成される部分は、平面視にて、コアラップシート４ｂの中央部分、長手方向Ｌ又は幅方向Ｗの両端部、及び全面でもよい。

　コアラップシート４ｂがこのような機能材含有シートによって構成されていると、吸収コア４ａに向かって厚さ方向Ｔに浸透する排泄物に対して、機能材粒子をより確実に接触しやすくすることができる。機能材粒子が活性炭である場合、排泄物が吸収コア４ａに到達する直前まで上述の濾過作用を発揮することができ、排泄物が吸収コア４ａに吸収された後においても、排泄物から発生する臭い成分を着実に吸着することができるという利点もある。

　本発明においては、吸収コア４ａがコアラップシート４ｂ以外の手段（例えば、接着剤等）によって或いは吸水性材料のみによって、その形状を保持し得るような場合は、このようなコアラップシート４ｂを備えていなくてもよい。

　本発明において、吸収体（すなわち、吸収コア４ａ及びコアラップシート４ｂ）４の坪量や厚み等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、所望の吸収性能や柔軟性等に応じた任意の坪量や厚み等を採用することができる。

＜裏面シート＞
　上述の吸収性物品１において、裏面シート３は、平面視にて、吸収性物品１の長手方向Ｌの前方側端縁から後方側端縁にわたって延在するとともに、吸収性物品１の幅方向Ｗの一方側端縁から他方側端縁にわたって延在しており、吸収性物品１の外形形状と同様の外形形状を有している。

　かかる裏面シート３は、図６に示すように、吸収性物品１の厚さ方向Ｔにおいて相対的に非肌側の位置に配置され、着用時に吸収性物品１の非肌側の表面を形成するとともに、着用者から排出される排泄物の透過を防止して、排泄物が吸収性物品１の外部へ漏れ出ないように機能する、液不透過性のシート部材によって形成されている。

　本発明において裏面シート３の外形形状は、このような態様のものに限定されず、少なくとも吸収体４の非肌側の表面全体を覆うことができるものであれば、各種用途や使用態様等に応じた任意の形状及びサイズのものを採用することができる。

　本発明において裏面シート３として用い得る液不透過性のシート部材は、吸収性物品１の裏面シート３として用い得る諸特性（例えば、液不透過性（防漏性）や強度等）を有するものであれば特に制限されず、例えば、疎水性の熱可塑性樹脂繊維（例えば、ポリオレフィン系樹脂繊維、ポリエステル系樹脂繊維、芯鞘型複合繊維等の各種複合繊維など）によって形成された疎水性不織布；ＰＥやＰＰ等の疎水性の熱可塑性樹脂によって形成された有孔又は無孔の樹脂フィルム；該樹脂フィルムに不織布を貼り合わせた積層体；ＳＭＳ不織布等の積層不織布などの公知の液不透過性のシート部材を採用することができる。

　裏面シート３として不織布を用いる場合、その構成繊維の種類は特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂繊維；ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂繊維；芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維等の複合繊維などの任意の疎水性繊維を用いることができ、これらの繊維は単独で用いても、二種類以上の繊維を併用してもよい。

　裏面シート３として用い得るシート部材の構造も特に制限されず、全体的に平坦なシート状構造を有していても、長手方向Ｌ又は幅方向Ｗに延びる複数の凸条部及び凹溝部を備えた凹凸構造（例えば、断面形状が波形となる凹凸構造等）を有していてもよい。

　裏面シート３の非肌側の表面には、吸収性物品１を着用者の下着等の着衣の内面に粘着固定するための粘着部が配置されていてもよい。裏面シート３の厚みや坪量等は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、所望の液不透過性や強度、通気性等に応じた任意の厚みや坪量等を採用することができる。

＜補強シート＞
　吸収性物品１は、一対の補強シート７を有してもよい。一以の補強シート７は、図６に示すように、吸収体４の幅方向Ｗの外側であって、裏面シート３とサイドシート６との間にそれぞれ配置される。一対の補強シート７は、図７に示すように、平面視にて、吸収性物品１の幅方向Ｗの両端部においてそれぞれ吸収性物品１の長手方向Ｌの前方側端縁から後方側端縁にわたって延在する本体部７ｃと、本体部７ｃから幅方向Ｗの外側へ延出するウィング部７ａとを有する。補強シート７は、ウィング部７ａよりも長手方向Ｌの腹側及び背側に、本体部７ｃから幅方向Ｗの外側へ延出する部分を更に有してもよい。補強シート７として用い得るシート部材は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、例えば、裏面シート３と同様のシート部材でもよい。

　補強シート７の少なくとも一部が、上記機能材含有シートであってもよい。すなわち、補強シート７の少なくとも一部は、シート部材と、樹脂層と、樹脂層に含まれている機能材粒子とを備え、機能材粒子の少なくとも一部は、樹脂層の表面から外側へ突出し、樹脂層は、着色されている。機能材含有シートに含まれる機能材粒子は、消臭機能を含んでいる。補強シート７における樹脂層が形成される範囲は、例えば、平面視にて補強シート７の面積の５０％以上、好ましくは８０％以上である。補強シート７に形成される樹脂層の平面視における外郭は、例えば、円形、楕円形、多角形、これらの組み合わせでもよい。樹脂層が形成される部分は、平面視にて、補強シート７の中央部分、長手方向Ｌ又は幅方向Ｗの両端部、及び全面でもよい。この場合、補強シート７のウィング部７ａが上記機能材含有シートでもよい。機能材含有シートであるウィング部７ａが、使用者の体の一部と触れて、汗や皮脂等の付着した場合において、汗や皮脂等の腐敗等よる悪臭成分が発生しても、機能材含有シートにより、直ちに消臭の効果を得ることができる。補強シート７の本体部７ｃが上記機能材含有シートでもよい。本体部７ｃが機能材含有シートであることによって、吸収体を透過した排泄物の腐敗等を防ぎつつ、腐敗した場合に悪臭成分が発生しても、機能材含有シートにより、直ちに消臭の効果を得ることができる。長手方向Ｌの腹側及び背側に本体部７ｃから幅方向Ｗの外側へ延出する部分が、上記機能材含有シートでもよい。当該部分が機能材含有シートであることによって、ウィング部７ａが機能材含有シートである場合と同様の効果が得られる。補強シート７の略全面が上記機能材含有シートであってもよい。機能材含有シートが補強シートの略全面に配置されることによって、機能材含有シートの使用者に機能材粒子の色を知覚させる効果、機能材粒子の消臭の効果、及び着用者から排泄された排泄物の色を隠す効果をより確実に得ることができる。

　補強シート７の厚みや坪量等は、所定の液透過性を有するもの（好ましくは、液拡散性及び液透過性の両方を有するもの）であれば特に制限されず、所望の吸収性能や柔軟性等に応じた任意の厚みや坪量等を採用することができる。

［吸収性物品の製造方法］
　吸収性物品１は、一部のシート部材を機能材含有シートに置き換える以外は、従来の吸収性物品と同様の製造方法によって得ることができる。本実施形態に係る吸収性物品１を製造する方法では、機能材含有シートを、表面シート２、裏面シート３、及び吸収体４の少なくとも一つと、エンボス又はヒートシールで接合してもよい。それにより、吸収性物品では、機能材含有シートの機能材粒子は、厚さ方向に第１の圧搾部、第２の圧搾部、及びヒートシール部の少なくとも一方と重なることになる。エンボス又はヒートシールにより、資材を厚さ方向に潰す、又は、資材を構成する繊維の繊維間距離を広げることができるので、機能材粒子を露出させることができる。それゆえ、機能材粒子の機能を発揮し易くすることができる。吸収性物品を製造する方法では、機能材含有シートを含む吸収性物品を平プレスで厚さ方向へプレスしてもよい。機能材含有シートを含む吸収性物品を平プレスで厚さ方向へプレスすることによって、機能材粒子を部材シートにより確実に定着させることができる。

［変形例］
　本発明の吸収性物品は、上述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨の範囲を逸脱しない限り、適宜他の構成を付加することや一部の構成を削除することや一部の構成を他の構成に置換すること等が可能である。

　例えば、図８に示す吸収性物品１ａは、第１の圧搾部１２及び一対の第２の圧搾部１３、１４を有する。一対の第２の圧搾部１３、１４は、長手方向Ｌに互いに離間しつつ、第１の圧搾部１２外を吸収性物品１の幅方向Ｗにそれぞれ拡がっている。吸収性物品１ａは、ウィング部９に加え、長手方向Ｌの背側に、幅方向Ｗの両側から外側へ延出する一対のフラップ部８を、更に有してもよい。さらに吸収性物品１ａは、長手方向Ｌの腹側及び背側に、ウィング部９及びフラップ部８の他に、吸収体４の幅方向Ｗの両側から外側へ延出する部分を有してもよい。図９に示すように、裏面シート３とサイドシート６との間に一対の補強シート７を有してもよい。一対の補強シート７は、ウィング部７ａ及びフラップ部７ｂを有してもよい。一対の補強シート７は、図９に示すように、平面視にて、吸収性物品１の幅方向Ｗの両端部においてそれぞれ吸収性物品１の長手方向Ｌの前方側端縁から後方側端縁にわたって延在する本体部７ｃと、本体部７ｃから幅方向Ｗの外側へ延出するウィング部７ａと、ウィング部７ａより長手方向Ｌの背側に本体部７ｃから幅方向Ｗの外側へ延出するフラップ部７ｂとを有する。補強シート７は、長手方向Ｌの腹側及び背側に、ウィング部７ａ及びフラップ部７ｂの他に、吸収体４の幅方向Ｗの両側から外側へ延出する部分を更に有してもよい。補強シート７の少なくとも一部が、上記機能材含有シートであってもよい。すなわち、補強シート７は、シート部材と、樹脂層と、樹脂層に含まれている機能材粒子とを備え、機能材粒子の少なくとも一部は、樹脂層の表面から外側へ突出し、樹脂層は、着色されている。この場合、補強シート７のウィング部７ａ及びフラップ部７ｂの少なくとも一方が上記機能材含有シートでもよい。ウィング部７ａやフラップ部７ｂは、使用者の体の一部と触れて、汗や皮脂等が付着することがあり得る。汗や皮脂等の腐敗等よる悪臭成分が発生しても、ウィング部７ａやフラップ部７ｂの機能材含有シートにより、直ちに消臭の効果を得ることができる。長手方向Ｌの腹側及び背側において、ウィング部７ａ及びフラップ部７ｂの他に、吸収体４の幅方向Ｗの両側から外側へ延出する部分が、上記機能材含有シートでもよい。当該部分が機能材含有シートであることによって、ウィング部７ａ及びフラップ部７ｂの少なくとも一方が機能材含有シートである場合と同様の効果が得られる。補強シート７の略全面が上記機能材含有シートであってもよい。機能材含有シートが補強シートの略全面に配置されることによって、機能材含有シートの使用者に機能材粒子の色を知覚させる効果、機能材粒子の消臭の効果、及び着用者から排泄された排泄物の色を隠す効果をより確実に得ることができる。

　吸収性物品は、少なくとも二箇所に機能材含有シートを有してもよく、当該二箇所の機能材含有シートにおける機能材粒子の樹脂層に対する含有率が異なっていてもよい。それにより、吸収性物品の部分において生じ得る悪臭成分の量（及び種類）に応じて、機能材粒子の含有率を変えることにより、機能材粒子の消臭の効果を最大化することができる。

　機能材含有シートは、平面視にて、吸収性物品の略全面に配置されてもよい。この場合、機能材粒子を含む樹脂層が吸収性物品の略全面に配置される。機能材含有シートが、平面視にて、吸収性物品の略全面に配置されることによって、機能材含有シートの使用者に機能材粒子の色を知覚させる効果、機能材粒子の消臭の効果、及び着用者から排泄された排泄物の色を隠す効果をより確実に得ることができる。

　弾性部材は、長手方向Ｌに沿って延びる場合について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、吸収性物品としてパンツ型おむつに適用した場合、パンツ型おむつの胴回り、すなわち幅方向Ｗに沿って延びるように弾性部材が設けられる。この場合に、例えば、表面シートに上記機能材含有シートを適用し得る。表面シートは、弾性部材によって収縮した場合に凹凸が形成される。表面シートは、当該凹となった表面に樹脂層を有することによって、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。凹となった表面は、肌側の表面に限らず、非肌側の表面を含む。

　１、１ａ　吸収性物品
　２　表面シート
　３　裏面シート
　４　吸収体
　４ａ　吸収コア
　４ｂ　コアラップシート
　７　補強シート
　７ａ　ウィング部
　７ｃ　本体部
　８　フラップ部
　９　ウィング部
　１２　第１の圧搾部
　１３　第２の圧搾部
　１７　弾性部材
　１００　機能材含有シート
　１０１　シート部材
　１０２　樹脂層
　１０３　機能材粒子
　Ｌ　長手方向
　Ｗ　幅方向

Claims (16)

1. 　シート部材と、
   　前記シート部材の表面の所定領域に形成された樹脂層と、
   　前記樹脂層に含まれている機能材粒子と、
   　を具備し、
   　前記機能材粒子の少なくとも一部は、前記樹脂層の表面から外側へ突出し、
   　前記樹脂層は、着色されている、
   　機能材含有シート。
2. 　前記機能材粒子の平均粒径は、前記樹脂層の膜厚より大きい、
   　請求項１に記載の機能材含有シート。
3. 　前記樹脂層における前記機能材粒子の含有率が０質量％よりも多く、１５質量％以下である、
   　請求項１又は２に記載の機能材含有シート。
4. 　前記シート部材は不織布で構成され、
   　前記機能材粒子の平均粒径は、前記不織布を構成する繊維の平均繊維径よりも小さい、
   　請求項１乃至３のいずれか一項に記載の機能材含有シート。
5. 　前記シート部材はフィルムからなり、
   　前記機能材粒子の平均粒径は、０μｍより大きく、前記フィルムの厚み以下である、
   　請求項１乃至３のいずれか一項に記載の機能材含有シート。
6. 　前記樹脂層は、前記機能材粒子と同色系の顔料を含んでおり、
   　前記顔料の平均粒径は、前記機能材粒子の平均粒径よりも小さい、
   　請求項１乃至５のいずれか一項に記載の機能材含有シート。
7. 　互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を備え、
   　表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体と、を備える吸収性物品であって、
   　少なくとも一枚の、請求項１乃至６のいずれか一項に記載の機能材含有シートを含む、
   　吸収性物品。
8. 　前記吸収体は、吸収性コアと、前記吸収性コアを覆うコアラップと、を含み、
   　前記機能材粒子は、消臭機能を有し、
   　前記機能材含有シートは、前記表面シートと前記吸収性コアとの間に配置されている、
   　請求項７に記載の吸収性物品。
9. 　前記コアラップの少なくとも一部は、前記機能材含有シートである、請求項８に記載の吸収性物品。
10. 　前記表面シートは、前記機能材含有シートであり、
    　前記機能材粒子は、消臭機能を有し、
    　前記機能材粒子が突出する面が、前記吸収体側に向いている、
    　請求項７乃至９のいずれか一項に記載の吸収性物品。
11. 　前記機能材含有シートに設けられた前記長手方向又は前記幅方向に延びる弾性部材を、更に含み、
    　前記弾性部材によって収縮した前記機能材含有シートの凹となる表面が、前記機能材粒子が突出する面である、
    　請求項７乃至１０のいずれか一項に記載の吸収性物品。
12. 　前記吸収性物品は、
    　　前記長手方向の中央において前記幅方向の両側に延出する一対のウィング部、及び、前記長手方向の背側の端部において前記幅方向の両側に延出する一対のフラップ部の少なくとも一方を備え、
    　前記機能材粒子は、消臭機能を有し、
    　前記機能材含有シートは、前記一対のウィング部及び前記一対のフラップ部の少なくとも一方に配置されている、
    　請求項７乃至１１のいずれか一項に記載の吸収性物品。
13. 　前記吸収性物品は、少なくとも二箇所に前記機能材含有シートを有し、
    　前記少なくとも二箇所の前記機能材含有シートにおける前記機能材粒子の前記樹脂層に対する含有率は互いに異なる、
    　請求項８乃至１２のいずれか一項に記載の吸収性物品。
14. 　前記吸収性物品は、圧搾部及びヒートシール部の少なくとも一方を有し、
    　前記機能材含有シートの前記機能材粒子は、前記厚さ方向に前記圧搾部及び前記ヒートシール部の少なくとも一方と重なる、
    　請求項７乃至１３のいずれか一項に記載の吸収性物品。
15. 　シート部材の表面に、機能材粒子を含む塗布液の印刷を行い、前記機能材粒子を含む樹脂層を備える機能材含有シートを製造する方法であって、
    　前記印刷のための版の凹部の深さは、前記機能材粒子の平均粒径よりも大きい、方法。
16. 　表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に位置する吸収体と、を備える吸収性物品を製造する方法であって、
    　請求項１乃至６のいずれか一項に記載の機能材含有シートを、前記表面シート、前記裏面シート、及び前記吸収体の少なくとも一つと、エンボス又はヒートシールで接合する工程を備える、方法。

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