JP2010154794A - 作物引抜収穫機 - Google Patents

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Abstract

【課題】引抜搬送装置の搬送帯が外れることを防止して、作業能率を向上させる作物引抜収穫機の提供である。
【解決手段】作物の茎葉掻込装置1と、従動プーリ18、駆動プーリ19、左右一対の第一搬送無端帯2a,2bからなる第一伝動機構(18,19,2a,2b)を備え、掻込装置1から茎葉を挟持し搬送して作物を引き抜き、一定以上の挟持力により第一搬送無端帯2a,2bが左右に移動する引抜搬送装置2と、引抜搬送装置2で搬送中の茎葉の切断装置Kと、切断後の茎葉を挟持し、引抜搬送装置2から引き継ぎ左右一側に排出する茎葉搬送装置5と、これらの装置の駆動力供給用エンジン15とを設けた作物引抜収穫機であって、引抜搬送装置2に駆動プーリ19から従動プーリ18に動力を伝達する第二伝動機構(40,41,42)を設ける。従動プーリ18に伝動される駆動力が大きくなるため第一搬送無端帯2a,2bが外れることを防止できる。
【選択図】図4

Description

圃場に植生している生姜等の農作物を引上げて茎葉部分を切断して処理する作物引抜収穫機に関する。
この種の作物引抜収穫機は、歩行操縦用のハンドルを走行車体の後部に設け、駆動回転する車輪によって前進走行する前記走行車体上に、圃場に植生している作物の茎葉部分を集めて掻き込む掻込装置と、掻込装置から受け継いだ作物を左右から挟持して搬送する過程で上方に引上げる引抜搬送装置が設けられ、該引抜搬送装置の下方位置に挟持搬送中の茎葉部分を切断する第一切断装置が設けられ、前記引抜搬送装置で搬送されてきた茎葉部の葉先側部分を受け継いで走行車体の側方へ搬送する茎葉搬送装置が設けられ、該茎葉搬送装置で挟持搬送されてきた葉先部分を、搬送の終端位置で再度切断する第二切断装置が設けられている。
作物引抜収穫機は、引抜搬送装置を構成している左右の搬送ベルトを内側から支持する複数のローラが支持部材に軸装されて定位置で回転する構成となっている。そして、該引抜搬送装置は、左右一対の搬送ベルトに対して内側から弾性的に張圧力を働かせながら茎葉の挟持力を柔軟に自動調整する機構がないために、一度に多量の作物が供給されると弾力的に柔軟な対応ができず、茎葉が詰まったり、装置側が破損したりする等の問題があった。
また、従来型の引抜搬送装置は一対の搬送ベルトの間、又は周辺のローラやプーリ等に搬送途中の茎葉が絡み付き、詰まった状態で停止すると、左右の搬送ベルトの挟持状態を開放する機構がないために、装置全体を分解しなければ障害物を取り除けないことがあり、メンテナンス性が悪いという問題もあった。
更に、従来型の挟持搬送ベルトは、搬送中の茎葉がプーリ等に巻き込まれるなどしてベルトが外れて下方に脱落し、第一切断装置に接触して切断されてしまうという課題があった。さらに、第一切断装置は、円盤カッターが引抜搬送装置の搬送ベルトと下方のフレームとの間に軸架されており、特段の分解手段も設けられていないから、取り外しが困難でメンテナンス性が悪いという課題があった。
そこで、下記特許文献1には、引上げ搬送装置(引抜搬送装置のことである)を構成する左右一方の搬送体を左右他方の搬送体に隣接させた状態と離間させた状態とに切り替え自在に設けると共に、左右他方の機体の左右方向に移動自在な搬送体を機体外側から押圧する押圧力自在な弾性部材を設けた構成が開示されている。
特開2008−79560号公報
特許文献1に開示されている構成によって、引上げ搬送装置を構成する左右一方の搬送体を左右他方の搬送体に隣接させた状態と離間させた状態とに切換自在に設けていることから、茎葉が挟持搬送中に引抜搬送装置に詰まっても、左右一方の搬送体を左右他方の搬送体から離間させることで詰まった茎葉を取り除くことができるので、メンテナンス性が向上する。
また、左右他方の機体左右方向に移動自在な搬送体が押圧力調節自在な弾性部材に機体外側から押圧されていることによって、引上げ搬送装置に多くの茎葉が引き込まれるなどして大きな過重がかかっても、弾性部材が機体外側に向けて収縮して搬送体を機体外側方向に退避させることができるので、過重により引上げ搬送装置が変形・破損してしまうことが防止される。
しかし、上記特許文献1記載の構成では、引上げ搬送装置(引抜搬送装置)、排出搬送装置(茎葉搬送装置のことである)、誘導案内装置(掻込装置のことである)は全て駆動プーリから駆動力を受けて作動するが、掻込装置は引抜搬送装置の従動プーリ(遊動プーリとも言う)の軸から駆動力を受ける構成であるため、茎葉の量や硬さによっては掻き込みが上手く行われないことや、茎葉が絡みついて停止してしまうという欠点がある。
また、引抜搬送装置の従動プーリは左右一対の搬送ベルトの回転によって回っているため、搬送始端側に茎葉を挟持する挟持力がかかった際に、搬送ベルトを張圧することがほぼできないので、搬送ベルトが撓んで外れてしまうことがあり、場合によっては切断装置によって搬送ベルトが切断されてしまうことも考えられる。
そして、左右の搬送ベルトを内側から張圧するテンションローラの張圧力は、引抜搬送装置に大きな負荷がかかり、搬送ベルトが機体外側に移動すると張圧力が弱まってしまうので、この時に搬送ベルトが撓んで外れてしまうこともある。
さらに、引抜搬送装置の非搬送作用域Nで搬送ベルトを押圧しているテンションローラも、引抜搬送装置が機体外側に動く動作に連動して動いてしまい、搬送ベルトへの張圧力を弱めてしまって、搬送ベルトが撓んで外れてしまうことがある。
そこで、本発明の課題は、引抜搬送装置の搬送ベルト等の搬送帯が外れることを防止して、搬送作業性を高め、作業能率を向上させる作物引抜収穫機の提供である。
本発明は、上記の課題を解決するために次の技術的手段を講じた。
請求項1記載の発明は、左右一対の走行装置(13,14)と、該走行装置(13,14)上に設けられた車体フレーム(4a)と、前記走行装置(13,14)の前部に設けた圃場に植生する作物の茎葉を掻き込む掻込装置(1)と、該掻込装置(1)の後方で且つ前記車体フレーム(4a)上に、機体前部の左右一対の従動回転体(18,18)と後部の左右一対の駆動回転体(19,19)と該左右一対の従動回転体(18,18)及び左右一対の駆動回転体(19,19)にそれぞれ左右一対の第一搬送無端帯(2a,2b)を巻回して構成する第一伝動機構(18,19,2a,2b)を備え、該左右一対の第一搬送無端帯(2a,2b)により前記掻込装置(1)から掻き込まれた茎葉を挟持し後方に搬送して作物を引き抜き、一定以上の挟持力がかかると前記第一搬送無端帯(2a,2b)が前記走行装置(13,14)の前進方向に向かって左右方向に移動する構成の引抜搬送装置(2)と、該引抜搬送装置(2)の下部に設ける搬送中の作物の茎葉部分を切断する切断装置(K)と、該切断装置(K)で切断された茎葉を前記引抜搬送装置(2)の搬送終端部から引き継ぎ挟持して前記走行装置(13,14)の前進方向の左右一側に排出する茎葉搬送装置(5)と、前記走行装置(13,14)、掻込装置(1)、引抜搬送装置(2)、切断装置(K)及び茎葉搬送装置(5)に駆動力を供給する駆動源(15)とを設けた作物引抜収穫機において、前記引抜搬送装置(2)に前記第一伝動機構(18,19,2a,2b)と前記駆動回転体(19)から従動回転体(18)に動力を伝達する第二伝動機構(40,41,42)を設けた作物引抜収穫機である。
請求項2記載の発明は、前記引抜搬送装置(2)の少なくとも左右一側の駆動回転体(19)の回転軸(19a)の上部に伝動回転体(50)を設け、更に前記引抜搬送装置(2)の左右の第一搬送無端帯(2a,2b)間の搬送作用域Sで、該左右の第一搬送無端帯(2a,2b)を左右方向の内側に押圧する複数の第一押圧回転体(7,8)を前記伝動回転体(50)と同じ側に設けると共に、該複数の第一押圧回転体(7,8)の各回転軸(7a,8a)の上部にそれぞれ受動回転体(51)を複数設け、前記伝動回転体(50)と複数の受動回転体(51)に第二搬送無端帯(52)を巻回した請求項1記載の作物引抜収穫機である。
請求項3記載の発明は、前記引抜搬送装置(2)の左右の第一搬送無端帯(2a,2b)の左右外側の非搬送作用域Nに少なくとも左右一方の第一搬送無端帯(2a,2b)を左右方向の外側から内側に押圧する第二押圧回転体(53)を設け、更に、前記車体フレーム(4a)上に基部が連結し、端部が第二押圧回転体(53)の回転軸(53a)に連結して長さ調節が可能なロッド部材(57)を設け、該ロッド部材(57)の長さを調節することで第二押圧回転体(53)により第一搬送無端帯(2a,2b)を左右方向の外側から内側に押圧する構成とした請求項1又は2記載の作物引抜収穫機である。
請求項4記載の発明は、前記従動回転体(18,18)と駆動回転体(19,19)の第一搬送無端帯(2a,2b)との接触面にそれぞれ複数の孔(18b,19b)を設け、該複数の孔(18b,19b)に対応する個数の着脱可能な突起部材(65)を取り付けた請求項1から3のいずれか1項に記載の作物引抜収穫機である。
請求項1記載の発明によれば、引抜搬送装置(2)には、従動回転体(18)と駆動回転体(19)と第一搬送無端帯(2a,2b)などからなる第一伝動機構(18,19,2a,2b)の他に、更に駆動回転体(19)から従動回転体(18)に動力を伝達する第二伝動機構(40,41,42)を設けたことによって、従動回転体(18)に伝動される駆動力が大きくなるため第一搬送無端帯(2a,2b)の張力を駆動側、従動側でほぼ同じにすることができる。従来の構成では従動回転体(18)は第一搬送無端帯(2a,2b)が駆動回転体(19)の回転によって移動することによって回転するだけであるが、請求項1記載の発明によれば第二伝動機構(40,41,42)から動力を供給されることにより、大きな駆動力で回転する。
したがって、作物の茎葉を挟持した際に第一搬送無端帯(2a,2b)が撓んで駆動回転体(19)や従動回転体(18)から外れることが防止され、第一搬送無端帯(2a,2b)を巻き掛け直す作業が省略されて作業能率が向上する。そして引抜搬送装置(2)の駆動力が大きくなることで、確実に作物を圃場から引き抜いて後方へ搬送することができるため、作業能率が向上する
また、第一伝動機構(18,19,2a,2b)の他に、第二伝動機構(40,41,42)によっても従動回転体(18)が駆動力を受けて回転することによって、例えば引抜搬送装置(2)の従動回転体(18)の軸から駆動力を受ける構成の掻込装置(1)の場合は、掻込装置(1)に伝動される力が大きくなるため、作物の茎葉を確実に掻込装置(1)から引抜搬送装置(2)の搬送始端部に案内することができるので、作物を確実に圃場から引き抜けることで作業能率が向上する。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明に加えて、引抜搬送装置(2)の少なくとも左右一方の駆動回転体(19)の上部に取り付けた伝動回転体(50)と、第一搬送無端帯(2a,2b)を内側から押圧する第一押圧回転体(7,8)の上部に取り付けた受動回転体(51)とに第二搬送無端帯(52)を巻き掛けることによって、押圧回転体(51)は駆動力により回転しながら第一搬送無端帯(2a,2b)を押圧するため、引抜搬送装置(2)の挟持力が強くなるので、作物を確実に圃場から引き抜くことができ、作業能率が向上する。
また、作物の茎葉を挟持する部分の挟持力を強めることによって、作物の茎葉を挟持した際に第一搬送無端帯(2a,2b)が撓むことが防止されるので、第一搬送無端帯(2a,2b)が駆動回転体(19)や従動回転体(18)から外れることが防止され、第一搬送無端帯(2a,2b)を巻き掛け直す作業が省略されて作業能率が向上する。
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明に加えて、引抜搬送装置(2)の非搬送作用域Nで第一搬送無端帯(2a,2b)を左右方向の外側から押圧する第二押圧回転体(53)と引抜搬送装置(2)が設けられたフレーム(4a)との間に長さ調節可能なロッド部材(57)を設け、第二押圧回転体(53)をロッド部材(57)で機体内側に引っ張る構成としたことによって、引抜搬送装置(2)に一定以上の挟持力がかかって第一搬送無端帯(2a,2b)が機体外側に移動しても、ロッド部材(57)によって第二押圧回転体(53)が設定距離以上に移動することを防止して第一搬送無端帯(2a,2b)にかかる押圧力を保つので、第一搬送無端帯(2a,2b)が駆動回転体(19)や従動回転体(18)から外れることが防止され、第一搬送無端帯(2a,2b)を巻き掛け直す作業が省略されて作業能率が向上する。
請求項4記載の発明によれば、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明に加え、引抜搬送装置(2)の駆動回転体(19)と従動回転体(18)の第一搬送無端帯(2a,2b)と接触する面に孔(18b,19b)を設け、この孔(18b,19b)に着脱可能な突起部材(65)を取り付けることによって、突起部材(65)が第一搬送無端帯(2a,2b)に接触して水気や土砂等の夾雑物による滑りを防止することができるので、第一搬送無端帯(2a,2b)が駆動回転体(19)や従動回転体(18)から外れることが防止され、第一搬送無端帯を巻き掛け直す作業が省略されて作業能率が向上する。
また、突起部材(65)が駆動回転体(19)や従動回転体(18)から着脱可能であることによって、条件に合わせて突起部材(65)の数や配置を変更することができるので、様々な作業条件に対応することができ、作業能率が向上する。
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1には本発明の実施の形態の作物引抜収穫機の全体平面図を示し、図2には図1の作物引抜収穫機の全体側面図を示す。また、図3には、図1の作物引抜収穫機の引抜搬送装置の要部拡大平面図を示し、図4には図3の引抜搬送装置の側断面図を示している。なお、図1及び図2では分かりやすいように図3及び図4に示す構成を一部省略している。
また、本明細書では特に断りがない限り、作物引抜収穫機の前進方向を前方向、後退方向を後方向、前進方向に向かって左、右をそれぞれ左、右方向といい、左右方向を幅方向ともいう。
車体4は、前後方向に配置された左右両側の車体フレーム4aからなり、左右一対の前輪13,13と後輪14,14とが軸架して設けられており、これらの図では、前輪13,13を遊動輪とし、後輪14,14を駆動輪としている。また、駆動源としてのエンジン15が、後部ハンドル16,16の間で下側に支持台を設けて搭載され、該エンジン15からの駆動力はエンジン15の前側に配置したミッション装置17に入力されて、更に、前記左右の後輪14,14に走行動力が分配伝動される。
そして、左右の後輪14,14は、ミッション装置17に設けられたサイドクラッチによって旋回等の操向操作ができる構成である。
図1及び図2に示すように、引抜搬送装置2は、車体フレーム4a間において、前部の従動回転軸18a,18aに軸架された左右の従動プーリ(従動回転体)18,18と後部の駆動回転軸19a,19aに軸架された左右の駆動プーリ(駆動回転体)19,19との間に、左右一対の第一搬送無端帯(ベルト、チェーンなど)2a,2bを巻回して構成している。この従動回転軸18a,従動プーリ18,駆動回転軸19a,駆動プーリ19,第一搬送無端帯2a,2bなどからなる引抜搬送装置2の動力伝達機構を第一伝動機構(18a,18,19a,19,2a,2b)という。なお、駆動プーリ19,19は、前記ミッション装置17から前側に出力される回転動力によって、主伝動機構20を介して駆動される。
そして、掻込装置1は引抜搬送装置2の前側に接続するが、左右一対の誘導ベルト1a,1aの後部を、前記従動プーリ18,18と同軸で上側に伸ばして軸架したプーリ21,21に巻き掛け、前部を左右両側に広げて配置し、広幅畝に植生した作物を前記引抜搬送装置2の搬送始端部に集めながら作物の茎葉を掻き込み誘導する。
引抜搬送装置2は、前側の掻込装置1から受け継いだ圃場に植生する作物を、挟持状態で後方に搬送しながらその過程で上方に引上げ作用ができるように、図2に示すように側面視で後部側を高くした傾斜姿勢に配置している。
そして、前記引抜搬送装置2の左右一方の搬送体2R(図3の例では右側)の無端帯2aは、上側の支持板9に一列状に配列して軸架した複数の定位置案内ローラ(押圧回転体)7群により内側から押圧状態で後方に案内される。そして、前記支持板9は、平面視で略L型に形成し、そのコーナー部分を、後部の前記駆動プーリ19の駆動回転軸19a上に支持部を設けて取り付けた構成である。そして、L型の支持板9は、前記支持部を回動支点Pとし、車体4の外側に延長した部位を固定腕9aとして車体フレーム4aに装着したロック装置23に係合してロックレバー24により解除自在にロックされ、右側の搬送体2Rの無端帯2aの位置が固定される。
上記の構成によって、支持板9は、図3に示す位置では複数の定位置案内ローラ7群を軸受支持した状態で、前記無端帯2aを内側から案内し、前記ロックレバー24を外側に回動操作すると、ロック装置23を外に回して固定腕9aをロック解除して開放し、前記回動支点Pを軸芯にして車体4の外側方向に回動できる構成にしている。
そして、図3に示すように、前記引抜搬送装置2の左右他方の搬送体2L(図3の例では左側)の無端帯2bは、機体左右方向に揺動自在な揺動支持板25に軸架されている複数の自動テンションローラ(押圧回転体)8群によって、内側から張圧状態で後方に案内される。この場合、揺動支持板25は、図3に示すように、左側の車体フレーム4aに設けた取付板27に配置した複数の案内ピン28にそれぞれ調節長孔29を係合して無端帯2bに対して、長孔の範囲内において進退可能に(左右方向に)移動できる構成である。そして、前記揺動支持板25は、前部外側から張圧力を調節可能にしたテンションスプリング26を設けて無端帯2b側に張圧する構成としている。
このように、引抜搬送装置2は、一方の無端帯2aを内側から案内する定位置案内ローラ7群を支持板9によって機体左右方向外側に開放可能な構成にし、他方の無端帯2bを、揺動支持板25とテンションスプリング26とによって自動テンション機構とした自動テンションローラ8群で、内側から張圧状態に案内できる構成にしている。なお、これら定位置案内ローラ7と自動テンションローラ8を第一押圧回転体(7,8)とする。
上記構成により、引抜搬送装置2の左右一方の搬送体2Rは、仮に挟持搬送中に茎葉が詰まったり、周囲のプーリやローラに絡み付いたときには、ロック装置23を解除して固定腕9aを自由にすると良い。ロック装置23を解除することで、支持板9は、回動支点Pを軸芯にして定位置案内ローラ7群と共に外側に回動するため、無端帯2aを挟持状態から開放して詰まった茎葉の取り除きが容易にできるので、メンテナンス性が向上する。
そして、この引抜搬送装置2の左右他方の搬送体2Lは、前部の誘導ベルト1a,1aから受け継いだ生姜等の作物を挟持して搬送するとき、茎葉の量が変動しても、上述した複数の自動テンションローラ8群がテンションスプリング26の作用によって、揺動支持板25と共に弾性作動して第一搬送無端帯2a,2b間の挟持力を自動調整することができる。
したがって、引抜搬送装置2は茎葉の供給量が少なくても脱落させることなく、多くても装置側に無理な力を及ぼさずに、適確に挟持しながら後方へ搬送することができる。
そして、自動テンションローラ8は、予めテンションスプリング26の張圧力をナット等で調節できるから、圃場における作物の出来具合等に応じて、茎葉量が多い場合には緩めに調節して作業にかかれば、供給される茎葉量に対して、更に対応範囲を広くしながら収穫作業ができる。
上記構成により、左右一方の搬送体2Rの複数の定位置案内ローラ7と左右他方の搬送体2Lの複数の自動テンションローラ8によって第一搬送無端帯2a,2b間の搬送作用域Sで該第一搬送無端帯2a,2bは機体左右方向の内側に押圧されており、第一搬送無端帯2a,2b間に一定以上の挟持力がかかると、左右他方の搬送体2Lの自動テンション機構側の無端帯2bが左右方向外側に適度に移動して作物の茎葉を挟持しながら後方へ搬送する。
図5(a)には、第一切断装置Kの側面図を示し、図5(b)には、第一切断装置Kの平面図を示す。また、図6には、引抜搬送装置2の規制板10の正面断面図を示す。
引抜搬送装置2の下方かつ引抜搬送装置2の後部側に、挟持搬送中の作物の茎葉部分を切断する左右一対の第一切断装置Kを取り付ける。そして、該第一切断装置Kの分割刃3a,3bを伝動軸31に軸架し、前記主伝動機構20を経由してチェーン33から伝動されるスプロケット32により伝動軸31を回転させることで、分割刃3a,3bが回転する。この場合、第一切断装置Kは、図2に示すように、そのすぐ下側には前記伝動軸31に装着したスプロケット32が配置され、少し外側下方には車体フレーム4aが位置している。そして、前記第一切断装置Kは、図5に示すように、二つの分割刃3a,3bを回転取付板30にねじで着脱自由に組み合わせて取り付け、円盤切刃に構成している。
このように、分割刃3a,3bを組み合わせた第一切断装置Kは、比較的簡単に分解、組み立てが可能であるから、引抜搬送装置2を取り外さなくても、引抜搬送装置2と車体フレーム4aとの間でも比較的簡単に取り付け、取り外しができるので、メンテナンス性が向上する。
規制板10は、図6に示すように、左右一対からなり、前記引抜搬送装置2の左右の第一搬送無端帯2a,2bを案内している各ローラ(定位置案内ローラ7と自動テンションローラ8)の下側に着脱自在に支持して設けている。そして、規制板10は、茎葉の通路を挟んで両側に配置し、第一搬送無端帯2a,2bの下側で終端部分が第一切断装置Kの刃縁に沿うように、分割刃3a,3bのすぐ上側に配置している。更に、左右の規制板10は、左右の間隔と前後位置とが調節可能である。
したがって、規制板10は、前記引抜搬送装置2に挟持され搬送されていた茎葉が、従動プーリ18や駆動プーリ19に巻き込まれて、第一搬送無端帯2a,2bが従動プーリ18や駆動プーリ19から外れて下方に脱落することがあっても、下側の規制板10の一方、又は双方で受け止め、その下側で回っている第一切断装置Kに第一搬送無端帯2a,2bが接触することを防止できる。このように、規制板10は上側の第一搬送無端帯2a,2bを下側の第一切断装置Kから保護することができ、左右の第一搬送無端帯2a,2bの交換に要する作業者の労力が軽減されると共に、第一搬送無端帯2a,2bの節約にもなる。
次に、茎葉搬送装置5は、図1及び図2に示すように、前記引抜搬送装置2より高い位置において、搬送始端部をその引抜搬送装置2の終端部に臨ませ、後部側方に延長して搬送終端部を車体4の側方位置まで延長した一対の挟持ベルト5a,5aから構成している。そして、茎葉搬送装置5は、第一切断装置Kで切断されて引抜搬送装置2の終端部に達した茎葉の先端部分を引き継いで左右一側に搬送して排出する構成である。そして、第二切断装置6は、図1に示すように、前記茎葉搬送装置5を構成する挟持ベルト5a,5aの終端部分に左右の円盤カッター6a,6aを設けており、搬送されてきた茎葉の先端部分を再度切断して機外に排出する。
このように、茎葉搬送装置5は、図2に示すように、引抜搬送装置2の終端部から受け継ぐ葉の先端部を高い位置で挟持して搬送し、終端部に達すると、円盤カッター6a,6aによって再度短く切断して圃場面に排出する。
そして、本実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置2には、前記第一伝動機構(18a,18,19a,19,2a,2b)の他に、更に駆動プーリ19,19から従動プーリ18,18に動力を伝達する第二伝動機構(伝動装置)(40,41,42)を設けたことを特徴としている。
伝動装置として、例えば駆動プーリ19の駆動回転軸19aの下部に伝動回転体である第一伝動スプロケット40を設け、従動プーリ18の従動回転軸18aの下部に伝動回転体である第二伝動スプロケット41を設けて、第一伝動スプロケット40と第二伝動スプロケット41との間に伝動チェーン42を巻き掛けるような構成とすれば良い(図18)。なお、図4によれば、駆動回転軸19aには、主伝動機構20から第一伝動スプロケット40を介して動力が伝達される構成であるが、第一伝動スプロケット40とは別の回転体(プーリ、スプロケット、ギアなど)から動力が伝達される構成でもよい。
図4に示すように、主伝動機構20から第一伝動スプロケット40を介して駆動回転軸19aに動力が伝達される構成の場合、第一伝動スプロケット40は前記第一伝動機構(18a,18,19a,19,2a,2b)にも含まれると言えるが、第一伝動スプロケット40とは別の回転体から駆動回転軸19aに動力が伝達される構成も本実施形態に含まれるため、本明細書中においては、第一伝動スプロケット40と第二伝動スプロケット41と第一伝動スプロケット40及び第二伝動スプロケット41に巻回する伝動チェーン42とを前記第一伝動機構(18a,18,19a,19,2a,2b)とは区別して第二伝動機構(40,41,42)と言う。
そして、このように引抜搬送装置2の駆動回転体である駆動プーリ19を2個から更に左右の第一伝動スプロケット40を加えて合計4個にすることで引抜搬送装置2の駆動力が向上する。
図4には、駆動回転軸19aの下部の第一伝動スプロケット40と従動回転軸18aの下部の第二伝動スプロケット41に、直接、伝動チェーン42を巻回した構成ではなく、第一切断装置Kの伝動軸31のスプロケット32の上部に第三伝動スプロケット43を設け、該第三伝動スプロケット43と第二伝動スプロケット41との間に伝動チェーン42,42を巻き掛けた場合を示している。このように、第一切断装置Kの伝動軸31を介して駆動回転軸19aの下部の第一伝動スプロケット40から従動回転軸18aの下部の第二伝動スプロケット41に動力を伝達する構成でも良い。
また、第一伝動スプロケット40の代わりに第一伝動プーリを設け、第二伝動スプロケット41の代わりに第二伝動プーリを設けて、第一伝動プーリと第二伝動プーリとの間に伝動ベルトを無端状に巻き掛けても良い。更に、第一伝動スプロケット40の代わりに第一伝動ギアを設け、第二伝動スプロケット41の代わりに第二伝動ギアを設けて、第一伝動ギアと第二伝動ギアとの間に図示しない第三伝動ギアを噛合させるような構成でも良い。この場合も第一切断装置Kの伝動軸31を介して第一伝動プーリ又は第一伝動ギアから第二伝動プーリ又は第二伝動ギアに動力を伝達する構成でも良い。
このように、第一伝動機構(18a,18,19a,19,2a,2b)の他に、駆動プーリ19と従動プーリ18の下部に設けた第一伝動スプロケット40、第二伝動スプロケット41、伝動チェーン42などの伝動装置(第二伝動機構とも言う)によって、従動プーリ18に伝動される駆動力が大きくなるため、第一搬送無端帯2aの張力を駆動側、従動側でほぼ同じにすることができる。
従来の構成では、従動プーリ18は第一搬送無端帯2a,2bが駆動プーリ19の回転により移動することで回転するだけであるが、本構成によれば第二伝動機構(40,41,42)から動力を供給されることにより、大きな駆動力で回転する。
引抜搬送装置2の従動プーリ18の張力が小さいと、搬送始端側に茎葉を挟持する挟持力がかかった際に、第一搬送無端帯2a,2bを張圧することがほぼできないので、第一搬送無端帯2a,2bが撓んで外れてしまうことがある。
しかし、本構成を採用することにより、作物の茎葉を挟持した際に第一搬送無端帯2a,2bが撓んで駆動プーリ19や従動プーリ18から外れることが防止され、第一搬送無端帯2a,2bを巻き掛け直す作業が省略されて作業能率が向上する。また、外れた第一搬送無端帯2a,2bが第一切断装置Kに接触して切断されることが防止され、搬送無端帯が破損しにくくなる。そして引抜搬送装置2の搬送体2R,2Lの駆動力が大きくなることで、確実に作物を圃場から引き抜いて後方へ搬送することができるため、作業能率が向上する。
また、従動プーリ18が駆動力を受けて回転することによって、掻込装置1に伝動される力が大きくなるため、作物の茎葉を確実に掻込装置1から引抜搬送装置2の搬送始端部に案内することができるので、作物を確実に圃場から引き抜けることで作業能率が向上する。
また、上述の例では、引抜搬送装置2の駆動プーリ19と従動プーリ18の下部に第一伝動スプロケット40と第二伝動スプロケット41の合計4個のスプロケットを設けた例を示しているが、前側の第二伝動スプロケット41を片方省略して、左右どちらか一側の従動プーリ18の従動回転軸18aの下部にのみ第二伝動スプロケット41を設けて、左右の駆動プーリ19,19下部の第一伝動スプロケット40,40と左右一方の第二伝動スプロケット41の合計3個としても引抜搬送装置2の駆動力が向上する。すなわち、引抜搬送装置2の駆動回転体は、駆動プーリ19,19と左右一側の第一伝動スプロケット40の合計3個となる。
そして、この場合は、自動テンション機構によって移動する側の無端帯2b(図3の例では左側搬送体2Lの無端帯)に動力を伝えるように、搬送体2Lの無端帯2b側の従動プーリ18の従動回転軸18aの下部に第二伝動スプロケット41を設けると良い。作物の茎葉量によって第一搬送無端帯2a,2b間に一定以上の挟持力がかかると、自動テンション機構によって無端帯2bが左右方向外側に移動するが、移動する側の無端帯2bの駆動力が弱いと、茎葉の挟持力が弱くなって茎葉をスムーズに後方へ搬送できなくなってしまう。
しかし、このように自動テンション機構によって移動する側の無端帯2bの駆動力を大きくすることで、引抜搬送装置2の茎葉の挟持力を大きくすることができ茎葉をスムーズに後方へ搬送できる。第一伝動スプロケット40の主な目的は掻込装置1への強い駆動力の供給であるが、同時に引抜搬送装置2の搬送始端側の駆動力の強化にもなる。
図7及び図9には、本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置2の要部拡大平面図を示し、図8には図7の引抜搬送装置の側断面図(内側から見た図)を示し、図10には図9の引抜搬送装置の側断面図を示す。図7及び図8には、図3及び図4に示す右側の搬送体2Rに、更に伝動プーリ50、受動プーリ51、第二搬送無端帯52などを設けた場合を示している。図9及び図10には、図3及び図4に示す左側の搬送体2Lに、更に伝動プーリ50、受動プーリ51、第二搬送無端帯52などを設けた場合を示している。また、図11には本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置2の要部拡大平面図を示し、両搬送体2R,2Lに、伝動プーリ50、受動プーリ51、第二搬送無端帯52などを設けた場合を示している。
図11に示すように、左右の駆動プーリ19の駆動回転軸19aの上部にそれぞれ伝動回転体50を設け、更に第一押圧回転体(7,8)である複数の各ローラ(定位置案内ローラ7と自動テンションローラ8)の回転軸(定位置案内ローラ7の回転軸7a,自動テンションローラ8の回転軸8a)の上部にそれぞれ受動回転体51を設け、伝動回転体50と複数の受動回転体51間に第二搬送無端帯52を巻き掛ける構成としても良い。
また、図7及び図9に示すように、左右の駆動プーリ19のうち一方の駆動プーリ19の駆動回転軸19aの上部に伝動回転体として伝動プーリ50を設け、更に複数の各ローラ(定位置案内ローラ7又は自動テンションローラ8)の回転軸7a,8aの上部に受動回転体としてそれぞれ受動プーリ51を設け、伝動プーリ50と複数の受動プーリ51間に第二搬送無端帯52を巻き掛ける構成でも良い。このように、いずれか片側の搬送体2R(又は搬送体2L)の第一搬送無端帯2a(又は第一搬送無端帯2b)のみ駆動力を伝える構成でも良い。
また、伝動プーリ50を伝動スプロケット、受動プーリ51を受動スプロケットとして伝動スプロケットと受動スプロケットとの間に伝動チェーンを無端状に巻き掛けても良いし、伝動プーリ50を伝動ギア、受動プーリ51を受動ギアとし、伝動ギアと受動ギア間に更に伝動ギアを噛合させるような構成でも良い。
引抜搬送装置2の駆動プーリ19の上部に取り付けた伝動プーリ50と、第一搬送無端帯2a,2bを内側から押圧する定位置案内ローラ7や自動テンションローラ8の上部に取り付けた受動プーリ51とに第二搬送無端帯52を巻き掛けることによって、定位置案内ローラ7や自動テンションローラ8は駆動力により回転しながら第一搬送無端帯2a,2bを押圧するため、引抜搬送装置2の挟持力が強くなって、作物を確実に圃場から引き抜くことができ作業能率が向上する。
また、作物の茎葉を挟持する部分の挟持力を強めることによって、作物の茎葉を挟持した際に第一搬送無端帯2a,2bが撓むことが防止されるので、第一搬送無端帯2a,2bが駆動プーリ19や従動プーリ18から外れることが防止され、第一搬送無端帯2a,2bを巻き掛け直す作業が省略されて作業能率が向上する。また、外れた第一搬送無端帯2a,2bが第一切断装置Kに接触して切断されることが防止され、第一搬送無端帯2a,2bが破損しにくくなる。
なお、図7及び図8に示す例では、ロック装置23により位置が固定される搬送体2Rの無端帯2aの駆動プーリ19の駆動回転軸19aに上記伝動プーリ50を設け、各定位置案内ローラ7の上部に受動プーリ51を設けた例を示している。いずれか片側の搬送体2R(又は搬送体2L)の第一搬送無端帯2a(又は第一搬送無端帯2b)のみ駆動力を伝える場合は、このようにロック装置23により位置が固定される固定側の搬送体2Rにのみ駆動力を伝えることで引抜搬送装置の構成が簡単になる。
自動テンションローラ8を備えた搬送体2Lの第一搬送無端帯2b側(移動する側)に受動プーリ51や伝動プーリ50を設ける場合、茎葉に押されて自動テンション機構が働く際、自動テンション機構がテンションスプリング26等の構成部品に接触して一定範囲以上移動できず、第一搬送無端帯2b、第二搬送無端帯52が外れたり、自動テンション機構が壊れたりするおそれがある。ただし、移動範囲が第一搬送無端帯2b、第二搬送無端帯52の外れや自動テンション機構の破損に繋がらない範囲であれば、図9及び図10に示すように、移動する側に設けても良い。
また、図11に示すように、両搬送体2R,2Lに、伝動プーリ50、受動プーリ51、第二搬送無端帯52などを設けると、作物の茎葉を挟持する部分の挟持力を強める効果が高まり、作業能率が向上する。
図12には、本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置2の要部拡大平面図を示す。
引抜搬送装置2の左右の第一搬送無端帯2a,2bの左右外側の非搬送作用域Nには、第一搬送無端帯2a,2bを左右方向の外側から内側に押圧する第二押圧回転体(テンションローラ、テンションプーリなど)53を設けても良い。図12には、左右両側の搬送体2R,2Lに第二押圧回転体53,53を設けた例を示している。
図12に示すように、第二押圧回転体53の回転軸53aにはアーム63の一端が回動可能に連結し、アーム63の他端は車体フレーム4aの左右両側の取付部分(図示せず)に回動可能に軸着している。更に、第二押圧回転体53の回転軸53aにはスプリング55の一端が連結し、スプリング55の他端は第一搬送無端帯2a,2bの内側に内接するプーリ60の軸60aに連結している。したがって、第二押圧回転体53は、スプリング55によって第一搬送無端帯2a,2bの左右の外側から内側に付勢されており、第一搬送無端帯2a,2bを左右方向の外側から内側に押圧する構成である。
引抜搬送装置2に一定以上の挟持力がかかると第一搬送無端帯2a,2bが機体外側に移動するが、その後スプリング55によって第一搬送無端帯2a,2bは元の位置に戻る。しかし、作物の茎葉量によっては外側に移動しすぎて第一搬送無端帯2a,2bの戻りが悪くなり、撓んで外れやすくなったり、緩んでスリップする場合がある。
そこで、更に、車体フレーム4a上に基部が連結し、端部が第二押圧回転体53に連結して長さ調節が可能なロッド部材57を設け、ロッド部材57によって押圧回転体53が設定距離以上に移動することを防止すれば、第一搬送無端帯2a,2bにかかる押圧力を保つことができ、第一搬送無端帯2a,2bが駆動プーリ19や従動プーリ18から外れることが防止できる。
図12に示すように、ロッド部材57の一端を第二押圧回転体53の回転軸53aに連結し、他端を車体フレーム4a上にピン(図示せず)などにより固定する。ロッド部材57は長さを調節できる構造(一例として、筒体の中に棒体を差し込んだ単純なシリンダ(油圧や電動でない)や、車体フレーム4a上にボスを取り付け、該ボスの孔にロッドを通した後、適当な位置でピンやボルト・ナットで固定する構成など)とする。ロッド部材57の長さが調節可能であるため、引抜搬送装置2に一定以上の挟持力がかかって第一搬送無端帯2a,2bが機体外側に移動してもその動きの妨げになることはない。
そして、このように引抜搬送装置2の非搬送作用域Nで第一搬送無端帯2a,2bを左右方向の外側から押圧する第二押圧回転体53と車体フレーム4aとの間に長さ調節可能なロッド部材53を設け、第二押圧回転体53をロッド部材53で機体内側に引っ張る構成としたことによって、引抜搬送装置2に一定以上の挟持力がかかって第一搬送無端帯2a,2bが機体外側に移動しても、ロッド部材53によって第二押圧回転体53が設定距離以上に移動することを防止して第一搬送無端帯2a,2bにかかる押圧力を保つことができ、確実に第一搬送無端帯2a,2bを元の位置に戻すことができる。
したがって、第一搬送無端帯2a,2bが駆動プーリ19や従動プーリ18から外れることが防止され、第一搬送無端帯2a,2bを巻き掛け直す作業が省略されて作業能率が向上する。また、外れた第一搬送無端帯2a,2bが第一切断装置Kに接触して切断されることが防止され、第一搬送無端帯2a,2bが破損しにくくなる。そして、このようにスプリング55だけでなく、ロッド部材57によっても第二押圧回転体53を内側に引っ張ることで、第一搬送無端帯2a,2bが緩んでも第二押圧回転体53が戻らないといった状態を防ぐことができるので、第一搬送無端帯2a,2bのスリップを防止できる。
なお、上記第二押圧回転体53やロッド部材57は、左右一方の搬送体2R(又は搬送体2L)側に設けても良い。
その場合に、自動テンションローラ8を備えた搬送体2Lの第一搬送無端帯2b側(移動する側)に設けると、ロッド部材57は自動テンション機構による第一搬送無端帯2bの移動に合わせて長さも変動し、第一搬送無端帯2a,2bにより作物の茎葉量に応じて茎葉を適確に挟持しながら後方へ搬送することができる。
また、引抜搬送装置2の駆動プーリ19や従動プーリ18と第一搬送無端帯2a,2bとの間に泥水が入り込むと、第一搬送無端帯2a,2bがスリップを起こしてうまく回転せず、作物の搬送に支障が生じることがある。
図27(a)には、従来の引抜搬送装置の(無端帯を装着した)駆動プーリや従動プーリの簡略平面図を示し、図27(b)には、図27(a)の駆動プーリや従動プーリの側断面図を示す。
従来の引抜搬送装置2の駆動プーリ19や従動プーリ18は外周中央部に設けられたV字溝18c,19cに第一搬送無端帯2a,2bの突部が嵌合しており、プーリ18,19の回転と共に第一搬送無端帯2a,2bが回転する構成である。しかし、このV字溝18c,19cに泥水や異物等が入り込むと、第一搬送無端帯2a,2bがスリップを起こしてうまく回転せず、作物の搬送に支障を来してしまう。また、第一搬送無端帯2a,2bがスリップを起こして駆動プーリ19や従動プーリ18から外れると、第一搬送無端帯2a,2bを巻き掛け直さなければならず、またV字溝18c,19cに入り込んだ泥水や異物等を取り除かなければならないため、作業能率の低下を招く。したがって、引抜搬送装置2の第一搬送無端帯2a,2bのスリップを防止することは非常に重要である。
図13(a)には、図3の引抜搬送装置2の駆動プーリ19の簡略平面図を示し、図13(b)には、図13(a)の駆動プーリ19の側断面図を示す。また、図13(c)には、図13(b)の部分拡大図を示し、突起部材65を駆動プーリ19に設けた孔19bに取り付ける様子を示している。
そこで、図13に示すように、従動プーリ18と駆動プーリ19の第一搬送無端帯2a,2bとの接触面(作用面)にそれぞれ複数の孔18b,19bを設け、該複数の孔18b,19bに着脱可能な突起部材65を取り付ける。前記複数の孔18b,19bは、ランダムに設けても規則的に設けても良い。また、複数の孔18b,19bや突起部材65は従動プーリ18又は駆動プーリ19の片方のプーリに設けるだけでも良い。
従動プーリ18と駆動プーリ19の第一搬送無端帯2a,2bとの接触面に突起部材65を取り付けることで、該突起部材65が第一搬送無端帯2a,2bに接触して水気や土砂等の夾雑物による滑りを防止することができるので、第一搬送無端帯2a,2bが駆動プーリ19や従動プーリ18から外れることが防止され、搬送無端帯を巻き掛け直す作業が省略されて作業能率が向上する。また、外れた第一搬送無端帯2a,2bが第一切断装置Kに接触して切断されることが防止され、第一搬送無端帯2a,2bが破損しにくくなる。
また、突起部材65が駆動プーリ19や従動プーリ18から着脱可能であることによって、条件に合わせて突起部材65の数や配置を変更することができるので、様々な作業条件に対応することができ、作業能率が向上する。
そして、突起部材65は孔18b,19bへの取付が可能なように六角及び四角形状とすると良い。六角及び四角形状であれば、レンチなどで容易に外すことができる。
また、突起部材65自体の高さ(突出長さ)も調節ができるようにすれば、様々な作業条件への適応性が向上する。例えば、突起部材65を弾性体で構成すれば、孔18b,19bへの押し込み度合いによって突出長さが変更できる。
また、駆動プーリ19や従動プーリ18に複数の螺子穴を形成し、突出部材65の非作用側(取付側)に螺子溝を形成しておくと、突出部材65を回して突出量を変更することができる。突出部材65の回転は、突出部材65に六角形状や四角形状を付けてレンチなどで回す、あるいは突出部材65を丸ネジとし、ドライバーで回す、等が考えられる。
更に、突起部材65は丸形状としても良い。丸形状では対応する工具が専門的になるが、図13の拡大部分にあるように、四角や六角形状に丸形状部を加えたものにすれば、丸型のままでも良く、また、突起部材65を丸ネジにすれば、四角や六角形状でなくてもドライバーで外せる。
そして、突起部材65を丸形状とする方が第一搬送無端帯2a,2bに接触する表面積が小さくなるので、第一搬送無端帯2a,2bにかかる圧力が大きくなり、外れ防止効果が高まる。また、四角や六角形状では、第一搬送無端帯2a,2bを取り外すときや第一搬送無端帯2a,2bがずれた時、角部が第一搬送無端帯2a,2bに引っ掛かる、あるいは擦れるなどして第一搬送無端帯2a,2bを傷つけるおそれがあるが、丸形状であれば第一搬送無端帯2a,2bの傷付きを防止できる。
したがって、突起部材65の着脱や突出長さを変更しやすくするために四角・六角部を形成し、第一搬送無端帯2a,2bに接触する部分は丸形状とすると着脱・調節が容易であり、第一搬送無端帯2a,2bの外れを防止できるとともに、第一搬送無端帯2a,2bの傷付きが防止できる突起部材65となる。
図14には、図13の駆動プーリ19の別の例を示しており、図14(a)には駆動プーリ19の簡略平面図を示し、図14(b)には駆動プーリ19の側断面図を示す。
突起部材65は従動プーリ18や駆動プーリ19の外周中央部に設けられたV字溝18c,19cを挟んで上下に設置すると、上方突起部材65aと下方突起部材65bは第一搬送無端帯2a,2bの上下で接触して水気や土砂等の夾雑物による滑りを効率的に防止することができる。
この上下に設ける突起部材(上方突起部材65a、下方突起部材65b)の位相を上下で共に同じとすれば、上方突起部材65a、下方突起部材65bは第一搬送無端帯2a,2bの上下左右で均等に接触するため、水気や土砂等の夾雑物による滑りをより効率的に防止することができる。
一方、図14に示すように、上方突起部材65aと下方突起部材65bの位相をずらすように設けても良い。上方突起部材65aと下方突起部材65bの位相をずらすように設けることで、V字溝18c,19cの上下で交互に第一搬送無端帯2a,2bに摩擦抵抗がかかるため、第一搬送無端帯2a,2bが従動プーリ18や駆動プーリ19から、より外れにくくなる。
そして、突起部材65は少なくとも、平面視でθが30°より小さい間隔で設けると良い。θが30°より大きい間隔であると、第一搬送無端帯2a,2bと突起部材65の接触面が少なく、滑りを防止する効果はあまり期待できないが、突起部材65の間隔を狭めることで、滑り防止の効果が大きくなる。
一方、突起部材65の径が大きいと、第一搬送無端帯2a,2bとの接触面が大きくなって擦れることで第一搬送無端帯2a,2bに傷が付くことも考えられるが、突起の径を3mm以下と小さくすることで、第一搬送無端帯2a,2bに傷が付くことはない。
また、図15には、図13の駆動プーリ19の別の例を示している。図15(a)には、駆動プーリ19の簡略平面図を示し、図15(b)には、駆動プーリ19の側断面図を示す。また、図16(a)及び図16(b)には、図15の駆動プーリ19の簡略側面図を示す。
これら従動プーリ18や駆動プーリ19の作用面(第一搬送無端帯2a,2bとの接触面)に縦リブ18d,19dを設けても良い。また、縦リブ18d,19dを図16(a)に示すように斜めに設置しても良いし、図16(b)に示すように側面視で矢印形状としても良い。従動プーリ18や駆動プーリ19に縦リブ18d,19dを設けることで第一搬送無端帯2a,2bとの作用面が凹凸状になり、第一搬送無端帯2a,2bが凹凸部分に適度に引っかかり摩擦抵抗がかかることで、第一搬送無端帯2a,2bの滑りを防止できる。
また、縦リブ18d,19dは従動プーリ18又は駆動プーリ19の片方のプーリに設けるだけでも良い。
そして、従動プーリ18や駆動プーリ19の作用面に縦リブ18d,19dを設けた場合も、従動プーリ18と駆動プーリ19の第一搬送無端帯2a,2bとの接触面(作用面)に突起部材65を設け、V字溝18c,19cの上下で突起部材65の位相を同じとしても良い。または上方突起部材65aと下方突起部材65bの位相をずらすように設けても良い。
図17には、本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置2と第一切断装置Kの要部拡大平面図を示し、図18には図17の引抜搬送装置2と第一切断装置Kの側断面図を示す。
図1から図12には、第一切断装置Kを引抜搬送装置2の下方に設けた例を示しているが、図17に示すように、第一切断装置Kを引抜搬送装置2の上方に設けても良い。
また、第一切断装置Kの左右一対の切断刃3,3や茎葉搬送装置5の搬送始端部は、大量の茎葉を噛み込んだり異物を挟んだときに、挟持した茎葉や異物を取り除くためにカバー等の部材を外す必要があり、メンテナンス性が悪い、という問題があった。
そこで、図17及び図18に示すように、第一切断装置Kは、切断刃3,3の何れか一方が大量の茎葉を噛み込んだり異物等を噛み込んで一定の負荷がかかると、左右方向の外側に動いて退避する構成とすれば良い。なお、切断刃3は二つの分割刃3a,3b(図5)からなる構成でも良いし、一つの切断刃であっても良い。
本構成を採用することにより、第一切断装置Kの切断刃3,3の何れかに過負荷がかると、左右両側の切断刃3,3が左右方向の外側に動くことで、チェーン33が外れるおそれがなく、一種の安全装置として働く。また、チェーン33が外れたり、破損することが防止できるので、作業能率が向上する。
また、図1から図12に示す第一切断装置Kでは、切断刃3の伝動軸31の下端を車車体フレーム4aに連結させているが、図18に示すように、駆動軸19aに切断刃アーム73aの基部を回動自在に取り付け、該切断刃アーム73aの端部に伝動軸31を回転自在に取り付け、該伝動軸31に切断刃3を回転自在に取り付けると共に該伝動軸31の下部に伝動スプロケット70を設ける。そして、前記駆動回転軸19aの上部に駆動スプロケット71を設け、伝動スプロケット70と駆動スプロケット71間に無端帯(チェーン)33を巻回する。
駆動プーリ19の駆動回転軸19aには、スプリング(バネ体)73を多重に巻回し、スプリング73の先端部を伝動軸31の下端に連結することによって、該スプリング73の付勢力により切断刃3,3は常時左右方向内側に付勢される。
第一切断装置Kの切断刃3,3の何れかに過負荷がかると、スプリング73による付勢力に打ち勝って切断刃アーム73aは駆動回転軸19aを支点として矢印Q方向(図17)に回動し、その動きに連動して切断刃3,3は左右外側方向に移動する。切断刃3の伝動軸31の下端が車体フレーム4a等に連結していると切断刃3は移動できないが、本構成では切断刃3を回動自在な切断刃アーム73aに取り付けているので、切断刃3を左右方向の外側に移動させることができる。また、切断刃アーム73a及び切断刃3の回動支点を駆動プーリ19の駆動回転軸19aに設けることで、切断刃3の移動機構が簡単、容易になる。
そして、切断刃3,3の左右外側への最大移動時に左右の切断刃3,3が平面視で重ならないように、左右のスプリング73の付勢力を調整すると良い。
例えば、移動側の搬送体2Lの切断刃3にのみ上記移動機構を設けた場合は、切断刃3の左側への最大移動時に固定側の搬送体2Rの切断刃3と平面視で重複しない位置まで動くように、スプリング73の付勢力を調整すると良い。すなわち、切断刃3,3の左右外側への最大移動時には、左右の切断刃3,3間に隙間が空くようにスプリング73の付勢力を調整する。
切断刃3,3の左右外側への最大移動時に左右の切断刃3,3が平面視で重複していると、作物の茎葉量が多い場合に左右の切断刃3,3の間に茎葉が詰まってしまい、茎葉の後方への搬送が妨げられて作業能率が低下するおそれがある。しかし、左右の切断刃3,3間に隙間を設けることにより、茎葉の詰まりが防止されて作業能率が向上する。
また、負荷のない状態(作業前の基本位置)の切断刃3の中心(伝動軸31)は、切断刃アーム73a及び切断刃3の回動支点と左右方向で同じ位置か、それよりも機体内側寄りになるように、スプリング73の付勢力を調整しても良い。負荷のない状態では、作物の茎葉量が少ないことから、左右の切断刃3,3間の隙間を狭めることによって、作物の茎葉を挟み込んで切断することができるので、茎葉が効率よく処理されて作業能率が向上する。
図19には、本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置2と第一切断装置Kの要部拡大平面図を示す。また、図20には図19の第一切断装置Kの切断刃3の移動機構を示した左側面図(内側から見た図)を示す。
図19に示すように、右側の搬送帯2Rの駆動回転体19aに伝動スプロケット70と駆動スプロケット71とチェーン33を内装した切断刃アーム73aを回動自在に取り付け、該切断刃アーム73aの下方に切断刃アーム73aを機体内側方向に付勢するトルクスプリング80を軸着し、切断刃アーム73aに第一切断装置Kの切断刃3を取り付ける。そして、前記車体フレーム4aに切断刃アーム73aの機体内側方向への移動を制限する内側ストッパ軸82bを切断刃3よりも下方位置で取り付け、該ストッパ軸82bよりも機体外側方向で且つ機体後方に切断刃アーム73aの機体外側方向への移動を制限する外側ストッパ軸82aを取り付ける構成としても良い。
上記構成としたことにより、左右の切断刃3,3が大量の茎葉を噛み込んでも、少なくとも左右一側の切断刃アーム73aが機体外側方向に回動して過負荷が掛かることを防止できるので、過負荷によりチェーン33が外れたり、チェーン33が断裂する(破損する)ことが防止されて外れたチェーン33を付け直す作業が省略されるので、作業者の労力が軽減されるとともに、作業能率が向上する。また、茎葉の搬送を左右の切断刃3,3が妨げないので、作業能率が向上する。
そして、切断刃アーム73aの機体内側方向への移動を制限する内側ストッパ82bを設けたことによって、トルクスプリング80に付勢される切断刃アーム73aが機体内側に移動し過ぎて、左右の切断刃3,3の間に茎葉を詰まらせてしまうことが防止されるので、作業能率が向上する。
さらに、切断刃アーム73aの機体外側方向への移動を制限する外側ストッパ82aを設けたことによって、過負荷を受けた際に機体外側方向に切断刃アーム73aが移動しすぎることを防止できるので、左右一方、あるいは左右両方の切断刃3,3が茎葉を切断しなくなることが防止されて作業能率が向上する。
そして、切断刃アーム73aの外側ストッパ82a及び内側ストッパ82bの位置を調整自在とすることによって、切断刃3の押圧力を調整できる。したがって、作物の茎葉量に応じて適切な切断作業が可能となる。
このように、第一切断装置Kの切断刃3,3の何れかに過負荷がかると、左右両側の切断刃3,3が左右方向の外側に動くことで、チェーン33が外れるおそれがなく、一種の安全装置として働く。また、チェーン33が外れたり、破損することが防止できるので、作業能率が向上する。
図21には、本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置2と茎葉搬送装置5の要部拡大平面図を示す。
茎葉搬送装置5の始端部も左右方向に開閉可能にすることで、茎葉搬送装置5に引き継がれる際に茎葉や異物が詰まった場合でも異物等を取り除くことが容易となる。
図21に示すように、茎葉搬送装置5の挟持ベルト5a,5aは前方プーリ90、中央プーリ91、後方プーリ93の3種類のプーリに巻回して構成されており、中央プーリ91は駆動プーリ19の駆動回転軸19aの上部に固着していることで、動力が伝達されて挟持ベルト5a,5aが回転する。
図21の丸枠部分Xには、茎葉搬送装置5の前方プーリ90を正面から見た図を示している。前方プーリ90の回転軸90aは上端部が正面視断面コの字型の支持体96の上面下部に固着連結しており、支持体96は前方プーリ90を機体外側の上下方向から挟むように、すなわち支持体96のコの字型の空間部に前方プーリ90を配置している。
そして、支持体96の上面と下面を連結する側面の外側には棒体101の一端が固着し、棒体101の他端は車体フレーム4aの上部に設けられた支柱99内に挿入して、棒体101は支柱99内を左右方向(矢印R方向)に移動可能な構成である。
支柱99の上端部からは左右方向内側(図示例では左側)に平面視で矩形状のカバープレート97が突出し、前方プーリ90、支持体96、棒体101などの上方を覆っている。すなわち、支柱99はカバープレート97を支持すると共に、棒体101の動きを規制している。
また、カバープレート97の下部には左右方向に対して平面部を有する規制板103が下方に延長して設けられ、該規制板103に左右方向から棒体101が貫通し、棒体101は規制板103内を左右方向(矢印R方向)にスライド可能な構成である。
そして、規制板103と支持体96との間の棒体101の外周にはスプリング95が巻回され、棒体101が矢印R方向に移動する際に、スプリング95が緩衝材となって棒体101が激しく移動することを防止している。また、スプリング95が規制板103に当たることで、棒体101は、それ以上左右方向外側(図示例では右側)には移動しないようになっている。このように、棒体101が矢印R方向に移動可能であるため、支持体96及び回動軸90aを介して棒体101に連結している前方プーリ90も矢印R方向に移動可能な構成である。
したがって、茎葉搬送装置5の搬送始端側の前方プーリ90をこのように左右方向に開放可能としたことによって、大量の茎葉を挟持した際に過負荷がかかって茎葉搬送装置5が停止しても、搬送始端側を開放することで、負荷の原因となった茎葉や異物等を取り除くことができるので、メンテナンス性が向上する。
また、圃場に設置してある金属製の支柱等の異物は、その上下方向の長さが長いため、引抜搬送装置2、茎葉搬送装置5の両方で挟持することが多いが、このような異物の取り除き作業も効率よく行うことができる。
茎葉搬送装置5の開閉側は、引抜搬送装置2の移動側と同じ側とするとよい。本実施形態の作物引抜収穫機を用いて作業する際、作業者は基本的に引抜搬送装置2の移動側(左側の搬送体2Lの第一挟持搬送無端帯2b側)並びに茎葉搬送装置5の排出側の後方に立っているので、引抜搬送装置2や茎葉搬送装置5に茎葉が詰まり、作業者が操作する必要が生じた場合、短い移動距離で引抜搬送装置2や茎葉搬送装置5の操作を行うことができるので、作業能率が向上する。
また、引抜搬送装置2の固定側(右側の搬送体2Rの第一挟持搬送無端帯2a側)並びに茎葉排出装置5の非排出側は作物を収穫していない側、いわゆる未掘側であり、作物の茎葉が生い茂っているので、作業者が操作を行う必要が生じても茎葉が作業の妨げとなるので、引抜搬送装置2の移動側並びに茎葉排出装置5の排出側に引抜搬送装置2及び茎葉排出装置5の操作手段を設けたことにより、作業能率が向上する。
そして、茎葉搬送装置5の前方プーリ90と駆動プーリ19の駆動回転軸19a上部に固着した中央プーリ91間に挟持ベルト5a,5aを巻回していることから、前方プーリ90は駆動回転軸19aを支点として矢印T方向に回動する。このように前方プーリ90の回動支点として駆動プーリ19の駆動回転軸19aを利用することで、茎葉搬送装置5の始端部の開閉機構が簡単、容易にできる。
図22(a)には、図3の引抜搬送装置2の駆動プーリ19の別の例を示した簡略平面図を示し、図22(b)には、図22(a)の駆動プーリ19の側断面図を示す。
図22には、引抜搬送装置2の駆動プーリ19に付着した泥水や異物等を取り除くためのワイパースクレーパ107とスクレーパ105とを引抜搬送装置2に設置した場合の図を示している。ワイパースクレーパ107は主に水(液体)を取り除くためのものであり、スクレーパ105は雑物(固体)を取り除くためのものである。
駆動プーリ19の回転方向により、スクレーパ105が先に駆動プーリ19の溝部19cを通過(接触)する。このとき、生姜の茎葉やその他の夾雑物(土塊等)をスクレーパ105が掬い取る。そして、その後ワイパースクレーパ107が溝に溜まった水を掻き出す。スクレーパ105でも水はある程度とれるが、ワイパースクレーパ107と併用することにより、駆動プーリ19が第一搬送無端帯2a,2bと接触するまでに、ほぼ確実に水を除去でき、水によるスリップで第一搬送無端帯2a,2bが外れることを防止できる。なお、スクレーパ105は茎葉や土塊など固体を除去するため金属や硬質樹脂で構成するとよく、ワイパースクレーパ107は水を除去するためにゴムやスポンジなどの軟質材で構成すると効果が高まる。
スクレーパ105、ワイパースクレーパ107の基部側は車体フレーム4a上の連結部材109に取り付けられており、連結部材109の端部にスクレーパ105、ワイパースクレーパ107をボルト・ナットで固着している。これは、スクレーパ105、ワイパースクレーパ107が摩耗したときに容易に交換でき、またスクレーパ105、ワイパースクレーパ107が不要なときに容易に外せるためである。なお、連結部材109は引抜搬送装置2の上部カバーにつけても良い。
そして、スクレーパ105、ワイパースクレーパ107の先端部の突起部分105aが駆動プーリ19のV字溝19cに嵌合している。ワイパースクレーパ107もスクレーパ105と同様に引抜搬送装置2に設置されている。
駆動プーリ19が回転すると、ワイパースクレーパ107とスクレーパ105の先端部は駆動プーリ19と共に回転しようとするが、ワイパースクレーパ107とスクレーパ105の基部が車体フレーム4a上に固定されていることから、移動が制限されて固定位置に留まる。したがって、駆動プーリ19のV字溝19c内に溜まった水や異物等はワイパースクレーパ107とスクレーパ105の先端部に当たって掻き出され、除去される。
また、駆動プーリ19の回転方向に対して、スクレーパ105、ワイパースクレーパ107の順番に設置することで、V字溝19cに溜まった異物を先にスクレーパ105で取り除けるので、ワイパースクレーパ107を傷つけにくくなる。
例えば、図22に示すように搬送体2L側(左側)の無端帯2bの駆動プーリ19が矢印U方向(時計回り)に回転する場合は、左側(外側)にスクレーパ105を設け、右側(内側)にワイパースクレーパ107を設置する。このように設置すると、無端帯2bから離れた直後の駆動プーリ19のV字溝19cに、まずスクレーパ105が接触して異物等の固形物を除去した後、ワイパースクレーパ107が接触して水などの液体を除去する。 無端帯2bから離れた駆動プーリ19のV字溝19cに、先にゴムやスポンジ等の軟質材で構成するワイパースクレーパ107を接触させると、ワイパースクレーパ107は茎葉や土塊等の夾雑物に接触する際の抵抗で屈曲してしまい、夾雑物や水を除去できない可能性がある。
しかし、V字溝19cに溜まった異物を先に金属や硬質樹脂で構成するスクレーパ105で取り除くことで茎葉や土塊等の夾雑物がV字溝19cから取り除かれるので、ワイパースクレーパ107はV字溝19cに溜まった水を確実に排除することができるので、効率的に駆動プーリ19に付着した水や異物等の除去が可能となる。
図23から図26には、図1の第一切断装置Kの前方に圃場に残された作物育成用の支柱を引抜搬送装置2が挟持した際、第一切断装置Kよりも搬送方向手前で支柱の移動を阻止する左右一対の支柱規制装置110を設けた場合の作物引抜収穫機の引抜搬送装置2の例を示している。なお、図23及び図25では、見やすいように切断刃アーム73aなどの図示を一部省略している。
該左右の支柱規制装置110,110は、前記第一切断装置K,Kよりも機体前側の車体フレーム4a上に、第一切断装置K,Kの左右の伝動軸31,31よりも左右間隔を空けて取り付ける左右の規制軸111,111の上端部に支柱規制ディスク113,113を回転自在に取り付けることによって構成される。
上記構成としたことによって、左右の支柱規制ディスク113,113は第一切断装置K,Kよりも左右間隔が広くなるので、引抜搬送装置2に挟持されて機体後方に搬送される茎葉の通過を妨げることが無く、作業能率を向上させると共に、引抜搬送装置2に挟持されて後方に搬送される支柱が第一切断装置K,Kの切断刃3,3に接触する前に規制することができるので、第一切断装置K,Kが支柱を噛み込み、第一切断装置K,Kの伝動機構が破損することが防止され、作業の中断が防止されて作業能率が向上すると共に、修理する手間が生じず、作業者の労力が軽減される。
なお、支柱規制ディスク113,113を第一切断装置K,Kと同じ切断刃3,3とすると、第一切断装置K,Kが刃こぼれしたりしたとき、すぐに刃を交換して作業を再開することができるので、作業能率が向上する。支柱規制ディスク113,113として用いる場合には、外周部にゴム等の弾性体で構成される環状のカバーで覆っておくと、支柱を噛み込んだ際に刃部が欠けることを防止できると共に、支柱が衝突する衝撃を緩和できる。
また、図25、図26に示すように、左右の支柱規制ディスク113,113と第一切断装置K,Kの切断刃3,3を平面視でオーバラップさせる構成としてもよい。
上記のように構成することによって、機体の前後長さを短くすることができるので、機体がコンパクトになり、圃場の行き帰りの軽トラック等への積み込みが容易になると共に圃場端等での旋回径が小さくなるので旋回動作がしやすく、作業能率が向上する。
なお、第一切断装置K,Kの切断刃3,3を支柱規制ディスク113,113よりも側面視で上側になるように配置すると、刃こぼれや錆等で頻繁に交換する必要のある第一切断装置K,Kの切断刃3,3を容易に取り外すことができるので、作業能率及びメンテナンス性が向上する。
本発明の作物引抜収穫機は農業用のみならず工業用の作業車両にも利用できる。
本発明の実施の形態の作物引抜収穫機の平面図である。 図1の作物引抜収穫機の側面図である。 図1の作物引抜収穫機の引抜搬送装置の要部拡大平面図である。 図3の作物引抜収穫機の引抜搬送装置の側断面図である。 図5(a)は、第一切断装置の側面図であり、図5(b)は、第一切断装置の平面図である。 引抜搬送装置の規制板の正面断面図である。 本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置の要部拡大平面図である。 図7の引抜搬送装置の側断面図である。 本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置の要部拡大平面図である。 図9の引抜搬送装置の側断面図である。 本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置の要部拡大平面図である。 本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置の要部拡大平面図である。 図13(a)は、図3の引抜搬送装置の駆動プーリの平面図であり、図13(b)は、図13(a)の駆動プーリの側断面図を示した図であり、図13(c)は、図13(b)の部分拡大図である。 図13の駆動プーリの別の例を示した図である。図14(a)は、駆動プーリの平面図であり、図14(b)は、駆動プーリの側断面図である。 図13の駆動プーリの別の例を示した図である。図15(a)は、駆動プーリの平面図であり、図15(b)は、駆動プーリの側断面図である。 図15の駆動プーリの簡略側面図である。 本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置と第一切断装置の要部拡大平面図である。 図17の引抜搬送装置と第一切断装置の側断面図である。 本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置と第一切断装置の要部拡大平面図である。 図19の第一切断装置の切断刃の移動機構を示した側面図である。 本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置と茎葉搬送装置の要部拡大平面図である。 図22(a)は、図3の引抜搬送装置の駆動プーリの別の例を示した平面図であり、図22(b)は、図22(a)の駆動プーリの側断面図である。 本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置と第一切断装置の要部拡大平面図である。 図23の引抜搬送装置と第一切断装置の側断面図である。 本発明の他の実施形態の作物引抜収穫機の引抜搬送装置と第一切断装置の要部拡大平面図である。 図25の引抜搬送装置と第一切断装置の側断面図である。 図27(a)は、従来の引抜搬送装置の(無端帯を装着した)駆動プーリの平面図であり、図27(b)は、図27(a)の駆動プーリの側断面図である。
符号の説明
1 掻込装置 1a 誘導ベルト
2 引抜搬送装置 2a,2b 左右第一搬送無端帯
2L,2R 左右搬送体 3 切断刃
3a,3b 分割刃 4 車体
4a 車体フレーム 5 茎葉搬送装置
5a 挟持ベルト 6 第二切断装置
6a 円盤カッター 7 定位置案内ローラ
7a,8a 回転軸 8 自動テンションローラ
9 支持板 9a 固定腕
10 規制板 13 前輪
14 後輪 15 エンジン
16 後部ハンドル 17 ミッション装置
18 従動プーリ 18a 従動軸
18b,19b 孔 18c,19c V字溝
18d,19d 縦リブ 19 駆動プーリ
19a 駆動軸 20 主伝動機構
21 プーリ 23 ロック装置
24 ロックレバー 25 揺動支持板
26 弾性部材(テンションスプリング)
27 取付板 28 案内ピン
29 長孔 30 取り付け板
31 伝動軸 32 スプロケット
33 チェーン 40 第一伝動スプロケット
41 第二伝動スプロケット
42 伝動チェーン 43 第三伝動スプロケット
50 伝動プーリ(伝動回転体)
51 受動プーリ(受動回転体)
52 第二搬送無端帯 53 第二押圧回転体
53a 回転軸 55 スプリング
57 ロッド部材 60 プーリ
60a プーリ軸 63 アーム
65 突起部材 65a 上方突起部材
65b 下方突起部材 70 伝動スプロケット
71 駆動スプロケット 73 スプリング
73a 切断刃アーム 80 トルクスプリング
82a,82b ストッパ軸
90 前方プーリ 90a 回転軸
91 中央プーリ 93 後方プーリ
95 スプリング 96 支持体
97 カバープレート 99 支柱
101 棒体 103 規制板
105 スクレーパ 105a 突起部分
107 ワイパースクレーパ
109 連結部材 110 支柱規制装置
111 規制軸 113 支柱規制ディスク
K 第一切断装置

Claims (4)

  1. 左右一対の走行装置(13,14)と、該走行装置(13,14)上に設けられた車体フレーム(4a)と、前記走行装置(13,14)の前部に設けた圃場に植生する作物の茎葉を掻き込む掻込装置(1)と、該掻込装置(1)の後方で且つ前記車体フレーム(4a)上に、機体前部の左右一対の従動回転体(18,18)と後部の左右一対の駆動回転体(19,19)と該左右一対の従動回転体(18,18)及び左右一対の駆動回転体(19,19)にそれぞれ左右一対の第一搬送無端帯(2a,2b)を巻回して構成する第一伝動機構(18,19,2a,2b)を備え、該左右一対の第一搬送無端帯(2a,2b)により前記掻込装置(1)から掻き込まれた茎葉を挟持し後方に搬送して作物を引き抜き、一定以上の挟持力がかかると前記第一搬送無端帯(2a,2b)が前記走行装置(13,14)の前進方向に向かって左右方向に移動する構成の引抜搬送装置(2)と、該引抜搬送装置(2)の下部に設ける搬送中の作物の茎葉部分を切断する切断装置(K)と、該切断装置(K)で切断された茎葉を前記引抜搬送装置(2)の搬送終端部から引き継ぎ挟持して前記走行装置(13,14)の前進方向の左右一側に排出する茎葉搬送装置(5)と、前記走行装置(13,14)、掻込装置(1)、引抜搬送装置(2)、切断装置(K)及び茎葉搬送装置(5)に駆動力を供給する駆動源(15)とを設けた作物引抜収穫機において、
    前記引抜搬送装置(2)に前記第一伝動機構(18,19,2a,2b)と前記駆動回転体(19)から従動回転体(18)に動力を伝達する第二伝動機構(40,41,42)を設けたことを特徴とする作物引抜収穫機。
  2. 前記引抜搬送装置(2)の少なくとも左右一側の駆動回転体(19)の回転軸(19a)の上部に伝動回転体(50)を設け、
    更に前記引抜搬送装置(2)の左右の第一搬送無端帯(2a,2b)間の搬送作用域Sで、該左右の第一搬送無端帯(2a,2b)を左右方向の内側に押圧する複数の第一押圧回転体(7,8)を前記伝動回転体(50)と同じ側に設けると共に、該複数の第一押圧回転体(7,8)の各回転軸(7a,8a)の上部にそれぞれ受動回転体(51)を複数設け、
    前記伝動回転体(50)と複数の受動回転体(51)に第二搬送無端帯(52)を巻回したことを特徴とする請求項1記載の作物引抜収穫機。
  3. 前記引抜搬送装置(2)の左右の第一搬送無端帯(2a,2b)の左右外側の非搬送作用域Nに少なくとも左右一方の第一搬送無端帯(2a,2b)を左右方向の外側から内側に押圧する第二押圧回転体(53)を設け、
    更に、前記車体フレーム(4a)上に基部が連結し、端部が第二押圧回転体(53)の回転軸(53a)に連結して長さ調節が可能なロッド部材(57)を設け、
    該ロッド部材(57)の長さを調節することで第二押圧回転体(53)により第一搬送無端帯(2a,2b)を左右方向の外側から内側に押圧する構成としたことを特徴とする請求項1又は2記載の作物引抜収穫機。
  4. 前記従動回転体(18,18)と駆動回転体(19,19)の第一搬送無端帯(2a,2b)との接触面にそれぞれ複数の孔(18b,19b)を設け、該複数の孔(18b,19b)に対応する個数の着脱可能な突起部材(65)を取り付けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の作物引抜収穫機。
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