JP2010153496A - 発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、p型クラッド層と活性層と障壁層とn型クラッド層とを有する(AlxGa1−x)yIn1−yP(0<x<1,0.4<y<0.6)からなる発光層を有する化合物半導体基板を用いて製造された発光素子であって、前記障壁層は前記活性層よりAl組成が高く、また前記p型クラッド層及び前記n型クラッド層に接しておらず、前記活性層は、厚さが15〜50nm、層の数が少なくとも8層以上、且つその厚さの合計が500nm以下であり、前記活性層と前記障壁層は交互に積層されたものであることを特徴とする発光素子。
【選択図】図1
Description
例えばGaP基板を直接接合する方法では、例えば特許文献1に示されているようにGaPとの接合界面での障壁層が生じる問題があり、これを回避するために、長時間かつ高温の熱処理が必要となる。
この場合、他方の窓層は、貼り合わせ、若しくは結晶成長によって形成されるが、GaAs基板は光吸収層として機能するため、他方の窓層形成前に基板を除去する必要がある。GaAs基板上にAlGaInP系材料で発光層を形成する場合、選択エッチング法を用いる事によりGaAs基板は容易に剥離することができる。
そこで、GaAs基板除去前に機械的強度を保つための強度保持板(あるいはウエハ)を、AlGaInP成長面側に貼り付けてから除去する方法も考えられる。この場合、除去されたGaAs基板面側にGaP基板を貼り付けるわけだが、GaP基板を貼り付けた後、強度保持板(あるいはウエハ)は剥離(除去)しなければならず、剥離に伴って洗浄が必要であったり、汚染などの懸念もあり、工業的にはコストが上がるばかりであまりメリットがない。
GaP厚膜層を結晶成長で形成する際、工業的工程を通すために十分な機械的強度を持たせるために必要な厚さは20μm以上である。ここで、20μm以上の膜厚のGaP層を結晶成長するためには数〜十数時間が必要である。GaP層は厚膜になるほどGaP側面からの光取り出し増大効果が望めるため、外部量子効率が増すことになる。
例えば、活性層はAl組成xが少ないため、活性層中の不純物拡散速度は、Al組成xの高いクラッド層より相対的に早く、不純物が滞在しにくい。不純物濃度は隣接する層の不純物濃度によって変わるが、活性層に隣接する層にはキャリア閉じ込めのためのクラッド層が必要であり、一般にクラッド層はドーピングされている。
このようにMQW構造をとることにより、量子井戸への閉じ込め効果によって発光効率を高めることができる。しかしながら、MQWの各層の厚さは数〜十数nmと半導体内の電子のド・ブロイ波長程度であるため、バルク型の活性層の場合と比べると大幅に各層の厚さは薄く、前述したように活性層に与える不純物拡散の影響が大きくなる。MQWにおける活性層の総厚をバルク型程度に増やせば解決できる可能性もあるが、大幅に層数を増やす必要があり、活性層の自己吸収で内部量子効率は低下する。
活性層の厚さを15nm以上とすることで、p型クラッド層から拡散してきて障壁層に滞留するp型不純物によって活性層に発生する欠陥の影響をほぼ無くすことができるため、素子寿命試験時に光出力が低下することもなく、従来のバルク型と同等の寿命特性が得られるとともに、多重構造によるキャリアの閉じ込め効果を損なうことを抑制することができる。そして、厚さを50nm以下とすることで、Vfが増加し消費電力が大きくなってしまう不具合の発生を防止することができる。
また、活性層の数を少なくとも8層以上とすることで、活性層領域の不足による発光出力の低下を防ぐことができ、MQW型発光素子と同等の高い発光効率が得られる発光素子とすることができる。
更に、活性層の厚さの合計を500nm以下とすることによって、光吸収による出力低下が起こることを防止することができ、Vfが上昇することも抑制することができる。
このように、活性層と障壁層のp型不純物の濃度の平均が5×1017atoms/cm3以下であれば、障壁層に滞留するp型不純物による欠陥の発生を抑制することができ、より発光効率を高めることができる。
このように、p型不純物がMg、Zn、Cのうちの少なくとも1種類であれば、更にp型不純物の拡散による欠陥の発生を抑制することができ、従って更に発光効率を高めることができる。
このように、障壁層の厚さも15nm以上とすることで、p型クラッド層から拡散して障壁層に滞留するMg等のp型不純物の拡散によって発生する活性層中の欠陥の影響をより確実に抑制することができる。よって、従来のバルク型と同等の寿命特性をより確実に得ることができるとともに、多重構造によるキャリアの閉じ込め効果を損なう危険性を確実に避けることができる。そして、50nm以下とすることで、Vfが増加し消費電力が大きくなってしまう不具合をよりしっかりと防止することができる。
このように、障壁層のうち、n型クラッド層に近い側の障壁層のAl組成をp型クラッド層に近い側の障壁層のAl組成よりも高くすること、即ちp型クラッド層に近い側の障壁層のバンドギャップをn型クラッド層に近い側の障壁層のバンドギャップより小さくすることで、n型キャリアをp型クラッド層近傍まで拡散できるようにすることができる。
また、p型キャリアはn型キャリアより有効質量が重いため、障壁層におけるキャリアホッピング確率がn型キャリアより低かったが、上述のように障壁を下げることで、p型クラッド層側での障壁のホッピング確率を増加させることができ、活性層中での滞在確率を増加させることができる。そしてその結果、バンドギャップが均一の障壁層を有する場合に比べ、活性層中にn型、p型両者のキャリアを均一に分布させることができる。これらの効果によって、直列抵抗の減少と同時に内部量子効率の向上を図ることができる。
本発明者は、前述の課題を解決するための手段について鋭意検討を重ねた結果、p型クラッド層とn型クラッド層に挟まれた活性層領域を従来のMQWに比べて厚くし、また活性層と、活性層よりもバンドギャップが大きい障壁層を交互に形成する構造とし、また活性層の厚さや層の数、そのトータルの厚さを限定することで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
図1(a)は本発明の発光素子の概略、図1(b)はその発光素子に用いられる化合物半導体基板の概略、図1(c)はその化合物半導体基板の発光層のバンドギャップの一例を示した図である。
また障壁層106は、n型クラッド層104及びp型クラッド層108よりバンドギャップが同じか小さいものとすることが望ましい。
また、活性層105の厚さの合計は500nm以下とする。
また、活性層の厚さの合計は500nm以下とすることで、光吸収による出力低下が起こることもなく、Vfが上昇するという不具合が発生することも抑制することができる。
これによって、活性層や主に障壁層に滞留するp型不純物量を少ないものとすることができ、よって活性層や障壁層に欠陥が発生することを抑制することができる。よって発光効率をより高いものとすることができる。
活性層105及び障壁層106に存在するp型不純物、すなわちp型クラッド層108から拡散してきたp型不純物がMg、Zn、Cのうちの少なくとも1種類であれば、より活性層や障壁層に欠陥が発生することを抑制することができる。そして発光効率をより高いものとすることができる。
障壁層もその厚さを15nm以上とすることによって、p型クラッド層から拡散してきたp型不純物が障壁層に滞留することによって発生する欠陥が活性層へ与える影響を従来に比べて更に小さくでき、発光出力の低下を抑制することができる。また発光寿命の劣化も抑制することができる。また50nm以下とすることによって、順方向電圧Vfの増加を防止でき、消費電力の増加をより確実に防止することができる。
そして障壁層206のバンドギャップが、n型クラッド層204に近い側からp型クラッド層208に近づくにつれて徐々に減少していく構造とすることができる。
尚、以下図3〜5においても同様だが、図2においては、判りやすくするために活性層数を8層で記載してあるが、実際はこれより多くしてもよく活性層は少なくとも8層以上、障壁層は7以上であればよい。
そして障壁層306a、306b、306cのバンドギャップが、p型クラッド層308a、308b、308cに近い側の障壁層は厚さ方向にAl組成が変化しており、中央部が最大で両側が小さな構造とすることができる。また、p型クラッド層308a、308b、308c側の障壁層のAl組成が、n型クラッド層304a、304b、304c側の障壁層のAl組成より大きくなることはないものとすることが望ましい。
そして障壁層406a、406b、406c、406d、406e、406fのバンドギャップが、p型クラッド層408a、408b、408c、408d、408e、408fに近い側の障壁層は厚さ方向にAl組成が変化しており、n型クラッド層404a、404b、404c、404d、404e、404f側またはp型クラッド層408a、408b、408c、408d、408e、408f側が最大で反対側に向かって減少する構造とすることができる。また、第三の形態と同様に、p型クラッド層側の障壁層のAl組成がn型クラッド層側の障壁層のAl組成より大きくなることはないものとすることが望ましい。
これによって、n型キャリアをp型クラッド層近傍まで拡散させることができるようになる。また、p型キャリアはn型キャリアより有効質量が重いため、障壁層におけるキャリアホッピング確率がn型キャリアより低かったが、このように障壁を下げることによって、p型クラッド層側での障壁へのホッピング確率が増して活性層中での滞在確率が増し、結果としてバンドギャップが均一の障壁層を有する場合より、活性層中にn型、p型両者のキャリアが均一に分布させることができる。そして、更に直列抵抗の減少と同時に内部量子効率の向上を図ることができ、より高輝度且つ長寿命の発光素子とすることができる。
そして、先に導入したGaAs基板上に、n型InGaP緩衝層、更にn型AlGaInP層をエピタキシャル成長させる。
更に、n型AlGaInP層の表面上に、MOCVD法により、n型クラッド層をエピタキシャル成長させる。
ここで、障壁層のバンドギャップは活性層より大きくし、またn型クラッド層及びp型クラッド層より同じか小さくなるようにすることが望ましい。
また、活性層は少なくとも8層以上、障壁層は少なくとも7層以上とし、そして活性層のトータル厚さが500nm以下となるようにする。
そして、活性層と障壁層は交互に積層させ、更に障壁層と障壁層は、互いに隣接させず、更にn型クラッド層、p型クラッド層にも接しない構造とする。
次に、p型GaP窓層を形成する。
この窓層の形成では、先に得たMOエピタキシャル基板をMOCVDのリアクターから取り出し、HVPE法のリアクター内に入れる。そして、Znをドープし、p型GaP窓層をエピタキシャル成長させる。
そして、GaAs基板を除去することで露出したn型InGaP緩衝層の表面に、n型GaP基板を貼り付けるか、またはHVPE法を用いエピタキシャル成長によりn型GaP層を形成することで、化合物半導体基板を得ることができる。
上記MOCVD法やHVPE法によって気相成長させる際には一般的な条件を用いればよい。
上述の図1に示すような発光素子において、障壁層106を9層、厚さを15nm、活性層105を10層で固定し、厚さを12〜70nmまでの範囲で変えた場合の発光素子の出力上昇(従来のバルク型の出力を100%として)、寿命特性(従来のバルク型の寿命を100%として)、20mAの電流を流すのに必要な電圧(Vf)の結果をまとめたものを表1に示す。
尚、本実験例1〜3における従来のバルク型の発光素子とは、発光層がn型クラッド層とp型クラッド層および活性層からなる以外は、本発明の発光素子と同様の組成及び厚さのもののことである。
通常、障壁層領域にはMgが活性層より多く滞留しているため、GaP窓層成長や接合時の熱処理の際の熱エネルギーにより障壁層から活性層へp型不純物が拡散し、欠陥を形成しやすい。しかしながら、障壁層中のp型不純物量は一定量を超えることがないため、発光を阻害する欠陥を形成する領域が活性層において一定の幅以上には広がらないと推定される。
このように、計算上は活性層の厚さを減じるにつれて一様に内部量子効率は増加するはずであるが、この結果は本実験例1とは一致しない。これは、活性層中に不純物が存在しない理想状態では図7のようになるが、本実験例1と一致しないことから、計算の前提(不純物による阻害がない状態)のような状態ではなく、障壁層の不純物による影響が活性層に現れているためと類推される。
また、50nmより厚い場合、Vfが大きいため、好ましい発光素子とはならない。
このように、活性層の厚さは15〜50nmの範囲とすることが重要であることが判った。
同様に図1に示すような発光素子において、障壁層を15nm、活性層の厚さを40nmに固定し、活性層の数を4〜16の範囲で変化させたときの出力上昇(従来のバルク型の出力を100%として)、寿命特性(従来のバルク型の寿命を100%として)、20mAの電流を流すのに必要な電圧(Vf)の結果を表2に示す。
同様に図1に示すような発光素子において、障壁層の厚さを15nm、活性層15nmに固定し、活性層の数を6〜46の範囲で変化させたときの出力上昇(従来のバルク型の出力を100%として)、寿命特性(従来のバルク型の寿命を100%として)、20mAの電流を流すのに必要な電圧(Vf)の結果を表3に示す。
また、実験例2及び3から、活性層数の上限によらず、活性層のトータル厚さが500nmまでは高い出力が維持されていることが判った。
これらのことから、活性層数は少なくとも8層以上必要であり、また活性層の厚さの合計が500nm以下とすることも重要であることが判った。
(実施例1)
図1(c)に示すようなバンドギャップの発光層の発光素子において、障壁層106(x=0.9)の厚さを15nm、活性層(x=0.1)の厚さ50nm、障壁層106の数を9層として発光素子を作製し、出力上昇(従来のバルク型の出力を100%として)、寿命特性(従来のバルク型の寿命を100%として)、20mAの電流を流すのに必要な電圧(Vf)の各特性を調べた。以下実施例2〜5における各特性も、これら3つのことを指す。
図2に示すようなバンドギャップの発光層の発光素子において、障壁層206の厚さを15nm、活性層(x=0.1)の厚さ50nm、障壁層206の数を9層とし、障壁層のAl組成xをn型クラッド層側に近い6層についてはx=0.9とし、7層目をx=0.8、8層目をx=0.7、9層目をx=0.6と変化させた発光素子を製造し、各特性を調べた。
図3(a)に示すようなバンドギャップの発光層の発光素子において、障壁層306aの厚さを15nm、活性層(x=0.1)の厚さ50nm、障壁層306aの数を9層とし、障壁層306aのAl組成xをn型クラッド層に近い6層についてはx=0.9とし、7層目から9層目については、層の中央部のAl組成が最大値(x=0.9)とし、両側に徐々に減少し活性層と接触する位置で最小値(x=0.6)となるように変化させた発光素子を製造し、各特性を調べた。
図4(a)に示すようなバンドギャップの発光層の発光素子において、障壁層406aの厚さを15nm、活性層(x=0.1)の厚さ50nm、障壁層406aの数を9層とし、障壁層406aのAl組成xをn型クラッド層に近い6層についてはx=0.9とし、7層目から9層目については、層のn型クラッド層側から中央部のAl組成が最大値(x=0.9)とし、p型クラッド層側に徐々に減少し活性層と接触する位置で最小値(x=0.6)となるように変化させた発光素子を製造し、各特性を調べた。
図5に示すようなバンドギャップの発光層の発光素子において、障壁層506の厚さを15nm、活性層(x=0.1)の厚さ50nm、障壁層506の数を9層とし、障壁層506のAl組成xをn型クラッド層側に近い6層についてはx=0.9とし、7層目から9層目をx=0.6とした発光素子を製造し、各特性を調べた。
そして実施例1〜5の各特性の評価結果を表4にまとめて示す。
11…電極、
100…化合物半導体基板、
101…n型GaP基板、
102…n型InGaP緩衝層、
103…n型AlGaInP層、
104,204,304a,304b,304c,404a,404b,404c,404d,404e,404f,504…n型クラッド層、
105…活性層、
106,206,306a,306b,306c,406a,406b,406c,406d,406e,406f,506…障壁層、
107…発光層、
108,208,308a,308b,308c,408a,408b,408c,408d,408e,408f,508…p型クラッド層、
109…p型AlGaInP層、
110…p型InGaP緩衝層、
111…p型GaP窓層。
Claims (5)
- 少なくとも、p型クラッド層と活性層と障壁層とn型クラッド層とを有する(AlxGa1−x)yIn1−yP(0<x<1,0.4<y<0.6)からなる発光層を有する化合物半導体基板を用いて製造された発光素子であって、
前記障壁層は前記活性層よりAl組成が高く、また前記p型クラッド層及び前記n型クラッド層に接しておらず、
前記活性層は、厚さが15〜50nm、層の数が少なくとも8層以上、且つその厚さの合計が500nm以下であり、
前記活性層と前記障壁層は交互に積層されたものであることを特徴とする発光素子。 - 前記活性層及び前記障壁層のp型不純物の濃度の平均値が、5×1017atoms/cm3以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
- 前記活性層及び前記障壁層のp型不純物が、Mg、Zn、Cのうちの少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光素子。
- 前記障壁層は、厚さが15〜50nmであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発光素子。
- 前記障壁層は、前記n型クラッド層に近い側の障壁層が前記p型クラッド層に近い側の障壁層に比べてAl組成が同じか高いものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の発光素子。
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