JP2007280988A - 半導体発光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】高輝度化を図ることが可能な半導体発光素子を提供すること。
【解決手段】InGaNを含む活性層3と、活性層3を挟んで積層されたn−GaN層2およびp−GaN層4と、を備える半導体発光素子Aであって、p−GaN層4は、活性層3に直接接しているとともに、GaNにp型不純物がドープされており、かつその少なくとも一部にドープ濃度1×1016〜1×1021atoms/cm3でInがさらにドープされている。
【選択図】 図1
【解決手段】InGaNを含む活性層3と、活性層3を挟んで積層されたn−GaN層2およびp−GaN層4と、を備える半導体発光素子Aであって、p−GaN層4は、活性層3に直接接しているとともに、GaNにp型不純物がドープされており、かつその少なくとも一部にドープ濃度1×1016〜1×1021atoms/cm3でInがさらにドープされている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、InGaNを含む活性層を備えることにより、たとえば青色光を発光可能とされた半導体発光素子に関する。
図5は、従来の半導体発光素子の一例を示している(たとえば特許文献1参照)。同図に示された半導体発光素子Xは、InGaNを含む活性層94と、これを挟んで配置されたn−GaN層92およびp−GaN層96とを備えている。活性層94は、InGaNを含む井戸層とバンド層とが交互に積層された重量子井戸(Multiple Quantum Well:以下MQW)構造とされている。n−GaN層92には、n側電極92aが形成されており、p−GaN層96には、p側電極96aが形成されている。
n−GaN層92と活性層94との間には、第1および第2のn型クラッド層93a,93bが設けられている。p−GaN層96と活性層94との間には、第1および第2のp型クラッド層95a,95bが設けられている。第1のn型クラッド層93aおよび第1のp型クラッド層95aは、n型不純物またはp型不純物がドープされたInGaNからなる。第2のn型クラッド層93bおよび第2のp型クラッド層95bは、n型不純物またはp型不純物がドープされたAlGaNからなる。半導体発光素子Xにおいては、第1および第2のn型クラッド層93a,93bと第1および第2のp型クラッド層95a,95bとによって、キャリアである電子および正孔を活性層94に閉じ込める効果が発揮される。これにより、半導体発光素子Xの発光効率の向上が図られている。
しかしながら、AlGaNからなる第2のp型クラッド層95b、およびGaNからなるp−GaN層96をたとえばMOCVD法によって形成する際には、成膜温度を1,050℃程度とする必要がある。第2のp型クラッド層95bおよびp−GaN層96を形成するときには、すでに活性層94が形成されている。この活性層94が1,050℃程度の高温に曝されると、活性層94に含まれるInが昇華するおそれがある。活性層94からInが昇華してしまうと、青色光など所望の波長帯域の光を効率よく発光することが阻害されてしまう。
また、第1のn型クラッド層93aおよび第1のp型クラッド層95aは、Inの濃度が数%〜25%程度とされている。また、第2のn型クラッド層93bおよび第2のp型クラッド層95bは、Alの濃度が数十%程度とされている。GaNに対するAlやInの濃度が高いほど、黒色または緑色を帯びるものとなり、これらの物質の透明度が低下してしまう。このようなことでは、活性層94からの光が吸収されることとなり、半導体発光素子Xの輝度が低下するという問題があった。
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、高輝度化を図ることが可能な半導体発光素子を提供することをその課題とする。
本発明によって提供される半導体発光素子は、InGaNを含む活性層と、上記活性層を挟んで積層されたn型半導体層およびp型半導体層と、を備える半導体発光素子であって、上記p型半導体層は、上記活性層に直接接しているとともに、GaNにp型不純物がドープされており、かつその少なくとも一部にドープ濃度1×1016〜1×1021atoms/cm3でInがさらにドープされていることを特徴としている。
このような構成によれば、上記p型半導体層のうち少なくともInがドープされた部分を形成するときには、その成膜温度を800〜900℃程度とすることが可能である。このため、上記活性層が形成された後に成膜温度をたとえば1,000℃以上の高温に保つ時間を短縮することが可能である。したがって、上記活性層からInが昇華してしまうことを抑制することができる。また、Inのドープ濃度が1×1016〜1×1021atoms/cm3であれば、上記p型半導体層の透明度が不当に低下することを回避することが可能である。以上より、上述した構成によれば、上記半導体発光素子の高輝度化を図ることができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記p型半導体層は、上記活性層と接する部分にInがドープされている。このような構成によれば、上記活性層を形成した直後に成膜温度を昇温させる必要が無く、上記活性層を形成する際と同様の成膜温度とすることが可能である。また、上記活性層と接する部分を形成した後に、成膜温度を上昇させることがあっても、そのときには、上記活性層は上記p型半導体層の一部によって保護された状態とされている。したがって、上記活性層からInが昇華してしまうことを防止するのに好適である。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記p型半導体層のうち上記活性層と接する部分とは反対側の面にp側電極が形成されており、上記p型半導体層のうち上記p側電極と接する部分にInがドープされている。このような構成によれば、上記p型半導体層と上記p側電極との間に良好なオーミックコンタクトを形成することができる。したがって、上記p側電極からの正孔注入効率を高めることが可能であり、上記半導体発光素子の高輝度化に有利である。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明に係る半導体発光素子の第1実施形態を示している。本実施形態の半導体発光素子Aは、基板1、n−GaN層2、活性層3、およびp−GaN層4を備えている。半導体発光素子Aは、たとえば青色光を図中上方へと出射可能な構成とされている。
基板1は、たとえばサファイア製であり、n−GaN層2、活性層3、およびp−GaN層4を支持するためのものである。本実施形態においては、基板1は、その厚さがたとえば300〜500μm程度とされている。
n−GaN層2は、GaNにSiがドープされたことによりいわゆるn型半導体層とされており、本発明で言うn型半導体層の一例である。本発明においては、n型半導体層は、n−GaN層2のように基板1上に直接形成されたもののほかに、たとえば格子歪を緩和するためのAlN、GaN、AlGaN等からなるバッファ層を介して基板1に間接的に支持されたものを含む概念である。本実施形態においては、n−GaN層2は、その厚さが数μm程度とされている。n−GaN層2は、比較的厚さが厚い厚肉部分と、比較的厚さが薄い薄肉部分とを有している。この薄肉部分には、n側電極21が形成されている。
n−GaN層2と活性層3との間には、超格子層、n型クラッド層、およびn型ガイド層などを適宜設けてもよい。上記超格子層は、たとえばInGaN層とGaN層とが一原子層毎に交互に積層された超格子(Superlattice)構造を有する層である。上記n型クラッド層は、たとえばn型不純物がドープされたAlGaNからなり、活性層3からの光がn−GaN層2側へと漏れることを防止するためのものである。上記n型ガイド層は、たとえばn型不純物がドープされたInGaNからなり、キャリアである電子および正孔を活性層3に閉じ込めるためのものである。
活性層3は、InGaNを含むMQW構造とされた層であり、電子と正孔とが再結合することにより発せられる光を増幅させるための層である。活性層3は、複数のInGaN層と複数のGaN層とが交互に積層されている。上記InGaN層は、Inの組成比が15%程度とされることにより、n−GaN層2よりもバンドギャップが小とされており、活性層3の井戸層を構成している。上記GaN層は、活性層3のバリア層を形成している。本実施形態においては、活性層3は、上記複数のInGaN層と複数のGaN層とが3〜7層ずつ積層されており、その厚さが50〜150nm程度とされている。
p−GaN層4は、GaNにMgがドープされたことによりいわゆるp型半導体層とされており、本発明で言うp型半導体層の一例である。本実施形態においては、p−GaN層4は、その厚さが100〜1500nm程度とされている。p−GaN層4には、p側電極41が形成されている。p側電極41は、たとえばITO(Indium Tin Oxide)またはIZO(Indium Zinc Oxide)からなる透明電極とされている。本実施形態においては、p−GaN層4は、その厚さが0.1〜0.3μm程度とされている。
p−GaN層4の端部4a,4bには、Inがドープされている。端部4aは、活性層3と接する部分であり、端部4bは、p側電極41と接する部分である。図2は、p−GaN層4の厚さ方向におけるInのドープ濃度分布の一例を示している。同図に示すように、端部4a,4bにおいては、ドープ濃度が1×1018atoms/cm3程度とされている。一方、p−GaN層4のうち端部4a,4bに挟まれた中央部分は、Inがドープされていない。なお、p−GaN層4におけるInのドープ濃度は、1×1016〜1×1021atoms/cm3とすればよい。本実施形態においては、端部4a,4bの厚さは、それぞれ数十〜百数十Å程度とされている。
次に、半導体発光素子Aの製造工程の一例を以下に説明する。
まず、基板1をMOCVD法用の成膜室内に導入し、成膜室内の温度である成膜温度を1,100℃とする。次にH2ガスとN2ガスとを上記成膜室内に流すことにより、基板1を洗浄する。
次に、成膜温度を1,060℃とした状態で、NH3ガス、H2ガス、N2ガス、およびたとえばトリメチルガリウム(以下、TMG)ガスのようなGa源(以下、単にGa源という)を上記成膜室内に供給する。この際、n型のドーパントであるSiのドープを行うためにSiH4ガスを同時に供給する。これにより、基板1上にn−GaN層2を形成する。
次に、成膜温度を700〜800℃、たとえば約760℃とした状態で、NH3ガス、H2ガス、N2ガス、Ga源、およびたとえばトリメチルインジウム(以下、TMIn)ガスのようなIn源(以下、単にIn源という)を上記成膜室内に供給する。これにより、Inの組成比が15%程度である井戸層としてのInGaN層を形成する。
上記井戸層を形成した後は、成膜温度を760℃とした状態で、NH3ガス、H2ガス、N2ガス、およびGa源を供給する。これにより、バリア層としてのGaN層を形成する。
この後、上述した井戸層としてのInGaN層およびバリア層としてのGaN層の形成を交互に行う。それぞれの層を3〜7層程度形成することにより、MQW構造を有する活性層3が得られる。
次に、成膜温度を1,000℃以下、たとえば900℃程度とした状態で、NH3ガス、H2ガス、N2ガス、Ga源、およびIn源を供給する。この際、p型のドーパントであるMgのドープを行うために、Cp2Mgガスを同時に供給する。これにより、Inのドープ濃度が1×1018atoms/cm3である端部4aを形成する。
次に、成膜温度を1,050℃とした状態で、NH3ガス、H2ガス、N2ガス、およびGa源、およびCp2Mgガスを供給する。これにより、p−GaN層4の中央部分を形成する。
次に、再び成膜温度を1,000℃以下、たとえば900℃程度とした状態で、NH3ガス、H2ガス、N2ガス、Ga源、In源、およびCp2Mgガスを供給する。これにより、Inのドープ濃度が1×1018atoms/cm3である端部4bを形成する。この後は、n側電極21およびp側電極41を形成することにより、半導体発光素子Aの製造が完了する。
次に、半導体発光素子Aの作用について説明する。
本実施形態によれば、p−GaN層4を形成する工程において、端部4a,4bを形成するときには、成膜温度を1,000℃以下、たとえば900℃程度とすればよい。p−GaN層4のうちInがドープされていない中央部分は、端部4a,4bの分だけその厚さが薄くなっている。このため、この中央部分を形成するために成膜温度を1,050℃とすべき時間を短縮することができる。また、成膜温度が1,050℃とされたときには、活性層3は、端部4aによって覆われた状態とされている。したがって、活性層3が1,000℃を超える高温に長時間曝されることによりInが昇華してしまうことを抑制することが可能であり、活性層3からの発光効率を向上させることができる。
端部4a,4bに対してInを1×1018atoms/cm3の濃度でドープすることにより、たとえばGaNにInが数十%程度含まれる場合と比べて、端部4a,4bの透明度を高めることが可能である。これにより、活性層3からの光がp−GaN層4によって吸収されることを抑制することができる。また、端部4a,4bに挟まれた中央部分は、Inをまったく含んでいない。このため、この中央部分は、透明度が非常に高いものとされている。これは、半導体発光素子Aの高輝度化に適している。なお、成膜温度を900℃程度の比較的低い温度としつつ、高輝度化に適した透明度とするには、端部4a,4bのInのドープ濃度は、1×1016〜1×1021atoms/cm3程度であることが好ましい。
端部4bにInをドープすれば、端部4bとp側電極41との間にオーミックコンタクトを確実に形成することが可能である。したがって、p側電極41からの正孔注入効率を高めることができる。
図3および図4は、本発明の第1実施形態の変形例を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図3は、図1に示す半導体発光素子Aのp−GaN層4のInドープ濃度分布の他の例を示している。同図に示されたp−GaN層4においては、端部4a,4bだけでなく、これらに挟まれた中央部分にもInがドープされている。この中央部分におけるIn濃度は、1×1018atoms/cm3以下程度とされている。このような構成によれば、p−GaN層4を形成する期間のすべてにおいて、成膜温度を800〜900℃程度とすることが可能である。このため、活性層3がたとえば1,000℃以上の高温に曝されることがまったくない。これは、活性層3からのInの昇華を回避するのに好適である。
図4は、図1に示す半導体発光素子Aのp−GaN層4のInドープ濃度分布のさらに他の例を示している。同図に示されたp−GaN層4においては、Inドープ濃度がその厚さ方向において一定とされている。このような構成によっても、活性層3からInが昇華することを回避しつつ、p−GaN層4をその透明度が良好なものとすることができる。この例から理解されるように、p−GaN層4のInドープ濃度が一定であってもそのドープ濃度を1×1016〜1×1021atoms/cm3とすれば、本発明の意図する効果を発揮させることができる。
図5および図6は、本発明に係る半導体発光素子の第2および第3実施形態におけるp−GaN層4のInのドープ濃度分布を示している。図5に示すように、本発明の第2実施形態においては、p−GaN層4のうち活性層3側に位置する端部4aに1×1018atoms/cm3程度の濃度でInがドープされている。一方、上述した第1実施形態における端部4bに相当する部分には、Inがドープされていない構成とされている。
このような実施形態によっても、活性層3を形成した後にInがドープされた端部4aが形成される。このため、p−GaN層4を形成する際に、成膜温度を1,000℃以上とすべき時間を短縮することが可能であり、活性層3が1,000℃以上の高温に長時間曝されることを回避することができる。
図6に示すように、本発明の第3実施形態においては、p−GaN層4のうちp側電極41側に位置する端部4bに1×1018atoms/cm3程度の濃度でInがドープされている。一方、上述した第1実施形態における端部4aに相当する部分には、Inがドープされていない構成とされている。このような実施形態によっても、p−GaN層4を形成する際に、成膜温度を1,000℃以上の高温とすべき時間を短縮することが可能であり、活性層3からInが昇華してしまうことを抑制することができる。
本発明に係る半導体発光素子は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る半導体発光素子の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
活性層は、InGaN層とGaN層との組み合わせに代えて、互いのIn組成比が異なる2種類のInGaN層を交互に積層させた構成としても良い。また、本発明で言う活性層は、MQW構造に限定されない。本発明に係る半導体発光素子は、青色および緑色光のほかに白色光など、様々な波長の光を発する構成とすることができる。
A 半導体発光素子
1 基板
2 n−GaN層(n型半導体層)
3 活性層
4 p−GaN層(p型半導体層)
4a,4b 端部
21 n側電極
41 p側電極
1 基板
2 n−GaN層(n型半導体層)
3 活性層
4 p−GaN層(p型半導体層)
4a,4b 端部
21 n側電極
41 p側電極
Claims (3)
- InGaNを含む活性層と、
上記活性層を挟んで積層されたn型半導体層およびp型半導体層と、を備える半導体発光素子であって、
上記p型半導体層は、上記活性層に直接接しているとともに、GaNにp型不純物がドープされており、かつその少なくとも一部にドープ濃度1×1016〜1×1021atoms/cm3でInがさらにドープされていることを特徴とする、半導体発光素子。 - 上記p型半導体層は、上記活性層と接する部分にInがドープされている、請求項1に記載の半導体発光素子。
- 上記p型半導体層のうち上記活性層と接する部分とは反対側の面にp側電極が形成されており、
上記p型半導体層のうち上記p側電極と接する部分にInがドープされている、請求項1または2に記載の半導体発光素子。
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