JP2011091103A - 発光素子 - Google Patents

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順也 石崎
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Abstract

【課題】GaP厚膜の成長を伴う発光素子において、高電流を印加しても高輝度・長寿命の、高い信頼性を保ちうる発光素子を提供する。
【解決手段】少なくとも、n型GaP基板上に、(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1.0,0.4≦y≦0.6)からなる混晶により構成されたn型クラッド層、活性層、p型クラッド層及びp型緩衝層と、p型GaP電流拡散層とを有する発光素子であって、少なくとも前記p型クラッド層、前記p型緩衝層、前記p型GaP電流拡散層からなるp型層領域内に、p型ドーパントの1/50以上8/10以下の濃度のn型ドーパントがドープされたnドープ領域を有することを特徴とする発光素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、照明や表示機の光源となる有色の発光素子に関し、具体的には、高電流印加時であっても、長寿命化及び高信頼性が両立される発光素子に関するものである。
AlGaInPを発光層に持つ発光素子は従来の有色の発光素子に比べて1桁以上明るいため、車載照明やLCDバックライトなど従来の発光ダイオードとは異なる用途で需要が拡大している。これは、AlGaInPが直接遷移型であるということも寄与しているが、透明かつ厚い窓層を設けることで外部量子効率を高めていることも明るくなっている要因にある。
一方、内部量子効率を高めるため、厚い透明導電層を基板及び窓層に設けるとともに、多重量子井戸(MQW)を設けることで発光効率を高めることができることが、例えば非特許文献1等に示されている。
ここで、AlGaInP系発光素子では、AlGaAs若しくはGaPが窓層として用いられる。AlGaAs層は水分に対して劣化する特性上の問題があり、一般的にはGaPが用いられている。しかしながら、厚いGaP層を設けるためにはAlGaInP発光層部に直接GaP基板を接合するか、GaPの厚膜を結晶成長させなければならない。
しかし、GaP基板を直接接合する方法では、例えば特許文献1に示されているようにGaPとの接合界面で障壁層が生じる問題があり、これを回避するために、長時間かつ高温の熱処理が必要となる。
また、窓層は一方の面に設けても発光効率の向上には有効だが、他方の面、すなわち発光層の上下に設けた方がより外部量子効率が高まることが知られている。この場合、他方の窓層は、貼り合わせ、若しくは結晶成長によって形成されるが、GaAs基板は光吸収層として機能するため、この他方の窓層形成前にGaAs基板を除去する必要がある。
しかし、発光素子に必要なAlGaInP系材料からなる層構造は、一般にはGaAs基板上にMOVPE法で形成するが、その総膜厚はせいぜい10μm前後である。
AlGaInP系とGaAs系は格子整合系ながら、選択エッチング法の利用が可能である。そのため、選択エッチングに要する層を適切にGaAs基板とAlGaInP層との間に挿入することでGaAs基板を除去することができる。
ただし、発光に必要な機能層を作るために必要なAlGaInP系材料の総膜厚はせいぜい10μm程度であり、AlGaInP層のみでGaAs基板を除去することにすると、残存ウエハの膜厚は10μm前後になってしまう。このような10μm前後の膜厚のウエハは実験的にはハンドリングは可能だが、非常に割れやすく、工業的な工程を通すために必要な機械的強度を有しない。
そのため、GaAs基板除去前に機械的強度を保つための強度保持板(あるいはウエハ)を、AlGaInP成長面側に貼り付けてから除去する方法も考えられる。
この場合、除去されたGaAs基板面側にGaP基板を貼り付け、若しくは結晶成長でGaPを設ける訳だが、GaP基板を貼り付けた後、強度保持板(あるいはウエハ)は剥離(除去)しなければならず、剥離に伴って洗浄が必要であったり、汚染などの懸念があり、工業的にはコストが上がるばかりであまりメリットがない。
従って、省コストで工業的な工程を通すためには、GaAs基板除去前に、厚膜GaP層を結晶成長することでウエハに機械的強度を持たせる方法を選択する方が、GaP層部で光取出し層と強度保持板を兼ねることができるため合理的である。
ところで、工業的工程を通すために十分な機械的強度を持たせるために必要な厚さは20μm以上である。しかし20μm以上の膜厚のGaP層を結晶成長させるためには数〜十数時間が必要である。そして、GaP層は厚膜になるほど外部量子効率が増すため、成長時間が長くはなっても短くなる事はない。
ここで、GaP層の成長に要する温度は、一般にAlGaInP層を成長するために必要な温度より同等以上の高温が必要であり、AlGaInP発光層部はMOVPE成長時の温度、若しくはそれより高い温度に長時間さらされることになる。
しかし、p導電型クラッド層には、MgやZn等のp型ドーパントがドーピングされており、加熱されることによってこのp型ドーパントは熱力学に従って拡散し、活性層中にも拡散することになる。この活性層中に拡散したp型ドーパントは欠陥を形成しやすいため、通電などによる素子寿命試験時に欠陥を形成し、その結果、キャリア注入効率の低下、光吸収の増大等を引き起こし、寿命試験時に光出力の低下現象を引き起こす。
また、間接遷移型のGaP窓層と直接遷移型のAlGaInPからなるクラッド層はバンド帯不連続量が大きく、かつ、格子不整合率が大きいため、GaPとAlGaInPの直接接合界面を形成すると大きな空乏層領域が生じる。
この大きな空乏層の発生による直列抵抗成分の発生を回避するため、例えば特許文献2に示されるような傾斜組成を有するAlGaInP緩衝層を設ける方法や、特許文献3に示されるようなクラッド層よりAl組成の低いAlGaInP中間層を設ける方法が開示されている。これらのいずれの方法も、バンド帯不連続量を緩和する方法である。
その他の空乏層を小さくする方法としてドーピング量を増やす方法もあり、先に明示した両者の文献でもp型クラッド層より相対的に多い量のp型ドーパントを中間層にドーピングしている。
しかし、p型ドーパントであるMgやZnはAlGaInP中の拡散速度が速いことが知られており、クラッド層よりドーピング量が多いp型緩衝層からの拡散は寿命特性に大きな影響を及ぼす。
このp型緩衝層からのMgやZnの拡散を抑制する方法として、特許文献4、5に開示されている様に、n型ドーパントをp型中間層にドーピングする方法が開示されている。例えば、特許文献5によれば、p型ドーパント量の0.1〜140%のn型ドーパントをドーピングすることで長寿命を達成できることが記載されている。
しかしながら、p型ドーパント量を上回るn型ドーパントを緩衝層にドーピングする事は、緩衝層での空乏層を増大させるだけであり、発光素子の長寿命化の問題以前に、直列抵抗成分を増大させるため、発光素子としての使用は困難である。
また、これらの技術はGaAs基板を用いたままである。前述のようにGaAs基板は高輝度化のためには除去することが必須であるが、上述の特許文献4,5は、GaAs基板を用いる場合の熱履歴に最適化されており、GaAs基板の除去に伴う工程(熱履歴)の増加に対応できていない。
そして、p型ドーパントの拡散は(AlGa1−xIn1−yP中のAl組成xに大きく依存する。このため、Al組成xが少なければドーパントの拡散が早いため、ドーパントが滞留しにくい。例えば、活性層はAl組成xが少ないため、活性層中のドーパント拡散速度は、Al組成xの高いクラッド層より相対的に早く、ドーパントが滞在しにくい。
また、ドーパント濃度は隣接する層のドーパント濃度によって変わるが、活性層に隣接する層にはキャリア閉じ込めのためのクラッド層が必要であり、一般にクラッド層はドーピングされている。従って、クラッド層は活性層よりワイドバンドギャップである必要があるため、Al組成xが大きく、ドーパント拡散は活性層より遅い。
また、活性層への注入効率を落とさないため、クラッド層はある程度以上の濃度のドーパントを保持していなければならないため、ドーパント濃度を低減することが難しい。従って、クラッド層に存在するドーパントが活性層中へ拡散することを回避することが困難である。
また、ドーパントの拡散は熱履歴だけではなく、通電によっても発生する。
例えば、p/n接合型素子では電位差が生じており、p型にイオン化したp型ドーパントはp型ドーパントが希薄な領域、もしくはn型ドーパント領域に通電中に拡散する。n型ドーパントも原理的にp型ドーパントと同様の現象が起こるが、n型ドーパントの通電中の拡散はp型に比べて影響は小さい。
この通電によるp型ドーパントの拡散は、発光素子をエピタキシャル成長や素子形成などの熱履歴を受けた後に起こるため、活性層では通電によってp型ドーパントによる汚染領域が広がる。その結果、通電によっても光出力が低下してしまう。電流値(印加電圧値)を大きくすればこの現象はより顕著に発生する。
そしてドーパントの拡散を抑制し、長時間使用しても輝度の劣化が少なく、信頼性の高い発光素子の製造方法として、Al組成の多い層とAl組成の少ない層を交互に積層することでドーパント拡散を制御する方法がある。
例えば、特許文献6のような構造において、活性層膜厚を50nm、障壁層膜厚を50nmと設定して設計に量子効果を用いず、9層障壁層を設けた多重活性層型AlGaInP系発光素子においては、信頼性は多重量子井戸(MQW)型のような薄膜交互積層構造や一様組成の活性層を有する構造と比べて向上している。しかしながら、より高電流を印加するタイプの信頼性試験においてはMQW型や一様組成活性層構造と比べて良好なものの、一般的な信頼性試験では劣化傾向がみられる。
特開2006−32837号公報 特開平10−256667号公報 特開2001−7445号公報 特開2008−91789号公報 特開2008−166399号公報 特開2004−128443号公報
Applied Physics Letters Vo.74 No.15 pp.2230−2232
さて近年、発光素子、とくに発光ダイオードは光源としての用途が広がっているが、これらは点発光素子であるため、光出力を稼ぐためには高電流を通電する必要がある。従って、高電流の通電需要が高く、より高電流の通電条件での信頼性向上を図ることができる発光ダイオードを実現する必要がある。
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、GaP厚膜の成長を伴う発光素子において、高電流を印加しても高輝度・長寿命の、高い信頼性を保ちうる発光素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、少なくとも、n型GaP基板上に、(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1.0,0.4≦y≦0.6)からなる混晶により構成されたn型クラッド層、活性層、p型クラッド層及びp型緩衝層と、p型GaP電流拡散層とを有する発光素子であって、少なくとも前記p型クラッド層、前記p型緩衝層、前記p型GaP電流拡散層からなるp型層領域内に、p型ドーパントの1/50以上8/10以下の濃度のn型ドーパントがドープされたnドープ領域を有することを特徴とする発光素子を提供する。
このように、少なくともp型クラッド層、p型緩衝層、p型GaP電流拡散層からなるp型層領域内に、p型ドーパントの1/50以上8/10以下の濃度のn型ドーパントがドープされたnドープ領域を有する発光素子とする。
このように、n型ドーパントがドープされたnドープ領域では、イオン化したn型ドーパントによってイオン化したp型ドーパントが電気的に引き寄せられるため、p型ドーパントの拡散が抑制される。このため、加熱処理を行っても、印加電圧を大きく(高電流を印加)してもp型ドーパントの拡散が抑制され、活性層でのp型ドーパント濃度を低くすることができる。よって、GaP厚膜の形成が行われたり、通電を長時間行ったものであっても、活性層中に欠陥が形成されにくく、キャリアの注入効率が低下せず、また光吸収が増加しない高輝度かつ長寿命の発光素子が提供される。
また、p型ドーパントの1/50以上の濃度のn型ドーパントがドープされたものであるため、n型ドーパントがドープされた効果(p型ドーパントを電気的に引き寄せて拡散を抑制する)が十分に発揮され、たとえ高電流が印加されても信頼性が低下することのない発光素子とすることができる。
そして、p型ドーパントの8/10以下の濃度のn型ドーパントがドープされたものとすることによって、p型キャリアの量がn型キャリアの量を下回ることを防止でき、ダイオード特性ではなくサイリスタ特性を示す(pnpn接合のサイリスタが形成される)ことが抑制される。また、直列抵抗成分が増加することを避けることができ、通電前後において通電時の電圧が従来に比べて高い発光素子となることを避けることができる。
ここで本発明におけるnドープ領域のn型ドーパントのドープ濃度とは、当該nドープ領域が存在する箇所におけるp型ドーパントのドープ濃度に対して1/50以上8/10以下の濃度とするものである。
ここで、前記nドープ領域は、1原子層以上の厚さの領域とすることができる。
このように、nドープ領域が1原子層以上の厚さの領域であれば、p型ドーパントの拡散を抑制する領域が十分に厚いものとなり、より信頼性の高い発光素子とすることができる。
そして、前記nドープ領域は、デルタドーピングによって形成された1原子層未満の厚さの領域とすることもできる。
このように、nドープ領域がデルタドーピングによって形成された1原子層未満の厚さの領域であれば、当該領域で高濃度にn型ドーパントが存在したものとなり、p型ドーパントの拡散を強く抑制することができる。また、1原子層未満の厚さであるため、当該領域を境に結晶性が変化することが抑制されたものであり、結晶性の低下が防止されたものとすることもできる。
ここで、1原子層未満の厚さとは、対象の原子層の全てがn型ドーパントによって構成されたものではなく、他の種類の元素を含むことを意味するものである。
また、前記nドープ領域が、前記p型層領域内に複数存在するようにすることができる。
このように、nドープ領域がp型層領域内に複数存在することによって、p型ドーパントの拡散抑制源が複数存在するものとなり、活性層中のp型ドーパント濃度がより低減されたものとなる。よって、更に高信頼性の発光素子とすることができる。
そして、前記nドープ領域が、前記p型層領域の全域に渡る領域であるようにすることもできる。
このように、nドープ領域が、p型層領域の全域に渡る領域である発光素子であれば、p型層領域の全面においてp型ドーパントの拡散が抑制されるため、高電流が印加されたり、長時間・高温の熱処理が行われたものであってもp型ドーパントの拡散が強く抑制されたものとなる。従ってより高い信頼性を有する発光素子を得ることができる。
更に、前記nドープ領域が、前記p型クラッド層と前記p型緩衝層の界面には設けられていないようにすることができる。
界面においては、p型ドーパントの濃度プロファイルが拡散によってだれることがあるため、この界面にnドープ領域を設けないことによって、n型ドーパントのドープ量がp型ドーパントの8/10以下とならない事態となることを確実に防止することができる。特に、p型クラッド層とp型緩衝層の界面では大きなバンドギャップ差異が生じるため、この領域にはnドープ領域を設けないことがより望ましい。
また、前記nドープ領域が、前記p型クラッド層と前記p型緩衝層の界面または前記p型緩衝層と前記p型GaP電流拡散層の界面のうち少なくとも一方に設けられたものとすることができる。
層と層の界面では、元々p型ドーパントの拡散が抑制される。そのため、この界面にnドープ領域を設けられた発光素子では、p型ドーパントの拡散が更に強く抑制されたものとなり、更に高輝度・長寿命な高信頼性の発光素子が提供される。
そして、前記p型GaP電流拡散層は、前記p型緩衝層から10μm未満の距離ではMg、Znの両方がドープされ、また10μm以上の距離ではZnのみがドープされたものであることが好ましい。
上述のようにp型ドーパントがGaP電流拡散層にドープされた発光素子であれば、GaP層中やp型緩衝層からのドーパント濃度変化が緩くなり、発光素子の結晶性をより良好なものとすることができ、通電時の電圧の上昇の防止・輝度向上を達成することができる。
更に、前記p型層領域中のp型ドーパントはMg、Znのいずれか1つ以上であり、前記nドープ領域中のn型ドーパントはSi、Se、Te、Cのいずれか1つ以上であることが好ましい。
上述のようなドーパントは、発光素子にドープされるドーパント元素として一般的であり、コスト面でも優れた発光素子とすることができる。
以上説明したように、本発明によれば、GaP厚膜の成長を伴う発光素子において、高電流を印加しても高輝度・長寿命な、高い信頼性を保ちうる発光素子を提供することができる。
本発明の発光素子の概略の一例(a)と、p型層領域におけるp型ドーパントとn型ドーパントの濃度プロファイルの一例(b)を示した図である。 本発明の発光素子のp型層領域におけるp型ドーパントとn型ドーパントの濃度プロファイルのその他の例を複数示した図である。
以下、本発明について図を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の発光素子は、少なくとも、n型GaP基板上に、(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1.0,0.4≦y≦0.6)からなる混晶により構成されたn型クラッド層、活性層、p型クラッド層及びp型緩衝層と、p型GaP電流拡散層とを有するものである。
そして、少なくともp型クラッド層、p型緩衝層、p型GaP電流拡散層からなるp型層領域内に、p型ドーパントの1/50以上8/10以下の濃度のn型ドーパントがドープされたnドープ領域を有するものである。
ここで、p型層領域内のn型ドーパント量がp型ドーパント量の8/10、すなわち80%を超えた場合、p型キャリアの量がn型キャリアの量を下回り、ダイオード特性ではなくサイリスタ特性を示すため、発光素子として機能することが困難になる。従って、n型ドーパント量をp型ドーパント量の80%以下に保つことが必要である。p型ドーパントを複数種類ドープした場合は、n型ドーパントはp型ドーパントの総和の8/10以下とする。
また、n型ドーパントドープ量がp型ドーパント量の1/50未満、すなわち2%未満の場合、n型ドーパント量が少なくなり、p型ドーパントの拡散を抑制するのに必要十分な量のn型ドーパントを確保できず、ドープする意義がない。このため、n型ドーパント量はp型ドーパントの1/50以上とする。
n型ドーパントがドープされたnドープ領域では、イオン化したn型ドーパントによってイオン化したp型ドーパントが電気的に引き寄せられるため、p型ドーパントの拡散が抑制される。このため、高電流を印加したり、加熱処理を行った場合でも、p型ドーパントの拡散が抑制され、活性層中のp型ドーパント濃度が従来に比べて低くなる。すなわち、従来に比べて高輝度かつ長寿命な発光素子となる。よって、GaP厚膜の形成が行われたり、通電を長時間行ったものであっても活性層中に欠陥が形成されにくく、キャリアの注入効率が低下せず、光吸収が増加しない高い信頼性を有する発光素子となる。
ここで、p型GaP電流拡散層は、p型緩衝層から10μm未満の距離ではMg、Znの両方がドープされ、また10μm以上の距離ではZnのみがドープされたものとすることができる。
上述のようなプロファイルでp型ドーパントがp型GaP電流拡散層にドープされた発光素子とすることによって、p型GaP電流拡散層中やp型緩衝層からp型GaP電流拡散層にかけてのドーパント濃度変化を緩くすることができる。よって、発光素子の結晶性をより良好なものとすることができ、通電時の電圧の更なる低下・輝度の更なる上昇を達成することができる。
また、p型層領域中のp型ドーパントはMg、Znのいずれか1つ以上であり、nドープ領域中のn型ドーパントはSi、Se、Te、Cのいずれか1つ以上とすることができる。
上述のようなドーパントは、ドーパント元素として一般的に用いられるものであり、コスト面でも優れた発光素子となる。
以下、本発明について具体的な実施形態を示して説明するが、もちろんこれに限定されない。
まず、第1の実施形態について図を参照して説明する。
図1は本発明の発光素子の概略の一例と、p型層領域におけるp型ドーパントとn型ドーパントの濃度プロファイルの一例を示した図である。
この発光素子10は、第一層として、厚さ30〜150μm、ドーパント濃度5×1017〜5×1018/cmのn型GaP基板101と、第二層として、厚さ10〜100nm、ドーパント濃度1×1018〜1×1019/cm、GaIn1−xP(0.5<x<0.9)からなるn型InGaP緩衝層102と、第三層として、厚さ0.1〜1.5μm、ドーパント濃度1×1017〜1×1018/cm、(AlGa1−xIn1−yP(0.5<x<0.7,0.45<y<0.55)からなるn型AlGaInP層(n型層)103と、第四層として、厚さ0.5〜1.5μm、ドーパント濃度1×1017〜1×1018/cm、ドーパントがSiもしくはSe、(AlGa1−xIn1−yP(0.7<x<1,0.45<y<0.55)からなるn型AlGaInP層(n型クラッド層)104と、第五層として、厚さ0.3〜1.0μm、(AlGa1−xIn1−yP(0.5<x<0.7,0.45<y<0.55)からなるAlGaInP活性層105と、第六層として、厚さ0.1〜1.5μm、ドーパント濃度5×1015〜1×1018/cm、(AlGa1−xIn1−yP(0.5<x<0.7,0.45<y<0.55)からなるp型AlGaInP層(セットバック層)106と、第七層として、厚さ0.1〜1.5μm、ドーパント濃度5×1016〜3×1018/cm、(AlGa1−xIn1−yP(0.7<x<1.0,0.45<y<0.55)からなるp型AlGaInP層(p型クラッド層)107と、第八層として、厚さ0.001〜0.5μm、ドーパント濃度3×1017〜3×1019/cm、GaIn1−yP(0.45<y<1)からなるp型InGaP緩衝層108と、第九層として、厚さ30〜150μm、ドーパント濃度5×1017〜5×1018/cmのp型GaP窓層(p型GaP電流拡散層)109とからなるものである。
なお、図1のように、AlGaInP活性層105とp型クラッド層107との間にp型のセットバック層106を設けることができるが、設けないこともできる。
そして、p型クラッド層107、p型緩衝層108、p型GaP電流拡散層109からなるp型層領域113内に、p型ドーパントの1/50以上8/10以下の濃度のn型ドーパントがドープされたnドープ領域114を有するものである。
なお、図1のようにセットバック層106を設けた場合、このセットバック層106もp型層領域に含まれるものとなる。
p型層領域113のp型ドーパントは、p型GaP電流拡散層109を積層させる際や、n型GaP基板を形成する際の熱履歴、発光ダイオード形成時の熱拡散等によって、エピタキシャル成長時より漸次変化したプロファイルを有することになる。
この濃度プロファイルの変化の様子を図1(b)に示すが、エピタキシャル成長時のシーケンスではプロファイル110のような形状となる。しかし、その後の熱履歴によってプロファイル111のような形状に変化する。
これは本質的に高濃度層から低濃度層への拡散現象であり、濃度境界層付近の変化分が大きい。しかし、このプロファイル111への変化は、総プロセスの熱履歴が一定であれば予測可能である。
ここで、上述のようにp型層領域にn型ドーパントがドーピングされたものであれば、p型ドーパントの拡散が抑制されるため、プロファイル111はプロファイル110に近づく傾向にある。
従って図1(b)に示すように、熱履歴後のp型ドーパントプロファイルの各点において、MgやZnからなるp型ドーパントの和の80%を超えないn型ドーパントプロファイルになるように、p型緩衝層108の界面からセットバック層106への界面にかけて漸次減少させたプロファイルでn型ドーパント(Si)をプロファイル112の様にドーピングされたものとすることが望ましい。
このプロファイル112を実現するための方法は、エピタキシャル成長時のシーケンスにおけるSiH流量を変えるだけでよく、実現は容易である。また、SiのAlGaInP中の拡散速度はp型ドーパントに比べて2桁以上小さく、エピタキシャル成長時のプロファイルは、熱処理後でも概ね保たれる。
このように、nドープ領域が、p型層領域の全域に渡る領域とすることができ、これによって、p型層領域の全面においてp型ドーパントの拡散が抑制される。従って、より高い信頼性を有する発光素子となる。
この際、プロファイル112のままでn型ドーパントのドーピングが行われたものであれば、p型クラッド層107においてはセットバック層106との境界付近、p型緩衝層108においてはp型クラッド層107とp型GaP電流拡散層109の境界付近において、n型ドーパントがp型ドーパントの80%量を上回る可能性がある。
p型ドーパントによる拡散抑止効果は概ね、n型ドーパント1に対してp型ドーパント1の関係にある。従ってp型ドーパント量の1/2以下にn型ドーパントのドーピングが行われたものであることがより望ましい。
また、p型緩衝層108は、GaIn1−xP(0.5<x<0.9)とすることが望ましい。
GaIn1−xP(0.5<x<0.9)からなる層が緩衝層として設けられた発光素子であれば、AlGaInPとGaPとの間の格子不整合がより小さなものとなり、発光素子の素子特性の向上により好適である。
次に第2の実施形態について図を参照して説明する。図2は、本発明の発光素子のp型層領域におけるp型ドーパントとn型ドーパントの濃度プロファイルのその他の例を複数示した図である。
第2の実施形態は、第1の実施形態(図1(a))と同様の発光素子の構造であるが、p型クラッド層の内部に、矩形関数的に1つ以上n型ドーパントがドーピングされた領域(nドープ領域)を有するものである。
複数のnドープ領域を設ける場合、n型ドーパントのドーピング量は熱履歴後のp型ドーパントの拡散プロファイルに従うように、p型ドーパントの各点の総和の80%を超えない範囲で、p型緩衝層108からセットバック層106に近づくにつれて漸次減少して実施されたものとすることがより望ましい。
このように、nドープ領域が1原子層以上の厚さの領域であれば、p型ドーパントの拡散を抑制する領域が十分に厚いものとなり、より信頼性の高い発光素子とすることができる。
更に、nドープ領域が、p型クラッド層とp型緩衝層の界面には設けられていないものとすることができる。
界面においては、p型ドーパントの濃度プロファイルが拡散によってだれることがある。その場合p型ドーパント濃度の8/10以下とならない領域が発生することが完全に防ぐことができないことがあるが、界面にnドープ領域を設けられていないものとすることによって、p型ドーパント濃度の8/10以下とならない領域が発生することを確実に防止することができる。
特に、p型クラッド層107とp型緩衝層108の界面には大きなバンドギャップ差異が生じるため、界面から数十〜数百nmの領域はnドープ領域を設けないものとすることが望ましい。
また、nドープ領域が、p型クラッド層とp型緩衝層の界面またはp型緩衝層とp型GaP電流拡散層の界面のうち少なくとも一方に設けられたものとすることができる。
一般的に、層と層の界面においては、組成が異なるため格子定数が異なっており、エネルギー障壁が存在する。これによって、界面ではドーパントの拡散が抑制される。
その界面にnドープ領域が設けられた発光素子は、p型ドーパントの拡散が界面とnドープ領域が重なった箇所において更に強く抑制されたものである。従って、更に高輝度・長寿命な高信頼性の発光素子となる。
ここで、図2(a)は、p型クラッド層107に1つの矩形関数のnドープ領域を設けた場合のn型ドーパントの濃度プロファイル201の一例である。
また図2(b)は、p型クラッド層107に複数の矩形関数のnドープ領域を設けた場合のn型ドーパントの濃度プロファイル202の一例である。図2(b)では、p型クラッド層107に対しての例示だが、p型緩衝層108、p型GaP電流拡散層109に対して矩形関数のnドープ領域を設けても同様の効果がある事はいうまでもない。
このように、nドープ領域がp型層領域内に複数存在する場合、p型ドーパントの拡散抑制源が複数存在することになり、活性層中のp型ドーパント濃度は更に低減されたものとなる。従って、更に高信頼性の発光素子となる。
図2(c)は、p型緩衝層108にnドープ領域を設けた時のn型ドーパントの濃度プロファイル203の一例である。
また図2(d)は、p型緩衝層108に矩形ではなく、肩が落ちたプロファイルを有するnドープ領域を設けた時のn型ドーパントの濃度プロファイル204の一例である。片方の肩が落ちた形状でも効果は同じであり、階段状のプロファイルをとっても、矩形プロファイルの中央部のドーピング濃度を減じた凹状のプロファイルをとっても、矩形プロファイルではなく連続的にドーピング濃度が増加し、連続的に減少するプロファイル形状であっても効果は同様である。
上記2つの例は、p型緩衝層108にnドープ領域を設けた時の例だが、p型クラッド層107、p型GaP電流拡散層109に、プロファイル204と同型のnドープ領域を設けても同様の効果が得られる。
そして、図2(b)の様に、複数個のnドープ領域を設ける場合にも、プロファイル204と同型のnドープ領域を設けても同様の効果が得られる。
そして、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態は、第1の実施形態(図1(a))と同様の構造の発光素子において、p型クラッド層107とp型緩衝層108の界面に、nドープ領域として、デルタ(Δ)関数的にn型ドーパントがドーピングされたものである。あるいは、p型緩衝層108とp型GaP電流拡散層109の界面にデルタ関数的にn型ドーパントがドーピングされたものとすることもできる。
デルタ関数的にドーピングされたnドープ領域は、1原子層に満たない厚さで行われたものである必要がある。
これは、デルタドーピングで1原子層を超えた場合、n型ドーパント元素の単原子層が存在することとなるため、格子不整が大きくなる。そして、この層以後はエピタキシャル成長が行われず、ポリ結晶となって、発光素子が得られないためである。
例えばn型ドーパントとしてSiを用いた場合、閃亜鉛鉱のAlGaInP材料上にダイヤモンド構造のSi結晶が積層されることになり、格子定数や結晶構造が異なるため、エピタキシャル成長は困難である。
このように、nドープ領域がデルタドーピングによって形成された1原子層未満の厚さの領域であれば、当該領域で高濃度にn型ドーパントが存在するものであり、p型ドーパントの拡散が強く抑制されたものとなる。また、1原子層未満の厚さであるため、当該領域を境に結晶性が変化することが抑制されたものであり、結晶性の低下が防止されたものとなる。
ここで、p型クラッド層107とp型緩衝層108の界面にデルタドープされたnドープ領域のn型ドーパント量は、バルク層換算でドーパント量の少ない側のp型クラッド層107のp型ドーパントの1/50以上8/10以下の関係を満たしたものとすることが望ましい。
また、p型緩衝層108とp型GaP電流拡散層109の界面にデルタドープされたnドープ領域のn型ドーパント量も、バルク層換算でドーパント量の少ないp型GaP電流拡散層109のp型ドーパントの1/50以上8/10以下の関係を満たすものとすることが望ましい。
上記例示では、個別にデルタドーピングによって行われたnドープ領域を有する発光素子について説明したが、p型クラッド層107とp型緩衝層108の界面及びp型緩衝層108とp型GaP電流拡散層109の界面に同時にn型ドーパントがデルタドーピングされた発光素子であっても、p型ドーパントの拡散が抑制されるとの効果が発揮された発光素子となることはもちろんである。
更に、第4の実施形態について説明する。
第1の実施形態(図1(a))と同様の構造の発光素子において、p型緩衝層108に設けられたnドープ領域は、p型クラッド層107側の領域若しくはp型GaP電流拡散層109側の領域、あるいはその両者の領域に数〜数十nmの幅にわたってn型ドーパントがドーピングされていない領域が存在するものである。
n型ドーパントがドープされたことによってp型緩衝層108のキャリア濃度が減ることになるため、p型緩衝層108の界面における空乏層の増大に伴う直列抵抗成分の増大という現象が発生することになるが、上述のような構造のnドープ領域を設けることによって、先の問題の発生を確実に回避することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1−6、比較例1−3)
上述の第1の実施形態において、n型ドーパントをSiとし、セットバック層からp型GaP電流拡散層に掛けての全領域において、p型ドーパントに対するn型ドーパントの割合が、100/100(比較例1)、80/100(実施例1)、50/100(実施例2)、20/100(実施例3)、10/100(実施例4)、5/100(実施例5)、2/100(実施例6)、1/100(比較例2)、0/100(比較例3)となるようにn型ドーパントが全領域に渡ってドープされた発光素子を準備した。
なお、p型/n型ドーパントの濃度比は各層の中央付近での比率で表しており、層の中央付近のp型ドーパント量は、エピタキシャルシーケンスの概ね90%前後の濃度とした。これによって、発光素子としたときに上記割合を満たすものとなる。
また、p型ドーパントの拡散による異なる層境界付近でのp型ドーパント量の減少を考慮して、各層の中央付近から活性層側に向けて漸次n型ドーパントを減少させた。そして漸次n型ドーパントを減少させる幅は各層厚の10%の幅とし、減少幅は中央付近の濃度の1/5とした。
そして、20mA通電時の電圧値Vfと、信頼性試験として85℃雰囲気で50mAの電流で加速通電し、100時間経過後の光出力残光率と20mA通電時の電圧値Vfのデータを測定した。その結果を表1にまとめて示す。
Figure 2011091103
n型ドーパント量とp型ドーパント量が同量の比較例1の発光素子の場合、試験前の段階においてVfが極めて高く、信頼性試験後にも大きくVfが上昇していたことが判った。また、発光素子自体がサイリスタ特性を示していることが確認された。
これに対し、80/100の実施例1の場合、Vf上昇は抑制され、信頼性試験後の残光率はn型ドーピングを行わなかった比較例3の発光素子に比べて大きく改善されたものとなった。
50/100の実施例2、20/100の実施例3、10/100の実施例4、5/100の実施例5、2/100の実施例6ではVfに大きな変化は見られず、残光率も良好な結果であったが、1/100の比較例2ではnドープ領域無しの比較例3とほぼ同程度の残光率、Vfとなることが判った。
nドープ領域のない比較例3は、残光率が低く、長寿命の発光素子とはならなかったことも確認された。
(実施例7−12、比較例4−6)
上述の第2の実施形態において、n型ドーパントとしてSi、p型クラッド層の中央に1層の矩形関数型のnドープ領域を設け、矩形関数のトップの位置での濃度比でp型ドーパントに対するn型ドーパントの割合が、100/100(比較例4)、80/100(実施例7)、50/100(実施例8)、20/100(実施例9)、10/100(実施例10)、5/100(実施例11)、2/100(実施例12)、1/100(比較例5)、0/100(比較例6)とした発光素子を準備した。矩形関数の幅(厚さ)は50nm一定とした。
そして、20mA通電時の電圧値Vfと、信頼性試験として85℃雰囲気で50mAの電流で加速通電し、100時間経過後の光出力残光率と20mA通電時の電圧値Vfのデータを測定した。その結果を表2にまとめて示す。
Figure 2011091103
n型ドーパント量とp型ドーパント量が同量の比較例4の発光素子では、比較例1と同様にVfは上昇し、信頼性試験後にもVfが上昇したことが判った。Vf上昇は比較例1ほどではなかったが、比較例1と同様にサイリスタになっていることが確認された。
80/100の実施例7の発光素子はVf上昇が抑制され、信頼性試験後の残光率もnドープ領域無しの比較例6と比べて大きく改善されていたことが判った。同様に50/100の実施例8、20/100の実施例9、10/100の実施例10、5/100の実施例11、2/100の実施例12ではVfに大きな変化は見られず、良好な結果であった。
1/100の比較例5では、nドープ領域無しの比較例6と試験後のVf、残光率ともに同水準であり、信頼性の低い発光素子であることが判った。
(実施例13−18、比較例7−9)
上述の第3の実施形態において、p型クラッド層107とp型緩衝層108の界面に、n型ドーパントとしてSiを、p型ドーパントに対する割合が、100/100(比較例7)、80/100(実施例13)、50/100(実施例14)、20/100(実施例15)、10/100(実施例16)、5/100(実施例17)、2/100(実施例18)、1/100(比較例8)、0/100(比較例9)となるようにデルタドーピングされた発光素子を準備した。
ここで、デルタ関数的なドーピング(デルタドーピング)を実施したため、ドーパント濃度は2次元値となる。従って、n型ドーパント濃度を3次元値に換算し、3次元換算値のn型ドーパント濃度とp型ドーパント濃度の比でn/pドーパント比とした。
そして、20mA通電時の電圧値Vfと、信頼性試験として85℃雰囲気で50mAの電流で加速通電し、100時間経過後の光出力残光率と20mA通電時の電圧値Vfのデータを測定した。その結果を表3にまとめて示す。
Figure 2011091103
n型ドーパント量とp型ドーパント量が同量の比較例7の発光素子では、比較例1,4と同様にVfは上昇し、信頼性試験後にもVfが上昇したことが判った。また、比較例1,4と同様にサイリスタになっていることが確認された。
80/100の実施例13の発光素子は実施例1,7と同様にVf上昇が抑制され、信頼性試験後の残光率も大きく改善されたことが判った。同様に50/100の実施例14、20/100の実施例15、10/100の実施例16、5/100の実施例17、2/100の実施例18ではVfに大きな変化は見られず、残光率も良好な結果であった。
1/100の比較例8は、nドープ領域無しの比較例9と同様に、試験後のVf、残光率ともに同水準で信頼性の低い発光素子であることが判った。
(実施例19−24、比較例10−12)
上述の第2の実施形態において、図2(c)に示すようなp型緩衝層にnドープ領域を1矩形分設けた以外は同様の条件の発光素子を製造(各々実施例19−24、比較例10−12)し、信頼性試験の条件を85℃雰囲気50mA通電から、85℃雰囲気70mA通電と、更に加速させた条件に変更した以外は同様の条件で発光素子の信頼性試験を行い、試験前後のVf、試験後の残光率を評価した。その結果を表4に示す。
Figure 2011091103
通電電流が実施例1−18、比較例1−9の条件より過酷であったため、残光率の落ち込みが全体的に大きくなっているが、n型ドーパントがp型ドーパントの80/100以下の実施例19の発光素子では残光率の低下量が他の条件に比べて少ないことが判った。
また、Vf上昇の点から、n型ドーパント量がp型ドーパントの80/100以下との条件を満たす必要があり、残光率改善の点でn型ドーパント量がp型ドーパントの2/100以上との関係を満たす必要がある(上記表4においては実施例19−実施例24)ことが判った。
n型ドーパントがp型ドーパントの2/100未満の比較例11の発光素子でも従来品(比較例12)より改善傾向は確認できるが、改善傾向は顕著とはいえず、効果がほとんど見られないことが判った。
例示はしなかったが、試験条件を変更(環境温度の上昇もしくは通電電流の増加)しても、第1の実施形態、第3の実施形態のいずれの条件でも同様の傾向にあったことも確認できた。
従って、n型ドーパントのドーピング量は、p型ドーパントの2%以上80%以下とする必要があることが判った。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
10…発光素子、
101…n型GaP基板、
102…n型InGaP緩衝層、
103…n型AlGaInP層(n型層)、
104…n型AlGaInP層(n型クラッド層)、
105…AlGaInP活性層、
106…p型AlGaInP層(セットバック層)、
107…p型AlGaInP層(p型クラッド層)、
108…p型InGaP緩衝層、
109…p型GaP窓層(p型GaP電流拡散層)、
110…p型ドーパントの熱履歴前のプロファイル、
111…p型ドーパントの熱履歴後のプロファイル、
112,201,202,203,204…n型ドーパントのプロファイル、
113…p型層領域、
114…nドープ領域。

Claims (9)

  1. 少なくとも、n型GaP基板上に、(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦1.0,0.4≦y≦0.6)からなる混晶により構成されたn型クラッド層、活性層、p型クラッド層及びp型緩衝層と、p型GaP電流拡散層とを有する発光素子であって、
    少なくとも前記p型クラッド層、前記p型緩衝層、前記p型GaP電流拡散層からなるp型層領域内に、p型ドーパントの1/50以上8/10以下の濃度のn型ドーパントがドープされたnドープ領域を有することを特徴とする発光素子。
  2. 前記nドープ領域は、1原子層以上の厚さの領域であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記nドープ領域は、デルタドーピングによって形成された1原子層未満の厚さの領域であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  4. 前記nドープ領域が、前記p型層領域内に複数存在することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発光素子。
  5. 前記nドープ領域が、前記p型層領域の全域に渡る領域であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  6. 前記nドープ領域が、前記p型クラッド層と前記p型緩衝層の界面には設けられていないことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の発光素子。
  7. 前記nドープ領域が、前記p型クラッド層と前記p型緩衝層の界面または前記p型緩衝層と前記p型GaP電流拡散層の界面のうち少なくとも一方に設けられたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の発光素子。
  8. 前記p型GaP電流拡散層は、前記p型緩衝層から10μm未満の距離ではMg、Znの両方がドープされ、また10μm以上の距離ではZnのみがドープされたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の発光素子。
  9. 前記p型層領域中のp型ドーパントはMg、Znのいずれか1つ以上であり、前記nドープ領域中のn型ドーパントはSi、Se、Te、Cのいずれか1つ以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の発光素子。
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