JP2010152196A - 光断層画像撮像装置および光断層画像の撮像方法 - Google Patents

光断層画像撮像装置および光断層画像の撮像方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被検査物の断層像を撮像するに当たり、被検査物に対する前記測定光群の入射する位置と角度とによる入射状態を観察することができ、
該測定光群を被検査物の所定の位置に結像させて、該断層像を高速に取得することが可能となる光断層画像撮像装置等を提供する。
【解決手段】光源から出射され分割された複数の光を、又は複数の光源から出射された複数の光を、測定光群と参照光群とに分割し、該測定光群を被検査物に導くと共に前記参照光群を参照ミラーに導き、
前記被検査物によって反射あるいは散乱された前記測定光群による戻り光群と、前記参照ミラーによって反射された前記参照光群とを用い、前記被検査物の断層画像を撮像する光断層画像撮像装置であって、
前記被検査物の観察画像を取得する観察手段を備え、
該観察手段によって、前記被検査物に対する前記測定光群の入射する位置と角度とによる入射状態が観察可能とされている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光断層画像撮像装置および光断層画像の撮像方法に関し、特に眼科診療等に用いられる光断層画像撮像装置および光断層画像の撮像方法に関するものである。
現在、光学機器を用いた眼科用機器として、様々なものが使用されている。
例えば、眼を観察する光学機器として、前眼部撮影機、眼底カメラ、共焦点レーザー走査検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)、等様々な機器が使用されている。
中でも、多波長光波干渉を利用した光コヒーレンストモグラフィ(OCT:Optical Coherence Tomography)による光断層画像撮像装置では、試料の断層像を高分解能に得ることができる。
このようなことから、この装置は眼科用機器として網膜の専門外来では必要不可欠な装置になりつつある。以下、これをOCT装置と記す。
上記OCT装置によると、低コヒーレント光である測定光を、サンプルに照射し、そのサンプルからの後方散乱光を、干渉系を用いることで高感度に測定することができる。
また、OCT装置は該測定光を、該サンプル上にスキャンすることで、断層像を高分解能に得ることができる。
そのため、被検眼の眼底における網膜の断層像を高分解能に撮像することも可能であることから、網膜の眼科診断等において広く利用されている。
近年、眼科用OCT装置は従来のタイムドメイン(Time Domain)方式から、より高速な撮像が可能なフーリエドメイン(Fourier Domain)方式に移行しつつある。高速な撮像は、固視微動に代表される眼球運動による画像のブレや欠落を防ぐことを可能にしている。
しかし、高速な撮像が可能なフーリエドメイン方式であっても、完全に眼球運動による画像のブレや欠落を防止できるというわけではなく、結局、さらなる高速化が望まれている。
特許文献1においては、マイクロレンズアレイとニポウディスクとを利用して、複数の測定光を有するマルチビームのOCT装置を具現化している。ここでは、生体の断層画像及び蛍光断層画像とを高速に、取得することを可能にしている。
特許文献2においては、複数の光源、複数の光源に共通した物体光結像光学系を持ち、共通の参照光結像光源系と光源に対応した位置に離散配置された複数の光センサを有するOCT装置を具現化している。
ここでは、同時に多数点でデータを取得し、リファレンス光をずらすことで多点データを取得し、高速データの取得を可能にしている。
また、OCT装置は該低コヒーレント光である測定光を網膜の所定の位置に結像させて、断層像を取得する。
しかし、被検眼の静止が難しいこと等の被検眼の要因により、該測定光が虹彩にけられることなく瞳孔を通過し、網膜の所定の位置に結像することが、難しい場合がある。
つまり、OCT装置は、各該測定光が虹彩にけられることにより、該測定光の網膜の所定の位置に到達する割合が減少し、網膜からの反射光もそれに従って減少することがある。その場合、測定光のパワーには安全性の確保のために上限があるため、結果的に得られる断層像のコントラストが低くなることになる。
特に、光軸に垂直な方向に高解像度なOCT装置を目的として、該測定光のビーム径を大きく構成している場合や、高速なOCT装置を目的として、複数の測定光を有するマルチビームのOCT装置を構成する場合には、その傾向はより顕著である。
特許文献3においては、高解像度観察が可能な生物標本の内部を観察するOCT装置が開示されている。
ここでは、試料を観察する時に、高解像度観察を可能にするモードと広範囲観察を可能にするモードとを切り換えることを、光束径変換光学系を用いることで行い、高S/N比での観察を可能にしている。
特開2006−195240号公報 特許第02875181号公報 特開2002−174769号公報
上記説明したとおり、OCT装置を用いて、眼底観察を行う際、被検眼の静止が難しいこと等の被検眼の要因により、該測定光が虹彩に照射されることなく瞳孔を通過し、網膜の所定の位置に結像することが、難しい場合がある。
さらに、広範囲の断層像を高速に取得するため、複数の測定光を有する、マルチビームのOCT装置を構成する場合、その影響はより顕著である。
上記特許文献1では、マイクロレンズアレイとニポウディスクとを利用して、マルチビームのOCT装置を具現化し、高速な撮像を可能にしているが、眼底観察時に必要な上記した静止が難しいこと等による被検眼に対する対策等については特に配慮されていない。
上記特許文献2では、複数の光源と複数の光センサとを有するOCT装置を具現化し、高速な撮像を可能にしているが、ここでも眼底観察時に必要な上記した静止が難しいこと等による被検眼に対する対策等については、特に配慮されていない。
上記特許文献3では、高解像度観察を可能にするモードと広範囲観察を可能にするモードとを切り換える光束径変換光学系を用いて、高解像度観察を可能にしている。
しかし、ここでも眼底観察時に必要な上記した静止が難しいこと等による被検眼に対する対策等については、特に配慮されていない。
本発明は、上記課題に鑑み、被検査物の断層像を撮像するに当たり、被検査物に対する前記測定光群の入射する位置と角度とによる入射状態を観察することができ、
該測定光群を被検査物の所定の位置に結像させて、該断層像を高速に取得することが可能となる光断層画像撮像装置および光断層画像の撮像方法の提供を目的とする。
本発明は、つぎのように構成した光断層画像撮像装置を提供するものである。本発明の光断層画像撮像装置は、光源から出射され分割された複数の光を、又は複数の光源から出射された複数の光を、測定光群と参照光群とに分割し、該測定光群を被検査物に導くと共に該参照光群を参照ミラーに導き、
前記被検査物によって反射あるいは散乱された前記測定光群による戻り光群と、前記参照ミラーによって反射された前記参照光群とを用い、前記被検査物の断層画像を撮像する光断層画像撮像装置であって、
前記被検査物の観察画像を取得する観察手段を備え、
該観察手段によって、前記被検査物に対する前記測定光群の入射する位置と角度とによる入射状態が観察可能とされていることを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記観察手段により取得された観察画像によって、前記測定光群の入射位置を把握する位置把握手段を有することを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記観察手段が、前記被検査物である被検眼の近傍に配置され、該観察手段によって前記測定光群による前記被検眼の前眼部を照射する状態が観察可能とされていることを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記観察手段により取得された観察画像によって、前記測定光群と前記被検眼との相対位置を調整可能に構成された調整手段を有することを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記調整手段が、前記測定光群が前記前眼部を照射している面積を最小に調整することが可能に構成されていることを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記調整手段が、前記測定光群の本数を増減することが可能に構成されていることを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記測定光群の本数を増減によって、前記測定光群と前記被検眼との相対位置を把握することが可能に構成されていることを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記調整手段が、前記測定光群の走査範囲を増減することが可能に構成されていることを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記調整手段が、被検眼に注視させる固視灯によって視線を移動させることが可能に構成されていることを特徴とする。また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記調整手段が、前記被検者の顔を所定の位置に保持する顔受けユニットを移動させることが可能に構成されていることを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記調整手段が、前記測定光群を被検査物に導く測定光学系を調整することが可能に構成されていることを特徴とする。また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記観察画像と前記断層画像とを関連付けて記録する記録手段を有することを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記観察手段が、カメラで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記観察手段が、エリアセンサで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記観察手段が、共焦点顕微鏡で構成されていることを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記光源からの光を前記測定光群と前記参照光群とに分割される位置まで導く光路、
前記測定光群を前記被検査物まで導く光路、
前記戻り光群を光電変換回路まで導く光路、
前記参照光群を前記光電変換回路まで導く光路、
における少なくとも何れかの光路が、光ファイバーによって構成されていることを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記被検眼における眼底の断層画像を撮像する光断層画像撮像装置における眼底カメラ本体部と、
前記被検眼における眼底の平面像を撮像するカメラ部と、
を有することを特徴とする。
また、本発明の光断層画像撮像装置は、前記眼底カメラ本体部と、眼底の平面像を撮像するカメラ部とが、アダプターを介して接続可能に構成されていることを特徴とする。
また、本発明の光断層画像の撮像方法は、上記した光断層画像撮像装置を用い、前記被検査物の断層画像を撮像する光断層画像の撮像方法であって、
前記走査範囲増減手段を用いて、前記走査範囲を所望の撮像範囲より小さく設定する第1の調整工程と、
前記観察手段を用いて、前記測定光群が前記前眼部を照射する状態を観察する第2の調整工程と、
前記本数増減手段を用いて、前記測定光群と前記被検眼との相対位置を把握する第3の調整工程と、
前記顔受けユニットと前記固視灯と前記測定光学系との少なくとも何れかを用いて、前記測定光群と前記被検眼との相対位置を調整する第4の調整工程と、
を有することを特徴とする。
また、本発明の光断層画像の撮像方法は、前記第1の工程から前記第4の工程のうち、少なくとも一つの工程を自動的に行うことを特徴とする。
本発明は、被検査物の断層像を撮像するに当たり、被検査物に対する前記測定光群の入射する位置と角度とによる入射状態を観察することができ、該測定光群を被検査物の所定の位置に結像させて、該断層像を高速に取得することが可能となる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態においては、上記した本発明の構成を適用して、例えば、次の(1)〜(20)のような光断層画像撮像装置(OCT装置)を構成することができる。
(1)本実施形態の光断層画像撮像装置は、図1に示されるように、
光源101から出射され複数に分割された光を、該分割された複数の光からなる測定光群106と参照光群105とに更に分割し、該測定光群を被検査物107に導くと共に該参照光群を参照ミラー114に導き、
前記被検査物によって反射あるいは散乱された前記測定光群による戻り光群108と、前記参照ミラーによって反射された前記参照光群とを用い、前記被検査物の断層画像(図2(c)参照)を撮像するように構成されている。
その際、前記被検査物の観察画像を取得する観察手段157を備え、該観察手段によって、前記被検査物に対する前記測定光群の入射する位置と角度とによる入射状態が観察可能とされている。
このような構成により、複数の測定光からなる測定光群を有する光断層画像撮像装置100が、測定光群が被検査物に向かって照射する状態を観察する。
このように観察画像を取得する観察手段を有することで、測定光群が被検査物に向かって照射する状態を容易に把握することができる。
その結果、測定光群と被検査物との位置関係を容易に最適化することができ、広範囲の断層画像を高速に取得することが可能になる。
(2)前記観察手段により取得された観察画像によって、前記測定光群の入射位置を把握する位置把握手段を有する構成とすることで、測定光群と被検査物との相対位置を容易に把握することが可能になり、該相対位置の調整が容易になる。
(3)前記観察手段が、前記被検査物である被検眼の近傍に配置され、該観察手段によって前記測定光群による前記被検眼の前眼部を照射する状態が観察可能とすることで、測定光群を被検眼に対して、光学的に最適な状態に入射させることが可能になる。
(4)前記観察手段により取得された観察画像によって、前記測定光群と前記被検眼との相対位置を調整可能に構成された調整手段(パソコン125)を有する構成とすることで、光学的に、測定光群を被検眼に適切に、入射させることが可能になる。
(5)前記調整手段は、前記測定光群が前記前眼部を照射している面積を最小に調整することが可能に構成することで、光学的に、測定光群を被検眼に適切に、入射することが可能になる。
(6)前記調整手段が、前記測定光群の本数を増減することを可能に構成することで、測定光群と被検眼との相対位置が、最適位置に対して、遠いか近いかを判断する指標を得ることが可能になる。
(7)前記測定光群の本数増減手段による測定光群の本数の増減によって、前記測定光群と前記被検眼との相対位置を把握することを可能に構成することで、調整手段を用いてどのように調整するかを決定する指針を得ることが可能となる。
(8)前記調整手段が、前記測定光群の走査範囲を増減することを可能に構成することで、測定光群と被検眼との相対位置を調整する際に、測定光群の走査範囲を小さくし、調整を容易にすることが可能になる。
(9)前記調整手段が、被検眼に注視させる固視灯によって視線を移動させることを可能に構成することで、主に被検眼の回転運動を促すことが可能になり、結果として、測定光群を容易に網膜の所定の位置に結像させることが可能になる。
(10)前記調整手段が、被検者の顔を所定の位置に保持する顔受けユニットを移動させることを可能に構成することで、被検眼の平行移動が可能になり、結果として、測定光群を容易に網膜の所定の位置に結像させることが可能になる。
(11)前記調整手段が、測定光群を被検査物に導く測定光学系を調整することを可能に構成することで、測定光群を被検査物に対して適切に入射するよう調整することが可能になる。
(12)前記観察画像と前記断層画像とを関連付けて記録する記録手段を有する構成とすることで、測定光群の被検査物に対する入射状態を把握し、取得した断層画像の信頼性を検討することが可能となる。
(13)前記観察手段をカメラ157で構成することで、測定光群が前眼部に入射する様子を容易に観察することができる。
(14)前記観察手段をエリアセンサ(図10の501参照)で構成することで、測定光群が前眼部に入射する様子を容易に観察することができる。
(15)前記観察手段を共焦点顕微鏡で構成することで、測定光が前眼部に入射する様子を容易に観察することができる。
(16)前記光源からの光を前記測定光群と前記参照光群とに分割される位置まで導く光路、前記測定光群を前記被検査物まで導く光路、前記戻り光群を光電変換回路まで導く光路、前記参照光群を前記光電変換回路まで導く光路、
における少なくとも何れかの光路を、光ファイバーによって構成することで、安定性に優れ、小型な光断層撮像装置を実現することが可能になる。
(17)前記被検眼における眼底の断層画像を撮像する光断層画像撮像装置における眼底カメラ本体部300と、
前記被検眼における眼底の平面像を撮像するするカメラ部500と、
を有する構成とすることで、眼底カメラとOCT装置との両方の機能を1つの装置で実現することが可能になる。
そのため、スペースの利用効率が高く、採算性の高いOCT装置を実現することが可能になる。
(18)前記眼底カメラ本体部と、前記眼底の平面像を撮像するカメラ部とが、アダプター400を介して接続可能に構成することで、既存の眼底カメラを利用して、OCT装置の機能を実現することが可能になる。
(19)上記したいずれかに記載の光断層画像撮像装置を用い、前記被検査物の断層画像を撮像する光断層画像の撮像方法であって、
前記走査範囲増減手段を用いて、前記走査範囲を所望の撮像範囲より小さく設定する第1の調整工程と、
前記観察手段を用いて、前記測定光群が前記前眼部を照射する状態を観察する第2の調整工程と、
前記本数増減手段を用いて、前記測定光群と前記被検眼との相対位置を把握する第3の調整工程と、
前記顔受けユニットと前記固視灯と前記測定光学系との少なくとも何れかを用いて、前記測定光群と前記被検眼との相対位置を調整する第4の調整工程と、
を有する構成とすることで、効率的に測定光群を被検眼の網膜の所定の位置に結像させることが可能となり、効率的に撮像を行うことが可能となる。
(20)上記第1の工程から上記第4の工程のうち、少なくとも一つの工程を自動的に行うことで、測定光群と被検眼の相対位置の調整を効率的に行うことが可能となる。
つぎに、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1においては、本発明を適用した、OCT装置について説明する。ここでは特に、被検眼の断層画像(OCT像)を撮像する装置について説明する。
ここで説明するOCT装置はフーリエドメイン方式のOCT装置(Fourier Domain OCT)であり、さらに、高速撮像を目的として3本の測定光を有し、同時に3つの断層像の取得が可能な、マルチビームのOCT装置について説明する。
ここでは、3本の測定光を有する場合について説明するが、所定の撮像速度によって、測定光の数をさらに増やしてもよい。
まず、本実施例におけるOCT装置の光学系の全体の概略構成について説明する。
図1に、本実施例におけるOCT装置の光学系全体の概略構成について説明する図を示す。図1において、100はOCT装置、101は光源、104は出射光、105は参照光、106は測定光、142は合波された光、107は被検眼、108は戻り光、110はシングルモードファイバー、120、135はレンズ、114はミラーである。115は分散補償用ガラス、117は電動ステージ、119はXYスキャナ、125はパソコンである。
126は角膜、127は網膜、131、156は光カプラー、139はラインカメラ、140はフレームグラバー、141は透過型グレーティング、153は偏光コントローラ、155はファイバ長可変装置、157は観察カメラである。
本実施例のOCT装置100は、図1に示されるように、全体としてマイケルソン干渉系を構成している。
図中、光源101から出射した光である出射光104は光カプラー156にて3本の出射光104−1〜3に分割される。ここでは、1つの光源からの光を複数の光に分割して複数の出射光としたが、複数の光源を用意して、複数の出射光を構成してもよい。
さらに、出射光104−1〜3のそれぞれは、偏光コントローラ153−1を通過し、光カプラー131−1〜3にて参照光105−1〜3と測定光106−1〜3とに50:50の強度比で分割する。
測定光106−1〜3は、観察対象である被検眼107における網膜127等によって反射あるいは散乱された戻り光108−1〜3となって戻され、光カプラー131−1〜3によって、参照光105−1〜3と合波される。
参照光105−1〜3と戻り光108−1〜3とは合波された後、透過型グレーティング141によって波長毎に分光され、ラインカメラ139に入射される。ラインカメラ139は各位置(波長)毎に光強度を電圧に変換し、その信号を用いて、被検眼107の断層像が構成される。
つぎに、光源101の周辺について説明する。
光源101は代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)である。
波長は830nm、バンド幅50nmである。ここで、バンド幅は、得られる断層像の光軸方向の分解能に影響するため、重要なパラメーターである。
また、光源の種類は、ここではSLDを選択したが、低コヒーレント光が出射できればよく、ASE(Amplified Spontaneous Emission)等も用いることができる。また、波長は眼を測定することを鑑みると、近赤外光が適する。
さらに、波長は、得られる断層像の横方向の分解能に影響するため、なるべく短波長であることが望ましく、ここでは830nmとする。観察対象の測定部位によっては、他の波長を選んでも良い。
つぎに、参照光105の光路について説明する。
光カプラー131−1〜3によって分割された参照光105−1〜3は、偏光コントローラ153−2、ファイバー長可変装置155−1〜3を通過し、レンズ135−1にて、直径1mmの平行光となって、出射される。
次に、参照光105−1〜3は分散補償用ガラス115を通過し、レンズ135−2にて、ミラー114に集光される。
次に、参照光105−1〜3はミラー114にて方向を変え、再び光カプラー131−1〜3に向かう。
次に、参照光105−1〜3は光カプラー131−1〜3を通過し、ラインカメラ139に導かれる。
ここで、分散補償用ガラス115は被検眼107を測定光106が往復した時の分散を、参照光105に対して補償するものである。
ここでは、日本人の平均的な眼球の直径として代表的な値を想定し、L=23mmとする。さらに、117−1は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、参照光105の光路長を、調整・制御することができる。
また、電動ステージ117−1はパソコン125により高速に制御することができる。
また、ファイバー長可変装置155−1〜3は各ファイバーの長さの微調整を行う目的で設置され、測定光106−1〜3のそれぞれの測定部位に応じて、参照光105−1〜3の光路長を調整することができ、パソコン125から制御することができる。
つぎに、測定光106の光路について説明する。
光カプラー131−1〜3によって分割された測定光106−1〜3は、偏光コントローラ153−4を通過し、レンズ120−3にて、直径1mmの平行光となって出射され、XYスキャナ119のミラーに入射される。
ここでは、簡単のため、XYスキャナ119は一つのミラーとして記したが、実際にはXスキャン用ミラーとYスキャン用ミラーとの2枚のミラーが近接して配置され、網膜127上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンするものである。また、測定光106−1〜3のそれぞれの中心はXYスキャナ119のミラーの回転中心と一致するようにレンズ120−1、3等が調整されている。
レンズ120−1、120−2は測定光106−1〜3が網膜127を走査するための光学系であり、測定光106を角膜126の付近を支点として、網膜127をスキャンする役割がある。
ここでは、レンズ120−1、120−2の焦点距離はそれぞれ50mm、50mmである。
また、117−2は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、付随するレンズ120−2の位置を、調整・制御することができる。レンズ120−2の位置を調整することで、被検眼107の網膜127の所定の層に測定光106を集光し、観察することが可能になる。
また、被検眼107が屈折異常を有している場合にも対応できる。測定光106−1〜3は被検眼107に入射すると、網膜127からの反射や散乱により戻り光108−1〜3となり、光カプラー131−1〜3を通過し、ラインカメラ139に導かれる。
ここで、電動ステージ117−2はパソコン125により高速に制御することができる。
つぎに、本実施例のOCT装置における測定系の構成について説明する。
網膜127にて反射や散乱された光である戻り光108−1〜3と参照光105−1〜3とは光カプラー131−1〜3にて合波される。
そして、合波された光142は透過型グレーティング141によって波長毎に分光され、レンズ135−3で集光され、ラインカメラ139にて光の強度が各位置(波長)毎に電圧に変換される。
具体的には、ラインカメラ139上には測定光106−1〜3の数に対応して、3本の波長軸上のスペクトル領域の干渉縞が観察されることになる。
得られた電圧信号群はフレームグラバー140にてデジタル値に変換されて、パソコン125にてデータ処理を行い断層像を形成する。
ここでは、ラインカメラ139は4096画素を有し、その内3072画素を使用することで、合波された光142−1〜3のそれぞれの波長毎(1024分割)の強度を得ることができる。
つぎに、OCT装置を用いた断層像の取得方法について説明する。
ここでは、図2を用いて網膜127の断層像(光軸に平行な面)の取得方法について説明する。
図2(a)は被検眼107がOCT装置100によって観察されている様子を示している。図1に示した構成と同一または対応する構成には同一の符号が付されているから、重複する構成についての説明は省略する。
図2(a)に示すように、測定光106−1〜3は角膜126を通して、網膜127に入射すると様々な位置における反射や散乱により戻り光108−1〜3となり、それぞれの位置での時間遅延を伴って、ラインカメラ139に到達する。
ここでは、光源101のバンド幅が広く、空間コヒーレンス長が短いために、参照光路の光路長と測定光路の光路長とが略等しい場合に、ラインカメラ139にて、干渉縞が検出できる。上述のように、ラインカメラ139で取得されるのは波長軸上のスペクトル領域の干渉縞となる。
次に、波長軸上の情報である該干渉縞を、ラインカメラ139と透過型グレーティング141との特性を考慮して、合波された光142−1〜3毎に、光周波数軸の干渉縞に変換する。
さらに、変換された光周波数軸の干渉縞を逆フーリエ変換することで、深さ方向の情報が得られる。
さらに、簡単のため、測定光のうち106−2だけを示した図2(b)に示すように、XYスキャナ119のX軸を駆動しながら、該干渉縞を検知すれば、各X軸の位置毎に干渉縞が得られ、つまり、各X軸の位置毎の深さ方向の情報を得ることができる。
結果として、XZ面での戻り光108−2の強度の2次元分布が得られ、それはすなわち断層像132である(図2(c))。
本来は、断層像132は上記説明したように、該戻り光108の強度をアレイ状に並べたものであり、例えば該強度をグレースケールに当てはめて、表示されるものである。ここでは得られた断層像の境界のみ強調して表示している。
また、図2(d)に示す様に、XYスキャナ119を制御して、測定光106−1〜3を網膜127上にラスタースキャンすれば、3つの断層像を同時に、連続して取得することができる。ここでは、XYスキャナの主走査方向をX軸方向、副走査方法をY軸方向として、スキャンする場合を示し、結果として複数のYZ面の断層像を得ることができる。また、ここでは、測定光106−1〜3のそれぞれが、お互いの重複なくスキャンする場合を示しているが、断層像のレジストレーション等のため、重複してスキャンしてもよい。
つぎに、本発明の特徴である測定光観察系の構成について図1を用いて説明する。
OCT装置100において、測定光106−1〜3は上記説明したように、角膜126を通して、網膜127に照射される。観察カメラ157は測定光106−1〜3が角膜126を通して、網膜127に入射する様子を観察する目的で設置されている。
ここでは、被検眼107の右側前方に設置されているが、角膜126付近を観察出来れば、観察カメラ157の位置は何処であってもよい。
また、前記観察手段により取得された観察画像によって、前記測定光群と前記被検眼との相対位置を調整可能に構成された調整手段をつぎのように構成することができる。
例えば、観察カメラ157とパソコン125とを電気的に接続して、観察カメラ157で取得した観察像をパソコン125に取り込み、画像処理等を施し、OCT装置100と被検眼107との相対位置の調整に用いることができる。
また、観察像とOCT像とを関連づけて、表示や保存等を行うことができる。観察カメラ157は測定光106の波長830nmに対応して、ここでは近赤外カメラを用いる。また、近赤外カメラを近赤外のエリアセンサとレンズを組み合わせて構成してもよい。
次に、観察カメラ157を用いて取得される観察像142について図3から図6を用いて説明する。
図1、図2に示した構成と同一または対応する構成には同一の符号が付されているから、重複する構成についての説明は省略する。
図3(a)は観察対象である被検眼107の断面を模式的に表す模式図143である。
ここで、158は瞳孔、159は虹彩、160は水晶体である。図3(b)は観察像142である。
ここでは、測定光106−1〜3が被検眼107に対して、適切に照射されている様子を示している。
具体的には、適切な照射とは、測定光106−1〜3が虹彩159にけられることなく瞳孔158を通過し、水晶体160の表面付近で交差するように、被検眼107とOCT装置100との相対位置が調整されていることである。
測定光106の光路として、瞳孔158が最も狭くなるため、上記したように調整すると、より太い測定光106を被検眼107に入射することが可能になり、OCT装置の高解像度化に有利である。
図3(b)は水晶体160の表面付近に焦点を合わせて、測定光106−1〜3の様子を観察する観察像142である。
ここでは、測定光106−1〜3が略同一の位置を通過しているため、見かけ上、測定光106−1〜3は一つの円として認識できる。
ここで、水晶体160の表面とレンズ120−2との距離は、レンズ120−2の焦点距離と同一の50mmとし、XYスキャナ119のミラー面と水晶体160の表面とが光学的に共役な関係となっている。
つぎに、被検眼107とOCT装置100との相対位置が適切でない場合について説明する。
図4(a)、図4(b)は被検眼107とOCT装置100との相対位置が図3(a)に示した最適位置と比較して近接している場合を示している。
その場合には、図4(a)から把握できるように、図4(b)のように、測定光106−1〜3が見かけ上広がって観察できる。
ここで、測定光106−1を遮蔽して、図4(c)のような観察像142を取得すれば、測定光106−2〜3が、遮蔽前と比較して+X側に観察でき、被検眼107とOCT装置100との相対位置が最適位置と比較して近接していることが把握できる。
また、図5(a)に示すように、被検眼107とOCT装置100との相対位置が図3(a)に示した最適位置と比較して、離れている場合には、図5(b)示すような観察像142を取得することができる。
同様に、測定光106−1を遮蔽して、図5(c)のような観察像142を取得すれば、測定光106−2〜3が−X側に観察でき、被検眼107とOCT装置100との相対位置が最適位置と比較して離れていることが把握できる。
さらに、図6(a)に示すように、被検眼107がOCT装置100に対して、−X方向にずれている場合には、図6(b)示すような観察像142を取得することができ、その状況は明らかである。
上記したような、被検眼107とOCT装置100との相対位置が適切でない場合には、上記説明した、XYスキャナ119のミラー面と水晶体160の表面との光学的に共役な関係が成り立たないことになる。
そのため、図4(a)、図5(a)、図6(a)に代表される状態は、図3(a)の状態に比べて、戻り光108−1〜3の強度が小さくなり、結果として断層像を構成するための後述する干渉信号のS/N比が低くなる。
一般に、網膜に照射できる測定光のエネルギーには上限がある。そのため、診断に適する断層像を取得するには、測定光106を瞳孔158に適切に入射することが重要になる。また、被検者の静止が難しい等の理由から、測定光106−1〜3がやむを得ず虹彩159に照射された場合であっても、観察像142は、取得した断層像の信頼性の評価を行う手段として用いることができる。
つぎに、本発明の特徴である被検眼の位置を調整して光断層画像を撮像する光断層画像の撮像方法について具体的に主に図7を用いて説明する。
図1〜6に示した構成と同一または対応する構成には同一の符号が付されているから、重複する構成についての説明は省略する。
一般に眼底の網膜を観察する場合には、安全上の問題から、測定光を網膜上に走査して行う。
本実施例における光断層画像の撮像方法は、測定光を網膜上に走査しながら行うが、適宜、走査範囲を調整してもよい。
この光断層画像の撮像方法においては、以下の(1)〜(4)の工程を、例えば連続して行うものである。或いは、適宜工程を戻って行うこともできる。
また、コンピュータ等を用いて、以下の工程を自動的に行うように構成してもよい。
図8に、上記光断層画像の撮像方法を説明するための各工程のフロー図を示す。
(1)被検者の被検眼107を所定の位置に誘導し、観察カメラ157(図1参照)を用いて水晶体160の表面付近を観察し、観察像142を得る。ここでは、測定光の走査範囲を小さめに設定するとよい(図7(a))。
(2)測定光106−1を一旦、遮光して観察像142を得る(図7(b))。観察像142から、測定光106−2〜3が−X側に観察でき、被検眼107の位置は図7(c)の様であると推測できる。また、パソコン125を用いて、観察像142に画像処理を施し、測定光106の大きさを定量化してもよい。
(3)顔受けユニットや固視灯等(共に不図示)を用いて、被検眼107を+X方向、+Z方向に誘導する。適宜、観察像142を注視し、測定光106−1〜3が見かけ上最小、また瞳孔158の中心に来るように誘導、調整する。(図7(d))。
(4)測定光の走査範囲を所定の範囲に設定する。レンズ120−2の位置を調整することで視度補正を行い、断層像が鮮明になるように、調整する。
[実施例2]
実施例2においては、本発明を適用した、OCT装置について説明する。
ここでは特に、被検眼の断層画像(OCT像)及び眼底画像(平面像)を撮像する装置について説明する。
本実施例においては、眼底カメラにアダプターを介してOCT撮像部を接続してなるOCT装置について説明する。
本実施例は、スペースの利用効率が高く、採算性の高いOCT装置となっている。ここで説明するOCT装置は実施例1と同様に、フーリエドメイン方式のOCT装置であり、さらに、高速撮像を目的として3本の測定光を有し、同時に3つの断層像の取得が可能な、マルチビームのOCT装置である。
本実施例におけるアダプターを含んだOCT装置の全体の構成について図9を用いて説明する。図9はOCT装置の側面図であり、200はOCT装置、102はOCT撮像部、300は眼底カメラ本体部、400はアダプター、500はカメラ部である。
ここで、眼底カメラ本体部300とアダプター400とカメラ部500とは光学的に接続されている。
ここで、眼底カメラ本体部300とアダプター400とは相対的に移動可能に保持されている。
そのため、大まかな光学的調整を行うことができる。また、アダプター400とOCT撮像部102とは3本のシングルモードファイバー148を介して光学的に接続されている。アダプター400とOCT撮像部102とは3つづつのコネクター410とコネクター154とをそれぞれ有している。そのため、簡単に取り付け及び取り外しが可能である。
また、323は顔受けユニットであり、被検者のあごと額とを固定することで、被検眼の固定を促し、撮像を行う。
また、125はパソコンであり、断層画像の構成や表示等を行う。
ここで、カメラ部500は汎用のデジタル一眼レフカメラである。カメラ部500とアダプター400あるいは眼底カメラ本体部300とは汎用のカメラマウントで接続される。
本実施例におけるアダプターを含んだOCT装置の光学系の構成について図10を用いて、説明する。
図10において、200はOCT装置、107は被検眼、300は眼底カメラ本体部、400はアダプター、500はカメラ部、102はOCT撮像部である。OCT装置200は、OCT撮像部102とカメラ部500とを用いて被検眼107の網膜127の断層画像(OCT像)及び眼底画像(平面像)を取得することを目的としている。
まず、眼底カメラ本体部300について説明する。
被検眼107に対向して、対物レンズ302が設置され、その光軸上で孔あきミラー303によって光路351と光路352とに分岐される。
光路352は被検眼107の眼底を照明する照明光学系を形成している。眼底カメラ本体部300の下部には、被検眼107の位置合わせに用いられるハロゲンランプ316、被検眼107の眼底の撮像に用いるストロボ管314が設置されている。
ここで、313、315はコンデンサレンズ、317はミラーである。ハロゲンランプ316とストロボ管314とからの照明光はリングスリット312によってリング状の光束となり、孔あきミラー303によって反射され、被検眼107の眼底を照明する。
ここで、309、311はレンズ、310は光学フィルターである。
光路351は被検眼107の眼底の断層画像及び眼底画像を撮像する撮像光学系を形成している。孔あきミラー303の右方にはフォーカスレンズ304と結像レンズ305が設置されている。
ここで、フォーカスレンズ304は光軸方向に移動可能に支持され、パソコン125によってその位置を制御できる。次に、クイックリターンミラー318を介して、光路351は固視灯320及び観察カメラ321に導かれている。
ここで、クイックリターンミラー318は赤外光の一部を反射及び透過し、可視光を反射するように設計されている。赤外光の一部を反射及び透過するよう設計しているため、固視灯320と観察カメラ321とOCT撮像部102とを同時に使用することが可能になっている。
また、319はダイクロイックミラーであり、固視灯320方向に可視光が、観察カメラ321方向に赤外光がそれぞれ分岐されるよう設計されている。
次に、光路351はミラー306、フィールドレンズ322、ミラー307、リレーレンズ308を介して、アダプター400に導かれる。
ここで、観察カメラ321は角膜126付近を観察し、測定光106−1〜3が被検眼107に入射する様子を把握することができ、本発明の特徴としている。また、固視灯320を用いて、被検眼127を誘導することができる。
つぎに、光学系の構成(アダプター、カメラ部)について説明する。
アダプター400は光路351をダイクロイックミラー405を介して、断層画像撮像用の光路351−1と眼底画像撮像用の光路351−2とに分割することを最大の機能としている。
ここで、406、407はリレーレンズ、408はXYスキャナ、409はコリメートレンズである。
また、ここでは、リレーレンズ406、407は移動可能に保持され、細かな位置調整を行うことで、光路351−1と351−2との光軸を調整することができる。
なお、ここでは、簡単のため、XYスキャナ408は一つのミラーとして記したが、実際にはXスキャン用ミラーとYスキャン用ミラーとの2枚のミラーが近接して配置され、網膜127上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンするものである。
また、XYスキャナ408はパソコン125によって制御される。
また、光路351−1の光軸はXYスキャナ408の2つのミラーの回転中心と一致するように調整されている。
また、410は3本の光ファイバーを取り付けるための3個のコネクターであり、3本の測定光をOCT撮像部102からアダプター400と眼底カメラ本体部300と被検眼107に順に入射することができる。
カメラ部500は眼底画像を撮像するためのデジタル一眼レフカメラである。アダプター400とカメラ部500とは汎用のカメラマウントを介して接続される。
そのため、容易に着脱が可能である。501はエリアセンサであり、その表面に眼底像が形成される。
つぎに、光学系の構成(OCT部)について説明する。
本実施例においては、OCT撮像部102は、光学系の一部を光ファイバーを用いて、構成することにより、装置の小型化が図られている。
測定光学系が眼底カメラ本体部300からなることを除けば、実施例1と同一である。
実施例1の図1に示した構成と同一または対応する構成には同一の符号が付されているから、重複する構成についての説明は省略する。
まず、本実施例におけるOCT撮像部102の光学系の全体の概略構成について説明する。
図11に、本実施例におけるOCT装置の光学系全体の概略構成について説明する図を示す。
図11において、102はOCT撮像部、101は光源、104は出射光、105は参照光、106は測定光、142は合波された光、110、148はシングルモードファイバー、135はレンズ、114はミラーである。
115は分散補償用ガラス、117は電動ステージ、125はパソコンである。131、156は光カプラー、139はラインカメラ、140はフレームグラバー、141は透過型グレーティング、153は偏光コントローラ、155はファイバ長可変装置である。
本実施例のOCT装置100は、図11に示されるように、全体としてマイケルソン干渉系を構成している。
図中、光源101から出射した光である出射光104は光カプラー156にて3本の出射光104−1〜3に分割される。
さらに、出射光104−1〜3のそれぞれは、偏光コントローラ153−1を通過し、光カプラー131−1〜3にて参照光105−1〜3と測定光106−1〜3を50:50の強度比で分割する。
測定光106−1〜3は、コネクター154、アダプター400、眼底カメラ本体部300を介して、観察対象である被検眼107における網膜127等によって反射あるいは散乱された戻り光108−1〜3となって戻される。そして、光カプラー131−1〜3によって、参照光105−1〜3と合波される(図10)。
参照光105−1〜3と戻り光108−1〜3とは合波された後、透過型グレーティング141によって波長毎に分光され、ラインカメラ139に入射される。ラインカメラ139は各位置(波長)毎に光強度を電圧に変換し、その信号を用いて、被検眼107の断層像が構成される。
つぎに、光源101の周辺について説明する。
光源101は代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)である。波長は830nm、バンド幅50nmである。
ここで、バンド幅は、得られる断層像の光軸方向の分解能に影響するため、重要なパラメーターである。
また、光源の種類は、ここではSLDを選択したが、低コヒーレント光が出射できればよく、ASE(Amplified Spontaneous Emission)等も用いることができる。
また、波長は眼を測定することを鑑みると、近赤外光が適する。さらに波長は、得られる断層像の横方向の分解能に影響するため、なるべく短波長であることが望ましく、ここでは830nmとする。観察対象の測定部位によっては、他の波長を選んでも良い。
つぎに、参照光105の光路について説明する。
光カプラー131−1〜3によって分割された参照光105−1〜3は偏光コントローラ153−2、ファイバー長可変装置155−1〜3を通過し、レンズ135−1にて、直径1mmの平行光となって、出射される。
次に、参照光105−1〜3は分散補償用ガラス115を通過し、レンズ135−2にて、ミラー114に集光される。
次に、参照光105−1〜3はミラー114にて方向を変え、再び光カプラー131−1〜3に向かう。
次に、参照光105−1〜3は光カプラー131−1〜3を通過し、ラインカメラ139に導かれる。
分散補償用ガラス115は被検眼107を測定光106が往復した時の分散を、参照光105に対して補償するものである。
ここでは、日本人の平均的な眼球の直径として代表的な値を想定し、L=23mmとする。さらに、117−1は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することができ、参照光105の光路長を、調整・制御することができる。
また、電動ステージ117−1はパソコン125により高速に制御することができる。
また、ファイバー長可変装置155−1〜3は各ファイバーの長さの微調整を行う目的で設置され、測定光106−1〜3のそれぞれの測定部位に応じて、参照光105−1〜3の光路長を調整することができ、パソコン125から制御することができる。
つぎに、測定光106の光路について説明する。
光カプラー131−1〜3によって分割された測定光106−1〜3は、偏光コントローラ153−4を通過する。そして、コネクター154、シングルモードファイバー148、アダプター400、眼底カメラ本体部300を介して、測定光106−1〜3は被検眼107の網膜に導かれる(図10)。
測定光106−1〜3が被検眼107に入射すると、網膜127からの反射や散乱により戻り光108−1〜3となる。
戻り光108−1〜3は、再び、眼底カメラ本体部300、アダプター400、コネクター410、シングルモードファイバー148、コネクター154を順に介して、光カプラー131−1〜3に導かれる。
前述の参照光105−1〜3と戻り光108−1〜3とは、光カプラー131−1〜3にて合波され、さらに50:50に分割される。
そして、合波された光142−1〜3は透過型グレーティング141によって波長毎に分光され、レンズ135−3で集光され、ラインカメラ139にて光の強度が各位置(波長)毎に電圧に変換される。
具体的には、ラインカメラ139上には波長軸上のスペクトル領域の干渉縞が観察されることになる。
つぎに、本実施例のOCT装置における測定系の構成について説明する。
OCT撮像系102は、マイケルソン干渉系による干渉信号の強度から構成される断層像(OCT像)を取得することができる。
その測定系について、更に説明すると、網膜127にて反射や散乱された光である戻り光108−1〜3と参照光105−1〜3とは光カプラー131−1〜3にて合波される。
そして、合波された光142は透過型グレーティング141によって波長毎に分光され、レンズ135−3で集光され、ラインカメラ139にて光の強度が各位置(波長)毎に電圧に変換される。
具体的には、ラインカメラ139上には測定光106−1〜3の数に対応して、3本の波長軸上のスペクトル領域の干渉縞が観察されることになる。
得られた電圧信号群はフレームグラバー140にてデジタル値に変換されて、パソコン125にてデータ処理を行い断層像を形成する。
ここでは、ラインカメラ139は4096画素を有し、その内3072画素を使用することで、合波された光142−1〜3のそれぞれの波長毎(1024分割)の強度を得ることができる。
つぎに、断層像の取得方法について説明する。
OCT装置を用いた断層像の取得方法は実施例1と略同一であるため説明を省略する。
OCT装置200は、XYスキャナ408を制御し、ラインカメラ139で干渉縞を取得することで、網膜127の断層像を取得することができる(図10)。
つぎに、測定光観察系の構成について説明する。
本発明の特徴である測定光観察系の構成については、観察カメラ321が眼底カメラ本体部300の内部に設置されていることを除けば、実施例1と略同一であるため重複する説明は省略する。
OCT装置200は、眼底カメラ本体部300の内部に設置されている観察カメラ321を用いて、測定光106−1〜3が角膜126付近を観察し、OCT装置200と被検眼107の相対位置の調整に用いることができる。
また、調整には固視灯320、顔受けユニット323、パソコン125等を用いることができる。
本発明の実施例1におけるOCT装置の光学系の構成を説明する図である。 本発明の実施例1におけるOCT装置の断層像の取得方法を説明する図である。 本発明の実施例1におけるOCT装置の測定光観察系の構成を説明する図である。 本発明の実施例1におけるOCT装置の測定光観察系の構成を説明する図である。 本発明の実施例1におけるOCT装置の測定光観察系の構成を説明する図である。 本発明の実施例1におけるOCT装置の測定光観察系の構成を説明する図である。 本発明の実施例1におけるOCT装置の被検眼の位置の調整方法を説明する図である。 本発明の実施例1における光断層画像の撮像方法を説明するための各工程のフロー図である。 本発明の実施例2におけるOCT装置の全体の構成について説明する図である。 本発明の実施例2におけるOCT装置の光学系の構成について説明する図である。 本発明の実施例2におけるOCT装置のOCT撮像部の構成について説明する図である。
符号の説明
100:OCT装置
101:光源
102:OCT撮像部
105:参照光
106:測定光
107:被検眼
108:戻り光
114、306、307、317:ミラー
115:分散補償用ガラス
117:電動ステージ
119、408:XYスキャナ
125:パソコン
126:角膜
127:網膜
110、148:シングルモードファイバー
131、156:光カプラー
132:断層像
120、135、309、311:レンズ
139:ラインカメラ
140:フレームグラバー
141:透過型グレーティング
142:合波された光
153:偏光コントローラ
154、410:コネクター
155:ファイバー長可変装置
157、321:観察カメラ
158:瞳孔
159:虹彩
160:水晶体
200:OCT装置
300:眼底カメラ本体部
302:対物レンズ
303:孔あきミラー
304:フォーカスレンズ
305:結像レンズ
308、406、407:リレーレンズ
310:光学フィルター
312:リングスリット
313、315:コンデンサレンズ
314:ストロボ管
316:ハロゲンランプ
318:クイックリターンミラー
319、405:ダイクロイックミラー
320:固視灯
322:フィールドレンズ
323:顔受けユニット
351、352:光路
400:アダプター
409:コリメートレンズ
500:カメラ部

Claims (20)

  1. 光源から出射され分割された複数の光を、又は複数の光源から出射された複数の光を、測定光群と参照光群とに分割し、該測定光群を被検査物に導くと共に前記参照光群を参照ミラーに導き、
    前記被検査物によって反射あるいは散乱された前記測定光群による戻り光群と、前記参照ミラーによって反射された前記参照光群とを用い、前記被検査物の断層画像を撮像する光断層画像撮像装置であって、
    前記被検査物の観察画像を取得する観察手段を備え、
    該観察手段によって、前記被検査物に対する前記測定光群の入射する位置と角度とによる入射状態が観察可能とされていることを特徴とする光断層画像撮像装置。
  2. 前記観察手段により取得された観察画像によって、前記測定光群の入射位置を把握する位置把握手段を有することを特徴とする請求項1に記載の光断層画像撮像装置。
  3. 前記観察手段が、前記被検査物である被検眼の近傍に配置され、該観察手段によって前記測定光群による前記被検眼の前眼部に照射する状態を観察可能に構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光断層画像撮像装置。
  4. 前記観察手段により取得された観察画像によって、前記測定光群と前記被検眼との相対位置を調整可能に構成された調整手段を有することを特徴とする請求項3に記載の光断層画像撮像装置。
  5. 前記調整手段が、前記測定光群が前記前眼部を照射している面積が最小に調整することが可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の光断層画像撮像装置。
  6. 前記調整手段は、前記測定光群の本数を増減することが可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の光断層画像撮像装置。
  7. 前記測定光群の本数を増減することによって、前記測定光群と前記被検眼との相対位置を把握することが可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の光断層画像撮像装置。
  8. 前記調整手段が、前記測定光群の走査範囲を増減することが可能に構成されていることを特徴とする請求項4から7のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
  9. 前記調整手段が、前記被検眼に注視させる固視灯によって視線を移動させることが可能に構成されていることを特徴とする請求項4から8のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
  10. 前記調整手段が、前記被検者の顔を所定の位置に保持する顔受けユニットを移動させることが可能に構成されていることを特徴とする請求項4から9のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
  11. 前記調整手段が、前記測定光群を被検査物に導く測定光学系を調整することが可能に構成されていることを特徴とする請求項4から10のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
  12. 前記観察画像と前記断層画像とを関連付けて記録する記録手段を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
  13. 前記観察手段が、カメラで構成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
  14. 前記観察手段が、エリアセンサで構成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
  15. 前記観察手段が、共焦点顕微鏡で構成されていることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
  16. 前記光源からの光を前記測定光群と前記参照光群とに分割される位置まで導く光路と、
    前記測定光群を前記被検査物まで導く光路と、
    前記戻り光群を光電変換回路まで導く光路と、
    前記参照光群を前記光電変換回路まで導く光路と、
    における少なくとも何れかの光路が、光ファイバーによって構成されていることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
  17. 前記被検眼における眼底の断層画像を撮像する光断層画像撮像装置における眼底カメラ本体部と、
    前記被検眼における眼底の平面像を撮像するカメラ部と、
    を有することを特徴とする請求項4から16のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置。
  18. 前記眼底カメラ本体部と、眼底の平面像を撮像するカメラ部とが、アダプターを介して接続可能に構成されていることを特徴とする請求項17に記載の光断層画像撮像装置。
  19. 請求項8から12のいずれか1項に記載の光断層画像撮像装置を用い、前記被検査物の断層画像を撮像する光断層画像の撮像方法であって、
    前記走査範囲増減手段を用いて、前記走査範囲を所定の撮像範囲より小さく設定する第1の調整工程と、
    前記観察手段を用いて、前記測定光群が前記前眼部を照射する状態を観察する第2の調整工程と、
    前記本数増減手段を用いて、前記測定光群と前記被検眼との相対位置を把握する第3の調整工程と、
    前記顔受けユニットと前記固視灯と前記測定光学系との少なくとも何れかを用いて、前記測定光群と前記被検眼との相対位置を調整する第4の調整工程と、
    を有することを特徴とする光断層画像の撮像方法。
  20. 前記第1の工程から前記第4の工程のうち、
    少なくとも一つの工程を自動的に行うことを特徴とする請求項19に記載の光断層画像の撮像方法。
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